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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134356
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】撹拌翼開閉機構及び撹拌機
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/054 20220101AFI20240926BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 27/2122 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 27/2121 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/30 20220101ALI20240926BHJP
【FI】
B01F27/054
B01F27/112
B01F27/191
B01F27/2122
B01F27/90
B01F27/2121
B01F35/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044615
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(74)【代理人】
【識別番号】100201710
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 佑佳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真和
【テーマコード(参考)】
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G037DA23
4G037EA04
4G078AA01
4G078AA13
4G078AA26
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA12
4G078CA24
4G078DA03
4G078DC04
(57)【要約】
【課題】十分な撹拌や分散が期待できる撹拌翼の開閉に関する技術を提供すること。
【解決手段】本技術では、シャフト部と、前記シャフト部に固定され、撹拌翼の第1連結部に連結する第1ヒンジ部と、前記筒部に固定され、前記撹拌翼の第2連結部に連結する第2ヒンジ部と、を備え、前記シャフト部及び/又は前記筒部が摺動することにより、前記撹拌翼が開閉する、撹拌翼開閉機構を提供する。また、本技術では、前記撹拌翼の開状態において、前記第1連結部よりも前記第2連結部が外側に位置していてもよい。更に、本技術に係る撹拌翼開閉機構は、前記シャフト部及び前記筒部を任意の位置で固定する締結部を更に備える。加えて、本技術では、撹拌翼開閉機構と、前記シャフト部に取り付けられ、前記シャフト部を回転駆動する駆動部と、を備える、撹拌機も提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部と、
前記シャフト部が挿入される、中空状の筒部と、
前記シャフト部に固定され、撹拌翼の第1連結部に連結する第1ヒンジ部と、
前記筒部に固定され、前記撹拌翼の第2連結部に連結する第2ヒンジ部と、
を備え、
前記シャフト部及び/又は前記筒部が摺動することにより、前記撹拌翼が開閉する、撹拌翼開閉機構。
【請求項2】
前記撹拌翼の開状態において、前記第1連結部よりも前記第2連結部が外側に位置する、請求項1に記載の撹拌翼開閉機構。
【請求項3】
前記シャフト部及び前記筒部を任意の位置で固定する締結部を更に備える、請求項1又は2に記載の撹拌翼開閉機構。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撹拌翼開閉機構と、
前記シャフト部に取り付けられ、前記シャフト部を回転駆動する駆動部と、
を備える、撹拌機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撹拌翼開閉機構及び撹拌機に関する。十分な撹拌や分散が期待できる、撹拌翼開閉機構及び撹拌機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、2種以上の流体を混合したり、流体中に添加した添加剤を均一に分散させたりする場合には、流体中で羽根車を回転させる撹拌機が使用されている。そして、羽根車を回転させることで、流体を流動させて撹拌を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、撹拌羽根を可撓性のある材料で形成することで、ドラム缶等の小さな開口部を通して挿入できる撹拌機が開示されている。