IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-分類方法 図1
  • 特開-分類方法 図2
  • 特開-分類方法 図3
  • 特開-分類方法 図4
  • 特開-分類方法 図5
  • 特開-分類方法 図6
  • 特開-分類方法 図7
  • 特開-分類方法 図8
  • 特開-分類方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134450
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】分類方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 17/00 20060101AFI20240926BHJP
   B28C 9/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B28B17/00 B
B28C9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044765
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健介
【テーマコード(参考)】
4G055
4G056
【Fターム(参考)】
4G055AB03
4G055AC10
4G055EA03
4G056AA03
4G056CA09
4G056CC02
(57)【要約】
【課題】製造物の形状パターンを安定して分類できる。
【解決手段】分類方法は、コンピュータにより実行される分類方法であって、製造物の外周を測定して測定結果を得る測定工程と、あらかじめ実行された学習によりパラメータが設定された機械学習モデルを用いて、測定結果に基づき製造物をあらかじめ定められたいずれかの形状パターンに分類する分類工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される分類方法であって、
製造物の外周を測定して測定結果を得る測定工程と、
あらかじめ実行された学習によりパラメータが設定された機械学習モデルを用いて、前記測定結果に基づき前記製造物をあらかじめ定められたいずれかの形状パターンに分類する分類工程と、を含む分類方法。
【請求項2】
請求項1に記載の分類方法において、
前記測定工程では、前記製造物の外周を所定の角度ごとに測定して角度測定値を取得し、
前記分類工程では、
角度ごとに前記角度測定値に基づく値である標準化測定値を算出し、
隣接する角度ごとの前記標準化測定値の差である隣接差に基づき分類する、
分類方法。
【請求項3】
請求項2に記載の分類方法において、
前記外周は、2以上の連続する領域である分割済領域に分類され、
前記分類工程では、前記分割済領域ごとに前記隣接差に基づく分類である小領域分類を行い、前記分割済領域ごとの前記小領域分類の組み合わせに基づき、いずれかの前記形状パターンに分類する、分類方法。
【請求項4】
請求項3に記載の分類方法において、
前記分割済領域のそれぞれは、前記製造物が外部から受ける影響に基づき設定される、分類方法。
【請求項5】
請求項4に記載の分類方法において、
前記製造物は架台に乗せて運搬され、
前記外周は、前記架台との接触する部分である接触外周と、前記架台と接触しない部分である非接触外周とに分類され、
前記接触外周および前記非接触外周のそれぞれは前記分割済領域であり、
前記分類工程には、
前記接触外周における前記隣接差に基づき第1分類を行う第1分類工程と、
前記非接触外周における前記隣接差に基づき第2分類を行う第2分類工程と、
前記第1分類の結果および前記第2分類の結果に基づき、いずれかの前記形状パターンに分類する第3分類工程と、を含む分類方法。
【請求項6】
請求項5に記載の分類方法において、
前記第1分類工程ではP種類(Pは自然数)に分類され、
前記第2分類工程ではQ種類(Qは自然数)に分類され、
前記第3分類工程では、人間の感性に基づきあらかじめ定められたR種類(RはPとQの積よりも小さな自然数)のいずれかの前記形状パターンに分類される、分類方法。
【請求項7】
請求項1に記載の分類方法において、
前記分類工程により分類された前記形状パターンに基づき、前記製造物の製造パラメータを調整する調整工程をさらに含む、分類方法。
【請求項8】
請求項1に記載の分類方法において、
前記製造物はハニカム構造体である、分類方法。
【請求項9】
請求項7に記載の分類方法において、
前記調整工程は、前記製造物の成形工程である、分類方法。
【請求項10】
請求項4に記載の分類方法において、
前記製造物は、乾燥ラインにより乾燥処理が施された後に前記測定工程が行われ、
前記製造物の外周は、前記乾燥ラインにおける乾燥の強度に基づき、弱く乾燥される弱乾燥領域および強く乾燥される強乾燥領域のいずれかに分類され、
