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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134457
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】チャージポンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044773
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元木 真太郎
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS01
5H730AS04
5H730BB02
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】本開示は、出力電圧のリプルを抑制したチャージポンプ回路を目的とする。
【解決手段】直流電源VDDと、3以上の任意の自然数であるN個のキャパシタを有する昇圧セクション30及び、N-1個のキャパシタを有する平滑セクション40を有する昇圧回路20と、昇圧回路20にクロック信号を供給するクロック供給回路CTと、を備え、昇圧セクション30の第iキャパシタCBは、時刻Tが示されるときに、一方側が直流電源VDDの電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続され、時刻Ti+1が示されるときに、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの電極と接続され、時刻Ti+jが示されるときに、一方側が第jキャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第j-1キャパシタCSj-1の一方側の電極と接続される、チャージポンプ回路10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、
3以上の任意の自然数であるN個のキャパシタを有する昇圧セクション及び、N-1個のキャパシタを有する平滑セクションを有する昇圧回路と、
前記昇圧回路にクロック信号を供給するクロック供給回路と、
を備え、
iを1からNの自然数、jを2からN-1の自然数とした場合に、前記昇圧セクションの前記N個のキャパシタのそれぞれのうち、i番目のキャパシタは、
前記クロック信号により時刻Tが示されるときに、一方側が前記直流電源の高電位側の電極と、他方側が基準電位の電極と接続され、
前記クロック信号により時刻Ti+1が示されるときに、一方側が前記平滑セクションの1番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が前記直流電源の高電位側の電極と接続され、
前記クロック信号により時刻Ti+jが示されるときに、一方側が前記平滑セクションのj番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が平滑セクションのj-1番目のキャパシタの一方側の電極と接続される、
チャージポンプ回路。
【請求項2】
前記昇圧セクションの前記N個のキャパシタのそれぞれのうち、i番目のキャパシタは、前記クロック信号により示される時刻TがN進む度に同じ接続状態とされる、
請求項1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項3】
前記Nは、3である、
請求項1又は請求項2に記載の、チャージポンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャージポンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ダイオード素子の入力端にキャパシタの一端を接続した複数の単位回路を、上記複数のダイオード素子の極性を同方向に揃えて前段のダイオード素子の出力端を後段のダイオード素子の入力端に接続するように直列に接続し、かつ隣接する上記単位回路の各キャパシタの他端に互いに逆相のクロック信号を印加し、このクロック信号により前段のキャパシタに蓄積した電荷を後段のキャパシタに転送しつつ順次昇圧するチャージポンプと、上記チャージポンプに電源を入力する電源入力端子と、上記チャージポンプから第1の出力電圧を取り出すための第1の電源出力端子と、上記チャージポンプから第2の出力電圧を取り出すための第2の電源出力端子と、上記第1、第2の電源出力端子間にドレイン・ソース電極が接続され、ゲート電極が上記チャージポンプの任意の中間ノードに接続され、この中間ノードから上記ゲート電極に印加される中間電位に応じて上記第1の出力電圧を降圧し、上記第2の出力電圧として出力する降圧用MOS型トランジスタと、上記中間ノードの取り出し段数を変化させることにより上記中間電位を変化させる手段と、を備えたことを特徴とする昇圧回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02-276467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、出力電圧のリプルを抑制したチャージポンプ回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