(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134501
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】リサイクルプラスチック材料の製造方法及びそのリサイクルプラスチック材料
(51)【国際特許分類】
B29B 7/72 20060101AFI20240926BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240926BHJP
B29B 7/28 20060101ALI20240926BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B29B7/72
C08J3/20 Z CES
B29B7/28
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189691
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2023044802の分割
【原出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健二
(72)【発明者】
【氏名】細川 淳多
(72)【発明者】
【氏名】岩田 高彰
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AA15
4F070AB09
4F070AB11
4F070AB21
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4F401CB18
4F401FA09Y
4F401FA20Z
(57)【要約】
【課題】
容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られるリサイクル樹脂を利用するに当たって、環境に配慮しながら利用を拡大できる、優れたリサイクルプラスチック材料を提供することである。
【解決手段】
容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から、第1樹脂材41を入手する。家電リサイクル法が適用されるRP材料から、家電リサイクル材由来の第2樹脂材42Aを入手する。自動車リサイクル法が適用されるRP材料から、自動車リサイクル材由来の第3樹脂材42Bを入手する。家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されないRP材料から、一般のリサイクル材由来の第4樹脂材42Cを入手する。RP材料は、第1樹脂材41の他、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのうちの1種類を投入し、必要に応じ無機フィラー材43を投入して溶融混練して成形される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)の材料特性を測定する第1測定ステップと、
前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、又は、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、あるいは、容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない使用済みプラスチックから得られる第4リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を測定する第2測定ステップと、
前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップで測定された前記第1リサイクル樹脂材及び第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を基に、前記第1リサイクル樹脂材の投入量、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)の投入量のそれぞれを算定する算定ステップと、
前記第1リサイクル樹脂材、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、算定された各投入量を基に、リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の材料特性が特定範囲内となるように、新たな無機フィラー材の投入量を求める投入量算出ステップと、を有することを特徴とするリサイクルプラスチック材料の製造方法。
【請求項2】
前記投入量算出ステップにおいて、前記リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の無機フィラー成分が特定範囲の上限を超える場合、新たな無機フィラー材の投入を無くすことを特徴とする請求項1に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法。
【請求項3】
成形後のリサイクルプラスチックの材料物性が特定範囲とする際に、優先的に適用する優先適用順位に高低を設け、「優先適用 高」としてポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し30重量%以下にすることを定め、且つ「優先適用 低」としてMFRが4.0g/10min以上となることを少なくとも含めることを特徴とする請求項1又は2に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法。
【請求項4】
前記第1乃至第4リサイクル樹脂材のいずれもが、ポリプロピレン及びポリエチレンを少なくとも含み、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量は、前記第1リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量より多く、且つ、前記第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量は、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量より多いものが選定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法。
【請求項5】
前記第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの成分量が、リサイクルプラスチック材料のポリエチレンの想定成分値より高いことが想定できる場合、第1リサイクル樹脂材の投入量を、予め定める想定投入量より減らすと共に、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの投入量を、予め定める想定投入量より増やす投入量調整ステップを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法。
【請求項6】
容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、
前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、
前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、
前記容器包装リサイクル法、前記家電リサイクル法及び前記自動車リサイクル法のいずれも適用されない、使用済みプラスチックから得られる第4リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、
前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)とを投入して溶融混練して成形されることを特徴とするリサイクルプラスチック材料。
【請求項7】
成形後のリサイクルプラスチック材料は、ポリプロピレン及びポリエチレン、無機フィラーを少なくとも含み、ポリプロピレンの含有量がポリエチレンの含有量より多く、且つ、ポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し、30重量%以下となるように調整配合されていることを特徴とする請求項6に記載のリサイクルプラスチック材料。
【請求項8】
前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものは、前記第1リサイクル樹脂材に比べ、MFRの値が高いことを特徴とする請求項6又は7に記載のリサイクルプラスチック材料。
【請求項9】
成形後のリサイクルプラスチック材料のMFRの値が、4.0g/10min以上となることを特徴とする請求項6又は7に記載のリサイクルプラスチック材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器包装リサイクル法(以下「容リ法」と略称する。)が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られるリサイクル樹脂(以下「R樹脂」と称することがある。)を使用するリサイクルプラスチック材料の製造方法、及び、そのリサイクルプラスチック材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年プラスチック材による製品開発として、バージン材料を使用せずに、リサイクル材料を使用することが望まれている。特に、容リ法が制定された以降は、同法が適用されるリサイクル材料の利用が推奨されている。
これは、非特許文献1(「2020年の廃プラスチックの使用状況」)の記載の如く、「廃プラ総排出量」中、包装容器等/コンテナ類が47.5%(390万トン)を占め、また、「一般系廃棄物分野別」中、包装容器等/コンテナ類が77.1%(316万トン)を占め、包装容器等/コンテナ類の関連廃棄物(廃プラ)の流通量が大きいことから、容リ法適用のR樹脂のリサイクルが進めば、廃プラ全体のリサイクルも進むので、容リ法が適用されるリサイクルプラスチック材の利用が強く要請されているからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日本プラスチック工業連盟誌プラスチックス2022年6月号 79-83頁 著者 半場雅志 発行所 日本工業出版株式会社 2022年6月10日 発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、リサイクルプラスチック材料(以下「RP材料」と称する場合がある。)は、材料の発生由来により品質に偏りがある。また、RP材料の生産ロス・加工ロスによる未出荷・未使用のRP材料が相当量存在する一方、使用済み廃棄物も相当量存在する(使用済廃棄物は洗浄しても異物が混入することがある)。そのため、材料品質が一定のバージン材料と異なり、多様な樹脂、異物等がRP材料に混入し、材料特性に、物性の低下、偏り及びばらつきが生じ易い傾向がある。特に、容リ法が適用されるRP材料は顕著である。そのため、容リ法が適用されるRP材料を使って、一定以上の品質のものを製造するには、種々の工夫や手間が必要であり、容リ法が適用されるRP材料の利用を進めることは必ずしも容易ではない。
また、RP材料の流通に関し、仮に、バージン材料と同等の販売価格であると、事業者にとってRP材料を購入し製品化する意欲が起きにくい。また、RP材料を利用した製品の価格が下がらないと、リサイクルの重要性を認識しても、一般的な消費者にとってはRP材料を使用する製品を購入する意欲が起きにくい場合がある。そのため、RP材料の利用を促進するには、バージン材料の価格に比べ価格が下がることが重要である。また、プラスチック関連のバージン材料については、購入希望者は製造販売する会社に発注すれば安定的に購入できるのに対し、RP材料については、供給する会社に発注しても、その会社がリサイクル原材料を入手できないと、購入希望者はRP材料を購入できない。そのため、RP材料を購入する会社と販売会社とはビジネス上の結び付きが強くなり、販売会社と商取関係を有しない会社は、RP材料の購入を希望する際、希望時に市場から希望数量のRP材料を入手できない状況が生じている。更に、容リ法が適用されるRP材料の利用を進める際に、環境に配慮したリサイクルも強く要請されている。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的としては、容リ法が適用されるRP材料から得られるR樹脂を有効に利用することで、環境に配慮しながら利用を拡大できる、優れたRP材料の製造方法及びそのRP材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の製造方法の発明は、以下の手段を有する。即ち、手段1として、容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)の材料特性を測定する第1測定ステップと、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、又は、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、あるいは、容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない使用済みプラスチックから得られる第4リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を測定する第2測定ステップと、前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップで測定された前記第1リサイクル樹脂材、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を基に、前記第1リサイクル樹脂材の投入量、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)の投入量のそれぞれを算定する算定ステップと、前記第1リサイクル樹脂材及び第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、算定された各投入量を基に、リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の材料特性が特定範囲内となるように、新たな無機フィラー材の投入量を求める投入量算出ステップとを有することを特徴とする。なお、第1リサイクル樹脂材及び第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合されるものは、無機フィラー成分を含む可能性があるため、無機フィラー成分に関しては、リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の材料特性が特定範囲内の上限を超えるか否かを算出することになる。
