(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013441
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/08 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B65D21/08 BRH
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115526
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須賀 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】村田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】大澤 伸夫
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させる。
【解決手段】容器10は、深さ方向に直交する断面形状が環状の第1筒部11と、深さ方向に直交する断面形状が、第1筒部11に対して1よりも大きい相似比を有する環状の第2筒部12と、第1筒部11と第2筒部12との側面同士を接続する接続部13と、を備え、接続部13は、金属箔で形成され、第1筒部11及び第2筒部12のいずれよりも小さい剛性を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深さ方向に直交する断面形状が環状の第1筒部と、
前記深さ方向に直交する断面形状が、前記第1筒部に対して1よりも大きい相似比を有する環状の第2筒部と、
前記第1筒部と前記第2筒部との側面同士を接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、金属箔で形成され、前記第1筒部及び前記第2筒部のいずれよりも小さい剛性を有する容器。
【請求項2】
前記接続部を縮めた状態での当該容器の前記深さ方向の寸法が、内部に収容される物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記第1筒部は、前記深さ方向の寸法が前記物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記第1筒部には、調理によって液化する食品が前記物品として収容される請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記接続部を伸ばした状態での当該容器の前記深さ方向の寸法が、内部に収容される物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい請求項2記載の容器。
【請求項6】
前記第1筒部は、前記接続部とは反対側の端部を閉じる底面を有し、前記深さ方向の寸法が前記物品の前記深さ方向の寸法よりも小さい請求項5記載の容器。
【請求項7】
前記物品は、棒状の固体とされる請求項5または請求項6記載の容器。
【請求項8】
前記接続部には、複数の凹部が、前記深さ方向に沿う軸線周りの螺旋状に並んで形成される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記第1筒部及び前記第2筒部は、前記接続部と同じ金属箔で形成される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記接続部は、主としてアルミニウムを含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、深さ方向の伸縮を可能とした容器の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された容器は、上枠と上枠の内径に比較して小さい外径を有する下枠とを構成すると共にこの下枠に底板を設け、かつ、これら上下枠に屈曲できる樹脂材等の筒状面で形成する周壁を定着してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器の高さは、周壁が伸びた状態と、周壁が縮んだ状態と、の二者択一となっている。このため、容器の高さを任意の高さに調整することができず、利便性が芳しくない、という問題があった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
【0007】
