(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134393
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】部品実装機および推定方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044664
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 裕也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC04
5E353CC21
5E353CC22
5E353DD11
5E353EE28
5E353EE29
5E353EE53
5E353EE89
5E353HH11
5E353HH41
5E353HH51
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK01
5E353LL02
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ03
(57)【要約】
【課題】本明細書では、過剰な部品の回収による稼働率の低下を防止し得る技術を提供する。
【解決手段】部品実装機は、部品保持装置と、部品を保持した部品保持装置を供給位置から実装位置に向かって移動させる移動機構と、部品の異常を検知する異常検知装置と、異常が検知された異常部品を一時的に収容する異常部品収容箱と、制御装置と、を備える。制御装置は、異常部品を保持した部品保持装置を移動機構によって異常部品収容箱に向かって移動させる第1の収容処理と、第1の収容処理によって部品保持装置が異常部品収容箱まで移動した後に、部品保持装置に異常部品を開放させる第2の収容処理と、第2の収容処理によって異常部品収容箱に収容された異常部品の現在の収容量を算出する収容量算出処理と、算出された現在の収容量に基づいて、収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定する推定処理と、を実行可能に構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の実装位置に部品を実装する部品実装機であって、
供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記実装位置で開放する部品保持装置と、
前記部品を保持した前記部品保持装置を前記供給位置から前記実装位置に向かって移動させる移動機構と、
前記部品保持装置に保持された前記部品の異常を検知する異常検知装置と、
前記異常検知装置によって異常が検知された異常部品を一時的に収容する異常部品収容箱と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記異常部品を保持した前記部品保持装置を前記移動機構によって前記異常部品収容箱に向かって移動させる第1の収容処理と、
前記第1の収容処理によって前記部品保持装置が前記異常部品収容箱まで移動した後に、前記部品保持装置に前記異常部品を開放させる第2の収容処理と、
前記第2の収容処理によって前記異常部品収容箱に収容された前記異常部品の現在の収容量を算出する収容量算出処理と、
算出された現在の前記収容量に基づいて、前記収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定する推定処理と、
を実行可能に構成される、
部品実装機。
【請求項2】
前記制御装置は、さらに、
所定期間に前記部品保持装置に保持された前記部品のうち、前記異常部品の占める割合である異常率を算出する異常率算出処理を実行可能に構成され、
前記推定処理では、算出された現在の前記収容量および前記異常率に基づいて、前記部品実装時間を推定する、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記部品は、
第1種の部品と、
前記第1種の部品とは異なる種類の第2種の部品と、
を含み、
前記異常率は、
前記所定期間に前記部品保持装置に保持された前記第1種の部品のうち、異常が検知された第1種の異常部品の占める割合である第1の異常率と、
前記所定期間に前記部品保持装置に保持された前記第2種の部品のうち、異常が検知された第2種の異常部品の占める割合である第2の異常率と、
を含み、
前記推定処理は、
前記第1種の部品の実装が行われる場合、前記収容量および前記第1の異常率に基づいて前記部品実装時間を推定する第1の推定処理と、
前記第2種の部品の実装が行われる場合、前記収容量および前記第2の異常率に基づいて前記部品実装時間を推定する第2の推定処理と、
を含む、
請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記異常部品は、
第1のサイズを有する第1の異常部品と、
前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズを有する第2の異常部品と、
を含み、
前記収容量算出処理は、
前記第1の異常部品の個数である第1の個数をカウントする第1のカウント処理と、
前記第2の異常部品の個数である第2の個数をカウントする第2のカウント処理と、
前記第1の個数に対して、前記第1のサイズに対応する第1のサイズ係数を乗じることによって第1の調整済み個数を算出する第1の調整処理と、
前記第2の個数に対して、前記第2のサイズに対応する第2のサイズ係数を乗じることによって第2の調整済み個数を算出する第2の調整処理と、
前記第1の調整済み個数と前記第2の調整済み個数との合算値を前記収容量として算出する合算処理と、
を含む、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記部品実装機は、さらに、ユーザに警告する警告装置を備えており、
前記制御装置は、
前記収容量算出処理によって算出された前記収容量が第2の閾値量を超える場合に、前記警告装置に警告させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記部品実装機は、さらに、前記部品実装機に関する情報を表示する表示装置を備えており、