前記強乾燥領域および前記弱乾燥領域のそれぞれは前記分割済領域であり、
前記分類工程には、
前記強乾燥領域における前記隣接差に基づき第1分類を行う第1分類工程と、
前記弱乾燥領域における前記隣接差に基づき第2分類を行う第2分類工程と、
前記第1分類の結果および前記第2分類の結果に基づき、いずれかの前記形状パターンに分類する第3分類工程と、を含む分類方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分類方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工程では、使用する材料の状態や環境条件などの多種多様な影響を受けるため、製造物に基づき調整が行われることが多い。特許文献1には、発光部を有する上面と、前記上面の反対側であって外部接続端子を有する下面と、前記上面と前記下面との間の側面とを備え、光束及び色度の少なくとも一方でランク分けされた光源を複数準備する準備工程と、複数の前記光源から、所望のランクに属する前記光源を複数抽出する抽出工程と、抽出された複数の前記光源の前記上面と前記下面とが接合部材から露出し、かつ、前記外部接続端子が接合部材と離隔するように前記側面同士が前記接合部材を介して接合される接合工程と、を含む発光装置の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-097370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている発明では、製造物の分類手法に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による分類方法は、コンピュータにより実行される分類方法であって、製造物の外周を測定して測定結果を得る測定工程と、あらかじめ実行された学習によりパラメータが設定された機械学習モデルを用いて、前記測定結果に基づき前記製造物をあらかじめ定められたいずれかの形状パターンに分類する分類工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、製造物の形状パターンを安定して分類できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】演算装置を含む生産システムの全体構成図
図2】分類対応表の一例を示す図
図3】生産ラインの模式図
図4】第6工程における測定の一例を示す図
図5】第7工程における測定を示す図
図6】形状測定装置による測定結果の一例
図7】演算部の処理を示す概要図
図8】演算装置の処理を示すフローチャート
図9】第2の実施の形態における乾燥工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、図1図8を参照して、本発明にかかる分類方法の第1の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は、演算装置2を含む生産システム1の全体構成図である。生産システム1は、ハニカム構造体80を製造する。生産システム1は、生産ライン400と、演算装置2と、出力装置490とを備える。出力装置490は、たとえば液晶ディスプレイである。出力装置490は、オペレータ9に情報を提示する。
【0010】
生産ライン400は、成形装置401、切断装置402、架台403、乾燥炉404、仕上装置405、外観検査装置406、および形状測定装置407を含む。生産ライン400の構成は次の図2を参照して後に詳述する。オペレータ9は、出力装置490から得た情報に基づき成形装置401の設定を変更する。
【0011】
演算装置2は、受信部21と、演算部22と、記憶部23と、出力部24と、を含む。受信部21は、形状測定装置407と通信する通信モジュールである。受信部21は形状測定装置407から測定結果を受信し、受信した測定結果を演算部22に出力する。演算部22は、たとえば不図示の中央演算装置、RAM、およびROMから構成される。演算部22は、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することで後述する演算を行い、演算結果を出力部24に出力する。
【0012】
記憶部23は不揮発性の記憶装置、たとえばフラッシュメモリである。記憶部23には、第1判定機231、第2判定機232、および分類対応表233があらかじめ格納される。第1判定機231および第2判定機232は、学習済みの機械学習モデルである。第1判定機231には、数字の組み合わせである非接触差分9Nが入力され、形状の分類である非接触クラスを出力する。第2判定機232は、数字の組み合わせである接触差分9Tが入力され、形状の分類である接触クラスを出力する。非接触差分9Nおよび接触差分9Tについては後述する。
【0013】
分類対応表233は、第1判定機231が出力する非接触クラスおよび第2判定機232が出力する接触クラスの組み合わせに対応するハニカム構造体80の形状の分類(以下、「円筒分類」と呼ぶ)を示すデータである。
