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特開2024-134416ファンモータの制御装置、ファンモータ装置、ファンモータの制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134416
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ファンモータの制御装置、ファンモータ装置、ファンモータの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20240926BHJP
【FI】
H02P29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044712
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益村 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】西山 康晴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩平
(72)【発明者】
【氏名】岩永 太志
(72)【発明者】
【氏名】布野 竜二
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 淳哉
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA08
5H501DD04
5H501HB07
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL53
5H501MM02
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知する。
【解決手段】ファンモータ12を制御する制御回路14は、ファンモータ12に設けられた水付着センサ15による検出結果を取得し、水付着センサ15による検出結果に基づいて、ファンモータ12への水の付着を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサ(112)を備え、
前記プロセッサは、
ファン(11)を回転させるファンモータ(12)に設けられた水付着センサ(15)による検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ファンモータの制御装置(16)。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータを回転させる制御を行う、
請求項1に記載のファンモータの制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着が解消されたことを検知した場合に、規定時間が経過するまで前記ファンモータを回転させる制御を行う、
請求項1に記載のファンモータの制御装置。
【請求項4】
前記ファンモータには、複数の前記水付着センサが設けられており、
前記プロセッサは、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
請求項1に記載のファンモータの制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータを回転させる制御を行い、
複数の前記水付着センサによる水が付着した旨の検出結果の数が減ることに伴って、前記ファンモータの回転数を減少させる制御を行う、
請求項4に記載のファンモータの制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、水の付着量を検知する、
請求項4に記載のファンモータの制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータが過電流により停止しているか否かを判定し、
前記ファンモータが過電流により停止していないと判定した場合には、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータが回転しているか否かを判定し、
前記ファンモータが前記規定回転数で回転していない場合には、前記ファンモータを前記規定回転数で回転させる制御を行う、
請求項1に記載のファンモータの制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載のファンモータの制御装置(16)と、前記水付着センサとを有する前記ファンモータ(12)と、
前記ファン(11)と、
を備えるファンモータ装置(10)。
【請求項9】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジング(40)と、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネット(42)と、
を有し、
前記ロータマグネットの軸方向端面(42B)は、前記ロータハウジングの径方向に対して傾斜している、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項10】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
を有し、
前記ロータハウジングには、前記ロータハウジングの軸方向に前記ロータマグネットと対向する位置に貫通穴(70)が形成されている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項11】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
を有し、
前記ロータハウジングの周壁部には、前記ロータマグネットの軸方向端面と対応する位置に貫通穴(70)が形成されている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項12】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部(56)を有するセンターピース(32)と、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられ、
前記板状部には、前記水付着センサを起点にして延びる溝(92)が形成されている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項13】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられ、かつ、前記板状部の板厚方向から見て前記ロータハウジングの外側の位置に配置されている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項14】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
複数の前記水付着センサと、
を有し、
複数の前記水付着センサは、前記板状部の周方向における異なる位置にそれぞれ設けられている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項15】
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられた一対の電極(72A、72B)を有し、
前記板状部における前記一対の電極の間には、溝(92)が形成されている、
請求項8に記載のファンモータ装置。
【請求項16】
前記ファンモータは、
複数の前記水付着センサと、
複数の前記水付着センサにそれぞれ対向する複数の前記溝と、
を有し、
複数の前記溝は、
第1溝(92)と、
前記第1溝に対して深さが異なる第2溝(92)と、
を含む、
請求項15に記載のファンモータ装置。
【請求項17】
コンピュータ(110)が、
ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ことを含む処理を実行するファンモータの制御方法。
【請求項18】
コンピュータ(110)に、
ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ことを含む処理を実行させるためのプログラム(120)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを回転させるファンモータを制御するファンモータの制御装置、ファンモータ装置、ファンモータの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンを回転させるファンモータが知られている。この種のファンモータの中には、水没する虞のある位置に配置されるファンモータがある。特許文献1には、ファンモータに供給される電流を検出し、検出された電流が過電流である場合に、ファンモータの水没を検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-030934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ファン及びファンモータの全体が水没しないと、ファンモータに掛かる負荷が過負荷にならない。このため、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合に、ファンモータへの水の付着を検知することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知することができるファンモータの制御装置、ファンモータ装置、ファンモータの制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサが、ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知するファンモータの制御装置である。