また、特許文献2には、モータに連結又はモータ近傍まで配置された外筒内に嵌装され、前記モータにより駆動される回転軸先端部に折り畳み可能とした回転羽根を装着し、回転羽根を外筒内に出し入れ自在に収納して成る撹拌機が開示されており、外筒より回転羽根を出してモータを回すことで、遠心力によって回転羽根は開き、混合気体や液体を撹拌することができることも開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、小径の注ぎ口を有する容器に収容された液体を当該容器内で撹拌するための容器内撹拌具が開示されており、複数の撹拌翼の回転中心から先端側へ離間したバネ掛け部と前記撹拌翼を常時開き位置へ付勢する引張りスプリングとを有し、前記複数の撹拌翼は互いに折り畳まれた状態では、筒状の補助ガイド内に収まる大きさであることも開示されている。加えて、特許文献4には、タンク内に容易に挿入して配置でき、小型化された撹拌装置が開示されており、二つの撹拌翼部材を有し、前記回転翼部材が、非回転駆動時には縮径するように付勢されるとともに、回転駆動時には回転翼部材の回転による遠心力によって拡径することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭61-183131号公報
【特許文献2】実全昭63-181439号公報
【特許文献3】特開2000-262879号公報
【特許文献4】特開平10-235176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、従来、様々な撹拌機の開発が進められているが、撹拌翼が比較的小さな場合や、撹拌翼の開きが不十分である場合などは、撹拌や分散が不十分となるという問題があった。
【0007】
そこで、本技術では、十分な撹拌や分散が期待できる撹拌翼の開閉に関する技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術では、まず、シャフト部と、前記シャフト部が挿入される、中空状の筒部と、前記シャフト部に固定され、撹拌翼の第1連結部に連結する第1ヒンジ部と、前記筒部に固定され、前記撹拌翼の第2連結部に連結する第2ヒンジ部と、を備え、前記シャフト部及び/又は前記筒部が摺動することにより、前記撹拌翼が開閉する、撹拌翼開閉機構を提供する。
本技術に係る撹拌翼開閉機構では、前記撹拌翼の開状態において、前記第1連結部よりも前記第2連結部が外側に位置していてもよい。
本技術に係る撹拌翼開閉機構では、前記シャフト部及び前記筒部を任意の位置で固定する締結部を更に備えていてもよい。
【0009】
また、本技術では、前記撹拌翼開閉機構と、前記シャフト部に取り付けられ、前記シャフト部を回転駆動する駆動部と、を備える、撹拌機も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】撹拌翼開閉機構1の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】撹拌翼開閉機構1の第1実施形態を示す斜視図である。
図3】撹拌翼開閉機構1の第1実施形態を示す斜視図である。
図4】撹拌翼開閉機構1の第2実施形態を示す斜視図である。
図5】撹拌翼開閉機構1の第2実施形態を示す斜視図である。
図6】撹拌翼開閉機構1の第2実施形態を示す斜視図である。
図7】撹拌機2の実施形態の一例をドラム缶に挿入した状態を示す模式図である。
図8図7とは異なる実施形態の撹拌機2をドラム缶に挿入した状態を示す模式図である。
図9】撹拌翼撹拌機構1の第3実施形態を示す斜視図である。
図10】撹拌翼撹拌機構1の第4実施形態を示す斜視図である。
図11】撹拌翼撹拌機構1の第5実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。
以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0012】
1.第1実施形態に係る撹拌翼開閉機構1
図1図3は、本技術に係る撹拌翼開閉機構1の第1実施形態を示す斜視図である。
本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、シャフト部11と、前記シャフト部11が挿入される、中空状の筒部12と、前記シャフト部11に固定され、撹拌翼13の第1連結部131に連結する第1ヒンジ部14と、前記筒部12に固定され、前記撹拌翼13の第2連結部132に連結する第2ヒンジ部15と、を備える。また、前記シャフト部11及び/又は前記筒部12が摺動することにより、前記撹拌翼13が開閉する。本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、必要に応じて、締結部16等の他の部位を有していてもよい。
【0013】
