IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エスケーエレクトロニクスの特許一覧

特開2024-134433フォトマスク及びフォトマスクの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134433
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】フォトマスク及びフォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/40 20120101AFI20240926BHJP
   G03F 1/32 20120101ALI20240926BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G03F1/40
G03F1/32
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044736
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】田中 千恵
(72)【発明者】
【氏名】坂東 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】川原 未佑
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】森山 久美子
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BB08
2H195BC05
2H195BC17
2H197BA11
2H197JA05
(57)【要約】
【課題】
孤立パターンの静電破壊を防止し、用途がバイナリーマスクに限定されないフォトマスクの製造方法及びフォトマスクを提供する。
【解決手段】
第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62a及び両孤立パターンを接続するブリッジパターン63aを有するフォトマスクの製造方法である。透過性基板1上に導電性を有する半透過膜2と遮光膜3とを形成する工程と、開口パターン4sを有する第1のレジストパターン4aを遮光膜3上に形成する工程と、遮光膜3を選択的にエッチングして開口部OPを形成する工程と、開口部OPを覆うブリッジ領域53aと、第1の孤立パターン領域51aと第2の孤立パターン領域52aとを有する第2のレジストパターン5aを遮光膜上に形成する工程と、遮光膜3及び半透過膜2をエッチングして、第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62a及びブリッジパターン63aを形成する工程とを含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の孤立パターン(61a)、第2の孤立パターン(62a)及び前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)とを接続するブリッジパターン(63a)を有するフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板(1)上に導電性を有する半透過膜(2)と、前記半透過膜(2)上に遮光膜(3)を形成する積層膜形成工程と、
開口パターン(4s)を有する第1のレジストパターン(4a)を前記遮光膜(3)上に形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングして開口部(OP)を形成し、前記第1のレジストパターン(4a)を除去する第1のパターニング工程と、
前記開口部(OP)を覆うブリッジ領域(53a)と、前記ブリッジ領域(53a)に接する第1の孤立パターン領域(51a)と第2の孤立パターン領域(52a)とを有する第2のレジストパターン(5a)を、前記遮光膜上に形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記遮光膜(3)及び前記半透過膜(2)をエッチングして、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)及び前記ブリッジパターン(63a)を形成し、前記第2のレジストパターンを除去する第2のパターニング工程と、
を含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
前記開口パターン(4s)の幅(w)は、前記フォトマスクを用いた露光工程の解像限界以下であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記第1のパターニング工程において、
前記半透過膜(2)を露出した後、前記半透過膜(2)を部分的にエッチングし、膜厚を減じることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記第2のレジストパターン(5a)の前記ブリッジ領域(53a)は、
前記開口部(OP)を埋め込む充填部(5f)と、前記充填部(5f)から突出し前記遮光膜(3)を覆う延長部(5e)とを有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記第2のパターニング工程は、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングする工程と、
前記半透過膜(2)を選択的にエッチングする工程と、
を含むことを特徴とする1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記積層膜形成工程において、
前記半透過膜(2)上にさらに中間膜(7)を形成し、前記中間膜(7)上に前記遮光膜(3)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングした後、前記中間膜(7)を選択的にエッチングして、前記半透過膜(2)の表面を露出する開口部(OP)を形成し、
前記第2のパターニング工程において、
前記遮光膜(3)、前記中間膜(7)及び半透過膜(2)をエッチングして、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)及び前記ブリッジパターン(63a)を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
第1の孤立パターン(61a)、第2の孤立パターン(62a)及び前記第1の孤立パターンと前記第2の孤立パターンとを接続するブリッジパターン(63a)を有するフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板(1)上に遮光膜(3)と、前記遮光膜(3)上に、前記遮光膜(3)と異なる材料から構成される被覆膜(11)を形成する遮光膜形成工程と、
前記被覆膜(11)上に遮光領域エッチングマスク(12a、12b)を形成し、
前記被覆膜(11)及び前記遮光膜(3)をエッチングし、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)を形成し、前記遮光領域エッチングマスク(12a、12b)を除去する遮光膜パターニング工程と、
半透過膜(2)を形成する半透過膜形成工程と、
前記半透過膜(2)上に半透過領域エッチングマスク(13a)を形成し、前記半透過領域エッチングマスク(13a)をエッチングマスクにして前記半透過膜(2)及び前記被覆膜(11)をエッチングして、パターニングし、さらに前記被覆膜(11)をオーバーエッチングにより除去し、前記半透過膜(2)からなるブリッジパターン(63a)を形成し、前記半透過領域エッチングマスク(13a)を除去する半透過膜パターニング工程と、
を含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
透過性基板(1)上に第1の孤立パターン(61a)と第2の孤立パターン(62a)と、前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)とを接続するブリッジパターン(63a)とを備え、
前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)は、遮光性を有する上層膜と半透過性を有する下層膜の積層から構成され、
前記ブリッジパターン(63a)は、導電性を有するとともに半透過性を有し、前記下層膜と接続され、
前記ブリッジパターン(63a)の透過率は、前記下層膜の透過率より高いことを特徴とするフォトマスク。
【請求項9】
前記下層膜は半透過膜(2)からなり、
前記ブリッジパターン(63a)は、減膜された前記半透過膜(2)からなることを特徴とする請求項8記載のフォトマスク。
【請求項10】
前記ブリッジパターン(63a)は半透過膜(2)からなり、
前記下層膜は前記半透過膜(2)と前記半透過膜(2)上に形成された中間膜(7)の積層からなることを特徴とする請求項8記載のフォトマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトマスク及びフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー工程で使用されるフォトマスクは、石英等の絶縁性の透過性基板上に種々のパターンが形成されている。例えば、金属の遮光膜を用いて形成されているパターンは、コンデンサを構成する。フォトマスクの製造工程において、静電気が発生すると、特に大面積のパターンでの帯電量が多くなり、隣接した電気的に孤立したパターン間で放電し、パターンの静電破壊が生じることがある。
この問題の対策として、隣接する孤立パターン間に導電性を有するダミーパターンを形成し、静電破壊を防止する方法が知られている。
特許文献1には、上記のような孤立(独立)パターンの形成時に孤立パターン間にダミーパターンを形成し、孤立パターン間を電気的に接続する方法が開示されている。ダミーパターンをリソグラフィー工程の解像限界以下とすることで、露光対象物へのダミーパターンの転写を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-248294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなダミーパターンを用いたフォトマスクでは、ハーフトーンマスクや位相シフトマスク等への展開が困難であり、フォトマスクの用途がバイナリーマスクに限定されてしまう。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、孤立パターンの静電破壊を防止し、用途がバイナリーマスクに限定されないフォトマスクの製造方法及びフォトマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
第1の孤立パターン(61a)、第2の孤立パターン(62a)及び前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)とを接続するブリッジパターン(63a)を有するフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板(1)上に導電性を有する半透過膜(2)と、前記半透過膜(2)上に遮光膜(3)を形成する積層膜形成工程と、