【0007】
本発明の第1態様に係るファンモータの制御装置によれば、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知することができる。
【0008】
本発明の第2態様は、第1態様に係るファンモータの制御装置において、前記プロセッサが、前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータを回転させる制御を行うファンモータの制御装置である。
【0009】
本発明の第2態様に係るファンモータの制御装置によれば、ファンの回転に伴う送風によって、ファンモータに付着した水を取り払うことができる。
【0010】
本発明の第3態様は、第1態様に係るファンモータの制御装置において、前記プロセッサが、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着が解消されたことを検知した場合に、規定時間が経過するまで前記ファンモータを回転させる制御を行うファンモータの制御装置である。
【0011】
本発明の第3態様に係るファンモータの制御装置によれば、ファンモータへの水の付着が解消されたことが検知された場合でも、ファンモータに付着する水が残存する場合には、ファンの回転に伴う送風によって、ファンモータに残存する水を取り払うことができる。
【0012】
本発明の第4態様は、第1態様に係るファンモータの制御装置において、前記ファンモータに、複数の前記水付着センサが設けられており、前記プロセッサが、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知するファンモータの制御装置である。
【0013】
本発明の第4態様に係るファンモータの制御装置によれば、例えば、一つの水付着センサによる検出結果に基づいてファンモータへの水の付着を検知する場合に比して、水の付着に対する検知精度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第5態様は、第4態様に係るファンモータの制御装置において、前記プロセッサが、前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータを回転させる制御を行い、複数の前記水付着センサによる水が付着した旨の検出結果の数が減ることに伴って、前記ファンモータの回転数を減少させる制御を行うファンモータの制御装置である。
【0015】
本発明の第5態様に係るファンモータの制御装置によれば、複数の水付着センサによる水が付着した旨の検出結果の数が減ることに伴って、ファンモータの回転数を減少させることができるので、消費電力又は騒音を低減することができる。
【0016】
本発明の第6態様は、第4態様に係るファンモータの制御装置において、前記プロセッサが、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、水の付着量を検知するファンモータの制御装置である。
【0017】
本発明の第6態様に係るファンモータの制御装置によれば、水の付着量を検知することができるので、水の付着量に応じて、ファンモータの回転数又は作動時間等を調整することができる。
【0018】
本発明の第7態様は、第1態様に係るファンモータの制御装置において、前記プロセッサが、前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータが過電流により停止しているか否かを判定し、前記ファンモータが過電流により停止していないと判定した場合には、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータが回転しているか否かを判定し、前記ファンモータが前記規定回転数で回転していない場合には、前記ファンモータを前記規定回転数で回転させる制御を行うファンモータの制御装置である。
【0019】
本発明の第7態様に係るファンモータの制御装置によれば、ファンモータへの水の付着を検知した場合であって、ファンモータが過電流により停止していない場合には、ファンモータを規定回転数で回転させることができる。
【0020】
本発明の第8態様は、第1態様に係るファンモータの制御装置と、前記水付着センサとを有する前記ファンモータと、前記ファンとを備えるファンモータ装置である。
【0021】
本発明の第8態様に係るファンモータ装置によれば、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知することができる。
【0022】
本発明の第9態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットとを有し、前記ロータマグネットの軸方向端面が、前記ロータハウジングの径方向に対して傾斜しているファンモータ装置である。
【0023】
本発明の第9態様に係るファンモータ装置によれば、ロータマグネットの軸方向端面に付着した水を、ファンの回転に伴って取り払うことができる。
【0024】
本発明の第10態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットとを有し、前記ロータハウジングに、前記ロータハウジングの軸方向に前記ロータマグネットと対向する位置に貫通穴が形成されているファンモータ装置である。
【0025】
本発明の第10態様に係るファンモータ装置によれば、ロータマグネットの軸方向端面に付着した水を、貫通穴を通じてロータハウジングの外部に排出することができる。
【0026】
本発明の第11態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットとを有し、前記ロータハウジングの周壁部に、前記ロータマグネットの軸方向端面と対応する位置に貫通穴が形成されているファンモータ装置である。
【0027】
本発明の第11態様に係るファンモータ装置によれば、ロータマグネットの軸方向端面に付着した水を、貫通穴を通じてロータハウジングの外部に排出することができる。
【0028】
本発明の第12態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースとを有し、前記水付着センサが、前記板状部に設けられ、前記板状部に、前記水付着センサを起点にして延びる溝が形成されているファンモータ装置である。
【0029】
本発明の第12態様に係るファンモータ装置によれば、板状部に付着した水が溝を伝って水付着センサまで到達するので、溝が無い場合に比して、水の付着に対する検知精度を向上させることができる。
【0030】
本発明の第13態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースとを有し、前記水付着センサが、前記板状部に設けられ、かつ、前記板状部の板厚方向から見て前記ロータハウジングの外側の位置に配置されているファンモータ装置である。
【0031】
本発明の第13態様に係るファンモータ装置によれば、ファンの回転に伴って空気が板状部に沿って径方向内側から外側へ流れることを利用することにより、水付着センサに付着した水を取り払うことができる。
【0032】
本発明の第14態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、複数の前記水付着センサとを有し、複数の前記水付着センサが、前記板状部の周方向における異なる位置にそれぞれ設けられているファンモータ装置である。
【0033】
本発明の第14態様に係るファンモータ装置によれば、ファンモータの搭載角度が変更されても、複数の水付着センサのうちのいずれかの水付着センサによって水の付着を検知することができる。
【0034】
本発明の第15態様は、第8態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースとを有し、前記水付着センサが、前記板状部に設けられた一対の電極を有し、前記板状部における前記一対の電極の間に、溝が形成されているファンモータ装置である。
【0035】
本発明の第15態様に係るファンモータ装置によれば、溝に溜まった水の量に応じて、水の付着を検知することができる。
