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特開2024-134373情報処理装置及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134373
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0633 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q10/0633
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044636
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷崎 光祐
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】ユーザが操作する電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザに通知しない場合に比して、電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザが容易に把握可能とする。
【解決手段】学習モデル34は、電子文書の状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子文書に対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子文書の状態に基づいて当該電子文書に対して行うべき操作を予測して出力するように学習される。推薦操作特定部46は、対象電子文書の状態を示す状態情報を取得し、学習済みの学習モデル34に対象電子文書の状態情報を入力する。推薦操作特定部46は、学習モデル34の出力データに基づいて、推薦操作を特定する。通知部48は、対象電子文書を操作するユーザに対して、推薦操作特定部46が特定した推薦操作を通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力することで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定し、
前記推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサは、
前記ユーザが前記対象コンテンツに対して操作をした後に、当該操作後の前記対象コンテンツの状態を示す状態情報を学習済みの前記学習モデルに入力することで、当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を特定し、
当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習モデルは、複数の推薦操作、及び、各前記推薦操作の予測精度を出力し、
前記プロセッサは、
前記複数の推薦操作を、各推薦操作の前記予測精度に応じた態様で前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記ユーザが前記推薦操作を行うに先立って、前記推薦操作が実行された後の前記対象コンテンツの状態である操作後状態を予測し、
前記操作後状態を示す操作後状態情報を前記学習モデルに入力することで、前記操作後状態の前記対象コンテンツに対して行うべき操作である後続推薦操作を特定し、
前記後続推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記推薦操作の内容に基づいて、当該推薦操作を行う前の前記状態情報を書き換えることによって、前記操作後状態情報を取得する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記後続推薦操作が前記ユーザによって選択されたことに応じて、前記対象コンテンツの状態を前記後続推薦操作の対象となる前記操作後状態とする前記推薦操作に係る処理、及び、前記後続推薦操作に係る処理を、順次、前記対象コンテンツに対して実行するよう、画面の表示を制御する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
操作と当該操作の種別とが関連付けられた操作種別情報に基づいて、前記推薦操作に応じた態様で前記推薦操作を表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記状態情報は、複数の状態項目を含み、
前記プロセッサは、
前記対象コンテンツの第1状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データと、第1状態情報が有する複数の状態項目のうちの1つの値を変化させて得られた第2状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データとの差分に基づいて、各前記状態項目についての、前記推薦操作の特定に寄与した度合いを示す寄与度を演算し、
各前記状態項目の前記寄与度に基づいて、前記推薦操作の特定に寄与した前記状態項目をユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力させることで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定させ、
前記推薦操作を前記ユーザに通知させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、活動記録(例えば営業記録)から抽出されたキーワードに基づいて、当該活動記録に関連する推奨アイテム(例えば営業に係る商品)を選出する情報処理装置が開示されている。特許文献2には、ユーザの行動又は状況に関連する関連文書から抽出された単語に基づいて、当該ユーザによる検索の際に用いられるキーワードとして記憶する検索支援システムが開示されている。特許文献3には、複数の電子文書が同時に使われた頻度に応じた各電子文書間の関連度スコアに基づいて、ユーザが選択した電子文書に対する関連度スコア順に、複数の電子文書を表示させる情報検索装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-042882号公報
【特許文献2】特許第5954053号公報
