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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134485
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】前房隅角の予測方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/117 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A61B3/117
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073815
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036118
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523160841
【氏名又は名称】ヴィジュワークス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VISUWORKS Inc.
【住所又は居所原語表記】4F, Daegak Building, 5 Seocho-daero 78-gil, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】リュ,イク ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン クック
(72)【発明者】
【氏名】ユ,テ クン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA05
4C316AA24
4C316AA25
4C316AA28
4C316AB16
4C316FB21
4C316FC12
(57)【要約】
【課題】成功的な手術結果を得るためには、レンズの決定に細心の注意を払う必要があることに鑑み、眼球の前房隅角を予測する装置およびその作動方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例によるレンズ挿入術の手術予定者の眼球の前房隅角を予測する方法は、レンズサイズを含む入力データを獲得する動作、前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得する動作を含むことができる。前記学習モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および、術後に測定された前房隅角に基づいて学習することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ挿入術の手術予定者の眼球の前房隅角を予測する方法であって、
レンズサイズを含む入力データを獲得する動作と、
前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得する動作とを含み、
前記学習モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および術後に測定された前房隅角に基づいて学習された、
前房隅角予測方法。
【請求項2】
前記獲得したレンズサイズを出力する動作をさらに含む、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項3】
前記獲得したレンズサイズは、Vaultingに基づいて決定される、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項4】
入力データは、前記手術予定者の検査データをさらに含む、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項5】
前記検査データは、瞳孔サイズ、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Aterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)または術前の前房隅角のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項6】
前記前房隅角は、TIA(Trabecular Iris Angle)またはSSA(Scleral Spur Angle)として定義される、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項7】
術後の前房隅角を予測する装置であって、
過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および、術後に測定された前房隅角に基づいて学習された学習モデルを保存するメモリと
前記メモリに電気的に接続された少なくとも一つのプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、実行時に、レンズサイズを含む入力データを獲得し、前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球の前房隅角を予測する方法およびその装置(A METHOD FOR PREDICTING THE ANTERIOR CHAMBER ANGLE AND AN APPARATUS THEREOF)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ挿入術は、虹彩と水晶体の間にレンズを挿入する手術であって、強度の近視や角膜が薄い場合に効果的である。レンズ挿入術において、適切なレンズを選択するのは非常に重要なことである。レンズが正しくセットされなかった場合、眼圧が上昇したり、白内障が発症したりするなどの問題が起こる可能性があるからである。一部の症状では、レンズを交換したり取り外したりするなどのさらなる処置が必要になりうる。したがって、成功的な手術結果を得るためには、レンズの決定に細心の注意を払う必要がある。
【0003】
近年、人工知能技術の領域が医療分野に取り入れられ、その活用度が拡大され、レンズ挿入術の領域でも人工知能に基づいてユーザの特性を反映し、手術結果を予測できる研究が進められている。このようにレンズ挿入術の成功率を高めるために多様な試みはあるが、前房隅角がレンズ挿入の結果に及ぼす影響とその要因に関する研究は、他の研究に比べるとわずかであるというのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-002549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、学習モデルに基づいて眼球の前房隅角を予測する装置およびその作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による、レンズ挿入術を受ける手術予定者についての眼球の前房隅角を予測する方法は、レンズサイズを含む入力データを獲得する動作、前記入力データを用いて学習モデルに基づき術後の予測前房隅角を獲得する動作を含むことができる。
【0007】
一実施例によれば、前記学習モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズおよび術後に測定した前房隅角に基づいて学習されたものであってよい。
【0008】
一実施例によるレンズ挿入のための眼球の前房隅角を予測する方法は、前記獲得したレンズサイズを出力する動作をさらに含むことができる。
【0009】
一実施例によれば、前記獲得したレンズサイズは、Vaultingに基づいて決定されうる。
【0010】
一実施例によれば、入力データは、前記手術予定者の検査データを、さらに含むことができる。
【0011】
一実施例によれば、前記検査データは、瞳孔サイズ、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Aterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)、または術前の前房隅角、のうちの少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0012】
一実施例によれば、前記前房隅角は、TIA(Trabecular Iris Angle)またはSSA(Scleral Spur Angle)と定義することができる。
【0013】
本発明の一実施例による、術後の眼球の前房隅角を予測する装置は、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および、術後に測定した前房隅角に基づいて学習された学習モデルを保存するメモリと、該メモリに電気的に接続された少なくとも一つのプロセッサとを含むことができる。
【0014】
一実施例によれば、前記プロセッサは、レンズサイズを含む入力データを獲得し、前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学習モデルを用いて効果的、且つ、正確にレンズ挿入術の結果を予測することができる。
【0016】
本発明によれば、学習モデルを用いて手術結果を予測することによって、レンズ挿入術による副作用の発生を減らすことができる。
【0017】
本発明の詳細な説明にて引用される図面をより深く理解できるように、各図面の簡単な説明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施例による学習モデルに基づく前房隅角を予測するための装置の動作環境を例示する。
図2】一実施例による装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施例による装置間の関係を例示する。
図4】本発明の一実施例による学習モデルを例示する。
図5】一実施例による前房隅角を説明するための図である。
図6】一実施例による前房隅角予測システムを例示する。
図7】一実施例による電子装置の学習動作フローチャートである。
図8a】一実施例による前房隅角を予測するためのアーキテクチャを示す図である。
図8b】一実施例による前房隅角予測方法を説明するための図である。
図8c】一実施例による前房隅角予測方法を説明するための図である。
図9】一実施例による前房隅角を予測する方法のフローチャートである。
図10】一実施例による前房隅角を予測する方法のフローチャートである。
図11】一実施例による前房隅角を予測するためのアーキテクチャを示す図である。
図12】一実施例による前房隅角を予測する方法のフローチャートである。
図13】術前の眼球測定データと術後の前房隅角の関係を示す。
図14】術後のTIAに対する多変量LR解析結果を示す。
図15】術後のSSAに対する多変量LR解析結果を示す。
図16】本発明の多様な実施例による前房隅角予測モデルに対する各予測変数のシャープレイ値を示す。
図17】本発明の多様な実施例による術後の予測前房隅角と実際の前房隅角を比較した結果を示す。
図18】本発明の多様な実施例による術後の予測前房隅角と実際の前房隅角を比較した結果を示す。
図19】本発明の多様な実施例による術後の実際の前房隅角と予測前房隅角を比較した結果を示す。
図20】本発明の多様な実施例による前房隅角予測モデルのROC AUCを示す。
図21】レンズサイズの変更による前房隅角の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の多様な実施例を添付された図面を参照して記載する。本発明は、特定の実施例に限定されず、本発明の実施例の多様な変更(modification)、均等物(equivalent)、および/または代替物(alternative)を含むものと理解されなければならない。図面の説明に関連して、同様の構成要素については、同様の参照符号を使用することができる。
【0020】
本稿において、「有する」、「有することができる」、「含む」、または「含むことができる」などの表現は、当該特徴(例:数値、機能、動作、または部品等の構成要素)の存在を指し、追加の特徴の存在を排除するものではない。
【0021】
本稿において、「AまたはB」、「Aまたは/およびBのうちの少なくとも1つ」、または「Aまたは/およびBのうちの1つまたはそれ以上」などの表現は、一緒に列挙された項目の全ての可能な組合せを含むことができる。例えば、「AまたはB」、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、または「AまたはBのうちの少なくとも1つ」は、(1)少なくとも1つのAを含む、(2)少なくとも1つのBを含む、または(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのBの全部を含む場合を、すべて指すことができる。