【0036】
本発明の第16態様は、第15態様に係るファンモータ装置において、前記ファンモータが、複数の前記水付着センサと、複数の前記水付着センサにそれぞれ対向する複数の前記溝とを有し、複数の前記溝が、第1溝と、前記第1溝に対して深さが異なる第2溝とを含むファンモータ装置である。
【0037】
本発明の第16態様に係るファンモータ装置によれば、複数の溝に溜まった水の量に基づいて、水の付着量を検知することができる。
【0038】
本発明の第17態様は、コンピュータが、ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知することを含む処理を実行するファンモータの制御方法である。
【0039】
本発明の第17態様に係るファンモータの制御方法によれば、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知することができる。
【0040】
本発明の第18態様は、コンピュータに、ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知することを含む処理を実行させるためのプログラムである。
【0041】
本発明の第18態様に係るプログラムによれば、例えば、ファンモータに水が掛かったり、ファンモータに過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータへの水の付着を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態に係るファンモータ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】ファンモータの一例を示す縦断面図である。
図3】ファンモータ装置の構成の一例を模式的に示す図である。
図4】ロータマグネットの形状を変更した一例を模式的に示す縦断面図である。
図5】ロータハウジングに貫通穴を追加した第1例を模式的に示す縦断面図である。
図6】ロータハウジングに貫通穴を追加した第2例を模式的に示す縦断面図である。
図7】水付着センサの一例を示す回路図である。
図8】センターピース及び水付着センサの一例を模式的に示す二面図である。
図9】ロータ、センターピース、及び制御基板の一例を模式的に示す縦断面図である。
図10】車両が水没道路を走行する様子の一例を示す図である。
図11】他の車両が水たまりを走行することによりはじいた水が車両に掛かる様子の一例を示す図である。
図12】車両が水没道路を走行する場合の制御回路における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図13】他の車両がはじいた水が車両に掛かる場合の制御回路における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図14】センターピースに設けられる水付着センサの数を増やした一例を模式的に示す平面図である。
図15】ファンモータの搭載角度を異ならせた一例を比較して示す説明図である。
図16】車両が水没道路を走行する場合にファンモータが浸水する様子の一例を搭載角度毎に比較して示す説明図である。
図17】他の車両がはじいた水が車両に掛かる場合にファンモータが浸水する様子の一例を搭載角度毎に比較して示す説明図である。
図18】複数の水付着センサを用いた場合の制御回路における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図19】一対の電極の間に形成された溝の深さを異ならせた一例を示す説明図である。
図20】水の付着量が少ない場合と水の付着量が多い場合の制御回路における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
図21】制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
図22】モータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に係るファンモータ装置10の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るファンモータ装置10は、例えば、乗用自動車等の車両に装備されたラジエータ(図示省略)を冷却するための装置であり、ファン11と、ファンモータ12とを備える。
【0045】
ファンモータ12は、モータ部13と、制御基板14と、水付着センサ15とを備える。モータ部13には、ファン11が固定されており、ファン11は、モータ部13の作動に伴って回転する。ファン11は、回転するとラジエータに対して送風する。
【0046】
制御基板14は、制御回路16と、インバータ回路17と、電流センサ18とを備える。制御回路16は、本発明における「ファンモータの制御装置」の一例である。
【0047】
水付着センサ15は、ファンモータ12に水(水滴)が付着していることを検出するセンサである。水付着センサ15は、制御回路16と電気的に接続されており、ファンモータ12に水が付着しているか否かの検出結果を制御回路16に出力する。電流センサ18は、制御回路16と電気的に接続されており、ファンモータ12に供給される電流を検出し、電流の値(電流値)を制御回路16に出力する。
【0048】
制御回路16は、車両に装備されたECU(Electronic Control Unit)20と通信可能に接続されている。制御回路16は、水付着センサ15から水が付着した旨の検出結果を入力した場合に、ファンモータ12への水の付着を検知し、水付着検知通知をECU20に送信する。また、制御回路16は、電流センサ18からの電流値を入力し、電流値が過電流に相当する閾値以上である場合に、ファンモータ12の水没を検知し、水没検知通知をECU20に送信する。ECU20は、水付着検知通知の有無、水没検知通知の有無、及びラジエータの温度等に基づいて回転数指令値を生成し、生成した回転数指令値を制御回路16に送信する。
【0049】
制御回路16は、インバータ回路17と電気的に接続されている。制御回路16は、ECU20からの回転数指令を受信した場合に、回転数指令に対応する駆動信号を生成し、駆動信号をインバータ回路17に出力する。インバータ回路17は、モータ部13と電気的に接続されている。インバータ回路17は、制御回路16から駆動信号を入力した場合に、駆動信号に基づいてモータ部13を制御する。
【0050】
図2は、ファンモータ12の一例を示す縦断面図である。図2に示すように、ファンモータ12は、アウタロータ型のブラシレスモータであり、ロータ26と、ステータ28と、シャフト30と、センターピース32と、制御基板14と、基板ケース36と、コネクタ部材38とを備える。ロータ26、ステータ28、シャフト30、及びセンターピース32は、モータ部13(図1参照)を構成している。
【0051】
ロータ26は、ロータハウジング40と、ロータマグネット42とを有する。ロータハウジング40は、天壁部66及び周壁部68を有する有天円筒状に形成されている。天壁部66の中央部には、筒状の軸受収容部44が形成されている。軸受収容部44には、一対の軸受46が収容されており、ロータ26は、一対の軸受46を介してシャフト30に回転可能に支持されている。ロータマグネット42は、周壁部68の内周面に例えば接着剤等により固定されている。ファン11(図1参照)は、天壁部66に固定される。
【0052】
ステータ28は、ロータハウジング40の内側に収容されている。ステータ28は、ステータコア48と、インシュレータ50と、複数の巻線52とを有する。ステータコア48には、シャフト30を中心にして放射状に延びる複数のティース54が形成されている。各巻線52は、インシュレータ50を介して各ティース54に巻回されている。
【0053】
センターピース32は、板状部56を有する。板状部56は、ロータハウジング40の開口40Aと対向している。板状部56には、ネジ等によりステータ28が固定されており、これにより、ステータ28は、板状部56に保持されている。板状部56の中央部には、ステータ28側に開口する凹部58が形成されており、凹部58には、シャフト30が固定されている。
【0054】
制御基板14は、板状部56に対するロータ26と反対側に板状部56と対向して配置されている。制御基板14は、ネジ等によって板状部56に固定されている。制御基板14には、制御回路16及びインバータ回路17(図1参照)等を含む電子回路が形成されている。
【0055】
基板ケース36は、ロータ26と反対側から板状部56に固定されている。基板ケース36の内側には、制御基板14が収容されている。コネクタ部材38は、ネジ等により板状部56に固定されている。コネクタ部材38は、制御基板14と電気的に接続されたコネクタ端子60と、コネクタ端子60を収容するコネクタケース62とを有する。
【0056】
