(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013445
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/31 20180101AFI20240125BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240125BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240125BHJP
【FI】
F21S43/31
F21W103:00
F21W103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115531
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 将
(57)【要約】
【課題】第2灯具ユニットを構成する反射面が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10であって、透光カバー40と、透光カバーの後方に配置され、前記透光カバーを透過する光を照射する第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット30と、を備え、前記第2灯具ユニットは、光源31と、放物面系反射面32と、を備え、前記放物面系反射面は、前記第1灯具ユニットが照射する光のうち前記透光カバーで全反射された反射光Ray1が入射する領域を含み、前記領域は、第1領域33a及び第2領域33bを含み、前記第1領域は、当該第1領域に入射する前記反射光が前記透光カバーを透過しないように制御する領域で、前記第2領域は、当該第2領域に入射する前記光源からの光が前記透光カバーを透過するように制御する領域である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光カバーと、
前記透光カバーの後方に配置され、前記透光カバーを透過する光を照射する第1灯具ユニットと、
前記透光カバーの後方に前記第1灯具ユニットに隣接した状態で配置され、前記透光カバーを透過する光を照射する第2灯具ユニットと、を備え、
前記第2灯具ユニットは、光源と、前記光源またはその近傍に焦点を有する放物面系反射面と、を備え、
前記放物面系反射面は、前記第1灯具ユニットが照射する光のうち前記透光カバーで全反射された反射光が入射する領域を含み、
前記領域は、第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、当該第1領域に入射する前記反射光が前記透光カバーを透過しないように制御する領域で、
前記第2領域は、当該第2領域に入射する前記光源からの光が前記透光カバーを透過するように制御する領域である車両用灯具。
【請求項2】
複数の前記第1領域及び複数の前記第2領域を備え、
前記第1領域及び前記第2領域は交互に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1領域には、当該第1領域に入射する前記反射光が通過するスリットが形成されている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1領域には、当該第1領域に入射する前記反射光を光不透過部に向けて反射する反射面が形成されている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数の第2領域は、前記光源近傍に焦点を有し焦点距離が異なる複数の放物面系反射面によって構成されている請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関し、特に、第2灯具ユニットを構成する反射面(放物面系反射面)が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
透光カバー(例えば、アウターレンズ)の後方に互いに隣接した状態で配置された第1灯具ユニット及び第2灯具ユニットを備えた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献1に記載の車両用灯具においては、第1灯具ユニットが照射する光のうち透光カバーで全反射された反射光が第2灯具ユニットを構成する反射面(放物面系反射面)に入射し、当該反射面が疑似点灯しているように視認される場合があることが判明した。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、第2灯具ユニットを構成する反射面(放物面系反射面)が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる車両用灯具は、透光カバーと、前記透光カバーの後方に配置され、前記透光カバーを透過する光を照射する第1灯具ユニットと、前記透光カバーの後方に前記第1灯具ユニットに隣接した状態で配置され、前記透光カバーを透過する光を照射する第2灯具ユニットと、を備え、前記第2灯具ユニットは、光源と、前記光源またはその近傍に焦点を有する放物面系反射面と、を備え、前記放物面系反射面は、前記第1灯具ユニットが照射する光のうち前記透光カバーで全反射された反射光が入射する領域を含み、前記領域は、第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域は、当該第1領域に入射する前記反射光が前記透光カバーを透過しないように制御する領域で、前記第2領域は、当該第2領域に入射する前記光源からの光が前記透光カバーを透過するように制御する領域である。
【0007】
このような構成により、第2灯具ユニットを構成する反射面(放物面系反射面)が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる。
【0008】
これは、前記放物面系反射面のうち前記透光カバーで全反射された反射光が入射する領域に、当該反射光が前記透光カバーを透過しないように制御する領域(第1領域)を設けたことによるものである。
【0009】
また、上記車両用灯具において、複数の前記第1領域及び複数の前記第2領域を備え、
前記第1領域及び前記第2領域は交互に配置されていてもよい。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記第1領域には、当該第1領域に入射する前記反射光が通過するスリットが形成されていてもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記第1領域には、当該第1領域に入射する前記反射光を光不透過部に向けて反射する反射面が形成されていてもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記複数の第2領域は、前記光源近傍に焦点を有し焦点距離が異なる複数の放物面系反射面によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、第2灯具ユニットを構成する反射面(放物面系反射面)が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
図1は、車両用灯具10の正面図(概略図)である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
【0017】
図1、
図2に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。車両用灯具10は、アウターレンズ40(本開示の透光カバーの一例)とハウジング50とによって構成される灯室S1内に配置され、ハウジング50等に取り付けられる。
【0018】