<1>深さ方向に直交する断面形状が環状の第1筒部と、前記深さ方向に直交する断面形状が、前記第1筒部に対して1よりも大きい相似比を有する環状の第2筒部と、前記第1筒部と前記第2筒部との側面同士を接続する接続部と、を備え、前記接続部は、金属箔で形成され、前記第1筒部及び前記第2筒部のいずれよりも小さい剛性を有する容器。
【0008】
<2>前記接続部を縮めた状態での当該容器の前記深さ方向の寸法が、内部に収容される物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい上記<1>に記載の容器。
【0009】
<3>前記第1筒部は、前記深さ方向の寸法が前記物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい上記<2>に記載の容器。
【0010】
<4>前記第1筒部には、調理によって液化する食品が前記物品として収容される上記<3>に記載の容器。
【0011】
<5>前記接続部を伸ばした状態での当該容器の前記深さ方向の寸法が、内部に収容される物品の前記深さ方向の寸法よりも大きい上記<2>に記載の容器。
【0012】
<6>前記第1筒部は、前記接続部とは反対側の端部を閉じる底面を有し、前記深さ方向の寸法が前記物品の前記深さ方向の寸法よりも小さい上記<5>に記載の容器。
【0013】
<7>前記物品は、棒状の固体とされる上記<5>または<6>に記載の容器。
【0014】
<8>前記接続部には、複数の凹部が、前記深さ方向に沿う軸線周りの螺旋状に並んで形成される上記<1>から<7>のいずれかに記載の容器。
【0015】
<9>前記第1筒部及び前記第2筒部は、前記接続部と同じ金属箔で形成される上記<1>から<8>のいずれかに記載の容器。
【0016】
<10>前記接続部は、主としてアルミニウムを含有する上記<1>から<9>のいずれかに記載の容器。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載の技術によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】第1筒部内にチーズを収容し、接続部を最大限に縮め、開口部に蓋を取り付けた状態の容器を示す断面図
【
図4】接続部を最大限に伸ばし、蓋を取り外し、底部を加熱した状態の容器を示す断面図
【
図5】
図4よりも接続部を縮めた状態の容器を示す断面図
【
図6】
図5よりも接続部を縮めた状態の容器を示す断面図
【
図7】実施形態2に係る容器であって、内部にスティック菓子を収容し、接続部を最大限に伸ばし、開口部に蓋を取り付けた状態の容器を示す断面図
【
図8】接続部を最大限に縮め、蓋を取り外した状態の容器を示す断面図
【
図9】
図8よりも接続部を伸ばした状態の容器を示す断面図
【
図10】
図9よりも接続部を伸ばした状態の容器を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図6によって説明する。本実施形態では、物品として食品を収容する容器10を例示する。なお、各図面の一部には直交座標系を構成するX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、各図面に示されるX軸方向及びY軸方向が水平方向と一致し、Z軸方向が深さ方向(高さ方向)と一致している。
【0020】
容器10は、
図1に示すように、全体として上面側が開口した有底筒状をなす。容器10は、平面視にて略円形であり、水平方向についての径寸法(直径)が深さ寸法よりも大きい。容器10の内部空間は、食品を収容する収容空間となっている。容器10は、第1筒部11と、第1筒部11よりもZ軸方向の上側に位置する第2筒部12と、Z軸方向について第1筒部11と第2筒部12との間に位置してこれらの側面同士を接続する接続部13と、を備える。
【0021】
第1筒部11は、Z軸方向と直交する断面形状(X軸方向及びY軸方向に沿う断面形状)が円環状とされる。第1筒部11は、一方の端部に連なる底部11Aを有する。第1筒部11は、底部11Aの外周端部からZ軸方向に沿って立ち上がる構成とされる。第1筒部11は、下端部が底部11Aに連なり、上端部が接続部13に連なる。第1筒部11は、Z軸方向の位置に応じて径寸法が変化する。具体的には、第1筒部11は、Z軸方向に底部11A側から接続部13側へ向けて径寸法が次第に大きくなるよう、全体としてラッパ状をなしている。第1筒部11の径寸法は、底部11Aに連なる端部(下端部)において最小となり、接続部13に連なる端部(上端部)において最大となる。底部11Aは、平面形状が円形の板状をなしている。底部11Aの径寸法は、第1筒部11の径寸法の最小値である。底部11Aは、X軸方向及びY軸方向に並行する底面11A1を有する(
