(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134369
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】粘着剤層付光学積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044632
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 康平
(72)【発明者】
【氏名】小島 理
(72)【発明者】
【氏名】後藤 周作
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB26
2H149BA02
2H149DA04
2H149EA03
2H149EA12
2H149FA03W
2H149FA08X
2H149FA12Y
2H149FA13Y
2H149FA26Y
2H149FB01
2H149FB08
2H149FD09
2H149FD33
(57)【要約】
【課題】欠点検査における欠点の誤検出が抑制され得る粘着剤層付光学積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】光学積層体とその片面に配置された粘着剤層とを有する粘着剤層付光学積層体の製造方法であって、前記粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された前記粘着剤層付光学積層体を得る工程A、および、前記粘着剤層表面に前記第二はく離ライナーが配置された状態で前記粘着剤層付光学積層体を検査する工程B、を含み、前記工程Aが、前記粘着剤層表面に配置された第一はく離ライナーを、前記第二はく離ライナーとその片面に配置された表面保護フィルムとを有する表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、次いで、前記表面保護フィルムを剥離することを含む、製造方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学積層体とその片面に配置された粘着剤層とを有する粘着剤層付光学積層体の製造方法であって、
前記粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された前記粘着剤層付光学積層体を得る工程A、および、
前記粘着剤層表面に前記第二はく離ライナーが配置された状態で前記粘着剤層付光学積層体を検査する工程B、
を含み、
前記工程Aが、前記粘着剤層表面に配置された第一はく離ライナーを、前記第二はく離ライナーとその片面に配置された表面保護フィルムとを有する表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、次いで、前記表面保護フィルムを剥離することを含む、製造方法。
【請求項2】
前記工程Aが、
前記粘着剤層と前記粘着剤層の表面に配置された前記第一はく離ライナーとを有する第一中間体フィルムを準備する工程A-1a、
前記第一中間体フィルムから前記第一はく離ライナーを剥離し、露出した前記粘着剤層に前記表面保護フィルム付はく離ライナーを貼り合わせて、第二中間体フィルムを得る工程A-2a、
前記第二中間体フィルムの前記表面保護フィルム付はく離ライナーが配置された側と反対側に第三中間体フィルムを積層して、第四中間体フィルムを得る工程A-3a、および、
前記第四中間体フィルムから前記表面保護フィルムを剥離する工程A-4a、
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第一中間体フィルムが、偏光部材をさらに有し、
前記第三中間体フィルムが、第1のλ/4部材を有する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第一はく離ライナーと前記粘着剤層との積層体を準備すること、および、
前記積層体を前記粘着剤層によって前記偏光部材と貼り合わせること、を含む方法によって前記第一中間体フィルムを作製する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記表面保護フィルムの前記第二はく離ライナーに対する剥離力(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)が、0.005N/50mm以上0.095N/50mm以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記表面保護フィルムの前記第二はく離ライナーに対する剥離力X(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)と前記第二はく離ライナーの前記粘着剤層に対する剥離力Y(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)とが、0.2<X/Y<1の関係を満たす、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第二はく離ライナーの全光線透過率が、80%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第一はく離ライナーの全光線透過率が、95%以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記表面保護フィルムの全光線透過率が、95%以下である、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層付光学積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置においては、画像表示を実現し、画像表示の性能を高めるために、一般的に、偏光部材、位相差部材等の光学部材が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
近年、画像表示装置の新たな用途が開発されている。例えば、Virtual Reality(VR)を実現するためのディスプレイ付きゴーグル(VRゴーグル)が製品化され始めている。VRゴーグルでは、ディスプレイに表示される画像を拡大して視認者に視認させることから、VRゴーグルに適用される光学部材に対しては、従来の画像表示装置に適用される光学部材よりも厳しい欠点管理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つ以上の光学部材を含み、隣接する部材と貼り合わせるための粘着剤層が最外層に設けられた粘着剤層付光学積層体は、使用に供されるまで当該粘着剤層表面がはく離ライナーで保護されることが一般的であることから、はく離ライナーが積層された状態で検査に供される。その一方で、上述のとおり、ディスプレイ付きゴーグルに適用される光学積層体に対しては、従来よりも厳しい欠点管理が必要とされ、目視では視認できないサイズの欠点(キズ、汚れ、凹凸、異物等)、例えば径が80μm以下、また例えば50μm以下の欠点の検出には自動光学検査(AOI)が適用される。その際、はく離ライナー表面に異物が付着していると、当該異物がAOIにおいて粘着剤層付光学積層体の欠点として誤検出されるという問題が生じる。
【0006】
本発明は上記課題の解決を課題とするものであり、その主たる目的は、欠点検査における欠点の誤検出が抑制され得る粘着剤層付光学積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の一つの局面によれば、光学積層体とその片面に配置された粘着剤層とを有する粘着剤層付光学積層体の製造方法であって、上記粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された上記粘着剤層付光学積層体を得る工程A、および、上記粘着剤層表面に上記第二はく離ライナーが配置された状態で上記粘着剤層付光学積層体を検査する工程B、を含み、上記工程Aが、上記粘着剤層表面に配置された第一はく離ライナーを、上記第二はく離ライナーとその片面に配置された表面保護フィルムとを有する表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、次いで、上記表面保護フィルムを剥離することを含む、製造方法が提供される。
[2]上記[1]の製造方法において、上記工程Aが、上記粘着剤層と上記粘着剤層の表面に配置された上記第一はく離ライナーとを有する第一中間体フィルムを準備する工程A-1a、上記第一中間体フィルムから上記第一はく離ライナーを剥離し、露出した上記粘着剤層に上記表面保護フィルム付はく離ライナーを貼り合わせて、第二中間体フィルムを得る工程A-2a、上記第二中間体フィルムの上記表面保護フィルム付はく離ライナーが配置された側と反対側に第三中間体フィルムを積層して、第四中間体フィルムを得る工程A-3a、および、上記第四中間体フィルムから上記表面保護フィルムを剥離する工程A-4a、を含んでよい。
[3]上記[2]の製造方法において、上記第一中間体フィルムが、偏光部材をさらに有してよく、上記第三中間体フィルムが、第1のλ/4部材を有してよい。
[4]上記[3]の製造方法において、上記第一はく離ライナーと上記粘着剤層との積層体を準備すること、および、上記積層体を上記粘着剤層によって上記偏光部材と貼り合わせること、を含む方法によって上記第一中間体フィルムを作製してよい。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載の製造方法において、上記表面保護フィルムの上記第二はく離ライナーに対する剥離力(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)が、0.005N/50mm以上0.095N/50mm以下であってよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の製造方法において、上記表面保護フィルムの上記第二はく離ライナーに対する剥離力X(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)と上記第二はく離ライナーの上記粘着剤層に対する剥離力Y(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)とが、0.2<X/Y<1の関係を満たしてよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載の製造方法において、上記第二はく離ライナーの全光線透過率が、80%以上であってよい。
[8]上記[1]から[7]のいずれかに記載の製造方法において、上記第一はく離ライナーの全光線透過率が、95%以下であってよい。
[9]上記[1]から[8]のいずれかに記載の製造方法において、上記表面保護フィルムの全光線透過率が、95%以下であってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体の製造方法によれば、粘着剤層付光学積層体を作製する間に、粘着剤層を保護する第一はく離ライナーを、表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、検査の前に表面保護フィルムのみを剥離除去する。これにより、異物の付着が抑制された第二はく離ライナーで粘着剤層表面が保護された粘着剤層付光学積層体を検査に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の1つの実施形態による表示システムの概略の構成を示す模式図である。
【
図2】(a)および(b)はそれぞれ、
図1に示す表示システムで用いられ得る粘着剤層付光学積層体の一例を示す模式的な断面図である。
【
図3】工程Aの1つの実施形態を説明する模式図である。
【
図4】工程Aの1つの実施形態を説明する模式図である。
【
図5】工程Bの1つの実施形態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書中で、数値範囲を表す「~」は、その上限および下限の数値を含み、「(メタ)アクリル」は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
