(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134518
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】二酸化炭素電解装置及び二酸化炭素電解方法
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20240926BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240926BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20240926BHJP
C25B 3/07 20210101ALI20240926BHJP
C25B 3/26 20210101ALI20240926BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240926BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240926BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20240926BHJP
C25B 15/027 20210101ALI20240926BHJP
C25B 15/031 20210101ALI20240926BHJP
C25B 15/033 20210101ALI20240926BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C25B9/00 G
C25B1/23
C25B3/03
C25B3/07
C25B3/26
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B9/23
C25B15/023
C25B15/027
C25B15/031
C25B15/033
C25B15/08 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007713
(22)【出願日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2023044168
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、環境省、二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業「人工光合成技術を用いた電解による地域のCO2資源化検討事業」委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小藤 勇介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直也
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 智
(72)【発明者】
【氏名】北川 良太
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AA09
4K021AC02
4K021AC05
4K021BA02
4K021BB01
4K021BB02
4K021BB04
4K021BC01
4K021BC05
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA12
4K021DB18
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC15
4K021EA06
(57)【要約】
【課題】隔膜の損傷及びそれに基づく電解セルの性能低下や故障等を防ぐことを可能にした二酸化炭素電解装置を提供する。
【解決手段】実施形態の二酸化炭素電解装置1は、カソード21とアノード11とカソード流路22とアノード流路12と隔膜30とを備える電解セル2と、二酸化炭素供給部4と、電解溶液供給部4と、電解溶液供給部4とアノード流路12の一端側に設けられた第1開口121とを接続する第1配管51、アノード流路12の他端側に設けられた第2開口122に接続された第2配管52、及び電解溶液供給部3とアノード流路の第2開口122とを接続する第3配管を備える電解溶液外部流路と、電解溶液が第1開口121から第2開口122に向けて流れる第1流と電解溶液が第2開口122から第1開口121に向けて流れる第2流とを切替える電解溶液切替機構とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を還元して炭素化合物を生成するためのカソードと、水を酸化して酸素を生成するためのアノードと、前記アノードに水を含む電解溶液を供給する、一端側に設けられた第1開口及び他端側に設けられた第2開口を有するアノード流路と、前記カソードに二酸化炭素を供給する、一端側に設けられた第3開口及び他端側に設けられた第4開口を有するカソード流路と、前記アノードと前記カソードとを分離する隔膜とを備える電解セルと、
前記カソード流路に前記二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給部と、
前記アノード流路に前記電解溶液を供給するための電解溶液供給部と、
前記電解溶液供給部と前記アノード流路の前記第1開口とを接続する第1配管と、前記アノード流路の前記第2開口に接続された第2配管と、前記電解溶液供給部と前記アノード流路の前記第2開口とを接続する第3配管とを備える電解溶液外部流路、及び前記二酸化炭素供給部と前記カソード流路の前記第3開口とを接続する第4配管と、前記カソード流路の前記第4開口に接続された第5配管と、前記二酸化炭素供給部と前記カソード流路の前記第4開口とを接続する第6配管とを備える二酸化炭素外部流路の少なくとも一方を備える外部流路と、
前記電解溶液が前記第1開口から前記アノード流路を介して前記第2開口に向けて流れる第1流と、前記電解溶液が前記第2開口から前記アノード流路を介して前記第1開口に向けて流れる第2流とを切替える電解溶液切替機構、及び前記二酸化炭素が前記第3開口から前記カソード流路を介して前記第4開口に向けて流れる第3流と、前記二酸化炭素が前記第4開口から前記カソード流路を介して前記第3開口に向けて流れる第4流とを切替える二酸化炭素切替機構の少なくとも一方を備える流路切替機構と
を具備する二酸化炭素電解装置。
【請求項2】
前記第1配管は、第1切替弁及び第2切換弁を有すると共に、前記第1切替弁及び前記第2切換弁を介して前記第1開口に接続されており、
前記第2配管は、第3切替弁及び第4切換弁を有すると共に、前記第3切替弁及び前記第4切換弁を介して前記第2開口に接続されており、
前記第3配管は、前記第1切替弁と前記第3切換弁とを接続する第1バイパス配管と、前記第2切替弁と前記第4切換弁とを接続する第2バイパス配管とを有し、
前記電解溶液切替機構は、前記第1切替弁、前記第2切換弁、前記第3切替弁、及び前記第4切換弁の動作を制御して、前記第1流と前記第2流とを切替えるように構成されている、請求項1に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項3】
さらに、前記アノード流路の前記第1開口、前記第2開口、前記第1配管、及び第2配管の少なくとも1つに設けられ、前記電解溶液の温度を計測する温度計を備える検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記第1流と前記第2流とを切替えるように、前記第1切替弁、前記第2切換弁、前記第3切替弁、及び前記第4切換弁の動作を制御する電解溶液切替制御部とを具備する、請求項2に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項4】
前記第4配管は、第5切替弁及び第6切換弁を有すると共に、前記第5切替弁及び前記第6切換弁を介して前記第3開口に接続されており、
前記第5配管は、第7切替弁及び第8切換弁を有すると共に、前記第7切替弁及び前記第8切換弁を介して前記第4開口に接続されており、
前記第6配管は、前記第5切替弁と前記第7切換弁とを接続する第3バイパス配管と、前記第6切替弁と前記第8切換弁とを接続する第4バイパス配管とを有し、
前記二酸化炭素切替機構は、前記第5切替弁、前記第6切換弁、前記第7切替弁、及び前記第8切換弁の動作を制御して、前記第3流と前記第4流とを切替えるように構成されている、請求項1に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項5】
さらに、前記カソード流路の前記第3開口、前記第4開口、前記第4配管、及び第5配管の少なくとも1つに設けられ、前記カソード流路から排出されるガスの濃度を計測するガス濃度計を備える検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記第3流と前記第4流とを切替えるように、前記第5切替弁、前記第6切換弁、前記第7切替弁、及び前記第8切換弁の動作を制御する二酸化炭素切替制御部とを具備する、請求項4に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項6】
前記電解溶液供給部は、第1電解溶液供給部と第2電解溶液供給部とを備え、
前記第1配管は、第1切替弁を有すると共に、前記第1切替弁を介して前記第1開口に接続されており、
前記第2配管は、第2切替弁及び第3切換弁を有すると共に、前記第2切替弁及び前記第3切換弁を介して前記第2開口に接続されており、
前記第3配管は、前記第2切替弁に接続された第1バイパス配管と、前記第1切替弁と前記第3切換弁とを接続する第2バイパス配管とを有し、
前記電解溶液切替機構は、前記第1切替弁、前記第2切換弁、及び前記第3切替弁の動作を制御して、前記第1電解溶液供給部からの前記電解溶液を含む前記第1流と、前記第2電解溶液供給部からの前記電解溶液を含む前記第2流とを切替えるように構成されている、請求項1に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項7】