【0014】
図2は、分類対応表233の一例を示す図である。図2に示す例では、接触クラスはT1~T4の4種類、非接触クラスはN1~N4の4種類である。接触クラスと非接触クラスの組み合わせに対応するハニカム構造体80の形状の分類、すなわち円筒分類は、P1~P9の9種類である。この対応は、人間の感性に基づき予め定められたものである。たとえば接触クラスがT1の場合は、非接触クラスがN1~N3のいずれの場合でも形状はP4に分類される。円筒分類はたとえば、真円、左扁平、右扁平、ハートなどである。
【0015】
図3は、生産ライン400の模式図である。ハニカム構造体80は、図2において左端に示す第1工程から右側に示す第7工程までを経て生産される。図2の下部に示すXYZ軸は相互に直交する座標軸であり、説明の便宜のために記載している。本実施の形態では、工程の進行とともにハニカム構造体80がX軸のプラス方向に進む。Y軸は図2の視点では奥行き方向に相当する。Z軸は重力方向である。
【0016】
第1工程では、内部にハニカムが成形された円筒形の連続体81が成形され、成形装置401からX軸方向に吐出される。以下では、この円筒形の外周領域をハニカム構造体80の外周部と呼ぶ。成形装置401は、オペレータ9の操作により製造パラメータの調整が可能である。具体的には成形装置401は温度調整、治具交換、口金回転、抵抗挿入などの調整ができる。温度調整は、成形装置401に備えられるヒータの動作を制御することである。治具交換は、成形装置401に備えられ使用により損耗した治具を新たな治具に交換することである。口金回転は、成形装置401に備えられる口金を任意の角度だけ回転させることである。抵抗挿入は、成形装置401の内壁の任意の位置に材料の移動を遅くする抵抗を挿入させることである。
【0017】
第2工程では、連続体81は、所定の長さになるように切断装置402により切断されて複数の切断体82となる。切断体82は下側から架台403により支持される。ここでは、切断体82の外周の下半分、すなわちZ軸マイナス側の面の全てが架台403に接していたとする。ハニカム構造体80において、架台403と接触していた外周部を接触外周80Tと呼び、架台403と接触していなかった外周部を非接触外周80Nと呼ぶ。第2工程における切断体82は、円筒の軸はX軸に平行である。
【0018】
第3工程では、切断体82が架台403とともにY軸を中心に90度回転され、円筒の軸がZ軸に平行となる。このとき、架台403はX軸のマイナス側に配される。第4工程では、切断体82から架台403が取り外され、切断体82が乾燥炉404により乾燥されて乾燥体83となる。第5工程では、乾燥体83が仕上装置405により軸方向が所定の仕上げ寸法に切断され、仕上体84となる。
【0019】
第6工程では、外観検査装置406により仕上体84の外観検査が行われる。第7工程では、形状測定装置407により仕上体84の形状測定が行われる。外観検査により問題がないと判断された仕上体84は完成品となる。第6工程および第7工程の詳細は後述する。形状測定装置407による測定結果は、ハニカム構造体80の製造工程にフィードバックされる。ハニカム構造体80は連続体81、切断体82、乾燥体83、および仕上体84の総称である。連続体81、切断体82、乾燥体83、および仕上体84は、いずれも略円筒の形状を有する。
【0020】
なおハニカム構造体80の中心軸は、第1工程および第2工程ではX軸に平行であり、第3工程以降はZ軸に移行となる。なお図2では第5工程において一時的にハニカム構造体80の中心軸がX軸に平行になっているが、ハニカム構造体80の中心軸はZ軸に平行なままで第5工程を行ってもよい。
【0021】
第6工程では、簡易な手法で仕上体84の外観が検査される。仕上体84の側面は真円であることが望ましく、外観検査装置406は許容される寸法範囲内であるか否かを判断する。たとえば仕上体84をZ軸プラス側から撮影し、仕上体84の外形が最小許容円L1と最大許容円L2の間に存在することを確認する。
【0022】
図4は、第6工程における測定の一例を示す図である。たとえば図4の左に示すように、仕上体84の外形の第1の例である符号84EX1は、全周にわたって最小許容円L1と最大許容円L2の間に存在する。そのため、この第1の例では外観検査装置406は撮影対象の仕上体84を合格と判断する。またたとえば、図4の右に示すように、仕上体84の外形の第2の例である符号84EX2は、図示左上部分において、最小許容円L1よりも径が小さい。そのため、この第2の例では外観検査装置406は撮影対象の仕上体84を不合格と判断する。本実施の形態では、第6工程における外観検査装置406の判定結果によらず、次の第7工程に進む。
【0023】