【0011】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。また、本明細書において、「略平行」は、0°±10°の範囲内である場合を包含し、例えば0°±5°、好ましくは0°±3°、より好ましくは0°±1°の範囲内であり、「略直交」は、90°±10°の範囲内である場合を包含し、例えば90°±5°、好ましくは90°±3°、より好ましくは90°±1°の範囲内である。
【0012】
A.表示システム
本発明の1つの局面によれば、表示システムが提供される。
図1は本発明の1つの実施形態に係る表示システムの概略の構成を示す模式図である。
図1では、表示システム2の各構成要素の配置および形状等を模式的に図示している。表示システム2は、表示素子12と、反射型偏光部材14と、第一レンズ部16と、ハーフミラー18と、第一位相差部材20と、第二位相差部材22と、第二レンズ部24とを備えている。反射型偏光部材14は、表示素子12の表示面12a側である前方に配置され、表示素子12から出射された光を反射し得る。第一レンズ部16は表示素子12と反射型偏光部材14との間の光路上に配置され、ハーフミラー18は表示素子12と第一レンズ部16との間に配置されている。第一位相差部材20は表示素子12とハーフミラー18との間の光路上に配置され、第二位相差部材22はハーフミラー18と反射型偏光部材14との間の光路上に配置されている。図示しないが、表示システム2は、反射型偏光部材14と第二レンズ部24との間に吸収型偏光部材をさらに備えることができる。
【0013】
表示素子12は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであり、画像を表示するための表示面12aを有している。表示面12aから出射される光は、例えば、表示素子12に含まれ得る偏光部材10を通過して出射され、第1の直線偏光とされている。
【0014】
第一位相差部材20は、第一位相差部材20に入射した第1の直線偏光を第1の円偏光に変換し得る第1のλ/4部材を含む。第一位相差部材が第1のλ/4部材以外の部材を含まない場合は、第一位相差部材は第1のλ/4部材に相当し得る。なお、図示例では、第一位相差部材20と表示素子12との間に空間が介在しているが、B項で記載する粘着剤層付光学積層体を用いること等により、第一位相差部材20と表示素子12とが一体に設けられてもよい。
【0015】
ハーフミラー18は、表示素子12から出射された光を透過させ、反射型偏光部材14で反射された光を反射型偏光部材14に向けて反射させる。ハーフミラー18は、第一レンズ部16に一体に設けられている。
【0016】
第二位相差部材22は、反射型偏光部材14およびハーフミラー18で反射させた光を、反射型偏光部材14を透過させ得る第2のλ/4部材を含む。第二位相差部材が第2のλ/4部材以外の部材を含まない場合は、第二位相差部材は第2のλ/4部材に相当し得る。第二位相差部材22は、第一レンズ部16に一体に設けられてもよい。
【0017】
第一位相差部材20に含まれる第1のλ/4部材から出射された第1の円偏光は、ハーフミラー18および第一レンズ部16を通過し、第二位相差部材22に含まれる第2のλ/4部材により第2の直線偏光に変換される。第2のλ/4部材から出射された第2の直線偏光は、反射型偏光部材14を透過せずにハーフミラー18に向けて反射される。このとき、反射型偏光部材14に入射した第2の直線偏光の偏光方向は、反射型偏光部材14の反射軸と同方向である。そのため、反射型偏光部材14に入射した第2の直線偏光は、反射型偏光部材14で反射される。
【0018】
反射型偏光部材14で反射された第2の直線偏光は第二位相差部材22に含まれる第2のλ/4部材により第2の円偏光に変換され、第2のλ/4部材から出射された第2の円偏光は第一レンズ部16を通過してハーフミラー18で反射される。ハーフミラー18で反射された第2の円偏光は、第一レンズ部16を通過し、第二位相差部材22に含まれる第2のλ/4部材により第3の直線偏光に変換される。第3の直線偏光は、反射型偏光部材14を透過する。このとき、反射型偏光部材14に入射した第3の直線偏光の偏光方向は、反射型偏光部材14の透過軸と同方向である。そのため、反射型偏光部材14に入射した第3の直線偏光は、反射型偏光部材14を透過する。
【0019】
上述のとおり、表示システム2は、反射型偏光部材14の前方(目に近い側)に吸収型偏光部材(代表的には、吸収型偏光フィルム)を含んでいてもよい。反射型偏光部材14の反射軸と吸収型偏光部材の吸収軸とは互いに略平行に配置され得る。これにより、反射型偏光部材14を透過した第3の直線偏光は、そのまま吸収型偏光部材を透過することができる。反射型偏光部材と吸収型偏光部材とは、例えば、接着層を介して積層されていてもよい。
【0020】
反射型偏光部材14を透過した光は、第二レンズ部24を通過して、ユーザの目26に入射する。
【0021】
例えば、表示素子12に含まれる偏光部材10の吸収軸と反射型偏光部材14の反射軸とは、互いに略平行に配置されてもよいし、略直交に配置されてもよい。表示素子12に含まれる偏光部材10の吸収軸と第一位相差部材20に含まれる第1のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は、例えば40°~50°であり、42°~48°であってもよく、約45°であってもよい。表示素子12に含まれる偏光部材の吸収軸と第二位相差部材22に含まれる第2のλ/4部材の遅相軸とのなす角度は、例えば40°~50°であり、42°~48°であってもよく、約45°であってもよい。
【0022】
第1のλ/4部材の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~190nmであり、110nm~180nmであってもよく、130nm~160nmであってもよく、135nm~155nmであってもよい。第1のλ/4部材は、好ましくは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示す。第1のλ/4部材は、好ましくは、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。第2のλ/4部材のRe(450)/Re(550)は、例えば0.75以上1未満であり、0.8以上0.95以下であってもよい。
【0023】
第2のλ/4部材の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~190nmであり、110nm~180nmであってもよく、130nm~160nmであってもよく、135nm~155nmであってもよい。第2のλ/4部材は、好ましくは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示す。第2のλ/4部材は、好ましくは、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。第2のλ/4部材のRe(450)/Re(550)は、例えば0.75以上1未満であり、0.8以上0.95以下であってもよい。
【0024】
B.粘着剤層付光学積層体
本発明の別の局面によれば、粘着剤層付光学積層体が提供される。本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体は、A項に記載の表示システムに用いられ得る。
図2(a)、(b)はそれぞれ、上記粘着剤層付光学積層体の一例の概略の構成を示す模式的な断面図である。
【0025】
図2(a)に例示される粘着剤層付光学積層体200aは、偏光部材10と第一位相差部材20と保護部材30とをこの順に含む光学積層体100aと、その偏光部材10側表面に配置された粘着剤層110と、を有する。光学積層体100aにおいて、第一位相差部材20は、位相差部材として第1のλ/4部材20aのみを含む。よって、第一位相差部材20は、第1のλ/4部材に相当する。偏光部材10は、A項に記載の表示システムの表示素子(例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ)に含まれる偏光部材に対応し得る。よって、偏光部材10の吸収軸と第1のλ/4部材20aの遅相軸とのなす角度は、上述のとおり、例えば40°~50°であり、42°~48°であってもよく、約45°であってもよい。偏光部材10、第一位相差部材20、および保護部材30は、接着層(図示せず)を介して積層されている。接着層は、代表的には、接着剤層または粘着剤層であり、好ましくは粘着剤層である。接着層の厚みは、例えば0.05μm~30μmである。
【0026】
図2(b)に例示される粘着剤層付光学積層体200bは、偏光部材10と第一位相差部材20と保護部材30とをこの順に含む光学積層体100bと、その偏光部材10側表面に配置された粘着剤層110と、を有する。粘着剤層付光学積層体200bは、第一位相差部材20が、第1のλ/4部材20aに加えて、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示し得る部材(いわゆる、ポジティブCプレート)20bを含む点において、粘着剤層付光学積層体200aと異なっている。第1のλ/4部材20aとポジティブCプレート20bとは、代表的には、接着層(図示せず)を介して積層されている。図示例のように、第1のλ/4部材20aが第1のポジティブCプレート20bよりも偏光部材10側に位置していることが好ましいが、これらの配置が逆であってもよい。
【0027】
粘着剤層付光学積層体200a、200bの粘着剤層110側表面には、第二はく離ライナー320が仮着されている。粘着剤層付光学積層体200a、200bから第二はく離ライナー320を剥離し、露出した粘着剤層110によって、粘着剤層付光学積層体200a、200bを、表示素子12を構成する部材と貼り合わせることにより、表示素子12と第一位相差部材20とが一体化された表示システム2が得られ得る。
【0028】
図示例のように、粘着剤層付光学積層体200a、200bの保護部材30側表面には、第二表面保護フィルム360がさらに仮着されていてもよい。これにより、粘着剤層付光学積層体200a、200bの保護部材30側表面を好適に保護することができる。
【0029】
光学積層体100a、100bの厚みは、例えば50μm以上500μm以下、好ましくは100μm以上200μm以下である。
【0030】
以下、粘着剤層付光学積層体を構成する各部材について、具体的に説明する。
【0031】
<偏光部材>
偏光部材10は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルム(吸収型偏光膜と称する場合がある)を含む吸収型偏光部材であり、必要に応じて、その片側又は両側に保護層をさらに含み得る。保護層は、代表的には、任意の適切な接着剤層を介して吸収型偏光膜に貼り合わされている。接着剤層を形成する接着剤として、代表的には紫外線硬化型接着剤が挙げられる。
【0032】
偏光部材(吸収型偏光膜)の直交透過率(Tc)は、0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。偏光部材(吸収型偏光膜)の単体透過率(Ts)は、例えば41.0%~45.0%であり、好ましくは42.0%以上である。偏光部材(吸収型偏光膜)の偏光度(P)は、例えば99.0%~99.997%であり、好ましくは99.9%以上である。
【0033】
上記直交透過率、単体透過率および偏光度は、例えば、紫外可視分光光度計を用いて測定することができる。偏光度Pは、紫外可視分光光度計を用いて、単体透過率Ts、平行透過率Tpおよび直交透過率Tcを測定し、得られたTpおよびTcから、下記式により求めることができる。なお、Ts、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。
偏光度P(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
【0034】