前記制御装置は、算出された現在の前記収容量に関する情報を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記異常部品収容箱の少なくとも一部は、前記部品を保持した前記部品保持装置が前記供給位置から前記実装位置に向かって移動する際に通過する経路の下方に位置する、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項8】
供給位置に供給された部品を保持すると共に、保持した前記部品を実装位置で開放する部品保持装置と、
前記部品を保持した前記部品保持装置を前記供給位置から前記実装位置に向かって移動させる移動機構と、
前記部品保持装置に保持された前記部品の異常を検知する異常検知装置と、
前記異常検知装置によって異常が検知された異常部品を一時的に収容する異常部品収容箱と、
を備える部品実装機において、前記異常部品収容箱に収容された前記異常部品の量である収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定する推定方法であって、
前記推定方法は、
異常が検知された前記異常部品を前記異常部品収容箱に収容したときに、前記異常部品収容箱に収容された前記異常部品の現在の前記収容量を算出する収容量算出ステップと、
算出された現在の前記収容量に基づいて、前記収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定するステップと、
を含む、
推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機に関する。特に、異常が検知された異常部品を一時的に収容する異常部品収容箱を備える部品実装機のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着脱可能に装着される廃棄ボックスを備える部品実装装置が開示されている。廃棄ボックスには、基板への実装が不可と認識された異常部品が一時的に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、廃棄ボックスに一時的に収容された部品は、廃棄ボックス内の収容量にかかわらず、例えば所定期間(例えば1日)ごとに、作業者によって廃棄されていた。部品を廃棄ボックスから廃棄する間、部品実装機の稼働は停止される。部品を廃棄ボックスから廃棄する頻度が不要に増加すると、部品実装機の稼働率を低下させるおそれがある。本明細書では、部品を適切な頻度で廃棄ボックスから廃棄し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する技術は、基板上の実装位置に部品を実装する部品実装機によって具現化される。部品実装機は、供給位置に供給された前記部品を保持すると共に、保持した前記部品を前記実装位置で開放する部品保持装置と、前記部品を保持した前記部品保持装置を前記供給位置から前記実装位置に向かって移動させる移動機構と、前記部品保持装置に保持された前記部品の異常を検知する異常検知装置と、前記異常検知装置によって異常が検知された異常部品を一時的に収容する異常部品収容箱と、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記異常部品を保持した前記部品保持装置を前記移動機構によって前記異常部品収容箱に向かって移動させる第1の収容処理と、前記第1の収容処理によって前記部品保持装置が前記異常部品収容箱まで移動した後に、前記部品保持装置に前記異常部品を開放させる第2の収容処理と、前記第2の収容処理によって前記異常部品収容箱に収容された前記異常部品の現在の収容量を算出する収容量算出処理と、算出された現在の前記収容量に基づいて、前記収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定する推定処理と、を実行可能に構成される。
【0006】
上記の部品実装機は、算出された現在の収容量に基づいて、収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定する。これにより、例えば、推定された部品実装時間に基づいて、異常部品収容箱に収容された異常部品の廃棄のタイミングを決定することができる。このため、異常部品を適切な頻度で異常部品収容箱から廃棄し得る。
【0007】
また、上記の部品実装機における部品実装時間の推定方法、さらに、上記の部品実装機および管理装置を備える部品実装システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の部品実装機を備える部品実装システムのブロック図。
【
図5】部品実装機の制御装置のCPUが実行する部品排出処理のフローチャート。
【
図6】部品実装機の制御装置のCPUが実行する部品実装時間推定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装機では、前記制御装置は、さらに、所定期間に前記部品保持装置に保持された前記部品のうち、前記異常部品の占める割合である異常率を算出する異常率算出処理を実行可能に構成され、前記推定処理では、算出された現在の前記収容量および前記異常率に基づいて、前記部品実装時間を推定してもよい。
【0011】
このような構成によると、異常率に基づいて、異常部品の収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間をより正確に推定することができる。
【0012】
本明細書に開示する部品実装機では、前記部品は、第1種の部品と、前記第1種の部品とは異なる種類の第2種の部品と、を含んでもよい。その場合、前記異常率は、前記所定期間に前記部品保持装置に保持された前記第1種の部品のうち、異常が検知された第1種の異常部品の占める割合である第1の異常率と、前記所定期間に前記部品保持装置に保持された前記第2種の部品のうち、異常が検知された第2種の異常部品の占める割合である第2の異常率と、を含んでもよい。前記推定処理は、前記第1種の部品の実装が行われる場合、前記収容量および前記第1の異常率に基づいて前記部品実装時間を推定する第1の推定処理と、前記第2種の部品の実装が行われる場合、前記収容量および前記第2の異常率に基づいて前記部品実装時間を推定する第2の推定処理と、を含んでもよい。
