(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134396
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、および、判定装置用のプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240926BHJP
B42D 25/30 20140101ALI20240926BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
B42D25/30
G06T7/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044670
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 航
(72)【発明者】
【氏名】平田 鷹志
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓人
【テーマコード(参考)】
2C005
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB01
5B043AA10
5L096BA17
5L096BA18
5L096DA02
5L096EA45
5L096FA02
5L096JA09
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上した判定装置等を提供する。
【解決手段】本人確認カードを撮影した画像40を取得し(S1)、本人確認カードの定型パターンの情報から、本人確認カードの発行元を示す記載(33、34)の部分画像を切り抜き(S5)、部分画像と発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較し(S6)、部分画像の特徴量とテンプレート画像の特徴量とを、比較し(S7)、画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、本人確認カードの真贋判定を行う(S9)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得手段と、
前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜手段と、
前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較手段と、
前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較手段と、
前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段と、
を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置において、
前記取得した画像に対して、色調の補正を行う色調補正手段を更に備え、
前記部分画像切抜手段が、色調補正された画像から、前記部分画像を切り抜くことを特徴とする判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の判定装置において、
前記部分画像の文字情報と、前記発行元を示す記載と比較する文字情報比較手段を更に備え、
前記判定手段が、前記文字情報の比較の結果に基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項4】
画像取得手段が、本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得ステップと、
部分画像切抜手段が、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜ステップと、
画素比較手段が、前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較ステップと、
特徴量比較手段が、前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較ステップと、
判定手段が、前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定ステップと、
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項5】
本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得手段と、
前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜手段、
前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較手段、
前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較手段、および、
前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段として機能させることを特徴とする判定装置用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人確認カードの真贋判定する判定装置、判定方法、および、判定装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して申請を行う際に、本人であることを確認するため、本人確認書類の画像が提出され、本人確認が行われている。例えば、特許文献1には、本人確認書類の撮像データを取得するデータ取得部と、本人確認書類の正規の書式レイアウト情報及び本人確認書類の判定基準領域における正規のルールを記憶する記憶部を参照し、データ取得部により取得された撮像データから、記憶部に記憶された書式レイアウト情報に基づき、判定基準領域に対応した撮像データを判定対象データとして抽出する抽出部と、抽出部で抽出された判定対象データからルールを認識する認識部と、認識部で認識されたルールと、記憶部に記憶された判定基準領域における正規のルールとの照合結果に基づき、本人確認書類の偽造を判定する判定部と、を備える偽造判定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯端末装置により撮影された画像においては、照明の具合、角度等、状況に応じて撮影条件が様々であり、撮影対象の本人確認カードの汚れ等の本人確認カードの状態も様々である。