本技術において、撹拌翼開閉機構1の大きさは特に限定されず、必要に応じて、ドラム缶等の容器の大きさや、使用する場面等に合わせて自由に設計することができる。
【0014】
以下、各部位について詳細に説明する。
【0015】
(1)シャフト部11
シャフト部11は、駆動源であるモータ等に取り付けられる部位である。また、シャフト部11が回転駆動することで、撹拌や分散が行われる。本技術においては、シャフト部11及び/又は筒部12が摺動することにより、前記撹拌翼13が開状態となる。具体的には、本技術では、シャフト部11及び/又は筒部12を摺動すると、これらに固定された、撹拌翼13の第1連結部131に連結する第1ヒンジ部14、及び/又は、前記撹拌翼13の第2連結部132に連結する第2ヒンジ部15も動く仕組みとなっている。
【0016】
したがって、撹拌翼13を開状態にしたい場合は、シャフト部11及び/又は筒部12を動かすことで、シャフト部11の外径面と、筒部12の内径面が摺動し、撹拌翼13が閉状態から(図1参照)、徐々に開いていき(図2参照)、撹拌翼13を開状態(図3参照)とすることができる。また、シャフト部11の回転による遠心力で、撹拌翼13が閉状態から(図1参照)、徐々に開いていき(図2参照)、シャフト部11の外径面と、筒部12の内径面とが摺動し、撹拌翼13を開状態(図3参照)とすることもできる。
【0017】
本技術では、上述した仕組みと、更には、締結部16を用いることで、シャフト部11及び筒部12を任意の位置で固定する仕組みを採用していることから、撹拌翼13を開いた状態で、確実に固定することができ、例えば、粘度の高い流体の撹拌にも優れ、撹拌や分散が不十分になるといったリスクを回避することができる。
【0018】
(2)筒部12
筒部12は、中空状であり、内部にシャフト部11を格納している部位である。本実施形態では、シャフト部11は、全てが筒部12に格納されているわけではなく、任意の位置から、筒部12に格納されている。
【0019】
シャフト部11及び筒部12を形成する素材としても、特に限定されず、金属製であってもよく、耐油性、耐薬品性のある樹脂等の素材であってもよい。また、樹脂等の素材は、可撓性のある素材であってもよい。金属製とした場合は、腐食しにくい素材が好ましく、ステンレス鋼、チタン合金等が挙げられるが、本技術ではこれらに限定されない。また、金属に対して、メッキ等の表面処理を施したものなどを用いてもよい。
【0020】
(3)撹拌翼13
撹拌翼13は、上述したように、シャフト部11及び/又は筒部12が摺動することにより、開閉する部位である。また、撹拌翼13は、第1ヒンジ部14と連結する第1連結部131と、第2ヒンジ部15と連結する第2連結部132と、を有する。更には、本実施形態においては、図3に示すように、前記撹拌翼13の開状態において、前記第1連結部131よりも前記第2連結部132が外側に位置する。
【0021】
撹拌翼13の形状としては、特に限定されず、短手方向の断面形状が、略五角形となっていてもよく、略三角形、略四角形、略半円形、略半楕円形等であってもよい。短手方向の断面形状としては、特に、略三角形であることが好ましい。略三角形である場合、具体的には、例えば、その断面に向かって、回転方向が右から左であれば、ひとつの頂点が左上、ひとつの頂点が右下、もうひとつの頂点は、左上の頂点と右下の頂点を結ぶ辺より上で、左上の頂点以下で、左上の頂点より右、右下の頂点より左に位置する形状を採用することができる。この断面形状を採用した場合、撹拌翼13が回転すると、流体は絶えず撹拌翼13の上から下へ、後述する容器壁面付近では下から上へというような流れとなり、撹拌翼13が逆に回転した場合は、またその逆の流れで、せん断力や衝撃力等が生じ、撹拌が行われる。
【0022】
また、撹拌翼13の数として特に限定されず、図1図3にあるように3枚とすることもできるし、2枚、4枚、或いはそれ以上の枚数であってもよいが、より小さい口径の口金から撹拌翼開閉機構1を挿入したり、或いはより撹拌翼13を大きく設計したりするため、図1図3のような、対面に羽根がない構造であることが好ましい。すなわち、偶数枚より奇数枚であることが好ましく、5枚又は3枚であることが好ましく、3枚であることがより好ましい。
【0023】
撹拌翼13を形成する素材としても、特に限定されず、金属製であってもよく、耐油性、耐薬品性のある樹脂等の素材であってもよい。また、樹脂等の素材は、可撓性のある素材であってもよい。金属製とした場合は、腐食しにくい素材が好ましく、ステンレス鋼、チタン合金等が挙げられるが、本技術ではこれらに限定されない。また、金属に対して、メッキ等の表面処理を施したものなどを用いてもよい。
【0024】