のチャージポンプ回路は、直流電源と、3以上の任意の自然数であるN個のキャパシタを有する昇圧セクション及び、N-1個のキャパシタを有する平滑セクションを有する昇圧回路と、前記昇圧回路にクロック信号を供給するクロック供給回路と、を備え、iを1からNの自然数、jを2からN-1の自然数とした場合に、前記昇圧セクションの前記N個のキャパシタのそれぞれのうち、i番目のキャパシタは、前記クロック信号により時刻Tが示されるときに、一方側が前記直流電源の高電位側の電極と、他方側が基準電位の電極と接続され、前記クロック信号により時刻Ti+1が示されるときに、一方側が前記平滑セクションの1番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が前記直流電源の高電位側の電極と接続され、前記クロック信号により時刻Ti+jが示されるときに、一方側が前記平滑セクションのj番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が平滑セクションのj-1番目のキャパシタの一方側の電極と接続される。
【0006】
このチャージポンプ回路は、昇圧回路における昇圧セクションが3以上の任意の自然数であるN個のキャパシタを有し、平滑セクションがN-1個のキャパシタを有する。またこのチャージポンプ回路は、昇圧セクションにおいて順に並ぶ複数のキャパシタのうちのi番目のキャパシタが、時刻Tが1進む度に、平滑セクションのi-1番目のキャパシタと接続し、i-1番目のキャパシタの電位を高くする。したがって、本開示に係るチャージポンプ回路によれば、昇圧セクションのN個のキャパシタにより時刻Tが1進む度に出力される電位が高くなるため、出力される電圧のリプルが抑制される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、出力電圧のリプルを抑制したチャージポンプ回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係るチャージポンプ回路を説明する図である。
図2】第一実施形態に係るチャージポンプ回路におけるタイムチャートである。
図3】第一実施形態に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図4】第一実施形態に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図5】第一実施形態に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図6】比較例に係るチャージポンプ回路を説明する図である。
図7】比較例に係るチャージポンプ回路におけるタイムチャートである。
図8】比較例に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図9】比較例に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図10】比較例に係るチャージポンプ回路の動作を説明する図であり、クロック信号により時刻Tが示されるときの接続状態を説明する図である。
図11】第二実施形態に係るチャージポンプ回路を説明する図である。
図12】第二実施形態に係るチャージポンプ回路におけるタイムチャートである。
図13】第三実施形態に係るチャージポンプ回路を説明する図である。
図14】第三実施形態に係るチャージポンプ回路におけるタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
また、後述する様に本開示に係るチャージポンプ回路は、3以上の任意の自然数であるN個のキャパシタを有する昇圧セクション及び、N-1個のキャパシタを有する平滑セクションを有する昇圧回路を有する。以下、一例として、自然数Nについて3を代入した場合である第一実施形態、自然数Nについて6を代入した場合である第二実施形態、及び自然数Nの値を特定せずに一般化した場合である第三実施形態について、各図面を参照しながら説明する。
【0011】
[第一実施形態]
(構成)
図1は、本開示の第一実施形態に係るチャージポンプ回路10を示す図である。図1に示されるように、本開示に係るチャージポンプ回路10は、直流電源VDDと、クロック供給回路CTと、昇圧回路20と、を有する。
【0012】
直流電源VDDは、チャージポンプ回路10に直流電源VDDを供給する構成部品である。直流電源VDDの高電位側である一方側(図1における図面上側)は、後述する昇圧回路20と接続され、他端側(図1における図面下側)は、基準電位GND(グランド)の電極と接続されている。
【0013】
クロック供給回路CTは、後述するように昇圧回路20にクロック信号を供給する回路である。クロック供給回路CTは、どのような構成とされていてもよいが、一例として、予め定められた周波数で矩形波を出力する回路とされ、矩形波の立ち上り及び立ち下りの回数により時刻Tが示される。
【0014】
昇圧回路20は、図1に示されるように、3個のキャパシタを有する昇圧セクション30と、2個のキャパシタを有する平滑セクション40と、を有する。言い換えれば、平滑セクション40が有するキャパシタは、昇圧セクション30が有するキャパシタよりも1個少ない。
【0015】
なお、本実施形態の昇圧セクション30のキャパシタ及び、平滑セクション40のキャパシタは、いずれも静電容量が同等の素子とされている。