【特許文献3】特開2013-122701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが電子コンテンツに対して操作を行うにあたり、当該電子コンテンツに対して行うことができる操作が複数ある場合、ユーザが電子コンテンツに対して行うべき操作を選択することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが操作する電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザに通知しない場合に比して、電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザが容易に把握可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力することで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定し、前記推薦操作を前記ユーザに通知する、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、プロセッサは、前記ユーザが前記対象コンテンツに対して操作をした後に、当該操作後の前記対象コンテンツの状態を示す状態情報を学習済みの前記学習モデルに入力することで、当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を特定し、当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を前記ユーザに通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記学習モデルは、複数の推薦操作、及び、各前記推薦操作の予測精度を出力し、前記プロセッサは、前記複数の推薦操作を、各推薦操作の前記予測精度に応じた態様で前記ユーザに通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、前記ユーザが前記推薦操作を行うに先立って、前記推薦操作が実行された後の前記対象コンテンツの状態である操作後状態を予測し、前記操作後状態を示す操作後状態情報を前記学習モデルに入力することで、前記操作後状態の前記対象コンテンツに対して行うべき操作である後続推薦操作を特定し、前記後続推薦操作を前記ユーザに通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、前記推薦操作の内容に基づいて、当該推薦操作を行う前の前記状態情報を書き換えることによって、前記操作後状態情報を取得する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、前記後続推薦操作が前記ユーザによって選択されたことに応じて、前記対象コンテンツの状態を前記後続推薦操作の対象となる前記操作後状態とする前記推薦操作に係る処理、及び、前記後続推薦操作に係る処理を、順次、前記対象コンテンツに対して実行するよう、画面の表示を制御する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、操作と当該操作の種別とが関連付けられた操作種別情報に基づいて、前記推薦操作に応じた態様で前記推薦操作を表示部に表示させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項8に係る発明は、前記状態情報は、複数の状態項目を含み、前記プロセッサは、前記対象コンテンツの第1状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データと、第1状態情報が有する複数の状態項目のうちの1つの値を変化させて得られた第2状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データとの差分に基づいて、各前記状態項目についての、前記推薦操作の特定に寄与した度合いを示す寄与度を演算し、各前記状態項目の前記寄与度に基づいて、前記推薦操作の特定に寄与した前記状態項目をユーザに通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に係る発明は、コンピュータに、電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力させることで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定させ、前記推薦操作を前記ユーザに通知させる、ことを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1又は9に係る発明によれば、ユーザが操作する電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザに通知しない場合に比して、電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザが容易に把握することができる。
請求項2に係る発明によれば、ユーザの操作に応じた対象コンテンツの状態の変化に応じて、ユーザに通知する推薦操作を動的に変更することができる。
請求項3に係る発明によれば、ユーザは、複数の推薦操作の予測精度を把握することができる。
請求項4又は5に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作を行うに先立って、後続推薦操作を把握することができる。
請求項6に係る発明によれば、対象コンテンツに対して推薦操作及び後続推薦操作を順次行う場合に比して、対象コンテンツに対して推薦操作に係る処理及び後続推薦操作に係る処理を実行させるためのユーザの手間を低減することができる。
請求項7に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作の種別を把握することができる。
請求項8に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作の特定に寄与した状態項目を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成概略図である。
図2】ユーザ端末の構成概略図である。
図3】サーバの構成概略図である。
図4】操作履歴DBの内容の例を示す概念図である。
図5】操作内容DBの内容の例を示す概念図である。
図6】推薦操作を通知する画面の第1の例を示す図である。
図7】対象電子文書に対してユーザが操作した後、操作後の対象電子文書に対する推薦操作を演算している間に表示される画面の例を示す図である。
図8】推薦操作を通知する画面の第2の例を示す図である。
図9】後続推薦操作を通知する画面の第1の例を示す図である。
図10】後続推薦操作を通知する画面の第2の例を示す図である。
図11】推薦操作の種別に応じた態様で推薦操作を通知する通知画面の例を示す図である。
図12】推薦操作の特定に寄与した状態項目を通知する通知画面の例を示す図である。