【0006】
手段2として、前記手段1において、前記投入量算出ステップにおいて、前記リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の無機フィラー成分が特定範囲の上限を超える場合、新たな無機フィラー材の投入を無くすことになる。
【0007】
手段3として、前記手段1又は手段2において、成形後のリサイクルプラスチックの材料物性が特定範囲とする際に、優先的に適用する優先適用順位に高低を設け、「優先適用 高」としてポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し30重量%以下にすることを定め、且つ「優先適用 低」としてMFR(JIS規格 K7210準拠)が4.0g/10min以上となることを少なくとも含めるように定めることが好ましい。
【0008】
手段4として、前記手段1又は手段3のいずれか一において、前記第1乃至第4リサイクル樹脂材のいずれもが、ポリプロピレン及びポリエチレンを少なくとも含み、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量は、前記第1リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量より多く、且つ、前記第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量は、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量より多いものが選定されることが好ましい。
【0009】
手段5として、前記手段1乃至手段4のいずれか一において、前記第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの成分量が、リサイクルプラスチック材料のポリエチレンの想定成分値より高いことが想定できる場合、第1リサイクル樹脂材の投入量を、予め定める想定投入量より減らすと共に、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの投入量を、予め定める想定投入量より増やす投入量調整ステップを備えることが好ましい。なお、手段1乃至手段4のいずれか一において、前記リサイクルプラスチック材料を成分分析し、材料物性を測定した結果に基づき、前記投入量調整ステップが行われることが好ましい。
【0010】
本発明の物の発明は以下の手段を有する。即ち、手段6として、容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記容器包装リサイクル法、前記家電リサイクル法及び前記自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般の使用済みプラスチックから得られる第4リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)と、前記第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)とを投入して溶融混練して成形されることを特徴とする。
【0011】
手段7として、前記手段6において、成形後のリサイクルプラスチック材料は、ポリプロピレン及びポリエチレン、無機フィラーを少なくとも含み、ポリプロピレンの含有量がポリエチレンの含有量より多く、且つ、ポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し、30重量%以下となるように調整配合されていることが好ましい。(以下ポリプロピレンを単に「PP」と記載し、ポリエチレンを単に「PE」と記載する場合がある。)
【0012】
手段8として、前記手段6又は手段7において、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものは、前記第1リサイクル樹脂材に比べ、MFR(JIS規格 K7210準拠)の値が高いことが好ましい。
【0013】
手段9として、前記手段6乃至手段8のいずれか一において、成形後のリサイクルプラスチック材料のMFR(JIS規格 K7210準拠)の値が、4.0g/10min以上となることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られるリサイクル樹脂を有効活用することで、環境に配慮しながら利用を拡大できる、強度などに優れたリサイクルプラスチック材料の製造方法及びリサイクルプラスチック材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を具体化した実施形態の製造状態を示す概略図である。
【
図2】同実施の形態におけるポリエチレン含有率とウエルド強度の関係を示すグラフ。
【
図3】同実施の形態における製造工程を示すフローチャート。
【
図4】同実施の形態における第1乃至第4樹脂材の成分値及び物性値を示す説明図。
【
図5】同実施の形態に用いられる樹脂材の特定範囲を示す説明図。
【
図6】同実施の形態における比較例1及び2、実施例1及び2を示す説明図。
【
図7】同実施の形態における比較例3及び4、実施例3及び4を示す説明図。
【
図8】同実施の形態における比較例5及び6、実施例5及び6を示す説明図。
【
図9】同実施の形態における比較例7及び8、実施例7及び8を示す説明図。
【
図10】同実施の形態における比較例9及び10、実施例9及び10を示す説明図。
【
図11】同実施の形態における比較例11及び12、実施例11及び12を示す説明図。
【
図12】同実施の形態における比較例1乃至12、実施例1乃至12の配合結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
図1は実施の形態におけるRP材料を溶融混練して成形する状態を概略的に示す。
図2は同実施の形態におけるPE含有率とウエルド強度の関係を示すグラフを示す。
図3はRP材料を製造する際の製造工程を示すフローチャートであり、
図4は同実施の形態における第1乃至第4樹脂材の成分値及び物性値を示す。
図5は樹脂材の特定範囲を示す。
図1に示す押出成形機35は、そのホッパ36にペレット材37(後述する第1樹脂材41、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cまたは無機フィラー材43等からなる)を投入することができ、ペレット材37は内部にスクリュウーを備える搬送部38内で搬送される。押出成形機35は、内部で投入されたペレット材37を溶融混練して成形すると共に、排出口39から新たなペレット材として排出することができる。溶融混練法としては、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いることができる。
本実施形態のペレット材37では、容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られるリサイクル樹脂材41(以下このリサイクル樹脂材41を「第1樹脂材41」と称す。)が必須構成要素になる。また、ペレット材37の任意的な構成要素として、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られるリサイクル樹脂材42A(以下このリサイクル樹脂材42Aを「第2樹脂材42A」と称す。)を含めることができる。また、ペレット材37の他の任意的な構成要素として、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られるリサイクル樹脂材42B(以下このリサイクル樹脂材42Bを「第3樹脂材42B」と称す。)を含めることができる。更に、ペレット材37の任意的な構成要素として、容リ法、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般の使用済みRP材料から得られるリサイクル樹脂材42C(以下このリサイクル樹脂材42Cを「第4樹脂材42C」と称す。)を含めることができる。
第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cは、
図4に示す如く、ポリプロピレン(以下「PP」と記載する。)の成分と、ポリエチレン(以下「PE」と記載する。)の成分と、無機フィラーの成分と、それら以外の成分と(以下「その他」と記載)を含んでおり、製品の出所等により、成分量等に偏りがあって物性上のばらつきに特徴がある。
また、ペレット材37に対し、任意的な構成要素として、剛性を向上させるため、または、比重(密度)を増加させるため無機フィラー材43を加えることできる。第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cは無機フィラー成分を含んでおり、その成分量に応じ剛性を向上させる効能がある。仮に、所望する剛性が不足する場合は、追加の無機フィラー材43を加えることできる。無機フィラー材43は、プラスチック材料の特性に影響を及ぼさず、且つ、剛性を向上させるものであれば公知のものでよい。無機フィラー材としては、例えばカルシウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛などの炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、若しくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げられる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カリオン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベンナイト、ウォラストナイト、ドロマイト、黒鉛などが挙げられる。これらは単独または2種類以上併用して、含有しても良い。
なお、
図1に示す第1樹脂材41、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C、または無機フィラー材43(これらの混合物)は、理解しやすくするように概略的にペレット材の形態として図示するが、この形態は必ずしもペレット状のものに限定されない。また、押出成形機35の排出口39から出る樹脂材の形態は、ペレット状であっても良いし、それ以外の形態であっても良い。
【0017】
本願発明者及び研究者等は、長年にわたり、RP材料の材料物性や、成分分析、市場動向及び活用分野等を検討した。その結果、RP材料に多様な樹脂等が存在することが原因になって、物性の低下、物性のぶれ、偏り及びばらつき等が生じ易いことを把握した。また、RP材料の製品出所等の相違により、材料物性や成分分析に特定の傾向が生じやすく、概略的に以下の(1)乃至(4)に区分できることを把握した。
(1)容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1樹脂材41(この場合、第1樹脂材41(第1リサイクル樹脂材)は、容リ法由来の樹脂材といえる。)
(2)容リ法の適用の対象外で家電リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第2樹脂材42A(この場合、第2樹脂材42A(第2リサイクル樹脂材)は、家電リサイクル法由来の樹脂材といえる。)
(3)容リ法の適用の対象外で自動車リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第3樹脂材42B(この場合、第3樹脂材42B(第3リサイクル樹脂材)は、自動車リサイクル法由来の樹脂材といえる。)
(4)容リ法、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般のRP材料から得られる第4樹脂材42C(この場合、第4樹脂材42C(第4リサイクル樹脂材)は、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び第3樹脂材42Bと異なり、一般材由来の樹脂材といえる。)
【0018】
なお、容リ法の正式名は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等」に関する法律である(必要に応じ、同法の条文・定義等を引用する)。具体的な対象としては、例えば、包装フィルム、食品トレーなどが挙げられるが、同法上の対象物は限定されることになる。(同法の対象物から得られるR樹脂材は、容リ材由来樹脂材であって第1樹脂材41に相当するが、同法等の改正等に従った内容の変更がある。)
また、家電リサイクル法の正式名は「特定家庭用機器再商品化法」に関する法律である(必要に応じ、同法の条文・定義等を引用する)。対象となる品目は、家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥)であるが、同法を適用する使用済みプラスチックは、一般家庭、事務所から排出されるものに限定される。そのため、同法が適用される家電4品目であっても、排出元が異なることで同法が適用されない場合がある。(同法の対象となる品目から得られるR樹脂材は、家電材由来の樹脂材であって第2樹脂材42Aに相当するが、家電リサイクル法等の改正等に従った内容の変更がある。)
また、自動車リサイクル法の正式名は「使用済自動車の再資源化等に関する法律」である(必要に応じ、同法の条文・定義等を引用する)。同法では「自動車」等が定義され、同法上の具体的な対象は、例えば、自動車バンパーや自動車内装材等に限定される。(同法の対象物から得られるR樹脂材は、自動車材由来の樹脂材であって第3樹脂材42Bに相当するが、自動車リサイクル法等の改正等に従った内容の変更がある。)