前記二酸化炭素供給部は、第1二酸化炭素供給部と第2二酸化炭素供給部とを備え、
前記第4配管は、第5切替弁を有すると共に、前記第5切替弁を介して前記第3開口に接続されており、
前記第5配管は、第6切替弁及び第7切換弁を有すると共に、前記第6切替弁及び前記第7切換弁を介して前記第4開口に接続されており、
前記第6配管は、前記第6切替弁に接続された第1バイパス配管と、前記第5切替弁と前記第7切換弁とを接続する第2バイパス配管とを有し、
前記二酸化炭素切替機構は、前記第5切替弁、前記第6切換弁、及び前記第7切替弁の動作を制御して、前記第1二酸化炭素供給部からの前記二酸化炭素を含む前記第3流と、前記第2二酸化炭素供給部からの前記二酸化炭素を含む前記第4流とを切替えるように構成されている、請求項1に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項8】
さらに、前記アノード流路の前記第1開口、前記第2開口、前記第1配管、第2配管、前記カソード流路の前記第3開口、前記第4開口、前記第4配管、及び第5配管の少なくとも1つに設けられた温度計、圧力センサ、ガス濃度計、流量計、導電率計、及びpHセンサの少なくとも1つを備える検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記第1流と前記第2流とを切替えるように、前記電解溶液切替機構の動作を制御する電解溶液切替制御部、及び前記第3流と前記第4流とを切替えるように、前記二酸化炭素切替機構の動作を制御する二酸化炭素切替制御部の少なくとも一方とを具備する、請求項1に記載の二酸化炭素電解装置。
【請求項9】
電解セルのカソードに二酸化炭素供給部からカソード流路を介して二酸化炭素を含むガスを供給すると共、前記電解セルのアノードに電解溶液供給部からアノード流路を介して水を含む電解溶液を供給する工程と、
前記カソードと前記アノードとの間に電圧を印加し、二酸化炭素を還元して炭素化合物を生成する工程とを具備し、
前記二酸化炭素を含むガス及び前記水を含む電解溶液の供給工程は、
前記電解溶液供給部から前記アノード流路の一旦側に設けられた第1開口から他端側に設けられた第2開口に向けて前記水を含む電解溶液を供給する第1工程と、前記電解溶液供給部から前記アノード流路の前記第2開口から前記第1開口に向けて前記水を含む電解溶液を供給する第2工程とを備え、前記第1工程と前記第2工程とを切替えて実施する、及び/又は
前記二酸化炭素供給部から前記カソード流路の一旦側に設けられた第3開口から他端側に設けられた第4開口に向けて前記二酸化炭素を含むガスを供給する第3工程と、前記二酸化炭素供給部から前記カソード流路の前記第4開口から前記第3開口に向けて前記二酸化炭素を含むガスを供給する第4工程と備え、前記第3工程と前記第4工程とを切替えて実施する、二酸化炭素電解方法。
【請求項10】
前記第1工程は、前記電解溶液供給部と前記第1開口とを接続する第1配管、前記第1配管に設けられた第1切替弁及び第2切換弁、前記第2開口に接続された第2配管、及び前記第2配管に設けられた第3切替弁及び第4切換弁を介して、前記電解溶液供給部から前記アノード流路の前記第1開口から前記第2開口に向けて前記電解溶液を供給することにより実施され、
前記第2工程は、前記第1切替弁、前記第2切換弁、前記第3切替弁、及び前記第4切換弁を切替えて、前記第1切替弁と前記第3切換弁とを接続する第1バイパス配管と、前記第2切替弁と前記第4切換弁とを接続する第2バイパス配管とを介して、前記電解溶液供給部から前記アノード流路の前記第2開口から前記第1開口に向けて前記電解溶液を供給することにより実施される、請求項9に記載の二酸化炭素電解方法。
【請求項11】
前記電解溶液供給部は、第1電解溶液供給部と第2電解溶液供給部とを備え、
前記第1工程は、前記第1電解溶液供給部と前記第1開口とを接続する第1配管、前記第1配管に設けられた第1切替弁、前記第2開口に接続された第2配管、及び前記第2配管に設けられた第3切替弁及び第4切換弁を介して、前記第1電解溶液供給部から前記アノード流路の前記第1開口から前記第2開口に向けて前記電解溶液を供給することにより実施され、
前記第2工程は、前記第1切替弁、前記第2切換弁、及び前記第3切替弁を切替えて、前記第2電解溶液供給部と前記第2切換弁とを接続する第1バイパス配管と、前記第1切替弁と前記第3切換弁とを接続する第2バイパス配管とを介して、前記第2電解溶液供給部から前記アノード流路の前記第2開口から前記第1開口に向けて前記電解溶液を供給することにより実施する、請求項9に記載の二酸化炭素電解方法。
【請求項12】
前記第3工程は、前記二酸化炭素供給部と前記第3開口とを接続する第4配管、前記第4配管に設けられた第5切替弁及び第6切換弁、前記第4開口に接続された第5配管、及び前記第5配管に設けられた第7切替弁及び第8切換弁を介して、前記二酸化炭素供給部から前記カソード流路の前記第3開口から前記第4開口に向けて前記ガスを供給することにより実施され、
前記第4工程は、前記第5切替弁、前記第6切換弁、前記第7切替弁、及び前記第8切換弁を切替えて、前記第5切替弁と前記第7切換弁とを接続する第1バイパス配管と、前記第6切替弁と前記第8切換弁とを接続する第2バイパス配管とを介して、前記二酸化炭素供給部から前記カソード流路の前記第2開口から前記第1開口に向けて前記ガスを供給することにより実施される、請求項9に記載の二酸化炭素電解方法。
【請求項13】
前記二酸化炭素供給部は、第1二酸化炭素供給部と第2二酸化炭素供給部とを備え、
前記第3工程は、前記第1二酸化炭素供給部と前記第3開口とを接続する第4配管、前記第4配管に設けられた第5切替弁、前記第4開口に接続された第5配管、及び前記第5配管に設けられた第6切替弁及び第7切換弁を介して、前記第1二酸化炭素供給部から前記カソード流路の前記第3開口から前記第4開口に向けて前記ガスを供給することにより実施され、
前記第4工程は、前記第5切替弁、前記第6切換弁、及び前記第7切替弁を切替えて、前記第2二酸化炭素供給部と前記第6切換弁とを接続する第1バイパス配管と、前記第5切替弁と前記第7切換弁とを接続する第2バイパス配管とを介して、前記第2二酸化炭素供給部から前記カソード流路の前記第4開口から前記第3開口に向けて前記ガスを供給することにより実施する、請求項9に記載の二酸化炭素電解方法。
【請求項14】
前記第1工程と前記第2工程、及び/又は前記第3工程と前記第4工程との切替えは、前記アノード流路の前記第1開口、前記第2開口、前記第1配管、第2配管、前記カソード流路の前記第3開口、前記第4開口、前記第4配管、及び第5配管の少なくとも1つに設けられた温度計、圧力センサ、ガス濃度計、流量計、導電率計、及びpHセンサの少なくとも1つを備える検知部の検知結果に基づいて実施する、請求項9に記載の二酸化炭素電解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、二酸化炭素電解装置及び二酸化炭素電解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油や石炭といった化石燃料の枯渇が懸念され、持続的に利用できる再生可能エネルギーへの期待が高まっている。再生可能エネルギーとしては、太陽電池や風力発電等が挙げられる。これらは発電量が天候や自然状況に依存するため、電力の安定供給が難しいという課題を有している。そのため、再生可能エネルギーで発生させた電力を蓄電池に貯蔵し、電力を安定化させることが試みられている。しかし、電力を貯蔵する場合、蓄電池にコストを要したり、また蓄電時にロスが発生するといった問題がある。
【0003】
このような点に対して、再生可能エネルギーで発生させた電力を用いて、例えば二酸化炭素(CO2)を電気化学的に還元し、一酸化炭素(CO)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、メタン(CH4)、酢酸(CH3COOH)、エタノール(C2H5OH)、エタン(C2H6)、エチレン(C2H4)等の炭素化合物のような化学物質(化学エネルギー)に変換する技術が注目されている。CO2の電解装置では、例えばカソードにCO2ガスを接触させると共に、アノードに電解溶液を接触させる構造が検討されている。電解装置の具体的な構成としては、例えばカソードと、カソードに沿って配置されたCO2ガスのカソード流路と、アノードと、アノードに沿って配置された電解溶液のアノード流路と、これらの流路間に配置された隔膜とを備える電解セルが挙げられる。
【0004】
上記のような構成を有する電解装置を用いて、CO2から例えばCOを生成する反応を連続して実施した場合、電解溶液がアノード流路を通過するあいだに電解溶液の温度が上がり高温となるため、電解セルのアノード流路の出口側では熱交換があまり行われず高温となるおそれがある。アノード流路の出口側の温度が高温になると、隔膜や電極といった部材に損傷を生じさせる原因となる。さらに、カソード流路においても、流路後段で隔膜や電極といった部材に損傷を生じさせるおそれがある。そこで、アノード流路やカソード流路の出口側で生じる問題を抑制することによって、隔膜や電極といった部材の損傷及びそれに基づく電解セルの性能低下や故障等を防ぐことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-154901号公報