吸収型偏光膜の厚みは、例えば1μm以上20μm以下であり、2μm以上15μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
【0035】
上記吸収型偏光膜は、単層の樹脂フィルムから作製してもよく、二層以上の積層体を用いて作製してもよい。
【0036】
単層の樹脂フィルムから作製する場合、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理等を施すことにより吸収型偏光膜を得ることができる。中でも、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られる吸収型偏光膜が好ましい。
【0037】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。
【0038】
上記二層以上の積層体を用いて作製する場合の積層体としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる吸収型偏光膜は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を吸収型偏光膜とすること;により作製され得る。本実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解等の問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理等、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる吸収型偏光膜の光学特性は向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/吸収型偏光膜の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を吸収型偏光膜の保護層としてもよく)、樹脂基材/吸収型偏光膜の積層体から樹脂基材を剥離した剥離面に、もしくは、剥離面とは反対側の面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような吸収型偏光膜の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0039】
保護層は、吸収型偏光膜の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、ポリノルボルネン系等のシクロオレフィン(COP)系、ポリエチレンテレフタレート(PET)系等のポリエステル系、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)系、(メタ)アクリル系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、アセテート系等の透明樹脂が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。樹脂フィルムの材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0040】
保護層の厚みは、代表的には100μm以下であり、例えば5μm~80μm、好ましくは10μm~50μm、さらに好ましくは15μm~35μmである。
【0041】
<第1のλ/4部材>
第1のλ/4部材20aの面内位相差Re(550)は、例えば100nm~190nmであり、110nm~180nmであってもよく、130nm~160nmであってもよく、135nm~155nmであってもよい。第1のλ/4部材は、好ましくは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示す。第1のλ/4部材のRe(450)/Re(550)は、例えば0.75以上1未満であり、0.8以上0.95以下であってもよい。
【0042】
第1のλ/4部材は、好ましくは、屈折率特性がnx>ny≧nzの関係を示す。ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。第1のλ/4部材のNz係数は、好ましくは0.9~3であり、より好ましくは0.9~2.5であり、さらに好ましくは0.9~1.5であり、特に好ましくは0.9~1.3である。
【0043】
第1のλ/4部材は、上記特性を満足し得る任意の適切な材料で形成される。第1のλ/4部材は、例えば、樹脂フィルムの延伸フィルムまたは液晶化合物の配向固化層であり得る。
【0044】
上記樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。組み合わせる方法としては、例えば、ブレンド、共重合が挙げられる。第1のλ/4部材が逆分散波長特性を示す場合、ポリカーボネート系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂(以下、単にポリカーボネート系樹脂と称する場合がある)を含む樹脂フィルムが好適に用いられ得る。
【0045】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂を用いることができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジオール、脂環式ジメタノール、ジ、トリまたはポリエチレングリコール、ならびに、アルキレングリコールまたはスピログリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、を含む。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジメタノールに由来する構造単位ならびに/あるいはジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含み;さらに好ましくは、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、ジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含む。ポリカーボネート系樹脂は、必要に応じてその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、第1のλ/4部材に好適に用いられ得るポリカーボネート系樹脂および第1のλ/4部材の形成方法の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報、特開2015-212816号公報、特開2015-212817号公報、特開2015-212818号公報に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0046】
樹脂フィルムの延伸フィルムで構成される第1のλ/4部材の厚みは、例えば10μm~100μmであり、好ましくは10μm~70μmであり、より好ましくは20μm~60μmである。
【0047】
上記液晶化合物の配向固化層は、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層である。なお、「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。第1のλ/4部材においては、代表的には、棒状の液晶化合物が第1のλ/4部材の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。棒状の液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーおよび液晶モノマーが挙げられる。液晶化合物は、好ましくは、重合可能である。液晶化合物が重合可能であると、液晶化合物を配向させた後に重合させることで、液晶化合物の配向状態を固定できる。
【0048】
上記液晶化合物の配向固化層(液晶配向固化層)は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
【0049】
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
【0050】
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性または架橋性である場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
【0051】
上記液晶化合物としては、任意の適切な液晶ポリマーおよび/または液晶モノマーが用いられる。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。液晶化合物の具体例および液晶配向固化層の作製方法は、例えば、特開2006-163343号公報、特開2006-178389号公報、国際公開第2018/123551号公報に記載されている。これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0052】
液晶配向固化層で構成される第1のλ/4部材の厚みは、例えば1μm~10μmであり、好ましくは1μm~8μmであり、より好ましくは1μm~6μmであり、さらに好ましくは1μm~4μmである。
【0053】
<ポジティブCプレート>
ポジティブCプレート20bの厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは-50nm~-300nmであり、より好ましくは-70nm~-250nmであり、さらに好ましくは-90nm~-200nmであり、特に好ましくは-100nm~-180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。ポジティブCプレートの面内位相差Re(550)は、例えば10nm未満である。
【0054】
ポジティブCプレートは、任意の適切な材料で形成され得る。ポジティブCプレートは、好ましくは、ホメオトロピック配向に固定された液晶材料を含むフィルムから構成される。ホメオトロピック配向させることができる液晶材料(液晶化合物)は、液晶モノマーであってもよいし、液晶ポリマーであってもよい。このような液晶化合物およびポジティブCプレートの形成方法の具体例としては、特開2002-333642号公報の[0020]~[0028]に記載の液晶化合物および位相差層の形成方法が挙げられる。この場合、ポジティブCプレートの厚みは、好ましくは0.5μm~5μmである。
【0055】
<保護部材>
保護部材30は、代表的には、基材を含む。基材は、任意の適切なフィルムで構成され得る。基材を構成するフィルムの主成分となる材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の樹脂が挙げられる。基材の厚みは、好ましくは5μm~80μmであり、より好ましくは10μm~40μmであり、さらに好ましくは15μm~35μmである。
【0056】
保護部材は、好ましくは、基材と基材上に形成される表面処理層とを有する。表面処理層を有する保護部材は、表面処理層が前方側に位置するように配置され得る。具体的には、表面処理層が光学積層体の最表面に位置し得る。表面処理層は、任意の適切な機能を有し得る。表面処理層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、アンチグレア層が挙げられる。保護部材は、2以上の表面処理層を有していてもよい。
【0057】
反射防止層は、外光等の反射を防止するために設けられる。反射防止層としては、例えば、フッ素樹脂層、ナノ粒子(代表的には中空ナノ粒子、例えば中空ナノシリカ粒子)を含む樹脂層、または、ナノ構造(例えばモスアイ構造)を有する反射防止層が挙げられる。反射防止層の厚みは、好ましくは0.05μm~1μmである。上記樹脂層の形成方法としては、例えば、ゾルゲル法、イソシアネートを用いた熱硬化法、架橋性モノマー(例えば多官能アクリレート)と光重合開始剤とを用いた電離放射線硬化法(代表的には光硬化法)が挙げられる。1つの実施形態において、反射防止層は、保護部材の最表面に設けられる。反射防止層が保護部材の最表面に設けられる実施形態によれば、ハーフミラー18と第一位相差部材20との間に空間が形成されている表示システムにおいて、優れた反射防止効果を得ることができる。