【0013】
部品の異常発生率は、部品の種類によって異なることがある。このような構成によると、第1種の部品の実装が行われる場合、収容量および第1の異常率に基づいて部品実装時間が推定され、第2種の部品の実装が行われる場合、収容量および第2の異常率に基づいて部品実装時間が推定される。これにより、部品の種類ごとに、部品実装時間をより正確に推定することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装機では、前記異常部品は、第1のサイズを有する第1の異常部品と、前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズを有する第2の異常部品と、を含んでもよい。その場合、前記収容量算出処理は、前記第1の異常部品の個数である第1の個数をカウントする第1のカウント処理と、前記第2の異常部品の個数である第2の個数をカウントする第2のカウント処理と、前記第1の個数に対して、前記第1のサイズに対応する第1のサイズ係数を乗じることによって第1の調整済み個数を算出する第1の調整処理と、前記第2の個数に対して、前記第2のサイズに対応する第2のサイズ係数を乗じることによって第2の調整済み個数を算出する第2の調整処理と、前記第1の調整済み個数と前記第2の調整済み個数との合算値を前記収容量として算出する合算処理と、を含んでもよい。
【0015】
異常部品の個数を利用して異常部品収容箱の収容量を算出することによって、異常部品の収容量を算出することが考えられる。しかしながら、異常部品は、異なるサイズを有することがある。例えば、第1のサイズよりも大きい第2のサイズを有する第2の異常部品が異常部品収容箱に収容される場合、第1のサイズを有する第1の異常部品が異常部品収容箱に収容される場合に比べると、異常部品収容箱の収容量は増加する。このような構成によると、異常部品の個数にサイズ係数を乗じて異常部品収容箱に収容された異常部品の個数を調整することによって、より正確に収容量を算出することができる。
【0016】
本明細書に開示する部品実装機は、さらに、ユーザに警告する警告装置を備えてもよい。その場合、前記制御装置は、前記収容量算出処理によって算出された前記収容量が第2の閾値量を超える場合に、前記警告装置に警告させてもよい。
【0017】
このような構成によると、異常部品収容箱の収容量が第2の閾値量を超えたことをユーザに警告することができる。
【0018】
本明細書に開示する部品実装機は、前記部品実装機は、さらに、前記部品実装機に関する情報を表示する表示装置を備えてもよい。その場合、前記制御装置は、算出された現在の前記収容量に関する情報を前記表示装置に表示させてもよい。
【0019】
このような構成によると、現在の収容量をユーザに認識させることができる。
【0020】
本明細書に開示する部品実装機は、前記異常部品収容箱の少なくとも一部は、前記部品を保持した前記部品保持装置が前記供給位置から前記実装位置に向かって移動する際に通過する経路の下方に位置してもよい。
【0021】
異常部品収容箱に収容された異常部品の量が増加すると、異常部品の上端が、異常部品収容箱の上端よりも上方に位置することがある。部品を保持した部品保持装置が供給位置から実装位置に向かって移動する際に通過する経路の下方に異常部品収容箱の少なくとも一部が位置する構成では、異常部品収容箱の上端よりも上方に位置する異常部品の上端が、経路を通過する部品保持装置に保持された部品と干渉するおそれがある。一方で、異常部品収容箱の少なくとも一部を経路の下方に位置させることによって、異常部品収容箱用の専用スペースを小さくすることができ、部品実装機のサイズを小さくすることができる。本技術によれば、収容量が第1の閾値量を超えるまでの部品実装時間を推定することができるため、異常部品の上端が異常部品収容箱の上端の上方に位置することを防止し得る。このため、本技術は、異常部品収容箱の少なくとも一部が経路の下方に位置する構成において、特に有効である。
【0022】
(実施例)
図1に示す部品実装システム1は、部品を基板に実装して基板を製造するシステムである。部品実装システム1は、複数の部品実装機10と、管理装置100と、を備える。複数の部品実装機10は、それぞれ、同様の構成を有している。複数の部品実装機10は、一つの部品実装ラインを構成する。複数の部品実装機10は、それぞれ、制御装置20を備える。複数の制御装置20は、それぞれ、管理装置100と通信可能に接続されている。管理装置100は、それぞれの部品実装機10を管理する。本実施例の部品実装システム1では、部品実装ラインは、5台の部品実装機10を備える。なお、1つの部品実装ラインが備える部品実装機10の数は上記に限定されるものではなく、また、管理装置100が管理する部品実装ラインの数も上記に限定されるものではない。
【0023】
図2および
図3を参照して、部品実装機10の構造について説明する。
図3に示されるように、部品実装機10は、基板2上の実装位置TP1に部品4を実装する装置である。基板2は、いわゆるプリント基板であり、絶縁体の板上に、導体の配線が施されている。部品4は、例えば、電子部品である。部品実装機10は、制御装置20に加え、基板コンベア8と、タッチパネル11と、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、撮像装置15と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、部品排出ボックス30と、を備える。基板コンベア8、タッチパネル11、撮像装置15、装着ヘッド16およびヘッド移動装置18は、制御装置20によって制御される。
【0024】
タッチパネル11は、部品実装機10に関する情報を表示するとともに、ユーザ(例えば作業者)からの指示や情報を受け付ける。変形例では、部品実装機10は、タッチパネル11に代えて、例えば、部品実装機10に関する情報を表示するディスプレイと、作業者からの指示や情報を受け付けるキーボードおよびマウスと、を備えてもよい。
【0025】
各々の部品フィーダ12は、複数の部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられる。