第1連結部131の形状としては、後述する第1ヒンジ部14と連結することができれば、特に限定されず、例えば、本実施形態においては、第1連結部131を第1ヒンジ部14と一体成形して略コの字状とし、略コの字の両端において、それぞれ第1ヒンジ部14の一部と係止することにより連結している。これにより、撹拌翼13を効率的に折り畳むことができ、比較的大きな翼であっても対応することができる。しかしながら、第1ヒンジ部14との係止機構については、ボルト及びナット、ピン、フック、クランプ、スライド係合等を用いた従来公知の係止機構などを用いてもよい。
【0025】
なお、本実施形態においては、第1ヒンジ部14の高さ方向の位置には変更がなく、撹拌翼13が開状態になるに伴い、第1ヒンジ部14の高さにおいて、撹拌翼13が開くことになる。
【0026】
第2連結部132の形状としても、後述する第2ヒンジ部15と連結することができれば、特に限定されず、例えば、本実施形態においては、第2ヒンジ部15の一部に連結され、第2ヒンジ部15から延在した部材1321(本実施形態では、6本)を、1つの撹拌翼13に対して側面中央付近で、2箇所係止することにより連結している。これにより、撹拌翼13を効率的に折り畳むことができ、比較的大きな羽根であっても対応することができる。しかしながら、第2ヒンジ部15との係止機構については、上述したような、従来公知の係止機構などを用いてもよい。
【0027】
本実施形態では、撹拌翼13を折り畳むことができるため、ドラム缶(クローズドタイプのドラム缶も含む。)の口金以上の大きさの羽根を、ドラム缶内に挿入することができる。また、羽根が比較的大きかったり長かったりとしても、折り畳むことができるため、ドラム缶において、溶液の粘度が高い場合や、容器内の沈殿物が分離しにくい場合などにおいても、このような羽根を用いて撹拌が可能であり、撹拌の効率が上がる。
【0028】
また、本実施形態では、上述したように、図3に示すように、前記撹拌翼13の開状態において、前記第1連結部131よりも前記第2連結部132が外側に位置している。これにより、撹拌翼13が上方から下方に向かって開く。これにより、ドラム缶等を含む容器の底に近いところまで羽根を接近させることができる。
【0029】
なお、本技術では、例えば、羽根をブラシやノズル等に変更することで、ドラム缶等を含む容器の洗浄ができる。また、例えば、カメラやセンサ等を取り付けることで、容器、蓋つきコンテナ、輸送コンテナなどの内部の点検、検査にも応用すること可能である。
【0030】
(4)第1ヒンジ部14
第1ヒンジ部14は、シャフト部11に固定され、撹拌翼13の第1連結部131と連結する部位である。
【0031】
第1ヒンジ部14の形状としては、特に限定されないが、図2及び図3に示すように、シャフト部11を固定する第1固定部141を有していることが好ましい。固定機構としては、図2及び図3に示すように、ナット状の部品で締結することにより、固定することが挙げられるが、本技術ではこれに限定されず、従来公知の固定機構などを用いることができる。
【0032】
また、第1ヒンジ部14は撹拌翼13の数に合わせて形状を変えることもでき、本実施形態においては、撹拌翼13は3枚であり、第1ヒンジ部14はこれに合わせて、3股の形状を採用している。そして、3股構造の各側面には、第1連結部131の取り付け位置が備えられている。この構造により、シャフト部11を摺動させた際の、撹拌翼13の開閉を助ける。また、省スペース化や、効率的に撹拌翼13と連結することができる。なお、第1ヒンジ部14と撹拌翼13との連結については、「(3)撹拌翼13」にて記載した通りであるため、ここでは説明を割愛する。
【0033】
(5)第2ヒンジ部15
第2ヒンジ部15は、筒部12に固定され、撹拌翼13の第2連結部132に連結する部位である。
【0034】
第2ヒンジ部15の形状としては、特に限定されないが、図2及び図3に示すように、筒部12を固定する第2固定部151を有していることが好ましい。固定機構としては、第1固定部141と同様に、ナット状の部品で締結することにより、固定することが挙げられるが、本技術ではこれに限定されず、従来公知の固定機構などを用いることができる。
【0035】
また、第2ヒンジ部15は撹拌翼13の数に合わせて形状を変えることもでき、本実施形態においては、撹拌翼13は3枚であり、第2ヒンジ部15はこれに合わせて、3股の形状を採用している。そして、3股構造の各側面には、部材1321の取り付け位置が備えられている。この構造により、筒部12を摺動させた際の、撹拌翼13の開閉を助ける。また、省スペース化や、効率的に撹拌翼13を格納することができる。これにより、省スペース化や、効率的に撹拌翼13と連結することができる。なお、第2ヒンジ部15と撹拌翼13との連結については、「(3)撹拌翼13」にて記載した通りであるため、ここでは説明を割愛する。
【0036】