図5は、第7工程における測定を示す図である。形状測定装置407はたとえば、複数のレーザ距離計であり、仕上体84を取り囲むように複数配される。具体的には、図5の左側に示すようにレーザ距離計は所定の高さHに配され、図5の右側に示すように仕上体84の周囲に45度おきに配される。仕上体84に向かってXY平面内にレーザを照射する。レーザ距離計は、レーザが障害物である仕上体84に反射して返ってくるまでの所要時間に基づき仕上体84までの距離を算出する。形状測定装置407は、それぞれのレーザ距離計が測定する距離、および既知であるそれぞれのレーザ距離計と仕上体84の中心位置との距離を用いて、仕上体84の高さHにおける45度ごとの中心から外周までの距離を測定結果として出力する。
【0024】
図6は、形状測定装置407による測定結果の一例を示す図である。図6に示す丸囲みの1から8は、測定対象位置および測定結果を模式的に示している。図6の左図における破線で示す円は、仕上体84の理想的な形状、すなわち設計値を示しており、仕上体84の姿勢は図5の右図と同一である。ここでは便宜的にY座標の値が最も大きい位置を0度とし、時計回りに角度を定義する。
【0025】
図6に示す例では、1点目である0度の位置では、仕上体84の実測値は設計値よりも大きかったことが示されている。また、2点目である45度の位置では仕上体84の実測値は設計値と一致しており3点目である90度の位置では仕上体84の実測値は設計値よりも少し大きかったことが示されている。ハニカム構造体80は第3工程以降はX軸のプラス側に平行移動したとすると、図示左半分、すなわち180度~360度の範囲において架台403と接触していた。そのため、0度~180度が非接触外周80Nであり、180度~360度が接触外周80Tである。
【0026】
図6の右図は、標準化測定値を角度順に並べたグラフである。ただし説明の便宜のために1点目である0度の値は、360度の値として右端にも記載している。標準化測定値とは、1つの仕上体84の全測定値の平均値が「0」、分散が「1」となるように処理した値である。たとえばある仕上体84の0度から315度までの8個の測定値の平均値が「0」となるように、これら8個の測定値に同一のオフセット値を加え、その後にオフセットを加えた各測定値の分散が「1」となるように同一のゲインを乗じることで標準化測定値が設定される。
【0027】
図7は、演算部22の処理を示す概要図である。演算部22は、形状測定装置407から測定値を受信すると、既知であるそれぞれのレーザ距離計と仕上体84の中心位置との距離を用いて仕上体84の高さHにおける45度ごとの外径を算出する。次に演算部22は、算出したそれぞれの外径を既知である仕上体84の設計値で除して標準化測定値を算出する。角度ごとの標準化測定値が図7の上部に記載されている。
【0028】
次に演算部22は、隣接する角度ごとの標準化測定値の差分の絶対値を隣接差分として算出する。以下では、非接触外周80Nにおける隣接差分を非接触差分9Nと呼び、接触外周80Tにおける隣接差分を接触差分9Tと呼ぶ。たとえば、非接触外周80Nにおける0度~180度の標準化測定値が「1.6,0,0.8、-0.8,0,」の場合に、非接触差分9Nは「1.6,0.8,1.6,0.8」となる。
【0029】
演算部22は、非接触差分9Nを第1判定機231に入力して非接触クラスを特定し、接触差分9Tを第2判定機232に入力して接触クラスを特定する。さらに演算部22は、分類対応表233を参照して接触クラスおよび非接触クラスの組み合わせに対応する形状パターンを特定し、出力部24に出力する。
【0030】
図8は、演算装置2の処理を示すフローチャートである。まずステップS301において演算装置2の受信部21は、形状測定装置407から測定結果を受信する。具体的には、45度ごとに測定した合計8点のデータを受信する。続くステップS302では演算部22は、角度測定値に基づき、1つの仕上体84について平均値が「0」、分散が「1」となるように標準化測定値を算出する。
【0031】
続くステップS303では演算部22は、隣接する角度ごとの標準化測定値の差の絶対値である隣接差を算出する。次に演算部22は、ステップS304およびステップS305を並列に実行する。ただし並列での実行は必須ではなく、いずれかを先に実行してもよい。ステップS304では演算部22は、接触外周80Tにおける隣接差である接触差分9Tを第2判定機232に入力して接触クラスを得る。
【0032】
ステップS305では演算部22は、非接触外周80Nにおける隣接差である非接触差分9Nを第1判定機231に入力して非接触クラスを得る。S304およびステップS305の両方が完了すると演算部22は、ステップS306において分類対応表233を参照して、特定した接触クラスおよび非接触クラスに対応する円筒分類を特定する。続くステップS307では出力部24は、特定した分類を出力装置490を用いてオペレータ9に報知して図8に示す処理を終了する。
【0033】