図3に示されるように、例えば、複数の部品フィーダ12のうち、最も+X方向に位置する部品フィーダ12は、部品4を供給位置SP1に供給する。なお、部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、テープ上に収容された複数の部品4を供給するテープ式フィーダ、トレイ上に収容された複数の部品4を供給するトレイ式フィーダ、又は、容器内にランダムに収容された複数の部品4を供給するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0026】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0027】
装着ヘッド16は、部品4を吸着するノズル6を有する。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、ノズル6をZ軸に沿って(すなわち、
図2の紙面上下方向に)移動させる。これにより、装着ヘッド16は、ノズル6を部品フィーダ12や基板2に対して接近及び離間させる。ノズル6は、供給位置SP1に供給された部品4を吸着すると共に、吸着した部品4を基板2の実装位置TP1で開放することができる。なお、装着ヘッド16は、単一のノズル6を有するものに限られず、複数のノズル6を有するものであってもよい。
【0028】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12の供給位置SP1と基板2上の実装位置TP1との間で装着ヘッド16を移動させる。一例ではあるが、ヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16が固定されている。ヘッド移動装置18は、ノズル6を基板2の表面と平行な平面(XY平面)で平行移動可能である。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0029】
供給位置SP1に供給された部品4を実装位置TP1に実装する場合、例えば、
図3に示されるように、ヘッド移動装置18は、第1の経路R1に沿って+Y方向に装着ヘッド16を移動させる。その結果、装着ヘッド16のノズル6は、部品排出ボックス30の上方に到達する。その後、ヘッド移動装置18は、第2の経路R2に沿って-X方向に移動する。これにより、ノズル6は、撮像装置15の上方に到達する。その後、ヘッド移動装置18は、第3の経路R3に沿って+Y方向に移動する。その結果、ノズル6は、実装位置TP1の上方に到達する。装着ヘッド16は、ノズル6を基板2に対して接近させる。その後、ノズル6は、部品4を開放する。これにより、供給位置SP1に供給された部品4が基板2上の実装位置TP1に実装される。
【0030】
基板コンベア8は、基板2の搬入、位置決め及び搬出を行う装置である。基板コンベア8は、部品4の実装が完了した基板2を、隣接する部品実装機10に向けて+X方向に搬出する。これにより、隣接する部品実装機10において、新たな部品4が基板2に対して実装される。一例ではあるが、本実施例の基板コンベア8は、一対のベルトコンベアと、基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)とを有する。
【0031】
撮像装置15は、X方向に関して、部品実装機10の中央部に位置する。さらに、撮像装置15は、部品フィーダ12と基板コンベア8(詳細には、一対の基板コンベア8のうち部品フィーダ12側に設置される基板コンベア8)との間に位置する。先に述べたように、ヘッド移動装置18は、第2の経路R2および第3の経路R3において、装着ヘッド16を、撮像装置15の上方を通過させる。撮像装置15は、装着ヘッド16のノズル6が撮像装置15の上方に位置するタイミングで、ノズル6に保持された部品4を下方から撮像する。撮像装置15は、カメラと光源を備えている。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。光源は、LEDにより構成される。撮像装置15は、光源によってノズル6に吸着された部品4の下面(撮像面)を照明した状態で、カメラによって部品4の下面を撮像する。撮像装置15によって撮像された画像の画像データは、制御装置20に送信される。撮像装置15によって撮像された画像データは、例えば、ノズル6に保持された部品4の異常を検知するために使用される。部品4の異常の検知は、画像データを受信した制御装置20によって実行される。制御装置20は、予め記憶しているマスター画像(図示省略)と、撮像装置15から受信した画像データによって示される画像と、を比較することによって、部品4の異常を検知する。ここで、部品4の異常とは、例えば、ノズル6に保持された部品4の姿勢不良、部品4に対する異物の付着である。
【0032】
部品排出ボックス30は、ノズル6に保持され、撮像装置15によって撮像された部品のうち、異常が検知された異常部品4Eを一時的に収容する。部品排出ボックス30は、平面視矩形の箱形状を有しており、上面が開放されている。
図3に示されるように、部品排出ボックス30は、部品実装機10の+X方向(すなわち、
図3の紙面下方)の外壁に当接している。仮に、異常部品4Eを基板2の実装位置TP1に実装すると、異常部品4Eを含む基板2が生産されてしまう。このため、制御装置20は、撮像装置15によって撮像された画像データに基づいて部品4の異常を検知した場合、異常部品4Eを保持するノズル6を実装位置TP1向けて移動させることなく、第4の経路R4に沿って部品排出ボックス30に向かって移動させる。そして、制御装置20は、部品排出ボックス30の上方に到達した後、ノズル6に異常部品4Eを開放させる。これにより、異常部品4Eがノズル6の先端から落下して部品排出ボックス30内に収容される。その後、制御装置20は、再び新たな部品4をノズル6によって吸着し、実装位置TP1に実装する。
【0033】