【特許文献2】特開2021-147680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、隔膜や電極といった部材の損傷及びそれに基づく電解セルの性能低下や故障等を防ぐことを可能にした二酸化炭素電解装置及び二酸化炭素電解方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の二酸化炭素電解装置は、二酸化炭素を還元して炭素化合物を生成するためのカソードと、水を酸化して酸素を生成するためのアノードと、前記アノードに水を含む電解溶液を供給する、一端側に設けられた第1開口及び他端側に設けられた第2開口を有するアノード流路と、前記カソードに二酸化炭素を供給する、一端側に設けられた第3開口及び他端側に設けられた第4開口を有するカソード流路と、前記アノードと前記カソードとを分離する隔膜とを備える電解セルと、前記カソード流路に前記二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給部と、前記アノード流路に前記電解溶液を供給するための電解溶液供給部と、前記電解溶液供給部と前記アノード流路の前記第1開口とを接続する第1配管と、前記アノード流路の前記第2開口に接続された第2配管と、前記電解溶液供給部と前記アノード流路の前記第2開口とを接続する第3配管とを備える電解溶液外部流路、及び前記二酸化炭素供給部と前記カソード流路の前記第3開口とを接続する第4配管と、前記カソード流路の前記第4開口に接続された第5配管と、前記二酸化炭素供給部と前記カソード流路の前記第4開口とを接続する第6配管とを備える二酸化炭素外部流路の少なくとも一方を備える外部流路と、前記電解溶液が前記第1開口から前記アノード流路を介して前記第2開口に向けて流れる第1流と、前記電解溶液が前記第2開口から前記アノード流路を介して前記第1開口に向けて流れる第2流とを切替える電解溶液切替機構、及び前記二酸化炭素が前記第3開口から前記カソード流路を介して前記第4開口に向けて流れる第3流と、前記二酸化炭素が前記第4開口から前記カソード流路を介して前記第3開口に向けて流れる第4流とを切替える二酸化炭素切替機構の少なくとも一方を備える流路切替機構とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置の第1の状態を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置の第2の状態を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置のアノード流路の第1の例及びアノード流路側の第1の状態を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置のアノード流路の第1の例及びアノード流路側の第2の状態を示す平面図である。
【
図5】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置におけるアノード流路及びカソード流路の第2の例を示す平面図である。
【
図6】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置におけるアノード流路及びカソード流路の第3の例を示す平面図である。
【
図7】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置におけるアノード流路及びカソード流路の第4の例を示す平面図である。
【
図8】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置におけるアノード流路とカソード流路との組合せの第1の例を示す平面図である。
【
図9】第1の実施形態の二酸化炭素電解装置におけるアノード流路とカソード流路との組合せの第2の例を示す平面図である。
【
図10】第2の実施形態の二酸化炭素電解装置の第1の状態を示す断面図である。
【
図11】第2の実施形態の二酸化炭素電解装置の第2の状態を示す断面図である。
【
図12】第3の実施形態の二酸化炭素電解装置の第1の状態を示す断面図である。
【
図13】第3の実施形態の二酸化炭素電解装置の第2の状態を示す断面図である。
【
図14】第4の実施形態の二酸化炭素電解装置の第1の状態を示す断面図である。
【
図15】第4の実施形態の二酸化炭素電解装置の第2の状態を示す断面図である。
【
図16】第5の実施形態の二酸化炭素電解装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の二酸化炭素電解装置について、図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1ないし
図4は第1の実施形態による二酸化炭素(CO
2)の電解装置を示す図であり、
図1は第1の実施形態の二酸化炭素電解装置の第1の状態を示す断面図、
図2は第1の実施形態の二酸化炭素電解装置の第2の状態を示す断面図、
図3は第1の実施形態の二酸化炭素電解装置のアノード流路側の第1の状態を示す平面図、
図4は第1の実施形態の二酸化炭素電解装置のアノード流路側の第2の状態を示す平面図である。
図1ないし
図4に示す二酸化炭素(CO
2)の電解装置1は、電解セル2と、電解セル2にアノード溶液としての電解溶液を供給する電解溶液供給部3と、電解セル2に二酸化炭素(CO
2)ガスを供給する二酸化炭素供給部4とを具備している。
【0011】
電解セル2は、アノード部10とカソード部20と隔膜30とを具備している。アノード部10は、アノード11、アノード流路12、及びアノード流路板13を備えている。カソード部20は、カソード21、カソード流路22、及びカソード流路板23を備えている。隔膜30は、アノード部10とカソード部20とを分離するように配置されている。電解セル2は、図示しない一対の集電板及び一対の支持板で挟み込まれ、さらにボルト等で締め付けられている。
図1ないし
図4では図示を省略しているが、アノード11及びカソード21には、それらに電流を流す電源が接続されている。電源は電流導入部材等を介してアノード11及びカソード21と電気的に接続されている。電源は、通常の系統電源や電池等に限られるものではなく、太陽電池、風力発電、地熱発電等の再生可能エネルギーで発生させた電力を供給する電力源であってもよい。
【0012】
アノード11は、電解溶液としてのアノード溶液中の水(H2O)又は水蒸気(H2O)の酸化反応を生起し、酸素(O2)を生成する電極(酸化電極)である。アノード11は、隔膜30と接する第1の面と、アノード流路12に面する第2の面とを有している。アノード11の第1の面は、隔膜30と密着している。アノード流路12は、アノード11にアノード溶液を供給するものであり、アノード流路板13に設けられたピット(溝部/凹部)により構成されている。アノード溶液は、アノード11と接するようにアノード流路12内を流通する。アノード流路板13は、アノード11の隔膜30と接する面とは反対側の面と電気的に接している。
【0013】
アノード流路板13には、
図3及び
図4に示すように、アノード流路12に接続された第1開口121及び第2開口122が設けられている。アノード流路12は、例えば
図3及び
図4に示すように、サーペンタイン構造の流路を有している。第1開口121及び第2開口122は後述するようにアノード流路12における溶液導入口及び溶液排出口として機能するものであり、電解溶液供給部3から第1開口121又は第2開口122を介してアノード溶液が導入される。さらに、第1開口121又は第2開口122を介してアノード溶液が排出され、電解溶液回収部31に回収される。アノード溶液は、電解溶液回収部31から電解溶液供給部3に向けて循環するように構成されていてもよい。
【0014】
アノード流路板13には、化学反応性が低く、かつ導電性が高い材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、TiやSUS等の金属材料、炭素材料等が挙げられる。アノード流路12には、複数のランド(凸部)131が設けられている。ランド131は、アノード流路12となる凹部を形成すると共に、機械的な保持と電気的な導通をとるように設けられている。ランド131は、アノード溶液の流れを均一化させるために、互い違いに設けることが好ましい。このようなランド131によって、アノード流路12は蛇行している。さらに、酸素(O2)ガスが混在するアノード溶液を良好に排出するためにも、アノード流路12にランド131を互い違いに設けることが好ましい。
【0015】
アノード11は、水(H2O)を酸化して酸素や水素イオンを生成することが可能で、そのような反応の過電圧を減少させることが可能な触媒材料(アノード触媒材料)で主として構成されることが好ましい。アノード触媒材料としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)等の金属、それらの金属を含む合金や金属間化合物、酸化マンガン(Mn-O)、酸化イリジウム(Ir-O)、酸化ニッケル(Ni-O)、酸化コバルト(Co-O)、酸化鉄(Fe-O)、酸化スズ(Sn-O)、酸化インジウム(In-O)、酸化ルテニウム(Ru-O)、酸化リチウム(Li-O)、酸化ランタン(La-O)等の二元系金属酸化物、Ni-Co-O、Ni-Fe-O、La-Co-O、Ni-La-O、Sr-Fe-O等の三元系金属酸化物、Pb-Ru-Ir-O、La-Sr-Co-O等の四元系金属酸化物、Ru錯体やFe錯体等の金属錯体が挙げられる。
【0016】
アノード11は、隔膜30とアノード流路12との間でアノード溶液やイオンを移動させることが可能な構造、例えばメッシュ材、パンチング材、多孔体、金属繊維焼結体等の多孔質構造を有する基材を備えている。基材は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等の金属やこれら金属を少なくとも1つ含む合金(例えばSUS)等の金属材料で構成してもよいし、上述したアノード触媒材料で構成してもよい。アノード触媒材料として酸化物を用いる場合には、上記した金属材料からなる基材の表面にアノード触媒材料を付着もしくは積層して触媒層を形成することが好ましい。アノード触媒材料は、酸化反応を高める上でナノ粒子、ナノ構造体、ナノワイヤ等を有していてもよい。ナノ構造体とは、触媒材料の表面にナノスケールの凹凸を形成した構造体である。
【0017】