そのため、本人確認カードの発行元を示す記載の判定において、上記従来の技術では、本物の本人確認カードのものであっても、偽造品と判定されたり、判定が不可であったり等の問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上した判定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得手段と、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜手段と、前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較手段と、前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較手段と、前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の判定装置において、前記取得した画像に対して、色調の補正を行う色調補正手段を更に備え、前記部分画像切抜手段が、色調補正された画像から、前記部分画像を切り抜くことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の判定装置において、前記部分画像の文字情報と、前記発行元を示す記載と比較する文字情報比較手段を更に備え、前記判定手段が、前記文字情報の比較の結果に基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、画像取得手段が、本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得ステップと、部分画像切抜手段が、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜ステップと、画素比較手段が、前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較ステップと、特徴量比較手段が、前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較ステップと、判定手段が、前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得手段と、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜手段、前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較手段、前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較手段、および、前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜き、部分画像と発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較し、部分画像の特徴量とテンプレート画像の特徴量とを、比較し、画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、本人確認カードの真贋判定を行うので、本人確認カードの発行元を示す記載の判定の精度が向上し、本人確認カードに対する真贋の判定精度がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るカード判定システムの概要構成例を示す模式図である。
【
図2A】本人確認カードの一例を示す模式図である。
【
図2B】本人確認カードの一例を示す模式図である。
【
図3】
図1のサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本人確認カードの画像の一例を示す模式図である。
【
図6】本人確認カードにおける印影の画像の一例を示す模式図である。
【
図7】本人確認カードにおける印影の画像の一例を示す模式図である。
【
図8】本人確認カードにおける印影の画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
【
図9】本人確認カードにおける印影の画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
【
図10】本人確認カードにおける印影の画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、カード判定システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0014】
[1.カード判定システムの構成および機能概要]
(1.1 カード判定システムの構成および機能)
まず、本発明の一実施形態に係るカード判定システムの構成および概要機能について、
図1から
図3を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るカード判定システム1の概要構成例を示す模式図である。
図2Aは、本人確認カードの表の面の一例を示す模式図である。
図2Bは、本人確認カードの裏の面の一例を示す模式図である。
【0016】
図1に示すように、カード判定システム1は、各種申請を受け付け、本人確認カードの判定を行う管理する管理サーバ装置10と、各種申請を行う携帯端末装置20と、を備えている。
【0017】
判定装置の一例である管理サーバ装置10は、例えば、銀行の口座の開設や、クレジットカードの申請のための各種の申請書の受付業務の依頼を受けている会社が管理するサーバ装置である。管理サーバ装置10には、申請書類を検査する検査端末装置(図示せず)が、ローカルエリアネットワーク等により、接続されている。
【0018】
携帯端末装置20は、例えば、申請者本人が使用するスマートフォン、タブレットのような、カメラ付きの携帯端末装置である。携帯端末装置20には、申請専用のアプリがインストールされている。
【0019】
本人確認カードは、運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、カード式の健康保険証等である。本人確認カードは、プラスチック製等の所定の厚さを有するカードであることが好ましい。
【0020】