図13】本実施形態に係るサーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の構成概略図である。情報処理システム10は、ユーザが使用するユーザ端末12、及び、情報処理装置としてのサーバ14を含んで構成される。図1には、ユーザ端末12は1つのみ示されているが、情報処理システム10は、複数のユーザが使用する複数のユーザ端末12が含まれていてもよい。ユーザ端末12及びサーバ14は、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信回線16を介して互いに通信可能に接続されている。
【0010】
図2は、ユーザ端末12の構成概略図である。ユーザ端末12は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどのコンピュータであるが、これらに限られず、以下に説明する機能を発揮する限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0011】
通信インターフェース20は、例えばネットワークカードなどから構成される。通信インターフェース20は、サーバ14などの他の装置と通信する機能を発揮する。
【0012】
ディスプレイ22は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどから構成される。ディスプレイ22には、種々の画面が表示される。
【0013】
入力インターフェース24は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどから構成される。入力インターフェース24は、ユーザの指示をユーザ端末12に入力するために用いられる。
【0014】
メモリ26は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成される。メモリ26には、ユーザ端末12の各部を動作させるためのプログラムや、後述のプロセッサ28による処理に必要な種々の情報が記憶される。
【0015】
プロセッサ28は、例えばCPU(Central Processing Unit)などから構成される。プロセッサ28は、メモリ26に記憶されたプログラムによって、ユーザ端末12の各部を制御する。
【0016】
図3は、サーバ14の構成概略図である。本実施形態では、サーバ14は、電子コンテンツを管理する電子コンテンツ管理サービスをユーザに提供する装置である。本実施形態では、電子コンテンツ管理サービスが管理する電子コンテンツが電子文書である例(すなわちサーバ14が電子文書管理サービスをユーザに提供する例)について説明するが、電子コンテンツ管理サービスが管理する電子コンテンツは、電子文書には限られない。電子コンテンツ管理サービスが管理する電子コンテンツとしては、例えば、画像データや音楽データ、あるいはプログラムデータなどであってもよい。電子文書管理サービスは、ユーザから受け付けた電子文書を記憶し、ユーザからの要求に応じて当該電子文書をユーザに提供し、さらに、ユーザの操作に応じて、当該電子文書に対する処理を実行するものである。
【0017】
通信インターフェース30は、例えばネットワークカードなどから構成される。通信インターフェース30は、ユーザ端末12などの他の装置と通信する機能を発揮する。
【0018】
メモリ32は、例えばHDD、SSD、eMMC、ROM、あるいはRAMなどを含んで構成される。メモリ32には、サーバ14の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶される。なお、情報処理プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はSDカードなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。サーバ14は、そのような記憶媒体から情報処理プログラムを読み取って実行することができる。また、図3に示されるように、メモリ32には、学習モデル34、操作履歴DB(DataBase)36、及び、操作内容DB38が記憶される。
【0019】
学習モデル34は、例えば、ロジスティック回帰やXGBoostを用いた学習モデルであってよいが、以下に説明する機能を発揮する限りにおいて、その他の構造(例えばニューラルネットワークなど)を有するものであってもよい。学習モデル34は、十分に学習された場合に、電子文書の状態(詳細後述)を示す状態情報を入力データとし、当該電子文書に対してユーザが行うべき操作(詳細後述)を出力するモデルである。学習モデル34の学習方法、及び、学習済みの学習モデル34の使用方法については後述する。
【0020】
図4は、操作履歴DB36の内容の例を示す概念図である。操作履歴DB36には、電子文書管理サービスにおいて、過去に電子文書に対して行われた操作に関する情報が記憶されている。なお、本明細書における「操作」とは、ユーザが電子コンテンツ(本実施形態では電子文書)に対して行う作業を意味する。本実施形態では、電子文書に対してユーザが操作を行うと、電子文書管理サービスが当該操作に応じた処理を行う。したがって、操作履歴DB36には、電子文書管理サービスにおいて、過去における、電子文書に対して行われたユーザの操作に応じて、電子文書管理サービス(換言すれば後述のプロセッサ40)が行った処理に関する情報が記憶されている、ということもできる。
【0021】
本実施形態では、操作履歴DB36には、電子文書の状態を示す状態情報と操作IDとが互いに関連付けられて記憶されている。電子文書の「状態」とは、当該電子文書の属性、及び、当該電子文書に対してそれまでに(操作情報が示す操作が行われる前に)行われた操作を含む概念である。電子文書の「属性」には、電子文書のメタ情報として電子文書自体が有する情報、及び、電子文書管理サービスが有する当該電子文書に関する情報が含まれる。
【0022】
図4の例では、操作履歴DB36においては、電子文書を一意に識別する文書IDに対して、状態情報が関連付けられている。図4の例では、「前回操作」~「時間帯」までの項目が状態情報である。このように、本実施形態では、状態情報は複数の状態項目を含んでいる。
【0023】
図4に示された状態項目のうち、「前回操作」は、当該電子文書に対して直近に行われた操作であり、当該電子文書に対してそれまでに行われた操作を示す状態項目の1つである。それまでに行われた操作、とは、あくまで当該電子文書の状態を示すものであって、当該状態の電子文書に対して行われた操作(すなわち、後述の操作IDが示す操作)とは異なることに留意されたい。それまでに行われた操作としては、前回操作に限られず、それまでに当該電子文書に対して行われた複数の操作が含まれていてもよい。
【0024】