【0016】
なお、本実施形態では、表1に示されるように、昇圧セクション30のキャパシタについて、順に第1キャパシタCB、第2キャパシタCB、及び第3キャパシタCB、と称する。また、平滑セクション40のキャパシタについて、順に第1キャパシタCS、及び第2キャパシタCSと称す。また、以後の表中においては、各構成の符号のみ記載し、「第1キャパシタ」等の構成名の記載を省略する。
【0017】
【表1】
【0018】
また、以後の説明においては、昇圧セクション30のキャパシタを区別しない場合は、添字を有さずに「キャパシタCB」と示す。また平滑セクション40のキャパシタを区別しない場合は、添字を有さずに「キャパシタCS」と示す。
【0019】
本実施形態に係るチャージポンプ回路10において、平滑セクション40は、出力端子OTを有している。この出力端子OTは、一方側が第2キャパシタCSの一方側と、他方側が基準電極と接続されている。言い換えれば、出力端子OTの一方側は、平滑セクション40の順の最後の(番号の大きい)キャパシタCSである第2キャパシタCSの一方側と接続されている。
【0020】
また、本開示に係る昇圧セクション30の各キャパシタCBは、一端側及び他端側にそれぞれセレクタSSと接続されている。本実施形態に係るセレクタSSでは、一例としてcom端子及びφ端子、φ端子並びにφ端子とされる4つの端子を有している。本開示におけるセレクタSSでは、前述のクロック供給回路CTから図示しないバスを通じて供給されたクロック信号に基づいて、com端子が、φ端子、φ端子及びφ端子のいずれかの端子と接続される。
【0021】
また、図1に示されるように、本開示におけるセレクタSSは、クロック供給回路CTから時刻Tが示された場合に、φ端子、φ端子及びφ端子のうち、同じ添字の端子とcom端子とを接続する。例えば、図1では、いずれのセレクタSSにおいてもcom端子とφ端子とが接続される様子が示されている。
【0022】
なお、本開示において、セレクタSSとは、クロック供給回路CTから供給されるクロック信号に対応して接続先を変更可能とされていればよく、具体的な構成については特に限定されない。一例として、セレクタSSは、クロック信号に対応して制御される3つのトランジスタにより、com端子とφ端子、φ端子及びφ端子のいずれかの端子とを電気的に接続する構成とされてもよい。
【0023】
ここで、本実施形態では、昇圧セクション30の各キャパシタCBのそれぞれの一方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻Tにおいてそれぞれ異なる配線と接続する。また、各キャパシタCBのそれぞれの他方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻においてそれぞれ異なる配線と接続する。次に、本実施形態に係る昇圧セクション30の各キャパシタCBによるチャージポンプ回路10の動作について説明する。
【0024】
(動作)
図2は、本実施形態に係るチャージポンプ回路10の、時刻TにおけるセレクタSSの接続先と各キャパシタの電荷を示すタイミングチャートである。また、図3から図5は、各時刻Tにおけるチャージポンプ回路10の接続状態を示す図である。なお、図2において、φ端子からφ端子のうちONである状態(図2において、波形が立ち上がっている状態)は、図1における各セレクタSSのcom端子と電気的に接続されている状態を表し、OFFである状態(図2において、波形が立ち下がっている状態)は、図1における各セレクタSSのcom端子と電気的に切断されている状態を表している。また、図2において、VCB、VCB、及びVCBは、昇圧セクション30の第1キャパシタCB、第2キャパシタCB、及び第3キャパシタCBの電荷を示している。また、図2において、VCS、及びVCSは、平滑セクション40の第1キャパシタCS、及び第2キャパシタCSの電位を示している。また、図3から図5において、昇圧セクション30の各キャパシタCB又は平滑セクション40の各キャパシタCSに付されている「+」、「++」、「+++」の記号は、それぞれのキャパシタの電位の高さの関係を示している。すなわち、各キャパシタの電位は、「+++」が最も高い電位であり、「++」が次に高い電位であり、「+」が直流電源VDDと同じ電位であり、これらの記号が無いキャパシタ(例えば図3における第2キャパシタCB等)は、充電されていないことを表している。
【0025】
図2に示されるように、本実施形態では、セレクタSSは、クロック供給回路CTから時刻T、T、T、T10が示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻T、T、Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻T、T、Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。言い換えれば本実施形態ではセレクタSSは、時刻Tが3進む度に同じ接続状態となる。
【0026】
なお、本開示では、各キャパシタCBにおいて、接続状態が同じになるまでの期間(本実施形態では時刻Tが3進むまでの期間)を1サイクルとする。また、最初に直流電源VDDと接続されてから、次に直流電源VDDと接続されるまでの期間を、「最初の1サイクル」と称する。このため、各キャパシタCBにおいて、最初の1サイクルは、異なる時刻Tから開始される。
