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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134353
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/12 20060101AFI20240926BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L29/78 652T
H01L29/78 658A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044612
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 智史
(57)【要約】
【課題】位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウム系半導体の分解を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】製造方法は、窒化ガリウムで構成された半導体基板の表面に保護膜を形成する工程であって、前記保護膜の表面に溝が存在し、前記溝の底部が前記保護膜内に位置するように前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記半導体基板にイオンを注入してイオン注入領域を形成するイオン注入工程、を有してもよい。前記溝と前記イオン注入領域が相互に位置合わせされるように、前記保護膜形成工程と前記イオン注入工程を実施してもよい。前記保護膜を形成する前記工程、及び、前記イオン注入領域を形成する前記工程の後に、前記半導体基板に対してアニール処理を実行するアニール工程と、前記アニール工程の後に、前記溝に対して位置合わせした状態で前記半導体基板に加工部を形成する加工工程、をさらに有してもよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
窒化ガリウム系半導体で構成された半導体基板(10)の表面(10c)に保護膜(48)を形成する工程であって、前記保護膜の表面に溝(42)が存在し、前記溝の底部が前記保護膜内に位置するように前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記半導体基板にイオンを注入してイオン注入領域(30)を形成するイオン注入工程、
を有し、
前記溝と前記イオン注入領域が相互に位置合わせされるように、前記保護膜形成工程と前記イオン注入工程を実施し、
前記保護膜を形成する前記工程、及び、前記イオン注入領域を形成する前記工程の後に、前記半導体基板に対してアニール処理を実行するアニール工程と、
前記アニール工程の後に、前記溝に対して位置合わせした状態で前記半導体基板に加工部(50,52,54)を形成する加工工程、
をさらに有する、製造方法。
【請求項2】
前記保護膜形成工程が、第1保護膜(20)を形成する第1保護膜形成工程と、第2保護膜(40)を形成する第2保護膜形成工程、を有し、
前記第1保護膜形成工程、前記イオン注入工程、前記第2保護膜形成工程の順にこれらの工程を実施し、
前記第1保護膜形成工程では、前記半導体基板の前記表面に、前記第1保護膜の表面に第1溝(22)が存在し、前記第1溝の底部が前記第1保護膜内に位置し、前記半導体基板の前記表面が露出している開口部を前記第1保護膜が有するように前記第1保護膜を形成し、
前記イオン注入工程では、前記第1溝に対して位置合わせした状態で前記開口部内に前記イオン注入領域を形成し、
前記第2保護膜形成工程では、前記開口部と前記第1保護膜を覆うように前記第2保護膜を形成し、
前記第2保護膜形成工程では、前記第2保護膜の表面に前記第1溝に沿って第2溝(42)が形成され、
前記第2溝が前記溝である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入工程の後に前記保護膜形成工程を実施し、
前記保護膜形成工程では、前記イオン注入領域に対して位置合わせした状態で前記溝を形成する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記アニール工程の後に、前記半導体基板に達するように前記溝を深くすることによって前記半導体基板の前記表面に凹部(112)を形成する工程と、
前記凹部を形成した後に、前記保護膜を除去する工程、
をさらに有し、
