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特開2024-134395判定装置、判定方法、および、判定装置用のプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134395
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、および、判定装置用のプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240926BHJP
   B42D 25/30 20140101ALI20240926BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240926BHJP
【FI】
G06T7/60 300Z
B42D25/30
G06T7/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044669
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓人
(72)【発明者】
【氏名】平田 鷹志
【テーマコード(参考)】
2C005
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB01
5B043AA10
5L096BA18
5L096DA02
5L096FA03
5L096FA33
5L096FA64
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上した判定装置等を提供する。
【解決手段】本人確認カード(30)を、本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像40を取得し(S1)、画像から直線の検出を行い(S3)、本人確認カードの定型パターンの情報から、本人確認カードの縁部に該当する直線43、44を特定し(S4、S5)、縁部に該当する直線43、44に交差する分割線46により区分けされた部分画像を切り抜き(S6)、部分画像における本人確認カードの部分厚みを算出し(S7)、部分厚みに応じて、本人確認カードの真贋判定を行う(S8、S10)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得手段と、
前記画像から直線の検出を行う直線検出手段と、
前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定手段と、
前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜手段と、
前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出手段と、
前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段と、
を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置において、
前記部分画像が、前記縁部の両端の部分を含まないことを特徴とする判定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の判定装置おいて、
前記判定手段が、前記縁部に該当する直線から算出される厚みと、前記部分厚みのばらつきと、に応じて、前記真贋判定を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の判定装置において、
前記判定手段が、前記部分厚みが所定範囲内で、かつ、前記部分厚みのばらつきが所定値以内の場合、前記本人確認カードは本物であると判定することを特徴とする判定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の判定装置において、
前記判定手段が、前記部分画像を含む画像を入力データとした機械学習により判定される真贋判定の結果にも基づき、前記真贋判定を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項6】
画像取得手段が、本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得ステップと、
直線検出手段が、前記画像から直線の検出を行う直線検出ステップと、
縁部特定手段が、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定ステップと、
部分画像切抜手段が、前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜ステップと、
部分厚み算出手段が、前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出ステップと、
判定手段が、前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定ステップと、
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項7】
コンピュータを、
本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得手段、
前記画像から直線の検出を行う直線検出手段、
前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定手段、
前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜手段、
前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出手段、および、
前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段として機能させることを特徴とする判定装置用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人確認カードの真贋判定する判定装置、判定方法、および、判定装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して申請を行う際に、本人であることを確認するため、本人確認書類の画像が提出され、本人確認が行われている。例えば、特許文献1には、本人確認書類の撮像データを取得するデータ取得部と、本人確認書類の正規の書式レイアウト情報及び本人確認書類の判定基準領域における正規のルールを記憶する記憶部を参照し、データ取得部により取得された撮像データから、記憶部に記憶された書式レイアウト情報に基づき、判定基準領域に対応した撮像データを判定対象データとして抽出する抽出部と、抽出部で抽出された判定対象データからルールを認識する認識部と、認識部で認識されたルールと、記憶部に記憶された判定基準領域における正規のルールとの照合結果に基づき、本人確認書類の偽造を判定する判定部と、を備える偽造判定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、本人確認カードの偽造品が薄いカラーコピーの場合は、照明等との関係により、十分に偽物と判定できないことがあった。