以上の構成を有するファンモータ12では、インバータ回路17に含まれる複数のスイッチング素子の切替動作により複数の巻線52に流れる電流が切り替えられ、ステータ28が回転磁界を形成する。ステータ28が回転磁界を形成すると、ステータ28とロータマグネット42との間に吸引力及び反発力が発生し、これにより、ロータ26と一体にファン11が回転する。
【0057】
図3は、ファンモータ装置10の構成の一例を模式的に示す図である。図3に示すように、ロータ26の回転を確保するために、ロータハウジング40と板状部56との間には、隙間が設けられている。また、ロータハウジング40の天壁部66には、ロータマグネット42の内周面42Aと対応する位置に貫通穴70が形成されている。
【0058】
ファン11が回転すると、ロータハウジング40と板状部56との間の隙間からロータハウジング40の開口40Aを通じてロータハウジング40の内部に空気が流入し、流入した空気は、貫通穴70を通じてロータハウジング40の外部に排出される。この空気の流れにより、ロータハウジング40の内側に収容されたステータ28(図2参照)が冷却される。このように、ファンモータ12では、ステータ28を冷却するために、空気が流れる流路が確保されている。
【0059】
ここで、ファンモータ12に水Wが付着すると、ロータハウジング40と板状部56との間の隙間からロータハウジング40の開口40Aを通じてロータハウジング40の内部に水Wが浸入する虞がある。しかしながら、ファン11が回転すると、上述の空気の流れにより、ロータハウジング40の内部に浸入した水Wをロータハウジング40の外部に排出することが可能である。そして、ロータハウジング40の外部に排出された水Wを、遠心力によりファン11の外に取り払うことが可能である。
【0060】
ただし、ロータマグネット42の軸方向端面42Bがロータハウジング40の径方向と平行であることと、ロータハウジング40の内部を流れる空気がロータマグネット42の内周面42Aに沿ってロータハウジング40の軸方向に流れるということとを考慮した場合、次の課題がある。すなわち、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wが、ロータマグネット42の軸方向端面42Bとロータハウジング40の天壁部66との間の隙間から抜けにくいという課題がある。以下、この課題を解決する例を図4から図6に示す。
【0061】
図4は、ロータマグネット42の形状を変更した一例を模式的に示す縦断面図である。図4に示す例では、ロータマグネット42の軸方向端面42Bが、ロータハウジング40の径方向(軸方向と直交する方向)に対して傾斜している。具体的には、軸方向端面42Bは、ロータハウジング40の径方向内側に向かってファン11側に傾斜している。
【0062】
このように構成されていると、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wが、ロータマグネット42の内周面42Aに沿ってロータハウジング40の軸方向に流れる空気によって、ロータマグネット42の軸方向端面42Bとロータハウジング40の天壁部66との間の隙間から抜けやすくなる。これにより、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wを、ファン11の回転に伴って取り払うことができる。
【0063】
なお、軸方向端面42Bが、ロータハウジング40の径方向内側に向かってファン11とは反対側に傾斜することにより、ロータマグネット42の軸方向端面42Bとロータハウジング40の天壁部66との間の隙間がロータハウジング40の径方向内側に向かって徐々に拡がるように構成されていてもよい。このように構成された場合にも、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wを、ファン11の回転に伴って取り払うことができる。
【0064】
図5は、ロータハウジング40に貫通穴70を追加した第1例を模式的に示す縦断面図である。図5に示す例では、天壁部66に、ロータマグネット42の内周面42Aと対応する位置に加えて、ロータハウジング40の軸方向にロータマグネット42の軸方向端面42Bと対向する位置にも、貫通穴70が形成されている。
【0065】
このように構成されていると、ロータマグネット42の内周面42Aに沿ってロータハウジング40の軸方向に流れる空気の一部が、ロータマグネット42の軸方向端面42Bとロータハウジング40の天壁部66との間の隙間から貫通穴70を通じてロータハウジング40の外部に排出される。これにより、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wを、貫通穴70を通じてロータハウジング40の外部に排出することができる。
【0066】
図6は、ロータハウジング40に貫通穴70を追加した第2例を模式的に示す縦断面図である。図6に示す例では、天壁部66に加えて、周壁部68にも、貫通穴70が形成されている。周壁部68の貫通穴70は、ロータマグネット42の軸方向端面42Bと対応する位置に形成されている。
【0067】
このように構成されていると、ロータマグネット42の内周面42Aに沿ってロータハウジング40の軸方向に流れる空気の一部が、ロータマグネット42の軸方向端面42Bとロータハウジング40の天壁部66との間の隙間から貫通穴70を通じてロータハウジング40の外部に排出される。これにより、ロータマグネット42の軸方向端面42Bに付着した水Wを、貫通穴70を通じてロータハウジング40の外部に排出することができる。
【0068】
図7は、水付着センサ15の一例を示す回路図である。図7に示すように、水付着センサ15は、一対の電極72A、72Bと、複数の抵抗74A~74Dと、ダイオード76と、コンパレータ78とを有する。
【0069】
バッテリ80は、車両に搭載された電源である。バッテリ80には、5V電源82が接続されており、5V電源82に接続された5V電源線84には、抵抗74Aを介して電極72Aが接続されている。電極72Bは、電極72Aとの間に隙間を有した状態で電極72Aと対向している。電極72Bには、ダイオード76のアノードが接続されており、ダイオード76のカソードは、GNDに接続されたGND線86に接続されている。
【0070】
電極72Bとダイオード76のアノードとの接続部は、接続線88を介してコンパレータ78のプラス端子に接続されている。接続線88とGND線86との間には、抵抗74Bが接続されている。5V電源線84とGND線86との間には、抵抗74C、74Dが直列に接続されており、抵抗74Cと抵抗74Dとの接続部は、接続線90を介してコンパレータ78のマイナス端子に接続されている。コンパレータ78の出力端子は、制御回路16に接続されている。
【0071】
そして、この水付着センサ15では、一対の電極72A、72Bに水が付着して一対の電極72A、72Bが導通した状態になると、矢印Aで示すように、5V電源線84から、抵抗74A、電極72A、電極72B、及びダイオード76を通じてGND線86に電流が流れる。このときに、ダイオード76とGND間の電圧がVf電圧(順方向電圧であって、0.7V程度)となり、矢印Bで示すように、コンパレータ78のプラス端子にVf電圧が入力される。そして、この場合には、コンパレータ78の出力端子から5V(High)の電圧Voutが出力される。
【0072】
一方、一対の電極72A、72Bに水が付着していない状態では、一対の電極72A、72Bが非導通状態(オープン状態)になる。この状態では、抵抗74Bによってダイオード76とGND間の電圧が0Vに固定されるので、コンパレータ78の出力端子から0V(Low)の電圧Voutが出力される。
【0073】
このように、水付着センサ15の上記構成によれば、一対の電極72A、72Bに水が付着した場合には、水の付着を検出した旨の検出結果として、コンパレータ78の出力端子から5V(High)の電圧Voutを出力することができる。また、一対の電極72A、72Bに水が付着していない場合には、水の付着を検出していない旨の検出結果として、コンパレータ78の出力端子から0V(Low)の電圧Voutを出力することができる。
【0074】
図8は、センターピース32及び水付着センサ15の一例を模式的に示す二面図である。図8に示すように、水付着センサ15は、板状部56のうちのロータハウジング40側の面(ロータハウジング40との対向面)に設けられている。水付着センサ15は、板状部56の板厚方向から見てロータハウジング40の外側の位置に配置されている。水付着センサ15が配置された位置は、板状部56のうちの鉛直方向下側の位置である。一対の電極72A、72Bは、一例として、水平方向に並んで配置されている。
【0075】
板状部56のうちのロータハウジング40側の面には、複数の溝92が形成されている。溝92は、毛細管現象により水Wを搬送できる程度に細い溝でもよい。複数の溝92は、水付着センサ15を起点にして放射状に延びるように形成されている。複数の溝92は、水付着センサ15に対して鉛直方向上側に隣接する位置で合流している。複数の溝92のうちの中央部に形成された溝92Aは、鉛直方向に延びており、溝92Aの下端部は、一対の電極72A、72Bの間に位置している。
