(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134414
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】緩衝材および包装仕切
(51)【国際特許分類】
B65D 81/107 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B65D81/107 100Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044707
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇樹
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA03
3E066AA71
3E066BA06
3E066CA04
3E066DA04
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA10
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で製品への衝撃を緩和すること。
【解決手段】実施形態に係る緩衝材は、製品を梱包する外箱の内部に設けられる緩衝材であって、外箱の内面へ向けて突出し、外箱の内面と接触する接触部を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を梱包する外箱の内部に設けられる緩衝材であって、
前記外箱の内面へ向けて突出し、前記内面と接触する接触部を有する
ことを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記接触部の接触面は、少なくとも一部が凹凸形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記接触部は、板体が折り曲げられて重なることで形成される、および/または複数の前記板体が重なることで形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記接触部は、前記接触面の凹凸形状が前記板体の重なり方向に互い違いとなるように形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記接触面の凹凸形状は、波形状である
ことを特徴とする請求項2に記載の緩衝材。
【請求項6】
前記接触部は、前記板体の重なり方向と直交する方向へ延びている
ことを特徴とする請求項3に記載の緩衝材。
【請求項7】
請求項1に記載の緩衝材と、
前記外箱の内部に設けられ、前記製品と接触する平面形状の仕切板と
を備え、
前記緩衝材は、前記外箱の前記内面と接触する接触面が凹凸形状の接触部を有し、
前記仕切板は、当該仕切板に前記緩衝材を取り付けるために前記接触部がはめ込まれる貫通孔を有する
ことを特徴とする包装仕切。
【請求項8】
前記緩衝材は、前記仕切板に取り付けられた状態で前記貫通孔の外周縁よりも外側へ広がった爪部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の包装仕切。
【請求項9】
前記仕切板は、下端が前記外箱の前記内面のうち内底面と接触して設けられるとともに、上端が前記外箱に収容された前記製品の上端よりも上方に位置して設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の包装仕切。
【請求項10】
前記仕切板は、板体が折り曲げられて重なることで形成される、および/または複数の前記板体が重なることで形成される
ことを特徴とする請求項7に記載の包装仕切。
【請求項11】
前記仕切板は、当該仕切板に取り付けられる前記緩衝材の数、向き、大きさ、および緩衝材が取り付けられる位置の少なくともいずれかが任意に変更可能に構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の包装仕切。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、緩衝材および包装仕切に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流の輸送などにおいて、落下や衝撃から梱包される製品を保護する目的で緩衝材が用いられる。緩衝材は、外箱とこの外箱に梱包される製品との間に設けられ、外箱へ加わる衝撃を緩和して、梱包される製品を保護する。
【0003】