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上した判定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得手段と、前記画像から直線の検出を行う直線検出手段と、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定手段と、前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜手段と、前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出手段と、前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の判定装置において、前記部分画像が、前記縁部の両端の部分を含まないことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の判定装置おいて、前記判定手段が、前記縁部に該当する直線から算出される厚みと、前記部分厚みのばらつきと、に応じて、前記真贋判定を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の判定装置において、前記判定手段が、前記部分厚みが所定範囲内で、かつ、前記部分厚みのばらつきが所定値以内の場合、前記本人確認カードは本物であると判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の判定装置において、前記判定手段が、前記部分画像を含む画像を入力データとした機械学習により判定される真贋判定の結果にも基づき、前記真贋判定を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、画像取得手段が、本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得ステップと、直線検出手段が、前記画像から直線の検出を行う直線検出ステップと、縁部特定手段が、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定ステップと、部分画像切抜手段が、前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜ステップと、部分厚み算出手段が、前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出ステップと、判定手段が、前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得手段、前記画像から直線の検出を行う直線検出手段、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定手段、前記縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜く部分画像切抜手段、前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出手段、および、前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像に対して、本人確認カードの縁部に該当する直線に交差する分割線により区分けされた部分画像を切り抜き、部分画像における本人確認カードの部分厚みに応じて、本人確認カードの厚みを判定するので、本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るカード判定システムの概要構成例を示す模式図である。
図2A】本人確認カードの表の面の一例を示す模式図である。
図2B】本人確認カードの裏の面の一例を示す模式図である。
図3図1の管理サーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図4】管理サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本人確認カードの一例を示す模式図である。
図6A】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
図6B】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
図6C】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
図7A】本人確認カードの画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
図7B】本人確認カードの画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
図7C】本人確認カードの画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
図7D】本人確認カードの画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
図8A】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
図8B】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、カード判定システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0016】
[1.カード判定システムの構成および機能概要]
(1.1 カード判定システムの構成および機能)
まず、本発明の一実施形態に係るカード判定システムの構成および概要機能について、図1から図3を用いて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るカード判定システム1の概要構成例を示す模式図である。図2Aは、本人確認カードの表の面の一例を示す模式図である。図2Bは、本人確認カードの裏の面の一例を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、カード判定システム1は、各種申請を受け付け、本人確認カードの判定を行う管理する管理サーバ装置10と、各種申請を行う携帯端末装置20と、を備えている。
【0019】
