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特開2024-134422情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134422
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240926BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240926BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240926BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/14
H02J3/00 180
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044720
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】四辻 嵩直
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知史
(72)【発明者】
【氏名】新垣 隆生
(72)【発明者】
【氏名】葛西 智広
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB08
5G064DA03
5G064DA11
5G066AA04
5G066HB09
5G066JB03
5G066KA01
(57)【要約】
【課題】移動体が有する蓄電池が充放電用の充電接続部に接続されている時間及び当該時間における蓄電池の電池残量に関する情報を推定する。
【解決手段】本実施形態の情報処理装置は、第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、処理部、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、処理部、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記充電接続部に前記移動体が接続されていない第1非接続時間の情報に基づき、前記第2接続時間と前記蓄電池の電池残量とを推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第2の期間において前記充電接続部に前記移動体が接続されていない第2非接続時間を推定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電池残量の情報は、前記電池残量と前記電池残量の計測時刻とを含み、
前記処理部は、前記第2接続時間における前記電池残量を時刻毎に推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも時間的に後の期間である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の期間において前記充電接続部に接続されている前記移動体の前記電池残量を計測することで、前記電池残量の情報と、前記第1非接続時間の情報とを取得する蓄電池残量計測部
をさらに備えた請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1非接続時間は、前記充電接続部に前記移動体が接続されていない複数の要因別に非接続時間を含み、
前記処理部は、前記移動体が前記複数の要因の判定条件に基づいて、前記移動体が前記充電接続部に接続されていない要因別の非接続時間を特定し、特定した前記要因別の非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づいて、前記第2非接続時間を前記要因別に推定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の要因のうちの第1要因は、前記移動体が前記充電接続部に接続不能な第1場所に存在しかつ前記充電接続部に接続されていないことであり、第2要因は、前記移動体が前記充電接続部に接続可能な第2場所に存在しかつ前記充電接続部に接続されていないことである
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定条件は、前記移動体が前記第1場所に存在する時間の条件を含み、
前記処理部は、前記時間の条件を満たす時刻に前記移動体が前記第1場所に存在し、前記時間の条件を満たさない時刻に前記移動体が前記第2場所に存在することを決定する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定条件は、前記第2場所に存在する1つ以上の機器の動作状態に基づく条件であり、
前記処理部は、前記機器の動作状態の情報に基づき、前記要因別の非接続時間を特定する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、
日付に関連する属性を含む日付関連情報に基づき、前記第2の期間が表す日付の属性と、前記第1の期間に含まれる1つ以上の日付の属性を特定し、
前記第2の期間の前記属性と一致する属性を有する日付を前記第1の期間に含まれる前記1つ以上の日付から検出し、
検出した日付の前記第1非接続時間の情報に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を決定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、検出した前記日付が複数存在するとき、複数の前記日付の前記第1非接続時間のうち前記第1非接続時間の開始時刻と継続時間との組の頻度が最も高い前記第1非接続時間を特定し、特定した前記第1非接続時間に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を推定する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理部は、検出した前記日付ごとに、前記第1非接続時間の回数を計数し、
前記第1非接続時間の回数が前記最も高い回数の日付の前記第1非接続時間の情報に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を推定する
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1非接続時間の回数は、前記移動体が前記充電接続部に接続されていない連続する時間を1とする
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記処理部は、複数の需要家の前記移動体の前記蓄電池のスペック情報と、デマンドレスポンスの予定時間に関するデマンドレスポンス関連情報と、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づき、前記需要家ごとに前記第2非接続時間では充電及び放電のいずれも実行できないことを前提として、前記デマンドレスポンスの予定時間において前記需要家ごとに充電又は放電可能な電力量を計算し、前記需要家ごとの前記電力量を合計することより、前記需要家全体の充電又は放電可能な合計電力量を計算する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記デマンドレスポンスの予定時間における前記合計電力量を示す情報を、前記デマンドレスポンスを管理する事業者の装置又は電力取引市場に入札を行う装置に送信する
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記処理部は、前記移動体の利用開始時刻と前記利用開始時刻での前記蓄電池の必要蓄電量と、前記蓄電池のスペック情報と、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づき、前記利用開始時刻までに必要な前記蓄電池の充電量を算出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記処理部は、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報に基づき、前記利用開始時刻までに前記必要な充電量の電力を充電可能か否か決定する
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記処理部は、前記利用開始時刻までに前記必要な充電量の電力を充電可能でないことを決定した場合は、前記利用開始時刻までに充電可能な電力量を算出し、算出した電力量を前記利用開始時刻までに充電する必要がある充電量とする
請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記処理部は、時刻と電力単価との関係を示す電力価格情報と、推定された前記第2非接続時間の情報とに基づき、前記利用開始時刻までに必要な前記充電量の充電を行う計画を生成する
請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記充電接続部に接続された前記移動体の前記蓄電池の充放電を制御する充放電制御部