なお、図1に示す閉状態で、第1ヒンジ部14と第2ヒンジ部15の各々のヒンジピンの軸心は垂直な同一線上に位置しており、図3に示す開状態でも、第1ヒンジ部14と第2ヒンジ部15の各々のヒンジピンの軸心が垂直な同一線上に位置している。この場合、閉状態において第2連結部132のヒンジピンの軸心を少し(例えば、零点何ミリ程度)でも外側に調整すると、筒部12を摺動させて撹拌翼13を開く際、力の向き的に撹拌翼13が開き易くなる。一方で、図1に示す閉状態で、第1ヒンジ部14と第2ヒンジ部15の各々のヒンジピンの軸心が垂直な同一線上に位置していない場合は、閉状態において第1ヒンジ部14と第2ヒンジ部15の各々のヒンジピンの軸心を結ぶ線上より、第2連結部132のヒンジピンの軸心が少し(例えば、零点何ミリ程度)でも外側にあれば、同様に力の向き的に撹拌翼13が開き易くなる。
【0037】
(6)締結部16
締結部16は、シャフト部11及び筒部12を任意の位置で固定する部位である。本技術では、必須の構成ではないが、撹拌翼13の開状態を維持するために必要である。すなわち、締結部16を有することで、容易にシャフト部11及び筒部12を任意の位置で固定でき、結果として、開状態又は閉状態の撹拌翼13を任意の位置で簡単に固定することができる。
【0038】
また、締結部16が容器の天板の下の位置にあると、内容物に締結部16が浸漬する恐れがあるが、図7及び図8に示すように、締結部16を前記天板よりも上の位置、すなわち、内容物に浸漬しない位置になるように筒部12を長くして、後述する駆動部21をドラム缶の外に設置したスタンド等に固定した場合、撹拌翼13の開閉時に内容物に触れずに操作することが可能となる。
【0039】
2.第2実施形態に係る撹拌翼開閉機構1
図4図6は、本技術に係る撹拌翼開閉機構1の第2実施形態を示す斜視図である。
本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、シャフト部11と、前記シャフト部11が挿入される、中空状の筒部12と、前記シャフト部11に固定され、撹拌翼13の第1連結部131に連結する第1ヒンジ部14と、前記筒部12に固定され、前記撹拌翼13の第2連結部132に連結する第2ヒンジ部15と、を備える。また、前記シャフト部11及び/又は前記筒部12が摺動することにより、前記撹拌翼13が開閉する。本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、必要に応じて、締結部16等の他の部位を有していてもよい。
以下、各部位について詳細に説明する。
【0040】
なお、シャフト部11、筒部12、及び締結部16については、「1.第1実施形態に係る撹拌翼開閉機構1」で記載したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0041】
(1)撹拌翼13
本実施形態において、撹拌翼13は、上述したように、シャフト部11及び/又は筒部12が摺動することにより、開閉する部位であり、第1ヒンジ部14と連結する第1連結部131と、第2ヒンジ部15と連結する第2連結部132と、を有することは、第1実施形態と同様であるが、本実施形態においては、図6に示すように、前記撹拌翼13の開状態において、前記第2連結部132よりも前記第1連結部131が外側に位置する。
【0042】
撹拌翼13の形状や撹拌翼13を形成する素材としては、第1実施形態で記載したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0043】
第1連結部131の形状としては、後述する第1ヒンジ部14と連結することができれば、特に限定されず、例えば、本実施形態においては、第1ヒンジ部14の一部から延在した部材1311(本実施形態では、6本)を、1つの撹拌翼13に対して側面中央付近で、2箇所係止することにより連結している。これにより、撹拌翼13を効率的に折り畳むことができ、比較的大きな羽根であっても対応することができる。しかしながら、第1ヒンジ部14との係止機構については、ボルト及びナット、ピン、フック、クランプ、スライド係合等を用いた従来公知の係止機構などを用いてもよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、第2ヒンジ部15の高さ方向の位置には変更がなく、撹拌翼13が開状態になるに伴い、第2ヒンジ部15の高さにおいて、撹拌翼13が開くことになる。
【0045】
第2連結部132の形状としても、後述する第2ヒンジ部15と連結することができれば、特に限定されず、例えば、本実施形態においては、第2連結部132を第2ヒンジ部15と一体成形して略コの字状とし、略コの字の両端において、それぞれ第2ヒンジ部15の一部と係止することにより連結している。これにより、撹拌翼13を効率的に折り畳むことができ、比較的大きな翼であっても対応することができる。第2ヒンジ部15との係止機構については、上述したような、従来公知の係止機構などを用いてもよい。