【0022】
本稿で使用される「第1」、「第2」、「一番目」、または「二番目」などの表現は、さまざまな構成要素を、順序および/または重要度に関係なく修飾することができ、ある構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるだけで、その構成要素を限定するものではない。例えば、本稿に記載された権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素を第2の構成要素と命名することができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と置き換えて命名することができる。
【0023】
本稿で使用される表現「~に構成された(または設定された)(configured to)」は、状況に応じて、例えば、「~に適した(suitable for)」、「~する能力を持つ(having the capacity to)」、「~するように設計された(designed to)」、「~するように変更された(adapted to)」、「~するように作られた(made to)」、または「~をすることができる(capable of)」と置き換えて使用することができる。用語「~するように構成(または設定)された」は、「特別に設計された(specifically designed to)」のみを必ずしも意味するものではない。
【0024】
本稿において、第1の電子装置(等)と第2の電子装置(等)との間で送受信される、例えば、「命令(command)」、「インストラクション(instruction)」、「制御情報」、「メッセージ」、「情報」、「データ」、「パケット」、「データパケット」、「インテント(intent)」および/または「信号」は、その表現に拘束されることなくヒトが認知できる思想や具体的な電気的表現(例えば、デジタル符号/アナログ物理量)を含むものであったり、それ自体を指すものであってもよい。上記に挙げられた例示的な表現が使用される文脈に応じて多様に解釈し得るのは、本明細書に開示された発明が属する技術分野の通常の技術者には自明なことである。本稿において、「~がBより大きい」とは、単純に「~がBよりも大きい」という意味を有するだけでなく、「~がBより大きいまたは同じ」という意味も含む。
【0025】
本稿で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、他の実施例の範囲を限定することを意図していない場合がある。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数の表現を含むことができる。技術的または科学的な用語を含み、ここで使用される用語は、本稿に記載された技術分野において、通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有することができる。本稿で使用された用語のうち、一般的な辞典に定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と同一または類似する意味に解釈され得るのであり、本稿にて明確に定義されていない限り、理想的、または過度に形式的な意味に解釈されない。場合によっては、本稿で定義された用語であっても、本稿の実施例を排除するものに解釈されてはならない。
【0026】
図1は、一実施例による学習モデルに基づく前房隅角予測のための装置の動作環境を例示する。
【0027】
一実施例によれば、前房隅角予測のための装置の動作環境100は、少なくとも一つの電子装置110、120、130およびサーバー140を含むことができる。また、それぞれの装置は、ネットワーク150を介して相互に通信することができる。
【0028】
一実施例によれば、第1の電子装置110は、本発明の多様な実施例による前房隅角予測を行う装置であってもよい。第1の電子装置110は、例えば、入力データを獲得し、学習モデルに基づく演算を処理する装置であって、以下にて説明する動作の全部または一部を実行することができる。
【0029】
第2の電子装置120は、被検査者の眼球の状態を測定するための装置であってもよい。第2の電子装置120は、例えば、被検査者の検査データを獲得したり、被検査者の検査データを獲得して演算を処理する装置であって、以下にて説明する動作の全部または一部を実行することができる。
【0030】
第3の電子装置130は、前房隅角予測モデルを学習させる学習装置であってもよい。第3の電子装置130は、具体的に、学習データセットに基づいて前房隅角予測モデルを学習させることができる。
【0031】
サーバー140は、前房隅角予測モデルを保存したり、本発明の多様な実施例による前房隅角予測を行う装置であってもよい。サーバー140は、例えば、前房隅角予測モデルをデータベースに保存しておき、電子装置の要請があった場合、前房隅角予測モデルを転送することができる。または、サーバー140は、前房隅角予測モデルを保存しておき、電子装置の要請があった場合、前房隅角予測を直接に行い、電子装置へと予測実行結果を転送することができる。
【0032】
一実施例によれば、第1の電子装置110は、前房隅角予測モデルを保存および/または駆動することができる。第1の電子装置110は、学習された前房隅角予測モデルに適用される重み値を保存することができる。第1の電子装置110は、前房隅角予測に用いられるデータを収集および/または保存することができる。例えば、第1の電子装置110は、第2の電子装置120から検査データを獲得することができる。また、第1の電子装置110は、サーバー140または第3の電子装置130から前房隅角予測モデルを獲得することができる。
【0033】
第1の電子装置110は、入力データを用いて前房隅角予測モデルに基づいて演算を実行することができる。第1の電子装置110は、前房隅角予測モデルに基づく演算を通じて出力データを獲得することができる。
【0034】
第1の電子装置110は、入力データまたは学習モデルなどのデータを受信または転送するため、第2の電子装置120、第3の電子装置130またはサーバー140と通信することができる。
【0035】
一実施例によれば、第2の電子装置120は、眼球を測定するための測定装置であって、レーザーおよび/または高周波数超音波を用いて、眼球の前眼部を測定する装置であってもよい。例えば、第2の電子装置120は、UBM(Ultrasound Biomicroscopy)またはOCT(Optical Coherence Tomography)などを含むことができる。第2の電子装置120は、獲得した検査データを、第1の電子装置110またはサーバー140へ転送することができる。
【0036】
第2の電子装置120は、第1の電子装置110、第3の電子装置130またはサーバー140の動作の全部または一部を実行することができる。例えば、第2の電子装置120は、第1の電子装置110またはサーバー140に検査データを提供しなくても、前房隅角予測モデルを駆動し、前房隅角予測結果を獲得することができる。
【0037】
第3の電子装置130は、学習データを第1の電子装置110、第2の電子装置120またはサーバー140から受信することができる。第3の電子装置130は、学習データに基づいて生成された前房隅角予測モデルを外部装置、例えば、第1の電子装置110またはサーバー140へ転送することができる。
【0038】
第3の電子装置130は、第1の電子装置110、第2の電子装置120またはサーバー140の動作の全部または一部を実行することができる。例えば、第3の電子装置130は、前房隅角予測モデルを学習させ、学習された前房隅角予測モデルを駆動することができる。例えば、第3の電子装置130は、第2の電子装置120から検査データを獲得し、前房隅角予測モデルを用いて出力データを生成することができる。
【0039】
第1の電子装置110の要請があった場合、サーバー140は、前房隅角予測モデルを第1の電子装置110へと転送することができる。サーバー140は、前房隅角予測モデルを保存および/または駆動することができる。サーバー140は、学習された前房隅角予測モデルに適用される重み値を保存することができる。サーバー140は、前房隅角予測に用いられるデータを収集および/または保存することができる。
【0040】
サーバー140は、第1の電子装置110、第2の電子装置120または第3の電子装置130の動作の全部または一部を実行することができる。例えば、サーバー140は、第1の電子装置110または第2の電子装置120から入力データを獲得し、前房隅角予測モデルに基づいて前房隅角予測を行い、導出された結果を第1の電子装置110または第2の電子装置120へと転送することができる。
【0041】
サーバー140は、一つ以上のサーバー、例えば、サーバーのクラウドを含むことができる。説明の便宜上、多様な動作と関連して、単一のサーバーを基準に説明したが、本発明の明細書にて提供される動作は、一つ以上のサーバーによって実行されてもよく、それぞれの相異なる動作は、同一または相異なるサーバーによって実行されてもよい。
【0042】
一実施例によれば、ネットワーク150は、第1の電子装置110、第2の電子装置120、第3の電子装置130および/またはサーバー140と、直接または間接的に通信可能に結合することができる。ネットワーク150は、有線または無線の通信ネットワークを含むことができる。また、ネットワーク150は、近距離または遠距離の通信ネットワークを含むことができる。例えば、ネットワーク150は、LTE、LTE-A、5G、6Gといったセルラーネットワークを含むことができる。
【0043】
図1の構成は、例示的なものであって、本発明の範囲を制限するためのものではない。本発明による装置が動作する環境は、図1の構成のうちの一部のみを含むか、図1に示す構成に比べて追加の構成を含むか、相異なる構成を含むことができる。
【0044】
次の実施例では、第1の電子装置110の動作を中心に説明したが、以下に説明する動作のうちの一部または全部は、第2の電子装置120またはサーバー140によって実行されてもよい。
【0045】
図2は、一実施例による装置の構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、電子装置200(例:図1における第1の電子装置110)は、バス210、ディスプレイ220、通信回路230、データベース240、メモリ250、入出力(I/O)インターフェース260、およびプロセッサ270を含むことができる。他の実施例では、装置200は、前記構成要素のうちの少なくとも一つを省略してもよく、他の構成要素をさらに備えてもよい。
【0047】
参考までに、図2に示す電子装置200の構成要素210、220、230、240、250、260、270は、本発明の一実施例による文書作成のサポート方法を説明するための例示的な構成要素に過ぎない。すなわち、本発明の一実施例による電子装置200が示す構成要素以外の他の構成要素をさらに含むことができることは明らかである。
【0048】
バス210は、構成要素220~270を互いに電気的に接続することができる。バス210は、構成要素220~270の間の通信(例えば、制御メッセージおよび/またはデータ)のための回路を含むことができる。
【0049】
ディスプレイ220は、様々なコンテンツを構成するテキスト、画像、ビデオ、アイコンまたはシンボルなどを表示することができる。ディスプレイ220は、タッチスクリーンを含むことができ、電子ペン、或いはユーザの身体の一部を利用した、タッチ、ジェスチャー、近接あるいはホバリング(hovering)入力を受信することができる。
【0050】
例えば、ディスプレイ220は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(organic LED)ディスプレイまたは微小電気機械システム(micro electro mechanical systems、MEMS)ディスプレイ、または電子ペーパー(electronic paper)ディスプレイを含むことができる。ディスプレイ220は、電子装置200に含まれて具現されるか、または、電子装置200とは別途に具現されて前記電子装置200に機能的(operatively)に接続されうる。
【0051】
通信回路230は、電子装置200と外部装置との通信チャネルを樹立することができる。通信回路230は、無線通信若しくは有線通信を介してネットワーク280にアクセスし、外部装置と通信することができる。一実施例において、通信回路230は、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)、および/またはセルラー通信回路などの広域ネットワーク接続またはピアツーピア接続を形成するための回路を含むことができる。