をさらに備えた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項22】
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する
情報処理方法。
【請求項23】
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、ステップ、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項24】
蓄電池を有し、充電接続部に接続されることで前記蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能な移動体と、
第1の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する処理部と、
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
需給調整市場をはじめとした電力市場において、複数の需要家が有する電気自動車(EV: Electric Vehicle)等の移動体が備える蓄電池を、市場に入札する電力リソースとして用いるためには、各移動体が備える蓄電池の将来の蓄電池残量を精度よく推定する必要がある。
【0003】
さらに、各需要家の移動体が有する蓄電池をデマンドレスポンス(DR)に対する電力リソースとして利用するためにも、蓄電池の将来の電池残量を精度よく推定する必要がある。
【0004】
また、需要家宅においてユーザが移動体を用いて外出した場合や移動体を充電接続部につなぎ忘れている場合、移動体の蓄電池を電力リソースとして利用できない。このため、蓄電池の電池残量に加えて、移動体が充電接続部に接続されている時間も精度よく推定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5983237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態は、充電接続部に移動体が接続されている接続時間及び当該接続時間における電池残量を推定可能な情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の情報処理装置は、第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、処理部、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の基本的な実施形態に関わる全体システム構成の概略を示すブロック図。
図2】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置の構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において蓄電池残量及び非接続区間を推定する手順を概略的に示すフローチャート。
図4】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において利用される蓄電池残量情報および蓄電池残量の欠測区間情報の例を示す図。
図5】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において非接続区間を特定する手順の例を概略的に示すフローチャート。
図6】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において利用される日付関連情報および非接続区間関連情報と、同装置内にて生成される蓄電池残量の非接続区間情報の例を示す図。
図7】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において非接続区間を推定する手順の例を概略的に示すフローチャート。
図8】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において蓄電池残量を推定する手順の例を概略的に示すフローチャート。
図9】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において出力される非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報の例を示す図。
図10】本発明の実施形態1に関わる情報推定装置において出力される非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報の例を表形式で示す図。
図11】本発明の実施形態2に関わるDR可能量算出装置の構成を示すブロック図。
図12】本発明の実施形態2に関わるDR可能量算出装置において利用される非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報の例を示す図。
図13】本発明の実施形態2に関わる情報推定装置において利用されるDR関連情報の例を示す図。
図14】本発明の実施形態2に関わる情報推定装置において利用される蓄電池スペック情報の例を示す図。
図15】本発明の実施形態2に関わる情報推定装置においてDR可能量を算出する手順の例を概略的に示すフローチャート。
図16】本発明の実施形態2に関わる情報推定装置において出力される需要家全体の合計DR可能量の例を示す図。
図17】本発明の実施形態2に関わる情報推定装置において出力される上げDRの場合の需要家全体の合計DR可能量の例を示す図。
図18】本発明の実施形態3に関わる必要充電量算出装置の構成を示すブロック図。
図19】本発明の実施形態3に関わる情報推定装置において利用される移動体利用関連情報および蓄電池スペック情報と、同装置内にて生成される必要充電量情報の例を示す図表。
図20】本発明の実施形態3に関わる情報推定装置において必要充電量を算出する手順の例を概略的に示すフローチャート。
図21】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(全体構成)
図1は、本発明の基本的な実施形態に関わる全体システム構成の概略を示すブロック図である。本システムは、大きく、需要家宅19に設けられ蓄電池21Aを有する移動体21と、需要家宅19に設けられる充放電制御機器18と、蓄電池残量情報DB14と、日付関連情報DB15と、非接続区間関連情報DB16と、情報処理装置である情報推定装置10とを備える。需要家宅19としては、主に住宅(低圧需要家)を想定する。但し、オフィスビル、商業ビル、公共施設、工場、等の高圧需要家や特別高圧需要家などであってもよい。また、蓄電池を有する移動体21は、主に電気自動車(EV)を想定する。但し、プラグインハイブリッド車やドローン等の電動移動体や非電動移動体であってもよい。蓄電池の例として、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電、全固体電池、燃料電池などがある。蓄電池は繰り返し充放電が可能であり、2次電池とも呼ばれる。
【0011】
移動体21は、例えばEVの場合、ユーザが外出時に使用する場合、需要家宅19外に存在し、ユーザの帰宅時には需要家宅19内に置かれる。移動体21は、充放電制御機器18の充電接続部18Aに接続されることで、充放電制御機器18により蓄電池21Aが充電又は放電(充放電)されることができる。つまり、需要家宅19が有する移動体21の蓄電池21Aは、充電接続部18Aに接続されている間、充放電制御機器18による制御に基づき蓄電池21Aの充放電が行われることができる。充放電により、蓄電池21Aの蓄電池残量が変動する可能性がある。また移動体21が充電接続部18Aに接続されている間、充放電制御機器18の蓄電池残量計測部17により電池残量が計測可能である。なお、ユーザが蓄電池残量計測部17に接続することを忘れる場合もあり得る。この場合も、移動体21が需要家宅19内にあっても蓄電池21Aの充放電を行うこと、及び電池残量の計測を行うことはできない。
【0012】
より詳細には、充放電制御機器18は移動体21が接続される充電接続部18Aと、蓄電池残量計測部17とを備える。充電接続部18Aは、例えば移動体21が備える充電ケーブルのプラグと接続されるコンセントでもよい。有線以外に充電接続部18Aは無線(例えば磁気結合)で移動体21と接続されてもよい。この場合、充放電制御機器18は無線電力伝送を用いて移動体21を充放電制御してもよい。蓄電池残量計測部17は、移動体21が充電接続部18Aに接続されている状態で、蓄電池21Aの電池残量を一定時間間隔の時刻毎に計測し、蓄電池残量情報を取得する。電池残量は移動体21が接続されている時間(接続時間)のみ取得できる。接続時間以外の時間は、移動体21が接続されていない時間(非接続時間又は欠測区間)に対応する。蓄電池残量計測部17は、移動体21が充電接続部18Aに接続されておらず電池残量を計測できない時間の情報(欠測区間情報、又は非接続時間の情報)も取得する。需要家宅19に不在となる時間帯や、需要家宅19に存在していたとしても充電接続部18Aに未接続な時間帯においては、蓄電池残量計測部17は移動体21の蓄電池残量を計測できず、充放電もできない。そうした蓄電池残量の欠測区間情報(非接続時間の情報)が、計測された時間帯(第1接続時間)の情報と当該時間帯における電池残量の情報とを含む蓄電池残量情報と共に取得される。