【0027】
ここで、図3に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション30のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
【0028】
続いて、図4に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション30のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0029】
続いて、図5に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション30のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
【0030】
ここで、任意の自然数iを用いてクロック供給回路CTから示される時刻T及びφ端子を表す場合を考える。図2から図5に示されるように、本実施形態において、時刻Tまでにおいては、クロック供給回路CTから示される時刻Tの「i」と、com端子と接続されるφ端子の「i」とは、同じ値となる。
【0031】
そして、上述のように、時刻Tが3進む度に同じ接続状態となり、図3から図5に示される接続状態が繰り返される。ここで、昇圧セクション30のキャパシタCBが各時刻Tにおいて接続される対象を、表2に示す。なお、表中のVDDは、直流電源VDDの高電位側を表す。
【0032】
【表2】
【0033】
なお、表2の太い線で囲われた箇所は、昇圧回路20が起動し、各キャパシタCBが充電されてから1サイクルにおける接続先を示している。言い換えれば、表中の太い線で囲われた箇所は、各キャパシタCBにおける最初の1サイクルを示している。
【0034】
詳細に説明すると、本実施形態に係るチャージポンプ回路10では、表2及び図2から図5に示されるように、昇圧セクション30のキャパシタCBは、それぞれ起動後の最初の1サイクルの動作は、次にようになる。まず、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続されて、充電される(図3における「+」)。続いて、昇圧セクション30のキャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続されて、キャパシタCBよりも高電位となるように第1キャパシタCSを充電させる(図4における「++」)。そして、昇圧セクション30のキャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続されて、キャパシタCBよりも高電位となるように第2キャパシタCSを充電させる(図5における「+++」)。そして、この1サイクルの動作が第1キャパシタCBから第3キャパシタCBで繰り返されることにより、第2キャパシタCSの電位、すなわち出力端子OTの電圧は、上昇する。
【0035】
(比較例)
ここで、本実施形態のチャージポンプ回路10との比較例のチャージポンプ回路110を図6から図10を適宜参照しながら、説明する。なお、比較例のチャージポンプ回路110の構成において、本実施形態に係るチャージポンプ回路10と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0036】
図6に示されるように、比較例のチャージポンプ回路110では、昇圧回路120における昇圧セクション130のキャパシタは、第1キャパシタCの1個のみとされている。なお、平滑セクション140のキャパシタは、本実施形態と同様に、第1キャパシタCS及び第2キャパシタCSとされている。このため、昇圧セクション130のキャパシタと、平滑セクション140のキャパシタとで、キャパシタの合計個数は、3個とされている。
【0037】
なお、比較例のチャージポンプ回路110が有する3個のキャパシタによる静電容量の合計値は、本実施形態のチャージポンプ回路10が有する5個のキャパシタによる静電容量の合計値と同じとされている。なお、その他の構成は、本実施形態に係るチャージポンプ回路10と同様である。
【0038】
続いて、図7及び図8から図10を適宜参照しながら、比較例のチャージポンプ回路110の動作を説明する。なお、図7において、VCは、昇圧セクション130のキャパシタCの電荷を示している。また、図7において、VCS、及びVCSは、平滑セクション140の第1キャパシタCS、及び第2キャパシタCSの電位を示している。
【0039】
まず、図8に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション130の第1キャパシタCは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
【0040】
また、図9に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション130の第1キャパシタCは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
【0041】
また、図10に示されるように、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション130の第1キャパシタCは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0042】