たとえば、緩衝材として、紙製のベース部に形成された貫通孔に緩衝材がはめ込まれ、ベース部によって位置決めされた緩衝材が製品と当接するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、たとえば、緩衝材として、ベース板の一部が折り返され、この折り返された部分がベース板の表裏のいずれか一方から他方へと突出するように押し込まれて立体構造(緩衝材)を形成するものが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-177163号公報
【特許文献2】特開2014-237486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の緩衝材はいずれも、複雑な組み立て作業が必要な構成であるため、簡単な構成で製品への衝撃を緩和する点において改善の余地があった。
【0007】
実施形態の一態様は、簡単な構成で製品への衝撃を緩和することができる緩衝材および包装仕切を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る緩衝材は、製品を梱包する外箱の内部に設けられる緩衝材であって、前記外箱の内面へ向けて突出し、前記内面と接触する接触部を有する。
【0009】
このような構成によれば、外箱の内面へ向けて突出しているという簡単な構成で製品への衝撃を緩和することができる。また、少ない材料で緩衝材を形成することができる。
【0010】
また、上記の緩衝材において、前記接触部の接触面は、少なくとも一部が凹凸形状である。
【0011】
このような構成によれば、接触部の製品と接触する接触面を凹凸形状とすることで、たとえば、接触面が平面形状の場合と比べて、外箱との衝突時につぶれやすくなる。これにより、製品への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0012】
また、上記の緩衝材において、前記接触部は、板体が折り曲げられて重なることで形成される、および/または複数の前記板体が重なることで形成される。
【0013】
このような構成によれば、緩衝材の略全体を構成する接触部が重なった板体で形成されるため、たとえば、接触部が単一の平面形状に形成される場合と比べて、複数の板体に衝撃を分散することができる。これにより、製品への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0014】
また、上記の緩衝材において、前記接触部は、前記接触面の凹凸形状が前記板体の重なり方向に互い違いとなるように形成される。
【0015】
このような構成によれば、接触面の凹凸形状が互い違いであることで、たとえば、凹凸形状が互い違いでない場合と比べて、複数の板体のより広い範囲に衝撃を分散することができる。これにより、製品への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0016】
また、上記の緩衝材において、前記接触面の凹凸形状は、波形状である。
【0017】
このような構成によれば、接触面を波形状とすることで、たとえば、接触面が平面形状の場合と比べて、外箱との衝突時につぶれやすくなる。これにより、製品への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0018】
また、上記の緩衝材において、前記接触部は、前記板体の重なり方向と直交する方向へ延びている。
【0019】
このような構成によれば、接触部が柱状となる。このため、接触部が、接触面が外箱と衝突する方向と直交する方向の荷重に対する支え面の補強材としても機能するようになる。
【0020】
また、実施形態の一態様に係る包装仕切は、上記の緩衝材と、前記外箱の内部に設けられ、前記製品と接触する平面形状の仕切板とを備え、前記緩衝材は、前記外箱の前記内面と接触する接触面が凹凸形状の接触部を有し、前記仕切板は、当該仕切板に前記緩衝材を取り付けるために前記接触部がはめ込まれる貫通孔を有する。
【0021】
このような構成によれば、緩衝材が、仕切板の貫通孔に接触部がはめ込まれて仕切板に取り付けられるため、たとえば、緩衝材が接着剤で仕切板に取り付けられる場合に比べて、緩衝材の取り付けを容易に行うことができる。このため、簡単な構成で製品への衝撃を緩和することができる。また、平面形状の仕切板が製品と接触(面接触)するため、たとえば、仕切板が製品に局所的に衝撃を伝達するような接触(たとえば、点接触)に比べて、製品への衝撃を分散し、製品への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0022】
また、上記の包装仕切において、前記緩衝材は、前記仕切板に取り付けられた状態で前記貫通孔の外周縁よりも外側へ広がった爪部を有する。