【0013】
蓄電池残量情報DB14は、充放電制御機器18により取得された蓄電池残量情報及び欠測区間情報を記憶又は蓄積する。蓄電池残量情報DB14には、第1の期間のうち充電接続部18Aに移動体21が接続されている第1接続時間の情報と、第1接続時間に計測された蓄電池21Aの電池残量の情報とを含む蓄電池残量情報と、第1の期間のうち充電接続部18Aに移動体21が接続されておらず電池残量が計測されていない第1非接続時間の情報(欠測区間情報)とが記憶される。第1の期間は、例えば、現在よりも過去の期間である。
【0014】
日付関連情報DB15は、日付に関連する属性を表す日付関連情報を蓄積する。属性は、曜日でもよいし、平日、祝日、休日等の区分でもよいし、特定のイベント発生の有無でもよいし、天気(気象状況)でもよい。日付関連情報D15は、蓄電池残量情報が計測された日付の属性を特定するために用いられる。
【0015】
電力関連情報計測機器20は、需要家宅19内の機器の動作状態を計測し、電力関連情報を生成する。例えば需要家宅19内の各種家電機器等の機器の使用開始時刻及び使用終了時刻(あるいは動作継続時間)を計測する。計測は、機器の消費電力の変動に基づき行ってもよいし、機器のON/OFF信号に基づき行ってもよい。電力関連情報は、例えば機器が動作している時刻又は時間は、移動体21が需要家宅19に存在すると判断するのに用いてもよい。また電力関連情報は、例えば、機器が動作している時刻又は時間に移動体21が充電接続部に接続されていない場合に、ユーザが移動体21を接続し忘れていると判断するのに用いてもよい。
【0016】
非接続区間関連情報DB16は、前述の欠測区間情報から、非接続時間のうち移動体21が需要家宅19に存在しない不在時間(不在区間)を特定するための条件(判定条件)に関する情報を、非接続区間関連情報として記憶又は蓄積する。本実施形態では非接続時間のうち不在区間を特定するための条件を記憶するが、接続されない複数の要因別に条件を記憶してもよい。例えば要因のうちの1つの第1要因が、移動体21が需要家宅19に存在せずに(移動体21が接続できない第1場所に存在し)、充電接続部18Aに接続されていないこと(不在)であり、第2要因が、移動体21が需要家宅19に存在する(移動体21が接続できる第1場所に存在する)が、充電接続部18Aに接続されていないこと(接続忘れ)でもよい。本実施形態では主として後者の第1要因の場合を例として説明する。
【0017】
非接続区間関連情報は、例えば、欠測区間情報から非接続区間(ここでは不在区間)を抽出する条件を定めた情報であるともいえる。この非接続区間関連情報は、需要家宅19において外部装置からユーザが直接入力してもよいし、電力関連情報計測機器20により計測される電力関連情報を、非接続区間関連情報として入力してもよい。その他、充放電制御機器18等により計測される電力関連情報を非接続区間関連情報として入力してもよい。
【0018】
仮に要因が上記の第1要因と第2要因との2つのみ存在する場合、欠測区間情報が示す欠測区間(非接続時間)は、移動体21が充電接続部18Aに接続不能な第1場所に存在しかつ充電接続部18Aに接続されていない第1時間(不在区間)と、移動体21が充電接続部18Aに接続可能な第2場所に存在しかつ充電接続部18Aに接続されていない第2時間(在宅区間)との一方又は両方を含み得る。要因は上記の第1要因及び第2要因以外の要因があってもよい。
【0019】
情報推定装置10は、本実施形態の処理を行う処理部10Aとして、これらのDB14、15、16から情報を取得するデータ取得部11と、これらの情報に基づき、将来の非接続区間(非接続時間)および将来の蓄電池残量を推定し、非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報を生成する非接続区間/蓄電池残量推定部12と、非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報を出力するデータ出力部13とを備える。蓄電池残量推定情報は、移動体21が充電接続部に接続されている時間(第2接続時間)と、当該接続時間における時刻毎の電池残量とが含まれる。推定される非接続区間は、本例では上述したように、移動体21が需要家宅19に存在しない時間(不在区間)を想定する。蓄電池残量推定情報は、非接続区間(非接続時間)および蓄電池残量を推定する対象となる期間は、第2の期間に対応する。第2の期間は、現在よりも将来の期間であるとするが、過去の期間であってもよい。第2の期間は、蓄電池残量情報DB14の情報が蓄積されている第1の期間と少なくとも一部が異なってよいし、全部が異なってもよい。
【0020】
データ出力部13によって出力された情報を、例えば需要家宅19のユーザが使用する表示装置に表示してもよい。表示されるデータは、将来において移動体21が充電接続部に接続されている時間(第2接続時間)と、当該接続時間に応じた電池残量と含まれ、さらに移動体21が充電接続部に接続されていない時間(非接続時間)も含まれ得る。これにより、移動体21の充電接続部18Aへの接続状態をあらかじめ管理できるようにしてもよい。あるいは出力された情報を、複数の需要宅について蓄電池21Aの使用状態や移動体21の接続状態を集約して管理する所定のサーバに送信してもよい。データ出力部13は、非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報以外にも、過去の非接続区間の情報及び過去の蓄電池残量情報等を出力して、これらを同時に表示してもよい。
【0021】
なお、情報推定装置10では、上述のように将来の非接続区間および将来の蓄電池残量を推定するために、需要家宅19における蓄電池21Aの充放電制御の計画情報をあらかじめ用意することは不要である。また、蓄電池残量と非接続区間との推定方法に関して、DBから取得できる全ての情報を利用しなくてもよく、過去の計測結果をそのまま推定として出力する方法や、統計モデルや機械学習に基づく推定方法であってもよい。蓄電池残量と非接続区間とは同じ推定方法にて推定してもよく、別々の推定方法にて推定してもよい。DB16の非接続区間関連情報は必ずしも利用する必要はなく、欠測区間情報が示す欠測区間をそのまま非接続区間としてもよい(つまり移動体21が需要家宅19に存在しないのか存在するのかなど非接続の要因を区別しなくてもよい)。あるいは、欠測区間情報及び不在区間関連情報を全く利用せずに、蓄電池残量及び非接続区間を推定してもよい。また、必ずしも非接続区間を推定する必要はなく、蓄電池21Aが接続されている接続時間(第2接続時間)と当該接続時間における蓄電池21Aの電池残量とを少なくとも推定できればよい。
【0022】
以下、本実施形態についてさらに具体的に説明する。
【0023】
(実施形態1)
図2は、本発明の実施形態1に関わる情報推定装置10の構成を示すブロック図である。実施形態1における情報推定装置10はデータ取得部11と、非接続区間特定部120と、非接続区間推定部121と、蓄電池残量推定部122と、推定統合部123と、データ出力部13とを備える。データ取得部11と、非接続区間特定部120と、非接続区間推定部121と、蓄電池残量推定部122と、推定統合部123と、データ出力部13は、図1の処理部10Aに対応する。図1と同一又は対応する要素には同一の符号を付して、詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
データ取得部11は図1と同様、DB14、DB15、D16からそれぞれ情報を取得する。
【0025】
非接続区間特定部120は、データ取得部11で取得された情報のうち欠測区間情報と非接続区間関連情報とに基づき、移動体21が接続されていない非接続時間(第2非接続時間)である非接続区間を特定し、非接続区間を表す非接続区間情報を生成する。本例では、非接続区間は、移動体21が需要家宅19に存在しない不在区間である。非接続区間情報を日付関連情報とともに非接続区間推定部121に出力する。
【0026】
非接続区間推定部121は、非接続区間特定部120から入力される日付関連情報と非接続区間情報とに基づき、将来における非接続区間を推定して非接続区間推定情報を生成し、非接続区間推定情報を推定統合部123に出力する。
【0027】
蓄電池残量推定部122は、データ取得部11で取得された情報のうち日付関連情報と蓄電池残量情報とに基づき、将来における電池残量を推定して蓄電池残量推定情報を生成し、推定統合部123に出力する。
【0028】
推定統合部123は、非接続区間推定部121および蓄電池残量推定部122からそれぞれ非接続区間推定情報と蓄電池残量推定情報を入力して、非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報とを統合した統合情報を生成する。
【0029】
データ出力部13は、推定統合部123で生成された統合情報を出力する。
【0030】