【0046】
(2)第1ヒンジ部14
第1ヒンジ部14は、シャフト部11に固定され、撹拌翼13の第1連結部131と連結する部位である。
【0047】
第1ヒンジ部14の形状としては、特に限定されないが、図5及び図6に示すように、シャフト部11を固定する第1固定部141を有していることが好ましい。固定機構としては、第1実施形態で記載したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0048】
また、第1ヒンジ部14は撹拌翼13の数に合わせて形状を変えることもでき、本実施形態においては、撹拌翼13は3枚であり、第1ヒンジ部14はこれに合わせて、3股の形状を採用しており、3股構造の各側面には、部材1311の取り付け位置が備えられている。この構造により、シャフト部11を摺動させた際の、撹拌翼13の開閉を助ける。
【0049】
(3)第2ヒンジ部15
第2ヒンジ部15は、筒部12に固定され、撹拌翼13の第2連結部132に連結する部位である。
【0050】
第2ヒンジ部15の形状としては、特に限定されないが、図5及び図6に示すように、筒部12を固定する第2固定部151を有していることが好ましい。固定機構としては、第1実施形態で記載したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0051】
また、第2ヒンジ部15は撹拌翼13の数に合わせて形状を変えることもでき、本実施形態においては、撹拌翼13は3枚であり、第2ヒンジ部15はこれに合わせて、3股の形状を採用しており、3股構造の各側面には、第2連結部132の取り付け位置が備えられている。この構造により、筒部12を摺動させた際の、撹拌翼13の開閉を助ける。
【0052】
3.第3実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態に係る撹拌翼開閉機構1
図9は、本技術に係る撹拌翼開閉機構1の第3実施形態を示す斜視図であり、図10は、本技術に係る撹拌翼開閉機構1の第4実施形態を示す斜視図であり、図11は、本技術に係る撹拌翼開閉機構1の第5実施形態を示す斜視図である。
【0053】
本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、シャフト部11と、前記シャフト部11が挿入される、中空状の筒部12と、前記シャフト部11に固定され、撹拌翼13の第1連結部131に連結する第1ヒンジ部14と、前記筒部12に固定され、前記撹拌翼13の第2連結部132に連結する第2ヒンジ部15と、を備える。また、前記シャフト部11及び/又は前記筒部12が摺動することにより、前記撹拌翼13が開閉する。本技術に係る撹拌翼開閉機構1は、必要に応じて、締結部16、図9の第3実施形態に示すように、撹拌用回転体17等の他の部位を有していてもよい。また、図10の第4実施形態及び図11の第5実施形態に示すように、撹拌翼13の内部に、流路180及び吸入口181等を有していてもよい。
以下、各部位について詳細に説明する。
【0054】
なお、シャフト部11、筒部12、撹拌翼13、第1ヒンジ部14、第2ヒンジ部15、及び締結部16については、「1.第1実施形態に係る撹拌翼開閉機構1」で記載したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0055】
図9に示す第3実施形態では、シャフト部11の先端に撹拌用回転体17を有する。撹拌用回転体17の形状としては、図9に示したような円筒状に限定されず、略円盤状、略半球状等であってもよい。また、撹拌用回転体17を形成する素材としても、特に限定されず、金属、セラミック、樹脂、ゴム、木材等、或いはこれら2種以上を組み合わせてもよい。また、好ましくは、金属、又は耐油性若しくは耐薬品性を有する樹脂等である。更に、樹脂、ゴム等の素材については、可撓性を有していてもよい。素材として金属を用いた場合は、腐食しにくい素材が好ましい。具体的には、例えば、ステンレス鋼、チタン合金等が挙げられるが、本技術ではこれらに限定されない。また、メッキ等が表面の一部又は全部に施された金属を用いてもよい。
【0056】
撹拌用回転体1は、例えば、底面に1又は複数の吸入口を有しており、前記吸入口より半径方向外側の表面に1又は複数の吐出口170が設けられている。そして、撹拌用回転体1の内部には、吸入口と吐出口170とを繋ぐ流通路が1又は複数ある。これにより、撹拌用回転体1近傍の流体が、吸入口から入り、吐出口170から噴流となって出ることで、撹拌用回転体1に随伴して強力な流動を発生させ、撹拌能力を向上させることができる。また、例えば、撹拌翼13が届かない容器の底部の角などの撹拌も可能となる。
【0057】