【0076】
このように構成されていると、板状部56に付着した水Wが毛細管現象と重力により複数の溝92を伝って水付着センサ15まで到達するので、溝92が無い場合に比して、水の付着に対する検知精度を向上させることができる。
【0077】
また、複数の溝92が水付着センサ15に対して鉛直方向上側に隣接する位置で合流しているので、水付着センサ15に水Wを集めることができる。これにより、水の付着に対する検知精度をより一層向上させることができる。
【0078】
また、水付着センサ15は、板状部56の板厚方向から見てロータハウジング40の外側の位置に配置されている。したがって、ファン11の回転に伴って空気が板状部56に沿って径方向内側から外側へ流れることを利用することにより、水付着センサ15に付着した水を取り払うことができる。なお、一対の電極72A、72Bは、溝92の底部に配置されていてもよい。
【0079】
図9は、ロータ26、センターピース32、及び制御基板14の一例を模式的に示す縦断面図である。図9に示すように、一対の電極72A、72Bには、棒状に形成された接続部材94がそれぞれ接続されている。接続部材94は、導電性を有する材料によって形成されている。接続部材94は、板状部56を貫通しており、制御基板14の基板本体96に形成されたスルーホール98に挿入されている。接続部材94は、半田100によってスルーホール98に接続されており、基板本体96上に形成された回路(図7参照)と接続されている。板状部56と接続部材94との間は、シール材102によってシールされており、防水性が図られている。
【0080】
図10は、車両104が水没道路を走行する様子の一例を示す図である。図11は、他の車両106が水たまりを走行することによりはじいた水Wが車両104に掛かる様子の一例を示す図である。図10及び図11に示すように、車両104に搭載されたファンモータ12に水Wが付着する状況としては、車両104が水Wによって冠水した水没道路を走行する場合と、他の車両106が水たまりを走行することによりはじいた水Wが車両104に掛かる場合とが挙げられる。
【0081】
図12は、車両104が水没道路を走行する場合(図10参照)の制御回路16における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。図12に示すように、ファンモータ12に水の付着がない場合(この場合、ファンモータ12の水没もなし)、水付着センサ15から出力される電圧VoutはLowとなり、電流センサ18によって検出された電流値は通常の値となる。この場合、制御回路16は、ECU20へ水没検知通知及び水付着検知通知を送信しないので、ECU20は、ラジエータの温度に応じた回転数指令値を制御回路16に送信し、制御回路16は、ECU20から受信した回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。この場合のECU20からの回転数指令値は、ラジエータの温度に応じてラジエータを冷却するための通常の回転数を示す値である。
【0082】
一方、ファンモータ12が水没した場合(この場合、ファンモータ12への水の付着もあり)、水付着センサ15から出力される電圧VoutはHighとなり、電流センサ18によって検出された電流値は過電流を示す値となる。この場合、制御回路16は、水付着センサ15の出力よりも電流センサ18の出力を優先し、ECU20へ水没検知通知を送信する。また、制御回路16は、ファンモータ12を保護するために、通電オフと通電許可とを繰り返し実行する。制御回路16は、通電許可する場合、ECU20からの回転指令値に基づいてファンモータ12を制御する。
【0083】
また、ファンモータ12の水没が解消した場合(この場合、ファンモータ12への水の付着はあり)、水付着センサ15から出力される電圧VoutはHighとなり、電流センサ18によって検出された電流値は通常の値となる。この場合、制御回路16は、ECU20へ水付着検知通知を送信し、ファンモータ12を規定の回転数r1で回転させる。規定の回転数r1は、本発明における「規定回転数」の一例である。
【0084】
このように、制御回路16は、過電流がなくなったタイミングで、ファンモータ12を規定の回転数r1で回転させる制御を行う。回転数r1は、ファン11の回転に伴う送風によって水付着センサ15に付着した水を取り払うことができる回転数として規定された回転数であり、ラジエータを冷却する場合の通常の回転数よりも高い回転数に設定される。また、制御回路16は、水付着センサ15から出力された電圧VoutがLowになるまでファンモータ12を回転させる制御を行う。これにより、水付着センサ15に付着した水が取り払われ、ファンモータ12への水の付着が解消される。
【0085】
そして、ファンモータ12への水の付着が解消した場合(この場合、ファンモータ12の水没もなし)、水付着センサ15から出力される電圧VoutはLowとなる。この場合、制御回路16は、ファンモータ12への水の付着が解消した旨の水付着解消通知をECU20へ送信し、ECU20は、ラジエータの温度に応じた回転数指令値を制御回路16に送信し、制御回路16は、ECU20から受信した回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。
【0086】
なお、ファンモータ12が水没した場合に、ファンモータ12を回転数r1で回転させると、ファン11が水をかき上げることにより、ロータハウジング40の内部への浸水が促進される虞がある。この点、ファンモータ12が水没した場合に、制御回路16は、通電オフと通電許可を繰り返し実行するので、ロータハウジング40の内部への浸水を抑制することができる。
【0087】
図13は、他の車両106がはじいた水が車両104に掛かる場合(図11参照)の制御回路16における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。図13に示すように、ファンモータ12に水の付着がない場合、水付着センサ15から出力される電圧VoutはLowとなり、電流センサ18によって検出された電流値は通常の値となる。この場合、制御回路16は、ECU20へ水付着検知通知を送信しないので、ECU20は、ラジエータの温度に応じた回転数指令値を制御回路16に送信し、制御回路16は、ECU20から受信した回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。
【0088】
一方、ファンモータ12に水が付着した場合、電流センサ18によって検出された電流値は通常の値のまま、水付着センサ15から出力される電圧VoutはHighとなる。この場合、制御回路16は、ECU20へ水付着検知通知を送信し、ファンモータ12を回転数r1で回転させる。このように、ファンモータ12に水が付着した場合には、ファンモータ12が回転していなくても、制御回路16は、ファンモータ12を回転数r1で回転させる制御を行う。また、制御回路16は、水付着センサ15から出力された電圧VoutがLowになるまでファンモータ12を回転させる制御を行う。これにより、水付着センサ15に付着した水が取り払われ、ファンモータ12への水の付着が解消される。
【0089】
そして、ファンモータ12への水の付着が解消した場合、水付着センサ15から出力される電圧VoutはLowとなる。この場合、制御回路16は、ファンモータ12への水の付着が解消した旨の水付着解消通知をECU20へ送信し、ECU20は、ラジエータの温度に応じた回転数指令値を制御回路16に送信し、制御回路16は、ECU20から受信した回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。
【0090】
図14は、センターピース32に設けられる水付着センサ15の数を増やした一例を模式的に示す平面図である。図14に示すように、板状部56には、複数の水付着センサ15(一例として、4つの水付着センサ15)が設けられている。複数の水付着センサ15は、板状部56の周方向における異なる位置にそれぞれ設けられている。具体的には、板状部56は、板状部56の板厚方向から見て四角形状に形成されており、複数の水付着センサ15は、板状部56の各角部に配置されている。複数の水付着センサ15は、板状部56の板厚方向から見た場合に、いずれもロータハウジング40の外側の位置に配置されている。
【0091】
なお、以降、図14に示す複数の水付着センサ15のうち、左上に配置されたNO.1の水付着センサ15を水付着センサ15Aと称し、左下に配置されたNO.2の水付着センサ15を水付着センサ15Bと称し、右下に配置されたNO.3の水付着センサ15を水付着センサ15Cと称し、右上に配置されたNO.4の水付着センサ15を水付着センサ15Dと称する場合がある。
【0092】