以下では、図3から図10を用いて、本発明の実施形態1の具体的な説明を行う。以下はひとつの例であり、必ずしもこの通りに過去の非接続区間の特定、将来における非接続区間の推定、将来における蓄電池残量の推定、非接続区間推定情報と蓄電池残量推定情報との統合を行わなくてもよい。
【0031】
図3は、本発明の実施形態1に関わる情報推定装置10において不在区間及び蓄電池残量を推定する手順を概略的に示すフローチャートである。
【0032】
ステップS1において、非接続区間特定部120が入力された欠測区間情報と非接続区間関連情報に基づいて過去における非接続区間を特定する。非接続区間関連情報は、前述したとおり、欠測区間情報から非接続区間(本例では不在区間)を決定するための条件である。非接続区間特定部120は、欠測区間情報に非接続区間関連情報が示す条件を適用することで、過去における非接続区間を検出する。非接続区間は、前述したように、移動体21(ユーザ)の不在又はプラグ未接続等の要因別に特定されてもよいが、本例では要因が不在の場合を主として想定する。
【0033】
ステップS2において、非接続区間推定部121がステップS1で生成した過去の非接続区間とその日時情報を学習し、将来における非接続区間を推定する。推定した非接続区間(推定非接続区間)を表す非接続区間推定情報を生成する。要因別に非接続区間を推定する場合は、過去の非接続区間の学習において、先述した要因別の区別に従って別々に学習してもよい。
【0034】
ステップS3において、蓄電池残量推定部122が過去の蓄電池残量とその日時情報を学習し、将来における蓄電池残量を推定する。推定した蓄電池残量(推定蓄電池残量)を表す蓄電池残量推定情報を生成する。ステップS2およびステップS3において将来の推定対象区間は、任意の有限の時間長であってもよく、推定対象区間の時間間隔は1分以上の任意の時間間隔であってもよくステップS2とステップS3間で異なっていてもよい。
【0035】
ステップS4において、推定統合部123がステップS3で生成した蓄電池残量推定情報とステップS2で生成した非接続区間推定情報とを統合する。ここでの統合とは、単純に蓄電池残量推定情報と非接続区間推定情報との両方を1つのテーブルにまとめることでもよいし、推定蓄電池残量のデータから推定非接続区間のデータを除外してもよいし、時間間隔を揃えるだけでもよい。推定非接続区間が存在しない場合はデータの操作(統合)を行わなくてもよい。
【0036】
ステップS5において、データ出力部13が、推定統合部123により生成された統合情報を出力する。
【0037】
図4(A)は、蓄電池残量情報の例を示す表、図4(B)は、蓄電池残量の欠測区間情報(過去の非接続区間の情報)の例を示す表である。図4(A)において、移動体21の蓄電池残量の計測情報が1分単位で記録されている。蓄電池残量の計測が欠測して値がない区間(ハイフンで記載)は、欠測区間に対応する。1分単位で欠測区間か否かを示す情報が図4(B)の欠測区間情報である。図4(B)において、丸印が欠測区間であることを意味し、×印が欠測区間でないことを意味する。
【0038】
(ステップS1:過去における非接続区間の特定)
図5は、ステップS1の詳細フローチャートであり、非接続区間特定部120が過去の非接続区間(本例では不在区間)を特定し、非接続区間情報を得る手順の、具体的な処理の例を概略的に示すフローチャートである。図5に基づき、非接続区間を得るステップS1の具体的な処理の例を説明する。以下の説明では、非接続区間は需要家宅19に不在となる時間帯であるとし、ユーザが在宅しているが移動体21を接続し忘れている時間帯は非接続区間として扱わないことに注意する。但し、本実施形態はこの扱いに限定されず、要因別に非接続区間を定義する場合は、接続忘れの非接続区間と不在の場合の非接続区間とを別々に特定してもよい。
【0039】
図6(A)は、日付関連情報の例を示す表、図6(B)は非接続区間関連情報の例を示す表、図6(C)は、ステップS1の処理の結果として生成される非接続区間情報の例を示す表である。
【0040】
図5のステップS10において、非接続区間特定部120は、蓄電池残量計測部17に接続忘れ等により未接続な時間区間などの欠測区間(不在区間ではない欠測区間)が生じうる時間帯を、非接続区間関連情報に基づいて特定する。図6(B)の非接続区間関連情報を用いた場合、不在区間の開始時間帯が3時から23時であり、不在区間の終了時間帯が0時から23時であり、不在区間の最大継続時間が12時間であり、不在区間の最小継続時間が3時間であるとの条件を満たす欠測区間が不在区間(対象とする非接続区間)として定められるため、欠測区間情報に示される欠測区間のうち、当該非接続区間関連情報で定められる条件を満たす区間(時間帯)以外の区間が、対象とする非接続区間ではない欠測区間として判定される。すなわち、図4(B)の欠測区間情報で×(欠測区間でない)の時刻は少なくとも移動体21が需要家宅19に存在していることが意味される。そこで、非接続区間関連情報を利用して、欠測区間情報で丸(欠測区間)の時刻に移動体21が需要家宅19に不在か否かを推定又は判定する。図6(B)の非接続区間関連情報はすべての日に共通に適用されるが、曜日又は休祝日別など、日の属性に応じて定義されてもよい。
【0041】
ステップS11において、非接続区間特定部120が、ステップS10で決定した対象の非接続区間(不在区間)でない欠測区間を、非接続区間特定部120に入力された欠測区間情報から除去する。図6(C)の例では、図4(B)の蓄電池残量の欠測区間情報にて2022/01/01 00:05から開始している欠測区間は、先述した不在区間の開始時間帯の判定基準(3時から23時)を満たしていないため不在区間として判定されず(対象とする非接続区間でない欠測区間(接続忘れの区間)として判定され)、図6(C)の蓄電池残量の非接続区間情報からは除去されている。
【0042】
ステップS12において、非接続区間特定部120が、ステップS11にて除去されずに残った欠測区間を対象の非接続区間(不在区間)として決定し、決定した非接続区間を表す非接続区間情報を生成する。ここで生成される非接続区間情報は、例えば、図6(C)のような形式のデータである。図6(C)のデータでは、1分単位で非接続区間であるかの情報(判定結果)が含まれる。
【0043】
(ステップS2:非接続区間の推定)
図7は、非接続区間推定部121が非接続区間(本例では不在区間)を推定する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図7に基づき、非接続区間を推定するステップS2の具体的な処理の例を説明する。
【0044】
非接続区間の回数や非接続区間の開始時刻・継続時間は、曜日や休祝日に関連して変動し、曜日や休祝日に関して一貫性があると考えられる。したがって、日付関連情報から上記非接続区間の回数、開始時刻・継続時間の推定が可能である。例えば、平日の8:00から19:00に電気自動車を利用して需要家宅19に不在となることで発生する非接続区間は、将来にも平日の8:00から19:00に発生する可能性が高いと考えられる。
【0045】
ステップS20において、日毎に非接続区間の回数を計数し、非接続区間推定部121は、日付関連情報が示す日毎の属性(曜日・休祝日)と日毎に有する非接続区間の回数との関係性を学習し、推定対象日の非接続区間の回数を日付関連情報に基づいて推定する。非接続区間の回数の計数では、移動体21が接続されていない連続する時間を1として計数する。
【0046】
図6(A)の日付関連情報の例では、日毎に曜日と休祝日の情報が含まれており、図6(C)の非接続区間情報において抽出した日毎の非接続区間の回数と対応付けることが可能である。例えば、2022/01/07を推定対象日とした場合、2022/01/07の日付関連情報は「金曜日かつ休祝日ではない」であるため、過去の「金曜日かつ休祝日ではない」日の非接続区間の回数で最も頻度が高い数値(例として1回)を、2022/01/07の非接続区間の推定回数とすることが可能である。
【0047】
ステップS21において、過去の日毎に有する非接続区間の回数ごとに、日付関連情報と非接続区間の開始時刻・継続時間の関係性を学習し、ステップS20で推定された非接続区間の回数に紐づいた関係性を利用して推定対象日の非接続区間の開始時刻・継続時間を日付関連情報に基づいて推定する。
【0048】
具体的には、ステップS20で推定された非接続区間の回数と等しい非接続区間の回数の日に関する、過去の非接続区間の開始時刻・継続区間を取得し、取得した情報(非接続区間の開始時刻・継続区間)と日付関連情報の属性(曜日や休祝日等)との関係性を学習する。さらに、その学習した関係性と、推定対象日の属性とに基づいて、推定対象日の非接続区間の開始時刻・継続時間を推定する。
【0049】
先述した2022/01/07を推定対象日とした例では、日毎の非接続区間の回数が1回として推定されたため、過去の「日毎の非接続区間の回数が1回」かつ「金曜日かつ休祝日ではない」日をすべて抽出し、抽出したすべての日の非接続区間の開始時刻・継続時間でそれぞれ最も頻度が高い数値(例として開始時刻が12:30で継続時間が4時間)を、2022/01/07の非接続区間の開始時刻・継続時間とすることができる。
【0050】