したがって、図7に示されるように、比較例に係るチャージポンプ回路110では、第2キャパシタCSの電位VCSは、時刻T以後、時刻Tが3進む度に、段階的に電位を上昇するのではなく、一気に充電される。言い換えれば、比較例に係るチャージポンプ回路110では、時刻Tが3進む度に第2キャパシタCSの電位が急上昇するリプル、すなわち出力端子OTの電圧のリプルが発生する。
【0043】
また、比較例に係るチャージポンプ回路110では、時刻Tが3進む度に充電されるため、出力端子OTに接続された負荷が大きくなる(出力端子OTから出力される電力が大きくなる)と、出力端子OTの電圧が下がりやすく、大きな負荷変動に対応しにくい。
【0044】
(作用効果)
一方、本実施形態に係るチャージポンプ回路10では、表2及び図2から図5に示されるように、昇圧セクション30のキャパシタCBのそれぞれが、時刻Tが1進む度に平滑セクション40の第2キャパシタCSと接続される。このため、平滑セクション40における第2キャパシタCSの電位は、時刻T以後、時刻Tが1進む度に充電される。
【0045】
ここで、上述のように、本実施形態に係るチャージポンプ回路10と、比較例に係るチャージポンプ回路10とでは、キャパシタの静電容量の合計値が同じとされている。このため、本実施形態に係るチャージポンプ回路10では、時刻Tが1進む毎に第2キャパシタCSの電位が急上昇するリプル、すなわち出力端子OTの電圧のリプルは、比較例に係るチャージポンプ回路10よりも抑制される。
【0046】
また、本実施形態に係るチャージポンプ回路10では、時刻Tが1進む度に充電されるため、出力端子OTに接続された負荷が大きくなる場合においても、出力端子OTの電圧が下がりにくい。したがって、本実施形態に係るチャージポンプ回路10では、比較例に係るチャージポンプ回路10と比べて、大きな負荷変動に対応しやすい。
【0047】
(変形例)
なお、上述の説明では、各キャパシタCBは、最初の1サイクルとされる前、例えば第3キャパシタCBについてはTよりも前にも、平滑セクション40のキャパシタCS及び直流電源VDDと接続されているが、本開示に係るセレクタSSの動作は、これに限らない。例えば、各キャパシタCBは、最初の1サイクルとされる時刻Tよりも前の時刻Tが示されている場合においては、φ端子、φ端子、φ端子、基準電位GND及び直流電源VDDに接続されない構成としてもよい。
【0048】
[第二実施形態]
続いて、図11及び図12を適宜参照しながら、本開示の第二実施形態に係るチャージポンプ回路210を説明する。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路210において、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同じ符号を用い、詳細な説明を省略する場合がある。
【0049】
図11に示されるように、本実施形態に係るチャージポンプ回路210は、昇圧回路220の昇圧セクション230のキャパシタの個数及び、平滑セクション240のキャパシタの個数が、第一実施形態に係るチャージポンプ回路10と異なる。より具体的には、本実施形態に係る昇圧回路220は、図11に示されるように、6個のキャパシタを有する昇圧セクション230と、5個のキャパシタを有する平滑セクション240と、を有する。言い換えれば、本実施形態においても平滑セクション240が有するキャパシタは、昇圧セクション230が有するキャパシタよりも1個少ない。
【0050】
なお、本実施形態では、表3に示されるように、昇圧セクション230のキャパシタについて、順に第1キャパシタCB、第2キャパシタCB、第3キャパシタCB、第4キャパシタCB、第5キャパシタCB、及び第6キャパシタCBと称する。また、平滑セクション240のキャパシタについて、順に第1キャパシタCS、第2キャパシタCS、第3キャパシタCS、第4キャパシタCS、及び第5キャパシタCSと称する。
【0051】
【表3】
【0052】
また、本実施形態に係るチャージポンプ回路210において、平滑セクション240は、出力端子OTを有している。この出力端子OTは、一方側がキャパシタ第5キャパシタCSの一方側と、他方側が基準電極と接続されている。言い換えれば、出力端子OTの一方側は、平滑セクション240の順の最後の(最も番号の大きい)キャパシタCSである第6キャパシタCSの一方側と接続されている。
【0053】
また、本開示に係る昇圧セクション230の各キャパシタCBは、一端側及び他端側にそれぞれセレクタSSを有している。本実施形態に係るセレクタSSでは、一例としてcom端子及びφ端子、φ端子、φ端子、φ端子、φ端子、並びにφ端子とされる7つの端子を有している。本開示におけるセレクタSSでは、前述のクロック供給回路CTから供給されたクロック信号により、接続先が変更され、com端子は、φ端子、φ端子、φ端子、φ端子、φ端子、及びφ端子のいずれかの端子と接続される。
【0054】
その他の構成は、第一実施形態に係るチャージポンプ回路210と同様である。
【0055】