板状部56には、複数の水付着センサ15を繋ぐ複数の溝92が形成されている。具体的には、複数の溝92は、板状部56の四角形状の外形に沿って延びる溝92B、92Cと、板状部56の対角線上に延びる溝92D、92Eと、溝92B、92Cをそれぞれ二等分する溝92F、92Gとを含む。各水付着センサ15に設けられた一対の電極72A、72Bの間には、溝92Bの一部が形成されている。
【0093】
図15は、ファンモータ12の搭載角度を異ならせた一例を比較して示す説明図である。図15に示す例では、ファンモータ12の搭載角度が、-90°、-45°、0°、+45°、+90°である場合が示されている。
【0094】
このように、複数の水付着センサ15が板状部56の周方向における異なる位置にそれぞれ設けられていると、ファンモータ12の搭載角度が変更されても、複数の水付着センサ15のうちのいずれかの水付着センサ15によって水Wの付着を検知することができる。また、一つの水付着センサ15による検出結果に基づいてファンモータ12への水の付着を検知する場合に比して、水の付着に対する検知精度を向上させることができる。
【0095】
また、複数の水付着センサ15を繋ぐ複数の溝92が板状部56に形成されているので、ファンモータ12の搭載角度が変更されても、毛細管現象と重力により、複数の水付着センサ15のうちのいずれかの水付着センサ15に水Wを到達させることができる。これにより、水の付着に対する検知精度をより一層向上させることができる。
【0096】
図16は、車両104が水没道路を走行する場合(図10参照)にファンモータ12が浸水する様子の一例を搭載角度毎に比較して示す説明図である。図16に示すように、車両104が水没道路を走行する場合には、ファンモータ12が下から上に浸水する。このように、ファンモータ12が下から上に浸水するときには、ファンモータ12の搭載角度がどの角度にある場合でも、ロータ26が浸水する前に、複数の水付着センサ15のうちのいずれかの水付着センサ15(すなわち、ロータ26よりも鉛直方向下側に位置する水付着センサ15)によって水Wの付着を検知することができる。
【0097】
図17は、他の車両106がはじいた水が車両104に掛かる場合(図11参照)にファンモータ12が浸水する様子の一例を搭載角度毎に比較して示す説明図である。図17に示すように、他の車両106がはじいた水が車両104に掛かる場合には、ファンモータ12が上から下に浸水する。このように、ファンモータ12が上から下に浸水するときには、ファンモータ12の搭載角度がどの角度にある場合でも、ロータ26が浸水する前に、複数の水付着センサ15のうちのいずれかの水付着センサ15(すなわち、ロータ26よりも鉛直方向上側に位置する水付着センサ15)によって水Wの付着を検知することができる。
【0098】
図18は、複数の水付着センサ15A~15D(No.1~No.4)を用いた場合の制御回路16における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。図18に示すように、制御回路16は、複数の水付着センサ15のうちいずれか一つの水付着センサ15から出力された電圧VoutがHighになっただけでは、ファンモータ12への水の付着を検知せず、例えば、複数の水付着センサ15のうち2つ以上の水付着センサ15から出力された電圧VoutがHighになった場合に、ファンモータ12への水の付着を検知する。
【0099】
また、制御回路16は、複数の水付着センサ15から出力される電圧Voutが全てLowになった場合に、ファンモータ12への水の付着が解消されたことを検知する。そして、制御回路16は、規定時間t1が経過するまでファンモータ12を回転させる制御を行う。規定時間t1は、例えば、ファンモータ12への水の付着が解消されたことが検知された場合でも、ファン11の回転に伴う送風によって、ファンモータ12に残存した水を取り払うのに要する時間に設定される。
【0100】
これにより、ファンモータ12への水の付着が解消されたことが検知された場合でも、ファンモータに付着する水が残存する場合には、ファン11の回転に伴う送風によって、ファンモータ12に残存した水を取り払うことができる。
【0101】
また、制御回路16は、ファンモータ12への水の付着を検知した場合に、ファンモータ12を回転させる制御を行う。そして、制御回路16は、複数の水付着センサ15への水の付着が段階的に解消されることにより、複数の水付着センサ15から出力されるHighの電圧Voutの数(すなわち、水が付着した旨の検出結果の数)が減ることに伴って、ファンモータ12の回転数を回転数r1から回転数r4へ段階的に減少させる制御を行う。
【0102】
このように構成されていると、複数の水付着センサ15から出力されるHighの電圧Voutの数が減ることに伴って、ファンモータ12の回転数を減少させることができるので、消費電力又は騒音を低減することができる。なお、制御回路16は、複数の水付着センサ15から出力されるHighの電圧Voutの数が減ることに伴って、ファンモータ12の回転数を直線的に減少させる制御を行ってもよい。
【0103】
図19は、一対の電極72A、72Bの間に形成された溝92の深さを異ならせた一例を示す説明図である。NO.1の水付着センサ15AとNO.3の水付着センサ15Cとでは、溝92の深さが同じであり、NO.2の水付着センサ15BとNO.4の水付着センサ15Dとでは、溝92の深さが同じである。
【0104】
また、水付着センサ15A(水付着センサ15C)と水付着センサ15B(水付着センサ15D)とでは、溝92の深さが異なっている。具体的には、水付着センサ15A(水付着センサ15C)に対して形成された溝92は、水付着センサ15B(水付着センサ15D)に対して形成された溝92よりも深さが深い。水付着センサ15A(水付着センサ15C)に対して形成された溝92は、本発明における「第1溝」の一例であり、水付着センサ15B(水付着センサ15D)に対して形成された溝92は、本発明における「第2溝」の一例である。
【0105】
このように構成されていると、複数の溝92に溜まった水Wの量に基づいて、水Wの付着量を検知することができる。なお、上述の複数の水付着センサ15の配置は、一例であり、上記以外でもよい。また、溝92の深さも、上記以外でもよい。
【0106】
制御回路16は、複数の水付着センサ15による検出結果に基づいて、水の付着量を検知する。具体的には、制御回路16は、水付着センサ15A、15Cがオフで、水付着センサ15B、15Dがオンの場合、水Wの付着量が少ないと判定し、水付着センサ15A~15Dが全てオンの場合、水Wの付着量が多いと判定する。このように水の付着量を検知するように構成されていると、例えば、水の付着量に応じて、ファンモータ12の回転数又は作動時間等を調整することが可能になる。
【0107】
図20は、水の付着量が少ない場合と水の付着量が多い場合の制御回路16における信号のタイミングチャートの一例を示す図である。図20に示すように、制御回路16は、水付着センサ15A、15Cがオフで、水付着センサ15B、15Dがオンであることに基づいて、水の付着量が少ないと判定した場合には、水の付着量が少ない旨の水少量付着通知をECU20に送信する。一方、制御回路16は、水付着センサ15A~15Dが全てオンであることに基づいて、水の付着量が多いと判定した場合には、水の付着量が多い旨の水多量付着通知をECU20に送信する。ECU20は、水少量付着通知又は水多量付着通知に応じて、ファンモータ12の回転数又は作動時間等を調整してもよい。
【0108】
図21は、制御回路16の構成の一例を示すブロック図である。図21に示すように、制御回路16は、コンピュータ110を備える。コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)112と、ROM(Read Only Memory)114と、RAM(Random Access Memory)116とを備える。CPU112、ROM114、及びRAM116は、バス118を介して相互に通信可能に接続されている。ROM114には、モータ制御プログラム120が記憶されている。
【0109】
コンピュータ110は、本発明における「コンピュータ」の一例であり、CPU112は、本発明における「プロセッサ」の一例であり、ROM114及びRAM116は、本発明における「メモリ」の一例であり、モータ制御プログラム120は、本発明における「プログラム」の一例である。
【0110】
CPU112は、ROM114からモータ制御プログラム120を読み出し、読み出したモータ制御プログラム120をRAM116上で実行する。CPU112は、RAM116上で実行するモータ制御プログラム120に従って、モータ制御処理を実行する。モータ制御処理は、CPU112が、取得部122、検知部124、判定部126、制御部128、及び通知部130として動作することにより実現される。以下、ファンモータ12が一つの水付着センサ15を有する場合を例に挙げてモータ制御処理を説明する。
【0111】
取得部122は、水付着センサ15から出力された電圧Voutを検出結果として取得する。検知部124は、取得部122によって取得された電圧VoutがHighであるか否かを判定し、電圧VoutがHighである場合には、ファンモータ12への水の付着を検知する。