また、図4に示された状態項目のうち、「文書種別」~「時間帯」は、当該電子文書の属性である。属性としては、図4に示されたものの他、例えば、当該電子文書を受領した媒体(電子文書管理サービスの当該電子文書の取得経路)、当該電子文書の内容(ページ数又はデータ容量)などが含まれていてよい。もちろん、状態項目に含まれる属性としては、これらに限られるものではない。
【0025】
操作IDは、当該状態情報が示す状態の電子文書に対して過去に行われた操作を一意に識別するものである。本実施形態では、操作の内容は、操作内容DB38に記憶されている。
【0026】
図5は、操作内容DB38の内容の例を示す概念図である。操作内容DB38においては、操作IDと、当該操作の内容と、当該操作の種別とが互いに関連付けられている。すなわち、操作履歴DB36に記憶される操作IDと、操作内容DB38に記憶される内容とが、操作情報に相当する。また、操作内容DB38に記憶された情報は、操作種別情報に相当する。操作の種別とは、当該操作に係る処理が当該電子文書にもたらす効果の種類といってもよい。例えば、操作内容「署名」や「アノテーション付与」に係る処理が実行された結果、当該電子文書の内容が変化することから、操作内容「署名」や「アノテーション付与」の操作種別は「内容変更」となっている。また、操作内容「送信」に係る処理が実行された結果、当該電子文書が他人が閲覧可能な状態となることから、操作内容「送信」の操作種別は「公開」となっている。
【0027】
上述のように、操作履歴DB36において、電子文書の状態情報と操作IDとが関連付けられており、操作内容DB38において、操作IDに対して操作の内容とが関連付けられていることから、操作履歴DB36と操作内容DB38とを組み合わせることで、電子文書の状態情報と、当該状態の電子文書に対して過去に行われた操作を示す操作情報とが関連付けられている、と言える。なお、状態情報と操作情報とは、1つのDBで関連付けられていてもよい。
【0028】
操作履歴DB36には、文書管理サービスにおいて、電子文書に対してユーザの操作に応じた処理が実行される度に、当該電子文書の文書IDに対して、当該電子文書の状態情報と、当該操作の操作IDとが関連付けられて記憶される。これにより、操作履歴DB36には、電子文書の状態を示す状態情報と、当該状態の電子文書に対して行われた操作の操作IDとが蓄積される。一方、操作内容DB38は、電子文書においてユーザが可能な操作(換言すれば、ユーザの操作に応じて電子文書管理サービスが実行可能な処理)が記憶されるため、操作内容DB38は、例えば文書管理サービスの管理者などによって予め用意される。
【0029】
図3に戻り、プロセッサ40は、例えばCPU(Central Processing Unit)などから構成される。プロセッサ40は、メモリ32に記憶された情報処理プログラムによって、コンテンツ処理部42、学習処理部44、推薦操作特定部46、及び、通知部48としての機能を発揮する。
【0030】
コンテンツ処理部42は、文書管理サービスで管理している電子文書に対する種々の処理を実行する。特に、コンテンツ処理部42は、電子文書に対するユーザの操作に応じて、当該電子文書に対する処理を実行する。本実施形態では、コンテンツ処理部42は、ユーザが利用するユーザ端末12から文書管理サービスへのアクセス要求を受信すると、認証処理を実行して当該ユーザを認証する。認証処理としては既知の処理であってよく、例えば、コンテンツ処理部42は、ユーザIDとパスワードをユーザに入力させ、ユーザDB(不図示)に記憶されているユーザID及びパスワードを参照することで、当該ユーザを認証する。認証後、当該ユーザに文書管理サービスが提供され、コンテンツ処理部42は、文書管理サービスにおいて、電子文書に対するユーザの操作に応じて、当該電子文書に対する処理を実行する。
【0031】
コンテンツ処理部42は、ユーザの操作に応じて電子文書に対する処理を実行する度に、当該操作前の電子文書の状態を示す状態情報と、当該操作の操作IDとを互いに関連付けて操作履歴DB36に記憶させる。上述の通り、状態情報には、当該電子文書の属性、及び、当該電子文書に対してそれまでに行われた操作を含む。コンテンツ処理部42は、電子文書のメタ情報、あるいは、電子文書管理サービスが有する当該電子文書に関する情報から、電子文書の属性を取得することができる。電子文書の属性として、当該電子文書を操作したユーザに関する情報がある場合は、各ユーザに関する情報が記憶されたユーザDBから、認証済みの当該ユーザに関する情報を取得することができる。また、コンテンツ処理部42は、操作履歴DB36から、当該電子文書に対してそれまでに行われた操作を取得することができる。
【0032】
学習処理部44は、学習モデル34を学習させるための学習処理を実行する。詳しくは、学習処理部44は、学習データを用いた教師有り学習によって学習モデル34を学習させる。具体的には、学習処理部44は、電子文書の状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子文書に対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子文書の状態に基づいて当該電子文書に対して行うべき操作を予測して出力するように学習モデル34を学習させる。
【0033】
上述のように、電子文書の状態を示す状態情報は操作履歴DB36に記憶されており、当該状態の電子文書に対して過去に行われた操作を示す操作情報は操作内容DB38に記憶されている。したがって、学習処理部44は、操作履歴DB36に記憶された状態情報と、操作内容DB38に記憶された、当該状態情報に関連付けられた操作情報とを学習データとして用いて学習モデル34を学習させる。
【0034】
具体的には、学習処理部44は、操作履歴DB36に記憶された、学習データとしての1つの状態情報を学習モデル34に入力する。学習モデル34は、当該状態情報が示す状態の電子文書に対して行うべき操作を予測し、予測結果を出力データとして出力する。学習処理部44は、操作内容DB38に記憶された、入力した状態情報に関連付けられている操作情報(これが教師データとなる)と、学習モデル34の出力データとの差分を演算し、当該差分が小さくなるように、学習モデル34内のパラメータを調整する。このような学習処理を繰り返すことで、学習モデル34が学習されていく。
【0035】
十分に学習された学習モデル34は、電子文書の状態を示す状態情報を入力すると、当該電子文書に対して行うべき操作を高精度に出力することができるようになる。学習モデル34は、入力された状態情報が示す電子文書に対して行うべき複数の操作を予測した上で、各操作についての予測精度を出力することも可能であってよい。例えば、学習モデル34がニューラルネットワークである場合、当該ニューラルネットワークの出力層における活性化関数としてソフトマックス関数を設けることができる。この場合、ソフトマックス関数によって、複数の操作と、各操作の予測精度とが出力される。