ステップS22において、ステップS21で推定された推定対象日の非接続区間の推定開始時刻・推定継続時間を基に、推定対象日について1分単位で接続区間であるか否かを示した情報を生成し、生成した情報を、推定対象日における非接続区間の推定情報として出力する。
【0051】
図8は、蓄電池残量推定部122が蓄電池残量を推定する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図8に基づき、蓄電池残量を推定するステップS3の具体的な処理の例を説明する。
【0052】
需要家宅19の蓄電池残量計測部17に接続される移動体21の蓄電池21Aは、需要家宅19の充放電制御機器18による制御を受けて充放電されることで、蓄電池残量が変動する。充放電制御機器18の制御は、運転モード等の設定に依存するが、1日周期の周期的な制御が行われることが多く、その場合は各日の蓄電池残量の変動が似たようなものとなる。したがって、過去に発生した周期的な制御の特徴を捉えることで、将来に充放電制御機器18に接続されている間の蓄電池残量を推定することが可能である。以下の例では、各日の蓄電池残量曲線を関数データとみなし、関数時系列推定によって将来の蓄電池残量曲線を推定する。
【0053】
ステップS30において、蓄電池残量推定部122は、蓄電池残量の欠測区間をスプライン補間によって補間する。補間により蓄電池残量の欠測区間は滑らかに繋がれ、欠測区間のない蓄電池残量データが生成される。図4(A)の蓄電池残量情報の例では、2022/01/01 00:05以降に、欠測が生じて値がない欠測区間(ハイフンで記載)があり、このような区間の値をスプライン補間によって埋める。
【0054】
ステップS31において、ステップS30で補間された蓄電池残量の日毎のデータ点に基づいてスプライン関数の基底関数展開を用いて関数データ化する。さらに、関数主成分分析および自己回帰モデルを用いて推定対象日の蓄電池残量の関数データを推定する。
具体的には、蓄電池残量の関数データに対する関数主成分分析によって各母関数主成分の日毎に変動する主成分スコアを計算し、時系列データとなる主成分スコアの自己回帰モデルを学習し、自己回帰モデルに基づいて推定対象日の主成分スコアを推定し、各母関数主成分の推定主成分スコアに基づいて推定対象日の蓄電池残量の関数データを復元する。
【0055】
ここでは、推定対象日が2022/01/07であり、推定対象日より前28日間(2021/12/10から2022/01/06)の蓄電池残量情報を用いた例について説明する。
【0056】
まず、2021/12/10から2022/01/06の蓄電池残量の欠測区間をスプライン補間によって補間する。
【0057】
次に、補間された蓄電池残量のデータ点に基づいて、スプライン関数の基底関数展開を用いることで、蓄電池残量の関数データを日毎に得る。すなわち、28日間に対応する28個の関数データ
が得られる。この関数データに対して関数主成分分析を利用し、各母関数主成分の日毎に変動する主成分スコアを計算する。6個の母関数主成分
を利用する場合、6個の主成分スコアが以下のように28日分得られる。
【0058】
さらに、この各主成分スコアは日毎に得られる時系列データとなっているため、28日間の主成分スコア
で自己回帰モデルを学習し、1日後(2022/01/07)の主成分スコア
を推定することができる。
ここで、

個目の母関数主成分を意味する。
【0059】
推定された2022/01/07の6個の母関数主成分に対応する6個の主成分スコア
に基づいて、2022/01/07の推定関数データ
を復元する。
【0060】
ステップS32において、ステップS31において推定した推定対象日の蓄電池残量の関数データを離散化して出力する。この離散化は蓄電池残量情報と等しくなるように行う。図4(A)の蓄電池残量情報を参考にすると、推定対象日の1分単位の蓄電池残量を出力すればよい。
【0061】
図9は、推定統合部123により非接続区間推定情報と蓄電池残量推定情報とが統合された統合情報Tを含む出力データの例を示している。図10は、図9の統合情報Tを表形式で示したものである。
【0062】
統合情報Tは、図9で網掛となっている推定対象区間G7(推定対象日(3日目))に関して情報推定装置10により生成されている。統合情報Tは、推定蓄電池残量G5のグラフと、推定非接続区間G6の情報とを含む。また、図9の出力データには統合情報T以外に、1日目と2日目の蓄電池残量G1がグラフで示され、また欠測区間G2,G3,G4を示す情報が示されている。2日目の1回目の欠測区間G3は、対象とする非接続区間(不在区間)ではない欠測区間(例えば移動体21は需要家宅19に存在するが蓄電池残量計測部17に接続されていない接続忘れ等による欠測区間)である。一方、1日目の欠測区間G2と、2日目の2回目の欠測区間G4は、対象とする非接続区間(不在区間)又は第2非接続時間として非接続区間特定部120にて生成された過去の非接続区間(不在区間)である。接続忘れ等の区間を推定の対象とする場合は、3日目の推定対象区間G7において接続忘れの非接続区間も含まれ得る。図9の例では推定非接続区間G6における推定蓄電池残量も推定されているが、推定非接続区間G6における蓄電池残量の推定を省略してもよい。少なくとも推定対象区間G7において移動体21の接続区間(第2接続時間)における蓄電池残量が推定されればよい。
【0063】
以上、本実施形態によれば、移動体が有する蓄電池が充放電用の充電接続部に接続されている時間及び当該時間における電池残量に関する情報を精度よく推定することができる。需要家宅における蓄電池の充放電計画が存在する場合や、移動体側で蓄電池残量の情報を取得できる場合(例えば移動体が蓄電池から電池残量情報を取得する仕組みを備える場合)であれば、当該計画を参照しつつ、移動体から当該情報を通信等で取得することで、高い精度の推定も可能になり得る。しかしながら、需要家宅において移動体が有する蓄電池の充放電計画が存在しない場合や、移動体側で蓄電池残量の情報を取得できない場合においては、精度の高い推定は通常困難である。本実施形態では蓄電池残量計測部17で計測した蓄電池残量情報及び欠測区間情報を用いることで、上記計画がない場合や移動体側で蓄電池残量の情報を取得できない場合であって、移動体が充電接続部に接続されている接続時間と当該接続時間における電池残量とを高い精度で推定することが可能になる。
【0064】
(実施形態2)
本発明の実施形態2として、単一又は複数の需要家の蓄電池残量推定情報を基に、単一又は複数の需要家合計のDR(デマンドレスポンス)可能量を算出する場合の実施形態について述べる。
【0065】
図11は、実施形態2に係る情報処理装置としてDR可能量算出装置100の一例を示すブロック図である。こここでは、需要家1~KまでのK需要家がいる場合について説明する。図11のDR可能量算出装置100は、複数の需要家1~K毎の情報推定装置10と、情報推定装置10によって生成された統合情報(蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報)を記憶する複数の需要家1~K毎の推定情報DB101と、DRに関する情報を記憶するデマンドレスポンス関連情報(DR関連情報)DB102と、需要家1~K毎の蓄電池21Aのスペック情報を記憶する蓄電池スペック情報DB103と、需要家全体のDR可能量を算出するDR可能量算出部105と、算出された需要家全体のDR可能量を記憶する全体DR可能量DB104と、を備えている。複数の需要家1~K毎の情報推定装置10は実施形態1と同様の構成を有する。
【0066】
各推定情報DB101は、需要家1~Kのそれぞれについて情報推定装置10により生成された統合情報(蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報)を記憶する。
【0067】
DR関連情報DB102は、DR日、DR予定時間帯、DRの向き、ブロック長などDRに関する情報を記憶している。DRの向きには下げDR(メータ値を減少させるDR。本実施形態では放電を行う)と、上げDR(メータ値を増加させるDR。本実施形態では充電を行う)の2種類があるものとする。
【0068】
またブロック長は、電力のDR可能量(下げDRの場合は放電量。上げDRの場合は充電量)を計算する時間単位のことである。例えば、DR予定時間帯が18:00-21:00の3時間で、かつブロック長が30分の場合は、3時間を30分ずつに分解した6ブロックに関して、DR可能量を計算するものとする。DRの種類に応じて、30分毎の下げ(もしくは上げ)の可能量を算出すればよい場合、5分毎の可能量を算出すればよい場合などがあり得る。ブロック長を用いることで、適用する時間単位に応じた可能量を計算することができる。
【0069】
蓄電池スペック情報DB103は、需要家1~K毎の蓄電池キャパシティ、充電出力、放電出力などの蓄電池21Aのスペック情報を記憶している。
【0070】
全体DR可能量DB104は、DR可能量算出部105によりDR予定時間帯のブロックごとに計算された需要家全体のDR可能量を記憶する。
【0071】
以下、K=4として、需要家1~4の4需要家の場合を例に、各種情報及び動作の具体例を示す。
【0072】