本人確認カードが運転免許証である場合、
図2Aに示すように、運転免許証30の表の面には、本人の氏名31、生年月日、住所、交付日、免許証番号、写真32、発行元33、発行元の公印34の記載がある。これらの項目は、本人確認カードにおいて、所定の位置に記載されている。発行元33の記載は、通常、赤色の文字で記載されている。公印34は、通常、赤色で、角が取れた四角い赤枠の中に、赤色の文字で記載されている。発行元33および公印34は、発行元を示す記載の一例である。また、運転免許証30は、長手方向の上辺30a、下辺30b、短手方向の側辺30c等を有する。運転免許証30の角30dは、丸みを帯びている。
【0021】
また、
図2Bに示すように、運転免許証30の裏の面には、追記が可能な備考欄35の記載がある。備考欄35の中には、住所変更等があったときに、変更後の住所等が記載され、赤色の公印が押される。
【0022】
管理サーバ装置10と各携帯端末装置20とは、ネットワーク3を介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。各携帯端末装置20は、例えば、移動体通信網の無線基地局5を介して、ネットワーク3に接続する。なお、ネットワーク3は、例えば、ローカルエリアネットワーク、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網、およびゲートウェイ等により構築されている。
【0023】
(1.2 管理サーバ装置10の構成および機能)
次に、管理サーバ装置10の構成および機能について、
図3を用いて説明する。
【0024】
図3は、管理サーバ装置10の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、コンピュータとして機能する管理サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、入出力インターフェース部15と、制御部16と、を備えている。そして、制御部16と入出力インターフェース部15とは、システムバス17を介して接続されている。
【0026】
通信部11は、ネットワーク3に接続して、各携帯端末装置20との通信状態を制御するようになっている。
【0027】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されており、オペレーティングシステムおよびサーバプログラム等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワーク3を介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0028】
記憶部12には、本人確認カード毎の記載のパターンの情報等の本人確認カード・データベース、申請用のアプリに関するデータベース、機械学習のデータベース、申請書の依頼の顧客を管理するためのデータベース、申請者を管理するためのデータベース等が構築されている。また、記憶部12には、画像処理用やOCR(Optical Character Recognition)用の様々なプログラムが記憶されている。
【0029】
本人確認カード・データベースには、本人確認カードの種類毎に、記載のパターンの情報として、氏名、生年月日、住所、公印、備考欄等の各記載項目の本人確認カードにおける位置関係等のパターンの情報が記憶されている。
【0030】
運転免許証30の場合、本人確認カード毎の記載のパターンの情報のデータベースには、本人の氏名31、写真32、発行元33、発行元の公印34等の記載欄の位置情報、運転免許証30の厚さ、各辺の長さ等のサイズ情報等が記憶されている。
【0031】
本人確認カード・データベースには、様々のテンプレート画像が記憶されている。テンプレート画像として、記載事項が未記入である、運転免許証30の表の面全体のテンプレート画像、裏の面全体のテンプレート画像、都道府県毎の発行元33および公印34等の発行元を示す記載のテンプレート画像、備考欄部分のテンプレート画像、備考欄の線分のみのテンプレート画像等が上げられる。本人確認カード・データベースには、都道府県毎の発行元33のテキスト情報、おおよび、公印34のテキスト情報が記憶されている。
【0032】
機械学習のデータベースには、学習済みのモデルが構築されている。機械学習として、多層ニューラルネットワーク構造を有する深層学習が挙げられる。
【0033】
表示部13は、例えば、液晶表示素子または有機EL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。操作部14は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。入出力インターフェース部15は、通信部11等と制御部16との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0034】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
【0035】
[2.カード判定システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係るカード判定システムの動作について図を用いて説明する。なお、運転免許証30の発行元を示す記載部分である発行元33、発行元の公印34の検査の動作が、主に説明される。
【0036】
図4は、管理サーバ装置10の動作を示すフローチャートである。
図5は、本人確認カードの一例を示す模式図である。
図6および
図7は、本人確認カードにおける印影の画像の一例を示す模式図である。
図8~
図10は、本人確認カードにおける印影の画像に対する画像処理の一例を示す模式図である。
【0037】
先ず、申請者は、予め申請専用のアプリを管理サーバ装置10から携帯端末装置20にダウンロードしておく。申請の際、携帯端末装置20において、申請専用のアプリが起動される。起動したアプリの指示に従い、申請者は、氏名、住所、電話番号等の申請事項を入力していく。
【0038】
本人確認の段階で、携帯端末装置20のカメラが起動される。机等の平坦な場所に置かれた運転免許証30が、携帯端末装置20のカメラにより、アプリの指示に従って、複数の角度から撮影される。例えば、申請者は、携帯端末装置20のカメラを使用して、運転免許証30の表の面を、真上の正面からと、運転免許証30の下辺30bを手前にした斜め方向から撮影する。斜め方向から撮影されると、運転免許証30の厚み方向の厚さが撮影される。また、申請者は、携帯端末装置20のカメラを使用して、運転免許証30の裏の面も撮影する。