前記加工工程では、前記凹部に対して位置合わせした状態で前記加工部を形成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窒化ガリウム(GaN)系の半導体基板に、イオン注入によってp型半導体領域を形成する技術が開示されている。この技術では、p型不純物が注入された後に、半導体基板の表面に保護膜が形成される。保護膜が形成された後に、半導体基板がアニールされる。アニール時に、保護膜によって窒化ガリウムの分解が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-175905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板の表面に、アライメントマークとして溝が形成される場合がある。溝が形成された半導体基板の表面に保護膜が形成されると、溝の底面と側面の境界部において保護膜の厚さが薄くなる場合がある。このような箇所が生じると、当該箇所において、アニール処理時に半導体基板の窒化ガリウムが分解しやすい。本明細書では、位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、半導体装置の製造方法を開示する。製造方法は、窒化ガリウム系半導体で構成された半導体基板(10)の表面(10c)に保護膜(48)を形成する工程であって、前記保護膜の表面に溝(42)が存在し、前記溝の底部が前記保護膜内に位置するように前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記半導体基板にイオンを注入してイオン注入領域(30)を形成するイオン注入工程、を有してもよい。前記溝と前記イオン注入領域が相互に位置合わせされるように、前記保護膜形成工程と前記イオン注入工程を実施してもよい。前記保護膜を形成する前記工程、及び、前記イオン注入領域を形成する前記工程の後に、前記半導体基板に対してアニール処理を実行するアニール工程と、前記アニール工程の後に、前記溝に対して位置合わせした状態で前記半導体基板に加工部(50,52,54)を形成する加工工程、をさらに有してもよい。
【0006】
上記技術において、「窒化ガリウム系半導体」とは、GaN、AlGaN、InGaN等の、GaNを主成分とする半導体を意味する。
【0007】
上記技術において、保護膜形成工程とイオン注入工程とが実施される順序は特に限定されない。即ち、保護膜形成工程を実施した後にイオン注入工程を実施してもよいし、イオン注入工程を実施した後に保護膜形成工程を実施してもよい。さらに、保護膜形成工程の途中に、イオン注入工程を実施してもよい。
【0008】
上記技術において、「位置合わせ」とは、直接的に位置合わせすることと、間接的に位置合わせすることと、の両方を含む。即ち、「前記溝と前記イオン注入領域が相互に位置合わせされる」とは、溝とイオン注入領域とが直接的に相互に位置合わせされていてもよいし、溝と他の部材が相互に位置合わせされ、かつ、イオン注入領域と他の部材が相互に位置合わせされることで、溝とイオン注入領域とが間接的に相互に位置合わせされていてもよい。また、「前記溝に対して位置合わせした状態で前記半導体基板に加工部(50,52,54)を形成する」とは、溝に対して直接的に位置合わせした状態で加工部を形成することであってもよいし、溝と位置合わせされる他の部材に対して位置合わせした状態で加工部を形成することで、溝に対して間接的に位置合わせした状態で加工部を形成することであってもよい。
【0009】
半導体基板の表面には、保護膜内に底部が位置する溝が形成された保護膜が形成される。上記の溝の深さを調節することで、溝の下部において窒化ガリウムの分解を抑制するのに十分な保護膜の厚さを確保することができる。このため、アニール処理時に窒化ガリウムが分解されることが抑制される。また、アニール処理を実施する前に溝とイオン注入領域が相互に位置合わせされる。また、アニール処理を実施した後に、溝と位置合わせした状態で半導体基板に加工部を形成する。従って、イオン注入領域に対して位置合わせした状態で加工部を形成できる。このように、上記の構成によると、位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の第1キャップ膜形成工程を説明するための図である。
図2】実施例1の第1溝形成工程を説明するための図である。
図3】実施例1の第1キャップ膜除去工程を説明するための図である。
図4】実施例1のイオン注入工程を説明するための図である。
図5】実施例1の第2キャップ膜形成工程及びアニール工程を説明するための図である。
図6】実施例1の第2キャップ膜除去工程を説明するための図である。
図7】実施例1の電極形成工程を説明するための図である。
図8】実施例2の凹部形成工程を説明するための図である。
図9】実施例2の第2キャップ膜除去工程を説明するための図である。
図10】実施例2の電極形成工程を説明するための図である。
図11】実施例3のイオン注入工程を説明するための図である。
図12】実施例3のキャップ膜形成工程を説明するための図である。
図13】実施例3の溝形成工程及びアニール工程を説明するための図である。
図14】実施例3のキャップ膜除去工程を説明するための図である。