【0112】
判定部126は、検知部124によってファンモータ12への水の付着が検知された場合、過電流によりファンモータ12が停止しているか否かを判定する。ここで、過電流によりファンモータ12が停止していると判定部126によって判定された場合、制御部128は、過電流に対する処理を継続する。すなわち、制御部128は、ファンモータ12を保護するために、通電オフと通電許可とを繰り返し実行する。制御部128は、通電許可する場合、ECU20からの回転指令値に基づいてファンモータ12を制御する。一方、判定部126は、過電流によりファンモータ12が停止していないと判定した場合には、ファンモータ12が回転数r1で回転しているか否かを判定する。
【0113】
制御部128は、ファンモータ12が回転数r1で回転していないと判定部126によって判定された場合には、ファンモータ12を回転数r1で回転させる制御を行う。通知部130は、検知部124によってファンモータ12への水の付着が検知され、ファンモータ12を回転数r1で回転させる制御が行われた場合、ECU20へ水付着検知通知を送信する。
【0114】
取得部122は、通知部130によってECU20へ水付着検知通知が送信された場合、再度、水付着センサ15から出力された電圧Voutを検出結果として取得する。検知部124は、取得部122によって取得された電圧VoutがHighであるか否かを判定し、電圧VoutがHighである場合には、ファンモータ12への水の付着を検知する。
【0115】
通知部130は、検知部124によってファンモータ12への水の付着が検知されていない場合(すなわち、電圧VoutがHighではなくLowであると検知部124によって判定された場合)、ファンモータ12への水の付着が解消した旨の水付着解消通知をECU20へ送信する。
【0116】
制御部128は、通知部130によって水付着解消通知がECU20へ送信された場合、ECU20からの回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。一方、制御部128は、検知部124によってファンモータ12への水の付着が検知された場合、水付着センサ15から出力された電圧VoutがLowになるまでファンモータ12を回転させる制御を行う。以上の要領でモータ制御処理が実行される。
【0117】
なお、ここでは、ファンモータ12が一つの水付着センサ15を有する場合(図1から図13参照)を例に挙げてモータ制御処理を説明したが、モータ制御処理は、ファンモータ12が複数の水付着センサ15を有する場合(図14から図19参照)に実行されてもよい。
【0118】
また、ファンモータ12が複数の水付着センサ15を有する場合に、制御部128は、ファンモータ12への水の付着が解消され、複数の水付着センサ15から出力される電圧Voutが全てLowになった場合でも、ファン11の回転に伴う送風によってファンモータ12に付着した水を取り払うのに要する時間として規定された規定時間t1(図18参照)が経過するまでファンモータ12を回転させる制御を行ってもよい。
【0119】
さらに、制御部128は、複数の水付着センサ15への水の付着が段階的に解消されることにより、複数の水付着センサ15から出力されるHighの電圧Voutの数(すなわち、水が付着した旨の検出結果の数)が減ることに伴って、ファンモータ12の回転数を段階的に減少させる制御(図18参照)を行ってもよい。
【0120】
また、複数の水付着センサ15において、一対の電極72A、72Bの間に形成された溝92の深さが異なる場合に、検知部124は、複数の溝92に溜まった水の量に基づいて、水の付着量を検知してもよい。そして、通知部130は、検知部124によって検知された水の付着量に応じて、水少量付着通知又は水多量付着通知をECU20に送信してもよい。
【0121】
図22は、モータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図22に示すモータ制御処理では、先ず、ステップST10で、取得部122は、水付着センサ15から出力された電圧Voutを検出結果として取得する。ステップST10の後、モータ制御処理は、ステップST12に移行する。
【0122】
ステップST12で、検知部124は、ステップST10で取得された電圧VoutがHighであるか否かを判定する。電圧VoutがHighではない場合には、判定が否定されて、モータ制御処理は、ステップST10に移行する。一方、電圧VoutがHighである場合には、判定が肯定されて、ファンモータ12への水の付着が検知部124によって検知される。そして、モータ制御処理は、ステップST14に移行する。
【0123】
ステップST14で、判定部126は、過電流によりファンモータ12が停止しているか否かを判定する。過電流によりファンモータ12が停止している場合には、判定が肯定されて、モータ制御処理は、ステップST16に移行する。過電流によりファンモータ12が停止していない場合には、判定が否定されて、モータ制御処理は、ステップST18に移行する。
【0124】
ステップST16で、制御部128は、過電流に対する処理を継続する。ステップST16の後、モータ制御処理は、ステップST34に移行する。
【0125】
ステップST18で、判定部126は、ファンモータ12が回転数r1で回転しているか否かを判定する。ファンモータ12が回転数r1で回転していない場合には、判定が否定されて、モータ制御処理は、ステップST20に移行する。ファンモータ12が回転数r1で回転している場合には、判定が肯定されて、モータ制御処理は、ステップST22に移行する。
【0126】
ステップST20で、制御部128は、ファンモータ12を回転数r1で回転させる制御を行う。ステップST20の後、モータ制御処理は、ステップST22に移行する。
【0127】
ステップST22で、通知部130は、ECU20へ水付着検知通知を送信する。ステップST22の後、モータ制御処理は、ステップST24に移行する。
【0128】
ステップST24で、取得部122は、水付着センサ15から出力された電圧Voutを検出結果として取得する。ステップST24の後、モータ制御処理は、ステップST26に移行する。
【0129】
ステップST26で、検知部124は、ステップST24で取得された電圧VoutがHighであるか否かを判定する。電圧VoutがHighではない場合には、判定が否定されて、モータ制御処理は、ステップST28に移行する。一方、電圧VoutがHighである場合には、判定が肯定されて、ファンモータ12への水の付着が検知部124によって検知される。そして、モータ制御処理は、ステップST32に移行する。
【0130】
ステップST28で、通知部130は、ファンモータ12への水の付着が解消した旨の水付着解消通知をECU20へ送信する。ステップST28の後、モータ制御処理は、ステップST30に移行する。
【0131】
ステップST30で、制御部128は、ECU20からの回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御する。ステップST30の後、モータ制御処理は、ステップST10に移行する。
【0132】
ステップST32で、制御部128は、水付着センサ15から出力された電圧VoutがLowになるまでファンモータ12を回転させる制御を行う。ステップST32の後、モータ制御処理は、ステップST34に移行する。
【0133】
ステップST34で、CPU112は、モータ制御処理を終了する条件(すなわち、終了条件)が成立したか否かを判定する。終了条件の一例としては、ECU20からモータ停止信号がCPU112に入力されるという条件等が挙げられる。ファンモータ12が作動している状態で、モータ停止信号がCPU112に入力された場合には、ファンモータ12の作動が停止される。ステップST34において、終了条件が成立していない場合には、判定が否定されて、モータ制御処理は、ステップST10へ移行する。ステップST34において、終了条件が成立した場合には、判定が肯定されて、モータ制御処理は終了する。
【0134】
なお、モータ制御処理により実行される制御方法は、本発明における「ファンモータ12の制御方法」の一例である。
【0135】
以上詳述した通り、本実施形態によれば、制御回路16は、ファンモータ12に設けられた水付着センサ15による検出結果を取得し、水付着センサ15による検出結果に基づいて、ファンモータ12への水の付着を検知する。これにより、例えば、ファンモータ12に水が掛かったり、ファンモータ12に過電流にならない程度の浸水が生じたりした場合でも、ファンモータ12への水の付着を検知することができる。
【0136】
また、制御回路16は、ファンモータ12への水の付着を検知した場合に、通常の回転数よりも高い規定の回転数r1でファンモータ12を回転させる制御を行う。これにより、ファン11の回転に伴う送風によって、ファンモータ12に付着した水を取り払うことができる。
【0137】