【0036】
推薦操作特定部46は、ユーザが操作する電子文書である、対象コンテンツとしての対象電子文書に対して行うべき操作である推薦操作を特定する。例えば、電子文書管理サービスにおいて、ユーザが選択した電子文書を対象電子文書とすることができる。あるいは、電子文書管理サービスにおいて、当該ユーザ専用のワークスペース(当該ユーザしかアクセスすることができないメモリ領域)に記憶された電子文書を、当該ユーザの対象電子文書とすることができる。
【0037】
推薦操作特定部46は、対象電子文書の状態を示す状態情報を取得し(当該取得の方法は上述の通り)、学習済みの学習モデル34に対象電子文書の状態情報を入力する。そして、推薦操作特定部46は、学習モデル34の出力データに基づいて、推薦操作を特定する。例えば、上述のように、学習モデル34が、複数の操作と、各操作の予測精度とを出力する場合、推薦操作特定部46は、学習モデル34が出力した、予測精度が閾値以上の1又は複数の操作を推薦操作として特定する。あるいは、推薦操作特定部46は、学習モデル34が出力した操作のうち、最も予測精度が高かった操作を推薦操作として特定してもよい。
【0038】
本実施形態では、推薦操作特定部46は、学習モデル34を用いて対象電子文書に対する推薦操作を特定しているが、推薦操作特定部46は、学習モデル34を用いずに対象電子文書に対する推薦操作を特定することもできる。例えば、推薦操作特定部46は、統計的手法によって、対象電子文書に対する推薦操作を特定してもよい。具体的には、推薦操作特定部46は、対象電子文書の状態情報と同一又は類似する複数の状態情報を操作履歴DB36から抽出し、抽出した複数の状態情報に関連付けられている複数の操作の統計に基づいて、推薦操作を特定することができる。例えば、推薦操作特定部46は、抽出した複数の状態情報に関連付けられている複数の操作のうち、最も数が多い操作を推薦操作とすることができる。
【0039】
通知部48は、対象電子文書を操作するユーザに対して、推薦操作特定部46が特定した推薦操作を通知する。本実施形態では、通知部48は、電子文書管理サービスが提供する、ユーザ端末12のディスプレイ22に表示される画面において、推薦操作を表示させる。
【0040】
図6は、推薦操作を通知する画面の例を示す図である。図6に示された画面は、文書管理サービスが提供する画面であって、対象電子文書を操作するユーザが、当該ユーザのワークスペースにアクセスしたときに表示される画面である。本明細書では、当該画面をワークスペース画面と呼ぶ。ワークスペース画面には、当該ワークスペースに記憶されている電子文書のサムネイル50が表示される。通知部48は、ワークスペース画面において、対象電子文書のサムネイル50に関連付けた態様で、推薦操作をユーザに通知する。図6の例では、通知部48は、「ページの編集」、「名前の変更」、及び「日付印」という3つの推薦操作が示された通知ウィンドウ52を表示させている。ここで、「ページの編集」とは、例えば、サムネイルで表されている電子文書を開き、記載されている内容を編集するための操作をユーザから受け付ける画面を表示する処理のことであり、「名前の変更」とは、例えば、電子文書の名前(図6では「請求書」、「見積書」、「注文書」がそれぞれの電子文書の名前である)を変更する操作をユーザから受け付ける画面を表示する処理のことであり、「日付印」とは、ページを編集する操作内容の一例として、電子文書の所定の箇所に、現在の日付を表すスタンプを押下する操作をユーザから受け付ける、あるいは自動的にタイムスタンプを押下する処理である。
【0041】
例えば、ユーザがサムネイル50上にマウスカーソルを合わせるなどして電子文書を選択したことに応じて、推薦操作特定部46は、選択された電子文書を対象電子文書として、対象電子文書に対する推薦操作を特定し、通知部48は、特定された推薦操作が示された通知ウィンドウ52をワークスペース画面に表示させることができる。あるいは、ユーザがワークスペース画面を表示させた場合、推薦操作特定部46は、当該ワークスペースに記憶された複数の電子文書を対象電子文書として、各対象電子文書に対する推薦操作を特定し、通知部48は、各対象電子文書について特定された推薦操作が示された各通知ウィンドウ52を、各対象電子文書に対応付けた態様で表示させてもよい。
【0042】
通知部48が対象電子文書に対する推薦操作をユーザに通知することで、ユーザは、対象電子文書に対して実行すべき操作を容易に把握することができる。なお、通知部48による推薦操作のユーザへの通知は、ディスプレイ22への表示に代えてあるいは加えて、音声などによって通知してもよい。
【0043】
本実施形態では、通知ウィンドウ52に示された各推薦操作を示すアイコン又は文字列は、ユーザがクリックするなどして選択することが可能となっている。ユーザが所望の推薦操作のアイコン又は文字列を選択すると、選択された推薦操作の実行指示がユーザ端末12からサーバ14へ送信され、当該実行指示に応じて、コンテンツ処理部42が、選択された推薦操作に応じた処理を実行する。
【0044】
上述のように、学習モデル34が、複数の推薦操作と、各推薦操作の予測精度とを出力する場合、通知部48は、複数の推薦操作を、各推薦操作の予測精度に応じた態様でユーザに通知するとよい。例えば、図6の例において、3つの推薦操作のうち、推薦操作「ページの編集」が最も予測精度が高く、推薦操作「名前の変更」が次に予測精度が高く、推薦層「日付印」が最も予測精度が低い場合、通知部48は、図6に示すように、上から予測精度の順に、3つの推薦操作を表示させるとよい。もちろん、各推薦操作の予測精度に応じた表示態様はこれに限られるものではない。例えば、通知部48は、各推薦操作を示すアイコン又は文字列の近傍に、予測精度を示す数字やアイコンを表示させてもよい。
【0045】
対象電子文書に対してユーザが操作を行い、コンテンツ処理部42が当該操作に応じた処理を実行すると、対象電子文書の状態が変化することになる。推薦操作特定部46は、ユーザが対象電子文書に対して操作をした後に、当該操作後の対象電子文書の状態を示す状態情報を学習済みの学習モデル34に入力することで、当該操作後の対象電子文書に対する推薦操作をさらに特定するとよい。そして、通知部48は、当該操作後の対象電子文書に対する推薦操作をさらに当該ユーザに通知するとよい。このように、推薦操作特定部46及び通知部48は、動的に変化する対象電子文書の状態に応じて、対象電子文書に対する推薦操作を動的に通知するとよい。
【0046】