カソード21は、例えば二酸化炭素(CO2)の還元反応を生起し、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、エチレン(C2H4)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)、エチレングリコール(C2H6O2)等の炭素化合物を生成する電極(還元電極)である。カソード21においては、二酸化炭素(CO2)の還元反応と同時に、水(H2O)の還元反応により水素(H2)を発生する副反応が生起される場合がある。カソード21は、隔膜30と接する第1の面と、カソード流路22に面する第2の面とを有している。
【0018】
CO2を含むガス(以下、CO2ガスとも記す。)の流路であるカソード流路22は、カソード流路板23に設けられたピット(溝部/凹部)により構成されている。カソード流路板23には、化学反応性が低く、かつ導電性が高い材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、TiやSUS等の金属材料、炭素材料等が挙げられる。カソード流路板23には、図示を省略したガスの導入口及び排出口が設けられている。図示しないガス導入口を介して、CO2供給部4からCO2ガスがカソード流路22に導入される。図示しないガス排出口を介して、COやH2等を含む反応生成物ガスがカソード流路22から排出され、排出されたガスは生成物回収部41に回収される。カソード流路板23は、カソード21の隔膜30と接している面とは反対側の面と電気的に接している。
【0019】
カソード21は、例えばガス拡散層とカソード触媒層とを有している。ガス拡散層とカソード触媒層との間には、ガス拡散層より緻密な多孔質層を配置してもよい。ガス拡散層はカソード流路22側に配置され、カソード触媒層は隔膜30側に配置される。カソード触媒層は、ガス拡散層の中に入り込んでいてもよい。カソード触媒層は、触媒ナノ粒子や触媒ナノ構造体等を有することが好ましい。ガス拡散層は、例えばカーボンペーパやカーボンクロス等により構成され、撥水処理が施されている。カソード触媒層には、隔膜30を介してアノード11から電解溶液やイオンが供給される。ガス拡散層においては、カソード流路22からCO2ガスが供給され、またCO2ガスの還元反応の生成物が排出される。CO2の還元反応は、ガス拡散層とカソード触媒層との境界近傍で生起し、ガス状の生成物はカソード流路22から排出される。
【0020】
カソード21のカソード触媒層は、CO2を還元して炭素化合物を生成することが可能で、そのような反応の過電圧を減少させることが可能な触媒材料(カソード触媒材料)で構成することが好ましい。カソード触媒材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)、錫(Sn)等の金属、それらの金属を少なくとも1つ含む合金や金属間化合物等の金属材料、炭素(C)、グラフェン、CNT(カーボンナノチューブ)、フラーレン、ケッチェンブラック等の炭素材料、Ru錯体やRe錯体等の金属錯体が挙げられる。カソード触媒層には、板状、メッシュ状、ワイヤ状、粒子状、多孔質状、薄膜状、島状等の各種形状を適用することができる。
【0021】
隔膜30は、アノード11とカソード21との間でイオン及び電解液を移動させることができ、かつアノード部10とカソード部20とを分離することが可能なイオン交換膜等で構成される。イオン交換膜としては、例えばアストム社のネオセプタ(登録商標)、旭硝子社のセレミオン(登録商標)、Aciplex(登録商標)、Fumatech社のFumasep(登録商標)、fumapem(登録商標)、デュポン社のテトラフルオロエチレンをスルホン化して重合したフッ素樹脂であるナフィオン(登録商標)、LANXESS社のlewabrane(登録商標)、IONTECH社のIONSEP(登録商標)、PALL社のムスタング(登録商標)、mega社のralex(登録商標)、ゴアテックス社のゴアテックス(登録商標)等が挙げられる。ただし、イオン交換膜以外にもアノード11とカソード21との間でイオンを移動させることが可能な材料であれば、絶縁性の多孔質膜を隔膜30に適用してもよい。
【0022】
多孔質膜の材料としては、無機材料の金属酸化物、金属水酸化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、セラミックス、ガラスや、有機材料のポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、ポリアリレート、アクリル、ナイロン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。また、上で挙げた材料をそれぞれ組み合わせて使用してもよい。
【0023】
電解溶液としてのアノード溶液には、少なくとも水(H2O)を含む溶液が用いられる。アノード溶液として用いるH2Oを含む溶液としては、任意の電解質を含む水溶液が挙げられる。電解質を含む水溶液としては、例えば水酸化物イオン(OH-)、水素イオン(H+)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、硝酸イオン(NO3
-)、硫酸イオン(SO4
2-)、リン酸イオン(PO4
2-)、ホウ酸イオン(BO3
3-)、炭酸イオン(CO3
2-)、及び炭酸水素イオン(HCO3
-)から選ばれる少なくとも1つを含む水溶液が挙げられる。電解溶液の電気的な抵抗を低減するためには、アノード溶液として、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の電解質を高濃度に溶解させたアルカリ溶液を用いてもよい。
【0024】
アノード流路12の第1開口121には、第1配管51が接続されている。アノード流路12の第2開口122には、第2配管52が接続されている。第1配管51は、第1切替弁としての第1三方弁53及び第2切替弁としての第2三方弁54を有し、これらを介して電解溶液供給部3と第1開口121とを接続している。第2配管52は、第3切替弁としての第3三方弁55及び第4切替弁としての第4三方弁56を有し、これらを介して第2開口122と電解溶液回収部31とを接続している。さらに、第1三方弁53と第3三方弁55とは、第1バイパス配管57により接続されている。第2三方弁54と第4三方弁56とは、第2バイパス配管58により接続されている。第1バイパス配管57及び第2バイパス配管58は、第3配管を構成している。第1配管51、第2配管52、及び第3配管(57、58)は、電解溶液外部流路を構成している。
【0025】
第1三方弁53、第2三方弁54、第3三方弁55、及び第4三方弁56は、電解溶液(流路)切替機構を構成しており、さらに電解溶液切替制御部61に電気的に接続されている。電解溶液切替制御部61は、アノード溶液が第1開口121からアノード流路12を介して第2開口122に向けて流れる第1流と、アノード溶液が第2開口122からアノード流路12を介して第1開口121に向けて流れる第2流とを切替えるように構成されている。第1流と第2流との切替は、第1三方弁53、第2三方弁54、第3三方弁55、及び第4三方弁56の動作(弁切替動作)により実施される。具体的な動作は後に詳述する。電解溶液供給部3は、電解溶液タンク32とポンプ33を備えている。電解溶液としてのアノード溶液は、電解溶液回収部31から電解溶液供給部3の電解溶液タンク32に向けて、ポンプ33により循環するように構成されていてもよい。
【0026】
CO2供給部4は、配管42を介してのカソード流路22の一方の開口(第3開口)221と接続されている。生成物回収部41は、配管43を介してのカソード流路22の他方の開口(第4開口)222と接続されている。CO2ガスは、第3開口221から第4開口222に向けて、CO2供給部4からカソード流路22内に導入される。
【0027】
第1の実施形態の二酸化炭素の電解装置1の運転動作について説明する。まず、
図1及び
図3に示すように、第1三方弁53及び第2三方弁54を電解溶液供給部3とアノード流路12の第1開口121とを接続するように動作させると共に、第3三方弁55及び第4三方弁56をアノード流路12の第2開口122と電解溶液回収部31とを接続するように動作させる。次いで、アノード溶液を第1開口121からアノード流路12に導入する共に、反応生成物を含むアノード溶液を第2開口122から電解溶液回収部31に排出する。同時に、CO
2ガスをカソード流路22に導入する。
【0028】
次に、CO2の電解動作の第1工程が実施される。CO2の電解動作の第1工程においては、アノード溶液を第1開口121からアノード流路12に導入して第1流を生じさせつつ、電解装置1に図示しない電源からの出力を開始し、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。アノード11とカソード21との間に電流を流すと、以下に示すアノード11付近での酸化反応及びカソード21付近での還元反応が生じる。ここでは、炭素化合物として一酸化炭素(CO)を生成する場合について、主として説明するが、二酸化炭素の還元生成物としての炭素化合物は一酸化炭素に限られるものではなく、前述したCH4、C2H6、C2H4、CH3OH、C2H5OH、C2H6O2等の有機炭素化合物であってもよい。
【0029】
まず、アノード11とカソード21との間に電源から電流を供給すると、アノード溶液と接するアノード11で水(H2O)の酸化反応が生じる。具体的には、下記の(1)式に示すように、アノード溶液中に含まれるH2Oが酸化されて、酸素(O2)と水素イオン(H+)とが生成される。
2H2O → 4H++O2+4e- …(1)
【0030】
アノード11で生成されたH+は、アノード11内に存在するアノード溶液及び隔膜30中を移動し、カソード21付近に到達する。電源からカソード11に供給される電流に基づく電子(e-)とカソード21付近に移動したH+とによって、二酸化炭素(CO2)の還元反応が生じる。具体的には、下記の(2)式に示すように、カソード流路22からカソード21に供給されたCO2が還元されてCOが生成される。