また、容リ法、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般の使用済みRP材料から得られるR樹脂材が存在する。例えば(1)家電リサイクル法が適用される家電4品目以外の品目のRP材料から得られるR樹脂材、(2)自動車リサイクル法が適用されない二輪車などのRP材料等から得られる樹脂材が挙げられる。(このR樹脂材は、一般材由来の樹脂材であって第4樹脂材42Cに相当するが、容リ法、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法等の変更に従い内容の変更がある。)このような法上の扱いから、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cは、成分及び材料物性に類似する点がある一方、適用する法律に係る製品の由来により、成分及び材料物性の相違点があり、特定の傾向が生じている。
【0019】
図4には表1乃至表4が示されている。表1は第1樹脂材41の4組の材料(材料1、材料2、材料3、材料4)に関し、PPの成分値重量%、PEの成分値重量%、無機フィラーの成分値重量%、それ以外の成分(以下「その他」と記載)の成分値重量%を示し、更に、4物性値(この場合、密度、メルトフローレート(以下「MFR」と記載する。)、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度)を示す。
表2乃至表4は、表1同様に、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B、及び、第4樹脂材42Cに関する、各材料(材料1、材料2、材料3、材料4)の成分(PP成分、PE成分、無機フィラー成分、その他成分)値重量%を示す他、4物性値(この場合、密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度)を示す。各樹脂材(41、42A、42B、42C)の材料1乃至材料4の表示は、4個以下又はそれ以上であっても良い。また、測定対象となる4物性は、必要に応じ、それ以外の物性を対象としても良い。
【0020】
次に、樹脂材の材料特性を測定する方法について説明する。樹脂材の材料特性の一つを表すメルトフローレート(以下「MFR」と記載する。)は、メルトインデクサーG-02(株式会社東洋精機製作所製)を用い、MFR測定方法(JIS K7210 摂氏230度 荷重2.16Kg)でもって測定できる。また、樹脂材の材料特性の一つを表す曲げ弾性率は、ベントグラフB-2(株式会社東洋精機製作所製)を用い、曲げ特性の測定法(JIS K7171)でもって測定できる。また、樹脂材の材料特性の一つを表すアイゾット衝撃強度は、衝撃試験機IT(株式会社東洋精機製作所製)を用い、アイゾット衝撃測定方法(JIS K7110)でもって測定できる。また、樹脂材の材料特性の一つを表す材料密度は、電子比重計SD-200L(アルファーミラージュ株式会社製)を用い、密度及び比重測定方法(JIS K7112)で測定できる。
表に示す第1樹脂材41の材料1のMFRは3.1g/10minである。また、第1樹脂材41の材料1の曲げ弾性率は、666MPaである。また、第1樹脂材41の材料1のアイゾット衝撃強度は、4.6kJ/m
2である。第1樹脂材41の材料1の材料密度は0.96g/cm
3であり、第1樹脂材41の材料2、材料3、材料4の欄に、成分分析されたPP、PE、その他樹脂、無機フィラーの各成分値が記載されている。樹脂材中のPP、PE、その他樹脂の測定には、例えば日本分光株式会社製の赤外分光光度計FT/IR-4Xを用いることができ、これ以外として異なる装置を用いてもよい。
無機フィラーの量の測定は、燃焼残渣量を用いて測定される。例えばアドバンテック東洋株式会社製の電気るつぼ炉FUC030FBを用いることができる。これらの数値は、
図4の表1乃至表4(材料1、材料2、材料3、材料4)の欄に記載されている。
【0021】
次に、
図4の表1乃至4に示す樹脂材について説明する。最初に第1樹脂材41(材料1乃至材料4)について説明すると、第1樹脂材41は、PEの含有量が大きく、且つPPの含有量が小さく、その他の含有量や無機フィラーの含有量も小さい点に特徴がある。
材料1乃至材料4の密度が0.94乃至0.97g/cm
3の範囲で点在し、MFR値が3.0乃至3.8g/10minの範囲で点在し、曲げ弾性率が666乃至937MPaの範囲で点在し、アイゾット衝撃強度が、4.6乃至8.4kJ/m
2程度の範囲で点在する。
第1樹脂材41単体の特性としては、密度が0.90乃至0.98g/cm
3の範囲が大まかな実用範囲であり、0.93乃至0.96g/cm
3の範囲が好適な実用範囲である。
また、第1樹脂材41のMFRについては、射出成形時の成形性の観点から、1.0乃至10.0g/10minの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、3.0乃至7.0g/10minの範囲が好適な実用範囲である。また、第1樹脂材41の曲げ弾性率については、製品の剛性(強度)の関係から、400乃至1200MPaの範囲が大まかな実用範囲であり、600乃至1100MPaの範囲が好適な実用範囲である。また、第1樹脂材41のアイゾット衝撃強度については、製品の耐衝撃(割れ易さ回避)の関係から、3.0乃至20.0kJ/m
2の範囲が大まかな実用範囲であり、更に、5.0乃至15.0kJ/m
2の範囲が好適な実用範囲である。
【0022】
また、
図4表2に示す第2樹脂材42A(材料1乃至材料4)は、PPの含有量が極めて大きく、且つPEの含有量が極めて小さく、その他の含有量や無機フィラーの含有量も小さく、その他の含有量や無機フィラーの含有量も小さい点に特徴がある。また、第2樹脂材42Aの密度が0.91乃至0.92g/cm
3の範囲で点在し、MFR値が25.4乃至28.7g/10minの範囲で点在し、曲げ弾性率が1259乃至1370MPaの範囲で点在し、アイゾット衝撃強度が6.0乃至7.3kJ/m
2の範囲で点在する。この結果、第2樹脂材42A(材料1乃至材料4)は、第1樹脂材41(材料1乃至材料4)と比べ、MFR、曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度の値が優れている。
第2樹脂材42A単体の特性としては、密度が0.91乃至0.97g/cm
3の範囲が大まかな実用範囲であり、また、0.91乃至0.94g/cm
3の範囲が好適な実用範囲である。また、第2樹脂材42AのMFRについては、射出成形時の成形性の観点から、10.0乃至35.0g/10minの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、15.0乃至30.0g/10minの範囲が好適な実用範囲である。また、第2樹脂材42Aの曲げ弾性率については、製品の剛性(強度)の関係から、1000乃至1600MPaの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、1100乃至1400MPaの範囲が好適な実用範囲である。また、第2樹脂材42Aのアイゾット衝撃強度については、製品の耐衝撃(割れ易さ回避)の関係から、4.0乃至15.0kJ/m
2の範囲が大まかな実用範囲であり、更に、6.0乃至12.0kJ/m
2の範囲が好適な実用範囲である。
【0023】
また、
図4表3に示す第3樹脂材42B(材料1乃至材料4)は、PPの含有量が大きく、且つPEの含有量が小さい点に特徴がある他に、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cに比べ、無機フィラーの含有量が多い点に特徴がある。そのため、第3樹脂材42B(材料1乃至材料4)を使用する場合は、第3樹脂材42B(材料1乃至材料4)自体が無機フィラー成分を多く含むため、使用時に無機フィラー材43を追加使用しない場合がある。但し、第3樹脂材42B(材料1乃至材料4)自体の無機フィラー成分が想定に比べ少ない場合は、必要量の無機フィラー材43を追加する。
第3樹脂材42Bの密度が1.04乃至1.06g/cm
3の範囲で点在し、MFR値が24.8乃至35.1g/10minの範囲で点在し、曲げ弾性率が1906乃至2159MPaの範囲で点在し、アイゾット衝撃強度が17.5乃至24.6kJ/m
2程度の範囲で点在する。この結果、第3樹脂材42Bの材料1乃至4については、第1樹脂材41(材料1乃至材料4)と比べ、MFR、曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度の値が優れている。
第3樹脂材42B単体の特性としては、密度が0.95至1.10g/cm
3が大まかな実用範囲であり、更に、0.97至1.07g/cm
3の範囲が好適な実用範囲である。また、第3樹脂材42BのMFRについては、射出成形時の成形性の観点から、15.0乃至40.0g/10minの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、20.0乃至35.0g/10minの範囲が好適な実用範囲である。また、第3樹脂材42Bの曲げ弾性率については、製品の剛性(強度)の関係から、1500乃至2500MPaの範囲が大まかな実用範囲であり、1800乃至2300MPaの範囲が好適な実用範囲である。また、第3樹脂材42Bのアイゾット衝撃強度については、製品の耐衝撃(割れ易さ回避)の関係から、6.0乃至35.0kJ/m
2の範囲が大まかな実用範囲であり、更に、10.0乃至30.0kJ/m
2の範囲が好適な実用範囲である。
【0024】
また、
図4表4に示す第4樹脂材42C(材料1乃至材料4)は、PPの含有量が極めて大きく、且つPEの含有量が極めて小さく、その他の含有量や無機フィラーの含有量も小さい点に特徴がある。また、第4樹脂材42Cの密度が0.94乃至0.98g/cm
3の範囲で点在し、MFRが9.6乃至14.0g/10minの範囲で点在し、曲げ弾性率が1180乃至1324MPaの範囲で点在し、アイゾット衝撃強度が5.8乃至11.1kJ/m
2の範囲で点在する。この結果、第4樹脂材42C(材料1乃至材料4)は、第1樹脂材41(材料1乃至材料4)と比べ、MFR、曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度の値が優れている。
第4樹脂材42Cとしては、密度が0.91乃至1.0g/cm
3の範囲が大まかな実用範囲であり、0.91乃至0.96g/cm
3の範囲が好適な実用範囲である。また、MFRについては、射出成形時の成形性の観点から、3.0乃至30.0g/10minの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、4.0乃至25.0g/10minの範囲が好適な実用範囲である。また、第4樹脂材42Cの曲げ弾性率については、製品の剛性(強度)の関係から、900乃至1600MPaの範囲が大まかな実用範囲であり、更に、1100乃至1400MPaの範囲が好適な実用範囲である。また、第4樹脂材42Cのアイゾット衝撃強度については、製品の耐衝撃(割れ易さ回避)の関係から、4.0乃至25.0kJ/m
2の範囲が大まかな実用範囲であり、更に、5.0乃至15.0kJ/m
2の範囲が好適な実用範囲である。
【0025】
また、PP成分とPE成分を混合する場合、本願発明者等の実験結果として、以下の特性を有することを承知している。即ち、
図2は、RP材料(PPとPEからなる樹脂材)に対するPE含有比率と、ウエルド強度の関係を示すグラフであり、
図2の縦軸はウエルド強度(MPa)を示し、
図2の横軸はPEの含有比率に示す。
図2によれば、PEの含有比率が0%(この場合のウエルド強度は32.6MPaである。)から、含有比率50%(この場合のウエルド強度は19.0MPaである。)に向かって、徐々に下がる傾向がある。そして、
図2においてPEの含有比率が30%でウエルド強度が23.0MPa程度であって、PEの含有比率が0%乃至30%の範囲(好ましくは、0%乃至20%の範囲)であれば、ウエルド強度は十分に保たれて(即ち強度保持率は70%以上である)、製品化において問題が生じない程度の強度(許容状況)であると把握する。ウエルド強度の測定方法は、中央にウエルドが形成された150×100×4mmの試験片を用い、JIS K7161で定める条件で測定した。
本実施の形態のような第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C等のPP主成分となる樹脂材(以下「PP主成分樹脂材」と称す。)と第1樹脂材41を混合する場合(PPとPE以外の異物が混入してもウエルド強度において概ね無視できる。)、PP主成分樹脂材と第1樹脂材41に対するPEの含有比率が、0%乃至30%で
図2のグラフが適用されることが分かった。その結果PEの含有比率が0乃至30%の範囲であれば、RP材料の製品強度としての許容範囲を維持できることが分かった。
次に
図5を用いて、RP材料から成形される製品の材料特性(商品特性)について説明する。製品の材料特性は、溶融混練後のRP材料の特定範囲(成分分析した成分量と材料物性値)に関連付け付けられる。また、材料物性が特定範囲は、製品使用上の観点から、優先的に適用する「優先適用 高」と、「優先適用 低」(優先適用「高」よりも低い)に分けることができる。
図5によれば、「PEの含有量が30重量%以下であること」が、「優先適用 高」になる。また「溶融混練後のRP材料の無機フィラー成分の含有量が16重量%以下であること」、「溶融混練後のRP材料の物性として、密度が1.1g/cm
3以下であること」、「MFRが4.0g/10min以上であること」、「曲げ弾性率1000MPa以上であること」、更に、「アイゾット衝撃強度が5.0kJ/m
2以上であること」が「優先適用 低」である。この場合、「優先適用 高」で定める条件を、最優先の条件と定める。そして、「優先適用 低」で定める上記条件の範疇で、製品の特徴等に応じて、条件を適宜設定する方法を選定し、RP材を用いた製品設計の際の柔軟性を担保する。なお、優先適用の高低は、一律ではなく製品の使用環境及び製品の特徴等に応じて変わることがあり、特に、「優先適用 低」に関するものは、製品の使用環境及び製品の特徴等に応じて変更できる。
【0026】
次に本実施の形態の製造方法に関し、
図3に示すフローチャートを用いて説明する。
図3において、最終的なRP材料から成形される、製品化予定の商品の材料特性を予め把握する。最初に、製品化予定の商品の材料特性を把握し、その材料特性を構成する成分分析(この場合「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分比率)の他、材料物性(密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度)を把握する。以下、このステップを商品特性把握ステップS1と称し、