例えば、図6の通知ウィンドウ52において、ユーザが推薦操作「ページの編集」を選択したとする。これにより、コンテンツ処理部42は、推薦操作「ページの編集」に応じた処理を実行する。例えば、図6の状態においてサムネイル50で表されている電子文書(「請求書」)を開き、電子文書の内容に新たな内容を追記したり既に記載された内容を削除したりといった変更等の編集操作をユーザから受け付けるようにする。当該処理の実行により、対象電子文書の状態が変化する。推薦操作特定部46は、変化後の対象電子文書の状態を示す状態情報を学習済みの学習モデル34に入力することで、変化後の対象電子文書に対する推薦操作を特定する。この処理の間、通知部48は、図7に示すように、通知ウィンドウ52において、推薦操作の特定中であることをユーザに通知するとよい。
【0047】
変化後の対象電子文書に対する推薦操作が特定されると、図8に示すように、通知部48は、変化後の対象電子文書に対する推薦操作を示す通知ウィンドウ52をワークスペース画面に表示させる。
【0048】
推薦操作特定部46は、ユーザが推薦操作を行うに先立って、当該推薦操作が実行された後の対象電子文書に対して行うべき操作である後続推薦操作を特定し、通知部48は、当該後続推薦操作をユーザに通知してもよい。
【0049】
この場合、まず、推薦操作特定部46は、ユーザが推薦操作を行うに先立って、当該推薦操作が実行された後の対象電子文書の状態である操作後状態を予測し、操作後状態を示す操作後状態情報を取得する。推薦操作特定部46は、推薦操作の内容に基づいて、当該推薦操作が実行された後の対象電子文書の状態である操作後状態を予測して操作後状態情報を取得する。例えば、推薦操作が対象電子文書の拡張子を変更するものである場合、操作後状態情報としては、当該推薦操作を行う前の状態情報から、状態項目「拡張子」を変更後の拡張子に変更し、状態項目「前回操作」を拡張子変更に変更したものとなる。その他、例えば状態項目「時間帯」を現在時刻の時間帯(例えば現在時刻が午後であればPMとする)に変更してもよい。このように、推薦操作特定部46は、推薦操作の内容に基づいて、当該推薦操作を行う前の状態情報を一部又は全部書き換えることによって、操作後状態を示す操作後状態情報を取得することができる。
【0050】
そして、推薦操作特定部46は、取得した操作後状態情報を学習済みの学習モデル34に入力する。そして、推薦操作特定部46は、当該入力に対する学習モデル34の出力データに基づいて、操作後状態の対象電子コンテンツに対する後続推薦操作を特定する。
【0051】
図9は、後続推薦操作を通知する画面の第1の例を示す図である。通知部48は、ワークスペース画面において、推薦操作に関連付けた態様で、当該推薦操作が実行された後の電子文書に対する後続推薦操作をユーザに通知する。図9の例では、通知部48は、推薦操作が示された通知ウィンドウ52に関連付けた態様で、後続推薦操作が示された通知ウィンドウ54を表示させている。特に、図9の例では、通知ウィンドウ52において、ユーザが推薦操作「ページの編集」にマウスカーソルを合わせるなどして選択し(ただし当該推薦操作に係る処理はまだ実行されていない)、通知ウィンドウ54に示された後続推薦操作は、推薦操作「ページの編集」が実行された後の対象電子文書に対して行うべき操作であるため、通知ウィンドウ54は、通知ウィンドウ52中の当該推薦操作「ページの編集」を示すアイコン又は文字列に関連付けた態様で表示されている。
【0052】
本実施形態では、通知ウィンドウ54に示された後続推薦操作を示すアイコン又は文字列も、ユーザが選択することが可能となっている。ここで、ユーザが後続推薦操作を選択したことに応じて、コンテンツ処理部42は、対象電子文書の状態を後続推薦操作の対象となる操作後状態とする推薦操作に係る処理、及び、後続推薦操作に係る処理を、順次、対象電子文書に対して実行するように、画面の表示、例えば、ユーザからの操作を受け付ける画面の表示を制御するとよい。図9の例では、通知ウィンドウ54に示された各後続推薦操作は、推薦操作「ページの編集」が実行された後の対象電子文書に対して行うべき操作であるため、例えば、ユーザが後続推薦操作「名前の変更」を選択すると、コンテンツ処理部42は、対象電子文書に対して、まず推薦操作「ページの編集」に係る処理を実行するためにユーザからの操作を受け付ける画面を表示し、次いで後続推薦操作「名前の変更」に係る処理を実行するよう画面の表示を制御する。ここで、コンテンツ処理部42が推薦操作に係る処理及び後続推薦操作に係る処理を対象電子文書に対して順次実行するよう画面の表示を制御する、とは、コンテンツ処理部42が、推薦操作に係る処理及び後続推薦操作に係る処理を連続的に実行するように、推薦操作に係る処理を実行するための画面から後続推薦操作に係る処理を実行するための画面へとユーザ操作によらずに順次切り替える(すなわち、推薦操作に係る処理を実行するための画面で推薦操作が実行されると、後続推薦操作に係る処理を実行するための画面に自動で切り替わる)ことを含む。あるいは、コンテンツ処理部42が推薦操作に係る処理及び後続推薦操作に係る処理を対象電子文書に対して順次実行するよう画面の表示を制御する、とは、例えば、推薦操作が「ページの編集」、後続推薦操作が「名前の変更」である場合に、推薦操作「ページの編集」に係る処理が実行された後に、通知ウィンドウ52に後続推薦操作「名前の変更」のみを通知ウィンドウ52に表示するようにし(すなわち、図6の状態から対象電子文書に推薦操作「ページの編集」に係る処理が実行された場合に、その後の対象電子文書の状態情報に基づき特定される推薦操作を複数提示する、のではなく、図8に示すように、推薦操作としてユーザが選択した後続推薦操作「名前の変更」のみを表示する)、表示された「名前の変更」に対するユーザからの選択を受け付けることで「名前の変更」に係る処理を実行するためにユーザからの操作を受け付ける画面を表示することも含む。
【0053】
推薦操作が複数ある場合は、推薦操作特定部46は、各推薦操作が実行された後の対象電子文書に対して行うべき操作である後続推薦操作をそれぞれ特定するとよい。また、上述の処理と同様の処理によって、推薦操作特定部46は、さらに、ユーザが推薦操作を行うに先立って、後続推薦操作が実行された後の対象電子文書に対して行うべき操作である更なる後続推薦操作を特定することができる。その結果、推薦操作特定部46は、推薦操作を根(ルート)とし、複数の後続推薦操作を節点及び葉(リーフ)とする木構造を形成することができる。なお、当該木構造の深さ(レベル)は、文書管理サービスの管理者などによって予め定められていてよい。通知部48は、当該木構造をユーザに通知するとよい。
【0054】
図10は、後続推薦操作を通知する画面の第2の例を示す図であって、上述の木構造を通知する画面の例を示す図である。図10に示す通り、通知ウィンドウ52においてユーザが推薦操作「名前の変更」にマウスカーソルを合わせるなどして選択(ただし当該推薦操作に係る処理はまだ実行されていない)すると、推薦操作特定部46は、推薦操作「名前の変更」を根とし、後続推薦操作を節点及び葉とした木構造を特定し、通知部48は、当該木構造を示す通知ウィンドウ56をワークフロー画面に表示させる。