【0058】
ハードコート層は、好ましくは、十分な表面硬度、優れた機械的強度、および優れた光透過性を有する。ハードコート層は、任意の適切な樹脂から形成され得る。ハードコート層は、代表的には紫外線硬化型樹脂から形成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系が挙げられる。ハードコート層の厚みは、例えば0.5μm以上、好ましくは1μm以上、例えば20μm以下、好ましくは15μm以下である。
【0059】
<粘着剤層>
粘着剤層110は、任意の適切な粘着剤で構成されている。粘着剤層110を構成する粘着剤は、代表的には、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、またはゴム系ポリマーを含有する。好ましくは、粘着剤は、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含有する(メタ)アクリル系粘着剤である。
【0060】
(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を含む。(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有割合は、代表的には50重量%以上、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上であり、例えば100重量%以下、好ましくは98重量%以下である。
【0061】
アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は、例えば1以上18以下である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、オクタデシル基が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、単独でまたは組み合わせて使用できる。アルキル基の平均炭素数は3~10であることが好ましい。
【0062】
(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位以外にも、アルキル(メタ)アクリレートと重合可能な共重合モノマー由来の構造単位を含有してもよい。共重合モノマーとして、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、窒素含有モノマーが挙げられる。共重合モノマーは、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0063】
カルボキシル基含有モノマーは、その構造中にカルボキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸が挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位を含むと、粘着剤層の粘着特性の向上を図り得る。(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位を含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーにおけるカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上10重量%以下である。
【0064】
ヒドロキシル基含有モノマーは、その構造中にヒドロキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートが挙げられ、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーがヒドロキシル基含有モノマー由来の構造単位を含むと、粘着剤層の耐久性の向上を図り得る。(メタ)アクリル系ポリマーがヒドロキシル基含有モノマー由来の構造単位を含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーにおけるヒドロキシル基含有モノマー由来の構造単位の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上10重量%以下である。
【0065】
窒素含有モノマーとしては、例えば、窒素含有ビニル系モノマーおよびシアノアクリレートモノマーが挙げられる。窒素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、およびN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。シアノアクリレート系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーが窒素含有モノマー由来の構造単位を含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーにおける窒素含有モノマー由来の構造単位の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上10重量%以下である。
【0066】
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量Mwは、例えば100万~300万であり、好ましくは120万~250万である。
【0067】
粘着剤における(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、固形分比で、例えば50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。含有割合の上限は、例えば99.9重量%以下、好ましくは99.8重量%以下であり得る。
【0068】
また、(メタ)アクリル系粘着剤は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、代表的には、有機系架橋剤および多官能性金属キレートが挙げられ、好ましくは有機系架橋剤が挙げられる。有機系架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤が挙げられ、より好ましくは、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。粘着剤が架橋剤を含有する場合、架橋剤の含有割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.01重量部以上15重量部以下、例えば0.1重量部以上10重量部以下である。
【0069】
(メタ)アクリル系粘着剤は、必要に応じて、溶媒または種々の添加剤、例えば、重合開始剤、重合触媒、架橋触媒、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等を、本発明の特性を損なわない範囲で含有していてもよい。
【0070】
粘着剤層110の厚みは、例えば12μm以上、好ましくは15μm以上であり、例えば100μm以下、好ましくは80μm以下である。
【0071】
C.粘着剤層付光学積層体の製造方法
本発明の別の局面によれば、粘着剤層付光学積層体の製造方法が提供される。本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体の製造方法によれば、B項に記載の粘着剤層付光学積層体を好適に製造することができる。
本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体の製造方法は、
粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された粘着剤層付光学積層体を得る工程A、および、
上記粘着剤層表面に上記第二はく離ライナーが配置された状態で上記粘着剤層付光学積層体を検査する工程B、
を含み、
工程Aが、粘着剤層表面に配置された第一はく離ライナーを、第二はく離ライナーとその片面に配置された表面保護フィルムとを有する表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、次いで、上記表面保護フィルムを剥離することを含む。
本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体の製造方法によれば、工程Aが第一はく離ライナーから第二はく離ライナーへの貼り替えを含み、かつ、工程Bの直前まで第二はく離ライナーを表面保護フィルムで保護することができる。その結果、はく離ライナー表面に付着した異物が工程Bにおける検査で粘着剤層付光学積層体の欠点として誤検出されることが抑制され、高品質の粘着剤層付光学積層体を好適に製造することができる。
なお、本明細書において、はく離ライナーは、それ自身は粘着性を有さず、粘着剤層面に配置(積層)されて粘着剤層を保護するフィルムであり、表面保護フィルムは、少なくとも片面が粘着面であり、当該粘着面によって被着体に貼り合わせられて被着体を保護するフィルムである。
【0072】
C-1.工程A
工程Aにおいては、粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された粘着剤層付光学積層体を得る。
図3は、工程Aの1つの実施形態を説明する概略図である。
図3に示す実施形態において、工程Aは、
粘着剤層110と粘着剤層110の表面に配置された第一はく離ライナー310とを有する第一中間体フィルム410を準備する工程A-1a、
第一中間体フィルム410から第一はく離ライナー310を剥離し、露出した粘着剤層110に第二はく離ライナー320とその片面に配置された表面保護フィルム330とを有する表面保護フィルム付はく離ライナー350を貼り合わせて、第二中間体フィルム420を得る工程A-2a、
第二中間体フィルム420の表面保護フィルム付はく離ライナー350が配置された側と反対側に第三中間体フィルム430を積層して、第四中間体フィルム440を得る工程A-3a、および、
第四中間体フィルム440から表面保護フィルム330を剥離する工程A-4a、
を含む。
1つの実施形態において、第一中間体フィルムおよび第二中間体フィルムは、長尺状に形成され得る。長尺状の第二中間体フィルムは、工程A-3aの前に、所定のサイズに切断または打ち抜かれて枚葉フィルムとされ、次いで、工程A-3aにおいて、同じく枚葉の第三中間体フィルムと積層され得る。このような実施形態は、第一中間体フィルムが偏光部材を有し、第三中間体フィルムが第1のλ/4部材を有する場合に、両者の軸関係を精密に制御することが容易である点で好ましい。また、このような実施形態においては、枚葉フィルムへの切断または打ち抜きの際に表面保護フィルムに異物が付着しやすいが、工程A-4aにおいて表面保護フィルムを剥離除去することにより、工程Bの検査への異物の持ち込みを好適に防止することができる。なお、本明細書において「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。
【0073】
C-1-1.工程A-1a
工程A-1aにおいては、粘着剤層と当該粘着剤層の表面に配置された第一はく離ライナーとを有する第一中間体フィルムを準備する。
図3(a)に示されるように、第一中間体フィルム410は、偏光部材10と粘着剤層110と第一はく離ライナー310とをこの順に有し得る。偏光部材および粘着剤層については、B項で記載したとおりである。第一中間体フィルムは、本発明の効果が得られる限りにおいて、他の部材を含んでいてもよい。
【0074】