【0052】
データベース240は、メモリ250上に具現されてもよく、別途の保存媒体に具現されてもよい。データベース240は、外部装置と送受信したデータの内容、内訳などを全部保存することができる。データベース240に保存されたデータは、予め指定された周期にしたがって一定に更新(update)を行うことができる。
【0053】
本発明の実施例によれば、データベース240には、外部装置から入力された様々な情報を保存することができる。例えば、データベース240には、被検者の年齢、性別などの問診データ、または被検者の検査データなどを保存することができる。
【0054】
多様な実施例によれば、データベース240に保存されるデータは、被検者の機密情報であるため、前記情報の利用に関するセキュリティを向上させるためにブロックチェーンネットワークに分散して保存することもできる。データベース240がブロックチェーンネットワークに分散保存されると、データベース240に含まれた情報の転送、変更(modification)、削除、追加などの履歴は、当該ブロックチェーンネットワークでより安全に管理することができる。
【0055】
メモリ250は、揮発性および/または不揮発性メモリを含むことができる。メモリ250は、電子装置200に少なくとも1つの他の構成要素に関連した命令或いはデータを保存することができる。例えば、メモリ250は、実行時に、プロセッサ270が本明細書にて説明する、あらゆる動作を実行させるインストラクション(instructions)を保存することができる。一例として、前記インストラクションは、アプリケーションプログラムのパッケージファイルに含まれてもよい。
【0056】
I/Oインターフェース260は、ユーザまたは他の外部装置から入力された命令或いはデータを電子装置200の他の構成要素に伝達することができる役割を果たすことができる。I/Oインターフェース260は、ハードウェア若しくはソフトウェアで具現されうるのであり、ユーザインターフェース(UI)および外部の他の装置との通信のための端子を包括する概念として使用することができる。
【0057】
プロセッサ270は、中央処理装置(CPU)、アプリケーションプロセッサ(AP)、或いはコミュニケーションプロセッサ(CP)のうちの少なくとも1つ以上を含んでもよい。プロセッサ270は、バス210を介してメモリ250、ディスプレイ220、および通信回路230と電気的に接続され、動作中にメモリ250に保存されたインストラクション、プログラム若しくはソフトウェアによって異なる構成要素の制御および/または通信に関する演算やデータ処理を実行することができる。したがって、前記インストラクション、アプリケーションプログラム若しくはソフトウェアの実行は、プロセッサ270の動作として理解することができる。
【0058】
本発明の実施例によれば、プロセッサ270は、後述する前方角予測に関連するモデルの学習および判断段階を実行するためのデータ加工などを実行することができる。本発明の実施例によれば、プロセッサ270は、後述する前方角予測に関連するモデルの学習を実行することができ、前方角予測に関連するモデルを活用し、前方角予測結果を生成することができる。
【0059】
ネットワーク280は、通信ネットワーク(telecommunications network)、コンピューターネットワーク(computer network)、インターネット、若しくは電話網(telephone network)のうちの少なくとも一つを含むことができる。前記ネットワーク280にアクセスするための無線通信プロトコルは、例えば、LTE(Long-Term Evolution)、LTE-A(LTE Advanced)、CDMA(Code Division Multiple Access)、WCDMA(登録商標)(Wideband CDMA)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、WiBro(Wireless Broadband)、GSM(Global System for Mobile communications)、または5G標準通信プロトコルのうちの少なくとも一つを使用することができる。ただし、これは、例示的なものであって、本発明が適用される実施例により、当該技術分野で適用可能な多様な有無線通信技術が用いられうる。
【0060】
本発明の一実施例による電子装置200によれば、前房隅角予測のための検査を最小限に抑えながら、人的、社会的、経済的なコストと検査時間を節約し、レンズ挿入術による副作用を減らせるようにするレンズ挿入術の施行戦略を提供することができる。
【0061】
図2に示す構成は、電子装置(例:図1における電子装置110)に含まれるものを例示するものであるが、これらの構成のうちの一部または全部は、サーバー(例:図1におけるサーバー140)に含まれうる。
【0062】
図3は、一実施例による装置間の関係を例示する。
【0063】
図3を参照すると、電子装置300(例:図1における第1の電子装置110は、前房隅角を予測するために、外部装置310(例:図1における第2の電子装置120またはサーバー140)との相互作用を行うことができる。
【0064】
一実施例によれば、電子装置300は、プロセッサ302、メモリ304または通信回路306のうちの少なくとも一つを含むことができる。プロセッサ302は、外部装置310と通信するため、通信回路306を制御することができる。通信回路306は、有線または無線の通信を支援することができる。また、通信回路306は、双方向通信または単方向通信を支援することができる。
【0065】
一実施例によれば、プロセッサ300は、通信回路306を介して外部装置310から検査データを獲得することができる。電子装置300は、通信回路306を通じて外部装置310から学習モデルを獲得することができる。プロセッサ300は、通信回路306を介して出力データを外部装置310へと転送することができる。
【0066】
一実施例によれば、外部装置310は、プロセッサ312、メモリ314または通信回路316のうちの少なくとも一つを含むことができる。プロセッサ312は、電子装置310と通信するため、通信回路316を制御することができる。通信回路316は、有線または無線通信を支援することができる。また、通信回路316は、双方向通信または単方向の通信を支援することができる。
【0067】
一実施例によれば、プロセッサ310は、通信回路316を介して外部装置310へ検査データを転送することができる。外部装置310は、通信回路316を介して電子装置300へ学習モデルを転送することができる。プロセッサ310は、通信回路316を介して外部装置310から出力データを受信することができる。
【0068】
図4は、本発明の一実施例による学習モデルを例示する。
【0069】
本発明の一実施例による学習モデルは、手術予定者の、術後の前房隅角を予測するためのニューラルネットワークを含むことができる。本発明の実施例によれば、ニューラルネットワークは、相互に接続されたノード単位の集合として構成することができる。複数のノードは、複数のニューロン(neuron)を意味する。本発明の実施例によれば、ニューラルネットワークを構成するノードは、一つ以上のリンクで接続することができる。ニューラルネットワークにおいて、リンクを介して接続された一つ以上のノードは、入力ノードと出力ノードとの関係を形成することができる。
【0070】
一つのリンクを介して接続された入力ノードと出力ノードとの関係において、出力ノードのデータは、入力ノードに入力されたデータによってその値(value)が決定されうる。本発明の実施例によれば、入力ノードと出力ノードとを相互に接続するリンクは、重み値(weight)を有することができる。重み値は、可変的であってもよい。また、本発明の実施例によるニューラルネットワークは、術後の前房隅角を予測するため、ユーザまたは一定のアルゴリズムにより重み値を可変することもできる。例えば、一つの出力ノードに一つ以上の入力ノードがリンクに接続された場合、出力ノードは、該当する出力ノードと接続された入力ノードに入力された値、および、それぞれの入力ノードに対応するリンクに設定された重み値に基づいて、出力ノード値を決定することができる。
【0071】
本発明の実施例によれば、ニューラルネットワーク内でノードとリンクの個数およびノードとリンクとの間の連関関係、リンクそれぞれに付与された重み値の値によって、ニューラルネットワークの性能が決定されることができる。例えば、ノードの個数およびリンクの個数が同一であり、リンクの重み値が互いに異なる二つのニューラルネットワークが存在する場合には、二つのニューラルネットワークは、互いに異なるものとして認識されうる。
【0072】
ニューラルネットワークは、複数のノードの集合として構成することができ、ニューラルネットワークを構成するノードの部分集合をレイヤー(layer)と称することができる。ニューラルネットワークを構成するノードのうちの一部は、特定の入力ノードから形成する距離に基づいて、レイヤー(layer)を構成することができる。例えば、特定の入力ノードから距離が「n」の複数のノードの集合は、「n」-レイヤーを構成することができる。特定の入力ノードから距離は、特定の入力ノードから当該ノードまで到達するために経なければならないリンクの個数を意味する。ただし、このようなレイヤーの定義は、一実施例に過ぎず、これに制限されるものではない。
【0073】
本発明の一実施例によれば、ニューラルネットワークは、入力レイヤーに含まれたノードの個数が、出力レイヤーに含まれたノードの個数と同じであってもよい。本発明の他の一実施例によるニューラルネットワークは、入力レイヤーのノードの個数が、出力レイヤーのノードの個数と異なってもよい。
【0074】
ディープニューラルネットワーク(DNN:deep neural network、深層ニューラルネットワーク)は、入力レイヤー(入力層)と出力レイヤー(出力層)のみならず、少なくとも一つ以上隠れ層(hidden layer)を含むニューラルネットワークを意味する。ディープニューラルネットワークを利用すると、データの潜在的な構造(latent structures)を把握することができる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network)、リカレントニューラルネットワーク(recurrent neural network)、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)、オートエンコーダ(auto encoder)、深層信念ネットワーク(DBN:deep belief network)などを含むことができる。ただし、これは、例示に過ぎず、これらに制限されるものではない。
【0075】
ニューラルネットワークは、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi supervised learning)、または強化学習(reinforcement learning)、模倣学習(imitation learning)のうちの少なくとも一つの方式で学習されうる。ニューラルネットワークの学習は、ニューラルネットワークが術後の前房隅角を予測するための情報(データ)をニューラルネットワークに適用し、特定のモデルを構築する過程でありうる。
【0076】
ニューラルネットワークは、出力のエラーを最小化できるように学習データに基づいて学習することができる。ニューラルネットワークは、繰り返し学習データ(training data)の入力を受け、学習データに基づいてニューラルネットワークの出力とターゲットデータとの間のエラーを算出することができる。ニューラルネットワークは、算出されたエラーを減らすために、ニューラルネットワークのエラーをニューラルネットワークの出力レイヤー(或いは出力ノード)から入力レイヤー(或いは入力ノード)への方向に逆伝播(backpropagation)することで、ニューラルネットワークの各ノードの重み値を更新することができる。
【0077】