図3を参照)。底面11A1は、第1筒部11のうちの下側(接続部13に連なる側とは反対側)の端部を閉じている。第1筒部11内に食品が収容されると、底面11A1により食品が支持される。
【0022】
第2筒部12は、Z軸方向と直交する断面形状が円環状とされる。つまり、第2筒部12は、Z軸方向と直交する断面形状が第1筒部11と相似形をなしている。第2筒部12は、第1筒部11よりも径寸法が大きい。つまり、断面形状が第1筒部11と相似形をなす第2筒部12は、第1筒部11に対して1よりも大きい相似比を有する。第2筒部12は、下端部が接続部13に連なる。第2筒部12は、上端部に、上方外部に開口する開口部12Aを有する。第2筒部12は、Z軸方向の位置に応じて径寸法が変化する。具体的には、第2筒部12は、Z軸方向に接続部13側から開口部12A側に向けて径寸法が次第に大きくなるよう、全体としてラッパ状をなしている。第2筒部12の径寸法は、接続部13に連なる端部(下端部)において最小となり、開口を構成する端部(上端部)において最大となる。第2筒部12の径寸法の最小値は、第1筒部11の径寸法の最大値よりも大きい。
【0023】
接続部13は、Z軸方向と直交する断面形状が概ね円環状とされる。接続部13は、下端部が第1筒部11に連なり、上端部が第2筒部12に連なる。接続部13の詳しい構成は、後に改めて説明する。
【0024】
上記のような構成の容器10は、金属箔からなる。つまり、容器10を構成する第1筒部11、第2筒部12及び接続部13は、同じ金属箔からなる。これにより、容器10のリサイクル性が優れたものとなる。容器10を構成する金属箔の材料は、主としてアルミニウムを含む。具体的には、金属箔の材料は、不純物を除いてアルミニウムのみであってもよいが、アルミニウムを主原料としてアルミニウムに他の金属等を配合した合金であってもよい。容器10を構成する金属箔は、厚みが例えば50μm~100μmの範囲とされる。容器10を構成する金属箔の厚みは、少なくとも一般的なアルミニウム箔の厚み(15μm~20μm程度)よりも厚く、一般的なアルミ缶の厚み(100μm程度)と同じかそれよりも薄い。また、JIS H 4160(アルミニウム及びアルミニウム合金はく)の規格では、厚みを「6μm~200μm」と定義している。従って、本実施形態にて説明する容器10を構成する金属箔は、JIS H 4160(アルミニウム及びアルミニウム合金はく)の規格を満たす。
【0025】
本実施形態に係る接続部13は、第1筒部11及び第2筒部12のいずれよりも小さい剛性を有する。接続部13の剛性は、人力によって接続部13を変形させることが十分に可能となるような大きさに設定されている。従って、容器10に外力を作用させると、第1筒部11及び第2筒部12よりも先に接続部13が変形する。例えば、接続部13が伸びた状態において、容器10を上から押し込む力がZ軸方向に沿って作用すると、接続部13がZ軸方向に収縮するよう変形する。これにより、容器10は、Z軸方向に縮んだ状態となる(
図3を参照)。逆に、接続部13が縮んだ状態において、第1筒部11に対して第2筒部12を引き上げるような力がZ軸方向に沿って作用すると、接続部13がZ軸方向に伸長するよう変形する。これにより、容器10は、Z軸方向に伸びた状態となる。このように、接続部13を伸縮させることで、容器10のZ軸方向の大きさを設定することができる。そして、接続部13は、金属箔で形成されているので、伸縮時には塑性変形される。従って、接続部13のZ軸方向の大きさを無段階で調整することが可能となる。これにより、容器10のZ軸方向の大きさを任意に設定することができるので、利便性に優れる。
【0026】
接続部13は、伸びた状態では、Z軸方向に第1筒部11側から第2筒部12側に向けて径寸法が次第に大きくなるよう、全体としてラッパ状をなしている。従って、接続部13を縮めると、第1筒部11に連なる部分(伸びた状態での下端部)に対して第2筒部12に連なる部分(伸びた状態での上端部)が外側に位置する(
図3を参照)。つまり、縮められた接続部13は、全体として折り返し状の断面形状となる。接続部13が縮められた状態では、第1筒部11の上側部分と、第2筒部12の下側部分と、がZ軸方向について重なり合う位置関係となる。
【0027】
第1筒部11及び第2筒部12は、接続部13よりも大きい剛性を有する。従って、接続部13を伸縮させるための外力を作用させても、第1筒部11及び第2筒部12に不用意な変形が生じ難くなっている。具体的には、接続部13を伸縮させる際には、開口部12Aを有する第2筒部12をZ軸方向に沿って下向きに押し込んだり、Z軸方向に沿って上向きに引き上げたりする操作を行う。この操作を行う際に、第2筒部12が変形することなく、形状が維持されることで、操作性が良好となる。これにより、容器10のZ軸方向の大きさを調整するのに要する作業を効率的に行うことができ、作業に要する時間を短縮化できる。