図3では「S1」と略記する。なお、成分分析した数値、及び材料物性値の双方を総称して商品特性(材料特性)と称す。
次に、第1樹脂材41の成分分析し、更に材料物性値を測定する(ステップS2)。以下、このステップを成分分析・材料物性測定ステップS2と称し、
図3では「S2」と略記する。この場合、第1樹脂材41を溶融混練し、第1樹脂材41の「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する(ステップS2)。ステップS2の材料特性を測定する材料特性測定ステップが、請求項の「第1測定ステップ」に該当する。
次に、第1樹脂材41の成分分析及び材料物性の結果と、商品特性把握ステップS1で把握する成分分析及び材料物性の結果を対比して検証する(ステップS3)。以下、このような対比検証ステップを対比検証ステップS3と称し、
図3では「S3」と略記する。
【0027】
ステップS4では、第2樹脂材42Aの成分分析し、更に材料物性値を測定する。以下、第2樹脂材42Aの成分分析値及び材料物性値を測定するステップを成分分析・材料物性測定ステップS4と称し、
図3では「S4」と略記する。この場合、第2樹脂材42A単体を溶融混練し、混練後の第2樹脂材42Aの「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する。ステップS4における第2樹脂材42Aの材料特性を測定する材料特性測定ステップが、請求項の「第2測定ステップ」に該当する。なお、仮に、第2樹脂材42Aの使用予定がない場合は、第2樹脂材42Aの材料特性の測定を行うことは不要とする。
【0028】
ステップS5では、第3樹脂材42Bの成分分析し、更に材料物性値を測定する。以下、第3樹脂材42Bの成分分析値及び材料物性値を測定するステップを成分分析・材料物性測定ステップS5と称し、
図3では「S5」と略記する。この場合、第3樹脂材42B単体を溶融混練し、混練後の第3樹脂材42Bの「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する。なお、仮に、第3樹脂材42Bの使用予定がない場合は、樹脂材42Bの材料特性の測定を行うことは不要とする。ステップS5における第3樹脂材42Bの材料特性を測定する材料特性測定ステップが、請求項の「第2測定ステップ」に該当する。
ステップS6では、第4樹脂材42Cの成分分析し、更に材料物性値を測定する。以下、第4樹脂材42Cの成分分析値及び材料物性値を測定するステップを成分分析・材料物性測定ステップS6と称し、
図3では「S6」と略記する。この場合、第4樹脂材42C単体を溶融混練し、混練後の第4樹脂材42Cの「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する。ステップS6における第4樹脂材42Cの材料特性を測定する材料特性測定ステップが、請求項の「第2測定ステップ」に該当する。なお、仮に、第4樹脂材42Cの使用予定がない場合は、第4樹脂材42Cの材料特性の測定を行うことは不要とする。
【0029】
ステップS7では、ステップS2で測定された第1樹脂材41の材料特性、ステップS4乃至S6で測定された第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cの材料特性を基に、第1樹脂材41の投入量の他、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cのうちのいずれか1種類(必要なら2種類以上を混合するもの)の投入量を算定する。以下、投入量を算定するステップを投入量算定ステップS7と称し、
図3では「S7」と略称する。)投入量算定ステップS7が請求項の「算定ステップ」に該当する。なお、投入量算定された第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cのうちのいずれか1種類(必要なら2種類以上を混合するもの)が溶融混練され成形された樹脂材について、混合第2乃至第4樹脂材44と称する。この際、ステップS6で成分分析値及び材料物性値が測定された第1樹脂材41のPEの成分量が、RP材料のPEの想定成分値より高い場合、第1樹脂材41の投入量を、予め定める想定投入量より減らすと共に、混合第2乃至第4樹脂混合物44の投入量を、予め定める想定投入量より増やす工程を行うのが好ましい。
ステップS8では、S7で投入量が算定された第1樹脂材41と、S7で投入量が算定された混合第2乃至第4樹脂材44との両方を投入し、溶融混練され成形される第1樹脂材41及び混合第2乃至第4樹脂材44の成形物45(以下「成形第1乃至第4樹脂材45」と称す。)の成分分析し、更に材料物性値を測定する(以下、このステップを成分分析・材料物性測定ステップS8と称し、
図3では「S8」と略記する。この場合、成形第1乃至第4樹脂材45の「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する。仮に、溶融混練後の材料特性(成形第1乃至第4樹脂材45)の無機フィラー成分が特定範囲内に入る場合、無機フィラー材43の追加の投入が不要となる。(この場合、特定範囲は、溶融混練後のRP材料の無機フィラー成分の含有量が16重量%以下であるので、含有量が16重量%を超えると目標(特定範囲)を超えることになり、追加の無機フィラー材43の投入は不要となる。)
【0030】
ステップS9では、成形第1乃至第4樹脂材45に関し、RP材料の溶融混練後の材料特性が、S1で把握する商品特性(材料特性)が目標(特定範囲)内となるように、無機フィラー材43の投入量を求める。以下、無機フィラー材43の投入量を求めるステップを算定ステップS9と称し、
図3では「S9」と略記する。材料特性の無機フィラー成分が特定範囲内に入る場合、前記無機フィラー材43の投入を無くすことができる。投入量算定ステップS9が請求項の「投入量算定ステップ」に該当する。
ステップS10では、S9において投入量が算定された無機フィラー材43と、算定された成形第1乃至第4樹脂材45を投入し、溶融混練し成形される無機フィラー材43と成形第1乃至第4樹脂材45の成形物(以下「成形最終体46」と称す。)の材料特性を測定する(以下、成形最終体46の成分分析値や材料物性値を測定するステップを成分分析・材料物性測定ステップS10と称し、
図3では「S10」と略記する。この場合、成形最終体46の「PP成分、PE成分、その他成分、無機フィラー材」の成分分析の他、材料物性である「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」を測定する。
ステップS11では、成形最終体46の成分分析及び材料物性の結果と、商品特性把握ステップS1で把握する成分分析及び材料物性の結果を対比して検証する。以下、このような対比検証ステップを対比検証ステップS11と称し、
図3では「S11」と略記する。対比検証の結果、成形最終体46の材料の成分が不適切であると判断する場合、無機フィラー材43と成形第1乃至第4樹脂材45の投入量を調整する工程を行う。
ステップS11では、溶融混練し成形される成形最終体46が、S1で把握する商品特性(材料特性)の目標を達成できると判断すると、次のステップS12に進む。ステップS12では、成形最終体46と同様なものを大量に製造する製造工程に進む。
【0031】
図4の表1に示す第1樹脂材41の場合、市場での流通量が多いが、曲げ弾性率が1000MPa以下である(
図5に示す曲げ弾性率1000MPaに達しない。)。このため第1樹脂材41単体ではRP材料を製造しにくい。一方、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C(
図4表2乃至表4参照)が示す「密度、MFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度」は、
図5に示す水準に達しており、第2乃至第4樹脂材樹脂材42A、42B、42Cを用いる場合はRP材料を製造できることが分かる。但し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの流通については、RP材料の購入希望会社及び販売会社間の商取引の関係が深くなっており、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの流通量が減少する状況になると、希望時に市場から希望数量の第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを入手しにくい。
ところで、本願発明者等が、これまでに蓄積した実験データや知見等から導出したものとして、第1樹脂材41、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを成分分析し材料物性を測定した結果、第1樹脂材41に対する第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの投入量を調整して混合溶融混練することで、例えば成形第1乃至第4樹脂材45等のPP成分が増え、曲げ弾性率の数値が上がって、成形最終体46等は製品化に利用できることが分かった。特に、第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cを成分分析し材料物性を測定した結果、第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cにおいては、PP、PE及び無機フィラー成分を少なくとも含み、第2乃至第4リサイクル樹脂材42A、42B、42CのPPの含有量が、第1樹脂材41のPEの含有量より多く、且つ、第1樹脂材41のPEの含有量が、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42CのPEの含有量より多いことが分かった。
そして、第1樹脂材41のPEの成分量が、溶融混練後のRP材料のPEの想定成分値より高いことを想定できる場合、第1樹脂材41の投入量を予め定める想定投入量より減らすと共に、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合して投入する投入量を予め定める想定投入量より増やす方法が有効であることを見出した。その結果、第1樹脂材41単体は、流通量が大きいものの、曲げ弾性率が1000MPa以下であるため使用用途が限定的であったのが、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C等を第1樹脂材41に対し混入させ配合比率を適切に設定する方策を採用することで、溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、更に、曲げ弾性率等の数値が上がって、第1樹脂材41の使用用途に展望が開ける状況になった。即ち、第1樹脂材41に対する第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの投入量を調整し溶融混練する製造方法の場合、
図6乃至
図11に示すような配合比率で、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを投入させ、これらを混入させ溶融混練させることで、第1樹脂材41の特性が向上して有効利用できることが分かった。以下この方法の具体例について、
図6乃至
図11を用いて開示する。
図12は、
図6乃至
図11の上記の結果を纏めたものである。
【0032】
比較例1乃至12及び実施例1乃至5について、
図6乃至
図12を参照して説明する。比較例1乃至12及び実施例1乃至12は、
図4の表1の第1樹脂材41の材料3を使用する共に、
図4の表2の第2樹脂材42Aの材料2を使用する。もっとも、
図4の表1の第1樹脂材41の材料3以外を使用してもよく、また、
図4の表2の第2樹脂材42Aの材料2以外を使用しても良い。
(比較例1及び実施例1)
最初に、第3樹脂材42B、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41及び第2樹脂材42Aのみを利用する状況下で、第1樹脂材41及び第2樹脂材42Aの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例1及び実施例1においては、第3樹脂材42B、第4樹脂材42C及び無機フィラー43を使用せずに、第2樹脂材42Aを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。
比較例1の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第2樹脂材42A(45重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。これに対し実施例1の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)と、第2樹脂材42A(50重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44を溶融混練した第1乃至第4樹脂混合物45とからなる。この場合、無機フィラー43を使用しないため成形第1乃至第4樹脂材45が成形最終体46となる。
成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると、内訳は以下の通りである。即ち、比較例1では、PP成分は66.9重量%、PE成分は31.1重量%、その他樹脂成分は0.9重量%、無機フィラー材の成分は1.2重量%、材料密度は0.94g/cm
3、MFRは8.4g/10min、曲げ弾性率は1100MPa、アイゾット衝撃強度は7.0kJ/m
2である。この結果、比較例1ではPE成分は31.1重量%(背景色有)で、特定範囲であるPE成分は30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例1の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第2樹脂材42A(45重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例1では、第1樹脂材41(50重量%)及び第2樹脂材42A(50重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例1では、PP成分は69.5重量%、PE成分は28.5重量%、その他樹脂成分は0.9重量%、無機フィラー材の成分は1.1重量%、材料密度は0.94g/cm