接触外周80Tおよび非接触外周80Nのそれぞれは、連続した領域であり、ハニカム構造体80の外周を分割した領域である「分割済領域」とも呼ぶ。ステップS301は「測定工程」とも呼ぶ。ステップS302~S306をまとめて「分類工程」とも呼ぶ。ステップS304は「第1分類工程」とも呼び、S305は「第2分類工程」とも呼び、S306は「第3分類工程」とも呼ぶ。第4工程を「乾燥ライン」とも呼ぶ。
【0034】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)演算装置2が実行する分類方法は、ハニカム構造体80の外周を測定して測定結果を得る測定工程(S301)と、あらかじめ実行された学習によりパラメータが設定された機械学習モデルを用いて、測定結果に基づき製造物をあらかじめ定められたいずれかの形状パターンに分類する分類工程(S302~S306)と、を含む。そのため、製造物の形状パターンを安定的に分類できる。
【0035】
(2)測定工程では、製造物の外周を所定の角度ごとに測定する。分類工程では、角度ごとに角度測定値に基づく値である標準化測定値を算出し(S302)、隣接する角度ごとの標準化測定値の差である隣接差に基づき分類する(S303)。
【0036】
(3)ハニカム構造体80の外周は、2以上の連続する領域である分割済領域に分類される。具体的には、接触外周80Tと非接触外周80Nとに分類される。分類工程では、分割済領域ごとに隣接差に基づく分類である小領域分類を行い(S304、S305)、分割済領域ごとの小領域分類の組み合わせに基づき、いずれかの形状パターンに分類する(S306)。
【0037】
(4)分割済領域のそれぞれは、製造物が外部から受ける影響、具体的には架台403の接触の有無に基づき設定される。
【0038】
(5)ハニカム構造体80は架台403に乗せて運搬される。ハニカム構造体80の外周は、架台403との接触する部分である接触外周80Tと、架台403と接触しない部分である非接触外周80Nとに分類される。分類工程には、接触外周80Tにおける隣接差に基づき第1分類を行う第1分類工程(S304)と、非接触外周80Nにおける隣接差に基づき第2分類を行う第2分類工程(S305)と、第1分類の結果および第2分類の結果に基づき、いずれかの形状パターンに分類する第3分類工程(S306)と、を含む。
【0039】
(6)第1分類工程では4種類に分類され、第2分類工程では4種類に分類され、第3分類工程では、人間の感性に基づきあらかじめ定められた9種類、すなわち4x4よりも少ない数のいずれかの形状パターンに分類される。
【0040】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、形状測定装置407は複数のレーザ距離計であった。しかし形状測定装置407は、1台のレーザ距離計と回転ステージとの組み合わせでもよい。この場合には、仕上体84は中心位置が回転ステージの回転中心と一致するように配され、45度回転するたびにレーザ距離計が仕上体84との距離を測定する。
【0041】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、第1分類工程では4種類に分類され、第2分類工程では4種類に分類された。しかし第1分類工程および第2分類工程のそれぞれにおける分類数は、両者で同一でなくてよく2以上であればよい。また、第3分類工程における分類数は9に限定されず、第1分類工程における分類数をPとおき、第2分類工程における分類数をQとおく場合に、第3分類工程における分類数Rは、PとQの積よりも小さければよい。
【0042】
(変形例3)
上述した第1の実施の形態では、測定工程においてハニカム構造体80の外周を45度ごとに測定した。しかし測定する間隔は45度に限定されない。たとえば、30度、15度、10度などの間隔で測定してもよい。
【0043】
(変形例4)
上述した第1の実施の形態では、演算部22による演算結果である円筒分類は、出力装置490を介してオペレータ9が視認し、オペレータ9の判断に基づき成形装置401の設定が変更された。しかし演算部22は、円筒分類に基づき成形装置401の設定を変更してもよい。たとえば、記憶部23に円筒分類と成形装置401の設定変更との対応表がさらに格納され、演算部22は図8に示したステップS307の代わりに、この対応表に基づく成形装置401の設定変更、すなわち製造パラメータの調整を行ってもよい。
【0044】
この変形例4によれば、次の作用効果が得られる。
(7)演算装置2が実行する分類方法は、分類工程により分類された形状パターンに基づき、ハニカム構造体80の製造パラメータを調整する調整工程を含む。
【0045】
(変形例5)
ステップS302における標準化測定値の算出方法は第1の実施の形態における手法に限定されない。標準化測定値は、角度測定値に基づいて一定のルールのもとで算出されればよい。たとえば、角度測定値と設計値との差を標準化測定値としてもよいし、角度測定値と設計値との差を設計値で除した値を標準化測定値としてもよい。さらに、それぞれの仕上体84における最大値が「1」、最小値が「0」となるように標準化測定値を算出してもよい。