【0028】
接続部13には、
図1及び
図2に示すように、複数の凹部13Aが形成されている。凹部13Aは、接続部13を側方から視て略菱形をなしている。複数の凹部13Aは、接続部13の側面において、Z軸方向に沿う軸線周りの螺旋状に並んで配されている。接続部13は、複数の凹部13Aが形成されることで、その剛性が第1筒部11及び第2筒部12の剛性よりも小さくされている。例えば、伸びた状態の接続部13を縮める際には、第2筒部12をZ軸方向に沿って下向きに押し込む力を作用させる。すると、接続部13は、Z軸方向に沿う軸線周りの螺旋状に並ぶ複数の凹部13Aによって容易に塑性変形させられる。これにより、接続部13を収縮させる作業に係る作業性に優れる。また、接続部13に形成される複数の凹部13Aにおける側方から視た大きさ、凹み深さ、並び方(配列間隔等)等を適宜に調整すれば、接続部13の剛性の大きさを容易に設定変更することが可能である。従って、どの程度の人力で接続部13を変形させるようにするか、を容易に設定することができる。
【0029】
本実施形態に係る容器10は、
図3に示すように、内部に物品として食品の一種であるチーズ20が入れられるようになっている。具体的には、容器10に入れられるチーズ20は、チーズフォンデュ用のものであり、コーンスターチや白ワイン等を含んでもよい。チーズ20は、常温では固体であるものの、加熱に伴って液化する。このように、本実施形態に係る容器10は、チーズフォンデュ用のチーズ20を入れた状態で出荷・販売されるのに適する。
【0030】
容器10は、接続部13を縮めた状態でのZ軸方向の寸法(Z軸方向の寸法の最大値よりも小さい寸法)が、内部に収容されるチーズ20のZ軸方向の寸法H1よりも大きい。なお、接続部13を縮めた状態での容器10のZ軸方向の寸法は、接続部13をどの程度縮めたかに応じて変動し得るが、少なくとも接続部13を最大限に伸ばした状態での寸法よりは小さい。このようにすれば、接続部13が最大限に伸びた状態から縮められた状態であっても、容器10の内部にチーズ20を収容することができる。つまり、接続部13を縮めた状態でチーズ20を収容した容器10を搬送することができる。これにより、搬送時に容器10がZ軸方向に小型になるので、可搬性に優れる。
【0031】
詳しくは、第1筒部11は、Z軸方向の寸法H2が、チーズ20のZ軸方向の寸法H1よりも大きい。このようにすれば、接続部13の伸縮状態がどのような状態であっても(例えば最大限に縮んだ状態であっても)、第1筒部11の内部にチーズ20を収容することができる。従って、第1筒部11の内部に収容されたチーズ20が調理で加熱されるのに伴って液化しても、接続部13の伸縮状態とは関係なく、チーズ20が容器10の外側にこぼれる事態が避けられる。
【0032】
本実施形態に係る容器10の構成は、以上の通りであり、続いて製造方法及び使用方法を説明する。容器10の製造に際しては、材料となる金属箔を有底筒型に加工したものを用意する。加工前の容器10である有底筒型の金属箔の内部に加工ロールを挿入するとともに、有底筒型の金属箔を外側から治具で保持する。加工ロールをZ軸方向に沿う回転軸周りに回転させつつ外側の治具によって荷重を作用させると、有底筒型の金属箔が捻られる。これにより、加工ロールの表面形状が容器10のうちの接続部13に転写され、
図1に示すように、接続部13に複数の凹部13Aが形成される。以上をもって第1筒部11及び第2筒部12よりも剛性が低い接続部13を有する容器10が製造される。
【0033】
製造された容器10の内部には、
図3に示すように、物品としてチーズ20が収容される。チーズ20は、容器10の開口部12Aを通して入れられる。チーズ20のZ軸方向の寸法H1は、第1筒部11のZ軸方向の寸法H2よりも小さい。従って、チーズ20が第1筒部11の上端よりも上側に出ることはない。第2筒部12の開口部12Aには、蓋30が取り付けられる。蓋30によって容器10の内部空間が閉塞される。チーズ20を収容した容器10は、接続部13が縮められた状態で出荷される。このとき、接続部13を最大限に縮めて塑性変形させれば、容器10のZ軸方向の大きさを最小化することができるので、容積効率が向上し、搬送に要する費用等を節約する上で好ましい。それ以外にも、接続部13をどの程度縮めて塑性変形させるかを、無段階で任意の高さに調整することが可能であることから、搬送条件に最適となるよう接続部13を縮めることができる。このように、容器10のZ軸方向の大きさを任意に設定できるので、利便性に優れる。なお、接続部13を縮めて塑性変形させるタイミングは、チーズ20を収容するタイミングと、蓋30を取り付けるタイミングと、のいずれに対しても前後いつでも良い。