3、MFRは9.4g/10min、曲げ弾性率は1118MPa、アイゾット衝撃強度は7.0kJ/m
2になる。この実施例1では、PE成分は28.5重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm
3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m
2以上であること」の条件を満たしている。比較例1及び実施例1の結果から、第3樹脂材42B、第4樹脂材42C及び無機フィラー43を十分に入手できない状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第2樹脂材42Aの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、RP材料の剛性や耐衝撃性等が向上したので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0033】
(比較例2及び実施例2)
次に、第2樹脂材42A、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41及び第3樹脂材42Bのみを利用する状況下で、第1樹脂材41及び第3樹脂材42Bの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例2及び実施例2においては、無機フィラー43、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cを使用せずに、第3樹脂材42Bを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例2の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第3樹脂材42B(45重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。これに対し実施例2の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(50重量%)と、第3樹脂材42B(50重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。
成形最終体46を成分分析し材料物性を測定すると、この内訳値は以下の通りである。即ち、比較例2では、PP成分は54.3重量%、PE成分は32.0重量%、その他樹脂成分は2.9重量%、無機フィラー材の成分は10.9重量%、材料密度は1.01g/cm3、MFRは8.1g/10min、曲げ弾性率は1517MPa、アイゾット衝撃強度は10.8kJ/m2である。この結果、比較例2ではPE成分は32.0重量%(背景色有)で、特定範囲であるPE成分は30重量%以下の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41の材料3、第2乃至第4樹脂混合物44及び無機フィラー43間の比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例2の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第3樹脂材42B(45重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例2では、第1樹脂材41(50重量%)及び第3樹脂材42B(50重量%)の配合を変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例2では、PP成分は55.5重量%、PE成分は29.5重量%、その他樹脂成分は3.1重量%、無機フィラー材の成分は11.9重量%、材料密度は1.01g/cm3、MFRは9.0g/10min、曲げ弾性率は1581MPa、アイゾット衝撃強度は11.4kJ/m2になる。この実施例2では、PE成分は29.5重量%であって、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが8.1g/10minから9.0g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1517MPaから1581MPaに増加することが分かった。
この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例2及び実施例2の結果から、第2樹脂材42A、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41及び第3樹脂材42Bを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第3樹脂材42Bの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0034】
(比較例3及び実施例3)
次に、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41及び第4樹脂材42Cのみを利用する状況下で、第1樹脂材41及び第4樹脂材42Cの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例3及び実施例3においては、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び無機フィラー43を使用せずに、第4樹脂材42Cを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例3の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(55重量%)と、第4樹脂材42C(45重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。これに対し実施例3の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(45重量%)と、第4樹脂材42C(55重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。
成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると、この内訳値は以下の通りである。即ち、比較例3では、PP成分は63.7重量%、PE成分は32.4重量%(背景色有)、その他樹脂成分は1.2重量%、無機フィラー材の成分は2.7重量%、材料密度は0.96g/cm3、MFRは5.9g/10min、曲げ弾性率は1063MPa、アイゾット衝撃強度は6.8kJ/m2である。この結果、比較例3ではPE成分は32.4重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例3の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第4樹脂材42C(45重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例3では、第1樹脂材41(45重量%)及び第4樹脂材42C(55重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例3では、PP成分は68.3重量%、PE成分は27.6重量%、その他樹脂成分は1.2重量%、無機フィラー材の成分は2.9重量%、材料密度は0.95g/cm3、MFRは6.8g/10min、曲げ弾性率は1091MPa、アイゾット衝撃強度は6.8kJ/m2になる。この実施例3では、PE成分は27.6重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが5.9g/10minから6.8g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1063MPaから1091MPaに増加することが分かった。この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例3及び実施例3の結果から、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41及び第4樹脂材42Cを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第4樹脂材42Cの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0035】
(比較例4及び実施例4)
次に、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び無機フィラー43のみを利用する状況下で、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び無機フィラー43の成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例4及び実施例4においては、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cを使用せずに、第2樹脂材42Aを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例4の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第2樹脂材42A(35重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)とからなる。これに対し実施例4の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)と、第2樹脂材42Aの(40重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)とからなる。
第1乃至第4樹脂混合物45及び無機フィラー43を溶融混練した成形最終体46に関し、成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例4では、PP成分は57.3重量%、PE成分は30.8重量%(背景色有)、その他樹脂成分は0.9重量%、無機フィラー材の成分は11.1重量%、材料密度は1.01g/cm3、MFRは6.3g/10min、曲げ弾性率は1495MPa、アイゾット衝撃強度は5.5kJ/m2である。この結果、比較例4ではPE成分は30.8重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例4の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第2樹脂材42A(35重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例4では、第1樹脂材41(50重量%)及び第2樹脂材42A(40重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例4では、PP成分は59.9重量%、PE成分は28.2重量%、その他樹脂成分は0.8重量%、無機フィラー材の成分は11.1重量%、材料密度は1.01g/cm3、MFRは7.2g/10min、曲げ弾性率は1522MPa、アイゾット衝撃強度は5.5kJ/m2になる。この実施例4では、PE成分は28.2重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが6.3g/10minから7.2g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1495MPaから1522MPaに増加することが分かった。この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例4及び実施例4の結果から、第3樹脂材42B及び第4樹脂材42Cの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び無機フィラー43を利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第2樹脂材42Aの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0036】
(比較例5及び実施例5)
次に、第2及び第3樹脂材42A、42Bの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第4樹脂材42C及び無機フィラー43のみを利用する状況下で、第1樹脂材41、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例5及び実施例5においては、第2及び第3樹脂材42A、42Bを使用せずに、第4樹脂材42Cを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例5の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第4樹脂材42C(35重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)とからなる。これに対し実施例5の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)と、第4樹脂材42C(40重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)とからなる。