【0023】
このような構成によれば、緩衝材がはめ込まれる貫通孔の外周縁よりも外側へ広がった爪部を有することで、接着剤などを用いることなく仕切板に緩衝材を取り付けることができるため、緩衝材が取り付けやすい。また、爪部が釣り針のいわゆる返しのように機能するため、緩衝材が仕切り板から外れにくい。
【0024】
また、上記の包装仕切において、前記仕切板は、下端が前記外箱の前記内面のうち内底面と接触して設けられるとともに、上端が前記外箱に収容された前記製品の上端よりも上方に位置して設けられる。
【0025】
このような構成によれば、たとえば、外箱の上に別の荷物などが置かれる場合に、仕切板によって、製品へ荷重が加わるのを抑えることができる。
【0026】
また、上記の包装仕切において、前記仕切板は、板体が折り曲げられて重なることで形成される、および/または複数の前記板体が重なることで形成される。
【0027】
このような構成によれば、たとえば、外箱の上に別の荷物などが置かれる場合に、上方からの荷重をより緩和することができる。
【0028】
また、上記の包装仕切において、前記仕切板は、当該仕切板に取り付けられる前記緩衝材の数、向き、大きさ、および緩衝材が取り付けられる位置の少なくともいずれかが任意に変更可能に構成される。
【0029】
このような構成によれば、製品のサイズや型式、種類に応じて、包装仕切を自由に設定することができる。また、包装仕切の設定変更を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
実施形態の一態様に係る緩衝材および包装仕切によれば、簡単な構成で製品への衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、実施形態に係る緩衝材および包装仕切が設けられる外箱を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る緩衝材および包装仕切が設けられる外箱を上方から見た状態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る包装仕切を示す概略斜視図(その1)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る包装仕切を示す概略斜視図(その2)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る緩衝材を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る緩衝材を示す概略側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る緩衝材の爪部を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る緩衝材の初期荷重特性の説明図である。
【
図9】
図9は、比較例に係る緩衝材の初期荷重特性の説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る緩衝材および包装仕切の組み立て手順の説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る緩衝材および包装仕切による緩衝効果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する緩衝材および包装仕切の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0033】
<外箱および製品>
まず、
図1および2を参照して実施形態に係る緩衝材および包装仕切が設けられる外箱1、外箱1に梱包される製品10について説明する。
図1は、実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20が設けられる外箱1を示す概略斜視図である。
図2は、実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20が設けられる外箱1を上方から見た状態を示す概略図である。
【0034】
なお、
図1を含む各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している場合がある。また、以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0035】
図1に示すように、外箱1は、矩形状(たとえば、直方体状)の箱である。外箱1は、たとえば、紙製の箱である。外箱1は、たとえば、段ボール製の箱(段ボール箱)である。
【0036】