第一はく離ライナー310は、粘着剤層110を保護する。第一はく離ライナー310は、任意の適切な樹脂フィルムで形成される。樹脂フィルムの主成分となる樹脂の具体例としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、変性セルロース、ポリスチレン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、および部分芳香族ポリアミドが挙げられる。変性セルロースとしては、例えばトリアセチルセルロース(TAC)が挙げられる。粘着剤の塗布および乾燥に耐え得る耐熱性を得る観点から、樹脂フィルムはPET、COP等を含むことが好ましい。樹脂フィルムの材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。また、樹脂フィルムには、耐熱性、機械的強度等を向上させる観点から、フィラーが配合されていてもよい。
【0075】
第一はく離ライナー310における粘着剤層110との接触面には、離型処理層が設けられていてもよい。離型処理層を形成する離型処理剤としては、例えば、シリコーン系離型処理剤、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキルアクリレート系離型処理剤が挙げられる。離型処理剤は、単独でまたは組み合わせて使用できる。離型処理層の厚みは、代表的には50nm以上400nm以下である。
【0076】
第一はく離ライナー310の厚みは、代表的には5μm以上、好ましくは20μm以上であり、代表的には60μm以下、好ましくは45μm以下である。なお、離型処理層が設けられている場合、第一はく離ライナーの厚みは、離型処理層の厚みを含めた厚みである。
【0077】
第一はく離ライナー310は、検査の前に剥離除去されることから、高い透明性を有する必要がない。第一はく離ライナーの全光線透過率は、例えば95%以下、また例えば90%以下または80%以下であってよく、その下限値は特に制限されず、例えば50%以上であってよい。
【0078】
第一はく離ライナー310の粘着剤層110に対する剥離力(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)は、例えば0.001N/50mm以上、好ましくは0.004N/50mm以上であり、例えば0.5N/50mm以下、好ましくは0.1N/50mm以下である。
【0079】
第一中間体フィルム410は、任意の適切な方法で得ることができる。1つの実施形態において、第一中間体フィルム410は、第一はく離ライナー310と粘着剤層110との積層体を準備すること、および、当該積層体を粘着剤層110によって偏光部材10と貼り合わせることを含む方法によって得ることができる。例えば、粘着剤層110は、第一はく離ライナー310上に粘着剤を塗布し、塗布層を乾燥させることによって形成され、これにより得られた第一はく離ライナー310と粘着剤層110との積層体を粘着剤層110によって偏光部材10に貼り合わせることで第一中間体フィルム410を得ることができる。また例えば、基材上に粘着剤を塗布し、塗布層を乾燥させることによって粘着剤層110を形成し、第一はく離ライナー310に転写した後に、偏光部材10と貼り合わせることで第一中間体フィルム410を得ることができる。
【0080】
上記塗布層の乾燥温度は、好ましくは40℃以上であり、例えば50℃以上、70℃以上、100℃以上、または130℃以上であり、例えば200℃以下である。乾燥時間は、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上であり、例えば1200秒以下である。粘着剤が架橋剤を含む場合、上記乾燥の間に架橋反応を十分に進行させることができる。表面保護フィルム付はく離ライナーに粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する場合、乾燥時の熱によって表面保護フィルムが劣化(変性、変形等)し得る。これに対し、本発明の実施形態による粘着剤層付光学積層体の製造方法によれば、基材(例えば、第一はく離ライナー)上で別途に形成された粘着剤層に対して表面保護フィルム付はく離ライナーを貼り合わせることから、上記表面保護フィルムの劣化の問題を生じさせることがない。
【0081】
C-1-2.工程A-2a
工程A-2aにおいては、
図3(b)および(c)に示すように、第一中間体フィルム410から第一はく離ライナー310を剥離し、露出した粘着剤層110に第二はく離ライナー320とその片面に配置された表面保護フィルム330とを有する表面保護フィルム付はく離ライナー350を貼り合わせて、第二中間体フィルム420を得る。
【0082】
第一中間体フィルム410からの第一はく離ライナー310の剥離は、例えば、フィルム剥離装置を用いて行われる。表面保護フィルム付はく離ライナー350の貼り合わせは、好ましくは、第一はく離ライナー310の剥離と連続して行われる。第一はく離ライナーの剥離後すぐに表面保護フィルム付はく離ライナーの貼り合わせを行うことにより、粘着剤層表面への異物の付着が好適に防止され得る。
【0083】
第二はく離ライナー320は、任意の適切な樹脂フィルムで形成される。樹脂フィルムの主成分となる樹脂の具体例としては、第一はく離ライナーに関して例示したものが同様に例示できる。欠点検査に適した高い透明性を得る観点から、樹脂フィルムはCOP、PET等を含むことが好ましい。樹脂フィルムの材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0084】
上記樹脂フィルムは、好ましくは、フィラーを含有しないか、または、実質的に含有しない。このような樹脂フィルムは、透明性に優れ、フィラーに起因する欠点の誤検出が抑制される。なお、樹脂フィルムがフィラーを実質的に含有しないとは、樹脂フィルムにおけるフィラーの含有割合が0.05重量%以下であることをいう。また、樹脂フィルムがフィラーを含有する場合、当該フィラーは、好ましくはナノフィラーである(ナノフィラーとは、最大長さ100nm以下の粒子をいう)。
【0085】
第二はく離ライナー320における粘着剤層110との接触面には、離型処理層が設けられていてもよい。離型処理層を形成する離型処理剤および離型処理層の厚みとしては、第一はく離ライナーと同様の説明が適用できる。
【0086】
第二はく離ライナー320の厚みとしては、第一はく離ライナーと同様の説明が適用できる。
【0087】
第二はく離ライナー320は、粘着剤層付光学積層体とともに検査に供されることから透明性に優れることが好ましい。第二はく離ライナーの全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上である。
【0088】
第二はく離ライナー320の粘着剤層110に対する剥離力(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)は、例えば0.01N/50mm以上、好ましくは0.02N/50mm以上、より好ましくは0.04N/50mm以上であり、例えば0.5N/50mm以下、好ましくは0.2N/50mm以下、より好ましくは0.1N/50mm以下である。上記剥離力が0.01N/50mm未満であると、工程A-4aにおいて表面保護フィルムを剥離する際に、第二はく離ライナーも共に剥離してしまう場合がある。上記剥離力が0.5N/50mmを超えると、粘着剤層付光学積層体を使用に供する際の第二はく離ライナーの剥離作業性が低下する場合がある。
【0089】
表面保護フィルム330は、第二はく離ライナーが粘着剤層付光学積層体とともに検査に供されるまでの間、第二はく離ライナー表面に異物が付着することを防止する。
【0090】
表面保護フィルム330の第二はく離ライナー320に対する剥離力(密着力)(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)は、例えば0.005N/50mm以上、好ましくは0.007N/50mm以上、より好ましくは0.01N/50mm以上であり、例えば0.095N/50mm以下、好ましくは0.07N/50mm以下、より好ましくは0.05N/50mm以下である。表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力が0.005N/50mm未満であると、工程A-2aにおいて表面保護フィルム付はく離ライナー350を粘着剤層110に貼り合わせる際に、表面保護フィルム330が第二はく離ライナー320から浮いてしまう場合がある。表面保護フィルム330の第二はく離ライナー320に対する剥離力が0.095N/50mmを超えると、工程A-4aにおいて表面保護フィルム330を剥離する際に、第二はく離ライナー320も共に剥離してしまう場合がある。
【0091】
表面保護フィルム330の第二はく離ライナー320に対する剥離力X(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)と第二はく離ライナー320の粘着剤層110に対する剥離力Y(剥離角度180°、剥離速度300mm/分)とは、例えば0.2<X/Y<1の関係を満たし、好ましくは0.25<X/Y<0.7の関係を満たす。これにより、工程A-2aにおける表面保護フィルムの浮きの問題および工程A-4aにおける第二はく離ライナーの剥離の問題を好適に防止することができる。
【0092】
表面保護フィルム330は、検査の前に剥離除去されることから、高い透明性を有する必要がない。表面保護フィルムの全光線透過率は、例えば95%以下、また例えば90%以下または80%以下であってよく、その下限値は特に制限されず、例えば60%以上であってよい。
【0093】
表面保護フィルム330としては、例えば、粘着剤等の付着手段を用いることなくそれ自身が備えた粘着性によって被着体に付着可能なフィルム(以下、自己粘着性フィルム)、または、基材とその片面に設けられた粘着剤層とを有する粘着フィルムが用いられる。自己粘着性フィルムによれば、上記剥離力を好適に得ることができる。
【0094】
自己粘着性フィルムとしては、代表的には、ポリオレフィンフィルムが用いられる。具体的には、自己粘着性フィルムは、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物から構成される。ここで、ポリエチレンには、エチレンのホモポリマーおよびエチレンと他のオレフィンとの共重合体が含まれる。ポリプロピレンには、プロピレンのホモポリマーおよびプロピレンと他のオレフィンとの共重合体が含まれる。
【0095】
上記ポリエチレンの具体例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L-LDPE)が挙げられる。
【0096】
上記他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセンが挙げられる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、ブテンが好ましく用いられる。エチレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体の作製において、他のオレフィンの配合割合は、エチレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの合計100重量部に対し、40重量部以下であることが好ましく、より好ましくは30重量部以下であり、さらに好ましくは20重量部以下である。
【0097】
1つの実施形態においては、上記ポリオレフィンフィルムは、ポリエチレンを含むことが好ましい。具体的には、ポリオレフィンフィルムは、好ましくは、ポリエチレンフィルムまたはポリエチレンとポリプロピレンとの混合物フィルムである。ポリオレフィンフィルムがポリエチレンとポリプロピレンとの混合物を含む場合、ポリエチレンの含有割合は、ポリエチレンとポリプロピレンの合計100重量部に対し、60重量部以上97重量部以下であることが好ましく、より好ましくは70重量部以上であり、さらに好ましくは80重量部以上である。
【0098】
自己粘着性フィルム(ポリオレフィンフィルム)は、粒子、顔料、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕獲剤等の他の成分を含み得る。
【0099】