2CO2+4H++4e- → 2CO+2H2O …(2)
【0031】
上述したアノード11における反応過程及びカソード21における反応過程において、CO2からCOを生成する反応を連続して実施した場合、アノード溶液がアノード流路12を通過するあいだに温度が上がり、電解セル2のアノード流路12の出口側ではセルと電解溶液の間で熱交換が進まず高温となるおそれがある。アノード流路12の出口側の温度が高温になると、隔膜30やアノード11及びカソード21に損傷を生じさせる原因となる。そこで、アノード流路12の出口側及び第2配管52の少なくとも一方に第1温度計62を設置し、アノード流路12の出口側におけるアノード溶液の温度を計測して、その温度に応じて、アノード溶液が第1開口121から第2開口122に向けて流れる第1流を用いる第1工程から、アノード溶液が第2開口122から第1開口121に向けて流れる第2流を用いる第2工程に変更する。第1工程から第2工程への変更は、アノード流路12の出口側の温度を直接測定して実施することに限らず、例えば予めアノード溶液の流量に基づく反応工程の経過時間とアノード流路12の出口側の温度との関係を求めておき、出口側の温度が問題となる温度に到達すると予測される反応工程の経過時間に基づいて、第1工程から第2工程に変更するようにしてもよい。
【0032】
上述した第1工程から第2工程への変更は、まず電解液供給部3からのアノード溶液の供給を停止した(場合によってはアノード溶液の供給を停止しなくてもよい)後、
図2及び
図4に示すように、第1三方弁53を電解溶液供給部3と第1バイパス配管57とを接続するように動作させると共に、第3三方弁55を第1バイパス配管57とアノード流路12の第2開口122とを接続するように動作させる。さらに、第2三方弁54をアノード流路12の第1開口121と第2バイパス配管58とを接続するように動作させると共に、第4三方弁56を第2バイパス配管58と電解溶液回収部31とを接続するように動作させる。これらによって、アノード溶液は第1三方弁53を介して電解溶液供給部3から第1バイパス配管57に流れ、さらに第3三方弁55及び第2開口122を介してアノード流路12に流れる。第2工程において、アノード溶液は第1流を有する第1工程とは逆に、第2開口122から第1開口121へと流れる(第2流)。
【0033】
次に、CO2の電解動作の第2工程が実施される。CO2の電解動作の第2工程においては、アノード溶液を第2開口122からアノード流路12に導入して第2流を生じさせつつ、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。CO2の電解工程は、第1工程と同様に実施される。この際、アノード溶液は第2開口122、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)から導入されるため、第1工程でアノード流路12を通過してきたアノード溶液に比べて、温度が低いアノード溶液がアノード流路12に第2開口122から導入される。これによって、アノード流路12の第2開口122(第1工程における溶液排出口(出口)で、第2工程における溶液導入口(入口))側の温度を低下させることができる。従って、アノード流路12の第1開口121から第2開口122に向けて継続的にアノード溶液を導入した場合に比べて、アノード流路12の部分的な温度上昇を抑制することができ、アノード流路12の部分的な温度上昇による隔膜30や電極11、21といった部材の損傷やそれに基づく電解セル2の性能低下や故障等を防ぐことが可能となる。
【0034】
第2工程を継続して実施すると、第2工程における溶液導入口となる第2開口122側のアノード流路12に部分的な温度上昇が生じるおそれがある。このような点に対しては、アノード流路12の出口(第1開口121)側及び第1配管51の少なくとも一方に第2温度計63を設置し、アノード流路12の出口側におけるアノード溶液の温度を計測し、その温度に応じて、第1工程から第2工程に変更するようにしてもよい。第1工程及び第2工程は、順次切替えることができる。第1温度計62及び第2温度計63は、検知部を構成しており、電解溶液切替制御部61に電気的に接続されている。検知部は第1温度計62及び第2温度計63の少なくとも一方を備えていればよい。
【0035】
上記ではアノード流路12の出口側の温度を測定する温度計を備える検知部に基づいて第1工程と第2工程を切替える構成について説明したが、これに限られるものではない。アノード流路12の状態を検知する検知部は、例えば圧力センサ、ガス濃度計、流量計、導電率計、pHセンサ等であってもよい。圧力センサやガス濃度計等は、隔膜30の状態を示すため、アノード流路12の圧力やガス濃度を測定することによって、隔膜30の状態等を検知することができる。アノード溶液の流量はアノード流路12の状態を示すため、アノード流路12の流量を測定することによって、隔膜30の状態等を検知することができる。アノード溶液の導電率やpHも同様である。上記したような検知部を用いて、第1工程と第2工程を切替えるようにしてもよい。さらに、カソード流路にも上記したような検知部を配置してもよい。
【0036】
図1ないし
図4に示すCO
2の電解装置1において、カソード部20はカソード流路22を有しており、カソード流路22の一方の開口221から他方の開口222に向けてCO
2ガスが流通するように構成されている。カソード流路22が
図3及び
図4に示すアノード流路12と同様なサーペンタイン構造を有し、例えば
図1の紙面左側から紙面右側に向けてCO
2ガスを流す場合、第1工程ではCO
2ガスはアノード溶液と同方向に流れる。これに対して、第2工程ではCO
2ガスはアノード溶液と逆方向に流れる。CO
2ガスとアノード溶液が、同方向に流れる場合であっても、また逆方向に流れる場合であっても、CO
2の電解反応効率はほとんど変わらない。従って、第1工程と第2工程の変更を実施して、CO
2の電解反応効率を低下させるようなことはない。
【0037】
アノード流路12及びカソード流路22は、例えば
図3及び
図4に示すサーペンタイン流路(サーペンタイン構造)を有している。ただし、流路構造はこれに限られるものではなく、
図5に示す並行流路、
図6に示すグリッド流路、
図7に示す行き止まり流路等であってもよく、その構造は特に限られるものではない。
図5に示す並行流路は、折り返し部のない構造であり、両端に平行に設けられた流路に対し、それと直交するように平行な複数の流路を接続した構造を有する。
図6に示すグリッド流路は、上下両面に設けられた平面流路に対し、それと直交する方向に複数の流路を接続した構造を有する。
図7に示す行き止まり流路は、両端に平行に設けられた流路から、それぞれ反対側の流路に対して行き止まり状態の流路を接続した構造を有する。
【0038】
さらに、アノード流路12とカソード流路22の流路構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。電極反応に伴うイオン交換をスムーズに行うためには、アノード流路12とカソード流路22は鏡合わせの流路パターンを有することが好ましい。アノード流路12とカソード流路22の形状に関しては、例えば
図8に示すように、同一の箇所にアノード溶液とCO
2ガスの流路入口を設けると共に、同一の箇所にアノード溶液とCO
2ガスの流路出口を設けてもよい。
図8において、矢印S12はアノード溶液のアノード流路12に対する導入方向、矢印S22はCO
2ガスのカソード流路22に対する導入方向、矢印E12はアノード溶液のアノード流路12からの導出方向、矢印E22はCO
2ガスのカソード流路22からの導出方向を示している。
【0039】
アノード溶液とCO
2ガスの流路入口は、
図9に示すように、異なる箇所に設けてもよい。その際、アノード溶液とCO
2ガスの流路入口は、対角線上にあってもよいし、延長線が直交する位置にあってもよい。
図9において、矢印E22-1、E22-2、E22-3はそれぞれCO
2ガスのカソード流路22からの導出方向を示している。さらに、CO
2ガスとアノード溶液は、同方向に流れる並行流であってもよいし、互い違いに流れる対向流であってよい。アノード流路12及びカソード流路22の構造やアノード溶液及びCO
2ガスの流れ方向等については、後述する他の実施形態においても同様である。
【0040】
CO2の電解装置1は複数の電解セル2を積層した電解セルスタックを備えていてもよい。CO2の電解装置1が複数の電解セル2を積層した電解セルスタックを備える場合、複数の電解セル2にアノード溶液をそれぞれ供給する供給系統を統合した部分と、複数の電解セル2からアノード溶液をそれぞれ排出する排出系統を統合した部分に、前述した流路切替機構やバイパス配管を設けることよって、複数の電解セル2に対して一括して第1工程と第2工程の変更を実施してもよい。なお、複数の電解セル2に対して個々に検知部や流路切替機構等を設け、個々に第1工程と第2工程の変更を実施してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態による二酸化炭素の電解装置について、
図10及び
図11を参照して述べる。ここでは、第2の実施形態による電解装置1の第1の実施形態による電解装置1との違いについて、主として説明する。なお、第2の実施形態における電解セル2の構造や構成材料等は、第1の実施形態における電解セル2と同様であり、以下に違いを詳述する部分以外については、基本的には第1の実施形態と同様である。
【0042】
第2の実施形態の電解装置1は、第1電解溶液供給部3Aと第2電解溶液供給部3Bを備えている。第1電解溶液供給部3Aは、第1配管51を介してアノード流路12の第1開口121に接続されている。第1配管51は、第1切替弁として第1三方弁53を有している。アノード流路12の第2開口122には、第2配管52が接続されている。第2配管52は、第2切替弁として第2三方弁54及び第3切替弁として第3三方弁55を有し、これらを介して第2開口122と電解溶液回収部31とを接続している。
【0043】