開口パターン(4s)を有する第1のレジストパターン(4a)を前記遮光膜(3)上に形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングして開口部(OP)を形成し、前記第1のレジストパターン(4a)を除去する第1のパターニング工程と、
前記開口部(OP)を覆うブリッジ領域(53a)と、前記ブリッジ領域(53a)に接する第1の孤立パターン領域(51a)及び第2の孤立パターン領域(52a)を有する第2のレジストパターン(5a)を、前記遮光膜上に形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記遮光膜(3)及び前記半透過膜(2)をエッチングして、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)及び前記ブリッジパターン(63a)を形成し、前記第2のレジストパターンを除去する第2のパターニング工程と、
を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記構成において、
前記開口パターン(4s)の幅(w)は、前記フォトマスクを用いた露光工程の解像限界以下である。
【0008】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、半透過性を有するブリッジパターンにより孤立パターン間を電気的に接続し、孤立パターンの静電破壊を防止することが可能なフォトマスクを製造することができる。また、ブリッジパターンの露光対象物への結像を防止することができる。
【0009】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記構成において、
前記第1のパターニング工程において、
前記半透過膜(2)を露出した後、前記半透過膜(2)を部分的にエッチングし、膜厚を減じてもよい。
【0010】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、ブリッジパターンの透過率をさらに高め、設計マージン等の拡大に寄与することができる。
【0011】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記構成において、
前記第2のレジストパターン(5a)の前記ブリッジ領域(53a)は、
前記開口部(OP)を埋め込む充填部(5f)と、前記充填部(5f)から突出し前記遮光膜(3)を覆う延長部(5e)とを有してもよい。
【0012】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、半透過膜(2)と直接的に接触する充填部(5f)によってブリッジパターン(63a)をパターニングできるとともに、第1の孤立パターン(61a)、第2の孤立パターン(62a)をパターニングすることができる。
【0013】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記構成において、
前記第2のパターニング工程は、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングする工程と、
前記半透過膜(2)を選択的にエッチングする工程と、
を含んでもよい。
【0014】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、ブリッジパターン(63a)、第1の孤立パターン(61a)及び第2の孤立パターン(62a)を制御性よくパターニングすることができる。
【0015】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記構成において、
前記積層膜形成工程において、
前記半透過膜(2)上にさらに中間膜(7)を形成し、前記中間膜(7)上に前記遮光膜(3)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、
前記遮光膜(3)を選択的にエッチングした後、前記中間膜(7)を選択的にエッチングして、前記半透過膜(2)の表面を露出する開口部(OP)を形成し、
前記第2のパターニング工程において、
前記遮光膜(3)、前記中間膜(7)及び半透過膜(2)をエッチングして、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)及び前記ブリッジパターン(63a)を形成してもよい。
【0016】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、半透過膜(2)と中間膜(7)との積層構造を半透過領域として利用することで、光学特性の調整の自由度が向上する。
【0017】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
第1の孤立パターン(61a)、第2の孤立パターン(62a)及び前記第1の孤立パターンと前記第2の孤立パターンとを接続するブリッジパターン(63a)を有するフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板(1)上に遮光膜(3)と、前記遮光膜(3)上に、前記遮光膜(3)と異なる材料から構成される被覆膜(11)を形成する遮光膜形成工程と、
前記被覆膜(11)上に遮光領域エッチングマスク(12a、12b)を形成し、
前記被覆膜(11)及び前記遮光膜(3)をエッチングし、前記第1の孤立パターン(61a)、前記第2の孤立パターン(62a)を形成し、前記遮光領域エッチングマスク(12a、12b)を除去する遮光膜パターニング工程と、
半透過膜(2)を形成する半透過膜形成工程と、
前記半透過膜(2)上に半透過領域エッチングマスク(13a)を形成し、前記半透過領域エッチングマスク(13a)をエッチングマスクにして前記半透過膜(2)及び前記被覆膜(11)をエッチングして、パターニングし、さらに前記被覆膜(11)をオーバーエッチングにより除去し、前記半透過膜(2)からなるブリッジパターン(63a)を形成し、前記半透過領域エッチングマスク(13a)を除去する半透過膜パターニング工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
このようなフォトマスクの製造方法によれば、異なる材料からなる孤立パターンとブリッジパターンとを同一レイヤに形成し、ブリッジパターンにより孤立パターン間の静電破壊を防止することができる。
【0019】
本発明に係るフォトマスクは、
透過性基板(1)上に第1の孤立パターン(61a)と第2の孤立パターン(62a)と、前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)とを接続するブリッジパターン(63a)とを備え、
前記第1の孤立パターン(61a)と前記第2の孤立パターン(62a)は、遮光性を有する上層膜と半透過性を有する下層膜の積層から構成され、
前記ブリッジパターン(63a)は、導電性を有するとともに半透過性を有し、前記下層膜と接続され、
前記ブリッジパターン(63a)の透過率は、前記下層膜の透過率より高いことを特徴とするフォトマスク。
【0020】
このようなフォトマスクによれば、ブリッジパターンにより孤立パターン間の静電破壊を防止するとともに、設計マージン等の拡大に寄与することができる。
【0021】
また、本発明に係るフォトマスクは、上記構成において、
前記下層膜は半透過膜(2)からなり、
前記ブリッジパターン(63a)は、減膜された前記半透過膜(2)から構成されてもい。
【0022】
このようなフォトマスクによれば、簡単な構成で選択的にブリッジパターン(63a)の透過率を高く設定することができる。
【0023】
また、本発明に係るフォトマスクは、上記構成において、
前記ブリッジパターン(63a)は半透過膜(2)からなり、
前記下層膜は前記半透過膜(2)と前記半透過膜(2)上に形成された中間膜(7)の積層から構成されてもよい。
【0024】
このようなフォトマスクによれば、光学特性の調整の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、孤立パターンの静電破壊を防止し、用途がバイナリーマスクに限定されないフォトマスクの製造方法、及びフォトマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図2図2は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図4図4は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図6図6は、半透過膜2の膜厚を減ずる工程を示す断面図である。
図7図7は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図8図8は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図9図9は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図10図10は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図11図11は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図12図12は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図13図13は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図14図14は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図15図15は、実施形態3によるフォトマスク100において半透過領域を形成する工程を示す模式図である。
図16図16は、実施形態3によるフォトマスク100において半透過領域を形成する工程を示す模式図である。
図17図17は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図18図18は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図19図19は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図20図20は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図21図21は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図22図22は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図23図23は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図24図24は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図25図25は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図26図26は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図27図27は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0028】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「面一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0029】