【0055】
当該木構造の節点又は葉としての後続推薦操作をユーザが選択すると、コンテンツ処理部42は、根から選択された節点又は葉までの経路にある推薦操作及び後続推薦操作に係る処理を順次実行する。例えば、図10の例において、ユーザが葉である操作Dを選択した場合、コンテンツ処理部42は、推薦操作「名前の変更」、後続推薦操作「操作A」、及び後続推薦操作「操作D」に係る処理を順次実行する。また、ユーザが節点である操作Eを選択した場合、コンテンツ処理部42は、推薦操作「名前の変更」、後続推薦操作「操作B」、及び後続推薦操作「操作E」に係る処理を順次実行する。
【0056】
通知部48は、操作内容DB38に記憶された操作種別情報に基づいて、推薦操作の種別に応じた態様で、推薦操作特定部46が特定した推薦操作をディスプレイ22に表示させるとよい。図11は、推薦操作の種別に応じた態様で推薦操作を通知する通知画面の例を示す図である。図11の例では、推薦操作として、「署名」、「送信」、「アノテーション付与」、及び「ダウンロード」が特定されて、通知ウィンドウ52においてこれらが表示されている。ここで、操作内容DB38(図5参照)においては、推薦操作「署名」及び「アノテーション付与」の操作種別は「内容変更」であり、推薦操作「送信」の操作種別は「公開」であるから、通知部48は、推薦操作「署名」と推薦操作「アノテーション付与」とを互いに同じ表示態様で表示し、推薦操作「送信」と推薦操作「署名」又は「アノテーション付与」とを互いに異なる表示態様で表示させる。同様に、推薦操作「ダウンロード」の操作種別は「閲覧」であるから、通知部48は、推薦操作「ダウンロード」と、推薦操作「署名」又は「アノテーション付与」と、推薦操作「送信」と、を互いに異なる表示態様で表示させる。
【0057】
これにより、ユーザは、推薦操作の操作種別を容易に把握することができ、ひいては、誤って推薦操作を選択してしまうことが抑制される。例えば、ユーザが対象電子文書の内容を変更すべきではない場合、推薦操作「署名」又は「アノテーション付与」が、対象電子文書の内容を変更する操作であることをユーザに把握させることで、ユーザがこれらの推薦操作を選択することを抑制することができる。
【0058】
本実施形態では、状態情報は複数の状態項目を含んでいる。この場合、推薦操作特定部46は、対象電子文書の状態情報が有する複数の状態項目のうち、学習モデル34がどの状態項目を重要視して推薦操作を出力したのかを演算することができる。換言すれば、推薦操作特定部46は、対象電子文書の状態情報に含まれる各状態項目が、推薦操作の特定にどれだけ寄与したのかを示す、各状態項目についての寄与度を演算することができる。
【0059】
具体的には、推薦操作特定部46は、まず、対象電子文書の状態を示す第1状態情報を入力したときの学習済みの学習モデル34の出力データである第1出力データを得る。次いで、推薦操作特定部46は、第1状態情報が有する複数の状態項目のうちの1つ(以後「対象状態項目」と記載する)の値を微小に変化させて得られた第2状態情報を入力したときの学習済みの学習モデル34の出力データである第2出力データを得る。そして、推薦操作特定部46は、第1出力データと第2出力データとの差分を演算する。当該差分が大きい程、対象状態項目の寄与度が大きい、ということになる。対象電子文書の状態情報に含まれる各状態項目を対象状態項目として、上述の処理を行うことで、推薦操作特定部46は、各状態項目についての寄与度を演算する。
【0060】
通知部48は、推薦操作特定部46が演算した各状態項目の寄与度に基づいて、推薦操作の特定に寄与した状態項目(換言すれば寄与度の大きい状態項目)をユーザに通知するとよい。例えば、図12に示すように、通知部48は、通知ウィンドウ52において、推薦操作「送信」と共に、当該推薦操作の特定に寄与した状態項目「前回操作」をユーザに通知する。
【0061】
本実施形態に係るサーバ14の概要は以上の通りである。以下、図13に示すフローチャートに従って、サーバ14の処理の流れを説明する。
【0062】
ステップS10において、推薦操作特定部46は、対象電子文書を特定する。
【0063】
ステップS12において、推薦操作特定部46は、ステップS10で特定した対象電子文書の状態を示す状態情報を取得し、当該状態情報を学習済みの学習モデル34に入力する。
【0064】
ステップS14において、学習モデル34は、対象電子文書の状態情報に基づいて、対象電子文書に対して行うべき1又は複数の操作を出力データとして出力する。推薦操作特定部46は、学習モデル34の出力データに基づいて、対象電子文書に対する推薦操作を特定する。
【0065】
ステップS16において、通知部48は、ステップS14で特定された推薦操作をユーザに通知する。ここでは、通知部48は、ユーザ端末12のディスプレイ22において、推薦操作を示す通知ウィンドウ52(図6参照)をワークスペース画面に表示させるとする。
【0066】
ステップS18において、コンテンツ処理部42は、ステップS16で表示された推薦操作をユーザが選択したか否かを判定する。ユーザが推薦操作を選択した場合はステップS20に進む。
【0067】
ステップS20において、コンテンツ処理部42は、ステップS18でユーザにより選択された推薦操作に係る処理を対象電子文書に対して実行する。また、コンテンツ処理部42は、推薦操作が行われる対象電子文書の状態を示す状態情報と、推薦操作の操作IDとを関連付けて操作履歴DB36に記憶させる。
【0068】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態では、サーバ14のプロセッサ40(具体的には学習処理部44)が学習モデル34を学習させていたが、学習モデル34の学習処理をサーバ14以外の装置で行い、学習済みの学習モデル34がメモリ32に記憶されてもよい。この場合、プロセッサ40は、学習処理部44の機能を有していなくてもよく、操作履歴DB36及び操作内容DB38は、サーバ14のメモリ32に記憶されている必要は無く、学習処理を実行する装置からアクセス可能なメモリに記憶されていればよい。
【0070】
また、本実施形態では、学習モデル34がサーバ14のメモリ32に記憶されていたが、学習モデル34は、必ずしもメモリ32に記憶されている必要は無く、サーバ14からアクセス可能な他の装置のメモリに記憶されていてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、推薦操作特定部46及び通知部48の機能をサーバ14のプロセッサ40が発揮していたが、これらの機能は、それぞれ異なる装置のプロセッサが発揮してもよい。例えば、第1情報処理装置の第1プロセッサが推薦操作特定部46の機能を発揮し、第2情報処理装置の第2プロセッサが通知部48機能を発揮してもよい。この場合、本発明としての機能は、複数の情報処理装置から構成される情報処理装置として発揮される。