第1乃至第4樹脂混合物45及び無機フィラー43を溶融混練した成形最終体46に関し、成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例5では、PP成分は、54.8重量%、PE成分は31.8重量%(背景色有)、その他樹脂成分は1.1重量%、無機フィラー材の成分は12.3重量%、材料密度は1.02g/cm3、MFRは4.7g/10min、曲げ弾性率は1451MPa、アイゾット衝撃強度は5.4kJ/m2である。この結果、比較例5ではPE成分は31.8重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下である。」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例5の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第4樹脂材42C(35重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例5では、第1樹脂材41(50重量%)及び第4樹脂材42C(40重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例5では、PP成分は57.1重量%、PE成分は29.4重量%、その他樹脂成分は1.1重量%、無機フィラー材の成分は12.4重量%、材料密度は1.02g/cm3、MFRは5.1g/10min、曲げ弾性率は1472MPa、アイゾット衝撃強度は5.4kJ/m2になる。そして、実施例5では、PE成分は29.4重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが4.7g/10minから5.1g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1451MPaから1472MPaに増加することが分かった。
この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例5及び実施例5の結果から、第2及び第3樹脂材42A、42Bの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第4樹脂材42C及び無機フィラー43のみを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第4樹脂材42Cの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0037】
(比較例6及び実施例6)
次に、第3樹脂材42B及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cのみを利用する状況下で、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例6及び実施例6においては、第3樹脂材42B及び無機フィラー43を使用せずに、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と、第2乃至第4樹脂混合物44とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例6の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)、第2樹脂材42A(25重量%)及び第4樹脂材42C(20重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。これに対し実施例6の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)、第2樹脂材42A(30重量%)及び第4樹脂材42C(20重量%)からなる。この場合、無機フィラー43を使用しないため成形第1乃至第4樹脂材45が成形最終体46となる。
成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例6では、PP成分は65.5重量%、PE成分は31.7重量%(背景色有)、その他樹脂成分は1.0重量%、無機フィラー材の成分は1.9重量%、材料密度は0.95g/cm3、MFRは7.2g/10min、曲げ弾性率は1083MPa、アイゾット衝撃強度は6.9kJ/m2である。この結果、比較例6ではPE成分は31.7重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例6の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第2樹脂材42A(25重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例6では、第1樹脂材41(50重量%)及び第2樹脂材42A(30重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例6では、PP成分は68.1重量%、PE成分は29.1重量%、その他樹脂成分は1.0重量%、無機フィラー材の成分は1.8重量%、材料密度は0.95g/cm3、MFRは8.0g/10min、曲げ弾性率は1101MPa、アイゾット衝撃強度は6.9kJ/m2になる。そして、実施例6では、PE成分は29.1重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが7.2g/10minから8.0g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1083MPaから1101MPaに増加することが分かった。この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。
比較例6及び実施例6の結果から、第3樹脂材42B及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cのみを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第2樹脂材42Aの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0038】
(比較例7及び実施例7)
次に、第3樹脂材42Bの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A、第4樹脂材42C及び無機フィラー43を利用する状況下で、第1樹脂材41、第2樹脂材42A、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例7及び実施例7においては、第3樹脂材42Bを使用せずに、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例7の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第2樹脂材42A(20重量%)及び第4樹脂材42C(15重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)からなる。実施例7の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)、第2樹脂材42Aの材料2(20重量%)及び第4樹脂材42C(20重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)からなる。
第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(10重量%)を溶融混練した成形最終体46(第1乃至第4樹脂混合物45)を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例7では、PP成分は56.2重量%、PE成分は31.2重量%、その他樹脂成分は1.0重量%、無機フィラー材の成分は11.6重量%、材料密度は1.02g/cm3、MFRは5.6g/10min、曲げ弾性率は1476MPa、アイゾット衝撃強度は5.4kJ/m2である。この結果、比較例7ではPE成分は31.2重量%(背景色有)であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例7の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第4樹脂材42C(15重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例7では、第1樹脂材41(50重量%)及び第4樹脂材42C(20重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例7では、PP成分は58.5重量%、PE成分は28.8重量%、その他樹脂成分は1.0重量%、無機フィラー材の成分は11.7重量%、材料密度は1.02g/cm3、MFRは6.0g/10min、曲げ弾性率は1497MPa、アイゾット衝撃強度は5.5kJ/m2になる。そして、実施例7では、PE成分は28.8重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが5.6g/10minから6.0g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1476MPaから1497MPaに増加することが分かった。
この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例7及び実施例7の結果から、第3樹脂材42Bの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2樹脂材42A、第4樹脂材42C及び無機フィラー43を利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第4樹脂材42Cの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0039】
(比較例8及び実施例8)
次に、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2及び第3樹脂材42A、42Bのみを利用する状況下で、第1樹脂材41及び第2及び第3樹脂材42A、42Bの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例8及び実施例8においては、第4樹脂材42C及び無機フィラー43を使用せずに、第2及び第3樹脂材42A、42Bを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。この場合、無機フィラー43を使用しないため成形第1乃至第4樹脂材45が成形最終体46となる。比較例8の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(55重量%)及び第2乃至第4樹脂混合物44(第2樹脂材42A(25重量%)及び第3樹脂材42B(20重量%))からなる。実施例8の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(50重量%)及び第2乃至第4樹脂混合物44(第2樹脂材42A(30重量%)及び第3樹脂材42B(20重量%))からなる。
成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例8では、PP成分は61.3重量%、PE成分は31.5重量%(背景色有)、その他樹脂成分は1.8重量%、無機フィラー材の成分は5.5重量%、材料密度は0.97g/cm3、MFRは8.2g/10min、曲げ弾性率は1285MPa、アイゾット衝撃強度は8.5kJ/m2である。この結果、比較例8ではPE成分は31.5重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例8の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第2樹脂材42A(25重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例8では、第1樹脂材41(50重量%)及び第2樹脂材42A(30重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例8では、PP成分は63.9重量%、PE成分は28.9重量%、その他樹脂成分は1.8重量%、無機フィラー材の成分は5.4重量%、材料密度は0.97g/cm3、MFRは9.2g/10min、曲げ弾性率は1303MPa、アイゾット衝撃強度は8.5kJ/m2になる。そして、実施例8では、PE成分は28.9重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが8.2g/10minから9.2g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1285MPaから1303MPaに増加することが分かった。この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例8及び実施例8の結果から、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第2及び第3樹脂材42A、42Bを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第2樹脂材42Aの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0040】
(比較例9及び実施例9)
次に、第2樹脂材42A及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第3及び第4樹脂材42B、42Cのみを利用する状況下で、第1樹脂材41、第3及び第4樹脂材42B、42Cの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例9及び実施例9においては、第2樹脂材42A及び無機フィラー43を使用せずに、第3及び第4樹脂材42B、42Cを溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例9の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(55重量%)と、第3樹脂材42B(20重量%)及び第4樹脂材42C(25重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44とからなる。これに対し実施例9の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(50重量%)と、第3樹脂材42B(20重量%)及び第4樹脂材42C(30重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44からなる。