図5に示すように、運転免許証30の表の面を、真上から撮影すると、画像40等が撮影される。
【0039】
また、携帯端末装置20のカメラが起動して、アプリの指示に従って、自撮りで、複数の角度から自分の顔が撮影される。
【0040】
携帯端末装置20は、撮影した運転免許証30の画像データを、アプリの指示に応じた表の面、裏の面、撮影方向の情報と共に、管理サーバ装置10に送信する。携帯端末装置20は、申請事項の情報、顔の画像等も、管理サーバ装置10に送信する。
【0041】
図4に示すように、管理サーバ装置10は、画像を取得する(ステップS1)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、ネットワーク3を介して、携帯端末装置20から、運転免許証30の画像データを取得する。このように、管理サーバ装置10は、プラスチック製の本人確認カードを撮影した画像を取得する画像取得手段の一例として機能する。
【0042】
次に、管理サーバ装置10は、幾何学的補正を行う(ステップS2)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、画像40の画像データに対して、運転免許証30のテンプレート画像を用いて、マッチングを行い、正面から撮影された画像に近い状態へ画像変換する。幾何学的補正の手法として、SIFT (Scale-invariant feature transform)やAKAZE(Accelerated KAZE)といった局所特徴量や、直線検出・矩形検出を用いる方法が挙げられる。
【0043】
次に、管理サーバ装置10は、ノイズを除去する(ステップS3)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、画像40の画像データに対して、ガウシアンフィルタ等によるフィルタ処理で高周波成分を除去する。なお、ノイズ除去の処理が、幾何学的補正の前に行われてもよい。
【0044】
次に、管理サーバ装置10は、明るさ・色調補正を行う(ステップS4)。管理サーバ装置10の制御部16が、各画像40の画像データに対して、明るさや色調の補正を行ってもよい。より具体的には、制御部16が、画像40の輝度のヒストグラムを計算して、画像40の明るさの補正を行う。さらに、運転免許証30の場合、白色の部分の割合が多いので、運転免許証30の外枠を特定して、画像40において運転免許証30中の白色の部分を基準に、画像の平均値や中央値等の統計量を用いて、色調補正を行う。このように、管理サーバ装置10は、前記取得した画像に対して、色調の補正を行う色調補正手段の一例として機能する。
【0045】
次に、管理サーバ装置10は、発行元を示す記載部分を抽出する(ステップS5)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、運転免許証30の定型パターンの位置情報および色情報に基づき、本人確認カードの発行元を示す記載部分である発行元33の部分、発行元の公印34の部分のそれぞれの部分画像を切り出す。より具体的には、運転免許証30の表の面の画像40において、右下の角30dを基準に、発行元33および公印34の座標情報、赤色に近い色の画素の情報に基づき、発行元33の部分、発行元の公印34の部分のそれぞれの部分画像を切り出す。特に、公印34の部分は、画像処理により、画像40からエッジを抽出し、エッジ情報に基づき、切り出されてもよい。公印34の場合、
図6の(a)に示すように、公印34の部分画像が切り出される。発行元33の場合、
図7の(a)に示すように、発行元33の部分画像が切り出される。このように、管理サーバ装置10は、前記本人確認カードの定型パターンの情報から、前記本人確認カードの発行元を示す記載の部分画像を切り抜く部分画像切抜手段の一例として機能する。また、管理サーバ装置10は、色調補正された画像から、前記部分画像を切り抜く部分画像切抜手段の一例として機能する。
【0046】
ここで、本人確認カードの発行元を示す記載部分が、照明や光の反射の具合であったり、指で隠れたり、付箋が貼られていたりで、公印34および発行元33の画像が、白飛び等の欠けた場合について説明する。
図6(b)および
図7(b)は、公印34および発行元33の下側の画像が欠けた場合である。
図6(c)および
図7(c)は、公印34および発行元33の横側の画像が欠けた場合である。
図6(d)および
図7(d)は、公印34および発行元33の画像が、斜めに欠けた場合である。
図6(e)および
図7(e)は、公印34および発行元33の画像が、十字に画像が欠けた場合である。
【0047】
次に、管理サーバ装置10は、テンプレート等との比較を行う(ステップS6)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、発行元33のテンプレート画像と切り出した発行元33の部分画像とを画素レベルで比較して、および、公印34のテンプレート画像と切り出した公印34の部分画像とを画素レベルで比較して、類似度は所定以上であるか否か、欠け、汚れ等の欠陥の有無を判定する。例えば、制御部16は、MSE(Mean Squared Error)、SSIM(structural similarity)等の尺度により、部分画像とテンプレート画像との画素レベルでの類似度を計算する。また、制御部16は、例えば、特許第4844784号公報に開示された技術を使用して、テンプレート画像を検査基準対象画像、および、公印34等の部分画像を検査対象画像として、これらの画像から、(基準-対象)差分画像、(対象-基準)差分画像、検査対象エッジ画像、検査対象エッジ膨張画像等を生成し、欠陥を検出する。なお、公印34の場合、外枠部分は、感度を低くして、画素レベルで比較して、類似度、欠け、汚れ等の欠陥の有無を判定してもよい。このように、管理サーバ装置10は、前記部分画像と前記発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較する画素比較手段の一例として機能する。
【0048】
