(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013452
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ケーブル装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H02G3/04 062
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115542
(22)【出願日】2022-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠二
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA02
5G357DB03
5G357DD01
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】排水口の位置の自由度を向上させることができるケーブル装置を得ることを目的とする。
【解決手段】吸水媒体23は、複数の吸水部23aと、筒状の排水部23bとを有している。各吸水部23aは、配線群10に接している。また、各吸水部23aは、配線群10の内部に入り込んでいる。排水部23bは、隙間20aに配置されている。即ち、排水部23bは、第1端部21aと第2端部22aとの間に介在している。隙間20aは、配線群10の全周に渡って、排水部23bによって埋められている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線が束ねられてなる配線群、及び
前記配線群の一部である第1部分の外周を覆っている第1被覆と、前記配線群における前記第1部分とは異なる部分である第2部分の外周を覆っている第2被覆とを有している被覆体
を備え、
前記配線群の長手方向における前記第1被覆の端部である第1端部と、前記配線群の長手方向における前記第2被覆の端部である第2端部との間には、排水口としての隙間が設けられており、
前記被覆体は、前記被覆体内に入った水を前記隙間に導く吸水媒体をさらに有しており、
前記吸水媒体は、前記配線群に接している吸水部と、前記隙間に配置されている排水部とを有しているケーブル装置。
【請求項2】
前記隙間は、前記配線群の全周に渡って、前記排水部によって埋められている請求項1記載のケーブル装置。
【請求項3】
前記第1端部の外周は、前記隙間を介して、前記第2端部によって囲まれている請求項1又は請求項2に記載のケーブル装置。
【請求項4】
前記第2被覆は、前記第1被覆の上に位置しており、
前記第1端部は、前記第1被覆の上端部であり、
前記第2端部は、前記第2被覆の下端部である請求項3記載のケーブル装置。
【請求項5】
前記排水部は、前記第2端部の先端面よりも前記第2部分側に位置している請求項3記載のケーブル装置。
【請求項6】
前記吸水部は、前記配線群の内部に入り込んでいる請求項1又は請求項2に記載のケーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤハーネスでは、電線群の外周が第1防水材と第2防水材とによって覆われている。ワイヤハーネスの湾曲部における最下端において、第1防水材の先端は、第2防水材の先端の外周を囲んでいる。また、第1防水材の先端と第2防水材の先端との間には、排水用隙間が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のワイヤハーネスでは、排水用隙間が、湾曲部における最下端に位置している。このため、ワイヤハーネスの配線経路に湾曲部がない場合、排水用隙間を設けることができなかった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、排水口の位置の自由度を向上させることができるケーブル装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るケーブル装置は、複数の配線が束ねられてなる配線群、及び配線群の一部である第1部分の外周を覆っている第1被覆と、配線群における第1部分とは異なる部分である第2部分の外周を覆っている第2被覆とを有している被覆体を備え、配線群の長手方向における第1被覆の端部である第1端部と、配線群の長手方向における第2被覆の端部である第2端部との間には、排水口としての隙間が設けられており、被覆体は、被覆体内に入った水を隙間に導く吸水媒体をさらに有しており、吸水媒体は、配線群に接している吸水部と、隙間に配置されている排水部とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のケーブル装置によれば、排水口の位置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1によるケーブル装置の断面図である。
【
図2】実施の形態1によるケーブル装置の第1変形例を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1によるケーブル装置の第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるケーブル装置の断面図である。図において、ケーブル装置は、配線群10と、被覆体20とを有している。
【0010】
配線群10は、複数の配線11が束ねられて構成されている。また、配線群10は、上下方向に沿って配置されている。
【0011】
また、配線群10は、第1部分10aと、第2部分10bとを有している。第1部分10aは、配線群10の長手方向における配線群10の一部である。この例における配線群10の長手方向は、上下方向である。
【0012】
第2部分10bは、配線群10の長手方向における配線群10の一部であって、第1部分10aとは異なる部分である。この例では、第2部分10bは、第1部分10aの上側に隣り合っている。
【0013】
被覆体20は、筒状の第1被覆21と、筒状の第2被覆22と、吸水媒体23とを有している。第1被覆21及び第2被覆22のそれぞれは、水を通さない材料によって構成されている。
【0014】
第1被覆21は、第1部分10aの外周を覆っている。第2被覆22は、第2部分10bの外周を覆っている。この例では、第2被覆22は、第1被覆21の上に位置している。
【0015】
第1被覆21は、第1端部21aを有している。第1端部21aは、配線群10の長手方向における第1被覆21の端部である。この例では、第1端部21aは、第1被覆21の上端部である。