図3に示されるように、部品排出ボックス30は、供給位置SP1から実装位置TP1に向かう第1の経路R1および第2の経路R2の下方に位置する。例えば、部品排出ボックス30が第1の経路R1および第2の経路R2の下方に位置しない比較例では、部品排出ボックス30用の専用スペースを設けなければならなくなるため、部品実装機10のサイズ(特に、X方向およびY方向のサイズ)が大きくなる。本実施例の部品実装機10では、第1の経路R1および第2の経路R2の下方に部品排出ボックス30が位置するため、部品実装機10のサイズを小さくすることができる。
【0034】
一方、複数個の異常部品4Eが部品排出ボックス30に収容され、部品排出ボックス30内に積み上げられると、異常部品4Eが部品排出ボックス30の開口から上方に突出することがある。この場合、部品排出ボックス30の開口から突出した異常部品4Eが、第1の経路R1および第2の経路R2に沿って移動するノズル6に保持された部品4と干渉するおそれがある。このため、部品排出ボックス30から異常部品4Eが溢れ出す前に、部品排出ボックス30内に収容された異常部品4Eは、作業者によって廃棄される。この際、部品実装機10による部品4の基板2への実装を停止し、作業者は、部品実装機10から部品排出ボックス30を取り外し、部品廃棄場(図示省略)に部品排出ボックス30を移動させて、部品排出ボックス30内に収容された異常部品4Eを部品廃棄場に廃棄する。これにより、部品排出ボックス30内が清掃される。すなわち、部品排出ボックス30の清掃中、部品実装機10は、部品4を基板2に実装することができない。作業者は、部品排出ボックス30内を清掃した後、部品排出ボックス30を再び部品実装機10に取り付ける。これにより、部品4の基板2への実装が再開される。
【0035】
図4を参照して、管理装置100と制御装置20の構成について説明する。管理装置100は、CPU102とメモリ104とを含むコンピュータにより構成されている。管理装置100のメモリ104には、生産プログラムが記憶されている。生産プログラムは、複数の部品実装機10(
図1参照)のそれぞれについて、例えば、部品4を実装する順番を示す情報と、部品4を実装する位置を示す情報と、装着ヘッド16を移動させる速度および経路を示す情報と、を含む。
【0036】
部品実装機10の制御装置20は、CPU22とメモリ24とを含むコンピュータにより構成されている。制御装置20は、管理装置100に加え、基板コンベア8、タッチパネル11、撮像装置15、装着ヘッド16およびヘッド移動装置18に対して通信可能に接続される。また、制御装置20は、部品排出ボックス30が部品実装機10に取り付けられているかを、検知することができる。メモリ24には、プログラムPg1と、累積調整済み個数N1と、閾値調整済み個数Nthと、部品種類テーブルT1が記憶されている。プログラムPg1は、管理装置100から受信した生産プログラムに基づいて、部品4を実装するためのプログラムである。
【0037】
累積調整済み個数N1および閾値調整済み個数Nthは、
図5を参照して説明する部品排出処理において、部品排出ボックス30内に異常部品4Eの収容量が所定量(例えば、部品排出ボックス30内の空間の90%)に到達しているか否かを判定するために利用される。
【0038】
累積調整済み個数N1は、部品排出ボックス30に収容された異常部品4Eの収容量を示す値である。部品排出ボックス30内の異常部品4Eの個数が増加すると、異常部品4Eの収容量も増加する。このため、異常部品4Eの個数に基づいて、部品排出ボックス30内の異常部品4Eの収容量を算出することも可能である。しかしながら、部品種類テーブルT1に示されるように、基板2に実装される部品4は、複数の部品種類P1~P4の部品4を含む。異なる部品種類の部品4は、異なるサイズを有することがある。例えば、部品種類P1の部品4のサイズは、部品種類P2の部品4のサイズに比べて小さいことがある。
【0039】
上記のように部品4のサイズが異なる場合、同じ個数「1」の異常部品4Eであっても、部品種類P1の異常部品4Eが部品排出ボックス30内において占める空間の大きさは、部品種類P2の異常部品4Eが部品排出ボックス30内において占める空間の大きさに比べて小さくなる。このため、部品排出ボックス30が、異なるサイズを有する部品種類P1~P4の異常部品4Eを収容する場合、異常部品4Eの個数のみによって部品排出ボックス30内の異常部品4Eの収容量を正確に算出することは困難である。
【0040】
本実施例の部品実装機10では、累積調整済み個数N1は、調整済み個数を合算して算出される。ここで、調整済み個数は、部品4のサイズに基づいて調整された部品4の個数である。調整済み個数は、異常部品4Eの個数と、サイズ係数と、によって算出される。サイズ係数は、部品種類による部品4のサイズの差を調整するために、部品種類毎に部品4のサイズに基づいて設定される係数である。本実施例では、基準となるサイズの部品種類P1には、サイズ係数「1.0」が設定される。例えば、部品種類P1のサイズよりも大きいサイズの部品種類P2には、サイズ係数「1.0」よりも大きいサイズ係数「1.2」が設定される。部品種類P2のサイズよりも大きいサイズの部品種類P3には、サイズ係数「1.2」よりも大きいサイズ係数「2.0」が設定される。部品種類P1のサイズよりも小さいサイズの部品種類P4には、サイズ係数「1」よりも小さいサイズ係数「0.8」が設定される。サイズ係数は、部品排出ボックス30の形状、サイズ、部品4の部品種類、形状、サイズ等に応じて、作業者によって設定される。
【0041】
閾値調整済み個数Nthは、上述した累積調整済み個数N1に基づいて、部品排出ボックス30内に収容された異常部品4Eの量が、所定量を超えているか否かを判定するための閾値である。閾値調整済み個数Nthは、部品排出ボックス30の形状、サイズ、部品4の部品種類、形状、サイズ等に応じて、作業者によって設定される。
【0042】
部品種類テーブルT1は、部品種類P1~P4と、サイズ係数と、実装個数NI1~NI4と、異常個数NE1~NE4と、異常率ER1~ER4と、を関連付けて記憶する。実装個数NI1~NI4は、所定期間(例えば、1週間)に実装された部品4の個数を示す。異常個数NE1~NE4は、所定期間に発生した異常部品4Eの個数を示す。異常率は、所定期間(例えば、1週間)に実装された部品4のうち、異常が検知された比率を示すものであり、異常個数を実装個数で除することによって算出される。すなわち、異常率は、所定期間にノズル6に吸着され、撮像装置15によって下面が撮像された部品4のうち、異常部品4Eの占める割合である。