【0072】
また、上記実施形態において、プロセッサとは、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサとしては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
【0073】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力することで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定し、
前記推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする情報処理装置。
(((2)))
プロセッサは、
前記ユーザが前記対象コンテンツに対して操作をした後に、当該操作後の前記対象コンテンツの状態を示す状態情報を学習済みの前記学習モデルに入力することで、当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を特定し、
当該操作後の前記対象コンテンツに対する前記推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記学習モデルは、複数の推薦操作、及び、各前記推薦操作の予測精度を出力し、
前記プロセッサは、
前記複数の推薦操作を、各推薦操作の前記予測精度に応じた態様で前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記ユーザが前記推薦操作を行うに先立って、前記推薦操作が実行された後の前記対象コンテンツの状態である操作後状態を予測し、
前記操作後状態を示す操作後状態情報を前記学習モデルに入力することで、前記操作後状態の前記対象コンテンツに対して行うべき操作である後続推薦操作を特定し、
前記後続推薦操作を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記推薦操作の内容に基づいて、当該推薦操作を行う前の前記状態情報を書き換えることによって、前記操作後状態情報を取得する、
ことを特徴とする(((4)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記後続推薦操作が前記ユーザによって選択されたことに応じて、前記対象コンテンツの状態を前記後続推薦操作の対象となる前記操作後状態とする前記推薦操作に係る処理、及び、前記後続推薦操作に係る処理を、順次、前記対象コンテンツに対して実行するよう、画面の表示を制御する、
ことを特徴とする(((4)))又は(((5)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
操作と当該操作の種別とが関連付けられた操作種別情報に基づいて、前記推薦操作に応じた態様で前記推薦操作を表示部に表示させる、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記状態情報は、複数の状態項目を含み、
前記プロセッサは、
前記対象コンテンツの第1状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データと、第1状態情報が有する複数の状態項目のうちの1つの値を変化させて得られた第2状態情報を入力したときの学習済みの前記学習モデルの出力データとの差分に基づいて、各前記状態項目についての、前記推薦操作の特定に寄与した度合いを示す寄与度を演算し、
各前記状態項目の前記寄与度に基づいて、前記推薦操作の特定に寄与した前記状態項目をユーザに通知する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((9)))
コンピュータに、
電子コンテンツの状態を示す状態情報と、当該状態の当該電子コンテンツに対して過去に行われた操作を示す操作情報と、を含む学習データを用いて、電子コンテンツの状態に基づいて当該電子コンテンツに対して行うべき操作を予測して出力するように学習された学習モデルに対して、ユーザが操作する電子コンテンツである対象コンテンツの状態を示す状態情報を入力させることで、前記対象コンテンツに対して行うべき操作である推薦操作を特定させ、
前記推薦操作を前記ユーザに通知させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【0074】
(((1)))又は(((9)))に係る発明によれば、ユーザが操作する電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザに通知しない場合に比して、電子コンテンツに対して実行すべき操作を当該ユーザが容易に把握することができる。
(((2)))に係る発明によれば、ユーザの操作に応じた対象コンテンツの状態の変化に応じて、ユーザに通知する推薦操作を動的に変更することができる。
(((3)))に係る発明によれば、ユーザは、複数の推薦操作の予測精度を把握することができる。
(((4)))又は(((5)))に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作を行うに先立って、後続推薦操作を把握することができる。
(((6)))に係る発明によれば、対象コンテンツに対して推薦操作及び後続推薦操作を順次行う場合に比して、対象コンテンツに対して推薦操作に係る処理及び後続推薦操作に係る処理を実行させるためのユーザの手間を低減することができる。
(((7)))に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作の種別を把握することができる。
(((8)))に係る発明によれば、ユーザは、推薦操作の特定に寄与した状態項目を把握することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 情報処理システム、12 ユーザ端末、14 サーバ、16 通信回線、20,30 通信インターフェース、22 ディスプレイ、24 入力インターフェース、26,32 メモリ、28,40 プロセッサ、34 学習モデル、36 操作履歴DB、38 操作内容DB、42 コンテンツ処理部、44 学習処理部、46 推薦操作特定部、48 通知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13