自己粘着性フィルム(ポリオレフィンフィルム)は、組成が均一な単一層であってもよいし、組成の異なる二層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造の具体例としては、組成の異なる第一層と第二層との二層構造、第一層と第二層と第三層との三層構造が挙げられる。なお、第一層と第三層とは、組成が実質的に同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、自己粘着性フィルム(ポリオレフィンフィルム)は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよいが、無延伸フィルムであることが好ましい。
【0100】
自己粘着性フィルムの表面粗さRa(第二はく離ライナーに貼り合わせる前の表面粗さRa)は、例えば0.05μm以上0.5μm以下である。
【0101】
自己粘着性フィルムの厚みは、好ましくは15μm~60μmであり、より好ましくは20μm~50μmである。
【0102】
上記粘着フィルムの基材の形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系ポリマー;ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系ポリマー;が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0103】
上記粘着フィルムの粘着剤層を構成する粘着剤としては、任意の適切な構成が採用され得る。具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、およびポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製することができる。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ベース樹脂は、好ましくはアクリル樹脂である(具体的には、粘着剤層は、好ましくはアクリル系粘着剤で構成される)。アクリル系粘着剤の詳細については、例えば、特開2013-79360号公報、特開2019-127526号公報等の記載を参照することができる。粘着剤層の厚みは、例えば5μm~30μm、好ましくは5μm~20μm、より好ましくは5μm~15μmである。
【0104】
表面保護フィルム付はく離ライナー350は、例えば、表面保護フィルム330と第二はく離ライナー320とを積層(例えば、ロールトゥロールで積層)することにより得られる。自己粘着性フィルムを表面保護フィルムとして用いる場合、自己粘着性フィルムと第二はく離ライナー320とを積層後、加温処理することにより、自己粘着性フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力を調整(例えば、増大)することができる。処理温度は、例えば40℃以上、好ましくは45℃以上、例えば60℃以下、好ましくは55℃以下である。処理時間は、所望の剥離力が得られる時間であればよく、例えば600分以上、好ましくは1200分以上、例えば48時間以下、好ましくは36時間以下である。加温処理は、表面保護フィルム付はく離ライナーに圧力をかけた状態で行われることが好ましい。例えば、ロール状に巻回された状態の表面保護フィルム付はく離ライナーを加温処理することにより、上記剥離力の増大効果が好適に得られる。
【0105】
C-1-3.工程A-3a
工程A-3aにおいては、
図3(d)および(e)に示されるように、第二中間体フィルム420の表面保護フィルム付はく離ライナー350が配置された側と反対側に第三中間体フィルム430を積層して、第四中間体フィルム440を得る。第二中間体フィルムと第三中間体フィルムとは、代表的には、接着層(例えば、粘着剤層)によって貼り合わせられる。
【0106】
第三中間体フィルム430は、第一位相差部材20と保護部材30とを有し得る。図示例において、第三中間体フィルム430は、保護部材30の第一位相差部材20が配置される側と反対側に第二表面保護フィルム360をさらに有している。第三中間体フィルムが第二表面保護フィルムを有することにより、保護部材側表面を好適に保護することができる。第二表面保護フィルムは2枚以上の表面保護フィルムが積層された構成であってもよい。第二表面保護フィルムに用いられる表面保護フィルムとしては、C-1-2項に記載したものと同様のものを用いることができる。第一位相差部材および保護部材については、B項で記載したとおりである。図示しないが、第三中間体フィルムは、好ましくは第一位相差部材の保護部材が配置される側と反対側に粘着剤層をさらに有し得る。第三中間体フィルムが粘着剤層を有することにより、第二中間体フィルムとの積層を簡便に行うことができる。偏光部材を有する第二中間体フィルムと第1のλ/4部材を有する第三中間体フィルムとは、偏光部材の吸収軸と第1のλ/4部材の遅相軸とが、例えば40°~50°、42°~48°、または約45°となるように積層され得る。
【0107】
第三中間体フィルムは、必要により接着層を介して各部材を積層することによって得ることができる。各部材の積層順序は制限されない。例えば、第三中間体フィルムは、第1のλ/4部材とポジティブCプレートとを接着層(例えば、接着剤層)を介して積層して、第一位相差部材を得ること、および、第一位相差部材の一方の側に接着層(例えば、粘着剤層)を介して保護部材を積層することを含む方法によって得ることができ、必要に応じて、第一位相差部材の他方の側に粘着剤層を積層してもよく、保護部材表面に第二表面保護フィルムを貼り合わせてもよい。
【0108】
C-1-4.工程A-4a
工程A-4aにおいては、
図3(f)に示されるように、第四中間体フィルム440から表面保護フィルム330を剥離する。これにより、粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された粘着剤層付光学積層体(「検査構成の粘着剤層付光学積層体」と称する場合がある)450を得ることができる。検査構成の粘着剤層付光学積層体450は、例えば、端部をチャッキングされて検査に供される。表面保護フィルム330を剥離して直ぐに検査に供することにより、検査への異物の持ち込みを好適に抑制することができる。
【0109】
図示例の検査構成の粘着剤層付光学積層体450は、保護部材30側に第二表面保護フィルム360が積層されているが、第二表面保護フィルム360を剥離除去後に検査に供してもよい。第二表面保護フィルム360が2枚以上の表面保護フィルムを含む場合、外側の表面保護フィルムを剥離除去し、内側の表面保護フィルムが積層された状態で検査に供してもよい。
【0110】
C-1-5.工程Aの変形例
工程Aは、粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された粘着剤層付光学積層体が得られる限りにおいて、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、第三中間体フィルムが第一位相差部材と保護部材とを有していたが、第一位相差部材を有する中間体フィルムと保護部材を有する中間体フィルムとを別々に準備して、第一中間体フィルムにこれらを順次積層してもよい。
【0111】
別の実施形態において、工程Aは、
図4に示すように、
光学積層体100とその片面に配置された粘着剤層110とを有する粘着剤層付光学積層体200と、粘着剤層付光学積層体200の粘着剤層110側表面に配置された第一はく離ライナー310と、を有する第五中間体フィルム460を準備する工程A-1b、
第五中間体フィルム460から第一はく離ライナー310を剥離する工程A-2b、
第二はく離ライナー320とその片面に配置された表面保護フィルム330とを有する表面保護フィルム付はく離ライナー350を、第二はく離ライナー320が上記剥離面に接するように粘着剤層付光学積層体200に貼り合わせて、第六中間体フィルム470を得る工程A-3b、および
第六中間体フィルム470から表面保護フィルム330を剥離する工程A-4b、
を含み得る。
本実施形態において、粘着剤層付光学積層体200は、各部材を任意の適切な順序で積層することによって得られ得る。例えば、長尺方向または幅方向に吸収軸を有する長尺状の偏光部材および長尺方向に対して斜め方向に遅相軸を有する長尺状の第1のλ/4部材を用いること、あるいは、長尺方向に対して斜め方向に吸収軸を有する長尺状の偏光部材および長尺方向または幅方向に遅相軸を有する長尺状の第1のλ/4部材を用いること等によって、ロールトゥロールで粘着剤層付光学積層体を作製することができる。
本発明の効果を好適に得る観点から、本実施形態においても、表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力X、第二はく離ライナーの粘着剤層に対する剥離力Y、および、剥離力Xと剥離力Yとの比は上述した範囲であることが好ましい。
【0112】
C-2.工程B
工程Bにおいては、粘着剤層表面に第二はく離ライナーが配置された状態で粘着剤層付光学積層体を検査する。換言すれば、上記検査構成の粘着剤層付光学積層体450を検査する。例えば、粘着剤層付光学積層体における欠点の有無を検査し、粘着剤層付光学積層体を良品と不良品とに判定する。欠点検査は、任意の適切な欠点検査装置によって実施される。欠点検査装置としては、公知の欠点検査装置を用いることができ、好ましくは自動光学検査(AOI)装置が用いられる。欠点検査装置が記載される文献として、例えば、国際公開第2011/148790号、特開2003-344302号公報、特開2011-226957号公報、特開2016-70856号公報、特開2021-135219号公報が挙げられる。欠点検査は、必要に応じて目視検査をさらに含んでもよい。検査構成の粘着剤層付光学積層体の第二はく離ライナー表面に付着した10μm以上の径を有する異物の数は、例えば300個/枚以下であり、好ましくは200個/枚以下であり、より好ましくは100個/枚以下である。なお、検査構成の粘着剤層付光学積層体のサイズは、特に制限されないが、例えば20,000mm2以上、また例えば50,000mm2以上であり、例えば100,000mm2以下、また例えば70,000mm2以下である。
【0113】
1つの実施形態では、
図5に示すように、検査構成の粘着剤層付光学積層体450の主面における検査有効範囲を、最終製品のサイズに基づく複数の仮想エリアEに区画し、複数の仮想エリアEにおける欠点の有無を検査する。検査される欠点のサイズは、代表的には、5μm以上300μm以下、5μm以上200μm以下、または5μm以上100μm以下である。
次いで、複数の仮想エリアEのうち欠点が含まれる仮想エリアの割合(欠点が含まれる仮想エリアの数/複数の仮想エリアの総数×100;以下、欠点占有率とする。)が、所定範囲内である場合に良品と判定し、所定範囲外である場合に不良品と判定する。
欠点占有率の上限は、良品と不良品との判定基準であり、例えば10%以下、好ましくは5%以下である。また、欠点占有率の下限は、例えば0%以上である。
良品と不良品との判定基準が上記の上限値であると、欠点を有する最終製品が製造される割合をより一層低減できる。
なお、不良品と判定された粘着剤層付光学積層体は、排除(代表的には廃棄)され得る。
【0114】
上記検査において良品と判定された粘着剤層付光学積層体は、例えば、打ち抜き工程に送られ、所定サイズに打ち抜かれる。これにより、最終製品としての粘着剤層付光学積層体片(より具体的には、第二はく離ライナーで粘着剤層が保護された状態の粘着剤層付光学積層体片)が得られる。打ち抜きは、代表的には、検査における複数の仮想エリアの区画線に沿って行われる。
【実施例0115】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、厚みは下記の測定方法により測定した値である。
<厚み>
10μm以下の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、製品名「JSM-7100F」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
<全光線透過率>
分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、製品名「U4100」)を用いて測定した。