成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例9では、PP成分は59.5重量%、PE成分は32.2重量%(背景色有)、その他樹脂成分は2.0重量%、無機フィラー材の成分は6.3重量%、材料密度は0.98g/cm3、MFRは6.8g/10min、曲げ弾性率は1265MPa、アイゾット衝撃強度は8.3kJ/m2である。この結果、比較例9ではPE成分は32.2重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例9の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第4樹脂材42C(25重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例9では、第1樹脂材41(50重量%)及び第4樹脂材42C(30重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例9では、PP成分は61.8重量%、PE成分は29.8重量%、その他樹脂成分は2.0重量%、無機フィラー材の成分は6.4重量%、材料密度は0.98g/cm3、MFRは7.3g/10min、曲げ弾性率は1279MPa、アイゾット衝撃強度は8.3kJ/m2になる。そして、実施例9では、PE成分は29.8重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが6.8g/10minから7.3g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1265MPaから1279MPaに増加することが分かった。この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。
比較例9及び実施例9の結果から、第2樹脂材42A及び無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第3及び第4樹脂材42B、42Cを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第4樹脂材42Cの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0041】
(比較例10及び実施例10)
次に、無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cを利用する状況下で、第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42Cの成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例10及び実施例10においては、無機フィラー43を使用せずに、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの全て使い溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。この場合、無機フィラー43を使用しないため成形第1乃至第4樹脂材45が成形最終体46となる。比較例10の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第2樹脂混合物42A(20重量%)、第3樹脂材42Bの材料2(15重量%)及び第4樹脂材42C(10重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44からなる。
実施例10の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41の材料3(50重量%)と、第2樹脂混合物42A(25重量%)、第3樹脂材42B(15重量%)及び第4樹脂材42C(10重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44からなる。成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例10では、PP成分は62.0重量%、PE成分は31.7重量%(背景色有)、その他樹脂成分は1.7重量%、無機フィラー材の成分は4.8重量%、材料密度は0.97g/cm3、MFRは7.7g/10min、曲げ弾性率は1231MPa、アイゾット衝撃強度は8.0kJ/m2である。この結果、比較例10ではPE成分は31.7重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例10の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第2樹脂材42A(20重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例10では、第1樹脂材41(50重量%)及び第2樹脂材42A(25重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例10では、PP成分は64.6重量%、PE成分は29.1重量%、その他樹脂成分は1.6重量%、無機フィラー材の成分は4.7重量%、材料密度は0.96g/cm3、MFRは8.5g/10min、曲げ弾性率は1248MPa、アイゾット衝撃強度は8.1kJ/m2になる。そして、実施例10では、PE成分は29.1重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。MFRが7.7g/10minから8.5g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1231MPaから1248MPaに増加することが分かった。
この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例10及び実施例10の結果から、無機フィラー43の使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第4樹脂材42A、42B、42Cを利用する状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第2樹脂材42Aの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0042】
(比較例11及び実施例11)
次に、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cの使用量を十分に入手できず、第1樹脂材41、第3樹脂材42B及び無機フィラー43を利用する状況下で、第1樹脂材41、第3樹脂材42B及び無機フィラー43の成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例11及び実施例11においては、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cを使用せずに、第3樹脂材42Bを使って溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例11の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)、第3樹脂材42B(40重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(5重量%)とからなる。これに対し実施例11の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)、第3樹脂材42B(45重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(5重量%)とからなる。
第1乃至第4樹脂混合物45及び無機フィラー43を溶融混練した成形最終体46に関し、成分分析し材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例11では、PP成分は50.9重量%、PE成分は31.7重量%(背景色有)、その他樹脂成分は2.7重量%、無機フィラー材の成分は14.8重量%、材料密度は1.04g/cm3、MFRは6.9g/10min、曲げ弾性率は1670MPa、アイゾット衝撃強度は9.2kJ/m2である。この結果、比較例11ではPE成分は31.7重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例11の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第3樹脂材42B(40重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例11では、第1樹脂材41(50重量%)及び第3樹脂材42B(45重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例11では、PP成分は52.1重量%、PE成分は29.3重量%、その他樹脂成分は2.9重量%、無機フィラー材の成分は15.8重量%、材料密度は1.04g/cm3、MFRは7.8g/10min、曲げ弾性率は1747MPa、アイゾット衝撃強度は9.8kJ/m2になる。そして、実施例11では、PE成分は29.3重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが6.9g/10minから7.8g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1670MPaから1747MPaに増加することが分かった。
なお、この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m2以上であること」の条件を満たしている。比較例11及び実施例11の結果から、第2樹脂材42A及び第4樹脂材42Cを十分に入手できない状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第3樹脂材42Bの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、曲げ弾性率等の数値が上がったので、このような配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
【0043】
(比較例12及び実施例12)
次に、第1樹脂材41、第2樹脂材42A、第3樹脂材42B、第4樹脂材42C及び無機フィラー43の全てを利用する状況下で、第1乃至第4樹脂材41、42A、42B、42C及び無機フィラー43の成分検出に基づき、配合比率を変更するRP材料の製造方法について開示する。
比較例12及び実施例12においては、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの全て使い溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と、無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。比較例12及び実施例12は、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの全て使い溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、第1樹脂材41と無機フィラー43とを溶融混練した成形第1乃至第4樹脂材45の成形最終体46を成形している。
比較例12の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(55重量%)と、第2樹脂材42A(20重量%)、第3樹脂材42B(10重量%)及び第4樹脂材42C(10重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(5重量%)とからなる。これに対し実施例12の成分(比率)に関しては、第1樹脂材41(50重量%)、第2樹脂材42A(20重量%)及び第3樹脂材42B(10重量%)及び第4樹脂材42C(15重量%)を溶融混練した第2乃至第4樹脂混合物44と、無機フィラー43(5重量%)とからなる。
第1乃至第4樹脂混合物45及び無機フィラー43を溶融混練した成形最終体46に関し、成形最終体46を成分分析し、材料物性を測定すると内訳は以下の通りである。即ち、比較例12では、PP成分は58.6重量%、PE成分は31.4重量%、その他樹脂成分は1.4重量%、無機フィラー材の成分は8.7重量%、材料密度は0.99g/cm
3、MFRは6.6g/10min、曲げ弾性率は1330MPa、アイゾット衝撃強度は6.8kJ/m
2である。この結果、比較例12ではPE成分は31.4重量%(背景色有)であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たさない。この状態を解決するため、第1樹脂材41と第2乃至第4樹脂混合物44との比率を変更する対策(投入量調整等)を行う。即ち、比較例12の場合では、第1樹脂材41(55重量%)及び第4樹脂材42C(10重量%)であった配合を、投入量を変更調整することで、実施例12では、第1樹脂材41(50重量%)及び第4樹脂材42C(15重量%)の配合に変更する。この投入量調整は、蓄積した実験データや知見等から導出したものを前提として、成分分析し材料物性を測定した結果に基づき行われる。
この結果、実施例12では、PP成分は60.9重量%、PE成分は29.0重量%、その他樹脂成分は1.4重量%、無機フィラー材の成分は8.8重量%、材料密度は0.99g/cm
3、MFRは7.1g/10min、曲げ弾性率は1347MPa、アイゾット衝撃強度は6.8kJ/m
2になる。そして、実施例12では、PE成分は29.0重量%であり、特定範囲(「優先適用 高」)である「PE成分が30重量%以下であること」の条件を満たす。また、MFRが6.6g/10minから7.1g/10minに増加し、更に、曲げ弾性率は1330MPaから1347MPaに増加することが分かった。なお、この場合、「優先適用 低」(特定範囲)である「材料密度が1.1g/cm
3以下であること、MFRが4.0g/10min以上であること、曲げ弾性率1000MPa以上であること、アイゾット衝撃強度は5.0kJ/m