第2電解溶液供給部3Bは、第1バイパス配管57を介して第2三方弁54に接続されている。さらに、第3三方弁55は第2バイパス配管58を介して第1三方弁53に接続されている。第1三方弁53、第2三方弁54、及び第3三方弁55は、流路切替機構を構成しており、さらに電解溶液切替制御部61に電気的に接続されている。第1バイパス配管57及び第2バイパス配管58は、第3配管を構成している。
【0044】
電解溶液切替制御部61は、第1電解溶液供給部3Aから供給されたアノード溶液が第1開口121からアノード流路12を介して第2開口122に向けて流れる第1流と、第2電解溶液供給部3Bから供給されたアノード溶液が第2開口122からアノード流路12を介して第1開口121に向けて流れる第2流との切替えを制御するように構成されている。第1流と第2流との切替は、第1電解溶液供給部3A及び第2電解溶液供給部3Bの動作、第1三方弁53、第2三方弁54、及び第3三方弁55の動作(弁切替動作)により実施される。具体的な動作は以下に詳述する。
【0045】
第2の実施形態の二酸化炭素の電解装置1の運転動作について説明する。まず、
図10に示すように、第1三方弁53を第1電解溶液供給部3Aとアノード流路12の第1開口121とを接続するように動作させると共に、第2三方弁54及び第3三方弁55をアノード流路12の第2開口122と電解溶液回収部31とを接続するように動作させる。次いで、第1電解溶液供給部3Aから供給されるアノード溶液を第1開口121からアノード流路12に導入する共に、反応生成部を含むアノード溶液を第2開口122から電解溶液回収部31に排出する。同時に、CO
2ガスをカソード流路22に導入する。
【0046】
第1三方弁53、第2三方弁54、第3三方弁55、及び第4三方弁56は、電解溶液(流路)切替機構を構成しており、さらに電解溶液切替制御部61に電気的に接続されている。電解溶液切替制御部61は、アノード溶液が第1開口121からアノード流路12を介して第2開口122に向けて流れる第1流と、アノード溶液が第2開口122からアノード流路12を介して第1開口121に向けて流れる第2流とを切替えるように構成されている。第1流と第2流との切替は、第1三方弁53、第2三方弁54、第3三方弁55、及び第4三方弁56の動作(弁切替動作)により実施される。具体的な動作は後に詳述する。電解溶液供給部3は、電解溶液タンク32とポンプ33を備えている。
【0047】
次に、CO2の電解動作の第1工程が実施される。CO2の電解動作の第1工程においては、アノード溶液を第1開口121からアノード流路12に導入して第1流を生じさせつつ、電解装置1に図示しない電源からの出力を開始し、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。アノード11とカソード21との間に電流を流すと、第1の実施形態で説明した、アノード11付近での酸化反応及びカソード21付近での還元反応が生じる。ここでは、炭素化合物として一酸化炭素(CO)を生成する場合について、主として説明するが、二酸化炭素の還元生成物としての炭素化合物は一酸化炭素に限られるものではなく、前述したCH4、C2H6、C2H4、CH3OH、C2H5OH、C2H6O2等の有機炭素化合物であってもよい。具体的な反応は第1の実施形態で説明した通りであり、ここでは詳細を省略する。
【0048】
アノード11における反応過程及びカソード21における反応過程において、CO2からCOを生成する反応を連続して実施した場合、アノード溶液がアノード流路12を通過するあいだに温度が上がり、電解セル2のアノード流路12の出口側が高温となるおそれがある。アノード流路12の出口側の温度が高温になると、隔膜30に損傷を生じさせる原因となる。そこで、アノード流路12の出口側及び第2配管52の少なくとも一方に温度計(図示せず)を設置し、アノード流路12の出口側の温度に応じて、アノード溶液が第1開口121から第2開口122に向けて流れる第1流を用いる第1工程から、アノード溶液が第2開口122から第1開口121に向けて流れる第2流を用いる第2工程に変更する。第1工程から第2工程への変更は、アノード流路12の出口側の温度を直接測定して実施することに限らず、例えば予めアノード溶液の流量に基づく反応工程の経過時間とアノード流路12の出口側が温度との関係を求めておき、出口側の温度が問題となる温度に到達すると予測される反応工程の経過時間に基づいて、第1工程から第2工程に変更するようにしてもよい。
【0049】
上述した第1工程から第2工程への変更は、まず第1電解液供給部3Aからのアノード溶液の供給を停止した後、
図11に示すように、第1三方弁53をアノード流路12の第1開口121と第2バイパス配管58とを接続するように動作させると共に、第3三方弁55を第2バイパス配管58と電解溶液回収部31とを接続するように動作させる。さらに、第2三方弁54をアノード流路12の第2開口122と第1バイパス配管57とを接続するように動作させる。これらによって、第2電解溶液供給部3Bから第1バイパス配管57に流れたアノード溶液は、第2三方弁54及び第2開口122を介してアノード流路12に流れる。第2工程において、アノード溶液は第1流を有する第1工程とは逆に、第2開口122から第1開口121へと流れる(第2流)。
【0050】
次に、CO2の電解動作の第2工程が実施される。CO2の電解動作の第2工程においては、アノード溶液を第2開口122からアノード流路12に導入して第2流を生じさせつつ、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。CO2の電解工程は、第1工程と同様に実施される。この際、アノード溶液は第2開口122、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)から導入されるため、第1工程でアノード流路12を通過してきたアノード溶液に比べて、温度が低いアノード溶液がアノード流路12に第2開口122から導入される。これによって、アノード流路12の第2開口122(第1工程におけるガス排出口(出口)で、第2工程におけるガス導入口(入口))側の温度を低下させることができる。従って、アノード流路12の第1開口121から第2開口122に向けて継続的にアノード溶液を導入した場合に比べて、アノード流路12の部分的な温度上昇を抑制することができ、アノード流路12の部分的な温度上昇による隔膜30の損傷やそれに基づく電解セル2の性能低下や故障等を防ぐことが可能となる。
【0051】
第2の実施形態の電解装置1においても、第1の実施形態と同様に、アノード流路12の出口側及び第1配管51の少なくとも一方の温度に応じて、第2工程から第1工程に変更するようにしてもよい。第1工程及び第2工程は、順次切替えることができる。温度を検知する検知部は、第1の実施形態と同様に、第2開口122側に配置された第1温度計及び第1開口122側に配置された第2温度計の少なくとも一方を備えていればよい。第1工程と第2工程の切替え時期は、アノード流路12の両端の開口部、及びそれらに接続された配管の少なくとも1つに設けられた、温度計、圧力センサ、ガス濃度計、流量計、導電率計、及びpHセンサの少なくとも1つを備える検知部によりアノード流路12の状態を検知し、その検知結果に基づいて実施することが好ましい。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態による二酸化炭素の電解装置について、
図12及び
図13を参照して述べる。ここでは、第3の実施形態による電解装置1の第1の実施形態による電解装置1との違いについて、主として説明する。なお、第3の実施形態における電解セル2の構造や構成材料等は、第1の実施形態における電解セル2と同様であり、以下に違いを詳述する部分以外については、基本的には第1の実施形態と同様である。第1の実施形態による電解装置1においては、アノード溶液の流れを第1流と第2流との間で切替えることが可能なように構成しているが、第3の実施形態による電解装置1においては、CO
2ガスの流れを第3流と第4流との間で切替えることが可能なように構成している。第3の実施形態による電解装置1について、以下に詳述する。
【0053】
第3の実施形態の電解装置1において、カソード流路(CO2ガス流路)22は一方の開口(第3開口)221と他方の開口(第4開口)222を有している。CO2ガス流路22の第3開口221には、第4配管42が接続されている。カソード流路22の第4開口222には、第5配管43が接続されている。第4配管42は、第5切替弁としての第5三方弁44及び第6切替弁としての第6三方弁45を有し、これらを介してCO2ガス供給部4と第3開口221とを接続している。第5配管43は、第7切替弁としての第7三方弁46及び第8切替弁としての第8三方弁47を有し、これらを介して第4開口222と生成物回収部41とを接続している。さらに、第5三方弁44と第7三方弁46とは、第3バイパス配管48により接続されている。第6三方弁45と第8三方弁47とは、第4バイパス配管49により接続されている。第3バイパス配管48及び第4バイパス配管49は、第6配管を構成している。第4配管42、第5配管43、及び第6配管(48、49)は、CO2外部流路を構成している。
【0054】
第5三方弁44、第6三方弁45、第7三方弁46、及び第8三方弁47は、CO2(流路)切替機構を構成しており、さらにCO2(流路)切替制御部64に電気的に接続されている。CO2切替制御部64は、CO2ガスが第3開口221からカソード流路22を介して第4開口22に向けて流れる第3流と、CO2ガスが第4開口222からカソード流路22を介して第3開口221に向けて流れる第4流とを切替えるように構成されている。第3流と第4流との切替は、第5三方弁44、第6三方弁45、第7三方弁46、及び第8三方弁47の動作(弁切替動作)により実施される。
【0055】
第3の実施形態の二酸化炭素の電解装置1の運転動作について説明する。まず、
図12に示すように、第5三方弁44及び第6三方弁45をCO