【0034】
チーズフォンデュの調理に際しては、
図4に示すように、蓋30を取り外すとともに、第2筒部12を第1筒部11に対して引き上げるよう操作することで、接続部13を伸ばして塑性変形させる。ここで、容器10は、全体が金属箔により構成されている。従って、チーズフォンデュの調理に要するコンロの火や炭火を第1筒部11の底部11Aに直接当てることができる。つまり、容器10を調理鍋としてそのまま利用することができるので、利便性に優れる。コンロの火や炭火によって底部11Aが熱せられると、第1筒部11内のチーズ20が溶融し、液化する。液化したチーズ20は、やがて沸騰し、表面では無数の気泡が弾ける。ここで、開口部12AのZ軸方向の位置が低すぎると、気泡が弾けることで生じたチーズ20の飛沫が開口部12Aから容器10の外部に飛散するおそれがある。一方、開口部12AのZ軸方向の位置が高すぎると、開口部12Aを通して串に刺した具材をチーズ20に浸し難くなる。容器10に備わる接続部13は、
図4から
図6に示すように、Z軸方向の大きさを無段階で任意の高さに調整することが可能とされている。従って、接続部13のZ軸方向の大きさを調整することで、チーズ20の飛沫の飛散を抑制しつつ、串に刺した具材をチーズ20に浸し易くなる。特に、チーズ20の飛沫がどの程度飛散するかは火力に応じて変動するから、火力に応じて接続部13のZ軸方向の大きさを任意の高さに調整するのが有効である。また、食事の進行に伴ってチーズ20の量が減少して液位が低下したら、その液位に応じて接続部13のZ軸方向の大きさを任意の高さに調整するのが有効である。
【0035】
調理及び食事を終えたら、容器10を洗わずにそのまま廃棄することが可能であり、利便性に優れる。調理及び食事をキャンプ場や山頂で行うと、食器を洗う水を確保できない場合があり、そのような場合に特に便利である。廃棄に際しては、接続部13を最大限に縮めて塑性変形させるようにすれば、ゴミの量を削減できる。調理及び食事をキャンプ場や山頂で行った場合は、接続部13を最大限に縮めるようにすれば、容器10を持ち帰る際に嵩張らないので、特に便利である。また、使用済みの容器10を洗浄するなどしてからアルミニウム缶名痔と同様に回収ボックスに廃棄することにより、リサイクルしてもよい。
【0036】
以上説明したように本実施形態の容器10は、深さ方向に直交する断面形状が環状の第1筒部11と、深さ方向に直交する断面形状が、第1筒部11に対して1よりも大きい相似比を有する環状の第2筒部12と、第1筒部11と第2筒部12との側面同士を接続する接続部13と、を備え、接続部13は、金属箔で形成され、第1筒部11及び第2筒部12のいずれよりも小さい剛性を有する。
【0037】
第1筒部11及び第2筒部12のいずれよりも小さい剛性を有する接続部13を伸縮させることで、容器10の深さ方向の大きさを設定することができる。接続部13は、金属箔で形成されているので、伸縮時には塑性変形される。従って、接続部13の深さ方向の大きさを無段階で調整することが可能となる。これにより、容器10の深さ方向の大きさを任意に設定することができるので、利便性に優れる。また、第1筒部11及び第2筒部12は、接続部13よりも大きい剛性を有しているので、接続部13を伸縮させる際に、第1筒部11及び第2筒部12に不用意な変形が生じ難い。
【0038】
また、接続部13を縮めた状態での当該容器10の深さ方向の寸法が、内部に収容される物品であるチーズ20の深さ方向の寸法H1よりも大きい。接続部13が最大限に伸びた状態から縮められた状態でも、容器10の内部に物品であるチーズ20を収容することができる。つまり、接続部13を縮めた状態で物品であるチーズ20を収容した容器10を搬送することができる。これにより、搬送時に容器10が深さ方向に小型になるので、可搬性に優れる。
【0039】
また、第1筒部11は、深さ方向の寸法H2が物品であるチーズ20の深さ方向の寸法H1よりも大きい。接続部13の伸縮状態を問わず、第1筒部11の内部に物品であるチーズ20を収容することができる。
【0040】
また、第1筒部11には、調理によって液化する食品であるチーズ20が物品として収容される。接続部13の伸縮状態を問わず、調理によって液化した食品であるチーズ20が容器10の外側にこぼれる事態を避けることができる。
【0041】