【0043】
図4に示されるように、部品種類P1の部品4では、実装個数NI1個のうち、異常個数NE1個の異常部品4Eが検知されている。この場合、制御装置20のCPU22は、実装個数NI1個と異常個数NE1個とを利用して異常率ER1を算出し、部品種類P1と関連付けて部品種類テーブルT1に記憶する。同様に、CPU22は、実装個数NI2個と異常個数NE2個とを利用して異常率ER2を算出し、部品種類P2と関連付けて記憶する。異常率ER3、ER4についても同様である。このように、CPU22は、部品種類P1~P4のそれぞれについて、異常率ER1~ER4を算出する。
【0044】
図5を参照して、部品実装機10の制御装置20のCPU22が実行する部品排出処理について説明する。部品排出処理は、異常部品4Eが検出されたこと、すなわち、撮像装置15からCPU22が取得した部品4の下面の画像データにおいて、異常が検知されたことをトリガとして実行される。このため、部品排出処理が開始されるタイミングでは、装着ヘッド16は、撮像装置15の上方(
図2参照)に位置する。
【0045】
CPU22は、ヘッド移動装置18によって、第4の経路R4(
図2参照)に沿って、装着ヘッド16を部品排出ボックス30の上方に移動させる(S2)。これにより、装着ヘッド16のノズル6に吸着された異常部品4Eは、部品排出ボックス30の上方に位置する。
【0046】
次いで、CPU22は、ノズル6の吸着を停止する(S4)。これにより、異常部品4Eが開放され、部品排出ボックス30に向かって落下する。これにより、異常部品4Eが部品排出ボックス30に収容される。
【0047】
さらに、CPU22は、管理装置100から受信した生産プログラムに基づいて、部品排出ボックス30に収容された部品(すなわち、異常部品4E)の部品種類を特定する(S6)。
【0048】
CPU22は、異常個数を1個だけ更新する(S10)。具体的には、CPU22は、部品種類テーブルT1においてS6で特定された部品種類に関連付けて記憶される異常個数を「1」だけ増加する。さらに、CPU22は、更新された異常個数に基づいて、S6で特定された部品種類の異常率を更新する。
【0049】
CPU22は、部品種類テーブルT1から、S6で特定された部品種類に関連付けて記憶されるサイズ係数を取得する(S12)。
【0050】
さらに、CPU22は、S10で増加された異常個数「1」に対して、S12で取得したサイズ係数を乗じることによって、調整済み個数N2を算出する(S14)。
【0051】
次いで、CPU22は、算出した調整済み個数N2を、メモリ24内の累積調整済み個数N1に加えることによって、累積調整済み個数N1を更新する(S16)。なお、メモリ24内の累積調整済み個数N1がゼロの場合、CPU22は、S14で算出された調整済み個数N2を、累積調整済み個数N1として、メモリ24に記憶する。
【0052】
CPU22は、更新された累積調整済み個数N1とメモリ24内の閾値調整済み個数Nthとを比較する(S20)。累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nth以上である場合(S20でYES)、CPU22は、S22に進む。
【0053】
CPU22は、警告画面SC1をタッチパネル11に表示する(S22)。
図5に示されるように、警告画面SC1は、部品排出ボックス30を清掃することを作業者に促すメッセージを含む。CPU22は、警告画面SC1をタッチパネル11に表示することによって、作業者に対して、部品排出ボックス30内に収容された異常部品4Eの収容量が所定量を超えたことを作業者に警告することができる。これにより、部品排出ボックス30の清掃を作業者に確実に実行させることができる。
【0054】
CPU22は、部品排出ボックス30の清掃が完了したことを監視する(S30)。具体的には、CPU22は、部品排出ボックス30が、部品実装機10から取り外された後に、再び部品実装機10に取り付けられることを監視する。部品排出ボックス30が部品実装機10から取り外されない場合(S30でNO)、CPU22は、部品排出ボックス30が部品実装機10から取り外されるまで、S30の処理を繰り返し、警告画面SC1のタッチパネル11への表示を継続する。
【0055】
部品排出ボックス30が部品実装機10から取り外された後、再び部品実装機10に取り付けられ場合(S30でYES)、CPU22は、部品排出ボックス30の清掃が完了したと判断して、リセット確認画面SC2をタッチパネル11に表示する(S32)。リセット確認画面SC2は、累積調整済み個数N1をリセットするか否かを作業者に問い合わせるメッセージと、作業者からリセットする指示を受け付けるボタンB1と、作業者からリセットしない指示を受け付ける示すボタンB2と、を含む。
【0056】
CPU22は、作業者から累積調整済み個数N1をリセットする指示を受け付けることを監視する(S40)。作業者から累積調整済み個数N1をリセットしない指示を受け付ける場合(S40でNO)、すなわち、ボタンB2が選択された場合、CPU22は、S42をスキップして部品排出処理を終了する。
【0057】
作業者から累積調整済み個数N1をリセットする指示を受け付ける場合、すなわち、リセット確認画面SC2のボタンB1が選択された場合(S40でYES)、CPU22は、メモリ24内の累積調整済み個数N2をゼロにリセットして(S42)、部品排出処理を終了する。
【0058】
累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nthよりも小さい場合(S20でNO)、CPU22は、部品実装時間推定処理を実行する(S50)。部品実装時間推定処理は、累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nthに到達するまでに部品4を実装することができる時間、すなわち、部品実装時間を推定する処理である。部品時間推定処理の詳細については、
図6を参照して後述する。
【0059】
CPU22は、部品実装時間を推定すると、収容量表示画面SC3をタッチパネル11に表示する(S52)。