<剥離力>
[表面保護フィルム付はく離ライナー1~4]
(1-1)表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力
製造例6で得た第一はく離ライナーとその片面に形成された粘着剤層1との積層体を粘着剤層1を介してSUS板(SUS304BA)に貼り合わせて固定し、次いで、第一はく離ライナーを剥離して粘着剤層1を露出させた。50mm×150mmのサイズに裁断した表面保護フィルム付はく離ライナーを、第二はく離ライナー側表面が粘着剤層1に接するように貼り合わせた。万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、23℃65%RHの環境下、剥離速度300mm/分、剥離角度180度にて、表面保護フィルムを第二はく離ライナーから剥離したときの剥離力を測定した。
(1-2)第二はく離ライナーの粘着剤層1に対する剥離力
上記(1-1)の測定後、剥離速度300mm/分、剥離角度180度にて、第二はく離ライナーを粘着剤層1から剥離したときの剥離力を測定した。
[表面保護フィルム付はく離ライナー5~7]
(2-1)表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力
表面保護フィルム付はく離ライナーを50mm×150mmのサイズに裁断し、両面テープを介して第二はく離ライナー側をSUS板(SUS304BA)に貼り合わせて固定した。上記(1-1)と同様にして、表面保護フィルムを第二はく離ライナーから剥離したときの剥離力(剥離速度300mm/分、剥離角度180度)を測定した。
(2-2)第二はく離ライナーの粘着剤層1に対する剥離力
上記(1-1)と同様にして、粘着剤層1をSUS板(SUS304BA)に固定し、50mm×150mmのサイズに裁断した表面保護フィルム付はく離ライナーを、第二はく離ライナー側表面が粘着剤層1に接するように貼り合わせた。上記(1-1)と同様にして、粘着剤層1から表面保護フィルム付はく離ライナーを剥離したときの剥離力(剥離速度300mm/分、剥離角度180度)を測定した。
<面内位相差>
王子計測機器社製「KOBRA-WPR」を用いて、23℃における面内位相差を測定した。
【0116】
[製造例1A:表面保護フィルム付はく離ライナー1]
表面保護フィルムとして、自己粘着性フィルム(東レ社製、「トレテック7832C」、厚み50μm、全光線透過率90%)を用い、第二はく離ライナーとして、離型処理層を有するPETフィルム(東レ社製、「セラピール」、全光線透過率92%)を用いた。
23.5℃、3.0MPaの圧着条件下で、表面保護フィルムの片面(粘着面)に、第二はく離ライナーを積層して、表面保護フィルム付はく離ライナー1を得た。このとき、離型処理層面と反対面が表面保護フィルム側となるように第二はく離ライナーを積層した。
【0117】
[製造例1B:表面保護フィルム付はく離ライナー2]
表面保護フィルムとして、自己粘着性フィルム(東レ社製、「トレテック7832C」、厚み30μm、全光線透過率90%)を用いたこと、および、表面保護フィルムと第二はく離ライナーとを積層して得られた長尺状の積層体をロールに巻き取った状態で50℃の加温庫で24時間加温したこと以外は製造例1Aと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー2を得た。
【0118】
[製造例1C:表面保護フィルム付はく離ライナー3]
表面保護フィルムとして、自己粘着性フィルム(東レ社製、「トレテック7832C」、厚み50μm、全光線透過率90%)を用いたこと以外は製造例1Bと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー3を得た。
【0119】
[製造例1D:表面保護フィルム付はく離ライナー4]
表面保護フィルムとして、自己粘着性フィルム(東レ社製、「トレテック7832C」、厚み30μm、全光線透過率90%)を用いたこと以外は製造例1Aと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー4を得た。
【0120】
[製造例1E:表面保護フィルム付はく離ライナー5]
表面保護フィルムとして、下記のようにして作製したPET基材とアクリル系粘着剤層とを有する粘着フィルム1(基材厚み38μm、粘着剤層厚み20μm、全光線透過率89%)を用いて、その粘着剤層面に、第二はく離ライナーを積層したこと以外は製造例1Aと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー5を得た。
<粘着フィルム1の作製>
温度計、攪拌機、冷却器および窒素ガス導入管を備える反応容器内に、モノマー成分として、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100重量部およびヘキシルアクリレート4重量部、ならびに重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を酢酸エチル150重量部とともに仕込み、23℃で緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換を行った。その後、液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリルポリマーAの溶液(濃度40重量%)を調製した。アクリルポリマーAの重量平均分子量は53万であった。
アクリルポリマーAの溶液に酢酸エチルを加えて濃度20重量%に希釈した。この溶液500重量部(固形分100重量部)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製「コロネートHX」)4重量部、および界面活性剤(第一工業製薬社製「アクアロンHS-10」)0.2重量部を加えて攪拌し、粘着剤組成物Aを調製した。
基材(PETフィルム、三菱ケミカル社製、品番T100C38、厚み38μm)の表面(コロナ処理面)に、粘着剤組成物Aを塗布し、その後乾燥させて粘着剤層(厚み20μm)を形成した。
【0121】
[製造例1F:表面保護フィルム付はく離ライナー6]
表面保護フィルムとして、下記のようにして作製したPET基材とアクリル系粘着剤層とを有する粘着フィルム2(基材厚み38μm、粘着剤層厚み5μm、全光線透過率89%)を用いて、その粘着剤層面に、第二はく離ライナーを積層したこと以外は製造例1Aと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー6を得た。
<粘着フィルム2の作製>
温度計、攪拌機、冷却器および窒素ガス導入管を備える反応容器内に、モノマー成分として、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)96.2重量部およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA)3.8重量部、ならびに重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を酢酸エチル150重量部とともに仕込み、23℃で緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換を行った。その後、液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリルポリマーBの溶液(濃度40重量%)を調製した。アクリルポリマーBの重量平均分子量は54万であった。
アクリルポリマーBの溶液に酢酸エチルを加えて濃度20重量%に希釈した。この溶液500重量部(固形分100重量部)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製「コロネートHX」)4重量部、および架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)3重量部(固形分0.03重量部)を加えて攪拌し、粘着剤組成物Bを調製した。
基材(PETフィルム、三菱ケミカル社製、品番T100C38、厚み38μm)の表面(コロナ処理面)に粘着剤組成物Bを塗布し、その後乾燥させて粘着剤層(厚み5μm)を形成した。
【0122】
[製造例1G:表面保護フィルム付はく離ライナー7]
片面にコロナ処理を行った自己粘着性フィルム(東レ社製、「トレテック7832C」、厚み50μm、全光線透過率90%)のコロナ処理面に、第二はく離ライナーを積層したこと以外は製造例1Aと同様にして、表面保護フィルム付はく離ライナー7を得た。
【0123】
[製造例2:偏光フィルム1]
厚み30μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(クラレ社製、製品名「PE3000」)の長尺ロールを、ロール延伸機により長手方向に5.9倍になるように長手方向に一軸延伸しながら同時に膨潤、染色、架橋、洗浄処理を施し、最後に乾燥処理を施すことにより厚み12μmの吸収型偏光膜を作製した。
具体的には、膨潤処理は20℃の純水で処理しながら2.2倍に延伸した。次いで、染色処理は得られる吸収型偏光膜の単体透過率が45.0%になるようにヨウ素濃度が調整されたヨウ素とヨウ化カリウムの重量比が1:7である30℃の水溶液中において処理しながら1.4倍に延伸した。更に、架橋処理は、2段階の架橋処理を採用し、1段階目の架橋処理は40℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.2倍に延伸した。1段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は5.0重量%で、ヨウ化カリウム含有量は3.0重量%とした。2段階目の架橋処理は65℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.6倍に延伸した。2段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は4.3重量%で、ヨウ化カリウム含有量は5.0重量%とした。また、洗浄処理は、20℃のヨウ化カリウム水溶液で処理した。洗浄処理の水溶液のヨウ化カリウム含有量は2.6重量%とした。最後に、乾燥処理は70℃で5分間乾燥させて吸収型偏光膜を得た。
得られた吸収型偏光膜の一方の面にハードコート層付トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂フィルム(TAC厚み:25μm、HC層厚み:7μm)を、他方の面にシクロオレフィン系樹脂フィルム(厚み:13μm)を、それぞれ保護層として貼り合わせた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約1μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をTACフィルム側から照射して接着剤を硬化させた。
これにより、[HC付TACフィルム/吸収型偏光膜/COPフィルム]の構成を有する偏光フィルム1(厚み57μm)を得た。
【0124】
[製造例3:λ/4部材1]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン29.60重量部(0.046mol)、イソソルビド(ISB)29.21重量部(0.200mol)、スピログリコール(SPG)42.28重量部(0.139mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)63.77重量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2重量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネート系樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
【0125】