外箱1は、上側が開口側である。外箱1は、内部空間(製品の収容空間)を形成する、一方向(左右方向)に対向する一対の側板2と、一方向と直交する他方向(前後方向)に対向する一対の側板面3と、上下方向に対向する、天板4と、底板5とを備える。
【0037】
天板4は、矩形状(長方形状)の4つのフラップ板4aによって形成される。4つのフラップ板4aは、開いた状態では外箱1へ製品10の出し入れのための開口を形成し、閉じた状態では天板4を形成する。フラップ板4aを閉じる場合には、左右方向の2枚のフラップ板4aを閉じた後、前後方向の2枚のフラップ板4aを、先端同士を突き合わせた状態で閉じる。なお、図示しないが、底板5も、天板4と同様、4つのフラップ板によって形成される。
【0038】
外箱1に梱包される製品10は、たとえば、電子機器などの各種装置や機器であり、さらに言えば、たとえば、洋式便器の上部に設置され、使用者の人体局部を洗浄する温水洗浄便座(便座装置)である。
【0039】
図2に示すように、外箱1の内部には、外箱1に収容する製品10を保護するために、外箱1の内面6(たとえば、内側面6a、内底面6b)と製品10との間に介在するように、包装仕切20が設けられる。
【0040】
また、外箱1の内部空間は、製品10の前側が位置する前側領域A1と、製品10の後側が位置する後側領域A2とを有する。そして、前側領域A1には、包装仕切20のうちの前側の包装仕切21が設けられ、後側領域A2には、包装仕切20のうちの後側の包装仕切22が設けられる。
【0041】
また、包装仕切20(21,22)には、後述する緩衝材30(
図3参照)が取り付けられている。
【0042】
<包装仕切>
次に、
図3および4を参照して実施形態に係る包装仕切20(22)について説明する。
図3および4は、実施形態に係る包装仕切20(22)を示す概略斜視図である。なお、
図3には、包装仕切20(22)を後方の斜め上方から見た状態を示している。また、
図4には、包装仕切20(22)を前方の斜め上方から見た状態を示している。
【0043】
以下では、包装仕切20のうち、後側の包装仕切22を例に説明する。後側の包装仕切21(
図2参照)と後側の包装仕切22とは、製品10に応じて形状に違いがあるが、包装仕切20としての基本構成は同じである。また、以下では、区別する必要がない限り、後側の包装仕切22を単に「包装仕切」という。
【0044】
図3および4に示すように、包装仕切22は、仕切板23と、緩衝材30とを備える。仕切板23は、包装仕切22の略全体を構成する。仕切板23は、組み立て状態では、たとえば、対向する一対の側板部231と、一対の側板部231の間を接続し、製品の後方に配置される側板部(以下、「後板部」という)232と、底板部233とを備える。
【0045】
一対の側板部231、後板部232および底板部233は、製品10(
図2参照)と接触する部位であり、平面形状である。
【0046】
また、仕切板23は、展開状態では、
図10に示すような1枚の平面形状の板体23a(
図10参照)である。仕切板23には、複数(たとえば、6個)の貫通孔234が形成される。貫通孔234は、仕切板23に後述する緩衝材30を取り付ける場合に緩衝材30の接触部31がはめ込まれる孔である。貫通孔234の数は、仕切板23に取り付ける緩衝材30の数に応じて設定される。
【0047】
また、仕切板23は、紙製であり、さらにいえば、段ボール製である。仕切板23は、板体23aが折り曲げられて重なることで形成される。なお、仕切板23は、複数の板体23aが重なることで形成されてもよい。また、仕切板23は、板体23aが折り曲げられて重なることで形成される部分と、複数の板体23aが重なることで形成される部分とを有するものであってもよい。
【0048】
緩衝材30は、仕切板23の貫通孔234にはめ込まれることで、仕切板23に取り付けられる。緩衝材30は、接触部31を備える。接触部31は、緩衝材30の取り付け状態において、仕切板23の一対の側板部231、後板部232および底板部233から外箱1の内面6(
図2参照)へ向けて突出している。接触部31は、外箱1の内面6と接触する。
【0049】
また、
図3に示すように、一部の緩衝材30は、製品10側へ向けて接触部31が突出するように取り付けられてもよい。この場合、接触部31の接触面311は、製品10と直性接触することはなく、たとえば、製品10との間には内板23bが介在している。
【0050】
また、仕切板23の底板部233は、その下端が外箱1の内底面6b(
図2参照)と接触して設けられる。また、仕切板23の一対の側板部231および後板部232は、それぞれの上端が外箱1に収容された製品10(
図1参照)の上端よりも上方に位置して設けられる。