図12は、需要家1~K毎の推定情報DB101に記憶される蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報の例を示す。ここでは18:00-18:30の30分間の各需要家の接続有無推定(有の場合1,無しの場合0)と推定SoC(単位はkWh)とが、1分毎に示されている。接続有無推定の有は、実施形態1の推定非接続区間が×の場合に対応し、接続有無推定の無しは、実施形態1の推定非接続区間が丸の場合に対応する(図10参照)。推定SoCは実施形態1の推定蓄電池残量に対応する。
【0073】
需要家1は、18:00時点で5.00kWhのSoC推定となり、その後常時、移動体21を蓄電池残量計測部17が接続されて充電され続ける推定となっている。推定SoCは毎分0.06kWhずつ増加している。
【0074】
需要家2は、18:15までは移動体21が蓄電池残量計測部17にされた状態でSoCが1.25kWhのままとなる(つまり充電も放電も行われない)推定である。18:15より後は、移動体21が不在(未接続)となる推定である。
【0075】
需要家3は、18:05までは移動体21が不在(非接続)となる推定であるが、18:05にSoCが5.63kWhの蓄電池21Aを有する移動体21が蓄電池残量計測部17に接続され、18:09まではSoCが5.63kWh のままであり、18:10以降は毎分0.03kWhで放電される推定となっている。
【0076】
図13は、DR関連情報DB102に記憶されているDR関連情報の例である。ここでは1月13日の18:00-21:00に下げDRが出て、かつブロック長が30分に指定された場合を示している。ブロック長が30分であるため、18:00-21:00の3時間を30分で除した6ブロックに関して、DR可能量(ここでは放電量)を計算する必要がある。
【0077】
図14は、蓄電池スペック情報DB103に記憶されている需要家1~4の蓄電池スペック情報の例である。ここで需要家1の蓄電池21Aのキャパシティは10.0kWhで、放電出力、充電出力は4.0kWである。また需要家2~4の蓄電池21Aのキャパシティは8.0kWhで、放電出力、充電出力は2.0kWである。
【0078】
図15は、DR可能量算出部105の処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0079】
まずステップS61では、需要家毎の情報推定装置10により生成された統合情報に基づき、各需要家のDR時間帯における移動体21の接続有無の推定、およびSoCの推定を示した情報を生成する。これにより、上述の図12に示したようなDR時間帯における接続有無の推定情報(非接続区間推定情報)及びSoCの推定情報(蓄電池残量推定情報)を作成する。
【0080】
次にステップS62では、各需要家の接続有無の推定及びSoC推定と、各需要家の蓄電池スペック情報とを基に、各需要家のDR可能量(放電可能量)を計算する。
【0081】
最後にステップS63では、全需要家のDR可能量の合計を計算し、合計DR可能量として出力する。需要家全体の合計DR可能量の情報をDR事業者(電力会社等)に送信してもよい。これにより、DR事業者はDRに対して活用可能な電力リソースを高い精度で把握できるため、調達適切な需給制御を行うことができる。例えば、電力リソースが不足する場合に、電力取引市場での調達な必要な電力量を高い精度で把握することもできる。
【0082】
図16は、複数のDR時間帯ごと算出された、需要家毎のDR可能量と需要家全体の合計DR可能量との例を示す。より詳細には18:00-18:30、18:00-19:00、19:00-19:30、19:30-20:00、20:00-20:30、20:30-21:00の各ブロックについて、全需要家の合計DR可能量と各需要家の内訳を平均kWで示している(各セルは30分毎の平均kWであるため、kWhで書く場合この値の1/2となることに注意する)。例えば18:30-19:00の合計DR可能量は6.0kWであり、その内訳は、需要家1が4.0kW、需要家3が2.0kWであることを示す。
【0083】
次に、図12図14で示した情報に基づき、ステップS62、S63の処理により、図16に示した需要家毎のDR可能量及び需要家全体の合計DR可能量を算出する例を示す。
【0084】
まず需要家1については、18:00時点のSoC推定が5.0kWhであり、放電出力が4.0kWであることから、最大の4.0kWで放電出力を継続する場合、1時間15分継続可能であることが分かる。したがって、30分毎に、DR可能出力量を計算すると、18:00-18:30と18:30-19:00のブロックについては4.0kW、19:00-19:30のブロックについては2.0kWの平均出力が供出可能(放電可能)であることがわかる。
【0085】
次に需要家2については、18:00時点のSoC推定は1.25kWであるものの、18:15に移動体21が非接続になるため、最初の15分間しか放電することができない。また放電出力は2.0kWであることから、18:00-18:30のブロックについては、1.0kWの平均出力が供出可能である。なお18:15までは移動体21が確実に接続されていることを前提に計算したが、18:15よりも以前に未接続となる可能性が高い場合には、放電不可と考え、供出可能量は0kWとしてもよい。
【0086】
次に需要家3については、18:00時点で不在(非接続)の予想であるため、18:30までは供出不可であると考える。この場合、18:00-18:30までの供出可能量は0kWとなる。一方、18:30時点のSoC推定は5.0kWhであることから、最大放電出力2kWを継続する場合、2時間30分継続可能であることが分かる。したがって、18:30-19:00、19:00-19:30、19:30-20:00、20:00-20:30、20:30-21:00の各ブロックについて2kWの平均出力が供出可能となる。
【0087】
次に需要家4については、18:00以降継続して移動体21が接続している推定ではあるが、SoC推定は0kWであるため、供出可能量は0kWである。
【0088】
以上の算出結果をまとめたものが図16の各需要家の内訳の平均kW(需要家毎のDR可能量)である。そして、DR時間帯ごとに各需要家のDR可能量を合計することで、全需要家の合計DR可能量を算出することができる。
【0089】
なお、ここでは下げDRの場合について示したが、上げDRの場合は、SoCを「キャパシティ-SoC」(“-”は減算を表す)と読み替え、放電出力を充電出力と読み替えれば、上記と同様の処理により、需要家毎のDR可能量、及び需要家全体の合計DR可能量を算出することができる。
【0090】
以下、18:00-21:00までの上げDRのDR可能量を計算する場合の具体例を示す。
需要家1については、18:00時点の上げ余力が、
キャパシティ-18:00時点のSoC推定 = 10.0-5.0 = 5.0kWh
であることから、継続時間は(5.0/4.0=1.25h=)1時間15分である。
【0091】
需要家2については、18:00~18:15までしか移動体21が接続しない予想のため、下げDRの場合と同様、充電出力2.0kWの半分の1kWが充電可能量となる。
【0092】
また需要家3については、18:30時点の上げ余力が、
キャパシティ-18:30時点のSoC推定 = 8.0-5.0 = 3.0kWh
であり、充電出力が2.0kWであることから、継続時間は(3.0/2.0=1.5h=)1時間30分である。
【0093】
一方需要家4については、18:00時点の上げ余力が
キャパシティ-18:00時点のSoC推定 = 8.0-0.0 = 8.0kWh
であり、充電出力が2.0kWであることから、18:00から21:00まで充電し続けることが可能である。
【0094】
図17は、以上の計算に基づき生成された上げDRの場合における需要家毎のDR可能量及び需要家全体の合計DR可能量の例を示す。
【0095】
なお以上の説明では、最大出力で放電又は充電することで、需要家全体の合計DR可能量を計算したが、DR時間帯の各ブロックのDR可能量を平準化する場合などは、放電又は充電の出力を調整してもよい。
【0096】
以上のような手法により、蓄電池を有する移動体21が未接続となる可能性がある場合にも、単一又は複数の需要家毎のDR可能量、及び複数の需要家の合計DR可能量を高い精度で計算することが可能である。
【0097】
(応用例)
需要家全体の合計DR可能量を、電力取引市場において売り入札量を決定するのに用いることができる。例えば売り入札する時間帯に対応するDR時間帯の合計DR可能量を売り入札可能な電力量として用いる。DR可能量算出装置100は、全体DR可能量DB104に記憶されている全体DR可能量を全体DR可能量が算出された時間帯を示す情報に対応づけて、DR事業者又は入札事業者の装置に送信する。DR事業者又は入札事業者側の装置では、受信した情報に基づき、入札時間帯に入札可能な入札量を決定し、決定した入札量で売り入札の注文データを、電力取引市場装置に送信する。全体DR可能量が高い精度で算出されているため、売却可能な余剰電力量を高い精度で見積もることができるとともに、売り注文が約定した後に、実際に約定された電力量を買い落札者に提供できなくなるリスクを低減できる。
【0098】
(実施形態3)