本実施形態においても、昇圧セクション230の第1キャパシタCBから第6キャパシタCBのそれぞれの一方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻においてそれぞれ異なる配線と接続する。また、第1キャパシタCBから第6キャパシタCBのそれぞれの他方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻Tにおいてそれぞれ異なる配線と接続する。次に、本実施形態に係る昇圧セクション230の第1キャパシタCBから第6キャパシタCBによるチャージポンプ回路210の動作について説明する。
【0056】
(動作)
図12は、本実施形態に係るチャージポンプ回路210の時刻TにおけるセレクタSSの接続先を示すタイミングチャートである。なお、図12において、φ端子からφ端子のうちONである状態は、図11における各セレクタSSのcom端子と電気的に接続されている状態を表し、OFFである状態は、図11における各セレクタSSのcom端子と電気的に切断されている状態を表している。
【0057】
図12に示されるように、本実施形態では、セレクタSSは、クロック供給回路CTから時刻T、Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。言い換えれば本実施形態ではセレクタSSは、時刻Tが6進む度に同じ接続状態となる。
【0058】
ここで、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
【0059】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0060】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0061】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0062】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0063】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション230のキャパシタCBは、次の様に接続される。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第5キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第4キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
3.第3キャパシタCBは、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
4.第4キャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
5.第5キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
6.第6キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
【0064】
また、本実施形態においても、最初の1サイクルにおいては、クロック供給回路CTから示される時刻Tの「i」と、com端子と接続されるφ端子の「i」とは、同じ値となる。
【0065】
そして、上述のように、時刻Tが6進む度に同じ接続状態が繰り返される。ここで、昇圧セクション230のキャパシタCBが各時刻Tにおいて接続される対象を、表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
また、表4の太い線で囲われた箇所は、昇圧回路220が起動し、キャパシタCBの最初の1サイクルにおける接続先を示している。言い換えれば、表中の太い線で囲われた箇所は、キャパシタCBが最初に充電された最初の1サイクルを示している。
【0068】
(作用効果)
本実施形態に係るチャージポンプ回路210においても、第一実施形態と同様に、時刻Tが1進む度に第5キャパシタCSの電位が急上昇するリプル、すなわち出力端子OTの電圧のリプルは、比較例に係るチャージポンプ回路110よりも抑制される。また、本実施形態に係るチャージポンプ回路210では、昇圧セクション230のキャパシタCBが6個とされているため、昇圧セクション230のキャパシタCBが5個以下とされている場合と比べてさらに出力端子OTの電圧のリプルが抑制される。
【0069】
[第三実施形態]
続いて、図13及び図14を適宜参照しながら、本開示の第三実施形態に係るチャージポンプ回路310を説明する。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路310において、第一実施形態又は第二実施形態と同様の構成については、第一実施形態又は第二実施形態と同じ符号を用い、詳細な説明を省略する場合がある。
【0070】
本実施形態では、昇圧セクション330のキャパシタの個数及び、平滑セクション340のキャパシタの個数は、任意の自然数Nを用いて説明される。より具体的には、本実施形態に係る昇圧回路320は、図13に示されるように、任意の自然数N個のキャパシタを有する昇圧セクション330と、N-1個のキャパシタを有する平滑セクション340と、を有する。言い換えれば、本実施形態においても平滑セクション340が有するキャパシタは、昇圧セクション330が有するキャパシタよりも1個少ない。
【0071】