(実施形態1)
図1、2、3、4、5は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
以下、図面を参照して、フォトマスク100の製造方法を説明する。
【0030】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクスの準備>
図1(A)の断面図に示すように、石英ガラス等の透過性基板1を準備する。
透過性基板1は、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において、フォトマスク上に形成されたパターンを露光対象物に転写するために使用される露光光に含まれる代表波長(非限定的に、例えばi線、h線、g線)に対して90%以上(90%≦透過率)の透過率を有する。
なお、以下に説明するフォトマスク100の構成は、バイナリのフォトマスクだけでなく、ハーフトーンマスクや位相シフトマスクにも適応可能である。
【0031】
次に、透過性基板1上に、半透過性を有する半透過膜2、例えば金属化合物(Cr系化合物、Ni系化合物、Ti系化合物等)、金属シリサイド化合物(例えばMoシリサイド、Zrシリサイド等)、金属窒化物(ZrN等)の材料からなる膜をスパッタ法、蒸着法等により(例えば、非限定的に、膜厚5~20[nm])成膜する。Zrシリサイドは高い透過率を有する点で好適に採用し得る。なお、金属化合物の一種である金属窒化物は、窒化雰囲気での蒸着やスパッタ(反応性スパッタ)等により、容易に成膜が可能であり、雰囲気制御により、同一のソースを用いて異なる材料を形成することも可能である。
また、半透過性を有するとは、露光光に含まれる代表波長に対して、透過率が、透過性基板1の透過率よりも低く、後述する遮光膜3の透過率よりも高いことを意味する。
また、半透過膜2及び遮光膜3は導電性を有する膜により構成される。
【0032】
なお、半透過膜2をハーフトーン膜として利用する場合、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において使用する露光光の代表波長に対して、半透過膜2の透過率が10~70%(10%≦透過率≦70%)、位相シフト量は小さく(略0°、例えば0~20°)に設定すればよい。
また、半透過膜2は位相シフト膜として利用してもよく、位相シフト膜として利用する場合、露光光に含まれる代表波長に対して、半透過膜2の透過率が3~15%(3%≦透過率≦15%)、位相シフト量が略180°(160°≦位相シフト量≦200°)、さらに好適には170°≦位相シフト量≦190°になるよう設定する。
半透過膜2の透過率等の光学特性は、使用用途に合わせて設定すればよい。
なお、バイナリーマスクに使用する場合も、上記使用目的に合わせた光学特性を有する半透過膜2を用いて準備されたフォトマスクブランクスを使用することが可能である。
【0033】
次に、半透過膜2上に、遮光性を有する遮光膜3をスパッタ法、蒸着法等により
(例えば、非限定的に、膜厚50[nm]~100[nm])成膜し、透過性基板1上に半透過膜2及び遮光膜3を有するフォトマスクブランクス10を得る。
遮光膜3は、非限定的に、例えば光学濃度(OD値)が2.7以上となるように設定され、例えば金属化合物、Si系化合物、金属シリサイド化合物から構成され、半透過膜2とエッチング特性が異なる材料から構成される。
例えば、半透過膜2として金属シリサイド、遮光膜3としてCr膜を用いることができるが、これに限定するものではない。
【0034】
なお、上記の工程により透過性基板1上に半透過膜2及び遮光膜3を、この順に形成したフォトマスクブランクスを予め準備しておくことにより、製造工期の短縮も可能である。
【0035】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に図1(B)、図1(C)の断面図に示すように、第1のフォトレジスト膜4を塗布法等により遮光膜3上に形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングし、第1のフォトレジストパターン4a(第1のエッチングマスクパターン)を形成する。
図1(D)の平面図に示すように第1のフォトレジストパターン4aは、隣接する孤立したパターン間を接続において電気的に接続するパターン(ブリッジパターン)を形成する領域に開口部4s(開口パターン4s)を有している。
開口部4sの幅wは、形成するブリッジパターンの幅に設定し、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程における解像限界以下の幅に設定する。
なお、図1(B)は図1(D)のA-A線断面、図1(C)は図1(D)のB-B線断面を示す。
【0036】
<第1のパターニング工程:ブリッジパターン形成領域の画定>
次に図2(A)の断面図に示すように、第1のフォトレジストパターン4aをエッチングマスクにして、半透過膜2に対して選択的に遮光膜3をエッチングして、パターニングし、第1の遮光膜パターン3aを形成する。なお、エッチングは、公知のウェットエッチングを好適に採用することができるが、ドライエッチングであってもよい。
第1の遮光膜パターン3aは開口部OPを有し、開口部OPにおいて半透過膜2の表面が露出する。
開口部OPの幅wは、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程における解像限界以下の幅に設定される。
開口部OPがブリッジパターンを形成する領域を画定することになる。
【0037】
<第1のエッチングマスク除去工程>
その後、図2(B)、図2(C)の断面図及び図2(D)の平面図に示すように、第1のフォトレジストパターン4aをアッシング、ウェット洗浄等により除去する。
【0038】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に図3(A)の断面図に示すように、第1の遮光膜パターン3a及び開口部OPに露出した半透過膜2上に第2のフォトレジスト膜5を塗布法等により形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングし、第2のフォトレジストパターン5a(第2のエッチングマスクパターン)を形成する。
【0039】
なお、図3(A)は図3(C)のA-A線断面を示し、図3(B)は図3(C)のB-B線断面図を示す。以下の断面図と平面図との関係も同様である。
【0040】
図3(B)の断面図、図3(C)の平面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5aは、第1の孤立パターンに対応する領域51a(第1の孤立パターン領域51a)、第2の孤立パターンに対応する領域52a(第2の孤立パターン領域52a)、及びブリッジパターンに対応する領域53a(ブリッジ領域53a)を有している。
ブリッジ領域53aは、開口部OPの周囲に所定の幅d(拡張幅d)を加えた領域を覆うように構成されている。
例えば、図3(B)、図3(C)に示すy方向において、ブリッジ領域53aの幅Lは、開口部OPの幅wより、両側に所定の長さの拡張幅d大きく、L=w+2dとなる。所定の長さの拡張幅dは、第2のフォトレジストパターン5aを形成するための描画装置のアライメント誤差に相当する長さ(アライメント誤差と等しい長さ)とすることができる。描画装置のアライメントずれが発生しても、第2のフォトレジストパターン5aのブリッジ領域53aは、開口部OPを覆うことができる。
なお、図3(C)に示す例においては、第1の孤立パターン領域51aについては、その一部のみを示しており、第1の孤立パターン領域51aの形状は第2の孤立パターン領域52aの形状と同じであってもよく、異なってもよい。第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aは、図3等に示す形状に限定するものではない。孤立パターンの形状については、他の実施形態においても同様である。
【0041】
ブリッジ領域53aの第2のフォトレジストパターン5aは、開口部OPにおいては直接的に半透過膜2と接触し、それ以外の箇所(拡張幅dで決定される領域)においては遮光膜3を介して間接的に半透過膜2と接触する。
また、図3(B)の断面図に示すように、ブリッジ領域53aのフォトレジスト膜の断面形状はT字形状であり、開口部OPを埋め込む充填部5fと、充填部5fから両側の遮光膜3へと距離d突出し、遮光膜3を覆う延長部5e(カバー部)を有する。
充填部5fの形状は、開口部OPにより画定する。後述するように、半透過膜2の表面と直接的に接触する充填部5fが、ブリッジパターンを形成するためのエッチングマスクとなる。
【0042】
図3(A)に示すように開口部OPの長手方向(X方向)の端部側には孤立パターンが存在し、ブリッジ領域53aは、第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aと連続している。
後述するように、サイドエッチングによって、遮光膜3の周縁は、第2のフォトレジストパターン5aの第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aの周縁から後退する。そのため、半透過膜2のブリッジパターンを画定するための充填部5fの長手方向の両端部は、第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aへ、距離D(突出距離D)突出している。充填部5fの両端部を突出させることにより、遮光膜3のサイドエッチング後に、半透過膜2のブリッジパターンの両端が、第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aと面一となるように距離Dが設定されている。
なお、このような構成により、描画装置のアライメントずれを吸収することも可能となる。他の実施形態においても同様である。
【0043】
また、第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aは、(図5(C)に示される)第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aの外縁から幅d(拡張幅d)拡張した形状とする。
【0044】
<第2のパターニング工程:孤立パターン及びブリッジパターンの形成>
次に図4(A)、(B)の断面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5aをエッチングマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを選択的にエッチングして、パターニングし、第2の遮光膜パターン3b(第1の孤立遮光膜パターン3b)、第3の遮光膜パターン3c(第2の孤立遮光膜パターン3c)を形成する。半透過膜2は遮光膜3とエッチング特性が異なる材料により構成されているため、半透過膜2がエッチングされない条件で第1の遮光膜パターン3aを選択的にエッチングすることができる。
【0045】
図4(B)に示すように、ブリッジ領域53aの拡張幅dの領域の下部に存在する遮光膜3が除去されるまでオーバーエッチングする。第2のフォトレジストパターン5aは、開口部OPの領域に対応する領域、すなわち開口部OPに埋め込まれた充填部5fにおいてのみ、直接的に半透過膜2と接触する。
