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  • 特開-化粧シート、及び、化粧板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134524
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】化粧シート、及び、化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240926BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240926BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240926BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20240926BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/00 E
C08J5/18
C08J7/04 B CES
E04F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025431
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2023044467
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 健
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴矢
(72)【発明者】
【氏名】木綿 一貴
(72)【発明者】
【氏名】小椋 好真
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋平
【テーマコード(参考)】
2E110
4F006
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
2E110AA70
2E110BA04
2E110FA10
2E110GA03X
2E110GA04W
2E110GA05W
2E110GA07X
2E110GB43X
2E110GB54W
4F006AA12
4F006AB37
4F006BA17
4F006DA04
4F071AA20
4F071AC09
4F071AE11
4F071AF53
4F071AG12
4F071AG14
4F071AH03
4F071AH12
4F071AH19
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC02
4F100AA01C
4F100AH02C
4F100AJ11C
4F100AK03E
4F100AK04A
4F100AK07A
4F100AK07C
4F100AK25D
4F100AK41D
4F100AK41E
4F100AK42A
4F100AK51D
4F100AK51E
4F100AK63A
4F100AT00A
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4F100CA00C
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4F100CA05A
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4F100CA07A
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4F100CA13A
4F100CA13B
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4F100CA19C
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4F100EJ55A
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4F100JJ03A
4F100JK14
4F100JL02
4F100JL08B
4F100JL10
4F100JL10B
4F100JL11E
4F100JN01C
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】バイオマス由来のホモポリプロピレンを用いたとしても、低温環境下における加工性と、押出製膜時の生産速度の低下を抑制できる化粧シート等を提供する。
【解決手段】
基材シートの一方の面側に、絵柄層と、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に有し、上記透明性樹脂層が、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、上記透明性樹脂層は、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上であり、上記石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする化粧シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面側に、絵柄層と、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に有し、
前記透明性樹脂層が、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、
前記透明性樹脂層は、前記バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、前記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上であり、前記石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、前記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下である
ことを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記バイオマス由来のホモポリプロピレンは、バイオマス度が30%以上である請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記透明性樹脂層の厚みが、40μm以上150μm以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記透明性樹脂層が、前記表面保護層を有する側に凹凸形状を有する請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記透明性樹脂層が、滑剤を含有する請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記滑剤が、ステアリン酸カルシウムである請求項5に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記基材シートの前記絵柄層を有する側と反対の面側に接着補助層を有する請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記基材シートが、バイオマス由来のポリオレフィンを含む請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記表面保護層は、抗菌剤、抗ウイルス剤、及び、抗アレルゲン剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の化粧シートの基材シートの絵柄層を有する側と反対の面側に被着材を備える化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化粧シート、及び、化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
建材、家具、家電製品等において、使用する部材を加飾したい場合には、意匠が施された化粧シートを貼着した化粧板が一般的に用いられている。
【0003】
化粧シートを構成する材料として、プラスチックが主成分として使用されていることが多い。上記プラスチックとしては、石油由来のプラスチックが汎用されているが、環境負荷軽減の観点で好ましくない。
【0004】
そこで、石油由来のプラスチックよりも環境負荷が少ない素材として、再生可能な生物由来の資源を原材料としたバイオマス由来のプラスチックを化粧シートに用いることが検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、表面に絵柄層を印刷形成した着色熱可塑性樹脂層の前記絵柄層面に、透明な接着性樹脂層を介して表面に凹凸部が形成された透明熱可塑性樹脂層と表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、前記透明熱可塑性樹脂層は20質量%以上60質量%以下のバイオマス低密度ポリエチレン樹脂と40質量%以上80質量%以下のバイオマス高密度ポリエチレン樹脂がブレンドされた樹脂組成物からなるものであることを特徴とする化粧シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-179553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バイオマス由来のプラスチックとして、バイオマス由来のポリプロピレンを用いることも検討されている。バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のポリエチレンと比較して傷がつきにくい(耐傷性に優れる)等の特性を有する。
【0008】
現状では、バイオマス由来のポリプロピレンとして、主にブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレンしか量産されていない。
しかしながら、バイオマス由来のブロックポリプロピレンは透明性が低いために意匠性が求められる化粧シートの分野での使用には適さない。また、バイオマス由来のホモポリプロピレンは、耐寒性が低いために低温環境下であると加工時に割れが発生したり、膜厚を安定させるために押出製膜時の生産速度を下げる必要があるといった問題があった。