図10に示す第4実施形態では、撹拌翼13の内部に、流路180を有する。これにより、図9に示す第3実施形態のように、別途、撹拌用回転体17を設けなくても、撹拌翼13自体が上述した撹拌用回転体17と同様の機能を有する。すなわち、撹拌翼13は、開状態において、底面に複数の吸入口181を有しており、該吸入口181の近傍から流入した流体は前記吸入口181より続く流路180を通って、撹拌翼13の端から噴流となって出ることで、撹拌翼13の回転に伴って強力な流動を発生させ、撹拌能力を向上させることができる。
【0058】
図11に示す第5実施形態では、基本的な構造は、上述した図10と同様であるが、吸入口180及び流路181の大きさが異なる。本技術では、このように、本技術の効果を損なわない限り、適宜、流体や混合を行う容器等に合わせて、吸入口180及び/又は流路181の大きさを変化させることで、効率よく撹拌させることができる。
【0059】
4.撹拌機2
図7は、撹拌機2の実施形態の一例をドラム缶に挿入した状態を示す模式図である。
本技術に係る撹拌機2は、上述した本技術に係る撹拌翼開閉機構1と、前記シャフト部11に取り付けられ、前記シャフト部11を回転駆動する駆動部21と、を備える。これにより、シャフト部11を回転軸として、撹拌翼13による撹拌や混合が行われる。
【0060】
駆動部21は、例えば、電動モータや、エアモータを備えた電動工具であり、底面(容器側の面)にシャフト部11を挿入し、カップリング等で連結する部位を有する。駆動部21においては、回転数等も、撹拌又は混合する対象によって、自由に変更することができる。
【0061】
本技術において、撹拌機2は、駆動部21の他に、撹拌機支持部22を有していてもよい。撹拌機支持部22を用いることで、例えば、駆動部21に固定され、且つ、撹拌機支持部22には、ドラム缶等の容器の口金の雌ねじと同径の雄ねじを施し、固定する。このようにして、撹拌や混合を行う容器に撹拌機2自体を固定し、ユーザビリティを向上させることができる。また、本技術では、この固定方法に限定されず、従来公知の固定方法を用いることができる。しかしながら、本技術に係る撹拌機2は、容器の大きさに応じて、敢えて撹拌機2を固定せずに、ハンディタイプの撹拌機2として用いることも可能である。
【0062】
また、図示しないが、トランスファーポンプ等のドラム缶に挿入して用いるポンプ等も撹拌機2と共に用いてもよい。
【0063】
図8は、図7とは異なる実施形態の撹拌機2をドラム缶に挿入した状態を示す模式図である。図8に示すように、撹拌翼13(必要に応じて、第1ヒンジ部14、第2ヒンジ部15、締結部16等)を複数設け、シャフト部11又は筒部12に取り付けることで、容器の大きさや、撹拌効率の向上にも対応することができる。なお、図8に示す実施形態では、締結部16は、撹拌翼開閉機構1の個数に対応して、3つ備えられているが、本技術ではこれに限定されず、例えば、下から1段目の撹拌翼開閉機構1における第2ヒンジ部15と、下から2段目の撹拌翼開閉機構1における第1ヒンジ部14と、筒部12と、の代わりであって、且つ、下から2段目の撹拌翼開閉機構1における第2ヒンジ部15と、下から3段目の撹拌翼開閉機構における第1ヒンジ部14と、筒部12と、の代わりに、これらの機能を併せ持った部品を活用することで、締結部16を1つとしてもよい。すなわち、この場合は、一連の部品が繋がっているため、筒部12を摺動させると、3つの撹拌翼13が同時に開閉可能する。
【0064】
なお、本技術は、以下のように構成することも可能である。
〔1〕
シャフト部と、
前記シャフト部が挿入される、中空状の筒部と、
前記シャフト部に固定され、撹拌翼の第1連結部に連結する第1ヒンジ部と、
前記筒部に固定され、前記撹拌翼の第2連結部に連結する第2ヒンジ部と、
を備え、
前記シャフト部及び/又は前記筒部が摺動することにより、前記撹拌翼が開閉する、撹拌翼開閉機構。
〔2〕
前記撹拌翼の開状態において、前記第1連結部よりも前記第2連結部が外側に位置する、〔1〕に記載の撹拌翼開閉機構。
〔3〕
前記シャフト部及び前記筒部を任意の位置で固定する締結部を更に備える、〔1〕又は〔2〕に記載の撹拌翼開閉機構。
〔4〕
〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の撹拌翼開閉機構と、
前記シャフト部に取り付けられ、前記シャフト部を回転駆動する駆動部と、
を備える、撹拌機。
【符号の説明】
【0065】
1:撹拌翼開閉機構
11:シャフト部
12:筒部
13:撹拌翼
131:第1連結部
132:第2連結部
14:第1ヒンジ部
141:第1固定部
15:第2ヒンジ部
151:第2固定部
16:締結部
17:撹拌用回転体
170:吐出口
180:流路
181:吸入口
2:撹拌機
21:駆動部
22:撹拌機固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11