車両用灯具10は、第1灯具ユニット20、第2灯具ユニット30を備える。第1灯具ユニット20は、ヘッドランプとして機能するプロジェクタ型の灯具ユニットである。なお、第1灯具ユニット20は、ヘッドランプとして機能する灯具ユニットであればどのような構成でもよく、例えば、プロジェクタ型以外のリフレクタ型の灯具ユニットであってもよい。第1灯具ユニット20としては、ヘッドランプとして機能する公知の灯具ユニットを用いることができる。一方、第2灯具ユニット30は、車両用信号灯具(例えば、ターンランプ)として機能するリフレクタ型の灯具ユニットである。第2灯具ユニット30の構成については後述する。
【0019】
第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット30は、アウターレンズ40の後方に互いに隣接した状態で配置されている(
図2参照)。具体的には、第1灯具ユニット20は、第2灯具ユニット30に対して車幅方向外側、かつ、車両後方側に配置されている。第2灯具ユニット30は、第1灯具ユニット20に対して車幅方向内側、かつ、車両前方側に配置されている。アウターレンズ40は、その車幅方向外側が後方に角度θ傾斜している。角度θは、車両用灯具10のデザイン等に応じて適宜の角度としてよい。なお、
図2中、符号60が示すのはインナーレンズ、符号70が示すのは装飾部材であるエクステンションである。なお、アウターレンズ40、インナーレンズ60は透明樹脂で成形された光透過部であるが、ハウジング50及びエクステンション70は不透明樹脂で成形された光不透過部である。なお、エクステンション70は金属色等の塗装が施されている場合もある。
【0020】
次に、第2灯具ユニット30の構成について詳細に説明する。
【0021】
図2に示すように、第2灯具ユニット30は、光源31、光源31またはその近傍に焦点F
32を有する放物面系反射面32を含む。
【0022】
光源31は、アンバー色の光を発光するバブル光源である。光源31は、放物面系反射面32に形成された貫通穴に当該放物面系反射面32の背面側から挿入された状態で当該放物面系反射面32(リフレクタ)に着脱可能に取り付けられている。
【0023】
図1に示すように、放物面系反射面32は、第1灯具ユニット20が照射する光のうちアウターレンズ40(裏面)で全反射された反射光Ray1(
図2参照)が入射する領域33(
図1中ハッチングHAを施した領域参照)を含む。
【0024】
この領域33は、
図2に示すように、第1領域33a(複数)及び第2領域33b(複数)を含む。第1領域33a及び第2領域33bは交互に配置されている。
【0025】
第1領域33aは、当該第1領域33aに入射する反射光Ray1がアウターレンズ40を透過しないように制御する領域である。これを実現するため、第1領域33aには、当該第1領域33aに入射する反射光Ray1が通過するスリットが形成されている。スリットは、第1領域33aに入射する反射光Ray1が通過する形状であればどのような形状であってもよい。また、スリットの数も少なくとも1つ形成されていればよい。
【0026】
一方、第2領域33bは、当該第2領域33bに入射する光源31からの光(直射光。
図2中のRay2参照)がアウターレンズ40を透過するように制御する領域である。これを実現するため、複数の第2領域33bは、多重フォーカス面、すなわち、光源31近傍に焦点を有し焦点距離が異なる複数の放物面系反射面によって構成されている。
【0027】
上記構成の車両用灯具10においては、第1灯具ユニット20を点灯すると、第1灯具ユニット20からの光がアウターレンズ40を透過して前方に照射される。これにより、ヘッドランプとしての機能が実現される。
【0028】
一方、第1灯具ユニット20からの光の一部(
図2中Ray1参照)は、アウターレンズ40(裏面)で全反射される。この反射光Ray1は、第2灯具ユニット30の放物面系反射面32(領域33)に入射する。その際、放物面系反射面32(領域33)のうちスリットが形成された第1領域33aに入射した反射光Ray1は、当該スリットを通過するため、第2灯具ユニット30の放物面系反射面32(領域33)で反射され、アウターレンズ40を透過して周囲に照射される光(疑似点灯しているように視認される光)を抑制することができる。
【0029】
また、第2灯具ユニット30を点灯すると、第2灯具ユニット30からの光が放物面系反射面32(複数の第2領域33b)で反射されアウターレンズ40を透過して前方に照射される。なお、第2灯具ユニット30からの光のうち、第2領域33bに入射した光Ray2は、
図2に示す光路を辿りアウターレンズ40を透過して前方に照射される。これにより、ターンランプとしての機能が実現される。
【0030】
以上説明したように本実施形態によれば、第2灯具ユニット30を構成する放物面系反射面32が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる。
【0031】
これは、放物面系反射面32のうちアウターレンズ40(裏面)で全反射された反射光Ray1が入射する領域33に、当該反射光Ray1がアウターレンズ40を透過しないように制御する領域(スリットが形成された第1領域33a)を設けたことによるものである。
【0032】
また、本実施形態によれば、以上のように第2灯具ユニット30を構成する放物面系反射面32が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができるため、第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット30を同時に点灯しても、第2灯具ユニット30が点灯していること(第2灯具ユニット30を構成する放物面系反射面32がアンバー色で発光していること)を視認させることができる。すなわち、第1灯具ユニット20が第2灯具ユニット30の機能を阻害するのを抑制することができる。
【0033】
次に、変形例について説明する。
【0034】
上記実施形態では、第1領域33aには、当該第1領域33aに入射する反射光Ray1が通過するスリットが形成されている例について説明したが、これに限らない。
【0035】
【0036】
例えば、
図3に示すように、第1領域33aには、当該第1領域33aに入射する反射光Ray1を光不透過部(例えば、エクステンション70)に向けて反射する反射面が形成されていてもよい。
【0037】
本変形例によっても、上記実施形態と同様、第2灯具ユニット30を構成する放物面系反射面32が疑似点灯しているように視認されるのを抑制することができる。
【0038】
これは、放物面系反射面32のうちアウターレンズ40(裏面)で全反射された反射光Ray1が入射する領域33に、当該反射光Ray1がアウターレンズ40を透過しないように制御する領域(光不透過部(例えば、エクステンション70)に向けて反射する反射面が形成された第1領域33a)を設けたことによるものである。
【0039】
また、上記実施形態では、本開示の第1灯具ユニット20を、ターンランプに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、第1灯具ユニット20を、ターンランプ以外の車両用信号灯具(テールランプ等)に適用してもよい。
【0040】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0041】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…車両用灯具
20…第1灯具ユニット
30…第2灯具ユニット
31…光源
32…放物面系反射面
33…領域
33a…第1領域
33b…第2領域
40…アウターレンズ(透光カバー)
50…ハウジング
60…インナーレンズ
70…エクステンション
F32…焦点
Ray1、Ray2…光
S1…灯室
θ…角度