教師あり学習の場合、ニューラルネットワークは、それぞれの学習データに正解値がラベル付け(labeling)されている学習データ(ラベル付けデータ)を使用することができる。教師なし学習の場合、ニューラルネットワークは、それぞれの学習データに正解がラベル付けされていなくてもよい。例えば、データ分類に関する教師あり学習に活用された学習データは、学習データのそれぞれにカテゴリがラベル付けされたデータであってもよい。ニューラルネットワークは、ラベル付けデータの入力を受け、ニューラルネットワークの出力と学習データのラベルを比較し、エラーを計算することができる。また、他の例を挙げると、データ分類に関する教師なし学習に活用された、入力された学習データに対し、ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークの出力と比較しながらエラーを計算することができる。計算されたエラーは、ニューラルネットワークから逆方向に伝播され得る。ニューラルネットワークは、逆伝播によって、ニューラルネットワークの各レイヤーに含まれた各ノードのリンクに対応する重み値を更新することができる。更新される各ノードの結合重み値は、学習率(learning rate)によって変化量が決定されうる。入力データに対するニューラルネットワークの計算と、エラーの逆伝播は、学習サイクルを構成することができる。学習率は、ニューラルネットワークの学習サイクルの繰り返し回数にしたがって、相異なるように適用され得る。
【0078】
ニューラルネットワークの学習において、一般的に、学習データは、実際のデータ(すなわち、学習されたニューラルネットワークを活用して処理しようとする眼球の状態の情報など)の部分集合であってもよい。学習データに対するエラーが減少しても、実際のデータに対しては、エラーが増加する場合が存在し得る。過剰適合(overfitting)は、このように、学習データに過剰に学習がなされ、実際のデータに対しては、エラーが増加する現象である。過剰適合は、機械学習アルゴリズムのエラーを増加させる原因として作用することができる。
【0079】
過剰適合を防ぐために学習データを増加させるレギュラリゼーション(regularization)、学習の過程で、ネットワークのノードの一部を不活性化させるドロップアウト(dropout)、バッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)などの方法を活用することができる。
【0080】
図5は、本発明の多様な実施例による前房隅角を説明するための図である。
【0081】
前房隅角(Anterior Chamber Angle、ACA)を測定する指標としてTIA(Trabecular Iris Angle、TIA)またはSSA(Scleral Spur Angle)を活用することができる。
【0082】
TIAは、強膜岬(scleral spur)からシュワルベ線(Schwalbe line)に沿って所定の距離だけの地点まで結ぶ仮想線と、その線から垂直に虹彩に向かって引いた線が虹彩と交わる点を強膜岬と結んだ仮想線との間の角度であると定義することができる。500μmの距離を基準にした場合をTIA500とし、750μmの距離を基準にした場合をTIA750という。
【0083】
SSAは、強膜岬(scleral spur)突起からシュワルベ線(Schwalbe line)に沿って所定の距離だけの地点まで結ぶ仮想線と、その線から垂直に虹彩に向かって引いた線が虹彩と交わる点を強膜岬突起と結んだ仮想線との間の角度であると定義することができる。500μmの距離を基準にした場合をSSA500とし、750μmの距離を基準にした場合をTIA750という。
【0084】
このような前房隅角は、眼球の光断層撮影技術などを用いて測定することができる。例えば、測定装置(例:図1における第2の電子装置120)は、OCT(Optical Coherence Tomography)またはUBM(Ultrasound Biomicroscopy)などの装置を含むことができる。
【0085】
図5にて提示された前房隅角は、例示的なものであって、眼球の前房隅角を測定するための多様な指標が、本発明の多様な実施例に適用されうる。
【0086】
レンズ挿入術後、眼球の前房隅角は減少することがあるが、このような前房隅角が狭くなることは、房水の流れ(aqueous humor flows)に影響を及ぼすなどの深刻な副作用を引き起こすことがある。成功的なレンズ挿入術に関連し、Vaulting(の値)に対する研究は、活発に行われているが、Vaulting(の値)だけでは、成功的なレンズ挿入の結果を導き出すには不十分かも知れない。より安定的で、且つ、正確にレンズを挿入するためには、術後の前房隅角を予測するための追加のモデルが必要である。
【0087】
図6は、一実施例による前房隅角予測システムを概念的に示す。
【0088】
一実施例によれば、前房隅角予測システム600は、学習装置610(例:図1における第3の電子装置130)および電子装置620(例:図1における第1の電子装置110またはサーバー140)を含むことができる。
【0089】
一実施例によれば、学習装置610は、前房隅角予測モデルを学習させることができる。具体的に、学習装置610は、学習データに基づいて前房隅角予測モデルを学習させることができる。学習装置610は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習または模倣学習など、多様な方法により前房隅角予測モデルを学習させることができる。学習装置610は、ラベル付けされたデータを用いて前房隅角予測モデルを学習させることができる。ただし、必ずしも、ラベル付けされたデータを用いるわけではなく、ラベル付けされていないデータを利用することもできる。
【0090】
一実施例によれば、学習された前房隅角予測モデルは、電子装置620へと伝達されうる。電子装置620は、学習装置610から学習された前房隅角予測モデルを獲得し、駆動させることができる。電子装置620は、前房隅角予測モデルに基づいてユーザが、手術に使われるレンズを決定することもできるように、情報を提供することができる。また、前房隅角予測モデルが電子装置620へ転送される場合を例示として挙げたが、前房隅角予測モデルは、サーバー(例:図1におけるサーバー140)へと転送されて、サーバーに保存されることもありうる。
【0091】
図6では、前房隅角予測モデルの学習と、学習された前房隅角予測モデルの活用とが互いに分離された装置、すなわち、学習装置610と電子装置620とにおいてなされることを例示として挙げたが、前房隅角予測モデルの学習と活用は、一つの装置において実行されることもありうる。
【0092】
図7は、本発明の一実施例による学習装置の動作を示すフローチャートである。特に、図7では、本発明の実施例によって、前房隅角予測モデルを構築する学習装置の動作を図示する。
【0093】
動作S710において、学習装置(例:図1における電子装置110、図2の電子装置200または図6における学習装置610)は、学習データを収集することができる。本発明の一実施例によれば、電子装置は、学習データを、外部装置から提供を受けることができる。または電子装置は、それ自体で学習データを収集することができる。本発明の多様な実施例によれば、電子装置は、データベース(例:図2におけるデータベース240)に保存された前房隅角に基づいて、データの増強、GANなどを活用し、学習データを収集することができる。
【0094】
一実施例によれば、学習データは、過去にレンズ挿入術を受けた患者の検査データ、レンズに関連した情報(例:レンズサイズ)、または術後の前房隅角データのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0095】
一実施例によれば、検査データは、過去にレンズ挿入術を受けた患者に対し、眼球の測定装置から獲得した検査データを含むことができる。また、検査データは、複数の検査データとして、多様な類型のパラメータを含むことができる。例えば、前記検査データは、術前の患者のSE(Spherical Equivalent)、Km(mean Keratometry)、瞳孔サイズ、IOP(intraocular pressure)、WHW(White-to-white)、CCT(Central Corneal Thickness)、ATA(angle to angle distance)、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Anterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)、レンズVaulting(Lens Vault)、AOD(Angle Opening Distance)、TISA(Trabecular Iris Surface Area)、前房隅角などのデータのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0096】
検査データは、問診データを含むことができる。具体的に、患者の年齢、性別などのデータを含むことができる。
【0097】
検査データは、患者の医療記録を含むことができる。検査データは、例えば、過去に着用したメガネ度数のデータ、視力検査の結果、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)などを含むことができる。
【0098】
学習データのうち、レンズに関連した情報は、過去にレンズ挿入術を受けた患者の眼球に挿入されたレンズサイズを含むことができる。この場合、レンズに関連した情報は、レンズ挿入術後、副作用が起こらない場合、または、レンズ挿入術後に所定期間が経過した後、前房隅角が一定基準を満たす場合(例:前房隅角が20度以上)における、患者の眼球に挿入されたレンズのサイズを含むことができる。または、レンズに関連した情報は、レンズ挿入術後に副作用が起きた場合、または、レンズ挿入術後に所定期間が経過した後、前房隅角が一定基準を満たさない場合(例:前房隅角が20度未満)における、患者の眼球に挿入されたレンズのサイズを含むことができる。
【0099】
術後の前房隅角データは、患者の術後に測定した前房隅角データであってもよい。術後の前房隅角データは、手術時点から一定期間(例:6か月)経過後に測定された前房隅角データを含むことができる。
【0100】
動作S730において、学習装置は、学習データに基づいて学習データセットを加工することができる。一実施例によれば、学習装置は、学習データのそれぞれについて、ドメイン、種類、クラスターに区分することができる。学習装置は、サンプルデータを、一定基準で、上記のようにドメイン、種類、クラスターに分類し、学習データセットを生成することができる。
【0101】
動作S740において、学習装置は、学習データセットを土台に、患者の前房隅角を予測するための学習モデルを構築することができる。学習モデルは、学習データに基づいて前房隅角を予測するモデルを含むことができる。または、前記学習モデルは、学習データに基づいて、前房隅角およびレンズサイズを予測するモデルを含むことができる。このような学習モデルは、以下において、前房隅角予測モデルと称する。
【0102】
学習モデルは、術後の前房隅角を予測する複数の学習アルゴリズム(learning algorithm)のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。例えば、前記アルゴリズムは、線形回帰(linear regression)、ロジスティック回帰(logistic regression)、K-近傍法アルゴリズム(K-Nearest Neighbors)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、決定木(Decision Tree)、ランダムフォレスト(random forest)、ニューラルネットワークのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0103】
学習モデルは、予測される値を計算する複数の学習アルゴリズムのうちの多数の学習アルゴリズムを使用することができる。例えば、学習モデルにアンサンブル手法(ensemble method)を用いることができ、この場合、学習アルゴリズムを別々に使う場合に比べて、より良好な予測性能が得られる。
【0104】
動作S750において、学習装置は、学習モデルに対する性能を評価することができる。本発明の実施例によれば、学習装置は、学習モデルに基づいて出力されたデータと、学習データとを比較し、エラーを計算することができる。電子装置は、周期的にエラーを計算し、機械学習モデルについての性能を評価することができる。
【0105】
図示していないが、学習装置は、計算されたエラーを減少させる方向に学習モデルを更新することができる。例えば、学習装置は、任意の重み値が付与されたモデルを利用し、結果値(出力データ)を獲得し、獲得された結果値(出力データ)を訓練データのラベル付けデータと比較し、その誤差によって逆伝播を行い、重み値を最適化することができる。
【0106】
動作S710~動作S750の実行結果であって、学習装置は、前房隅角予測モデルを構成するパラメータを獲得することができる。前記パラメータは、前房隅角予測モデルを学習させることで調整された重み値などを含むことができる。