従って、第1の孤立パターン領域51a及び第2の孤立パターン領域52aに接する充填部5fの両端面は遮光膜3(第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c)と接するが(図4(A)参照)、それ以外の充填部5fの側壁面においては、第2のフォトレジストパターン5aは遮光膜3と接しない(図4(B)参照)。
【0046】
図4(A)に示すように、オーバーエッチングによって第1の遮光膜パターン3aの端部は、第2のフォトレジストパターン5aの外縁部より距離D(サイドエッチング量D)だけ後退する。
拡張幅dの領域の遮光膜3を除去するため、オーバーエッチング量すなわちサイドエッチング量Dは拡張幅d以上に設定されるが、好適には拡張幅dと等しく設定することができる。
拡張幅dの領域の下部の遮光膜3をエッチングし、さらに第1の遮光膜パターン3aの端部をサイドエッチングするため、等方エッチングである公知のウェットエッチングが好適に使用できる。
【0047】
ブリッジ領域53aの遮光膜3が除去されるため(図4(B)参照)、第1の遮光膜パターン3aは、第2の遮光膜パターン3bと第3の遮光膜パターン3cとに分離される。第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cは、それぞれ第1の孤立パターン及び第2の孤立パターンの遮光膜を構成する。
【0048】
なお、等方エッチングにより第1の遮光膜パターン3aをエッチングするため、第1の孤立パターン領域51a、第2の孤立パターン領域52a及びブリッジ領域53aの第1の遮光膜パターン3aの端面(外縁部)が後退し、第2の遮光膜パターン3bと第3の遮光膜パターン3cの形状が確定する。このとき、第2の遮光膜パターン3bのブリッジ領域53a側の端面及び第3の遮光膜パターン3cのブリッジ領域53a側の端面は、ブリッジパターン63aの形状を決定する充填部5fの長手方向のそれぞれの端面と面一となる。(後述する図5(C)参照。)
【0049】
次に図4(C)、(D)の断面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5a、第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cをエッチングマスクにして、半透過膜2を選択的にエッチングして、パターニングし、半透過膜パターン2aを形成する。
半透過膜2は遮光膜3とエッチング特性が異なる材料により構成されているため、遮光膜3がエッチングされない条件で半透過膜2を選択的にエッチングすることができる。
半透過膜2がエッチングされた領域においては透過性基板1の表面が露出する。
半透過膜2のオーバーエッチング量を調整し、図4(C)に示すように遮光膜3と半透過膜2の端部を揃える(面一にする)ことができる。
なお、遮光膜3及び半透過膜2のエッチングは、等方エッチングである公知のウェットエッチングを好適に採用できる。
【0050】
ブリッジ領域53aにおいては、図4(D)に示すように、半透過膜パターン2aに直接的に接触する第2のフォトレジストパターン5aの領域5s、特に充填部5fをエッチングマスクとして、半透過膜パターン2aをエッチングして、パターニングする。
第2のフォトレジストパターン5aの充填部5fに接触する半透過膜パターン2aが残置し、導電性を有するブリッジパターン63aとなる。充填部5fの形状(サイズ)は、開口部OPに埋め込まれたフォトレジストの形状により確定するため、開口部OPは、間接的にブリッジパターン63aの形状(寸法)を確定する。
【0051】
図4に示す工程により、第2のフォトレジストパターン5aの外縁に対して、遮光膜3及び半透過膜2を距離Dだけ後退させ、第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aを形成する。
遮光膜3及び半透過膜2を、それぞれ選択的に順次エッチングすることにより、ブリッジパターン63a、第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aを制御性よくパターニングすることができる。
なお、同一の第2のフォトレジストパターン5aを用いて遮光膜3及び半透過膜2をエッチングするため、両孤立パターン領域61a、62aにおいては、上層の遮光膜3のパターンと下層の半透過膜2のパターンがずれることはない。
【0052】
なお、第1のフォトレジストパターン4aの開口部4sの両端部(第2のフォトレジストパターン5aの充填部5fの両端部)が、それぞれ、第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aの端面に接触するよう(面一となるよう)、開口部4sの形状が(例えば図1(D)に示す例においてはx方向の距離が)設定されている。
【0053】
<第2のエッチングマスク除去工程>
次に図5(A)、(B)に示すように、第2のフォトレジストパターン5aを除去する。
第2の遮光膜パターン3bと半透過膜パターン2aとの積層構造部が第1の孤立パターン61aを構成し、第3の遮光膜パターン3cと半透過膜パターン2aとの積層構造部が第2の孤立パターン62aを構成する。
すなわち、第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62aは下層膜と上層膜の積層膜から構成され、下層に半透過膜2、上層に遮光膜3を有する構成である。一方、ブリッジパターン63aは下層膜の半透過膜2により構成されている。第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62a及びブリッジパターン63aの半透過膜2は連続しており、下層膜の半透過膜2は導電性を有している。そのため、第1の孤立パターン61aと第2の孤立パターン62aとは、ブリッジパターン63aを介して電気的に接続される。
以上によりフォトマスク100の隣接する孤立パターン間の静電破壊を防止するパターン形成が完成する。
ブリッジパターン63aの幅は、フォトマスクのパターン転写のための露光光による解像限界以下に設定されている。そのため、露光対象物への転写が防止される。
【0054】
なお、ブリッジパターン63aの幅を解像限界以下に設定した場合においても、ブリッジパターン63aを遮光膜で構成すると、ブリッジパターン63aと第1の孤立パターン61a及び第2の孤立パターン62aとの接合部において、近接効果により、微細な突起状の形状異常が発生する場合がある。しかし、このような場合においても、ブリッジパターン63aを半透過膜により構成することで、近接効果による孤立パターンの上記形状異常の発生を防止又は軽減する効果がある。
なお、ブリッジパターン63aの形状は、図5(C)に示すようなI字形状の長方形に限定するものではなく、例えばL字形状であってもよく、図5(C)に示す例に限定されない。他の実施形態においても同様であり、ブリッジパターン63aの形状は適宜設定可能である。また、例えば、T字型のブリッジパターン等により、3つ(又はそれ以上)の孤立パターンを電気的に接続することを排除するものではない。
【0055】
なお、フォトマスク100は、必要に応じて、さらなるパターニングを行うことも可能である。例えばハーフトーンマスクとして使用する場合、ハーフトーン領域を形成するパターニングを行い、位相シフトマスクとして使用する場合、位相シフト領域を形成するパターニングを行うことができる。
【0056】
なお、ブリッジパターン63aの透過率を調整することも可能である。
例えば、フォトマスクをハーフトンマスクや位相シフトマスクとして使用する場合、フォトマスクブランクス10の半透過膜2の光学特性である透過率は、そのフォトマスクの用途に適した値に設定されている。一方、ブリッジパターン63aは、露光対象物への結像を防止するため、透過率が高い方がよい。そのため、以下に説明するようにブリッジパターン63aの透過率を、他領域の半透過膜2と比較して、選択的に高くしてもよい。
半透過膜2の透過率を高くすることで、ブリッジパターン63aの幅の上記制限を緩和し、設計又は製造条件の自由度(又はマージン)の拡大に寄与する効果を得ることも可能である。
例えば、リソグラフィー工程の露光量や露光対象物上のフォトレジストの露光感度等から、半透過膜2の透過率を決定し、ブリッジパターン63aの幅(又は開口部4sの幅w)の露光光による解像限界以下という制限を緩和(又は廃止)することも可能である。
以下、ブリッジパターンの幅については、他の実施形態においても同様である。
【0057】
<透過率の調整>
以下、図6の断面図を参照し、ブリッジパターン63aの透過率を調整する方法を説明する。
図2(A)に示す工程の後に、開口部OPの半透過膜2の膜厚を調整し、半透過膜2の透過率を調整することが可能である。
まず、図2(A)に示される工程と同様に、フォトレジストパターン4aをエッチングマスクにして、半透過膜2に対して選択的に遮光膜3をエッチングして、パターニングし、第1の遮光膜パターン3aを形成し、半透過膜2の表面を露出する。この工程では、半透過膜2はエッチングされない
その後、フォトレジストパターン4aをエッチングマスクにして、遮光膜3に対して選択的に半透過膜2を(部分的に)エッチングし、開口部4s(開口部OP)の下部の半透過膜2の膜厚を減少させる。図2(A)に示される工程に、半透過膜2を部分的にエッチングする処理を追加することで、ブリッジパターン63aの透過率を高く調整することができる。
その後、図2(B)に示される工程に続き、以後の工程は上記と同様である。
【0058】
半透過膜2の膜厚を減少させる手段として、ウェットエッチングを採用することができるが、これに限定するものではない。
具体的には、フォトレジストパターン4aをマスクとして、開口部4sを覆うようにAPプラズマ(常圧プラズマ)を所定時間照射し、半透過膜2の膜厚を減少させることで、ブリッジパターン63aの透過率を高くすることができる。透過率の調整は、APプラズマの照射時間で調整することが可能である。なお、プラズマとして、Arプラズマを好適に使用することができるが、フッ素系ガス等の反応性ガスを用いたプラズマを用いてもよい。
【0059】
ブリッジパターン63aが形成される領域であるブリッジ領域53aの半透過膜2s(ブリッジ領域半透過膜2s)のみ、選択的に膜厚を減少させることができる。すなわち、遮光膜3の下層の半透過膜2の膜厚tよりブリッジ領域半透過膜2sの膜厚tを小さくすることができる(t>t)。
その結果、ブリッジパターン63a以外の半透過膜2の光学特性を変化させることなく、ブリッジパターン63aの透過率のみを、選択的に高くすることができる。
また、半透過膜2の追加的なエッチングのために、新たなエッチングマスクを形成する必要がないため、容易にブリッジパターン63aの透過率を調整することができる。
【0060】
そのため、フォトマスクの用途(例えばハーフトーンマスク、位相シフトマスク)に合わせて最適化された半透過膜2を有するフォトマスクブランクスを用いながら、ブリッジパターン63aの透過率を選択的に(独立して)高い値に設定することができる。
その結果、ブリッジパターン63aのパターン幅の制限の緩和や、プロセスマージンの拡大に寄与することも可能である。
【0061】
なお、半透過膜2をブリッジパターン63aの形状にパターニングする前に、開口部4sを有するフォトレジストパターン4aを用いて半透過膜2をエッチングして減膜するため、図6に示される工程は、ブリッジパターン63aの線幅wのサイズに影響を与ることはない。
【0062】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について説明する。