本発明の実施形態3として、単一の需要家について生成された統合情報(蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報)を基に、蓄電池を有する移動体21の利用開始時刻およびその時刻での必要蓄電池残量情報に従って必要充電量を算出する場合の実施形態について述べる。
【0099】
図18は、実施形態3に係る情報処理装置として必要充電量算出装置200の一例を示すブロック図である。図18の必要充電量算出装置200は、需要家1の情報推定装置10と、情報推定装置10によって生成された統合情報(蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報)を記憶する推定情報DB101と、移動体21の利用に関連する情報を記憶する移動体利用関連情報DB111と、需要家1の蓄電池21Aのスペック情報を記憶する蓄電池スペック情報DB112と、移動体21の必要な充電量を算出する必要充電量算出部110と、必要充電量算出部110によって算出された必要充電量を表す必要充電量情報を記憶する必要充電量情報DB113と、を備えている。
【0100】
推定情報DB101は、需要家1の情報推定装置10により生成された統合情報(蓄電池残量推定情報及び非接続区間推定情報)を記憶する。
【0101】
移動体利用関連情報DB111は、移動体21の利用開始時刻、利用開始時刻での必要蓄電量などの情報を移動体利用関連情報として記憶する。
図19(A)、移動体利用関連情報DB111に記憶されている移動体利用関連情報の例を示す。現在時刻、移動体21の利用開始時刻、利用開始時刻での必要蓄電量などの情報が格納されている。現在時刻は所定の時間単位で更新されるようになっている。
【0102】
蓄電池スペック情報DB112は、蓄電池21Aのスペック情報を記憶する。
図19(B)は、蓄電池スペック情報DB112に記憶されるスペック情報の例を示す。充電出力などの蓄電量の性能に関する情報が記憶されている。
【0103】
必要充電量情報DB113は、必要充電量算出部110によって算出される、利用開始時刻までに必要な充電量の情報である必要充電量情報を記憶する。
図19(C)は、必要充電量情報DB113に記憶されている必要充電量情報の例を示す。
【0104】
図20は、必要充電量算出部110が必要充電量を算出する手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図20に基づき、本発明の実施形態3において必要充電量を算出する方法を説明する。
【0105】
ステップS71において、情報推定装置10により非接続区間及び蓄電池残量を推定し、非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報を推定情報DB101に格納する。
【0106】
ステップS72において、必要充電量算出部110が、推定情報DB101から非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報を読み出し、移動体利用関連情報DB111および蓄電池スペック情報DB112からそれぞれ情報を読み出し、移動体21の利用開始時刻までに必要な充電量を算出する。具体的には、以下のように必要充電量を算出することが可能である。
【0107】
必要充電量算出部110は、移動体利用関連情報に含まれる利用開始時刻での必要蓄電量と、蓄電池残量推定情報から特定される利用開始時刻の推定蓄電池残量との差分から必要な充電量を算出する。
【0108】
図19の例では、利用開始時刻が2022/01/07 15:00であり、この時刻に10.0kWhの蓄電量が必要である。2022/01/07 15:00の推定蓄電池残量が8.0kWhであった場合、利用開始時刻までに必要な充電量は、これらの差分の2.0kWhとして算出できる。
【0109】
なお、現在時刻から利用開始時刻までの時間と、現在時刻から利用開始時刻までの蓄電池21Aの推定非接続区間と、蓄電池スペック情報の充電出力と、に基づいて、利用開始時刻までに充電可能な最大量が計算できる。例えば、現在時刻が2022/01/07 14:30であり、充電出力が4.0kWであり、利用開始時刻までに非接続区間がない場合、利用開始時刻までに充電可能な最大量は2.0kWhとなる。利用開始時刻までに充電可能な最大量が、先に算出した利用開始時刻までに必要な充電量より小さい場合は、利用開始時刻までに充電可能な最大量を必要充電量として出力することも可能である。
【0110】
ステップS73において、必要充電量算出部110により算出された必要充電量を利用開始時刻に関連づけて、必要充電量情報として、必要充電量情報DB113に格納する。
【0111】
以上のような手法により、単一の需要家の非接続区間推定情報及び蓄電池残量推定情報を基に、蓄電池を有する移動体の利用開始時刻までに必要な充電量を算出することが可能となる。
【0112】
(応用例)
必要充電量情報DB113に格納された必要充電量情報を充放電制御機器18が読み出し、利用開始時刻までに必要な充電量を蓄電池21Aに充電する計画を生成し、計画に従って、蓄電池21Aの充電制御を行ってもよい。計画の際は、非接続区間予測情報を用いて移動体が接続されている時間帯を把握してもよい。この際、充放電制御機器18は、電力単価と時刻とを対応づけた電力価格情報に基づき、充電料金が最も安くなる時間帯、あるいは、電力平均単価が最も低く又は所定値以下になる時間帯を特定し、特定した時間帯で充電を行うようにしてもよい。時間帯は1つの連続する時間でも、複数の時間に分かれていてもよい。
【0113】
(ハードウェア構成)
図21は、基本的な実施形態及び実施形態1~3のいずれかに係る情報処理装置のハードウェア構成を示す。当該情報処理装置は、コンピュータ装置600により構成される。コンピュータ装置600は、CPU601と、入力インタフェース602と、表示装置603と、通信装置604と、主記憶装置605と、外部記憶装置606とを備え、これらはバス607により相互に接続されている。
【0114】
CPU(中央演算装置)601は、主記憶装置605上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、本装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU601が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0115】
入力インタフェース602は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、本装置に入力するための回路である。
【0116】
表示装置603は、本装置から出力されるデータを表示する。表示装置603は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、またはPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置600から出力されたデータは、この表示装置603に表示することができる。
【0117】
通信装置604は、本装置が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。データは、通信装置604を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置605や外部記憶装置606に格納することができる。
【0118】
主記憶装置605は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置605上で展開され、実行される。主記憶装置605は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。図1の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置605上に構築されてもよい。
【0119】
外部記憶装置606は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの情報処理プログラムやデータは、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置605に読み出される。外部記憶装置606は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。情報処理装置の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置606上に構築されてもよい。
【0120】
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置600に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0121】
また、本装置は、単一のコンピュータ装置600により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置600からなるシステムとして構成されてもよい。
【0122】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0123】