なお、本実施形態では、表5に示されるように、昇圧セクション330のキャパシタは、について、任意の自然数Nと、1以上N以下の自然数であるiとを用いて説明される。以後の説明において、昇圧セクション330のキャパシタは、順に第1キャパシタCB、第2キャパシタCB、…、第iキャパシタCB、…、第NキャパシタCB、と称する。また、平滑セクション340のキャパシタCSも同様に、順に第1キャパシタCS、第2キャパシタCS、…、第iキャパシタCS、…、第N-1キャパシタCSN-1、と称する。
【0072】
【表5】
【0073】
また、本実施形態に係るチャージポンプ回路310において、平滑セクション340は、出力端子OTを有している。この出力端子OTは、一方側が第N-1キャパシタCSN-1の一方側と、他方側が基準電極と接続されている。言い換えれば、出力端子OTの一方側は、平滑セクション340の順の最後の(最も番号の大きい)キャパシタCSである第N-1キャパシタCSN-1の一方側と接続されている。
【0074】
また、本開示に係る昇圧セクション330の各キャパシタCBは、一端側及び他端側にそれぞれセレクタSSを有している。本実施形態に係るセレクタSSでは、一例としてcom端子及びφ端子、φ端子、φ端子、…、φ端子、φi+1端子、…、φN-1端子、並びにφ端子、とされるN+1個の端子を有している。本開示におけるセレクタSSでは、前述のクロック供給回路CTから供給されたクロック信号により、接続先が変更され、com端子は、φ端子、φ端子、φ端子、…、φ端子、φi+1端子、…、φN-1端子、及びφ端子、のいずれかの端子と接続される。なお、図13においては、具体的な接続される時刻Tを図示できない位置の端子を、便宜上φ端子、φx+1端子として図示している。
【0075】
その他の構成は、第一実施形態又は第二実施形態に係るチャージポンプ回路310と同様である。
【0076】
本実施形態においても、昇圧セクション330の第1キャパシタCBから第NキャパシタCBのそれぞれの一方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻においてそれぞれ異なる配線と接続する。また、第1キャパシタCBから第NキャパシタCBのそれぞれの他方側に接続されたセレクタSSは、同じ時刻Tにおいてそれぞれ異なる配線と接続する。次に、本実施形態に係る昇圧セクション330の各セレクタSSにより、各時刻Tにおける第1キャパシタCBから第NキャパシタCBによるチャージポンプ回路310の動作について説明する。
【0077】
(動作)
図14は、本実施形態に係るチャージポンプ回路310の時刻TにおけるセレクタSSの接続先を示すタイミングチャートである。なお、図12において、φ端子からφ端子のうちONである状態は、図13における各セレクタSSのcom端子と電気的に接続されている状態を表し、OFFである状態は、図13における各セレクタSSのcom端子と電気的に切断されている状態を表している。
【0078】
図14に示されるように、本実施形態では、セレクタSSは、クロック供給回路CTから時刻T、TN+1が示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。また、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。その他も同様に、任意の自然数iを用いて説明すると、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。そして、任意の自然数Nを用いて説明すると、セレクタSSは、時刻Tが示される場合に、com端子とφ端子とが接続された状態となる。言い換えれば本実施形態ではセレクタSSは、時刻TがN進む度に同じ接続状態となる。
【0079】
ここで、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション330のキャパシタCBは、次の様に接続される。なお、2.からi.までの間、及びi+1.からN-1.までの間は、その前後の接続と同様であり、記載を省略する。
1.第1キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が第N-1キャパシタCSN-1の一方側の電極と、他方側が第N-2キャパシタCSN-2の一方側の電極と接続される。
i.第iキャパシタCBは、一方側が第N-(i-1)キャパシタCSN-(i-1)の一方側の電極と、他方側が第N-(i-2)キャパシタCSN-(i-2)の一方側の電極と接続される。
N-1.第N-1キャパシタCBN-1は、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
N.第NキャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
【0080】
続いて、com端子とφ端子とが接続された状態では、昇圧セクション330のキャパシタCBは、次の様に接続される。なお、2.からi.までの間、及びi+1.からN-1.までの間は、その前後の接続と同様であり、記載を省略する。
1.第1キャパシタCBは、一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
2.第2キャパシタCBは、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