2供給部4とカソード流路22の第3開口221とを接続するように動作させると共に、第7三方弁46及び第8三方弁47をカソード流路22の第4開口222と生成物回収部41とを接続するように動作させる。次いで、CO
2ガスを第3開口221からカソード流路22に導入する共に、未反応のCO
2ガスを含む反応生成ガスを第4開口222から生成物回収部41に排出する。同時に、アノード溶液をアノード流路21に導入する。この際、アノード溶液はアノード流路21の第1開口121から第2開口122に単に流してもよいし、第1の実施形態に示したように、第1流と第2流とを切替えてもよい。
【0056】
次に、CO2の電解動作の第1工程が実施される。CO2の電解動作の第1工程においては、CO2ガスを第3開口221からカソード流路22に導入して第3流を生じさせつつ、電解装置1に図示しない電源からの出力を開始し、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。アノード11とカソード21との間に電流を流すと、前述したアノード11付近での酸化反応及びカソード21付近での還元反応が生じる。ここでは、炭素化合物として一酸化炭素(CO)を生成する場合について、主として説明するが、二酸化炭素の還元生成物としての炭素化合物は一酸化炭素に限られるものではなく、前述したCH4、C2H6、C2H4、CH3OH、C2H5OH、C2H6O2等の有機炭素化合物であってもよい。アノード11及びカソード21における酸化反応及び還元反応については、第1の実施形態で詳述したので、ここでは説明を省略する。
【0057】
上述したアノード11における反応過程及びカソード21における反応過程において、CO2からCOを生成する反応を連続して実施した場合、アノード流路12で生成したガスのクロスオーバーによるカソード流路22へのO2のコンタミが発生する可能性がある。その結果、カソード21上ではO2ガスの還元反応が進行する可能性がある。その際に、過酸化水素(H2O2)が発生すると、この種が電極(11、21)や隔膜30に対して損傷を生じさせるおそれがある。さらに、生成した過酸化水素がなんらかの金属種と反応し、酸化力の強いラジカル種が生成した場合には、より大きな損傷を生じさせる可能性がある。上記の損傷は、CO2の還元反応が進行してカソード流路22の後段部側でより顕著となる。なぜなら、流路後段部ではアノード流路12内のO2濃度が大きくなりクロスオーバーも生じやすくなるためである。そこで、アノード流路12及びカソード流路21の出口側の少なくとも一方に、ガス濃度計(第1ガス濃度計)65を設置して電解セル2の構成部材の損傷を検知し、その測定数値に応じて、CO2ガスが第3開口221から第4開口222に向けて流れる第3流を用いる第1工程から、CO2ガスが第4開口22から第3開口221向けて流れる第4流を用いる第2工程に変更する。第1工程から第2工程への変更は、流路出口側のガス濃度を直接測定して実施することに限らず、例えば予め問題となるガス濃度の数値に到達すると予測される反応工程の経過時間に基づいて、第1工程から第2工程に変更するようにしてもよい。
【0058】
上述した第1工程から第2工程への変更は、まずCO
2供給部4からのCO
2ガスの供給を停止した(場合によってはCO
2の供給を停止しなくてもよい)後、
図13に示すように、第5三方弁44をCO
2供給部4と第3バイパス配管48とを接続するように動作させると共に、第7三方弁46を第3バイパス配管48とカソード流路22の第4開口222とを接続するように動作させる。さらに、第6三方弁45をカソード流路22の第3開口221と第4バイパス配管49とを接続するように動作させると共に、第8三方弁47を第4バイパス配管49と生成物回収部41とを接続するように動作させる。これらによって、CO
2ガスは第5三方弁44を介してCO
2供給部4から第3バイパス配管48に流れ、さらに第7三方弁46及び第4開口22を介してカソード流路22に流れる。第2工程において、CO
2ガスは第1流を有する第1工程とは逆に、第4開口222から第3開口221へと流れる(第2流)。
【0059】
次に、CO2の電解動作の第2工程が実施される。CO2の電解動作の第2工程においては、CO2ガスを第4開口22からカソード流路22に導入して第2流を生じさせつつ、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。CO2の電解工程は、第1工程と同様に実施される。この際、CO2ガスは第4開口222、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)から導入されるため、第1工程でカソード流路22を通過してきたCO2に比べて、濃度の高いガスがカソード流路22に第4開口222から導入される。これによって、カソード流路22の第4開口222、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)で、第2工程におけるCO2導入口(入口)側のpHを低下させることができる。従って、カソード流路22の第3開口221から第4開口222に向けて継続的にCO2を導入した場合に比べて、カソード流路22の部分的なpH上昇を抑制することができ、電極(11、21)や隔膜30の損傷やそれに基づく電解セル2の性能低下や故障等を防ぐことが可能となる。
【0060】
第2工程を継続して実施すると、第2工程におけるカソード生成物の出口となる第4開口222側のカソード流路22に部分的な過酸化水素及びラジカル種の上昇が生じるおそれがある。このような点に対しては、カソード流路22の出口(第3開口221)側及び第4配管42の少なくとも一方にガス濃度計(第2ガス濃度計)66を設置し、その測定結果に応じて、第2工程から第1工程に変更するようにしてもよい。第1工程及び第2工程は、順次切替えることができる。第1ガス濃度計及び第2ガス濃度温度計は、検知部を構成しており、CO2切替制御部64に電気的に接続されている。検知部は第1ガス濃度計及び第2ガス濃度計の少なくとも一方を備えていればよい。
【0061】
上記ではカソード流路22の出口側のガス濃度を測定する濃度計を備える検知部に基づいて第1工程と第2工程を切替える構成について説明したが、これに限られるものではない。カソード流路22の状態を検知する検知部は、例えば圧力センサ、温度計、流量計等であってもよい。圧力センサは隔膜30の損傷具合を示すほか、温度計や流量計はカソードおよびアノードの状態を検知することができる。上記のような検知部を用いて、第1工程と第2工程を切替えるようにしてもよい。さらに、アノード流路12にも上記のような検知部を配置してカソード流路22側に切り替えてもよい。
【0062】
CO2電解装置1が複数の電解セル2を積層した電解セルスタックを備える場合、複数の電解セル2にCO2ガスをそれぞれ供給する供給系統を統合した部分と、複数の電解セル2から生成物をそれぞれ排出する排出系統を統合した部分に、前述した流路切替機構やバイパス配管を設けることよって、複数の電解セルに対して一括して第1工程と第2工程の変更を実施してもよい。なお、複数の電解セル2に対して個々に検知部や流路切替機構等を設け、個々に第1工程と第2工程の変更を実施してもよい。
【0063】
さらに、CO
2電解装置1にはカソード側の流路切替機構とアノード側の流路切替機構の両方を共に設けてもよい。その場合、電解セル2の状態(切替要因)に合わせて切り替えを行うことができるため好ましい。カソード側の第1工程とアノード側の第1工程は、電解溶液とCO
2ガスがどちらも同じ方向から流れる並行流であってもよいし、互い違いに流れる対向流で合ってもよい。また、図にはサーペンタイン型の一般的な流路を示しているが、流路構造はこのパターンにとらわれず、前述したように他のパターンであってもよい。例えば、
図5に示した並行流路、
図6に示したグリッド流路、
図7に示した行き止まり流路等であってもよく、その構造は特に限られるものではない。さらに、アノード流路12とカソード流路22の形状に関しては、同一の箇所にアノード溶液とCO
2ガスの流路入口を設けると共に、同一の箇所にアノード溶液とCO
2ガスの流路出口を設けてもよいし、アノード溶液とCO
2ガスの流路入口を異なる箇所に設けてもよい。その際、流路入口は対角線上にあってもよいし、延長線が直交する位置にあってもよい。
【0064】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態による二酸化炭素の電解装置について、
図14及び
図15を参照して述べる。ここでは、第4の実施形態による電解装置1の第2の実施形態による電解装置1との違いについて、主として説明する。なお、第4の実施形態における電解セル2の構造や構成材料等は、第1の実施形態における電解セル2と同様であり、以下に違いを詳述する部分以外については、基本的には第1の実施形態と同様である。
【0065】
第4の実施形態の電解装置1は、第1CO2供給部4Aと第2CO2供給部4Bを備えている。第1CO2供給部4Aは、第4配管42を介してカソード流路22の第3開口221に接続されている。第4配管42は、第5切替弁として第5三方弁44を有している。カソード流路22の第4開口222には、第5配管43が接続されている。第5配管43は、第6切替弁として第6三方弁45及び第7切替弁として第7三方弁46を有し、これらを介して第4開口222と生成物回収部41とを接続している。
【0066】
第2CO2供給部3Bは、第1バイパス配管48を介して第6三方弁45に接続されている。さらに、第7三方弁46は第2バイパス配管49を介して第5三方弁44に接続されている。第5三方弁44、第6三方弁45、及び第7三方弁46は、CO2(流路)切替機構を構成しており、さらにCO2切替制御部64に電気的に接続されている。第1バイパス配管48及び第2バイパス配管49は、第3配管を構成している。
【0067】