【0107】
図8aは、一実施例による前房隅角を予測するためのアーキテクチャを示す。
【0108】
一実施例によれば、アーキテクチャ800は、前房隅角予測モジュール810に供給される入力データに基づいて、術後の前房隅角を予測するために提供されることができる。アーキテクチャ800は、電子装置(例:図1における第1の電子装置110)またはサーバー(例:図1におけるサーバー140)のプロセッサ(例:図2におけるプロセッサ270)によって具現されることができる。
【0109】
一実施例によれば、前房隅角予測モジュール810は、前房隅角予測モデル820を含むことができる。前房隅角予測モデル820は、入力データに基づいて、術後の眼球の予測前房隅角が検出されるように構成された学習モデルであってもよい。前房隅角予測モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者の、レンズサイズ、および術後に測定された前房隅角に基づいて学習されたものであってもよい。
【0110】
一実施例によれば、前房隅角予測モデル820は、電子装置またはサーバーに配置される前に入力データに基づいて、相異する電子装置またはサーバー上で予め訓練されたり、同一の電子装置またはサーバー上で予め訓練されたりすることができる。
【0111】
一実施例によれば、入力データは、パラメータを含むことができる。入力データに含まれたパラメータの種類によって、入力データが結果値に影響を及ぼす程度が異なり得る。
【0112】
入力データは、レンズ挿入術を受けようとする手術予定者の検査データ、レンズに関連した情報(例:レンズサイズ)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0113】
検査データは、手術予定者に対して、眼球の測定装置から獲得した検査データを含むことができる。また、検査データは、複数の検査データとして、多様な類型のパラメータを含むことができる。例えば、前記検査データは、術前の手術予定者のSE、Km、瞳孔サイズ、IOP、WHW、CCT、ATA、ACD、ACW、CLR、レンズVaulting、AOD、TISA、前房隅角などデータのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0114】
検査データは、問診データを含むことができる。具体的に、手術予定者の年齢、性別などのデータを含むことができる。
【0115】
検査データは、手術予定者の医療記録を含むことができる。例えば、検査データは、例えば、過去に着用したメガネ度数のデータ、視力検査結果、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)などを含むことができる。
【0116】
検査データは、角膜に対する測定データを含むことができる。例えば、角膜の形状、角膜の対称性、角膜厚の測定データ、角膜構造の断層撮影データ、角膜の形態解析データ、角膜の曲率、角膜内皮細胞の検査データなどを含むことができる。
【0117】
検査データは、視力および/または屈折に対する測定データを含むことができる。例えば、過去に着用したメガネ度数のデータ、視力検査結果、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)などを含むことができる。
【0118】
検査データは、眼内の距離などに対する測定データを含むことができる。具体的に、瞳孔サイズ、眼球の長さ、レンズが挿入される空間の距離などを含むことができる。
【0119】
検査データは、眼球の疾患および/または保有疾患に対するデータを含むことができる。例えば、網膜疾患、緑内障、網膜変性などの有無に対するデータ、白内障、虹彩後面の疾患などを含むことができる。
【0120】
検査データは、網膜に対する測定データを含むことができる。例えば、眼底網膜写真撮影などを含むことができる。それ以外にも入力データは、多様なデータを含むことができる。例えば、眼球関連遺伝子、血液などの検査データを含むことができる。
【0121】
好ましくは、検査データは、瞳孔サイズ、ATA、ACD、ACW、CLR、前房隅角のうちの少なくとも一つを含むことができる。ここで、前房隅角は、術前の前房隅角であって、TIAまたはSSAと定義される前房隅角であってもよい。例えば、入力データに含まれる術前の前房隅角は、TIA750であってもよい。
【0122】
レンズに関連した情報は、レンズ挿入に適用するレンズサイズを含むことができる。この場合、レンズサイズは、ユーザが任意に選択したレンズサイズであってもよい。またはレンズサイズは、同一または別途の電子装置の演算を通じて決定されたレンズサイズであってもよい。
【0123】
図8aの構成は、例示的なものであって、本発明の範囲を制限するものではない。本発明による装置は、図8aの構成のうちの一部のみを含んだり、図8aに示す構成に比べてさらなる構成を含んだり、相異なる構成を含んだりすることができる。
【0124】
図8bは、前房隅角予測の一実施例を示す図である。図8bを参照すると、前房隅角予測モジュール810は、手術予定者のレンズサイズを入力データとし、術後の前房隅角を予測することができる。
【0125】
前房隅角予測モジュール810は、入力データに対する応答であって、前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。入力データの値が異なると、予測前房隅角の値が異なり得る。例えば、予測前房隅角は、眼球に挿入されるレンズサイズによって異なるように出力されうる。
【0126】
一実施例によれば、前房隅角予測モジュール810は、レンズサイズを用いて前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。前房隅角予測モジュール810は、獲得した予測前房隅角を出力することができる。前房隅角予測モジュール810から出力された予測前房隅角は、電子装置のディスプレイを通じて出力されるか、または外部装置へと転送されうる。
【0127】
一実施例によれば、入力データは、検査データをさらに含むことができる。検査データに関する説明は、図8aを参照することができる。例えば、検査データは、瞳孔サイズ、ACD、ACW、CLR、術前の前房隅角のうちのいずれか一つをさらに含むことができる。この場合、前房隅角予測モジュール810は、レンズサイズおよび検査データを利用し、前房隅角予測モデルに基づいて、予測前房隅角を獲得することができる。
【0128】
ユーザは、予測前房隅角を確認し、ユーザ眼球に適合するレンズサイズを確認することができる。例えば、ユーザは、予測前房隅角が一定基準を満たすと(例:前房隅角が20度以上である場合)、入力データに提供されたレンズサイズがレンズ挿入術に適すると判断することができる。
【0129】
前房隅角予測モジュール810は、予測された前房隅角によって、入力されたレンズサイズが手術予定者に適するか否かの情報を提供することができる。例えば、予測された前房隅角が20度よりも小さい場合、レンズサイズが手術予定者に適していないという判断を提供することができる。
【0130】
一実施例によれば、予測前房隅角は、一定基準を満たす前房隅角であってもよい。例えば、前房隅角予測モジュール810は、特定の閾値以上である前房隅角を出力することができる。特定の閾値が20度であり、予測前房隅角が35度である場合、前房隅角予測モジュール810は、予測前房隅角を出力し、ユーザは、入力されたレンズサイズが手術予定者の眼球の特性に合うレンズサイズであることを判断することができる。
【0131】
一実施例によれば、前房隅角予測モジュール810は、レンズサイズを出力することもできる。例えば、12.6mmのレンズサイズおよび30度が、ディスプレイ(例:図2におけるディスプレイ220を通じて出力された場合、予測前房隅角が特定の閾値以上であるため、ユーザは、出力されたレンズサイズが、手術予定者の眼球の特性に合うレンズサイズであることを判断することができる。この場合、出力されるレンズサイズは、入力データとして提供されたレンズサイズに対応するのでありうる。または、前房隅角予測モジュール810は、予測前房隅角が一定基準を満たす場合に、レンズサイズを共に出力するということもできる。
【0132】
図8cは、前房隅角予測の他の実施例を示す図である。
【0133】
前房隅角予測モジュール810は、手術予定者の検査データに基づいて、レンズサイズおよび術後の前房隅角を予測することができる。前房隅角予測モジュール810は、検査データを利用し、前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角およびレンズサイズを生成することができる。この場合、レンズサイズは、予測前房隅角に対応するレンズサイズであってもよい。検査データに関する説明は、図8aの説明を参照することができる。
【0134】
一実施例によれば、予測前房隅角は、一定基準を満たす前房隅角であってもよい。前房隅角予測モジュール810は、一定基準を満たす予測前房隅角を出力し、これに対応するレンズサイズを出力することができる。例えば、予測前房隅角が20度以上である場合、前房隅角予測モジュール810は、予測前房隅角およびそれに対応するレンズサイズを出力することができる。
【0135】
図9は、一実施例による前房隅角予測方法のフローチャートである。
【0136】
図9を参照すると、電子装置(例:図1における電子装置110)は、レンズサイズを獲得し、前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角を導き出すことができる。以下において、電子装置の動作として説明するが、電子装置の動作は、前房隅角予測モジュール(例:図8aにおける前房隅角予測モジュール810またはプロセス(例:図2におけるプロセス270)の動作として説明されうる。
【0137】
動作S910において、電子装置は、少なくともレンズサイズを含む入力データを獲得することができる。レンズサイズは、ユーザが選択した任意のレンズサイズであってもよく、前記電子装置または外部装置の演算に基づいて決定されたレンズサイズであってもよい。
【0138】
動作S920において、電子装置は、学習モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。電子装置は、入力データを利用し、学習モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。電子装置は、少なくともレンズサイズを用いて学習モデルに基づいて、予測前房隅角を獲得することができる。学習モデルは、前房隅角予測モデル(例:図8aにおける前房隅角予測モデル820)を含むことができる。前房隅角予測モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および術後に測定された前房隅角に基づいて学習されたものであってもよい。
【0139】
動作S910およびS920において入力されたデータは、検査データをさらに含むことができる。この場合、検査データは、複数の検査装備から獲得されたデータであって、複数の検査データであってもよい。検査データは、外部装置(例:図1における第2の電子装置120)から受信したり、ユーザの入力を通じて獲得したり、電子装置の演算を通じて獲得したりすることができる。電子装置は、手術予定者の検査データおよびレンズサイズを用いて前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。
【0140】
動作S930において、電子装置は、獲得した予測前房隅角を出力することができる。電子装置は、ディスプレイ(例:図2におけるディスプレイ220)を通じて予測前房隅角を出力することができる。電子装置は、獲得した予測前房隅角を外部装置へ転送することもできる。この場合、電子装置は、予測前房隅角を直接に出力しないことも可能である。
【0141】
図10は、一実施例による前房隅角予測方法のフローチャートである。
【0142】
図10を参照すると、電子装置(例:図1における電子装置110)は、検査データに基づいて予測前房隅角およびレンズサイズを導き出すことができる。以下において、電子装置の動作として説明するが、電子装置の動作は、前房隅角予測モジュール(例:図8aにおける前房隅角予測モジュール810またはプロセス(例:図2におけるプロセス270))の動作として説明し得る。
【0143】
動作S1010において、電子装置は、検査データを獲得することができる。検査データに関する説明は、図8aを参照することができる。
【0144】
動作S1020において、電子装置は、学習モデルに基づいて予測前房隅角およびレンズサイズを獲得することができる。学習モデルは、前房隅角予測モデル(例:図8aにおける前房隅角予測モデル820)を含むことができる。電子装置は、学習モデルに検査データを入力し、前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角およびレンズサイズを出力することができる。