【0051】
また、仕切板23の一対の側板部231および後板部232は、いずれも外箱1の内側面6a(
図2参照)から離れて設けられる。なお、仕切板23の一対の側板部231および後板部232は、少なくとも緩衝材30の接触部31が突出している長さよりも外箱1の内側面6aから離れている。
【0052】
<緩衝材>
次に、
図5~7を参照して実施形態に係る緩衝材30について説明する。
図5は、実施形態に係る緩衝材30を示す概略平面図である。
図6は、実施形態に係る緩衝材30を示す概略側面図である。
図7は、実施形態に係る緩衝材30の爪部33を示す概略斜視図である。
【0053】
なお、
図5および6における緩衝材30の平面や側面は、緩衝材30の仕切板23(
図3および4参照)への取り付け向きが任意であることから、説明の便宜上、緩衝材30に対して別途規定したものである。これらの規定は、上記の外箱1および包装仕切20と一致するものではない。
【0054】
緩衝材30は、仕切板23に取り付けられ、包装仕切20を形成する。緩衝材30は、包装仕切20が製品10を梱包する外箱1の内部空間に設けられることで、外箱1の内部空間に設けられる。
【0055】
緩衝材30は、紙製であり、さらにいえば、段ボール製である。緩衝材30は、板体31a(
図10参照)が折り曲げられて重なることで形成される。なお、緩衝材30は、複数の板体31aが重なることで形成されてもよい。また、緩衝材30は、板体31aが折り曲げられて重なることで形成される部分と、複数の板体31aが重なることで形成される部分とを有するものであってもよい。
【0056】
図5および6に示すように、緩衝材30は、接触部31と、基部32と、爪部33とを備える。接触部31は、上記のように、包装仕切20において外箱の内面6へ向けて突出している。接触部31は、外箱1の内面6と接触する。
【0057】
接触部31は、板体31aaが折り曲げられて重なることで形成される。なお、接触部31は、複数の板体31aaが重なることで形成されてもよい。また、接触部31は、板体31aaが折り曲げられて重なることで形成される部分と、複数の板体31aaが重なることで形成される部分とを有するものであってもよい。
【0058】
図5に示すように、接触部31は、板体3aaの重なり方向D1と直交する方向(以下、「直交方向」という)D2へ延びている。すなわち、接触部31は、所定方向へ長い柱状に形成される。接触部31は、外箱1の内面6と接触する部位として接触面311を有する。
【0059】
図5に示すように、接触面311は、複数(たとえば、4枚)重なった板体31aaによって形成される。
【0060】
図6に示すように、接触面311は、少なくとも一部が凹凸形状である。本実施形態では、接触面311は、接触部31の長手方向(直交方向D2)の略全部に凹凸を有する。接触面311の凹凸形状は、波形状である。接触面311の波形状は、上方へ向けて凸状となる円弧が直交方向D2へ連続する形状である。
【0061】
また、接触部31は、接触面311の凹凸形状が板体31aaの重なり方向D1に互い違いとなるように形成される。
【0062】
図5および6に示すように、基部32は、接触部31の長手方向(直交方向D2)の両端部に設けられる。基部32は、平板状であり、接触部31の接触面311とは反対の面側に設けられる。基部32は、緩衝材30が仕切板23の貫通孔234(
図3参照)にはめ込まれた場合に、緩衝材30のはめ込み方向への抜け止めとなる。
【0063】
爪部33は、接触部31の長手方向(直交方向D2)の両端部に設けられる。爪部33は、三角形状に形成されており、接触部31の接触面311とは反対の面側に設けられるとともに、基部32に対して接触面311側へ所定の間隔をあけて設けられる。爪部33と基部32との間の距離は、仕切板23の厚みと同等か、仕切板23の厚みよりもわずかに大きい。
【0064】
図7に示すように、爪部33は、緩衝材30が仕切板23に取り付けられた状態、すなわち、接触部31が貫通孔234にはめ込まれた状態で、貫通孔234の外周縁よりも外側へ広がっている。このため、爪部33は、緩衝材30が仕切板23に取り付けられた状態で、緩衝材30のはめ込み方向とは反対の方向の抜け止めとなる。
【0065】
このように、緩衝材30は、仕切板23に取り付けられた状態では、はめ込み方向に対しては基部32によって規制され、はめ込み方向と反対の方向に対しては爪部33によって規制される。これにより、仕切板23に取り付けられた緩衝材30は、接触部31が所定の距離突出した状態のまま維持される。
【0066】
ここで、
図8および9を参照して実施形態に係る緩衝材30の初期荷重特性について説明する。
