(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013438
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】シート貼付装置およびシート貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65C 9/36 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B65C9/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115519
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】逆井 秀之
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA01
3E095AA06
3E095BA03
3E095CA01
3E095DA03
3E095DA22
3E095DA32
3E095DA42
3E095DA90
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】押圧手段に付着している塵埃等が舞散って被着体に付着することを防止することができるシート貼付装置およびシート貼付方法を提供する。
【解決手段】シート貼付装置EAは、供給された接着シートASを、排気を伴う吸引によって保持する保持手段20と、保持手段20で保持された接着シートASを被着体に押圧して貼付する押圧手段30とを備え、保持手段20は、排気が進む排気方向EDが押圧手段30へ向かう方向から外れた方向に向けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された接着シートを、排気を伴う吸引によって保持する保持手段と、
前記保持手段で保持された前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記保持手段は、前記排気が進む排気方向が前記押圧手段へ向かう方向から外れた方向に向けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記排気方向を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
供給された接着シートを、排気を伴う吸引によって保持する保持工程と、
前記保持工程で保持された前記接着シートを押圧手段で被着体に押圧して貼付する押圧工程とを実施し、
前記保持工程は、前記排気が進む排気方向が前記押圧手段へ向かう方向から外れた方向に向けられた状態で実施されることを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置およびシート貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保持手段で吸着保持した接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたラベル貼付装置1(シート貼付装置)では、ファン18(保持手段)が排気するエアーA(排気)の排気方向が、シャフト20(押圧手段)方向に向けられているため、押圧手段に付着している塵埃等が排気によって舞散って被貼付物M(被着体)に付着するという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、押圧手段に付着している塵埃等が舞散って被着体に付着することを防止することができるシート貼付装置およびシート貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保持手段の排気方向が押圧手段へ向かう方向から外れた方向に向けられているので、押圧手段に付着している塵埃等が舞散って被着体に付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の説明図。(B)~(E)は、シート貼付装置の変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を
図1(A)に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な
図1(A)の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な
図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
シート貼付装置EAは、接着シートASを供給する供給工程を実施する供給手段10と、供給された接着シートASを、排気を伴う吸引によって保持する保持工程を実施する保持手段20と、保持手段20で保持された接着シートASを被着体WKに押圧して貼付する押圧工程を実施する押圧手段30とを備え、被着体WKを搬送する搬送手段40の近傍に配置されている。
【0011】
供給手段10は、当該供給手段10を構成する構成物を直接的または間接的に支持するベースプレート11と、剥離シートRLの一方の面に接着シートASが仮着された原反RSを支持する支持ローラ12と、原反RSを案内するガイドローラ13と、剥離縁14Aで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板14と、駆動機器としての回動モータ15Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ15Bとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ15と、図示しない駆動機器の出力軸に支持され、シート貼付装置EAの自動運転が行われている間、ピンチローラ15Bとの間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ16とを備えている。
【0012】
保持手段20は、保持面21Aを有し、内部空間SPに連通した吸引口21Bが当該保持面21Aに形成された吸引箱21と、内部空間SP内の空気を吸引し、吸引した空気を排気口22Aから排気することで、保持面21Aでの吸着保持が可能なファン22とを備え、排気が進む排気方向EDが押圧手段30へ向かう方向から外れた方向に向けられている。
【0013】
押圧手段30は、駆動機器としての直動モータ31と、直動モータ31の出力軸31Aに支持された支持体32と、支持体32に形成された貫通孔32Aに挿通され、下端部で吸引箱21を支持するシャフト33と、吸引箱21を下方に付勢する付勢手段としての巻ばね34とを備えている。
【0014】
搬送手段40は、被着体WKを搬送するベルトコンベアやローラコンベア等のコンベア41を備えている。
【0015】
以上のシート貼付装置EAの動作を説明する。
先ず、