図15】実施例3の電極形成工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術の一実施形態では、前記保護膜形成工程が、第1保護膜(20)を形成する第1保護膜形成工程と、第2保護膜(40)を形成する第2保護膜形成工程、を有し、前記第1保護膜形成工程、前記イオン注入工程、前記第2保護膜形成工程の順にこれらの工程を実施し、前記第1保護膜形成工程では、前記半導体基板の前記表面に、前記第1保護膜の表面に第1溝(22)が存在し、前記第1溝の底部が前記第1保護膜内に位置し、前記半導体基板の前記表面が露出している開口部を前記第1保護膜が有するように前記第1保護膜を形成し、前記イオン注入工程では、前記第1溝に対して位置合わせした状態で前記開口部内に前記イオン注入領域を形成し、前記第2保護膜形成工程では、前記開口部と前記第1保護膜を覆うように前記第2保護膜を形成し、前記第2保護膜形成工程では、前記第2保護膜の表面に前記第1溝に沿って第2溝(42)が形成され、前記第2溝が前記溝であってもよい。
【0012】
この構成でも、位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記イオン注入工程の後に前記保護膜形成工程を実施し、前記保護膜形成工程では、前記イオン注入領域に対して位置合わせした状態で前記溝を形成してもよい。
【0014】
この構成でも、位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。
【0015】
前記アニール工程の後に、前記半導体基板に達するように前記溝を深くすることによって前記半導体基板の前記表面に凹部(112)を形成する工程と、前記凹部を形成した後に、前記保護膜を除去する工程、をさらに有してもよい。前記加工工程では、前記凹部に対して位置合わせした状態で前記加工部を形成してもよい。
【0016】
この構成でも、位置合わせのための溝を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。特に、半導体基板に達する凹部が形成されるので、凹部に対して位置合わせした状態で加工部を形成する際に、凹部の視認性が高い。
【0017】
(実施例1)
実施例1の半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置は、図1に示される半導体基板10から製造される。半導体基板10は、窒化ガリウム(GaN)で構成されている。変形例では、半導体基板10は、AlGaN、InGaN等の、GaNを主成分とするGaN系半導体で構成されていてもよい。半導体基板10は、ドレイン層10aとドリフト層10bとを有する。ドレイン層10aとドリフト層10bとは共にn型の半導体領域である。ドレイン層10aのn型不純物濃度は、ドリフト層10bのn型不純物濃度よりも高い。半導体基板10は、表面10cと裏面10dとを有する。表面10cはドリフト層10bの一部である。裏面10dは、ドレイン層10aの一部である。
【0018】
実施例1の製造方法は、第1キャップ膜形成工程と、第1溝形成工程と、第1キャップ膜除去工程と、イオン注入工程と、第2キャップ膜形成工程と、アニール工程と、第2キャップ膜除去工程と、電極形成工程と、を有する。
【0019】
第1キャップ膜形成工程では、図1に示すように、半導体基板10の表面10c及び裏面10dに第1キャップ膜20を形成する。第1キャップ膜20は、AlN、AlGaN、ScN、ScAlN、C等によって構成されている。なお、図1では1層からなる第1キャップ膜20を示しているが、第1キャップ膜20は2層以上の積層構造であってもよい。第1キャップ膜20が、「第1保護膜」の一例である。
【0020】
第1溝形成工程では、図2に示すように、第1キャップ膜20の表面に第1溝22を形成する。第1溝22は、例えばエッチングにより形成される。第1溝22は、その底部が第1キャップ膜20内に位置するように形成される。
【0021】
第1キャップ膜除去工程では、図3に示すように、第1キャップ膜20の一部を除去する。具体的には、第1キャップ膜20を選択的にエッチングすることで、第1溝22の近傍以外の領域で第1キャップ膜20を除去する。第1キャップ膜20が除去された領域では、半導体基板10の表面10cが露出している。
【0022】
イオン注入工程では、図4に示すように、露出している範囲内の表面10cにp型不純物とn型不純物を選択的に注入する。これによって、ドリフト層10b内にイオン注入領域30を形成する。イオン注入の際に、第1溝22がアライメントマークとして使用される。即ち、第1溝22に対して位置合わせした状態でイオン注入領域30が形成される。従って、第1溝22とイオン注入領域30とは相互に位置合わせされる。
【0023】
イオン注入領域30は、ボディ層32と、ソース層34と、コンタクト層36と、を備える。ボディ層32及びコンタクト層36は、p型の半導体領域である。ソース層34は、n型の半導体領域である。ボディ層32のp型不純物濃度は、コンタクト層36のp型不純物濃度よりも低い。また、ソース層34のn型不純物濃度は、ドリフト層10bのn型不純物濃度よりも高い。
【0024】