CO2切替制御部64は、第1CO2供給部4Aから供給されたCO2ガスが第3開口221からカソード流路22を介して第4開口222に向けて流れる第3流と、第2CO2供給部4Bから供給されたCO2ガスが第4開口222からカソード流路22を介して第3開口221に向けて流れる第4流との切替えを制御するように構成されている。第3流と第4流との切替は、第1CO2供給部4A及び第2CO2供給部4Bの動作、第5三方弁44、第6三方弁45、及び第7三方弁46の動作(弁切替動作)により実施される。
【0068】
第4の実施形態の二酸化炭素の電解装置1の運転動作について説明する。まず、
図14に示すように、第5三方弁44を第1CO
2供給部4Aとカソード流路22の第3開口221とを接続するように動作させると共に、第6三方弁45及び第7三方弁46をカソード流路22の第4開口222と生成物回収部41とを接続するように動作させる。次いで、第1CO
2供給部4Aから供給されるCO
2ガスを第3開口221からカソード流路22に導入する共に、未反応のCO
2ガスを含む反応生成ガス(COガス等)を第4開口222から生成物回収部41に排出する。同時に、アノード溶液をアノード流路12に導入する。
【0069】
第5三方弁44、第6三方弁45、及び第7三方弁46は、及びCO2(流路)切替機構を構成しており、さらにCO2切替制御部64に電気的に接続されている。CO2供給部切替制御部64は、CO2ガスが第3開口221からカソード流路22を介して第4開口222に向けて流れる第3流と、CO2ガスが第4口22からカソード流路22を介して第3開口221に向けて流れる第4流とを切替えるように構成されている。第3流と第4流との切替は、第5三方弁44、第6三方弁45、及び第7三方弁49の動作(弁切替動作)により実施される。
【0070】
次に、CO2の電解動作の第1工程が実施される。CO2の電解動作の第1工程においては、CO2ガスを第3開口221からカソード流路22に導入して第3流を生じさせつつ、電解装置1に図示しない電源からの出力を開始し、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。アノード11とカソード21との間に電流を流すと、第1の実施形態で説明した、アノード11付近での酸化反応及びカソード21付近での還元反応が生じる。ここでは、炭素化合物として一酸化炭素(CO)を生成する場合について、主として説明するが、二酸化炭素の還元生成物としての炭素化合物は一酸化炭素に限られるものではなく、前述したCH4、C2H6、C2H4、CH3OH、C2H5OH、C2H6O2等の有機炭素化合物であってもよい。具体的な反応は第1の実施形態で説明した通りであり、ここでは詳細を省略する。
【0071】
アノード11における反応過程及びカソード21における反応過程において、CO2からCOを生成する反応を連続して実施した場合、前述したようにアノード流路12で生成したガスのクロスオーバーによるカソード流路22へのO2のコンタミが発生する可能性がある。その結果、カソード21上ではO2ガスの還元反応が進行する可能性がある。その際に、過酸化水素(H2O2)が発生すると、この種が電極(11、21)や隔膜30に対して損傷を生じさせるおそれがある。さらに、生成した過酸化水素がなんらかの金属種と反応し、酸化力の強いラジカル種が生成した場合には、より大きな損傷を生じさせる可能性がある。上記の損傷は、CO2の還元反応が進行してCO2濃度が低下するカソード流路22の後段部側でより顕著となる。なぜなら、流路後段部ではアノード流路12内のO2濃度が大きくなりクロスオーバーも生じやすくなるためである。そこで、アノード流路12及びカソード流路21の出口側の少なくとも一方に、ガス濃度計(第1ガス濃度計)65を設置して電解セル2の構成部材の損傷を検知し、その測定数値に応じて、CO2ガスが第3開口221から第4開口222に向けて流れる第3流を用いる第1工程から、CO2ガスが第4開口22から第3開口221向けて流れる第4流を用いる第2工程に変更する。第1工程から第2工程への変更は、流路出口側のガス濃度を直接測定して実施することに限らず、例えば予め問題となるガス濃度の数値に到達すると予測される反応工程の経過時間に基づいて、第1工程から第2工程に変更するようにしてもよい。
【0072】
上述した第1工程から第2工程への変更は、まず第1CO
2供給部4AからのCO
2ガスの供給を停止した後、
図15に示すように、第5三方弁44をカソード流路12の第3開口221と第2バイパス配管49とを接続するように動作させると共に、第7三方弁46を第2バイパス配管49と生成物回収部41とを接続するように動作させる。さらに、第6三方弁45をカソード流路22の第4開口222と第1バイパス配管48とを接続するように動作させる。これらによって、第2CO
2供給部4Bから第1バイパス配管48に流れたCO
2ガスは、第6三方弁45及び第4開口222を介しカソード流路22に流れる。第2工程において、CO
2ガスは第1流を有する第1工程とは逆に、第4開口222から第3開口221へと流れる(第2流)。
【0073】
次に、CO2の電解動作の第2工程が実施される。CO2の電解動作の第2工程においては、CO2ガスを第4開口222からカソード流路22に導入して第4流を生じさせつつ、アノード11とカソード21との間に電圧を印加して電流を供給する。CO2の電解工程は、第1工程と同様に実施される。この際、CO2ガスは第4開口222、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)から導入されるため、第1工程でカソード流路22を通過してきたCO2ガスに比べて、CO2濃度が高いCO2ガスがカソード流路22に第4開口222から導入される。これによって、カソード流路22の第4開口222、すなわち第1工程におけるガス排出口(出口)で、第2工程におけるCO2導入口(入口)側のpHを低下させることができる。従って、カソード流路22の第3開口221から第4開口222に向けて継続的にCO2を導入した場合に比べて、カソード流路22の部分的なpHの上昇を抑制することができ、電極(11、21)や隔膜30の損傷やそれに基づく電解セル2の性能低下や故障等を防ぐことが可能となる。
【0074】
第4の実施形態の電解装置1においても、第3の実施形態と同様に、カソード流路22の出口側及び第1配管42の少なくとも一方のガス濃度やpHに応じて、第2工程から第1工程に変更するようにしてもよい。第1工程及び第2工程は、順次切替えることができる。ガス濃度を検知する検知部は、第3の実施形態と同様に、第4開口222側に配置された第1ガス濃度計65及び第3開口221側に配置された第2ガス濃度計66の少なくとも一方を備えていればよい。第1工程と第2工程の切替え時期は、カソード流路22の両端の開口部、及びそれらに接続された配管の少なくとも1つに設けられた、ガス濃度計、pHメータ、圧力センサ、温度計、及び流量計の少なくとも1つを備える検知部によりカソード流路22の状態を検知し、その検知結果に基づいて実施することが好ましい
【0075】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態による二酸化炭素の電解装置について、
図16を参照して述べる。第5の実施形態による二酸化炭素の電解装置1において、アノード側の外部流路(電解溶液外部流路)は、第1の実施形態と同様に、第1三方弁53、第2三方弁54、第3三方弁55、第4三方弁56、及びバイパス配管57、58を有する電解溶液(流路)切替機構を備えている。カソード側の外部流路(CO
2外部流路)は、第3の実施形態と同様に、第5三方弁44、第6三方弁45、第7三方弁46、第8三方弁47、及びバイパス配管48、49を有するCO
2(流路)切替機構を備えている。
【0076】
外部流路及び切替機構の具体的な構成は、第1の実施形態及び第3の実施形態に詳述した通りである。アノード溶液(電解溶液)の第1流と第2流とは、第1の実施形態で説明したように、アノード流路12やそれに接続された配管51、52に設けられた温度計の計測結果等に基づいて切り替えることができる。CO2ガスの第3流と第4流とは、第3の実施形態で説明したように、カソード流路22やそれに接続された配管42、43に設けられたガス濃度計やpH計の計測結果等に基づいて切り替えることができる。さらに、アノード溶液の温度変化とCO2ガスの濃度変化のタイミングにあまり差がなければ、アノード溶液における第1流及び第2流の切り替えと、CO2ガスにおける第3流及び第4流の切り替えとを同時に実施してもよい。
【0077】
第5の実施形態による電解装置1は、第1の実施形態と第3の実施形態との組合せに限られるものではなく、第1の実施形態と第4の実施形態との組合せ、第2の実施形態と第3の実施形態との組合せ、第2の実施形態と第4の実施形態との組合せ等であってもよい。さらに、アノード流路とカソード流路のパターンは、前述したように、鏡合わせの流路パターン、異なる流路パターンの組合せ等、種々のパターンを適用することができ、それらに限定されるものではない。
【0078】
なお、上述した各実施形態の構成は、それぞれ組合せて適用することができ、また一部置き換えることも可能である。ここでは、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図するものではない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…二酸化炭素電解装置、2…電解セル、3…電解溶液供給部、3A…第1電解溶液供給部、3B…第2電解溶液供給部、31…電解溶液回収部、4…CO2供給部、4A…第1CO2供給部、4B…第2CO2供給部、41…生成物回収部、42…第4配管、43…第5配管、44…第5三方弁、45…第6三方弁、46…第7三方弁、48…第8三方弁、51…第1配管、52…第2配管、53…第1三方弁、54…第2三方弁、55…第3三方弁、56…第4三方弁、48,57…第1バイパス配管、49,58…第2バイパス配管、61…電解溶液切替制御部、62…第1温度計、63…第2温度計、64…二酸化炭素切替制御部、65…第1ガス濃度計、66…第2ガス濃度計。