【0145】
一実施例によれば、予測前房隅角は、一定基準を満たす値であってもよい。例えば、予測前房隅角が20度以上である場合に、電子装置は、予測前房隅角およびレンズサイズを出力することができる。
【0146】
動作S1030において、電子装置は、獲得した予測前房隅角およびレンズサイズを出力することができる。この場合、出力されたレンズサイズは、出力された予測前房隅角に対応するレンズサイズであってもよい。
【0147】
電子装置によって前房隅角予測方法は、図10に示す動作の全部を実行しなくてもよい。前房隅角予測方法は、図示したものに比べて、追加の動作、相異する動作または、それより少ない動作を含むことができる。
【0148】
図9図10に示す前房隅角予測方法は、例示的なものであって、前房隅角予測方法は、図示したものに比べて、追加の動作、相異する動作、または、それより少ない動作を含むことができる。
【0149】
図9図10の動作の一つの電子装置の動作として説明したが、前房隅角を予測する動作は、複数の装置で実行されうる。例えば、電子装置の要請により動作S910~S920または動作S1010~S1020は、サーバーにより実行されることができる。サーバーは、動作S920または動作S1020の実行結果を電子装置へ転送することもできる。この場合、電子装置は、サーバーから獲得した予測前房隅角および/またはレンズサイズを出力することができる。
【0150】
このようにレンズ挿入術時、前房隅角予測を通じてレンズサイズを決定することが効果的であり得る。それにも拘わらず、依然としてVaultingは、レンズサイズを決定するにあたって、重要な要因であってもよい。Vaultingと前房隅角予測を全部活用し、レンズ挿入術の成功率を高めることができるはずである。
【0151】
一実施例によれば、前房隅角を予測するため、入力されるレンズサイズは、Vaultingに基づいて定められたレンズサイズ値であってもよい。ここで、Vaultingは、学習モデルに基づいて決定される予測Vaultingを含むことができる。例えば、ユーザが予測Vaultingを確認し、決定したレンズサイズ、または予測Vaultingに基づいて電子装置により決定されたレンズサイズが、前房隅角予測の入力データに含まれうる。以下、図11および図12において、詳しく説明する。
【0152】
図11は、一実施例による前房隅角予測のためのアーキテクチャを示す。
【0153】
一実施例によれば、アーキテクチャ1100は、Vaulting予測モジュール1110および前房隅角予測モジュール1130を含むことができる。アーキテクチャ1110は、第1入力データに基づいてVaultingを予測し、第2入力データに基づいて前房隅角を予測するために提供されうる。一実施例によれば、アーキテクチャ800は、プロセッサ(例:図2におけるプロセッサ270)により、実行されうる。
【0154】
一実施例によれば、Vaulting予測モジュール1110は、Vaulting予測モデル1120を含むことができる。Vaulting予測モデル1120は、第1入力データに基づいて眼球の予測Vaultingが検出されるように構成された学習モデルであってもよい。Vaulting予測モデル1120は、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者の検査データ、複数の患者の眼球に挿入されたレンズサイズ、および前記複数の手術者の術後に測定されたVaultingに基づいて学習された学習モデルであってもよい。
【0155】
第1入力データは、測定装置にて測定した検査データまたはレンズサイズのうちの少なくとも一つを含むことができる。第1入力データに関する説明は、図8a~8cの前房隅角予測モジュール820の入力データに関する説明を参照することができる。
【0156】
一実施例によれば、Vaulting予測モデル1120は、電子装置またはサーバーに配置される前に学習データに基づいて、相異する電子装置またはサーバー上で予め訓練されたり、同一の電子装置またはサーバー上で予め訓練されたりすることができる。
【0157】
Vaultingは、眼球に挿入されるレンズサイズによって異なるように導き出されうる。一実施例によれば、Vaulting予測モジュール1110は、第1入力データを用い、Vaulting予測モデル1120に基づいて予測Vaultingを出力することができる。
【0158】
一実施例によれば、予測Vaultingは、一定基準を満たすVaultingであってもよい。Vaulting予測モジュール1110は、予測Vaultingが一定範囲内に含まれると、前記予測Vaultingを出力することができる。
【0159】
例えば、第1入力データとして検査データおよびレンズサイズが入力され、予測Vaultingが一定範囲内に含まれると、第1入力データに含まれたレンズサイズは、手術するのに適合するレンズでありうる。または第1入力データが検査データを含み、予測Vaultingおよびレンズサイズが出力された場合、予測Vaultingが一定範囲内に含まれると、出力されたレンズサイズは、手術するのに適合するレンズでありうる。
【0160】
ユーザは、予測Vaultingを確認し、前記予測Vaultingに対応するレンズサイズが手術するのに適合するレンズであるか、1次的に判断することができる。
【0161】
一実施例によれば、第1入力データは、手術予定者の眼内に挿入される任意の予想レンズサイズを含むことができる。任意の予想レンズサイズは、規格化または非規格化されたレンズサイズであってもよい。
【0162】
一実施例によれば、第1入力データは、手術予定者の検査データを含むことができる。入力データは、複数のパラメータを含むことができる。ここで、パラメータは、手術予定者の眼球の特性を示すため、定義されたものであって、数値的に表現されうる。例えば、前記パラメータは、ATA、ACD-epi、ACD-endo、CCT、CLR、WTW、AL(Axial Length)、角膜曲率、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)、瞳孔サイズ、IOP、視力、角膜の形状、角膜の厚さ、眼球の長さ、レンズ挿入空間などのパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことができる。これ以外にも第1入力データは、さらなるデータを含むことができ、第1入力データに関する説明は、図8aの説明を参照することができる。
【0163】
これ以外にも、Vaulting予測モジュール1110およびVaulting予測モデル1120に関する説明、または、先行文献KR10-2021-002549Aを参照することができる。
【0164】
前房隅角予測モジュール1130は、図8a~8cにて説明したことと同一でありうる。以下では、これと他の内容を中心に説明する。
【0165】
一実施例によれば、前房隅角予測モジュール1130に入力される第2入力データは、Vaulting予測モジュール1110の出力データと関係がありうる。第2入力データは、Vaulting予測モジュール1110の出力データのうちの少なくとも一つを含むことができる。例えば、前房隅角予測モジュール1130に入力される第2入力データは、Vaulting予測モジュール1110から出力されたレンズサイズを含むことができる。
【0166】
前記レンズサイズは、ユーザの選択または入力によって、前房隅角予測モジュール1110に提供されたり、Vaulting予測モジュール1110から出力されて、直ちに前房隅角予測モジュール1130に提供されたりすることができる。
【0167】
一実施例によれば、Vaulting予測モジュール1110と、前房隅角予測モジュール1130とは、互いに直列に連結されることができる。例えば、Vaulting予測モジュール1110から出力された予測Vaultingまたはレンズサイズは、前房隅角予測モジュール1130に入力されることができる。
【0168】
Vaulting予測モジュール1110および前房隅角予測モジュール1130は、一つの装置により具現されうるのでありき、それぞれ異なる装置にて具現されてもよい。またはVaulting予測モジュール1110および前房隅角予測モジュール1130は、互いに連動して具現されうる。例えば、手術予定者の眼球に挿入されるレンズサイズを獲得するために、Vaulting予測モジュール1110と、前房隅角予測モジュール1130とは、挿入されるレンズサイズと共に、予測Vaultingおよび予測前房隅角を導き出すように、連動して具現されうる。
【0169】
このように、予測Vaultingと予測前房隅角とに基づいてレンズサイズを導き出し、より安定的な手術結果を得ることができる。例えば、ユーザは、Vaulting予測モジュール1110を通じて導出された結果値についての、正確度を検証することができる。例えば、Vaulting予測モジュール1110を通じて導出されたレンズサイズである13.2mmが、前房隅角予測モジュール1130に入力され、導出された予測前房隅角が30度であれば、13.2mmのレンズサイズが手術予定者の眼球に適合する結果値であり、結果値に対する正確度もまた高いことを検証することができる。
【0170】
図11の構成は、例示的なものであって、本発明の範囲を制限するものではない。本発明による装置は、図11の構成のうちの一部のみを含んだり、図11に示す構成に比べてさらなる構成を含んだり、相異する構成を含んだりすることができる。
【0171】
図12は、一実施例による前房隅角予測方法のフローチャートである。
【0172】
図12を参照すると、電子装置(例:図1における電子装置110)は、入力データを獲得し、Vaultingを予測するモデル、および前房隅角を予測するモデルを用いて、予測前房隅角を導き出すことができる。以下において、電子装置の動作として説明するが、電子装置の動作は、Vaulting予測モジュール(例:図11におけるVaulting予測モジュール1110)、前房隅角予測モジュール(例:図8aにおける前房隅角予測モジュール810)またはプロセス(例:図2におけるプロセス270)の動作として説明し得る。
【0173】
動作S1210において、電子装置は、第1入力データを獲得することができる。第1入力データは、レンズサイズまたは検査データのうちの少なくとも一つを含むことができる。この場合、検査データは、複数の検査装備から獲得されたデータであって、複数の検査データであってもよい。前記レンズサイズは、ユーザが選択した任意のレンズサイズまたはさらなる学習モデルに基づいて決定されたレンズサイズであってもよい。
【0174】
動作S1220において、電子装置は、第1入力データを用いてVaulting予測モデルに基づいて予測Vaultingを獲得することができる。電子装置は、第1入力データを用いてVaulting予測モデルに基づいて予測Vaultingを獲得することができる。
【0175】
一実施例によれば、電子装置は、一定範囲内のVaultingを予測Vaultingとして提供することができる。例えば、前記一定範囲は、250μmから700μmの間でありうる。
【0176】
一実施例によれば、電子装置は、レンズサイズを提供することもできる。電子装置は、予測Vaultingと共にレンズサイズを提供することができる。または予測Vaultingが一定範囲を満たす場合に電子装置は、予測Vaultingおよびレンズサイズを出力することができる。例えば、予測Vaultingが500μmであると、電子装置は、予測Vaultingおよびレンズサイズを出力することができる。
【0177】
これ以外にも、Vaulting予測モジュール1110およびVaulting予測モデル1120に関する説明、または、先行文献KR10-2021-002549Aを参照することができる。
【0178】
動作S1230において、電子装置は、第2入力データを獲得することができる。前記第2入力データは、検査データまたはレンズサイズのうちの少なくとも一つを含むことができる。この場合、動作S1230の検査データは、第1入力データに含まれた検査データと互いに同一の類型のパラメータを含むこともできるが、互いに異なる類型のパラメータを含むこともできる。
【0179】
一実施例によれば、第2入力データは、動作S1220の実行結果と関係があり得る。例えば、動作S1220において、レンズサイズが共に出力される場合、第2入力データは、前記レンズサイズを含むことができる。
【0180】
一実施例によれば、第2入力データに含まれるレンズサイズは、予測Vaultingが一定範囲を満たす場合のレンズサイズであってもよい。予測Vaultingが一定範囲を満たすと、Vaulting予測モデルから出力されたレンズサイズが、前房隅角予測モデルとして入力されうる。