次に、管理サーバ装置10は、テンプレート画像との特徴量を比較する(ステップS7)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、発行元33のテンプレート画像と切り出した発行元33の部分画像との特徴量を比較して、および、公印34のテンプレート画像と切り出した公印34の部分画像との特徴量を比較する。例えば、特徴量として、面積比、縦横比等の形状に基づく特徴量、色情報等が挙げられる。
【0049】
より具体的には、面積で欠陥の割合が計算される。制御部16は、
図8(a)に示すように、切り出した公印34の部分画像に対して、赤色部分を抽出した赤色画像、および、
図8(b)に示すように、エッジ画像を抽出し、これらのANDで合成した合成画像を生成し、クロージング処理等により、
図8(c)に示すように、公印34の外枠に対して内部が白色の画像を生成する。また、
図9(a)に示すように、公印34の画像に欠けがある場合、
図9(b)に示すように、欠けた部分が黒くなった画像が生成される。また、
図10(a)に示すように、公印34の部分にシール等が貼られている場合、
図10(b)に示すように、全体が黒くなった画像が生成される。
【0050】
次に、制御部16は、
図8(c)、
図9(b)、および、
図10(b)に示すように、生成された画像の外接矩形に対する黒色領域の面積比または画素数比を計算する。なお、発行元33の場合は、包絡する外形を求めてから、公印34の場合と同じような計算を行ってもよい。
【0051】
また、制御部16は、発行元33のテンプレート画像と切り出した発行元33の部分画像との類似度、および、公印34のテンプレート画像と切り出した公印34の部分画像との類似度を計算してもよい。制御部16は、ヒストグラム、画素同士の比較、画像の正規化相関値、ハッシュ値、機械学習等により類似度を計算する。
【0052】
このように、管理サーバ装置10は、前記部分画像の特徴量と前記テンプレート画像の特徴量とを、比較する特徴量比較手段の一例として機能する。
【0053】
次に、管理サーバ装置10は、文字情報を比較する(ステップS8)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、OCRにより、発行元33の部分画像から、文字をテキスト化する。また、制御部16は、OCRにより、公印34の部分画像から、公印34の外枠の中に文字をテキスト化する。次に、制御部16は、記憶部12の本人確認カード・データベースを参照して、発行元33の文字列、公印34の文字列が、それぞれのテンプレート画像に対応する文字列と一致するか否かを判定する。このように、管理サーバ装置10は、前記部分画像の文字情報と、前記発行元を示す記載と比較する文字情報比較手段の一例として機能する。
【0054】
次に、管理サーバ装置10は、判定結果を出力する(ステップS9)。具体的には、管理サーバ装置10の制御部16は、欠陥の有無の判定結果、特徴量の比較、および、文字情報の比較に基づき、発行元を示す記載の発行元33および公印34に関して、それぞれ本物であるか否かを判定する。より具体的には、発行元33および公印34に関して、画素レベルで欠陥が無いと判定され、欠陥の割合が所定値以下等とテンプレート画像と類似していると判定され、かつ、文字情報が一致と判定された場合、管理サーバ装置10は、発行元を示す記載が本物であるか否かを判定する。管理サーバ装置10は、判定結果を表示部13等に出力する。
【0055】
このように、管理サーバ装置10は、前記画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行う判定手段の一例として機能する。また、管理サーバ装置10は、前記文字情報の比較の結果に基づき、前記本人確認カードの真贋判定を行判定手段の一例として機能する。
【0056】
さらに、管理サーバ装置10は、運転免許証30の下辺30bを手前にした斜め方向から撮影した画像から、運転免許証30の厚みに関して、管理サーバ装置10は、運転免許証30の厚みが適正である否かを判定する。また、管理サーバ装置10は、運転免許証30の裏の面を真上から撮影した画像から、備考欄35に関して、欠損があるか否か、住所・氏名の訂正等の追記事項がある否か等の判定を行う。
【0057】
さらに、管理サーバ装置10は、運転免許証30の発行番号が確認できるか、運転免許証30の生年月日と申請項目の生年月日が一致しているか、運転免許証30の氏名と申請項目の氏名が一致しているか、運転免許証30の住所と申請項目の住所が一致しているか、申込日時を基準とし、運転免許証30は有効期限内か、運転免許証30の顔写真と自撮り画像は同一人物か否か等を判定する。これらの判定結果にも基づき、管理サーバ装置10は、運転免許証30の最終的な真贋判定を行う。
【0058】
以上、本実施形態によれば、本人確認カードの一例である運転免許証30の発行元を示す記載の一例である発行元33および公印34の少なくとも一方の部分画像を画像40から切り抜き、部分画像と発行元を示す記載のテンプレート画像とを、画素レベルでの比較し、部分画像の特徴量とテンプレート画像の特徴量とを、比較し、画素レベルでの比較の結果と、特徴量の比較とに基づき、運転免許証30の真贋判定を行うので、運転免許証30の発行元を示す記載の判定の精度が向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。また、画素レベルの比較や、形状の分析を元に光の反射で隠れている割合等の類似度を算出できるので、それに閾値を設けることで多少の白飛びは正常品と判定することができる。
【0059】
また、取得した画像40に対して、色調の補正を行い、色調補正された画像から、部分画像を切り抜く場合、通常、赤色である発行元33および公印34が抽出され易くなり、運転免許証30の発行元33および公印34の判定の精度がより向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【0060】
また、部分画像の文字情報と、発行元を示す記載とを比較し、文字情報の比較の結果に基づき、運転免許証30の真贋判定を行う場合、発行元33および公印34に含まれる文字情報による比較判定も加わり、運転免許証30の発行元33および公印34の判定の精度がより向上し、運転免許証30に対する真贋の判定精度がより向上する。
【符号の説明】
【0061】
1・・・カード判定システム
10・・・管理サーバ装置(判定装置)
20・・・携帯端末装置
30・・・運転免許証(本人確認カード)
33・・・発行元(発行元を示す記載)
34・・・公印(発行元を示す記載)
40・・・画像