また、制御回路16は、ファンモータ12への水の付着を検知した場合に、ファンモータ12が過電流により停止しているか否かを判定し、ファンモータ12が過電流により停止していないと判定した場合には、通常の回転数よりも高い回転数r1でファンモータ12が回転しているか否かを判定し、ファンモータ12が回転数r1で回転していない場合には、ファンモータ12を回転数r1で回転させる制御を行う。これにより、ファンモータ12への水の付着を検知した場合であって、ファンモータ12が過電流により停止していない場合には、ファンモータ12を回転数r1で回転させることができる。
【0138】
なお、上記実施形態において、ファン11による冷却対象物は、一例として、ラジエータであるが、ラジエータ以外でもよい。また、例えば、冷却対象物は、エアコンディショナのコンデンサ、HV(Hybrid Vehicle)のバッテリ、又はEV(Electric Vehicle)のバッテリ等でもよい。
【0139】
また、上記実施形態において、ファンモータ装置10は、一例として、乗用自動車等の車両に適用されているが、水陸両用車等の特殊車両に適用されてもよい。
【0140】
また、上記実施形態において、制御基板14は、ファンモータ12に設けられているが、ファンモータ12とは独立して設けられていてもよい。また、制御回路16は、ECU20と制御基板14とに分かれて設けられていてもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、制御回路16が、ファンモータ12への水の付着を検知した後、ECU20からの回転数指令値に基づいてファンモータ12の回転数を制御するが、自らファンモータ12の回転数を導出し、導出した回転数でファンモータ12を回転させる制御を行ってもよい。
【0142】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0143】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0144】
以下、本発明の一実施形態に係る特徴に関して、以下の付記を示す。
【0145】
(付記1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ファンモータの制御装置。
(付記2)
前記プロセッサは、前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータを回転させる制御を行う、
付記1に記載のファンモータの制御装置。
(付記3)
前記プロセッサは、前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着が解消されたことを検知した場合に、規定時間が経過するまで前記ファンモータを回転させる制御を行う、
付記1又は付記2に記載のファンモータの制御装置。
(付記4)
前記ファンモータには、複数の前記水付着センサが設けられており、
前記プロセッサは、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
付記1から付記3の何れか一つに記載のファンモータの制御装置。
(付記5)
前記プロセッサは、
前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータを回転させる制御を行い、
複数の前記水付着センサによる水が付着した旨の検出結果の数が減ることに伴って、前記ファンモータの回転数を減少させる制御を行う、
付記4に記載のファンモータの制御装置。
(付記6)
前記プロセッサは、複数の前記水付着センサによる検出結果に基づいて、水の付着量を検知する、
付記4又は付記5に記載のファンモータの制御装置。
(付記7)
前記プロセッサは、
前記ファンモータへの水の付着を検知した場合に、前記ファンモータが過電流により停止しているか否かを判定し、
前記ファンモータが過電流により停止していないと判定した場合には、通常の回転数よりも高い規定回転数で前記ファンモータが回転しているか否かを判定し、
前記ファンモータが前記規定回転数で回転していない場合には、前記ファンモータを前記規定回転数で回転させる制御を行う、
付記1から付記6の何れか一つに記載のファンモータの制御装置。
(付記8)
付記1から付記7の何れか一つに記載のファンモータの制御装置と、前記水付着センサとを有する前記ファンモータと、
前記ファンと、
を備えるファンモータ装置。
(付記9)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
を有し、
前記ロータマグネットの軸方向端面は、前記ロータハウジングの径方向に対して傾斜している、
付記8に記載のファンモータ装置。
(付記10)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
を有し、
前記ロータハウジングには、前記ロータハウジングの軸方向に前記ロータマグネットと対向する位置に貫通穴が形成されている、
付記8又は付記9に記載のファンモータ装置。
(付記11)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
を有し、
前記ロータハウジングの周壁部には、前記ロータマグネットの軸方向端面と対応する位置に貫通穴が形成されている、
付記8から付記10の何れか一つに記載のファンモータ装置。
(付記12)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられ、
前記板状部には、前記水付着センサを起点にして延びる溝が形成されている、
付記8から付記11の何れか一つに記載のファンモータ装置。
(付記13)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられ、かつ、前記板状部の板厚方向から見て前記ロータハウジングの外側の位置に配置されている、
付記8から付記12の何れか一つに記載のファンモータ装置。
(付記14)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
複数の前記水付着センサと、
を有し、
複数の前記水付着センサは、前記板状部の周方向における異なる位置にそれぞれ設けられている、
付記8から付記13の何れか一つに記載のファンモータ装置。
(付記15)
前記ファンモータは、
有天筒状に形成され、前記ファンに対して固定されるロータハウジングと、
前記ロータハウジングの内周面に固定されたロータマグネットと、
前記ロータハウジングの開口と対向する板状部を有するセンターピースと、
を有し、
前記水付着センサは、前記板状部に設けられた一対の電極を有し、
前記板状部における前記一対の電極の間には、溝が形成されている、
付記8から付記14の何れか一つに記載のファンモータ装置。
(付記16)
前記ファンモータは、
複数の前記水付着センサと、
複数の前記水付着センサにそれぞれ対向する複数の前記溝と、
を有し、
複数の前記溝は、
第1溝と、
前記第1溝に対して深さが異なる第2溝と、
を含む、
付記15に記載のファンモータ装置。
(付記17)
コンピュータが、
ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ことを含む処理を実行するファンモータの制御方法。
(付記18)
コンピュータに、
ファンを回転させるファンモータに設けられた水付着センサによる検出結果を取得し、
前記水付着センサによる検出結果に基づいて、前記ファンモータへの水の付着を検知する、
ことを含む処理を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0146】
10…ファンモータ装置、11…ファン、12…ファンモータ、13…モータ部、14…制御基板、15…水付着センサ、16…制御回路、17…インバータ回路、18…電流センサ、26…ロータ、28…ステータ、30…シャフト、32…センターピース、36…基板ケース、38…コネクタ部材、40…ロータハウジング、40A…開口、42…ロータマグネット、42A…内周面、42B…軸方向端面、44…軸受収容部、46…軸受、48…ステータコア、50…インシュレータ、52…巻線、54…ティース、56…板状部、58…凹部、60…コネクタ端子、62…コネクタケース、66…天壁部、68…周壁部、70…貫通穴、72A…電極、72B…電極、74A…抵抗、74B…抵抗、74C…抵抗、74D…抵抗、76…ダイオード、78…コンパレータ、80…バッテリ、82…5V電源、84…5V電源線、86…GND線、88…接続線、90…接続線、92…溝、94…接続部材、96…基板本体、98…スルーホール、100…半田、102…シール材、104…車両、106…車両、110…コンピュータ、112…CPU、114…ROM、116…RAM、118…バス、120…モータ制御プログラム、122…取得部、124…検知部、126…判定部、128…制御部、130…通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22