判定装置の一例である管理サーバ装置10は、例えば、銀行の口座の開設や、クレジットカードの申請のための各種の申請書の受付業務の依頼を受けている会社が管理するサーバ装置である。管理サーバ装置10には、申請書類を検査する検査端末装置(図示せず)が、ローカルエリアネットワーク等により、接続されている。
【0020】
携帯端末装置20は、例えば、申請者本人が使用するスマートフォン、タブレットのような、カメラ付きの携帯端末装置である。携帯端末装置20には、申請専用のアプリがインストールされている。
【0021】
本人確認カードは、運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、カード式の健康保険証等である。本人確認カードは、プラスチック製等の所定の厚さを有するカードであることが好ましい。
【0022】
本人確認カードが運転免許証である場合、図2Aに示すように、運転免許証30の表の面には、本人の氏名31、生年月日、住所、交付日、免許証番号、写真32、発行元33、発行元の公印34の記載がある。これらの項目は、本人確認カードにおいて、所定の位置に記載されている。発行元33の記載は、通常、赤色の文字で記載されている。公印34は、通常、赤色で、角が取れた四角い赤枠の中に、赤色の文字で記載されている。発行元33および公印34は、発行元を示す記載の一例である。また、運転免許証30は、長手方向の上辺30a、下辺30b、短手方向の側辺30c等を有する。本人確認カードの縁部の一例である運転免許証30の角30dは、丸みを帯びている。
【0023】
また、図2Bに示すように、運転免許証30の裏の面には、追記が可能な備考欄35の記載がある。備考欄35の中には、住所変更等があったときに、変更後の住所等が記載され、赤色の公印が押される。
【0024】
管理サーバ装置10と各携帯端末装置20とは、ネットワーク3を介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。各携帯端末装置20は、例えば、移動体通信網の無線基地局5を介して、ネットワーク3に接続する。なお、ネットワーク3は、例えば、ローカルエリアネットワーク、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網、およびゲートウェイ等により構築されている。
【0025】
(1.2 管理サーバ装置10の構成および機能)
次に、管理サーバ装置10の構成および機能について、図3を用いて説明する。
【0026】
図3は、管理サーバ装置10の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、コンピュータとして機能する管理サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、入出力インターフェース部15と、制御部16と、を備えている。そして、制御部16と入出力インターフェース部15とは、システムバス17を介して接続されている。
【0028】
通信部11は、ネットワーク3に接続して、各携帯端末装置20との通信状態を制御するようになっている。
【0029】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されており、オペレーティングシステムおよびサーバプログラム等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワーク3を介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0030】
記憶部12には、本人確認カード毎の記載のパターンの情報等の本人確認カード・データベース、申請用のアプリに関するデータベース、機械学習のデータベース、申請書の依頼の顧客を管理するためのデータベース、申請者を管理するためのデータベース等が構築されている。また、記憶部12には、画像処理用やOCR(Optical Character Recognition)用の様々なプログラムが記憶されている。
【0031】
本人確認カード・データベースには、本人確認カードの種類毎に、記載のパターンの情報として、氏名、生年月日、住所、公印、備考欄等の各記載項目の本人確認カードにおける位置関係等のパターンの情報が記憶されている。
【0032】
運転免許証30の場合、本人確認カード毎の記載のパターンの情報のデータベースには、本人の氏名31、写真32、発行元33、発行元の公印34等の記載欄の位置情報、運転免許証30の厚さ、各辺の長さ等のサイズ情報等が記憶されている。
【0033】
本人確認カード・データベースには、様々のテンプレート画像が記憶されている。テンプレート画像として、記載事項が未記入である、運転免許証30の表の面全体のテンプレート画像、裏の面全体のテンプレート画像、都道府県毎の発行元33および公印34等の発行元を示す記載のテンプレート画像、備考欄部分のテンプレート画像、備考欄の線分のみのテンプレート画像等が上げられる。本人確認カード・データベースには、都道府県毎の発行元33のテキスト情報、おおよび、公印34のテキスト情報が記憶されている。
【0034】
機械学習のデータベースには、学習済みのモデルが構築されている。機械学習として、多層ニューラルネットワーク構造を有する深層学習等が挙げられる。
【0035】
表示部13は、例えば、液晶表示素子または有機EL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。操作部14は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。入出力インターフェース部15は、通信部11等と制御部16との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0036】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
【0037】
[2.カード判定システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係るカード判定システムの動作について図を用いて説明する。なお、運転免許証30の厚みの検査の動作が、主に説明される。
【0038】
図4は、管理サーバ装置10の動作を示すフローチャートである。図5は、本人確認カードの一例を示す模式図である。図6は、本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。図7A図7Dは、本人確認カードの画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。図8Aから図8Cは、本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
【0039】
先ず、申請者は、予め申請専用のアプリを管理サーバ装置10から携帯端末装置20にダウンロードしておく。申請の際、携帯端末装置20において、申請専用のアプリが起動される。起動したアプリの指示に従い、申請者は、氏名、生年月日、住所、電話番号等の申請事項を入力していく。