図8は、実施形態に係る緩衝材30の初期荷重特性の説明図である。
図9は、比較例に係る緩衝材30Aの初期荷重特性の説明図である。なお、
図8および9には、緩衝材30,30Aに荷重を加えることで、緩衝材30,30Aの緩衝性能を、縦軸が緩衝材30,30Aが受ける衝撃、横軸が時間(秒)のグラフを用いて示している。
【0067】
なお、
図9に示す比較例に係る緩衝材30Aでは、接触面311Aが凹凸形状ではなく、平面形状である。
【0068】
図8に示すように、実施形態に係る緩衝材30の場合、荷重F1を受けた初期(グラフにおける一点破線で囲まれた領域)において、衝撃による波形の変動が小さい。すなわち、緩衝材30は、波形状の接触面311がつぶれやすいため、初期荷重F1の衝撃を柔らかく受けることができる。
【0069】
一方、
図9に示すように、比較例に係る緩衝材30Aの場合、荷重F1を受けた初期(グラフにおける一点破線で囲まれた領域)において、衝撃による波形の変動が大きい。すなわち、緩衝材30Aは、波形状の接触面311Aがつぶれにくく、このため、初期荷重F1の衝撃を柔らかく受けることができない。
【0070】
このように、実施形態に係る緩衝材30は、比較例に係る、接触面311Aが平面形状の緩衝材30Aよりも高い緩衝性能を有する。
【0071】
<緩衝材および包装仕切の組み立て手順>
次に、
図10を参照して実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20の組み立て手順について説明する。
図10は、実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20の組み立て手順の説明図である。
【0072】
図10に示すように、緩衝材30は、板体30a(板体30aa)が折られて形成される。板体30a(板体30aa)が折られて形成された緩衝材30は、たとえば、仕切板23が折られて形成される前の板体23aの貫通孔234に所定の押し込み力F2ではめ込まれる。
【0073】
そして、緩衝材30が取り付けられた板体23aが折られていくことで、仕切板23が形成される。なお、緩衝材30の貫通孔234へのはめ込みは、板体23aが折られる前に限定されず、板体23aが折られている途中であってもよいし、板体23aが折られて仕切板23が形成された後であってもよい。
【0074】
このように、実施形態に係る包装仕切20は、板体30a(30aa)が折られて緩衝材30が形成され、板体23aが折られて仕切板23が形成され、形成された緩衝材30を仕切板23の貫通孔234へはめ込むだけで簡単に組み立てることができる。このため、たとえば、ロボットが緩衝材30および包装仕切20の組み立てを行うことができ、製造の自動化を図ることが可能となる。
【0075】
<緩衝材および包装仕切による緩衝効果>
次に、
図11を参照して実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20による緩衝効果について説明する。
図11は、実施形態に係る緩衝材30および包装仕切20による緩衝効果の説明図である。
【0076】
図11に示すように、包装仕切20は、仕切板23の一対の側板部231および底板部233による外箱1が受ける圧縮荷重F3に対する補強力を有する。このため、外箱1に収容可能な製品10(
図1参照)などの被収容物を増量させることができる。また、外箱1の材料ランクを下げても、上位の材料ランクと同等以上の強度を保つことができる。また、包装貨物となる外箱1および包装仕切20の強度が上がることで、包装貨物をより高く積み上げることができ、これにより、輸送効率および保管効率を向上させることができる。
【0077】
また、包装仕切20は、一対の側板部231の内側面231aおよび底板部233の内底面232aがそれぞれ平面形状であり、製品10に対して面接触する。このため、製品10の表面などの傷つきを抑えることができる。
【0078】
また、包装仕切20では、仕切板23や緩衝材30を変更することで、バリエーション展開を容易に行うことができる。すなわち、仕切板23および緩衝材30は、大きさや形状を変更可能に構成される。また、仕切板23は、この仕切板23に取り付けられる緩衝材30の数、向き、大きさ、緩衝材30が取り付けられる位置のうち少なくともいずれかが任意に変更可能に構成される。このように、仕切板23および緩衝材30の大きさや形状が変更可能であったり、仕切板23が、緩衝材30の数、向き、大きさ、位置が変更可能に構成されることで、製品10のサイズや型式、種類に応じて、包装仕切20を自由に設定することができる。さらに、包装仕切20の設定変更を容易に行うことができる。
【0079】