【0016】
第2被覆22は、第2端部22aを有している。第2端部22aは、配線群10の長手方向における第2被覆22の端部であって、第1端部21aに隣り合う端部である。この例では、第2端部22aは、第2被覆22の下端部である。
【0017】
第1端部21aと第2端部22aとの間には、排水口としての隙間20aが設けられている。この例では、第1端部21aの外周は、隙間20aを介して、第2端部22aによって囲まれている。このため、隙間20aは、第1端部21aの外周と第2端部22aの内周との間に設けられている。
【0018】
吸水媒体23は、水を吸収する材料、例えば布又は紙によって構成されている。また、吸水媒体23は、複数の吸水部23aと、筒状の排水部23bとを有している。
【0019】
各吸水部23aは、配線群10に接している。また、各吸水部23aは、配線群10の内部に入り込んでいる。また、各吸水部23aは、2本以上の配線11と接している。複数の吸水部23aは、全ての配線11のそれぞれが1つ以上の吸水部23aと接するように配置されることが好ましい。
【0020】
排水部23bは、隙間20aに配置されている。即ち、排水部23bは、第1端部21aと第2端部22aとの間に介在している。この例では、隙間20aは、配線群10の全周に渡って、排水部23bによって埋められている。
【0021】
また、排水部23bは、第2端部22aの先端面22bよりも第2部分10b側に位置している。即ち、排水部23bの下端は、先端面22bよりも上方に位置しており、隙間20aの下端よりも上方に引っ込んでいる。
【0022】
吸水媒体23は、被覆体20内に入った水を隙間20aに導き、隙間20aから被覆体20の外部へ排出する。
【0023】
このようなケーブル装置では、被覆体20が吸水媒体23を有している。また、吸水媒体23の吸水部23aは配線群10に接しており、吸水媒体23の排水部23bは隙間20aに配置されている。
【0024】
これにより、被覆体20内に入った水は、配線群10に対する隙間20aの位置によらず、吸水媒体23によって隙間20aに導かれ、隙間20aから被覆体20の外部に排出される。このため、排水口の位置の自由度を向上させることができ、ケーブル装置の配線経路の自由度も向上させることができる。
【0025】
また、隙間20aは、配線群10の全周に渡って、排水部23bによって埋められている。このため、隙間20aから被覆体20内への異物の侵入を抑制することができる。
【0026】
また、第1端部21aの外周は、隙間20aを介して、第2端部22aによって囲まれている。このため、隙間20aから被覆体20内への水の侵入を抑制することができる。
【0027】
また、第2被覆22は、第1被覆21の上に位置している。このため、隙間20aから被覆体20内への水の侵入をより確実に抑制することができる。また、排水部23bに導かれた水を、重力によって、被覆体20の外部にスムーズに排出することができる。
【0028】
また、排水部23bは、第2端部22aの先端面22bよりも第2部分10b側に位置している。このため、吸水媒体23が被覆体20の外部の水を吸収することを抑制することができる。
【0029】
また、各吸水部23aは、配線群10の内部に入り込んでいる。このため、隣り合う配線11間に入り込んだ水も、被覆体20の外部に排出することができる。
【0030】
なお、
図2に示すように、第2端部22aは、第1端部21aに対して、配線群10の長手方向に間隔をおいて配置されてもよい。この場合、隙間20aは、第1端部21aの先端面21bと、第2端部22aの先端面22bとの間に設けられている。
【0031】
また、
図3に示すように、第2被覆22の外周に、
図1の第2端部22aのように排水部23bを覆う筒状のカバー24が取り付けられてもよい。
【0032】
また、配線群10は、必ずしも上下方向に沿って配置されていなくてもよい。例えば、配線群10は、上下方向に対して斜めに配置されていたり、水平に配置されていたりしてもよい。また、配線群10は、直線状に配置されていても、湾曲して配置されていてもよい。
【0033】
また、複数の吸水部23aは、必ずしも配線群10の内部に入り込んでいなくてもよい。例えば、複数の吸水部23aは、配線群10と第1被覆21との間のみに配置されてもよい。また、筒状の吸水部が、配線群10と第1被覆21との間に介在してもよい。
【0034】
また、隙間20aは、必ずしも排水部23bによって埋められていなくてもよい。
【0035】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0036】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0037】
(付記1)
複数の配線が束ねられてなる配線群、及び
前記配線群の一部である第1部分の外周を覆っている第1被覆と、前記配線群における前記第1部分とは異なる部分である第2部分の外周を覆っている第2被覆とを有している被覆体
を備え、
前記配線群の長手方向における前記第1被覆の端部である第1端部と、前記配線群の長手方向における前記第2被覆の端部である第2端部との間には、排水口としての隙間が設けられており、
前記被覆体は、前記被覆体内に入った水を前記隙間に導く吸水媒体をさらに有しており、
前記吸水媒体は、前記配線群に接している吸水部と、前記隙間に配置されている排水部とを有しているケーブル装置。
(付記2)
前記隙間は、前記配線群の全周に渡って、前記排水部によって埋められている付記1記載のケーブル装置。
(付記3)
前記第1端部の外周は、前記隙間を介して、前記第2端部によって囲まれている付記1又は付記2に記載のケーブル装置。
(付記4)
前記第2被覆は、前記第1被覆の上に位置しており、
前記第1端部は、前記第1被覆の上端部であり、
前記第2端部は、前記第2被覆の下端部である付記3記載のケーブル装置。
(付記5)
前記排水部は、前記第2端部の先端面よりも前記第2部分側に位置している付記3又は付記4に記載のケーブル装置。
(付記6)
前記吸水部は、前記配線群の内部に入り込んでいる付記1から付記5までのいずれか1項に記載のケーブル装置。
【符号の説明】
【0038】
10 配線群、10a 第1部分、10b 第2部分、11 配線、20 被覆体、20a 隙間、21 第1被覆、21a 第1端部、22 第2被覆、22a 第2端部、22b 先端面、23 吸水媒体、23a 吸水部、23b 排水部。