【0040】
本人確認の段階で、携帯端末装置20のカメラが起動される。机等の平坦な場所に置かれた運転免許証30が、携帯端末装置20のカメラにより、アプリの指示に従って、複数の角度から撮影される。例えば、申請者は、携帯端末装置20のカメラを使用して、運転免許証30の表の面を、真上の正面からと、運転免許証30の下辺30bを手前にした斜め方向から撮影する。図5に示すように、運転免許証30の上の面の法線に対して斜め方向から撮影されると、運転免許証30の厚み方向の厚さdの部分が撮影される。また、申請者は、携帯端末装置20のカメラを使用して、運転免許証30の裏の面も撮影する。例えば、図6に示すように、斜め方向から撮影された画像40等が撮影される。
【0041】
また、携帯端末装置20のカメラが起動して、アプリの指示に従って、自撮りで、複数の角度から自分の顔が撮影される。
【0042】
携帯端末装置20は、撮影した運転免許証30の画像データを、アプリの指示に応じた表の面、裏の面、撮影方向の情報と共に、管理サーバ装置10に送信する。携帯端末装置20は、申請事項の情報、顔の画像等も、管理サーバ装置10に送信する。
【0043】
図4に示すように、管理サーバ装置10は、画像を取得する(ステップS1)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、ネットワーク3を介して、携帯端末装置20から、運転免許証30の画像データを取得する。このように、管理サーバ装置10は、プラスチック製の本人確認カードを、前記本人確認カードの面の法線に対して斜め方向から撮影した画像を取得する画像取得手段の一例として機能する。
【0044】
次に、管理サーバ装置10は、取得した各画像に対して前処理を行う(ステップS2)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、取得した各画像の画像データに対してノイズ除去、傾き補正等の前処理を行う。ノイズ補正の処理の場合、制御部16が、各画像の画像データに対して、ガウシアンフィルタ等によるフィルタ処理で高周波成分を除去する。傾き補正の処理の場合、制御部16が、各画像の画像データに対して、例えば、画像処理により画像における運転免許証30の外枠を検出し、射影変換により傾きを補正して、運転免許証30は、長手方向の下辺30b等がx方向になるようにする。制御部16が、各画像の画像データに対して、明るさや色調の補正を行ってもよい。
【0045】
次に、管理サーバ装置10は、直線を検出する(ステップS3)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、運転免許証30の下辺30bを手前にした斜め方向から撮影された画像40に対して、エッジ検出あるいは直線検出の画像処理により、図6Bに示すように、x方向の直線41、42、43、44や、側辺30cに対応する直線45等を検出する。制御部16は、画像40に対してエッジ検出の処理をして、ハフ変換、LSD(Line Segment Detector)等によって直線検出をしてもよい。このように、管理サーバ装置10は、前記画像から直線の検出を行う直線検出手段の一例として機能する。
【0046】
次に、管理サーバ装置10は、定型パターンを検出する(ステップS4)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、運転免許証30における本人の氏名31等の記載欄の位置の情報等に基づき、斜め方向から撮影された画像40から、本人の氏名31、生年月日、住所、交付日、免許証番号、写真32、発行元33、発行元の公印34、備考欄35、上辺30a、下辺30b等の部分に対応する定型パターン部分を特定して検出する。なお、制御部16が、水平方向の直線41等と、直線45とから、撮影方向を計算して、計算された撮影方向と、記載欄の位置の情報とに基づき、定型パターン部分を特定してもよい。
【0047】
次に、管理サーバ装置10は、厚み部分の直線を検出する(ステップS5)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、ステップS3で検出した直線の候補の中から、角度が水平であるものを厚み部分の直線候補として残す。そして、制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、画像40から定型部分(例えば、写真32、発行元33、公印34)を特定し、それと直線候補との位置関係から、本人確認カードの縁部に該当する直線の一例として、図6Cに示すように、運転免許証30の表の面の下辺30bに対応する直線43と、運転免許証30の裏の面の下辺30bに対応する直線44とを選択する。このように、管理サーバ装置10は、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの縁部に該当する前記直線を特定する縁部特定手段の一例として機能する。
【0048】
次に、制御部16は、直線43と直線44との距離、すなわち、直線43と直線44との間におけるy方向の画素数を計算する。制御部16は、直線43と直線44との距離から、画像40の中における運転免許証30のサイズ、撮影方向の情報等に基づき、運転免許証30の厚みを計算する。この厚みは、運転免許証30の下辺30b全体の厚みで、厚みの絶対値とする。
【0049】
ここで、図7A図7Dに示すように、異常な厚みとなるケースについて説明する。
【0050】
図7Aに示すように、カラーコピー紙の場合、紙の厚さが薄いため、直線43と直線44との距離が短くなり、計算される厚みの絶対値が、下限の所定値より小さくなる。また、図7Bに示すように、カラーコピー紙の場合、うねりが生じやすいため、直線43と直線44との距離が、図7Aに示した値よりも、厚みの絶対値が大きくなる。また、図7Cに示すように、撮影中に動いてしまう等の原因で、異常な厚みに写ってしまい、直線43と直線44との距離が長くなり、計算される厚みの絶対値が上限の所定値より大きくなる。また、図7Dに示すように、下辺30bが何かで覆われている場合、直線43と直線44との距離が長くなり、厚みの絶対値が上限の所定値より大きくなる。申請された運転免許証30の厚みの絶対値が所定値範囲なら、本物の運転免許証30の厚みであると判定される。
【0051】
次に、管理サーバ装置10は、部分画像に分割する(ステップS6)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、図8Aに示すように、下辺30bに対応する部分の画像を、y方向の複数の分割線46により、複数の部分画像に分割する。分割線46は、縁部に該当する直線に交差する分割線の一例である。ここで、運転免許証30の角30dに対応する部分が、部分画像にならないように、両端の分割線46が決定される。すなわち、部分画像が、縁部の両端の部分を含まないように、縁部に該当する直線に交差する分割線が決定される。