実施形態2はフォトマスク100をハーフトーンマスクや位相シフトマスク等として構成する場合に特に有利である。
図7、8、9、10、11は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【0063】
図7(A)は、フォトマスクブランクス20を準備する主要工程を説明する断面図である。
図1(A)に示す工程と同様に、透過性基板1上に、半透過性を有する半透過膜2を形成する。
次に、半透過膜2上に、中間膜7を蒸着法やスパッタ法等により形成する。中間膜7は半透過性を有し、上記の半透過膜2に使用され得る材料から選択できるが、後述する遮光膜3及び上記の半透過膜2とエッチング特性が異なる材料から構成される。
例えば、半透過膜2を金属シリサイド、中間膜7をCr化合物、遮光膜3をNi膜とすることができ、また、中間膜7を半透過膜2と異なる金属シリサイド、遮光膜3をCr膜とすることができるが、これらに限定するものではない。
中間膜7はエッチングストッパとしても機能するが、半透過膜2との積層構造により光学特性を調整する機能を有し、光学特性の調整の自由度が向上する。
例えば、中間膜7(第2の層)と半透過膜2(第1の層)との積層をハーフトーン膜又は位相シフト膜として利用することができる。すなわち、遮光膜3の下層に設けられる半透過膜が、第1の層(半透過膜2)と第2の層(中間膜7)の積層構造から構成されていると解釈することも可能である。
なお、ハーフトーン膜又は位相シフト膜の光学特性は上記のとおりである。
【0064】
次に図7(B)の断面図に示すように、図1(B)、(C)に示す工程と同様に、第1のフォトレジストパターン4aを遮光膜3上に形成する。遮光膜3は半透過膜2と異なるエッチング特性を有する。
開口部4sの幅wは、実施形態1と同様である。
【0065】
次に図7(C)の断面図に示すように、第1のフォトレジストパターン4aをエッチングマスクにして、半透過膜2に対して選択的に遮光膜3及び中間膜7をエッチングして、パターニングし、第1の遮光膜パターン3a及び第1の中間膜7aを形成する。
なお、中間膜7に対して選択的に遮光膜3をエッチングして、パターニングし、第1の遮光膜パターン3aを形成し、その後、半透過膜2及び遮光膜3に対して選択的に中間膜7をエッチングして、パターニングし、第1の中間膜パターン7aを形成してもよい。
第1の遮光膜パターン3a及び第1の中間膜パターン7aの積層パターンSTaは開口部OPを有する。
【0066】
次に図7(D)の断面図に示すように、第1のフォトレジストパターン4aを除去する。
【0067】
次に図8(A)の断面図に示すように(図3(A)に示す工程と同様に)、第1の遮光膜パターン3a及び開口部OPに露出した半透過膜2上に、第2のフォトレジストパターン5aを形成する。第2のフォトレジストパターン5aは、第1の孤立パターンに対応する領域51a(第1の孤立パターン領域51a)、第2の孤立パターンに対応する領域52a(第2の孤立パターン領域52a)、及びブリッジパターンに対応する領域53a(ブリッジ領域53a)を有している。
【0068】
次に図8(B)、(C)の断面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5aをエッチングマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、第1の中間膜パターン7aに対して選択的にエッチングして、パターニングし、第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3cを形成する。
なお、図8(C)に示すように、ブリッジ領域53aの拡張幅dの領域の下部に存在する遮光膜3が除去されるまで、遮光膜3をオーバーエッチングする。
図8(B)、(C)に示される工程は、図4(A)、(B)と同様の工程であるが、第1の中間膜パターン7aに対して選択的に第1の遮光膜パターン3aをする点で異なり、第1の中間膜パターン7aがエッチングストッパとして機能する。
【0069】
次に図8(D)、(E)の断面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5a、第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cをエッチングマスクにして、第1の中間膜パターン7aを、第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c及び半透過膜2に対して選択的にエッチングして、第2の中間膜パターン7b及び第3の中間膜パターン7cを形成する。この工程において第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c及び半透過膜2はエッチングされない。
なお、遮光膜3及び中間膜7のエッチングは、等方エッチングである公知のウェットエッチングを好適に採用できる。
【0070】
図8(D)に示すように、第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cの端部は、第2のフォトレジストパターン5aの端部より後退している。そのため、実質的に第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cがエッチングマスクとなり、遮光膜3と中間膜7の端部を揃えることができる。
さらに、ブリッジ領域53aの拡張幅dの領域の下部には、中間膜7を覆う遮光膜3が存在しないため、図8(E)に示すように、この領域の下部に存在する中間膜7も同様に除去される。
【0071】
次に図9(A)、(B)の断面図に示すように、第2のフォトレジストパターン5a、第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c、第2の中間膜パターン7b及び第3の中間膜パターン7cをエッチングマスクにして、半透過膜2を選択的にエッチングして、パターニングし、半透過膜パターン2aを形成する。
半透過膜2を選択的にエッチングするため、第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c、第2の中間膜パターン7b及び第3の中間膜パターン7cはエッチングされないため、第2の遮光膜パターン3b、第3の遮光膜パターン3c、第2の中間膜パターン7b及び第3の中間膜パターン7cの側壁は後退しない。
図9(A)に示すように、第3の遮光膜パターン3c、第3の中間膜パターン7c及び半透過膜パターン2aの端面を面一にそろえることができる。
【0072】
次に図9(C)の断面図及び図9(D)の平面図に示すように第2のフォトレジストパターン5aを除去する。
第2の遮光膜パターン3b、第2の中間膜パターン7b及び半透過膜パターン2aの積層構造部が第1の孤立パターン61bを構成し、第3の遮光膜パターン3c、第3の中間膜パターン7c及び半透過膜パターン2aの積層構造部が第2の孤立パターン62bを構成する。
半透過膜パターン2aから構成されるブリッジパターン63bは、第1の孤立パターン61bの半透過膜パターン2a及び第2の孤立パターン62bの半透過膜パターン2aと同一の膜で構成され、半透過膜パターン2aとのみ連続して形成されている。その結果、(図5(C)に示す構成と同様に)ブリッジパターン63bは、第1の孤立パターン61bと第2の孤立パターン62bを電気的に接続する。
以上によりフォトマスク100の隣接する孤立パターン間の静電破壊を防止するパターン形成が完成する。
なお、第1の孤立パターン61b、第2の孤立パターン62b及びブリッジパターン63bは、上記第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62a及びブリッジパターン63aに相当する。
【0073】
以下、ハーフトンマスクを製造するため、フォトマスク100にハーフトーン領域を形成する方法を説明する。
なお、位相シフトマスクを製造するため、フォトマスク100に位相シフト領域を形成する場合も同様である。
【0074】
図10(A)の断面図、図10(B)の平面図に示すように、第3のフォトレジスト膜8を形成し、レーザ描画等による露光及び現像工程により、ハーフトーン領域9a(半透過領域9a)を開口する第3のフォトレジストパターン8aを形成する。
【0075】
次に図10(C)の断面図に示すように、第3のフォトレジストパターン8aをエッチングマスクにして、第2の孤立パターン62bの遮光膜3を選択的にエッチングする。
中間膜7がエッチングストッパとして機能し、下層の半透過膜2はエッチングされない。
また、遮光膜3のみをエッチングし、中間膜7及び半透過膜2をエッチングしないエッチャントを用いて、第2の孤立パターン62bの遮光膜3を選択的にエッチングしてもよい。
【0076】
次に図11(A)の断面図、図11(B)の平面図に示すように第3のフォトレジストパターン8aを除去する。
ハーフトーン領域9aは、半透過膜2と中間膜7との積層により構成されている。
一方、ブリッジパターン63bは半透過膜2のみにより構成されている。従って、ブリッジパターン63bの透過率は、ハーフトーン領域9aの透過率より高く設定できる。
すなわち、ハーフトーン領域9aの光学特性は、フォトマスク100がハーフトーンマスクとして機能するために必要な条件に設定しながら、ブリッジパターン63bの透過率を選択的に高く設定することができる。そのため、必要な光学特性を有するハーフトーン領域9aの形成を可能としながら、ブリッジパターン63bの露光対象物への転写を効果的に防止できる。
なお、上記においては、ハーフトーン領域9aを第2の孤立パターン62bに隣接して形成する例を示したが、ハーフトーン領域9aの配置箇所は任意である。
【0077】
例えば、第2の孤立パターン62b上の全ての遮光膜3を選択的に除去し、ハーフトーン領域としてもよい。この場合、第3のフォトレジストパターン8aは図10(A)、(B)に示す工程において、第2の孤立パターン62bを開放する形状となる。図10(C)に示すエッチング工程において、遮光膜3を、半透過膜2及び中間膜7に対して選択的にエッチングすることで、ブリッジパターン63bはエッチングされない。
ブリッジパターン63bは、隣接する遮光パターン(遮光領域)とハーフトーンパターン(ハーフトーン領域)とを接続することができる。同様に、ブリッジパターン63bは、隣接するハーフトーンパターン間(半透過領域間)を接続することもできる。
【0078】
なお、ハーフトーン領域の形成について説明したが、位相シフト領域を形成する場合も同様である。中間膜7と半透過膜2との積層の光学特性を、形成する領域に合わせて適宜設定すればよい。ハーフトーン領域及び位相シフト領域に必要な光学特性の具体的な例は、既述の通りである。
【0079】
なお、図7(C)の断面図に示す工程の後に、さらに開口部OPに露出した半透過膜2を部分的にエッチングし、半透過膜2の膜厚を減少させてもよい。開口部OPの半透過膜2の透過率を増大させ、ブリッジパターン63bの透過率をさらに増大させることができる。
【0080】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3について説明する。
図12、13、14は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【0081】
図12(A)の断面図に示すように、透過性基板1上に遮光膜3を形成し、遮光膜3上に被覆膜11を形成する。
なお、透過性基板1上に予め遮光膜3が形成されたフォトマスクブランクスを準備し、遮光膜3上に被覆膜11を積層してもよい。