また、接続部13には、複数の凹部13Aが、深さ方向に沿う軸線周りの螺旋状に並んで形成される。伸びた状態の接続部13を縮める際には、例えば第1筒部11または第2筒部12を深さ方向に押し込む力を作用させる。すると、深さ方向に沿う軸線周りの螺旋状に並ぶ複数の凹部13Aによって接続部13を容易に塑性変形させることができる。これにより、接続部13を収縮させる作業に係る作業性に優れる。
【0042】
また、第1筒部11及び第2筒部12は、接続部13と同じ金属箔で形成される。仮に第1筒部11及び第2筒部12を金属箔以外の材料で形成した場合に比べると、リサイクル性に優れる。また、仮に第1筒部11及び第2筒部12を接続部13とは異なる金属箔で形成した場合に比べると、製造が容易になる。
【0043】
また、接続部13は、主としてアルミニウムを含有する。仮に接続部13が主として鉄を含有する場合に比べると、接続部13を塑性変形させるのに要する力が小さく済み、また容器10の重量を軽くすることができる。
【0044】
<実施形態2>
実施形態2を
図7から
図10によって説明する。この実施形態2では、容器110の形状や用途を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0045】
本実施形態に係る容器110は、
図7に示すように、実施形態1に記載した容器10(
図1を参照)よりも深い有底筒状をなす。容器110は、平面視にて略円形であり、深さ寸法が水平方向についての径寸法(直径)よりも大きい。
【0046】
本実施形態に係る容器110は、内部に物品として食品の一種であるスナック菓子40が複数入れられるようになっている。このスナック菓子40は、棒状(スティック状)の固体であり、その軸線方向(長さ方向)がZ軸方向に概ね沿う姿勢で容器110内に収容される。このように、本実施形態に係る容器110は、複数のスナック菓子40を入れた状態で出荷・販売されるのに適する。
【0047】
接続部113が伸びた状態での容器110のZ軸方向の寸法H3は、スナック菓子40のZ軸方向の寸法H4よりも大きい。なお、ここで言うスナック菓子40のZ軸方向の寸法H4は、容器110内に収容される複数のスナック菓子40のうち、最長となるスナック菓子40のZ軸方向の寸法、つまり最大値である。このようにすれば、接続部113が最大限に伸びた状態から縮められることで、収容されたスナック菓子40を取り出し易くなる。接続部113のZ軸方向の大きさを無段階で調整することで、スナック菓子40をより取り出し易くなる。
【0048】
第1筒部111のZ軸方向の寸法H5は、スナック菓子40のZ軸方向の寸法H4よりも小さい。このようにすれば、第1筒部111の底面111A1に接するスナック菓子40は、接続部113の伸縮状態を問わず、常に第1筒部111の上側、つまり接続部113側に突き出した状態となる。従って、接続部113を伸縮させて接続部113のZ軸方向の大きさを調整することで、スナック菓子40を外部に露出させることが可能となる。これにより、スナック菓子40を一層取り出し易くなる。
【0049】
また、第1筒部111のZ軸方向の寸法H5は、第2筒部112のZ軸方向の寸法H6よりも大きい。第2筒部112のZ軸方向の寸法H6は、伸びた状態の接続部113のZ軸方向の寸法H7と同じ程度とされる。第1筒部111のZ軸方向の寸法H5と、伸びた状態の接続部113のZ軸方向の寸法H7と、の和は、スナック菓子40のZ軸方向の寸法H4よりも小さい。従って、スナック菓子40は、接続部113の伸縮状態を問わず、常に接続部113の上側、つまり第2筒部112側に突き出した状態となる。第1筒部111、第2筒部112及び接続部113は、Z軸方向に底部111A側から開口部112A側に向けて径寸法が次第に大きくなるよう、全体としてラッパ状をなしている。第1筒部111、第2筒部112及び接続部113における径寸法の変化率は、概ね一定とされる。
【0050】
本実施形態に係る容器110の構成は、以上の通りであり、続いて使用方法を説明する。なお、容器110の製造方法は、実施形態1に記載した通りである。製造された容器110は、接続部113を最大限に伸ばした状態で内部に物品として複数のスナック菓子40が収容される。スナック菓子40は、容器110の開口部112Aを通して入れられる。接続部113が伸びた状態でのスナック菓子40のZ軸方向の寸法H4は、容器110のZ軸方向の寸法H3よりも小さい。従って、スナック菓子40が開口部112Aよりも上側に出ることはない。第2筒部112の開口部112Aには、蓋130が取り付けられる。蓋130によって容器110の内部空間が閉塞される。スナック菓子40を収容した容器110は、接続部113が伸びた状態のまま出荷される。
【0051】
スナック菓子40入りの容器110を購入等した人がスナック菓子40を食する際には、