【0181】
または、予測Vaultingに基づいて、ユーザは、当該レンズサイズが適切であるか否かを判断することができる。この場合、ユーザの入力に対する応答により、電子装置は、レンズサイズを獲得することができる。第2入力データは、ユーザ入力に対する応答により獲得したレンズサイズを含むことができる。
【0182】
動作S1240において、電子装置は、第2入力データを用いて前房隅角予測モデルに基づいて予測前房隅角を獲得することができる。
【0183】
動作S1250において、電子装置は、予測前房隅角を出力することができる。一実施例によれば、電子装置は、予測前房隅角をレンズサイズと共に出力することができる。この場合、出力されるレンズサイズは、前記予測前房隅角に対応するレンズサイズであってもよい。例えば、図12において、電子装置は、動作S1230の第2入力データに含まれたレンズサイズを出力することができる。
【0184】
電子装置は、予測前房隅角と予測Vaultingを全部出力することができる。ユーザは、前記予測Vaultingと前記予測前房隅角を確認し、手術に使われるレンズサイズを安定的に決定することができる。電子装置は、動作S1220を実行した後、予測Vaultingを一先ず出力し、動作S1250において、予測前房隅角を出力したり、動作S1250において、予測Vaultingを予測前房隅角と共に出力したりすることができる。
【0185】
予測前房隅角は、一定条件を満たす値を有することができる。すなわち、電子装置は、一定条件を満たす場合に、予測前房隅角を出力することもできる。例えば、予測前房隅角が20度以上である場合、電子装置は、予測前房隅角を出力することができる。
【0186】
電子装置は、ディスプレイ(例:図2におけるディスプレイ220)を通じて、予測前房隅角、予測Vaultingまたはレンズサイズのうちの少なくとも一つを出力することができる。ユーザは、前記前房隅角が適性範囲内にあるか確認することによって、レンズサイズが適切であるかを判断することができる。または図12に図示していないが、電子装置は、予測前房隅角、予測Vaulting、またはレンズサイズのうちの少なくとも一つを、外部装置(例:図1における電子装置120)へと転送することもできる。
【0187】
図12の動作を一つの電子装置の動作として説明したが、説明された動作は、複数の装置で実行されうる。例えば、動作S1220のVaulting予測および動作S1240の前房隅角予測は、互いに異なる装置で実行し得る。または動作S1220、S1240のうちの少なくとも一つは、サーバーにて実行されうる。
【0188】
<モデル開発(Model Development)>
本出願人は、術前のデータを用いて統計的モデルおよび数学的モデルをレンズ挿入術後の前房隅角を予測することに使用した。前房隅角は、TIA500、TIA750、SSA500、SSA750をそれぞれ測定した。1) 多変量LR(Multivariable Linear Regression with variable selection)、2)LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)、3)SVR(Support Vector machine Regressor with a Gaussian kernel)、4)RFR(Random Forest Regression)、および5)XGBoost(Extreme Gradient Boosting regression)を用いて、性能が良好な予測モデルを導き出した。
【0189】
レンズ挿入術を受けた274名の患者の学習データを獲得し、学習データセットの開発および検証のために光断層撮影技術を通じて、術前の検査データ、術後の前房隅角データ、および医療記録を活用した。術後の前房隅角データは、6か月が過ぎた時点で測定した前房隅角データを考慮した。
【0190】
レンズサイズは、人工知能ベースの術後のVaulting予測に基づいて、ユーザにより選択された値を使用した。
【0191】
入力変数は、患者の年齢、性別、SE(Spherical Equivalent)、Km(mean Keratometry)、瞳孔サイズ、IOP(intraocular pressure)、WHW(White-to-white)、CCT(Central Corneal Thickness)、ATA(angle to angle distance)、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Anterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)、LV(Lens Vault)、AOD500、AOD750、ARA500、ARA750、TISA500、TISA750、レンズサイズを含む。
【0192】
LRモデルのための変数は、段階的方法(Stepwise Method)を実行して獲得した。多重共線性(multicollinearity)を避けるため、VIF(variance inflation factors)を共に考慮した。前房隅角を予測するためのXGBoostモデルから特徴量の解析を獲得するためには、SHAP(Shapley Additive exPlanations)手法を使用した。
【0193】
回帰モデルを評価するため、術後に獲得した前房隅角と予測前房隅角との間のMAE(mean squared error)と、ピアソンの相関係数(Pearson’s correlation coefficients)を活用した。より正確な結果を導き出すため、データは、線形混合-効果モデルを用いて分析した。また、開発されたモデルの予測性能を評価するために、ROC(receiver operating characteristic)曲線を利用し、術後に、TIAおよびSSA回帰モデルの結果を評価し、AUC(areas under the curves)を算出した。
【0194】
図13は、術前の眼球測定データと、術後の前房隅角との関係を示す。具体的に、学習データセットを利用した術前の眼球測定値と、術後の前房隅角との間の関係に対する相関係数、単変量回帰解析の結果およびVIFを示す。
【0195】
図13を参照すると、術前の変数であるACD、CLR、LV、AOD、ARA、TISA、TIAは、術後のTIAおよびSSAに相当する相関関係(P<0.001)を示す。このうちの一部の変数、例えば、ATAやACWなどは、非常に高いVIF値を示し、これは多重共線性の問題を惹起し得る。以下、予測モデルを開発するにあたって、VIFが高い変数は、考慮しなくてもよい。
【0196】
図14は、術後のTIAに対する多変量LR解析結果を示す。段階的選択方式のLRモデルによれば、術後のTIA500に対し、瞳孔サイズ、ATA、ACD、ACW、CLR、AOD500、TIA750が重要な入力変数として示された。しかし、AOD500は、段階的選択の全部にて選択されなったため除去した。ATAは、同様に高いVIFにより除去された。最終的に、瞳孔サイズ、ACD、ACW、CLR、TIA750およびレンズサイズが、TIA500を予測するための最終モデルとして選択された。TIA750に対しても、同様の過程を通じて同一の変数が選択された。
【0197】
レンズサイズと術後の予測前房隅角は、互いに負の相関関係を示す。これは、大きなレンズサイズが、狭い前房隅角になり得ることを示す。また、データ分布および多変量回帰解析の結果は、術後の前房隅角を予測することにおいて、挿入されたレンズサイズが、ACDと相互作用することにつき示された。
【0198】
図15は、術後のSSAに対する多変量LR解析結果を示す。段階的変数選択および高いVIFによる変数除去を通じて、術後のSSAのための最終LRモデルに対しては、最終入力変数として、瞳孔サイズ、ACD、ACW、CLR、TIA750およびICLサイズが選択された。
【0199】
図16は、本発明の多様な実施例による前房隅角予測モデルに対する各予測変数のシャープレイ値(sharply values)を示す。具体的に、それぞれの特性とSHAP値との間の関係を示す。特にXGBoostモデルにおけるSHAPLYプロットを示す。
【0200】
SHAPによれば、ACDは、前房隅角予測に対する最も重要な予測変数として示された。図16を参照すると、TIA500に対する前房隅角予測モデルについての上位5個の予測変数は、ACD、TIA500、瞳孔サイズ、TIA750およびACWである。TIA750に対し、前房隅角予測モデルの上位5個の予測変数は、ACD、TIA750、瞳孔サイズ、TIA500およびAOD750である。SSA500に対し、前房隅角予測モデルの上位5個の予測変数は、ACD、瞳孔サイズ、TISA500、TIA500およびCLRである。SSA750に対し、前房隅角予測モデルの上位5個の予測変数は、ACD、TIA750、瞳孔サイズ、CLR、TISA500である。
【0201】
図17は、本発明の多様な実施例による、術後の予測前房隅角と、実際の前房隅角とを比較した結果を示す。
【0202】
内部検証(internal validation)データセットに対し、実際の前房隅角と予測前房隅角との間のピアソンの相関係数(Pearson correlation coefficients)を算出した結果、ピアソンの相関係数は、TIA500に対し、0.636であり、TIA750に対し、0.662であり、SSA500に対しては、0.630であり、SSA750に対しては、0.0659が示された。
【0203】
図18は、本発明の多様な実施例による、術後の予測前房隅角と、実際の前房隅角とを比較した結果を示す。
【0204】
前房隅角予測モデルを用いて内部検証データセットに対し、予測前房隅角を獲得し、これを実際の前房隅角と比較した。図18を参照すると、実際の前房隅角と、予測前房隅角との間のMAE(Minimum Average Error)を導き出した結果、XGBoostモデルにおいて、最も低いMAE値が示された。ただし、他のモデルと比較して大差はみられなかった。
【0205】
図19は、本発明の多様な実施例による、術後の実際の前房隅角と、予測前房隅角とを比較した結果を示す。
【0206】
本発明の多様な実施例による、前房隅角予測モデルを用いて外部検証データセットに対し、予測前房隅角を獲得し、これを実際の前房隅角と比較した。図19を参照すると、実際の前房隅角と、予測前房隅角との間のMAEを導き出した結果、LRモデルにおいて、最も低いMAE値が示された。ただし、他のモデルと比較して大差はみられなかった。
【0207】
図20は、本発明の多様な実施例による前房隅角予測モデルのROC AUCを示す。
【0208】
開発された前房隅角予測モデルを用いて、術後の狭い前房隅角(<20°)を検出した。ここで、開発されたモデルとしては、LRモデルおよびXGBoostモデルを使用した。
【0209】
図20を参照すると、予測の結果、外部検証データセット、および内部検証データセットの全部に対し、AUCは、0.79以上の値を示した。また、少ない数の狭い前房隅角データにより、5分割交差検証(5-fold cross-validation)を実行し、5分割交差検証においても、類似の結果が導き出された。
【0210】
図21は、レンズサイズの変更による前房隅角の変化を示す。
【0211】
レンズサイズを変更させた場合、術後の実際の前房隅角を測定し、本発明の多様な実施例による前房隅角予測モデルに基づいて、術後の前房隅角を獲得した。
【0212】
図21の(a)を参照すると、レンズサイズを拡大した場合、術後の実際の前房隅角、および術後の予測前房隅角が、全部減少した。逆に、図21の(b)を参照すると、レンズサイズを減少させた場合、術後の実際の前房隅角、および術後の予測前房隅角が、全部増加した。
【0213】
実験の結果、挿入されたレンズサイズの大きさは、術後、狭い予測前房隅角の結果につながる可能性があることが確認された。適切なレンズサイズを選択した場合、瞳孔サイズ、ACD、ACW、CLR、術前の前房隅角のような要因により、狭い前房隅角が現れるという現象を緩和することができるだろう。
【0214】
また、Vaultingは、狭い前房隅角とは、ほとんど独立した要因であることが確認された。しかし、依然としてVaultingは、レンズサイズを決定するのに重要な要因でありうる。したがって、本発明の実施例によりVaultingと前房隅角の全部を考慮するのが、正確なレンズ値を考慮することができ、成功的な手術結果を導き出すことに役立つだろう。
【0215】
また、本発明にて提案する前房隅角予測モデルによれば、年齢、SE、ALなどを考慮しなくても術後の前房隅角を予測することができるはずである。
【0216】