遮光膜3の光学特性等は上記の通りである。
【0082】
遮光膜3上に形成される被覆膜11として、例えば、金属化合物、金属シリサイド化合物、金属窒化物等の材料からなる膜を採用し、蒸着法やスパッタ法等により遮光膜3上に成膜することができる。
被覆膜11は、遮光膜3及び半透過膜2とエッチング特性が異なる材料から構成され、エッチングストッパ膜として機能することができる。なお、遮光膜3と半透過膜2とは、異なるエッチング特性を有する膜から構成されてもよく、同一のエッチング特性を有する膜から構成されてもよい。
【0083】
次に、図12(B)の断面図に示すように、被覆膜11上に第4のフォトレジスト膜12を形成し、レーザ描画等による露光及び現像工程によりパターニングし、第4のフォトレジストパターン12a、12b(遮光領域エッチングマスク)を形成する。第4のフォトレジストパターン12a、12bは、遮光領域のエッチングマスクとして機能し、それぞれ第1の孤立パターン61aと第2の孤立パターン62aの形状を画定(決定)する。
【0084】
次に、図12(C)の断面図に示すように、第4のフォトレジストパターン12a、12bをマスクに、被覆膜11を、遮光膜3に対して選択的にエッチングして遮光膜3の表面を露出し、被覆膜パターン11a、11bを形成する。
その後、第4のフォトレジストパターン12a、12bをマスクに、露出した遮光膜3を、被覆膜11に対して選択的にエッチングして透過性基板1の表面を露出し、遮光膜パターン3d(第1の孤立遮光膜パターン3d)、及び遮光膜パターン3e(第2の孤立遮光膜パターン3e)を形成する。遮光膜パターン3d、及び遮光膜パターン3eは、それぞれ上記第2の遮光膜パターン3b及び第3の遮光膜パターン3cに対応する。
【0085】
次に、図12(D)の断面図及び図12(E)の平面図に示すように、アッシッング等により第4のフォトレジストパターン12a、12bを除去する。
図12(E)に示すように、被覆膜パターン11a、11bは、それぞれ、後述する第1の孤立パターン61cと第2の孤立パターン62cに対応するパターン形状を有する。
【0086】
次に、図13(A)の断面図に示すように、半透過膜2をスパッタ法や蒸着法等により成膜する。半透過膜2は、露出した透過性基板1の表面及び被覆膜パターン11a、11bの表面に形成される。半透過膜2の光学特性等は上記の通りである。
【0087】
次に、図13(B)の断面図及び図13(C)の平面図に示すように、第5のフォトレジスト13を塗布法等により形成し、レーザ描画等による露光及び現像工程によりパターニングし、第5のフォトレジストパターン13a(半透過領域エッチングマスク)を形成する。第5のフォトレジストパターン13aは、後述するブリッジパターン63cの形状を決定し、半透過領域エッチングマスクとして機能する。
第5のフォトレジストパターン13aの幅wは、ブリッジパターン63cの幅に対応し、好適にはリソグラフィー工程の露光光に対して解像限界以下に設定される。
また、第5のフォトレジストパターン13aの端部は、被覆膜パターン11a、11bと重なるオーバーラップ部13c、13dを有する。オーバーラップ部13c、13dは長さdを有する。
従って、第5のフォトレジストパターン13aは、ブリッジパターン63cの形状を規定する中央部13bと、その両端に位置するオーバーラップ部13c、13dを有する。
【0088】
なお、長さdは第5のフォトレジストパターン13aを描画する描画装置のアライメント誤差の値(又はアライメント誤差の値以上)に設定される。また、後述するオーバーラップ部13c、13dの下部の被覆膜11のエッチング(サイドエッチング)により、被覆膜11が除去可能な長さに設定する。一般にアライメント誤差の値は、描画するパターンサイズ(例えば、非限定的に、1μm以上)より十分小さいため(非限定的に解像限界の数分の1以下、例えばクォーターミクロン程度以下)、長さdをアライメント誤差の値に設定することで、オーバーラップ部13c、13dの下部の被覆膜11は十分除去可能である。
【0089】
次に、図14(A)の断面図に示されるように、第5のフォトレジストパターン13aをマスクに半透過膜2を、被覆膜11に対して選択的にエッチングしてパターニングする。
半透過膜2からなるパターンは、ブリッジパターンに対応する半透過膜ブリッジ部2aと、第5のフォトレジストパターン13aのオーバーラップ部13c、13dの下部に存在する半透過膜2b、2c(半透過膜オーバラップ部2b、2c)を有する。
その後、第5のフォトレジストパターン13aをマスクに、被覆膜パターン11a、11bを、半透過膜2及び遮光膜3に対して選択的にエッチングする。その結果、遮光膜3の表面が露出する。
【0090】
被覆膜11の一部(被覆膜オーバーラップ部11c、11d)は、第5のフォトレジストパターン13aのオーバーラップ部13c、13dの下部に残る。
図14(A)に示すように、オーバーラップ部13c、13dの下部には、半透過膜オーバーラップ部2b、2c及び被覆膜オーバーラップ部11c、11dが残置し、半透過膜オーバーラップ部2b、2cは被覆膜オーバーラップ部11c、11d上に存在する。
【0091】
次に、図14(B)の断面図に示されるように、被覆膜オーバーラップ部11c、11dを選択的にエッチング(サイドエッチング)し、除去する。半透過膜オーバーラップ部2b、2cはリフトオフにより除去される。その結果、遮光膜パターン3a、3b上には半透過膜2は存在しなくなる。半透過膜パターン2aは、両端が遮光膜パターン3a、3bに挟まれた状態となる。
この工程においては、半透過膜2はエッチングされないため、オーバーラップ部以外の半透過膜2から構成されるパターンのサイズに影響(変化)はない。
【0092】
次に、図14(C)の断面図及び図14(D)の平面図に示されるように、第5のフォトレジストパターン13aを除去する。
遮光膜パターン3d及び遮光膜パターン3eは、それぞれ第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cを構成し、半透過膜ブリッジ部2aはブリッジパターン63cを構成する。第1の孤立パターン61c、第2の孤立パターン62cはブリッジパターン63cにより電気的に接続されている。
【0093】
第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cは遮光膜3から構成され、ブリッジパターン63cは半透過膜2から構成され、互いに異なる材料から構成されているが、第1の孤立パターン61c、第2の孤立パターン62c及びブリッジパターン63cは同一レイヤー(同一層)に配置されている。ブリッジパターン63cの両端部は、第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cの壁面に接触する。
すなわち、ブリッジパターン63cの一端側の壁面は、第1の孤立パターン61cの壁面と接し、ブリッジパターン63cの他端側の壁面は第2の孤立パターン62cの壁面と接触する。ブリッジパターン63cを構成する半透過膜2は、第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cの表面に乗り上げることはない。
なお、図14はブリッジパターン63cを構成する半透過膜2の膜厚と第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cを構成する遮光膜3の膜厚が等しい例を示すが、それに限定するものではない。好適には、半透過膜2の膜厚は遮光膜3の膜厚より小さい。
【0094】
なお、第1の孤立パターン61c、第2の孤立パターン62c及びブリッジパターン63cは、それぞれ上記第1の孤立パターン61a、第2の孤立パターン62a及びブリッジパターン63aに相当する。
【0095】
なお、ハーフトーンマスクや位相シフトマスク等を製造するため、必要に応じてフォトマスク100上に半透過膜2から構成される半透過領域を形成してもよい。
以下、半透過領域を形成する工程について説明する。
【0096】
図13(B)に示す工程において、例えば、図15(A)の断面図及び図15(B)の平面図に示すように、半透過領域を形成する所定の領域に、第5のフォトレジストパターン13eを形成する。
なお、図15(A)、(B)に示す例においては、第2の孤立パターン62cに接するような半透過領域を形成する例を示す。第5のフォトレジストパターン13eは、被覆膜パターン11a上に、長さdのオーバーラップ部13fを有する。
なお、図15(A)、(B)に示す例に限定されず、第2の孤立パターン62cと離隔して、第5のフォトレジストパターン13eを形成してもよい。この場合、オーバーラップ部13fは存在しない。
【0097】
その後、図14(A)に示す工程と同様に、図15(C)の断面図に示すように、第5のフォトレジストパターン13eをエッチングマスクにして、半透過膜2及び被覆膜パターン11a、11bを、遮光膜3に対して選択的にエッチングしてパターニングする。
半透過膜2がパターニングされ、半透過膜パターン2dが形成される。また、オーバーラップ部13fの下部には、半透過膜オーバーラップ部2e及び被覆膜オーバーラップ部11eが残置する。
【0098】
その後、図14(B)に示す工程と同様に、図16(A)の断面図に示すように、半透過膜オーバーラップ部2b、2c、2e及び被覆膜オーバーラップ部11c、11d、11eを除去する。
【0099】
その後、図14(C)に示す工程と同様に、図16(B)の断面図、図16(C)の平面図に示すように、第5のフォトレジストパターン13a、13eを除去する。
半透過膜パターン2dは、半透過領域9cを構成し、半透過膜パターン2aはブリッジパターン63cを構成する。
なお、半透過領域9cは半透過領域9a(ハーフトーン領域9a)に対応する。
【0100】
なお、ブリッジパターン63cは、遮光領域である第1の孤立パターン61cと第2の孤立パターン62cとの間を接続する例について説明したが、これに限定するものではなく、遮光領域と半透過領域との間、半透過領域と半透過領域との間を、ブリッジパターンにより電気的に接続するよう構成されてもよい。
【0101】
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4について説明する。
図17、18、19は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【0102】
図1(A)に示す工程と同様に、図17(A)の断面図に示すように、透過性基板1上に半透過性を有する半透過膜2を形成し、半透過膜2上に遮光性を有する遮光膜3を形成する。半透過膜2と遮光膜3とは異なるエッチング特性を有する。
半透過膜2と遮光膜3の光学特性は上記の通りである。
【0103】
次に図17(B)の断面図、図17(C)の平面図に示すように第6のフォトレジスト14を遮光膜3上に形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングして、第6のフォトレジストパターン14aを形成する。
第6のフォトレジストパターン14aは、第1の孤立パターン領域51b、第2の孤立パターン領域52b、及びブリッジ領域53bを有している。
なお、第1の孤立パターン領域51b、第2の孤立パターン領域52b、及びブリッジ領域53bは、それぞれ、上記の第1の孤立パターン領域51a、第2の孤立パターン領域52a、及びブリッジ領域53aに対応する。
第6のフォトレジストパターン14aのブリッジ領域53bの幅wは、ブリッジパターンの幅を決定し、リソグラフィー工程の露光光に対する解像限界以下の幅に設定することができる。