第2キャップ膜形成工程では、図5に示すように、半導体基板10の上部に第2キャップ膜40を形成する。表面10cが露出している範囲内では、表面10cを覆うように第2キャップ膜40が形成される。第1キャップ膜20が存在する範囲内では、第1キャップ膜20に重ねて第2キャップ膜40が形成される。第1キャップ膜20を覆うように第2キャップ膜40が形成される。第2キャップ膜40の表面には、第1キャップ膜20に形成されている第1溝22に沿って、第2溝42が形成される。第2溝42は第1溝22に沿って形成されるので、第2溝42とイオン注入領域30は相互に位置合わせされている。第1キャップ膜20と第2キャップ膜40によって、保護膜48が完成する。保護膜48は、半導体基板10の表面10c全体を覆っている。保護膜48の表面には、第2溝42が設けられている。第2溝42の底部は保護膜48内に位置している。第2キャップ膜40が、「第2保護膜」の一例である。
【0025】
アニール工程では、保護膜48が形成された状態で(即ち図5に示す状態で)、半導体基板10に対してアニール処理を実施する。アニール処理によって、イオン注入領域30を活性化させる。保護膜48によって半導体基板10の表面10c全体が覆われているので、アニール時に表面10cで窒化ガリウムが分解することが抑制される。
【0026】
第2キャップ膜除去工程では、図6に示すように、第2キャップ膜40の一部を除去する。具体的には、第2キャップ膜40を選択的にエッチングすることで、第2溝42の近傍以外の領域で第2キャップ膜40を除去する。第2キャップ膜40が除去された領域では、半導体基板10の表面10cが露出している。
【0027】
電極形成工程では、図7に示すように、イオン注入領域30の上部にゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成する。ここでは、第2溝42をアライメントマークとして使用して、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成する。即ち、第2溝42に対して位置合わせして、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成する。上述したように、イオン注入領域30は第1溝22に対して位置合わせされており、第2溝42は第1溝22に対して位置合わせされているので、イオン注入領域30は第2溝42に対して位置合わせされている。従って、第2溝42に対してゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を位置合わせすることで、第2溝42をイオン注入領域30に対して位置合わせすることができる。ゲート絶縁膜50は、ソース層34の表面からドリフト層10bの表面に跨る範囲に形成される。ゲート電極52は、ゲート絶縁膜50の上部に形成される。ソース電極54は、ソース層34とコンタクト層36の表面に跨る範囲に形成される。ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54が、「加工部」の一例である。
【0028】
また、電極形成工程では、裏面10dに接するドレイン電極56を形成する。以上の工程により、半導体装置(例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor))が完成する。
【0029】
このように、上記の構成によると、位置合わせのための第2溝42を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。
【0030】
(実施例2)
続いて、実施例2の製造方法を説明する。実施例2の製造方法では、実施例1と同様にして、第1キャップ膜形成工程からアニール工程までを実施する。即ち、図5に示す状態まで加工を行う。実施例2の製造方法では、アニール工程の後に、凹部形成工程と、第2キャップ膜除去工程と、電極形成工程を実施する。
【0031】
凹部形成工程では、図8に示すように、第2溝42を深くすることによって、半導体基板10(より具体的にはドリフト層10b)に達する凹部112を形成する。凹部112は、例えばエッチングによって、第2溝42を深くすることによって形成される。上記の通り、第2溝42とイオン注入領域30とは位置合わせされている。凹部112は第2溝42を深くすることによって形成されるので、凹部112とイオン注入領域30は相互に位置合わせされる。
【0032】
第2キャップ膜除去工程では、図9に示すように、エッチングによって第1キャップ膜20及び第2キャップ膜40の全部を除去する。第2キャップ膜除去工程が実施されると、半導体基板10の表面10cが露出している状態となる。
【0033】
次に、電極形成工程において、図10に示すように、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成する。ここでは、凹部112をアライメントマークとして使用して、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成する。上述したように、凹部112はイオン注入領域30に対して位置合わせされている。従って、凹部112に対して位置合わせしてゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54を形成することで、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52及びソース電極54をイオン注入領域30に対して位置合わせすることができる。また、電極形成工程では、裏面10dに接するドレイン電極56を形成する。以上の工程により、半導体装置が完成する。