図8に示すように、蓋130を取り外すとともに、第2筒部112を第1筒部111に対して押し下げるよう操作することで、接続部113を縮めて塑性変形させる。第2筒部112は、接続部113よりも大きい剛性を有しているから、操作に要する力によって第2筒部112に変形が生じ難くなっている。これにより、接続部113を縮める作業に掛かる作業性が優れたものとなる。接続部113を縮めると、スナック菓子40の上端部が開口部112Aの上側に突き出した状態で露出する。このスナック菓子40の露出した部分を摘まむことで、スナック菓子40を容易に取り出して食することが可能とされる。ここで、容器110に備わる接続部113は、
図8から
図10に示すように、Z軸方向の大きさを無段階で任意の高さに調整することが可能とされている。従って、接続部113のZ軸方向の大きさを無段階で調整することで、スナック菓子40のZ軸方向についての露出量を最適化することが可能となる。これにより、スナック菓子40をより容易に摘まんで取り出すことができる。また、いくらかのスナック菓子40が残存している状態で食するのを中断した場合は、第2筒部112を第1筒部111に対して引き上げるよう操作することで、接続部113を伸ばして塑性変形させことができる。これにより、残存したスナック菓子40が開口部112Aの上側に突き出した状態のまま放置されるのを避けることができる。以上のように、金属箔で形成される接続部113が伸縮時に塑性変形されることで、接続部113のZ軸方向の大きさを無段階で調整することができるので、容器110のZ軸方向の大きさを任意に設定することができ、利便性に優れる。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、接続部113を伸ばした状態での当該容器110の深さ方向の寸法H3が、内部に収容される物品であるスナック菓子40の深さ方向の寸法H4よりも大きい。接続部113が最大限に伸びた状態から縮められることで、収容された物品であるスナック菓子40を取り出し易くなる。接続部113の深さ方向の大きさを無段階で調整することで、物品であるスナック菓子40をより取り出し易くなる。
【0053】
また、第1筒部111は、接続部113とは反対側の端部を閉じる底面111A1を有し、深さ方向の寸法H5が物品であるスナック菓子40の深さ方向の寸法H4よりも小さい。第1筒部111の底面111A1に接する物品であるスナック菓子40は、接続部113の伸縮状態を問わず、接続部113側に突き出している。従って、接続部113を伸縮させて接続部113の深さ方向の大きさを調整することで、物品であるスナック菓子40を外部に露出させることが可能となる。これにより、物品であるスナック菓子40を一層取り出し易くなる。
【0054】
また、物品であるスナック菓子40は、棒状の固体とされる。棒状の固体であるスナック菓子40を外部に容易に取り出すことができる。
【0055】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0056】
(1)実施形態1に記載の構成において、容器10のZ軸方向の寸法が水平方向についての径寸法よりも大きくてもよい。また、容器10のZ軸方向の寸法と、水平方向についての径寸法と、が同じ程度でもよい。
【0057】
(2)実施形態1に記載の容器10に収容される食品は、チーズフォンデュ用のチーズ20以外にも例えばカレー、焼き肉のタレ等でもよい。
【0058】
(3)実施形態1に記載の容器10に食品以外の物品を入れることも可能である。食品以外の物品としては、例えば洗剤や燃料等が挙げられる。物品として燃料を入れる場合、燃料に例えば木炭と着火剤とを含ませるようにし、容器10をバーベキューコンロとして使用することも可能である。
【0059】
(4)実施形態2に記載の構成において、容器110の水平方向についての径寸法がZ軸方向の寸法よりも大きくてもよい。また、容器110のZ軸方向の寸法と、水平方向についての径寸法と、が同じ程度でもよい。
【0060】
(5)実施形態2に記載の構成において、第2筒部112は、Z軸方向の寸法H6が、伸びた状態の接続部113のZ軸方向の寸法H7より小さくてもよいし、逆に大きくてもよい。
【0061】
(6)実施形態2に記載の容器110に収容される棒状の食品は、スナック菓子40以外にも、例えば棒状の焼き菓子、棒状の焼き菓子にチョコレートをまとわせたもの、棒状の野菜(スティック野菜)等でもよい。
【0062】
(7)実施形態2に記載の容器110に食品以外の棒状の物品を入れることも可能である。食品以外の棒状の物品としては、例えば箸(割り箸を含む)、フォーク、スプーン、ストロー、爪楊枝、筆記具等が挙げられる。
【0063】