図5に示されるように、収容量表示画面SC3は、部品排出ボックス30の現在の収容量を示す表示領域DA1と、S50で推定された部品実装時間を示す表示領域DA2と、を含む。なお、現在の収容量は、累積調整済み個数N1を閾値調整済み個数Nthによって除することによって算出される。すなわち、現在の収容量は、部品排出ボックス30に収容可能な閾値調整済み個数Nthに対して、部品排出ボックス30に収容されている累積調整済み個数N1の占める割合である。これにより、CPU22は、部品排出ボックス30の現在の収容量と、部品実装時間を作業者に認識させることができる。また、表示領域DA2に推定された部品実装時間が表示されるため、作業者は、次回の部品排出ボックス30の清掃作業の時期を、事前に予測することができる。
【0060】
図6を参照して、部品実装時間推定処理(
図5のS50)について説明する。まず、CPU22は、部品排出ボックス30の残調整済み個数Nrを算出する(S62)。残調整済み個数Nrは、
図5のS4で異常部品4Eが部品排出ボックス30に収容された後に、部品排出ボックス30内の空間にさらに収容可能な異常部品4Eの調整済み個数を示す。残調整済み個数Nrは、閾値調整済み個数Nthと累積調整済み個数N1との差分である。
【0061】
さらに、CPU22は、生産プログラムに基づいて、実装予定部品情報を取得する(S64)。実装予定部品情報は、所定期間(例えば、1日)内に実装される部品種類と、実装順序と、当該部品種類の部品の単位時間あたりの予定実装個数と、を含む。
【0062】
CPU22は、S64で取得した実装予定部品情報に基づいて、部品排出処理の終了後、最初に実装される部品4の部品種類を特定する(S66)。
【0063】
CPU22は、実装可能個数を1個だけ更新する(S70)。実装可能個数は、
図5のS4で異常部品4Eが部品排出ボックス30に収容された後累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nthに到達するまでに、部品排出ボックス30内の空間に収容可能と推測される異常部品4Eの個数を示す。実装可能個数は、部品実装時間推定処理の間、メモリ24に一時的に記憶される。CPU22は、メモリ24に実装可能個数が記憶されている場合、記憶済みの実装可能個数に対して、「1」だけ増加する。メモリ24に累積実行可能個数が記憶されていない場合、CPU22は、実行可能個数「1」を、累積実行可能個数としてメモリ24に記憶する。
【0064】
さらに、CPU22は、部品種類テーブルT1から、S66で特定した部品種類のサイズ係数を取得する(S72)。
【0065】
次いで、CPU22は、部品種類テーブルT1から、S66で特定した部品種類の異常率を取得する(S74)。
【0066】
さらに、CPU22は、S70で増加させた実装可能個数「1」に対して、S72で取得したサイズ係数と、S74で取得した異常率とを乗じることによって、推定調整済み個数N3を算出する(S80)。推定調整済み個数N3は、異常率が加味された調整済み個数である。すなわち、推定調整済み個数N3は、実装可能個数のうち、異常が発生すると推測される実装個数に対する調整済み個数である。異常率が高い部品種類では、推定調整済み個数N3は大きくなる。異常率が低い部品種類では、推定調整済み個数N3は小さくなる。
【0067】
CPU22は、推定調整済み個数N3を算出すると、累積推定調整済み個数N4を更新する(S82)。累積推定調整済み個数N4は、推定調整済み個数N3を累積した個数であり、メモリ24に一時的に記憶される。なお、メモリ24内の累積推定調整済み個数N4がゼロの場合は、S66で算出された推定調整済み個数N3が、累積推定調整済み個数N4として、メモリ24に記憶される。
【0068】
CPU22は、更新した累積推定調整済み個数N4と、S52で算出した残調整済み個数Nrとを比較する(S90)。累積予測調整済み個数N4が残調整済み個数Nrよりも小さい場合(S90でNO)、CPU22は、S66に戻り、実装予定部品情報に基づいて、次に実装される部品4の部品種類を特定する。そして、CPU22は、S66~82の処理を実行し、累積推定調整済み個数N4を再び更新する。すなわち、CPU22は、累積推定調整済み個数N4が残調整済み個数Nr以上(S90でYES)となるまで、S66~S82の処理を繰り返す。
【0069】
累積予測調整済み個数N4が残調整済み個数Nr以上となる場合(S90でYES)、CPU22は、S70で更新された実行可能個数の部品4を実装するために要する時間を部品実装時間として推定する(S92)。このように、CPU22は、部品実装時間を推定する。
【0070】
(本実施例の効果)
本実施例の部品実装機10は、累積調整済み個数N1に基づいて、累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nthを超えるまでの部品実装時間を推定する(S92)。これにより、推定された部品実装時間に基づいて、部品排出ボックス30の清掃を実行するタイミングを決定することができる。このため、適切な頻度で部品排出ボックス30に収容された異常部品を回収することができる。その結果、不必要な部品排出ボックス30の清掃の実行が防止されるため、部品実装機10の稼働の低下を防止することができる。
【0071】
さらに、本実施例の部品実装機10は、部品種類ごとに異常率を取得し(S74)、取得した異常率に基づいた累積推定調整済み個数N4を利用して、部品実装時間を推定する(S92)。これにより、部品種類ごとに、異常率に基づいて、部品実装時間をより正確に推定することができる。また、部品実装機10は、部品種類ごとに、サイズ係数を取得し(S72)、取得したサイズ係数に基づいた累積推定調整済み個数N4を利用して、部品実装時間を推定する(S92)。これにより、部品種類ごとにサイズが異なる部品4を実装する場合であっても、サイズ係数に基づいて、部品実装時間をより正確に推定することができる。
【0072】
(対応関係)
ノズル6が、「部品保持装置」の一例である。ヘッド移動装置18が、「移動機構」の一例である。撮像装置15および制御装置20が、「異常検知装置」の一例である。部品排出ボックス30が、「異常部品収容箱」の一例である。閾値調整済み個数Nthが、「第1の閾値量」および「第2の閾値量」の一例である。部品種類P1、部品種類P2が、それぞれ、「第1種」、「第2種」の一例である。異常率ER1、異常率ER2が、それぞれ、「第1の異常率」、「第2の異常率」の一例である。部品種類P1の異常部品4E、部品種類P2の異常部品4Eが、それぞれ、「第1の異常部品」、「第2の異常部品」の一例である。タッチパネル11が、「警告装置」および「表示装置」の一例である。