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの長尺状の樹脂フィルムを作製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向に、延伸温度143℃、延伸倍率2.8倍で延伸した。これにより、厚み47μmの延伸フィルム(λ/4部材1)を得た。λ/4部材1のRe(590)は143nmであり、Re(450)/Re(550)は0.86であり、Nz係数は1.12であった。
【0126】
[製造例4:ポジティブCプレート1]
下記化学式(1)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、垂直配向処理を施したPET基材に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、厚みが4μm、Rth(550)が-100nmのポジティブCプレート1を基材上に形成した。
【化1】
【0127】
[製造例5:保護部材1]
ラクトン環構造を有するアクリルフィルムに、下記に示す反射防止層形成材料を塗布して80℃で1分間加熱し、加熱後の塗布層に高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚み4μmの反射防止層を形成した。これにより、[アクリルフィルム/反射防止層]の構成を有する保護部材1(厚み44μm)を得た。
【0128】
(反射防止層形成材料)
ペンタエリストールトリアクリレートを主成分とする多官能アクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名「ビスコート#300」、固形分100重量%)100重量部、中空ナノシリカ粒子(日揮触媒化成工業株式会社製、商品名「スルーリア5320」、固形分20重量%、重量平均粒子径75nm)150重量部、中実ナノシリカ粒子(日産化学工業株式会社製、商品名「MEK-2140Z-AC」、固形分30重量%、重量平均粒子径10nm)50重量部、フッ素元素含有添加剤(信越化学工業株式会社製、商品名「KY-1203」、固形分20重量%)12重量部、および光重合開始剤(BASF社製、商品名「OMNIRAD907」、固形分100重量%)3重量部を混合した。その混合物に、希釈溶媒としてTBA(ターシャリーブチルアルコール)、MIBK(メチルイソブチルケトン)およびPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を60:25:15重量比で混合した混合溶媒を添加して全体の固形分が4重量%となるようにし、攪拌して反射防止層形成材料を調製した。
【0129】
[製造例6:粘着剤層1]
(アクリル系ポリマー1)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート80.3部、フェノキシエチルアクリレート16部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)3部、アクリル酸0.3部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.4部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、上記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー1の溶液を調製した。アクリル系ポリマー1の重量平均分子量は150万であった。
【0130】
<粘着剤溶液1>
アクリル系ポリマー1の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO:日本油脂社製のナイパーBMT)を0.3部混合してアクリル系粘着剤溶液1を調製した。
【0131】
<粘着剤層1>
アクリル系粘着剤溶液1を、第一はく離ライナーとしての離型処理層を有するPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、「MRF38」、全光線透過率86%)の離型処理層面に塗布し、155℃で3分間乾燥および架橋処理を行い、長尺状の第一はく離ライナー上に乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層1を形成した。
【0132】
[実施例1]
上記偏光フィルム1のCOPフィルム側に上記粘着剤層1と第一はく離ライナーとの積層体をロールトゥロールで貼り合わせて、[第1はく離ライナー/粘着剤層1/偏光フィルム1]の構成を有する長尺状の第一中間体フィルム1を得た(工程A-1a)。
第一中間体フィルム1から第一はく離ライナーを剥離し、露出した粘着剤層1に上記表面保護フィルム付はく離ライナー1を第二はく離ライナーが粘着剤層1側となるようにロールトゥロールで貼り合わせた。表面保護フィルム付はく離ライナー1の貼り合わせはニップロール圧3.0MPaの条件で行った。これにより、[表面保護フィルム付はく離ライナー1/粘着剤層1/偏光フィルム1]の構成を有する長尺状の第二中間体フィルム1を得た(工程A-2a)。
上記λ/4部材1に紫外線硬化型接着剤(硬化後の厚み1μm)を介して上記ポジティブCプレート1を貼り合わせ、次いで基材を剥離除去して、位相差部材1を得た。
位相差部材1のλ/4部材1側に基材上に積層されたアクリル系粘着剤層(厚み15μm)を基材ごと貼り合わせた。
次いで、位相差部材1のポジティブCプレート1側にアクリル系粘着剤層(厚み12μm)を介して上記保護部材1を貼り合わせた。このとき、保護部材1のアクリルフィルム側表面が位相差部材1側になるように(換言すると、反射防止層が最表面となるように)貼り合わせた。
上記貼り合わせはロールトゥロールで行い、これにより、[基材/アクリル系粘着剤層/λ/4部材1/ポジティブCプレート1/保護部材1]の構成を有する長尺状の第三中間体フィルム1を得た。
長尺状の第二中間体フィルム1および第三中間体フィルム1をそれぞれ、371.87mm×236.58mmのサイズに打ち抜いて枚葉フィルムを得た。第二中間体フィルム1は、枚葉フィルムの長辺方向が長手方向と平行となるように打ち抜いた。第三中間体フィルム1は長辺方向が長手方向と45°の角度をなすように打ち抜いた。
枚葉の第三中間体フィルム1から基材を剥離してアクリル系粘着剤層を露出させ、枚葉の第二中間体フィルム1の偏光部材側に貼り合わせた。これにより、[表面保護フィルム付はく離ライナー1/粘着剤層1/偏光フィルム1/λ/4部材1/ポジティブCプレート1/保護部材1]の構成を有する第四中間体フィルム1を得た(工程A-3a)。第四中間体フィルム1において、吸収型偏光膜の吸収軸とλ/4部材1の遅相軸とのなす角度は45°であった。
次いで、第四中間体フィルム1から表面保護フィルムを剥離して、検査構成の粘着剤層付光学積層体1(具体的には、[第二はく離ライナー/粘着剤層1/偏光フィルム1/λ/4部材1/ポジティブCプレート1/保護部材1]の構成を有する粘着剤層付光学積層体)を得た(工程A-4a)。
【0133】
[実施例2]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体2を得た。
【0134】
[実施例3]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体3を得た。
【0135】
[実施例4]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体4を得た。
【0136】
[実施例5]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体5を得た。
【0137】
[実施例6]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体6を得た。
【0138】
[実施例7]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに表面保護フィルム付はく離ライナー7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体7を得た。
【0139】
[比較例1]
表面保護フィルム付はく離ライナー1の代わりに第二はく離ライナーを単独で用い、工程A-4aを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、検査構成の粘着剤層付光学積層体C1を得た。
【0140】
上記実施例および比較例で得られた検査構成の粘着剤層付光学積層体1~7およびC1について、下記評価を行った。評価結果を、各表面保護フィルム付はく離ライナーにおける表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力X、および、当該剥離力Xと第二はく離ライナーの粘着剤層1に対する剥離力Yとの比(X/Y)とともに表1に示す。なお、剥離力Yは0.05N/50mmであった。
≪異物付着性≫
検査構成の粘着剤層付光学積層体1~7およびC1の第二はく離ライナー表面を光学顕微鏡で20倍の倍率で観察し、45mm×50mmの領域における異物の数およびサイズを計測し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〇(良):サイズ50μm以上の異物が10個未満である
×(不良):サイズ50μm以上の異物が10個以上である
≪はく離ライナー貼り替え時の表面保護フィルムの浮き評価≫
実施例1~7および比較例1において同じ操作を各々、計20回実施し、第一中間体フィルムから第一はく離ライナーを剥離し、剥離面に表面保護フィルム付はく離ライナーを貼り合わせる際に第二はく離ライナーと表面保護フィルムとの間の浮きが発生した回数を計測し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〇(良):20回のすべてにおいて、浮きが発生しなかった
△(可):20回中の一部において、浮きが発生した
×(不良):20回のすべてにおいて、浮きが発生した
≪表面保護フィルム剥離時の第二はく離ライナーの剥離評価≫
実施例1~7および比較例1において同じ操作を各々、計20回実施し、第四中間体フィルムから表面保護フィルムを剥離する際に第二はく離ライナーも一緒に剥離した回数を計測し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〇(良):20回のすべてにおいて、表面保護フィルムだけを剥離できた
△(可):20回中の一部において、第二はく離ライナーが表面保護フィルムとともに剥離した
×(不良):20回のすべてにおいて、第二はく離ライナーが表面保護フィルムとともに剥離した
【0141】
【0142】
表1に示されるように、検査構成の粘着剤層付光学積層体を作製する間に、粘着剤層を保護する第一はく離ライナーを表面保護フィルム付はく離ライナーに貼り替え、表面保護フィルムのみを剥離除去することにより、第二はく離ライナーへの異物の付着を抑制することができ、結果として、検査時における欠点の誤検出を抑制することができる。
【0143】
さらに、表面保護フィルムの第二はく離ライナーに対する剥離力X、および、当該剥離力Xと第二はく離ライナーの粘着剤層に対する剥離力Yとの比を調整することにより、第一はく離ライナーと表面保護フィルム付はく離ライナーとの貼り替え時における表面保護フィルムの浮きの問題および表面保護フィルム剥離時における第二はく離ライナーの剥離の問題を好適に防止することができることがわかる。
【0144】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
2 表示システム、10 偏光部材、12 表示素子、14 反射型偏光部材、16 第一レンズ部、18 ハーフミラー、20 第一位相差部材、22 第二位相差部材、24 第二レンズ部、100 光学積層体、110 粘着剤層、200 粘着剤層付光学積層体、310 第一はく離ライナー、320 第二はく離ライナー、330 表面保護フィルム、350 表面保護フィルム付はく離ライナー、410 第一中間体フィルム、420 第二中間体フィルム、430 第三中間体フィルム、440 第四中間体フィルム、450 検査構成の粘着剤層付光学積層体、460 第五中間体フィルム、470 第六中間体フィルム