【0052】
直線43は、複数の分割線46によって複数の部分直線43aに分割される。直線44は、複数の分割線46によって複数の部分直線44aに分割される。
【0053】
複数の分割線46のx方向の間隔は、等間隔、等間隔で無くてもよい。分割線46の本数は、部分画像が真ん中辺りと、左右部分が生じるように3以上が好ましい。
【0054】
次に、管理サーバ装置10は、各部分画像において厚み幅を算出する(ステップS7)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、部分直線43aと、対向する部分線分44aとの距離(画像40の縦方向の画素数)に基づき、各部分画像において厚み幅(部分厚みの一例)を算出する。このように、管理サーバ装置10は、前記部分画像における前記本人確認カードの部分厚みを算出する部分厚み算出手段の一例として機能する。
【0055】
図8Bに示すように、カラーコピー紙で、下辺部分にうねりがある場合、部分直線43aと対向する部分線分44aとの距離にばらつきが生じる。
【0056】
次に、管理サーバ装置10は、部分画像における厚みのばらつきを算出する(ステップS8)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、各部分画像において各厚み幅から、分散、または、標準偏差等の厚みのばらつきを算出する。なお、図8Aに示すような本物の運転免許証30の場合、厚みのばらつきは、ほぼ零になる。しかし、図8Bに示すような場合、厚みのばらつきが所定値より大きくなる。申請された運転免許証30の厚みのばらつきが所定値以下なら、本物の運転免許証30の厚みであると判定される。
【0057】
次に、管理サーバ装置10は、機械学習による厚みの外観を判定する(ステップS9)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、2本の直線43、44に挟まれた厚み部分を切り出した画像を、入力画像として、学習済み機械学習のモデルに入力し、真贋判定を行う。機械学習のモデルとしては、例えばニューラルネットワークやサポートベクトルマシンが挙げられる。なお、本物の運転免許証30の画像において、運転免許証30の厚み部分を切り出した画像が、機械学習のモデルに入力され、予め学習が行われる。また、主成分分析や判別分析等の統計モデルを用いて、厚みの外観の判定が行われてもよい。
【0058】
次に、管理サーバ装置10は、判定結果を出力する(ステップS10)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、厚みの絶対値による判定と、部分画像の厚みのばらつきによる判定と、機械学習による厚みの判定と、を組み合わせて、厚みの真贋判定を行う。より具体的には、申請された運転免許証30の厚みの絶対値が所定値範囲で、部分画像の厚みのばらつきが所定値以下である場合、運転免許証30の厚みに関して、管理サーバ装置10は、運転免許証30の厚みが適正であり、本物の本人確認カードであると判定する。管理サーバ装置10は、判定結果を表示部13等に出力する。
【0059】
このように、管理サーバ装置10は、前記部分厚みに応じて、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段の一例として機能する。また、管理サーバ装置10は、前記厚みが所定範囲内で、かつ、前記部分厚みのばらつきが所定値以内の場合、前記本人確認カードは本物であると判定する判定手段の一例として機能する。また、管理サーバ装置10は、前記部分画像を含む画像を入力データとした機械学習により判定される真贋判定の結果にも基づき、前記真贋判定を行うる判定手段の一例として機能する。
【0060】
さらに、管理サーバ装置10は、運転免許証30の表の面を真上から撮影した画像から、運転免許証30の発行元33および公印34の発行元を示す記載が本物であるか否かを判定する。また、管理サーバ装置10は、運転免許証30の裏の面を真上から撮影した画像から、備考欄35に関して、欠損があるか否か、住所・氏名の訂正等の追記事項がある否か等の判定を行う。
【0061】
さらに、管理サーバ装置10は、運転免許証30の発行番号が確認できるか、運転免許証30の生年月日と申請項目の生年月日が一致しているか、運転免許証30の氏名と申請項目の氏名が一致しているか、運転免許証30の住所と申請項目の住所が一致しているか、申込日時を基準とし、運転免許証30は有効期限内か、運転免許証30の顔写真と自撮り画像は同一人物か否か等を判定する。これらの判定結果にも基づき、管理サーバ装置10は、運転免許証30の最終的な真贋判定を行う。
【0062】
以上、本実施形態によれば、本人確認カードの一例である運転免許証30の面の法線に対して斜め方向から撮影した画像40に対して、運転免許証30の縁部の下辺30bに該当する直線43、44に交差する分割線46により区分けされた部分画像を切り抜き、部分画像における本人確認カードの部分厚みに応じて、本人確認カードの厚みを判定するので、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【0063】
また、部分画像が、縁部の両端の部分を含まない場合、運転免許証30の角30d等の丸みを帯びている等による影響を受けにいため、部分厚みの精度が向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【0064】
また、縁部の一例の辺30bに該当する直線43、44から算出される厚みと、部分画像から算出される部分厚みのばらつきと、に応じて、真贋判定を行う場合、厚みの判定精度が向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【0065】
また、厚みが所定範囲内で、かつ、部分厚みのばらつきが所定値以内の場合、運転免許証30は本物であると判定する場合、厚みの判定精度が向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【0066】
また、部分画像を含む画像を入力データとした機械学習により判定される真贋判定の結果にも基づき、真贋判定を行う場合、厚み部分の画像による判定が加わることで、厚みの判定精度が向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【符号の説明】
【0067】
1・・・カード判定システム
10・・・管理サーバ装置(判定装置)
20・・・携帯端末装置
30・・・運転免許証(本人確認カード)
40・・・画像
43、44・・・直線(縁部に該当する直線)
46・・・分割線
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B