図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート貼付装置EAに対し、当該シート貼付装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように原反RSをセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、供給手段10が回動モータ15Aを駆動し、原反RSを繰り出し、
図1(A)に示すように、先頭の接着シートASの繰出方向先端部が剥離板14の剥離縁14A近傍の所定位置に到達すると、回動モータ15Aの駆動を停止する。
【0016】
次いで、搬送手段40がコンベア41を駆動し、被着体WKを左方に搬送し、
図1(A)中二点鎖線で示すように、被着体WKが吸引箱21の下方の所定位置に到達すると、コンベア41の駆動を停止する。その後、供給手段10が回動モータ15Aを駆動し、原反RSを繰り出すとともに、保持手段20がファン22を駆動し、内部空間SP内の空気を吸引する。これにより、先頭の接着シートASは、剥離板14の剥離縁14Aで剥離シートRLから剥離され、
図1(A)中二点鎖線に示すように、保持面21Aに吸着保持される。なお、先頭の接着シートASに続く次の接着シートASの繰出方向先端部が剥離板14の剥離縁14A近傍の所定位置に到達すると、供給手段10が回動モータ15Aの駆動を停止する。次に、押圧手段30が直動モータ31を駆動し、吸引箱21を下降させ、
図1(A)中二点鎖線で示すように、接着シートASを被着体WKに押圧して貼付する。この際、巻ばね34が押し縮められ、被着体WKに対する押圧の衝撃が緩和される。そして、保持手段20がファン22の駆動を停止し、保持面21Aでの吸着保持を解除した後、押圧手段30が直動モータ31を駆動し、吸引箱21を初期位置に復帰させる。次いで、搬送手段40がコンベア41を駆動し、次工程に向けて被着体WKを左方に搬送し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0017】
以上のような実施形態によれば、保持手段20の排気方向EDが押圧手段30へ向かう方向から外れた方向に向けられているので、押圧手段30に付着している塵埃等が舞散って被着体WKに付着することを防止することができる。
【0018】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0019】
例えば、供給手段10は、帯状の剥離シートRLに仮着された帯状の接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込が形成されることで、その切込で仕切られた所定の領域が接着シートASとされた原反から当該接着シートASを剥離して供給してもよいし、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シート基材が仮着された帯状接着シート原反を採用し、当該帯状接着シート原反を供給する途中で、接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込を切断部材としての切断刃で形成し、その切込で仕切られた所定の領域が接着シートASとされた原反から当該接着シートASを剥離して供給してもよいし、巻回することなく、例えばファンフォールド折りにした原反から接着シートASを剥離して供給してもよいし、巻回することなく、例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだり、無造作に集積したりして剥離シートRLを回収する回収手段を採用してもよいし、回収手段を採用しなくてもよいし、本発明のシート貼付装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合、他の装置や人手で接着シートASを保持手段20に供給してもよい。
【0020】
保持手段20は、
図1(B)~(D)に示すように、排気口22Aの向きを変更可能な球面支持体や蛇腹等の首振り手段22Bを備えたり、
図1(E)に示すように、直動モータ31の出力軸31Aと吸引箱21との間にプランジャ機構や駆動機器としての回動モータ等の変位手段22Cを備えたりして排気方向EDを変更可能に設けられていてもよいし、首振り手段22Bや変位手段22Cを備えた場合の排気方向EDを、駆動機器や人手を介して変更するようにしてもよいし、シャフト33に対する吸引箱21の取付角度を変更したり、吸引箱21に対するファン22の取付角度を変更したり、ファン22に対する排気口22Aの取付角度を変更したりして排気方向EDを変更するようにしてもよく、排気方向EDは、例えば、前方向、後方向、右方向、左方向、上方向、下方向、その他の方向等、押圧手段30へ向かう方向から外れた方向であればどのような方向でもよいし、1つの吸引箱21に1または複数のファン22が設けられていてもよいし、1つのファン22に1または複数の排気口22Aが設けられていてもよい。
【0021】
押圧手段30は、
図1(D)に示すように、直動モータ31の出力軸31Aで直接吸引箱21を支持してもよいし、保持手段20とともに天地反転して配置したり横置きに配置したりして、被着体WKの下面や側面等に接着シートASを押圧して貼付してもよい。
【0022】
搬送手段40は、コンベア41に代えてまたは併用して、多関節ロボット等の駆動機器で被着体WKを搬送してもよいし、押圧工程の際、コンベア41の駆動を停止しなくてもよいし、本発明のシート貼付装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合、他の装置で被着体WKを搬送してもよい。
【0023】
シート貼付装置EAは、接着シートASに印刷を施すインクジェットプリンタやレーザプリンタ等の印刷手段を備えていてもよい。
【0024】
接着シートASおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASおよび被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASが採用された場合は、当該接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、接着シートASは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0025】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、押圧手段は、保持手段で保持された接着シートを被着体に押圧して貼付可能なものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0026】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や樹脂等の変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂または駆動機器等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0027】
EA…シート貼付装置
20…保持手段
30…押圧手段
AS…接着シート
ED…排気方向
WK…被着体