【0034】
実施例2の構成でも、位置合わせのための凹部112を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。特に、実施例2の構成では、第2溝42よりも深い凹部112を形成できるので、凹部112がアライメントマークとして認識され易い。
【0035】
(実施例3)
続いて、実施例3の製造方法を説明する。実施例3の製造方法は、イオン注入工程と、キャップ膜形成工程と、溝形成工程と、アニール工程と、キャップ膜除去工程と、電極形成工程と、を有する。
【0036】
イオン注入工程では、図11に示すように、イオン注入領域30及び230を形成する。具体的には、まず、半導体基板10に選択的にイオンを注入して、表面10cに露出する範囲にソース層34とイオン注入領域230を形成する。この段階では、イオン注入領域230は視認可能である。次に、イオン注入領域230をアライメントマークとして使用してイオン注入を実施して、コンタクト層36とボディ層32を形成する。従って、イオン注入領域230とイオン注入領域30とは相互に位置合わせされる。
【0037】
キャップ膜形成工程では、図12に示すように、半導体基板10の表面10c及び裏面10dにキャップ膜20を形成する。キャップ膜20は透明である。
【0038】
溝形成工程では、図13に示すように、キャップ膜20の表面に溝22を形成する。溝22は、例えばエッチングにより形成される。キャップ膜20が透明であるので、イオン注入領域30を外部から光学的に検出することができる。ここでは、イオン注入領域30をアライメントマークとして使用して、キャップ膜20に溝22を形成する。即ち、イオン注入領域30に対して位置合わせした状態で溝22を形成する。ここでは、溝22をイオン注入領域230の上部に形成する。溝22は、その底部がキャップ膜20内に位置するように形成される。また、溝22は、アニール処理時に窒化ガリウムが分解しない程度の膜厚(例えば40nm以上)のキャップ膜20が溝22の下部に残るような深さで形成される。
【0039】
アニール工程では、キャップ膜20が形成された状態で(即ち図13に示す状態で)、半導体基板10に対してアニール処理を実施する。アニール処理によって、イオン注入領域30を活性化させる。キャップ膜20によって半導体基板10の表面10c全体が覆われているので、アニール時に表面10cで窒化ガリウムが分解することが抑制される。アニール処理を実施すると、イオン注入領域230が変色し、イオン注入領域230を視認することはできなくなる。このために、アニール処理が実施された後に、アライメントマークとして溝22が使用される。
【0040】
アニール処理が実施された後に、キャップ膜除去工程が実施される。キャップ膜除去工程では、図14に示すように、キャップ膜20の一部が除去される。具体的には、キャップ膜20を選択的にエッチングすることで、溝22の近傍以外の領域のキャップ膜20が除去される。キャップ膜20が除去された領域では、半導体基板10の表面10cが露出している。
【0041】
その後、電極形成工程において、図15に示すように、溝22をアライメントマークとして使用して、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52、ソース電極54を形成する。従って、ゲート絶縁膜50、ゲート電極52、ソース電極54をイオン注入領域30に対して位置合わせして形成することができる。また、電極形成工程では、ドレイン電極56を形成する。
【0042】
実施例3の構成でも、位置合わせのための溝22を形成しつつ、アニール処理時に窒化ガリウムの分解を抑制することができる。
【0043】
また、実施例1及び実施例2の構成では、キャップ膜を形成する工程が2回実施されていた(第1キャップ膜形成工程及び第2キャップ膜形成工程)。これに対して、実施例3の構成では、キャップ膜形成工程を1回実施すればよい。従って、半導体装置の製造が簡素化され得る。
【0044】
なお、実施例3の変形例では、アニール工程を実施した後にキャップ膜除去工程及び電極形成工程を実施することに代えて、実施例2の凹部形成工程以降の各工程を実施してもよい。
【0045】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10:半導体基板、10a:ドレイン層、10b:ドリフト層、10c:表面、10d:裏面、20:第1キャップ膜、22:第1溝、30:イオン注入領域、32:ボディ層、34:ソース層、36:コンタクト層、40:第2キャップ膜、42:第2溝、48:保護膜、50:ゲート絶縁膜、52:ゲート電極、54:ソース電極、56:ドレイン電極、112:凹部、230:イオン注入領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15