以上説明した実施形態に係る緩衝材30によれば、外箱1の内面6へ向けて突出して内面6と接触する接触部31を有するため、外箱1の内面6へ向けて突出しているという簡単な構成で製品10への衝撃を緩和することができる。また、少ない材料で緩衝材30を形成することができる。
【0080】
また、接触部31の製品10と接触する接触面311を凹凸形状とすることで、たとえば、接触面311が平面形状の場合と比べて、外箱1との衝突時につぶれやすくなる。これにより、製品10への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0081】
また、緩衝材30の略全体を構成する接触部31が重なった板体31aaで形成されるため、たとえば、接触部31が単一の平面形状に形成される場合と比べて、複数の板体31aaに衝撃を分散することができる。これにより、製品10への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0082】
また、接触面311の凹凸形状が互い違いであることで、たとえば、凹凸形状が互い違いでない場合と比べて、複数の板体31aaのより広い範囲に衝撃を分散することができる。これにより、製品10への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0083】
また、接触面311を波形状とすることで、たとえば、接触面311が平面形状の場合と比べて、外箱1との衝突時につぶれやすくなる。これにより、製品10への衝撃を効果的に緩和することができる。すなわち、接触面311を波形状とすることで、外箱1との衝突直後には柔らかく緩衝して製品10へのダメージを最小限に抑えることができ、また、波形状の部分で緩衝しきれないほどの荷重が加わった場合には、波形状の奥にある本来の緩衝部で確実に緩衝して製品10への衝撃を緩和することができる。
【0084】
また、接触部31が柱状となるため、この接触部31が、接触面311が外箱1と衝突する方向と直交する方向の荷重に対する支え面の補強材としても機能するようになる。
【0085】
また、実施形態に係る包装仕切20によれば、緩衝材30が、仕切板23の貫通孔234に接触部31がはめ込まれて仕切板23に取り付けられるため、たとえば、緩衝材30が接着剤で仕切板23に取り付けられる場合に比べて、緩衝材30の取り付けを容易に行うことができる。このため、簡単な構成で製品10への衝撃を緩和することができる。また、平面形状の仕切板23が製品10と接触(面接触)するため、たとえば、仕切板23が製品10に局所的に衝撃を伝達するような接触(たとえば、点接触)に比べて、製品10への衝撃を分散し、製品10への衝撃を効果的に緩和することができる。
【0086】
また、緩衝材30がはめ込まれる貫通孔234の外周縁よりも外側へ広がった爪部33を有することで、接着剤などを用いることなく仕切板23に緩衝材30を取り付けることができるため、緩衝材30が取り付けやすい。また、爪部33が釣り針のいわゆる返しのように機能するため、緩衝材30が仕切り板から外れにくい。
【0087】
また、仕切板23の下端が外箱1の内底面6bと接触して設けられるとともに、仕切板23の上端が製品10の上端よりも上方に位置して設けられることで、たとえば、外箱1の上に別の荷物などが置かれる場合に、仕切板23によって、製品10へ荷重が加わるのを抑えることができる。
【0088】
また、仕切板23が重なった板体23aで形成されるため、たとえば、外箱1の上に別の荷物などが置かれる場合に、上方からの荷重をより緩和することができる。
【0089】
また、仕切板23が、この仕切板23に取り付けられる緩衝材30の数、向き、大きさ、および緩衝材30が取り付けられる位置の少なくともいずれかが任意に変更可能に構成されるため、製品10のサイズや型式、種類に応じて、包装仕切20を自由に設定することができる。また、包装仕切20の設定変更を容易に行うことができる。
【0090】
なお、上記の実施形態では、緩衝材30の接触面311の凹凸形状が上方へ凸状となる円弧が連続する波形状としているが、たとえば、三角形状の波形状(三角波形状)であってもよいし、矩形状の波形状(矩形波形状)であってもよい。また、サインカーブが連続する波形状(サイン波形状)であってもよい。
【0091】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 外箱
6 内面
6b 内底面
10 製品(便座装置)
20 包装仕切
23 仕切板
23a 板体
234 貫通孔
30 緩衝材
31 接触部
31a 板体
31aa 板体
311 接触面
33 爪部
D1 重なり方向
D2 重なり方向と直交する方向(直交方向)