(8)接続部13,113に形成される凹部13Aの側方から視た形状は、菱形以外にも例えば四角形、三角形、台形、平行四辺形等であってもよい。
【0064】
(9)容器10,110を構成する金属箔の内側または外側に、紙材や樹脂材等からなる層が形成されてもよい。
【0065】
(10)容器10,110を構成する金属箔の材料は、アルミニウム以外にも鉄や銅等を主として含んでもよい。
【0066】
(11)第1筒部11,111及び接続部13,113を同じ金属箔により構成し、第2筒部12,112を別の金属箔により構成してもよい。第2筒部12,112及び接続部13,113を同じ金属箔により構成し、第1筒部11,111を別の金属箔により構成してもよい。第1筒部11,111、第2筒部12,112及び接続部13,113をそれぞれ別の金属箔により構成してもよい。
【0067】
(12)上記した(11)において、第1筒部11,111、第2筒部12,112及び接続部13,113をそれぞれ別の金属箔により構成した場合、接続部13,113を構成する金属箔の強度を、第1筒部11,111及び第2筒部12,112を構成する各金属箔の強度のいずれよりも低くすることができる。このようにすれば、接続部13,113の剛性を、第1筒部11,111及び第2筒部12,112のいずれの剛性よりも小さくすることができる。なお、この場合において、接続部13,113に凹部13Aを形成してもよいが、凹部13Aを非形成としてもよい。
【0068】
(13)接続部13,113は、金属箔により構成するものの、第1筒部11,111及び第2筒部12,112の少なくとも一方は、金属箔以外の材料により構成することも可能である。
【0069】
(14)伸びた状態の接続部13,113を縮める際に外力をどのように作用させたか、等の諸条件に応じて、接続部13,113が実際にどのように塑性変形するかには差異が生じ得る。従って、縮んだ状態の接続部13,113の断面形状は、実施形態1,2での図示以外にも当然なり得る。
【0070】
(15)食品等の物品を収容しない容器10,110であってもよい。
【0071】
(16)第1筒部11,111及び第2筒部12,112は、Z軸方向と直交する断面形状が円環状以外の環状であってもよい。ここでいう「環状」とは、輪郭線が一周して閉じた図形のことである。円環状以外の「環状」としては、例えば、平面視にて楕円形の環状、平面視にて長円形の環状、平面視にて卵形の環状、平面視にて角形の環状等が挙げられるが、これら以外であってもよい。
【0072】
(17)1個の容器10,110につき接続部13,113が2個以上(複数)設けられてもよい。
【0073】
(18)容器10,110の構成を説明するため、各図面において容器10,110の深さ方向を、水平方向と直交する関係(鉛直方向と一致する関係)として定義したが、容器10,110の深さ方向と水平方向との関係は、必ずしも直交していなくてもよい。つまり、容器10,110の深さ方向と水平方向との関係は、実際の容器10,110の使用方法に応じて変化し得る。例えば、実施形態2に記載した容器110を寝かせた姿勢で使用した場合には、容器110の深さ方向が水平方向に概ね沿うような関係(平行または並行の関係)となる。このように、容器10,110の姿勢は、各図面での図示に限定されない。なお、容器10,110の深さ方向と水平方向との関係は、直交しないものの交差する関係であってもよい。
【0074】
(19)接続部13,113に凹部13Aが非形成であってもよい。凹部13Aを形成することなく接続部13,113の剛性を、第1筒部11,111及び第2筒部12,112のいずれの剛性よりも小さくする手法としては、例えば接続部13,113の厚さを、第1筒部11,111及び第2筒部12,112のいずれの厚さよりも薄くする手法が挙げられる。それ以外にも、例えば第1筒部11,111及び第2筒部12,112に、深さ方向に沿う凹部(縦ギザ等)を形成することで、第1筒部11,111及び第2筒部12,112の各剛性を、接続部13,113の剛性よりも大きくしてもよい。その結果、接続部13,113の剛性は、第1筒部11,111及び第2筒部12,112のいずれの剛性よりも相対的に低下する。
【0075】
(20)上記した(19)に記載した各手法を、実施形態1,2のように接続部13,113に凹部13Aを形成した構成に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
10,110…容器、11,111…第1筒部、11A1,111A1…底面、12,112…第2筒部、13,113…接続部、13A…凹部、20…チーズ(物品、食品)、40…スナック菓子(物品、食品)