2以上であること」の条件を満たしている。比較例12及び実施例12の結果から、第1樹脂材41、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C及び無機フィラー43の全てを利用できる状況でも、第1樹脂材41の投入量を減らし、PP成分を多く含む第4樹脂材42Cの投入量を増やす対応を採用すれば、第1樹脂材41が有効活用できることが分かる。この対応により溶融混練後のPE成分が減る一方PP成分が増え、RP材料の剛性や耐衝撃性等が向上したので、成分検出に基づく配合比率を変更する方法が有効であることが分かった。
この状況を検討するに、比較例1乃至12及び実施例1乃至12から明らかな様に、第1樹脂材41のMFRの値が4.0g/10min以下であるのに対し、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42CのMFRが第1樹脂材41に比べて高く、また、第1樹脂材41を第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cに混錬溶融した樹脂材のMFRの値が、4.0g/10min以上になっている事から、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを溶融混練した樹脂材は、第1樹脂材41に比べ、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を含めた材料物性が大きく向上している事が分かる。
図12は、
図6乃至
図11の結果を纏めたものであるが、第1樹脂材41の投入量を、予め定める想定投入量より減らすと共に、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものの投入量を、予め定める想定投入量より増やす方法が有効であることが分かる。
【0044】
以上、詳述した如く、本実施の形態の製造方法の発明によれば、本実施の形態のRP材料は、以下の構成要素を含むものである。即ち、(1)容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1樹脂材41の材料特性を測定する第1測定ステップ(S2)と、(2)容リ法の適用の対象外で家電リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第2樹脂材42Aと、(3)容リ法の適用の対象外で自動車リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第3樹脂材42Bと、(4)容リ法の適用の対象外で、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般のRP材料から得られる第4樹脂材42Cに関し、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの材料特性を測定する第2測定ステップ(S4乃至S6)と、第1測定ステップ及び第2測定ステップで測定された第1樹脂材41及び第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cに、前記第1樹脂材41の投入量、及び、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cの投入量のそれぞれを算定する算定ステップ(S7)と、第1樹脂材41、及び、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cに関し、算定された各投入量を基に、RP材料の溶融混練後の材料特性が特定範囲内となるように、無機フィラー材43の投入量を求める投入量算出ステップ(S9)を備える。
このような本実施の形態のRP材料の製造方法の場合、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cが混入され溶融混練されることで、RP材料の曲げ弾性率の数値が上がって、溶融混練した樹脂材(成形最終体46)は単独で利用が可能となる。この結果、非特許文献1(「2020年の廃プラスチックの使用状況」)の記載の如く、第1樹脂材41の流通量が大きいにもかかわらず有効活用できず、第1樹脂材41単体では使用用途が限定的であった状況が、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを混入させ溶融混練することで、その材料の材料物性(曲げ弾性率の数値等)が上がって、使用用途が限定的な状況が改善される。この結果流通量が多い第1樹脂材41に関し、従来に比べ、環境に配慮して活用することができ、容リ法が適用されるRP材料の利用を有効に進めることができる。
即ち、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cは、第1樹脂材41に比べ物性上優れ、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42C単体でリサイクルできるのに対し、流入量が多い第1樹脂材41は単体ではリサイクルし難い現状であり、また、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのうち、特に自動車リサイクル法由来、家電リサイクル法由来の樹脂材は、第1樹脂材41に比べ流通量が少なく、更に、RP材料の購入会社及び販売会社間でのビジネス上の結び付きが強く、流通市場から入手し難くリサイクルが進みにくい現況下、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを適切量混入させ溶融混練することで、溶融混練した樹脂材は、第1樹脂材41の物性に比べて優れる物性になってリサイクルの途を開くことができるので、流入量の多い第1樹脂材41においてリサイクルが大きく進む可能性が高く、総じてリサイクル全体が進むことで、産業上の奏する効果は極めて大きいものと言える。
【0045】
また、本実施の形態のRP材料は、以下の構成要素(1)乃至(4)を含むものである。即ち、「(1)容リ法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1樹脂材41と、(2)容リ法の適用の対象外で家電リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第2樹脂材42Aと、(3)容リ法の適用の対象外で自動車リサイクル法が適用されるRP材料から得られる第3樹脂材42Bと、(4)容リ法の適用の対象外で、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない、一般のRP材料から得られる第4樹脂材42Cと」を備え、前記第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものと、第1樹脂材41とを投入して溶融混練して成形される。このような本実施の形態のRP材料の場合、第1樹脂材41単体では利用用途が限定的であったのに対し、第1樹脂材41に対し第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cが混入され溶融混練される成形最終体46の場合、曲げ弾性率等の数値が上がって溶融混練した樹脂材は第1樹脂材41単独の場合と異なり、広範囲に利用できること分かった。この結果、流通量が多い第1樹脂材41が環境に配慮して活用することができ、容リ法が適用されるRP材料の利用を有効に進めることができる。
なお、本実施の形態によれば、第1樹脂材41に対し、第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cのいずれか一または二種類以上を用いて、投入量を調整する投入量調整方法を採用したが、必ずしも投入量調整方法を採用する必要はなく、適切な配合比率を最初から設定する方策を採用してもよい。
第1樹脂材41の物性を改善するために投入する第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cについては、リサイクル材以外のバージン材料を利用しても良いし、市場に出る前の第2乃至第4樹脂材42A、42B、42Cを利用してもよい。
【0046】
以下付記を記載する。付記1は以下の通りである。即ち、容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがあることがある)の材料特性を測定する第1測定ステップと、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、又は、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)、あるいは、容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法及び自動車リサイクル法のいずれも適用されない使用済みプスチックから得られる第4リサイクル樹脂材(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を測定する第2測定ステップと、前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップで測定された前記第1リサイクル樹脂材及び第2乃至第4リサイクル樹脂材の材料特性を基に、前記第1リサイクル樹脂材の投入量、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)の投入量のそれぞれを算定する算定ステップと、前記第1リサイクル樹脂材、及び、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの(無機フィラー成分を含むことがある)に関し、算定された各投入量を基に、リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の材料特性が特定範囲内となるように、新たな無機フィラー材の投入量を求める投入量算出ステップと、を有することを特徴とする。
付記2は以下の通りである。即ち、付記1に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法において、投入量算出ステップにおいて、前記リサイクルプラスチック材料の溶融混練後の無機フィラー成分が特定範囲の上限を超える場合、新たな無機フィラー材の投入を無くすことを特徴とする。
付記3は以下の通りである。即ち、付記1又は2に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法において、成形後のリサイクルプラスチックの材料物性が特定範囲とする際に、優先的に適用する優先適用順位に高低を設け、「優先適用 高」としてポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し30重量%以下にすることを定め、且つ「優先適用 低」としてMFRが4.0g/10min以上となることを少なくとも含めることを特徴とする。
付記4は以下の通りである。即ち、付記1乃至3のいずれか一に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法において、第1乃至第4リサイクル樹脂材のいずれもが、ポリプロピレン及びポリエチレンを少なくとも含み、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量は、前記第1リサイクル樹脂材のポリプロピレンの含有量より多く、且つ、前記第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量は、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のポリエチレンの含有量より多いものが選定されることを特徴とする。
付記5は以下の通りである。即ち、付記1乃至4のいずれか一に記載のリサイクルプラスチック材料の製造方法において、第1リサイクル樹脂材のポリエチレンの成分量が、リサイクルプラスチック材料のポリエチレンの想定成分値より高いことが想定できる場合、第1リサイクル樹脂材の投入量を、予め定める想定投入量より減らすと共に、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するもの投入量を、予め定める想定投入量より増やす投入量調整ステップを備えることを特徴とする。
付記6は以下の通りである。即ち、容器包装リサイクル法が適用される使用済みプラスチック製容器包装から得られる第1リサイクル樹脂材と、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、家電リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第2リサイクル樹脂材と、前記容器包装リサイクル法の適用の対象外で、自動車リサイクル法が適用される使用済みプラスチックから得られる第3リサイクル樹脂材と、前記容器包装リサイクル法、前記家電リサイクル法及び前記自動車リサイクル法のいずれも適用されない、使用済みプラスチックから得られる第4リサイクル樹脂材と、第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものと、前記第1リサイクル樹脂材とを投入して溶融混練して成形されることを特徴とする。
付記7は以下の通りである。即ち、付記6に記載のリサイクルプラスチック材料において、成形後のリサイクルプラスチック材料は、ポリプロピレン及びポリエチレン、無機フィラーを少なくとも含み、ポリプロピレンの含有量がポリエチレンの含有量より多く、且つ、ポリエチレンの含有量が、リサイクルプラスチック材料の全重量に対し、30重量%以下となるように調整配合されていることを特徴とする。
付記8は以下の通りである。即ち、付記6及び7に記載のリサイクルプラスチック材料において、前記第2乃至第4リサイクル樹脂材のうちのいずれか1種類又は少なくとも2種類以上を混合するものは、前記第1リサイクル樹脂材に比べ、MFRの値が高いことを特徴とする。
付記9は以下の通りである。即ち、付記6乃至8のいずれか一に記載のリサイクルプラスチック材料において、成形後のリサイクルプラスチック材料のMFRの値が、4.0g/10min以上となることを特徴とする。
【符号の説明】
【0047】
41 第1リサイクル樹脂材(第1樹脂材)
42A 第2樹脂材(家電リサイクル材由来)
42B 第3樹脂材(自動車リサイクル材由来)
42C 第4樹脂材(一般リサイクル材由来)
43 無機フィラー材
S2 第1測定ステップ
S4乃至S6 第2測定ステップ
S7 算定ステップ
S9 投入量算出ステップ