また、データの特性を考慮すると、LR、LASSOまたはMLのうちの一つ以上のモデルを用いて、前房隅角を予測する手法が適切であることができる。
【0217】
以上、本発明の実施例を構成する全ての構成要素が一つに結合されるか、または結合されて動作するものとして説明されているとしても、本発明は必ずしも、これらの実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的の範囲内であれば、その全ての構成要素を1つ以上に選択的に結合して動作させることもできる。
【0218】
一方、本明細書に記載の多様な実施例は、ハードウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせによって具現されうる。例えば、多様な実施例は、1つ以上のオンデマンド半導体(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ここで提示される機能を実行するように設計された、他の電子ユニット、またはそれらの組み合わせの中で具現されうる。
【0219】
さらに、例えば、多様な実施例は、命令を含むコンピュータ可読媒体に収録または符号化されてもよい。コンピュータ可読媒体に収録または符号化された命令は、プログラム可能なプロセッサ、または他のプロセッサを用いて、例えば、命令が実行されるときに方法を実行させることができる。コンピュータ可読媒体はコンピュータ保存媒体を含み、コンピュータ保存媒体は、コンピュータによってアクセスし得る任意の利用可能な媒体であってもよい。例えば、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたはその他の光学ディスク保存媒体、磁気ディスク保存媒体、またはその他の磁気記憶装置を含むことができる。
【0220】
このようなハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアなどは、本明細書に記述された多様な動作および機能をサポートするために同じ装置内で、または個別の装置内で具現されうる。さらに、本発明において「~部」と記載された構成要素、ユニット、モジュール、コンポーネントなどは、一緒に、または、個別的であるものの相互に運用可能な論理デバイスとして個別的に具現されうる。モジュール、ユニットなどに対する互いに異なる特徴の描写は、互いに異なる機能的な実施例を強調することを意図したものであり、これらが個別のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントによって実現されるべきであることを必須とするという意味ではない。むしろ、1つ以上のモジュールまたはユニットに関連する機能は、個別のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントによって実行されてもよく、または共通の、若しくは個別のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネント内に統合されてもよい。
【0221】
特定の順序で動作が図示されているが、このような動作は所望する結果を達成するために示された特定の順序で、または、順次に順序どおり実行されたり、または示されたすべての動作が実行される必要があるものとして理解されてはならない。任意の環境においては、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施例における様々な構成要素の区分は、すべての実施例においてこのような区分を必要とするものとして理解されてはならず、記述された構成要素が、一般に単一のソフトウェア製品に一緒に統合されてもよく、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいものとして理解されるべきである。
【0222】
以上で説明した本稿の多様な実施例による電子装置、サーバー、または外部装置は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話、テレビ電話、デスクトップPC、ラップトップPC、PDA(personal digital assistant)、PMP(portable multimedia player)、MP3プレーヤー、モバイル医療機器、カメラ、またはウェアラブルデバイス(wearable device)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0223】
多様な実施例によれば、ウェアラブルデバイスは、アクセサリタイプ(例えば、時計、指輪、ブレスレット、アンクレット、ネックレス、メガネ、コンタクトレンズ、またはヘッドマウントデバイス(head-mounted-device(HDM))、布地または衣類一体型(例えば、電子衣服)、身体付着・取付型(例えば、スキンパッド(skin pad)またはタトゥーシール)、または生体埋込型(例えば、埋込型回路(implantable circuit))のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0224】
いくつかの実施例では、電子装置または外部装置は家電製品(home appliance)であってもよい。家電製品は、例えば、テレビ、DVDプレーヤー(Digital Video Disk player)、オーディオ、冷蔵庫、エアコン、掃除機、オーブン、電子レンジ、洗濯機、空気清浄機、セットトップボックス(set-top box)、ホームオートメーションコントロールパネル(home automation control panel)、セキュリティコントロールパネル(security control panel)、TVボックス、ゲームコンソール、電子辞書、電子キー、カムコーダ、または電子フレームのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0225】
他の実施例では、電子装置、外部装置、ウェアラブルデバイスは、各種の医療機器(例:様々な携帯用医療計測器(血糖測定器、心拍計、血圧計、または体温計など)、MRA(magnetic resonance angiography)、MRI(magnetic resonance imaging)、CT(computed tomography)、撮影装置または超音波機器など)、ナビゲーション(navigation)装置、衛星航法システム(GNSS(Global Navigation Satellite System)、EDR(event data recorder)、FDR(flight data recorder)、車載インフォテインメント(infotainment)装置、家庭用ロボット、またはモノのインターネット装置(internet of things)(例:電球、各種センサー、電気またはガスメーター、スプリンクラー装置、火災警報器、温度調節器(thermostat)、街路灯、運動器具、温水タンク、ヒーター、ボイラーなど)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0226】
上述の通り、図面および明細書において最適の実施例が開示された。ここで特定の用語が使用されたが、これは、単に本発明を説明する目的で使用されたものであって、意味を限定したり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限したりするために使用されたものではない。したがって、当技術分野の通常の知識を有する者であれば、これより、多様な変形および均等な他の実施例が可能であることが理解されるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ挿入術の手術予定者の眼球の前房隅角を予測する方法であって、
レンズサイズを含む入力データを獲得する動作と、
前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得する動作とを含み、
前記学習モデルは、過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および術後に測定された前房隅角に基づいて学習されたものであり、
前記獲得したレンズサイズを出力する動作をさらに含み、
前記獲得したレンズサイズは、Vaultingに基づいて決定され、
入力データは、前記手術予定者の検査データをさらに含み、
入力ノードと出力ノードとを相互に接続するリンクの重み値(weight)について、逆伝播(backpropagation)することで更新し、
レギュラリゼーション(regularization)及び学習の過程で、ドロップアウト(dropout)、及びバッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)によって、過剰適合を防ぎ、
前記検査データは、術前の患者のSE(Spherical Equivalent)、Km(mean Keratometry)、瞳孔サイズ、IOP(intraocular pressure)、WHW(White-to-white)、CCT(Central Corneal Thickness)、ATA(angle to angle distance)、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Anterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)、レンズVaulting(Lens Vault)、AOD(Angle Opening Distance)、TISA(Trabecular Iris Surface Area)、及び/または前房隅角を含み、
前記検査データは、さらに、問診データ、患者の年齢及び性別、過去に着用したメガネ度数のデータ、視力検査の結果、近視、乱視及び/または遠視の程度、角膜の形状、角膜の対称性、角膜厚の測定データ、角膜構造の断層撮影データ、角膜の形態解析データ、角膜の曲率及び/または角膜内皮細胞の検査データを含む前房隅角予測方法。
【請求項2】
前記前房隅角は、TIA(Trabecular Iris Angle)またはSSA(Scleral Spur Angle)として定義される、請求項1に記載の前房隅角予測方法。
【請求項3】
術後の前房隅角を予測する装置であって、
過去にレンズ挿入術を受けた複数の患者のレンズサイズ、および、術後に測定された前房隅角に基づいて学習された学習モデルを保存するメモリと
前記メモリに電気的に接続された少なくとも一つのプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、実行時に、レンズサイズを含む入力データを獲得し、前記入力データを用いて学習モデルに基づいて術後の予測前房隅角を獲得するものであり、
前記獲得したレンズサイズを出力する動作をさらに含み、
前記獲得したレンズサイズは、Vaultingに基づいて決定され、
入力データは、前記手術予定者の検査データをさらに含み、
入力ノードと出力ノードとを相互に接続するリンクの重み値(weight)について、逆伝播(backpropagation)することで更新し、
レギュラリゼーション(regularization)及び学習の過程で、ドロップアウト(dropout)、及びバッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)によって、過剰適合を防ぎ、
前記検査データは、術前の患者のSE(Spherical Equivalent)、Km(mean Keratometry)、瞳孔サイズ、IOP(intraocular pressure)、WHW(White-to-white)、CCT(Central Corneal Thickness)、ATA(angle to angle distance)、ACD(Anterior Chamber Depth)、ACW(Anterior Chamber Width)、CLR(Crystalline Lens Rise)、レンズVaulting(Lens Vault)、AOD(Angle Opening Distance)、TISA(Trabecular Iris Surface Area)、及び/または前房隅角を含み、
前記検査データは、さらに、問診データ、患者の年齢及び性別、過去に着用したメガネ度数のデータ、視力検査の結果、近視、乱視及び/または遠視の程度、角膜の形状、角膜の対称性、角膜厚の測定データ、角膜構造の断層撮影データ、角膜の形態解析データ、角膜の曲率及び/または角膜内皮細胞の検査データを含む、装置。
【請求項4】
前記前房隅角は、TIA(Trabecular Iris Angle)またはSSA(Scleral Spur Angle)として定義される、請求項3に記載の装置。