【0104】
次に図18(A)の断面図に示すように、第6のフォトレジストパターン14aをエッチングマスクにして、半透過膜2に対して選択的に遮光膜3をエッチングして、遮光膜パターン3fを形成する。
その後、図18(B)の断面図及び図18(C)の平面図に示すように、遮光膜3に対して選択的に半透過膜2をエッチングし、半透過膜パターン2fを形成する。
【0105】
次に図19(A)の断面図、図19(B)の平面図に示すように、遮光膜パターン3fをサイドエッチングし、ブリッジ領域53bの遮光膜パターン3fを除去する。その結果、ブリッジ領域53bにおいては、半透過膜パターン2fのみが残る。
遮光膜パターン3fは両側からエッチングされる。遮光膜パターン3fのサイドエッチング量をSdとすると、Sdがブリッジ領域53bの遮光膜パターン3fの幅wの半分以上(Sd≧w/2)であれば、ブリッジ領域53bの遮光膜パターン3fは除去される。好適には、遮光膜パターン3fのサイドエッチング量Sdは遮光膜パターン3fの幅wの半分に設定される。
【0106】
次に、図19(C)の平面図、図19(D)の断面図に示すように、第6のフォトレジストパターン14aをアッシング等により除去する。
サイドエッチングにより、遮光膜パターン3fは、第1の孤立パターン61aを構成する遮光膜パターン3gと、第2の孤立パターン62aを構成する遮光膜パターン3hとに分割される。
また、遮光膜パターン3gの側壁面及び遮光膜パターン3hの側壁面は、遮光膜パターン3fの側壁面から距離Sd後退する。
【0107】
第1の孤立パターン61aは遮光膜パターン3gと半透過膜パターン2fとの積層構造からなり、第2の孤立パターン62aは遮光膜パターン3h半透過膜パターン2fとの積層構造からなる。第1の孤立パターン61aと第2の孤立パターン62aとの間に位置する半透過膜パターン2fがブリッジパターン63aを構成する。
【0108】
なお、遮光膜パターン3g及び遮光膜パターン3hの周囲には半透過膜パターン2fが設けられている。そのため、ブリッジパターン63aと第1の孤立パターン61a(又は第2の孤立パターン62a)との接触部が広がり、接触部での電流の集中を防止することができる。例えば、特殊な大面積の孤立パターン間において、ブリッジパターン63aと孤立パターンの境界に異常な大電流が集中することにより、境界部分のブリッジパターン63a(又は孤立パターン)が破壊されるリスクを防止又は軽減できる。
【0109】
(実施形態5)
以下、本発明の実施形態5について説明する。
図20、21、22、23は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。図24、25、26、27は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【0110】
図12(A)に示す工程と同様に、図20(A)の断面図に示すように、透過性基板1上に、遮光性を有する遮光膜3を形成し、遮光膜3上に被覆膜11を形成する。
遮光膜3の光学特性、エッチング特性等は上記の通りである。
被覆膜11のエッチング特性等は上記の通りである。被覆膜11は、エッチングストッパ膜として機能することができる。
【0111】
次に図20(B)の断面図、図20(C)の平面図に示すように第7のフォトレジスト15を被覆膜11上に形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングして、第7のフォトレジストパターン15aを形成する。
第7のフォトレジストパターン15aは、第1の孤立パターン領域51c、第2の孤立パターン領域52c、及びブリッジ領域53cを有している。
なお、第1の孤立パターン領域51c、第2の孤立パターン領域52c、及びブリッジ領域53cは、それぞれ上記の第1の孤立パターン領域51a、第2の孤立パターン領域52a、及びブリッジ領域53aに対応する。
なお、図20(B)は、図20(C)のブリッジ領域53cすなわち、B-B線での断面図である。
【0112】
第7のフォトレジストパターン15aのブリッジ領域53cは、2つのライン部15Lを有している。また、第7のフォトレジストパターン15aは、ライン部15Lに挟まれたスペース部15sを有している。スペース部15sの両端は、第1の孤立パターン領域51c及び第2の孤立パターン領域52cに挟まれている。その結果、スペース部15sは開口部を構成する。
なお、スペース部15sの長手方向の一端部は第1の孤立パターン領域51cとライン部15Lとの境界と面一となり、その他端部は第2の孤立パターン領域52cとライン部15Lとの境界と面一となるように構成されている。例えば、図20(C)に示すように2つのライン部15Lが長方形により構成されている場合、ライン部15Lの長手方向の長さとスペース部15sの長手方向の長さは等しくなる。
【0113】
スペース部15sの幅wは、リソグラフィー工程の露光光の解像限界以下の値に設定される。また、ライン部5Lの幅WLは、描画装置のアライメント誤差によって定まる値であり、アライメント誤差より大きい値であり、非限定的に、例えば、アライメント誤差の1.5倍、2倍の値(具体的には、例えば略0.5μm)に設定できる。一般に、描画装置のアライメント誤差は、描画装置により描画されるパターン幅より十分小さく、そのため、幅WLはリソグラフィー工程の解像限界以下に設定することができる。
【0114】
次に図20(D)の断面図に示すように、第7のフォトレジストパターン15aをエッチングマスクにして、被覆膜11及び遮光膜3をエッチングし、被覆膜パターン11a及び遮光膜パターン3aにより構成される積層パターンを形成する。なお、被覆膜11及び遮光膜3の両方をエッチング可能なエッチャントを使用してエッチングをしてもよいが、好適には被覆膜11を、選択的にエッチングし、その後遮光膜3を選択的にエッチングしてもよい。選択エッチングにより、パターニングの精度が向上する。
【0115】
次に図20(E)の断面図に示すように第7のフォトレジストパターン15aを除去する。
なお、図20(D)、(E)は、図20(C)のB-B線断面に相当し、ブリッジ領域53cの断面図を示す。
ブリッジ領域53cの被覆膜パターン11a及び遮光膜パターン3aは、それぞれ、互いに距離w離隔し、幅WLを有する被覆膜ラインパターン11L及び遮光膜ラインパターン3Lから構成される。
【0116】
図21(A)の平面図、図21(B)の断面図に示すように、被覆膜パターン11aは、被覆膜ラインパターン11Lと、第1の孤立パターン領域51c及び第2の孤立パターン領域52cに対応して、それぞれ第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11kを有する。
第7のフォトレジストパターン15aのスペース部15sに対応して、被覆膜ラインパターン11Lと遮光膜ラインパターン3Lとの間に開口部SL(スリット部SL)が形成される。開口部SLにおいては透明基板1が露出し、開口部SLの幅(又は、2つの遮光膜ラインパターン3L間の距離)はwである。
開口部SLの両端部の位置は、それぞれブリッジ領域53cと第1の孤立パターン領域51c及び第2の孤立パターン領域52cとの境界により決定される。
なお、図21(B)は図21(A)のC-C線断面である。
【0117】
図21(B)に示すように、遮光膜パターン3aは、被覆膜ラインパターン11L、第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11kの下層に、それぞれ遮光膜ラインパターン3L、第1の孤立遮光膜パターン3j及び第2の孤立遮光膜パターン3kを有する。
開口部SLは、被覆膜ラインパターン11L、第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11kに囲まれ、また、遮光膜ラインパターン3L、第1の孤立遮光膜パターン3b及び第2の孤立遮光膜パターン3cに囲まれている。
【0118】
次に図21(C)の平面図、図21(D)の断面図に示すように、半透過膜2を形成し、その後、第8のフォトレジスト16を半透過膜2上に形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングして、第8のフォトレジストパターン16aを形成する。
半透過膜2の光学特性、エッチング特性等は上記の通りである。
なお、図21(D)は図21(C)の被覆膜ラインパターン11L及び遮光膜ラインパターン3Lの領域における断面図である。
【0119】
第8のフォトレジストパターン16aは、開口部SLを覆う。第8のフォトレジストパターン16aの周縁は、開口部SLの周縁より、被覆膜ラインパターン11L(遮光膜ラインパターン3L)側に距離d延長し、また、第1の孤立被覆膜パターン11j(第1の孤立遮光膜パターン3b)及び第2の孤立被覆膜パターン11k(第2の孤立遮光膜パターン3c)側に距離d延長している。
第8のフォトレジストパターン16aは開口部SLの上に位置する中央部16cと、中央部16cの周囲に設けられ、被覆膜パターン11a上に位置する延長部16eとを有する。延長部16eの幅は距離dとなる。
距離dを、第8のフォトレジストパターン16aの描画装置のアライメント誤差に設定することで、アライメントずれが生じても、第8のフォトレジストパターン16aは開口部SLを覆うことができる。
【0120】
次に、図22(A)の平面図、図22(B)の断面図に示すように、第8のフォトレジストパターン16aをエッチングマスクにして、半透過膜2を、被覆膜11及び遮光膜3に対して選択的にエッチングし、パターニングし、被覆膜パターン11aを露出する。
図22(B)の断面図に示すように、第8のフォトレジストパターン16aの中央部16cの下部に半透過膜ブリッジパターン2aが形成され、延長部16eの下部に半透過膜残余部2rが形成される。半透過膜残余部2rは、被覆膜パターン11a上に形成される。
【0121】
次に、図22(C)の断面図、図22(D)の平面図に示すように、被覆膜パターン11aを、半透過膜2及び遮光膜3に対して選択的にエッチングし、遮光膜パターン3aを露出する。
被覆膜パターン11a上の半透過膜残余部2rは除去され、中央部16cに覆われた半透過膜ブリッジパターン2aが透過性基板1上に残置する。
【0122】
次に、図23(A)の平面図、図23(B)の断面図に示すように、第8のフォトレジストパターン16aを除去する。
半透過膜ブリッジパターン2aと、その両側に接して設けられた遮光膜ラインパターン3Lが、ブリッジパターンを構成する。
遮光膜ラインパターン3Lは、第1の孤立遮光膜パターン3jと第2の孤立遮光膜パターン3kとを電気的に接続する。その結果、第1の孤立遮光膜パターン3jと第2の孤立遮光膜パターン3kとの静電破壊を防止することができる。
【0123】
遮光膜ラインパターン3Lの幅は解像限界以下に設定されているため、リソグラフィー工程において露光対象物に転写されない。
また、半透過膜ブリッジパターン2aの幅も解像限界以下に設定されており、さらに高い透過率を有しているため、リソグラフィー工程において露光対象物に転写されない。
【0124】
なお、図21(C)に示す工程において、第8のフォトレジストパターン16aに、さらに半透過領域を適宜設けてもよい。第8のフォトレジストパターン16aに設けられた半透過領域をエッチングマスクにして半透過膜2をパターニングして、半透過膜2からなる所望の形状の半透過領域をフォトマスク100に形成することができる。