【0073】
S2、S4の処理が、それぞれ、「第1の収容処理」、「第2の収容処理」の一例である。S16の処理が、「収容量算出処理」の一例である。S50の処理が、「推定処理」の一例である。S10の処理が、「第1のカウント処理」および「第2のカウント処理」の一例である。S14の処理が、「第1の調整処理」および「第2の調整処理」の一例である。
【0074】
本実施例の留意点を以下に述べる。上述した実施例では、ノズル6によって部品4を吸着したが、このような構成に限定されず、部品実装機10は、例えば、ノズル6に代えて、部品4を把持するチャックを備えてもよい。本変形例では、当該チャックが、「部品保持装置」の一例である。
【0075】
上述した実施例では、CPU22は、累積調整済み個数N1が閾値調整済み個数Nth以上である場合(S20でYES)に、警告画面SC1をタッチパネル11に表示する。これに代えて、CPU22は、警告音を報知してもよい。本変形例では、当該警告音を報知するスピーカが、「警告装置」の一例である。
【0076】
CPU22は、異常部品4Eの個数に基づいて部品排出ボックス30の収容量を算出することに代えて、部品排出ボックス30および異常部品4Eの質量に基づいて、部品排出ボックス30の収容量を算出してもよい。その場合、制御装置20は、閾値調整済み個数Nthに代えて、閾値質量をメモリ24に記憶してもよい。さらなる変形例では、CPU22は、部品排出ボックス30の内部を撮像するカメラが撮像した画像に基づいて、部品排出ボックス30の収容量を算出してもよい。
【0077】
また、部品排出ボックス30内には、例えば、赤外線センサが設けられてもよい。その場合、CPU22は、異常部品4Eの上端が所定の高さを超えたことを赤外線センサが検知した場合に、S20でYESと判断してもよい。
【0078】
CPU22は、
図6の部品実装時間推定処理において、S76の処理を実行しなくてもよい。すなわち、本変形例の推定処理では、異常率に基づいて、部品実装時間を推定しなくてもよい。その場合、CPU22は、例えば、部品排出ボックス30の収容量がゼロから50%になるまでの時間を計測し、計測された時間に基づいて、部品実装時間を推定してもよい。あるいは、所定期間(例えば、1時間)に基板に実装される部品数(詳細には、部品の種類毎の部品数)と、部品の種類毎の異常率と、部品の種類毎のサイズ係数に基づいて、所定期間に増加する部品排出ボックス30の収容量を算出する。そして、部品排出ボックス30の空き容量を、算出した所定期間に増加する収容量で除して、部品実装時間を算出してもよい。このような方法によると、簡易に部品実装時間を算出することができる。
【0079】
部品実装機10は、複数種類の部品4を実装しなくてもよい。すなわち、部品4は、第1種の部品と第2種の部品とを含まなくてもよい。その場合、CPU22は、
図6の部品実装時間推定処理において、S74、S80およびS82の処理を実行しなくてもよい。この場合、CPU22は、部品実装時間推定処理において、残調整済み個数Nrに1個当たりの実装時間を乗じることによって、部品実装時間を推定してもよい。
【0080】
CPU22は、
図5の部品排出処理において、S22の処理を実行しなくてもよい。その場合、部品実装機10は、タッチパネル11を備えなくてもよい。
【0081】
CPU22は、
図5の部品排出処理において、S52の処理を実行しなくてもよい。その場合、部品実装機10は、タッチパネル11を備えなくてもよい。
【0082】
部品排出ボックス30は、第1の経路R1および第2の経路R2の下方に位置しなくてもよい。すなわち、ヘッド移動装置18は、部品排出ボックス30の上方を通過させることなく、装着ヘッド16を供給位置SP1から実装位置TP1に向かって移動させてもよい。
【0083】
上述した実施例では、部品実装機10の制御装置20のCPU22が
図5および
図6の処理を実行する。これに代えて、管理装置100のCPU102が、
図5および
図6の処理を実行してもよい。その場合、管理装置100のCPU102は、例えば、複数の部品実装機10の部品排出ボックス30の現在の収容量のうち、最も大きな現在の収容量に基づいて、部品実装時間を推定してもよい。
【0084】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0085】
本明細書では、請求項4において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から3のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項6において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から5のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想も開示されている。さらに、本明細書では、請求項7において「請求項1に記載の部品実装機」を「請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0086】
1 :部品実装システム
2 :基板
4 :部品
4E :異常部品
6 :ノズル
8 :基板コンベア
10 :部品実装機
11 :タッチパネル
12 :部品フィーダ
14 :フィーダ保持部
15 :撮像装置
16 :装着ヘッド
18 :ヘッド移動装置
18a :移動ベース
20 :制御装置
22、102 :CPU
24、104 :メモリ
30 :部品排出ボックス
100 :管理装置
DA1、DA2 :表示領域
ER1~ER4 :異常率
P1~P4 :部品種類
Pg1 :プログラム
R1 :第1の経路
R2 :第2の経路
R3 :第3の経路
R4 :第4の経路
SC1 :警告画面
SC2 :リセット確認画面
SC3 :収容量表示画面
SP1 :供給位置
T1 :部品種類テーブル
TP1 :実装位置