i.第iキャパシタCBは、一方側が第N-iキャパシタCSN-iの一方側の電極と、他方側が第N-(i-1)キャパシタCSN-(i-1)の一方側の電極と接続される。
N-1.第N-1キャパシタCBN-1は、一方側が第3キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
N.第NキャパシタCBは、一方側が第2キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と接続される。
【0081】
上記の接続状態以後も、com端子とφ端子とが接続された状態まで同様に接続される。このため、本実施形態における昇圧セクション330のキャパシタCBは、iを1からNの自然数、jを2からN-1の自然数とすることで、それぞれ、次のうちAからCのうちのいずれかの接続状態となる。
A.一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
B.一方側が第1キャパシタCSの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
C.一方側が第i+jキャパシタCSi+j(第1キャパシタCS以外のキャパシタCS)の一方側の電極と、他方側が第i+j-1キャパシタCSi+j-1(第i+jキャパシタCSi+jよりも順が1つ前のキャパシタ)の一方側の電極と接続される。
【0082】
そして、本実施形態においても、最初の1サイクルにおいては、クロック供給回路CTから示される時刻Tの「i」と、com端子と接続されるφ端子の「i」とは、同じ値となる。
【0083】
言い換えれば、本実施形態における昇圧セクション330のi番目のキャパシタである第iキャパシタCBは、iを1からNの自然数、jを2からN-1の自然数とすることで、最初の1サイクルにおける接続状態が次の様に一般化される。
A.クロック信号により時刻Tが示されるときに、一方側が直流電源VDDの高電位側の電極と、他方側が基準電位GNDの電極と接続される。
B.クロック信号により時刻Ti+1が示されるときに、一方側が平滑セクション340の1番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が直流電源VDDの高電位側の電極と接続される。
C.クロック信号により時刻Ti+jが示されるときに、一方側が平滑セクション340のj番目のキャパシタの一方側の電極と、他方側が平滑セクション340のj-1番目のキャパシタの一方側の電極と接続される。
【0084】
そして、上述のように、時刻TがN進む度に同じ接続状態が繰り返される。ここで、昇圧セクション330のキャパシタCBのうち、第1キャパシタCB、第2キャパシタCB、第iキャパシタCB、第i+1キャパシタCBi+1、第N-1キャパシタCBN-1、第NキャパシタCB、が各時刻において接続される対象を、表6から表8に示す。また、表中における斜めの三転リーダは、その左上の升目と同様の接続関係となることを示している。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
また、表中の太い線で囲われた箇所は、昇圧回路320が起動し、キャパシタCBの最初の1サイクルにおける接続先を示している。言い換えれば、表中の太い線で囲われた箇所は、キャパシタCBが最初に充電された最初の1回を示している。
【0089】
また言い換えれば、本実施形態における昇圧セクション330のN個のキャパシタCBのそれぞれのうち、i番目のキャパシタについて、Mを2以上の自然数とした場合に、2サイクル目以降の接続状態も次の様に一般化される。
A.クロック信号により時刻TM×N+iが示されるときに、時刻Tと同じ接続状態とされる。
B.クロック信号により時刻TM×N+i+1が示されるときに、時刻Ti+1と同じ接続状態とされる。
C.クロック信号により時刻TM×N+i+jが示されるときに、時刻Ti+jと同じ接続状態とされる。
【0090】
(作用効果)
本実施形態に係るチャージポンプ回路310においても、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、時刻Tが1進む毎に出力端子OTと接続されたキャパシタである、第NキャパシタCSの電位が上昇するリプルは、比較例に係るチャージポンプ回路110よりも抑制される。また、本実施形態に係るチャージポンプ回路310では、昇圧セクション330のキャパシタCBがN個とされているため、昇圧セクション330のキャパシタCBがN-1個以下とされている場合と比べてさらに出力端子OTの電圧のリプルが抑制される。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0092】
10 チャージポンプ回路
20 昇圧回路
30 昇圧セクション
40 平滑セクション
110 チャージポンプ回路
130 昇圧セクション
140 平滑セクション
210 チャージポンプ回路
220 昇圧回路
230 昇圧セクション
240 平滑セクション
310 チャージポンプ回路
320 昇圧回路
330 昇圧セクション
340 平滑セクション
CB 各キャパシタ
CS キャパシタ
VDD 直流電源
N 自然数
i 1からNの自然数
j 2からN-1の自然数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14