【0046】
―第2の実施の形態―
図9を参照して、分類方法の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、架台403との接触の代わりに乾燥の度合いを考慮する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0047】
図9は、第2の実施の形態における第4工程の詳細を示す図である。第4工程では、複数の切断体82が同時に乾燥炉404により乾燥される。具体的には、切断体82がY軸方向に複数、たとえば5個並べられてコンベアにより少しずつX軸方向に移動する。切断体82は乾燥炉404の出口、すなわちX軸プラス側の端部に達した際には乾燥体83となっている。
【0048】
ただし、乾燥炉404は外周部ほど乾燥しやすい特性を有するので、乾燥体83は位置により乾燥の程度に差がある。具体的には、Y軸方向の両端に配置された乾燥体83において、他の乾燥体83に面していない側は乾燥されやすい。すなわち、図9の右端に示すように、Y軸方向に5つの乾燥体83が並ぶ場合には中央の3つおよび上下端の内側は乾燥の度合いが低く、上下端の外側は乾燥の度合いが高くなる。以下では、乾燥の度合いが高い領域を強乾燥領域80Sと呼び、乾燥の度合いが低い領域を弱乾燥領域80Wと呼ぶ。
【0049】
すなわち、第1の実施の形態ではハニカム構造体80の外周を非接触外周80Nと接触外周80Tの2つに分類したが、本実施の形態ではハニカム構造体80の外周を強乾燥領域80Sと弱乾燥領域80Wに分類する点が異なる。そのため本実施の形態における演算装置2の構成および演算部22の処理は、第1の実施の形態と以下の点が異なる。
【0050】
第1判定機231は、強乾燥領域80Sにおける隣接差が入力され、強乾燥領域80Sの分類を出力する。第2判定機232は、弱乾燥領域80Wにおける隣接差が入力され、弱乾燥領域80Wの分類を出力する。すなわち図8のステップS304を強乾燥領域80Sの分類に変更し、ステップS305を弱乾燥領域80Wの分類に変更する。また分類対応表233は、強乾燥領域80Sの分類と弱乾燥領域80Wの分類との組み合わせに対応するハニカム構造体80の形状の分類を示すデータである。
【0051】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(8)製造物であるハニカム構造体80は、乾燥ラインである第4工程により乾燥処理が施された後に測定工程が行われる。ハニカム構造体80の外周は、乾燥ラインにおける乾燥の強度に基づき、弱く乾燥される弱乾燥領域80Wおよび強く乾燥される強乾燥領域80Sのいずれかに分類される。分類工程には、強乾燥領域80Sにおける隣接差に基づき第1分類を行う第1分類工程と、弱乾燥領域80Wにおける隣接差に基づき第2分類を行う第2分類工程と、第1分類の結果および第2分類の結果に基づき、いずれかの形状パターンに分類する第3分類工程と、を含む。そのため、乾燥工程の影響に基づきハニカム構造体80の形状を分類できる。
【0052】
上述した各実施の形態および変形例において、機能ブロックの構成は一例に過ぎない。別々の機能ブロックとして示したいくつかの機能構成を一体に構成してもよいし、1つの機能ブロック図で表した構成を2以上の機能に分割してもよい。また各機能ブロックが有する機能の一部を他の機能ブロックが備える構成としてもよい。
【0053】
上述した各実施の形態および変形例において、プログラムは不図示のROMに格納されるとしたが、プログラムは記憶部23に格納されていてもよい。また、演算装置2が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと演算装置2が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、例えば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
【0054】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
2 :演算装置
9N :非接触差分
9T :接触差分
22 :演算部
80 :ハニカム構造体
80N :非接触外周
80S :強乾燥領域
80T :接触外周
80W :弱乾燥領域
81 :連続体
82 :切断体
83 :乾燥体
84 :仕上体
231 :第1判定機
232 :第2判定機
233 :分類対応表
400 :生産ライン
401 :成形装置
402 :切断装置
403 :架台
404 :乾燥炉
405 :仕上装置
406 :外観検査装置
407 :形状測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9