半透過領域を設けることにより、フォトマスク100をハーフトーンマスクや位相シフトマスクとして構成することができる。
【0125】
なお、上記実施形態において、ブリッジパターンは、半透過膜ブリッジパターン2aと、その両側に接して設けられた遮光膜ラインパターン3Lとから構成されるが、以下に説明するように、遮光膜ラインパターン3Lを除去し、半透過膜ブリッジパターン2aのみから構成することも可能である。
以下、実施形態5の変形例について説明する。
図24、25、26、27は、実施形態5の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
【0126】
図24(A)の平面図に示すように、図20(C)に示す工程と同様に、第7のフォトレジストパターン15a’を形成する。第7のフォトレジストパターン15a’は、第1の孤立パターンに対応する領域51c(第1の孤立パターン領域51c)、第2の孤立パターンに対応する領域52c(第2の孤立パターン領域52c)、及びブリッジパターンに対応する領域53c(ブリッジ領域53c)を有している。
なお、第1の孤立パターン領域51c、第2の孤立パターン領域52c、及びブリッジ領域53cは、それぞれ上記の第1の孤立パターン領域51a、第2の孤立パターン領域52a、及びブリッジ領域53aに対応する。
【0127】
第7のフォトレジストパターン15a’のブリッジ領域53cは、2つのライン部15L’を有している。また、第7のフォトレジストパターン15a’は、ライン部15L’に挟まれたスペース部15s’を有し、スペース部15s’は開口部を構成する。
ライン部15L’は上記ライン部15Lに対応し、スペース部15s’は上記スペース部15sに対応する。ライン部15L’は幅WLを有し、スペース部15s’は幅wを有する。
【0128】
ただし、スペース部15s’の両端は、上記スペース部15sと異なり、第1の孤立パターン領域51c及び第2の孤立パターン領域52cへ距離D’(延長距離D’)突出している。
後述するように、遮光膜ラインパターン3Lの除去工程において、第1の孤立遮光膜パターン3jと第2の孤立遮光膜パターン3kの周縁部がサイドエッチングにより後退し、スペース部15s’の両端と面一となるように、距離D’が設定されている。具体的には、距離D’は遮光膜ラインパターン3Lの幅WL(又はWL以上)に設定され、好適には幅WLに等しくなるよう設定される。
【0129】
次に、図24(B)の平面図、図24(C)、図24(D)の断面図に示すように、図20(D)、図20(E)、図21(A)に示す工程と同様に、第7のフォトレジストパターン15a’をエッチングマスクにして、被覆膜11及び遮光膜3をエッチングし、被覆膜パターン11a及び遮光膜パターン3aからなる積層パターンを形成し、その後第7のフォトレジストパターン15a’を除去する。
図24(C)は、図24(B)のC-C線断面に相当し、図24(D)、図24(B)のC’-C’線断面に相当する。
図24(B)に示すように、被覆膜パターン11aの2つの被覆膜ラインパターン11Lは互いに距離w離隔している。
【0130】
図24(C)に示すように、被覆膜パターン11aは、被覆膜ラインパターン11L、第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11kを有する。
遮光膜パターン3aは、遮光膜ラインパターン3L、第1の孤立遮光膜パターン3j及び第2の孤立遮光膜パターン3kを有する。遮光膜ラインパターン3L、第1の孤立遮光膜パターン3j及び第2の孤立遮光膜パターン3kは、それぞれ被覆膜ラインパターン11L、第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11kの下層に設けられている。
被覆膜パターン11aの2つの被覆膜ラインパターン11Lと同様に、遮光膜パターン3aの2つの遮光膜ラインパターン3Lは互いに距離w離隔している。
2つの被覆膜ラインパターン11L(及び遮光膜ラインパターン3L)に挟まれるように、開口部SL’(スリット部SL’)が形成されている。
【0131】
図24(D)に示す断面においては、第1の孤立遮光膜パターン3j(及び第1の孤立被覆膜パターン11j)と第2の孤立遮光膜パターン3k(及び第2の孤立被覆膜パターン11k)とが、開口部SL’により分離されている。
開口部SL’のx方向の長さは、遮光膜ラインパターン3L(被覆膜ラインパターン11L)のx方向の長さより距離2D’長い。
【0132】
次に、図25(A)の平面図、図25(B)の断面図に示すように、図21(C)に示す工程と同様に、半透過膜2を形成し、その後、第8のフォトレジスト16’を半透過膜2上に形成し、レーザ描画等による露光及び現像によりパターニングして、第8のフォトレジストパターン16a’を形成する。図25(B)は、図24(D)に示す断面に相当する。
第8のフォトレジストパターン16a’は、開口部SL’を覆う。第8のフォトレジストパターン16a’の周縁は、上記第8のフォトレジストパターン16aと同様に、開口部SL’の周縁より、距離d外方に拡張されている。上記のように距離dを描画装置のアライメント誤差に設定することができる。
【0133】
図25(B)に示すように、第8のフォトレジストパターン16a’は、開口部SL’の上に位置する中央部16c’と、中央部16c’の周囲に設けられ、被覆膜パターン11a(被覆膜ラインパターン11L、第1の孤立被覆膜パターン11j及び第2の孤立被覆膜パターン11k)の上方に位置する延長部16e’とを有する。
【0134】
次に、図25(C)の平面図、図25(D)の断面図に示すように、図22(A)、(B)に示す工程と同様に、第8のフォトレジストパターン16a’をエッチングマスクにして、半透過膜2をエッチングしてパターニングし、被覆膜パターン11aを露出する。
なお、図25(C)の点線は、開口部SL’に形成された半透過膜パターン2aを示す。
【0135】
開口部SL’内には半透過膜パターン2aが形成され、図22(B)と同様に、延長部16e’の下部に半透過膜残余部2rが形成される。ただし、半透過膜2をさらにオーバーエッチングすることにより、半透過膜残余部2rを除去してもよい。
なお、図25(D)は、図25(C)のブリッジ領域の断面図であり、図22(B)の断面図に対応する。
【0136】
次に、図26(A)の平面図、図26(B)の断面図、図26(C)の断面図に示すように、被覆膜パターン11a及び第8のフォトレジストパターン16a’をエッチングマスクにして、遮光膜パターン3aを、半透過膜2及び被覆膜11に対して選択的にエッチングし、幅WLを有する遮光膜ラインパターン3Lを除去する。
このとき、第1の孤立遮光膜パターン3jと第2の孤立遮光膜パターン3kの側壁がサイドエッチングされ、後退する。その結果、第1の孤立遮光膜パターン3j及び第2の孤立遮光膜パターン3kは、縮小され、それぞれ第1の孤立パターン3mと第2の孤立パターン3nとなる。
エッチング量を延長距離D’と等しくすることで、半透過膜パターン2aの両端部2Eは、第1の孤立パターン3mと第2の孤立パターン3nの側壁面と面一になる。
なお、図26(B)の断面は、図25(D)の断面に対応する。図26(C)は図26(A)のC’-C’線断面である。
【0137】
次に、図27(A)、図27(B)の断面図及び図27(C)の平面図に示すように、被覆膜パターン11aを、半透過膜2(半透過膜パターン2a)及び遮光膜3(第1の孤立パターン3mと第2の孤立パターン3n)に対して選択的にエッチングする。半透過膜2から構成される半透過膜パターン2aと、遮光膜3から構成される第1の孤立パターン3m及び第2の孤立パターン3nはエッチングされない。
一方、被覆膜ラインパターン11Lを除去することにより、その上部に形成された半透過膜残余部2rは除去される。
【0138】
次に、図27(D)の平面図に示すように、第8のフォトレジストパターン16a’を除去する。半透過膜パターン2a、第1の孤立パターン3m及び第2の孤立パターン3nは、ブリッジパターン63c、第1の孤立パターン61c及び第2の孤立パターン62cに対応する。
【0139】
半透過膜パターン2aは、第1の孤立パターン3mと第2の孤立パターン3nとを電気的に接続するブリッジパターンを構成する。半透過膜パターン2aの幅wはリソグラフィー工程の解像限界以下の値に設定されているため、露光対象物に転写されない。また、ブリッジパターンは半透過膜2から構成されているため、上記近接効果による孤立パターン近傍の形状異常の発生のリスクを防止又は軽減する効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明にかかるフォトマスクの製造方法によれば、孤立パターン間の静電破壊を防止することができるフォトマスクを得ることができる。また、バイナリーマスクに限らず、ハーフトーンマスクや位相シフトマスクとの整合性も高く、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0141】
100 フォトマスク
10 フォトマスクブランクス
20 フォトマスクブランクス
1 透過性基板
2 半透過膜
2a 半透過膜ブリッジ部
2b、2c、2e 半透過膜オーバーラップ部
2d、2f 半透過膜パターン
2r 半透過膜残余部
2E 端部
3 遮光膜
3a 第1の遮光膜パターン
3b 第2の遮光膜パターン(第1の孤立遮光膜パターン)
3c 第3の遮光膜パターン(第2の孤立遮光膜パターン)
3d、3j、3m 第1の孤立遮光膜パターン
3e、3k、3n 第2の孤立遮光膜パターン
3f、3g、3h 遮光膜パターン
3L 遮光膜ラインパターン
4 第1のフォトレジスト膜
4a 第1のフォトレジストパターン(第1のエッチングマスクパターン)
4s 開口部(開口パターン)
5 第2のフォトレジスト膜
5a 第2のフォトレジストパターン(第2のエッチングマスクパターン)
5f 充填部
5e 延長部(カバー部)
51a、51b、51c 第1の孤立パターン領域
52a、52b、52c 第2の孤立パターン領域
53a、53b、53c ブリッジ領域
61a、61b、61c 第1の孤立パターン
62a、62b、62c 第2の孤立パターン
63a、63b、63c ブリッジパターン
7 中間膜
7a 第1の中間膜パターン
7b 第2の中間膜パターン
7c 第3の中間膜パターン
8 第3のフォトレジスト膜
8a 第3のフォトレジストパターン
9a、9c 半透過領域(ハーフトーン領域)
11 被覆膜
11a、11b 被覆膜パターン
11c、11d、11e 被覆膜オーバーラップ部
11L 被覆膜ラインパターン
11j 第1の孤立被覆膜パターン
11k 第2の孤立被覆膜パターン
12 第4のフォトレジスト膜
12a、12b 第4のフォトレジストパターン(遮光領域エッチングマスク)
13 第5のフォトレジスト
13a、13e 第5のフォトレジストパターン(半透過領域エッチングマスク)
13b 中央部
13c、13d、13f オーバーラップ部
14 第6のフォトレジスト
14a 第6のフォトレジストパターン
15 第7のフォトレジスト
15a、15a' 第7のフォトレジストパターン
15L、15L' ライン部
15s、15s' スペース部
16、16' 第8のフォトレジスト
16a、16a' 第8のフォトレジストパターン
16c、16c' 中央部
16e、16e' 延長部
OP 開口部
d 拡張幅
D 突出距離
D' 延長距離
SL、SL' 開口部(スリット部)
STa 積層パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27