本実施形態は以下のような構成をとることもできる。
[項目1]
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、処理部、
を備えた情報処理装置。
[項目2]
前記処理部は、前記充電接続部に前記移動体が接続されていない第1非接続時間の情報に基づき、前記第2接続時間と前記蓄電池の電池残量とを推定する
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記処理部は、前記第2の期間において前記充電接続部に前記移動体が接続されていない第2非接続時間を推定する
項目2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記電池残量の情報は、前記電池残量と前記電池残量の計測時刻とを含み、
前記処理部は、前記第2接続時間における前記電池残量を時刻毎に推定する
項目1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも時間的に後の期間である、
項目1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記第1の期間において前記充電接続部に接続されている前記移動体の前記電池残量を計測することで、前記電池残量の情報と、前記第1非接続時間の情報とを取得する蓄電池残量計測部
をさらに備えた項目2又は3に記載の情報処理装置。
[項目7]
前記第1非接続時間は、前記充電接続部に前記移動体が接続されていない複数の要因別に非接続時間を含み、
前記処理部は、前記移動体が前記複数の要因の判定条件に基づいて、前記移動体が前記充電接続部に接続されていない要因別の非接続時間を特定し、特定した前記要因別の非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づいて、前記第2非接続時間を前記要因別に推定する
項目3に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記複数の要因のうちの第1要因は、前記移動体が前記充電接続部に接続不能な第1場所に存在しかつ前記充電接続部に接続されていないことであり、第2要因は、前記移動体が前記充電接続部に接続可能な第2場所に存在しかつ前記充電接続部に接続されていないことである
項目7に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記判定条件は、前記移動体が前記第1場所に存在する時間の条件を含み、
前記処理部は、前記時間の条件を満たす時刻に前記移動体が前記第1場所に存在し、前記時間の条件を満たさない時刻に前記移動体が前記第2場所に存在することを決定する
項目8に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記判定条件は、前記第2場所に存在する1つ以上の機器の動作状態に基づく条件であり、
前記処理部は、前記機器の動作状態の情報に基づき、前記要因別の非接続時間を特定する
項目8又は9に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記処理部は、
日付に関連する属性を含む日付関連情報に基づき、前記第2の期間が表す日付の属性と、前記第1の期間に含まれる1つ以上の日付の属性を特定し、
前記第2の期間の前記属性と一致する属性を有する日付を前記第1の期間に含まれる前記1つ以上の日付から検出し、
検出した日付の前記第1非接続時間の情報に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を決定する
項目3、7~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目12]
前記処理部は、検出した前記日付が複数存在するとき、複数の前記日付の前記第1非接続時間のうち前記第1非接続時間の開始時刻と継続時間との組の頻度が最も高い前記第1非接続時間を特定し、特定した前記第1非接続時間に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を推定する
項目11に記載の情報処理装置。
[項目13]
前記処理部は、検出した前記日付ごとに、前記第1非接続時間の回数を計数し、
前記第1非接続時間の回数が前記最も高い回数の日付の前記第1非接続時間の情報に基づき、前記第2の期間の前記第2非接続時間を推定する
項目12に記載の情報処理装置。
[項目14]
前記第1非接続時間の回数は、前記移動体が前記充電接続部に接続されていない連続する時間を1とする
項目13に記載の情報処理装置。
[項目15]
前記処理部は、複数の需要家の前記移動体の前記蓄電池のスペック情報と、デマンドレスポンスの予定時間に関するデマンドレスポンス関連情報と、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づき、前記需要家ごとに前記第2非接続時間では充電及び放電のいずれも実行できないことを前提として、前記デマンドレスポンスの予定時間において前記需要家ごとに充電又は放電可能な電力量を計算し、前記需要家ごとの前記電力量を合計することより、前記需要家全体の充電又は放電可能な合計電力量を計算する、
項目3、7~14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目16]
前記処理部は、前記デマンドレスポンスの予定時間における前記合計電力量を示す情報を、前記デマンドレスポンスを管理する事業者の装置又は電力取引市場に入札を行う装置に送信する
項目15に記載の情報処理装置。
[項目17]
前記処理部は、前記移動体の利用開始時刻と前記利用開始時刻での前記蓄電池の必要蓄電量と、前記蓄電池のスペック情報と、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報と前記電池残量の情報とに基づき、前記利用開始時刻までに必要な前記蓄電池の充電量を算出する
項目3、7~16に記載の情報処理装置。
[項目18]
前記処理部は、前記第2の期間に関して推定された前記第2非接続時間の情報に基づき、前記利用開始時刻までに前記必要な充電量の電力を充電可能か否か決定する
項目17に記載の情報処理装置。
[項目19]
前記処理部は、前記利用開始時刻までに前記必要な充電量の電力を充電可能でないことを決定した場合は、前記利用開始時刻までに充電可能な電力量を算出し、算出した電力量を前記利用開始時刻までに充電する必要がある充電量とする
項目18に記載の情報処理装置。
[項目20]
前記処理部は、時刻と電力単価との関係を示す電力価格情報と、推定された前記第2非接続時間の情報とに基づき、前記利用開始時刻までに必要な前記充電量の充電を行う計画を生成する
項目18又は19に記載の情報処理装置。
[項目21]
前記充電接続部に接続された前記移動体の前記蓄電池の充放電を制御する充放電制御部
をさらに備えた項目1~20のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目22]
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する
情報処理方法。
[項目23]
第1の期間のうち移動体が接続されることで前記移動体が有する蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能となる充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する、ステップ、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
[項目24]
蓄電池を有し、充電接続部に接続されることで前記蓄電池の充放電の制御及び電池残量の計測が可能な移動体と、
第1の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第1接続時間の情報と、前記第1接続時間に計測された前記蓄電池の電池残量の情報とに基づき、第2の期間のうち前記充電接続部に前記移動体が接続されている第2接続時間と、前記第2接続時間における前記蓄電池の電池残量と、を推定する処理部と、
を備えた情報処理システム。
【符号の説明】
【0124】
10 情報推定装置
10A 処理部
11 データ取得部
12 非接続区間/蓄電池残量推定部
13 データ出力部
14 蓄電池残量情報DB
15 日付関連情報DB
16 非接続区間関連情報DB
17 蓄電池残量計測部
18 充放電制御機器
18A 充電接続部
19 需要家宅
20 電力関連情報計測機器
21 移動体
21A 蓄電池
120 非接続区間特定部
121 非接続区間推定部
122 蓄電池残量推定部
123 推定統合部
101 推定情報DB
102 DR関連情報DB
103 蓄電池スペック情報DB
104 全体DR可能量DB
105 DR可能量算出部
110 必要充電量算出部
111 移動体利用関連情報DB
112 蓄電池スペック情報DB
113 必要充電量情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21