【0009】
そのためバイオマス由来のホモポリプロピレンを化粧シートの透明性樹脂層(特許文献1の透明熱可塑性樹脂層)に用いようとすると、絵柄層上にバイオマス由来のホモポリプロピレンを押出ラミネートする際の生産速度が低下したり、低温環境下で化粧シートに対して加工を施すと割れが発生したりするといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、バイオマス由来のポリプロピレンを建材用等の化粧シートに導入することに関して検討を重ねたところ、バイオマス由来のホモポリプロピレンに石油由来のランダムポリプロピレンを特定量配合することにより、低温環境下における加工性が向上し、押出製膜時の生産速度の低下を抑制できることを見出した。
【0011】
すなわち、本開示は、基材シートの一方の面側に、絵柄層と、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に有し、上記透明性樹脂層が、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、上記透明性樹脂層は、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上であり、上記石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする化粧シートである。
【0012】
本開示の化粧シートにおいて、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンは、バイオマス度が30%以上であることが好ましい。
また、上記透明性樹脂層の厚みが、40μm以上150μm以下であることが好ましい。
また、上記透明性樹脂層が、上記表面保護層を有する側に凹凸形状を有することが好ましい。
また、上記透明性樹脂層が、滑剤を含有することが好ましい。
また、上記滑剤が、ステアリン酸カルシウムであることが好ましい。
また、上記基材シートの上記絵柄層を有する側と反対の面側に接着補助層を有することが好ましい。
また、上記基材シートが、バイオマス由来のポリオレフィンを含むことが好ましい。
また、上記表面保護層は、抗菌剤、抗ウイルス剤、及び、抗アレルゲン剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本開示は、上記化粧シートの基材シートの絵柄層を有する側と反対の面側に被着材を備える化粧板でもある。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、バイオマス由来のホモポリプロピレンを用いたとしても、低温環境下における加工性と、押出製膜時の生産速度の低下を抑制できる化粧シートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の化粧シートの好ましい一例を模式的に説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<化粧シート>
本開示の化粧シートは、基材シートの一方の面側に、絵柄層と、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に有し、上記透明性樹脂層が、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、上記透明性樹脂層は、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上であり、上記石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする。
【0016】
図1は、本開示の化粧シートの好ましい一例を模式的に説明する断面図である。
図1に示すように、化粧シート10は、基材シート1の一方の面側に、絵柄層3、透明性樹脂層6及び表面保護層8がこの順に積層されている。
また、図1に示すように、基材シート1と絵柄層3との間に接着補助層2(絵柄補助層ともいう)を有してもよく、基材シート1の絵柄層3を有する側と反対側に接着補助層4(裏面接着補助層ともいう)を有してもよく、絵柄層3と透明性樹脂層6と間に接着剤層5を有していてもよく、透明性樹脂層6と表面保護層8との間に接着補助層7(表面接着補助層)を有してもよい。
以下、本開示の化粧シートの各構成について詳述する。
【0017】
(基材シート)
本開示の化粧シートは、基材シートを有する。
【0018】
基材シートを構成する樹脂は、オレフィン樹脂であることが好ましい。
オレフィン樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
【0019】
基材シートは、ポリエステル系樹脂であってもよく、例えば、ポリエステル系熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
基材シートは、バイオマス由来のポリオレフィンを含んでもよい。
基材シートがバイオマス由来のポリオレフィンを含むことにより、化石燃料由来の原料を好適に削減し、環境負荷を好適に低減することができる。
ここで「バイオマス由来のポリオレフィン」とは、原料として少なくとも一部にバイオマス由来のポリオレフィンを用いたものであって、原料の全てがバイオマス由来のポリオレフィンであることを意味するものではない。
【0021】
バイオマス由来のポリオレフィンとしては、バイオマス由来のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等が挙げられる。
【0022】
バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又は、直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より2種以上を選択して混合したものであってもよい。
【0023】
バイオマス由来のポリプロピレンとしては、バイオマス由来のホモポリプロピレンを好適に用いることができる。
上記バイオマス由来のホモポリプロピレンとしては、後述する透明性樹脂層で記載したものを適宜選択すればよい。
【0024】
バイオマス由来のポリオレフィンは、環境負荷を好適に軽減する観点から、バイオマス度が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
バイオマス由来のポリオレフィンのバイオマス度の上限としては、例えば、70%である。
【0025】
本明細書において「バイオマス度」は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。一方、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、本開示の基材シートの層中(或いは後述する透明性樹脂層の層中)の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
すなわち、本開示の基材シートの層中(或いは透明性樹脂層の層中)のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=(PC14/105.5)×100
【0026】
基材シートは、必要に応じて、着色剤、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
なお、添加剤の含有量としては、基材シートの質量を基準として、20質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。
【0027】
基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよいし、隣接する層との密着性を高めるための下地塗料であるプライマーが塗布されていてもよい。
【0028】
基材シートの厚みとしては、例えば50μm以上100μm未満であることが好ましく、60μm以上80μm以下であることがより好ましい。
【0029】
基材シートを成膜(シーティング)する具体的な方法としては特に限定されず、Tダイを用いて溶融した樹脂を押出してラミネートするTダイ法やカレンダー法、円形ダイ法(インフレーション法、チューブラ法)、等が挙げられる。その中でも生産効率(生産速度)を向上させたり、シーティング時の内部応力を緩和させたりする場合はTダイ法が好ましい。基材シートの厚みを均一にしたり異物欠点を減少させたりする場合はカレンダー法を用いることが好ましい。
【0030】
(絵柄層)
本開示の化粧シートは、基材シートの一方の面側に、絵柄層を有する。
【0031】
絵柄層は、所望の絵柄模様(意匠)を化粧シートに付与するものであり、絵柄模様の種類等は限定されない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
【0032】
絵柄層の形成に用いるインキは、着色剤成分、樹脂成分及び液体成分を含んでいる。インキは、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合してもよい。
【0033】
着色剤成分としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片の真珠光沢(パール)顔料等を用いることができる。樹脂成分としては、特に制限はなく、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、スチレン系樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、アクリル-ウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等から選ばれる任意のものを、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。液体成分としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、酢酸エチルアルコール、エタノール、メタノールなどの有機溶剤や水を用いることができる。
【0034】
絵柄層は、着色剤成分、樹脂成分及び液体成分を含むインキを凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で部分印刷することによって形成することができる。同じまたは異なる組成のインキの部分印刷を異なる領域に分けて又は/及び同じ領域に重ねて複数回行うことにより、絵柄層を形成させてもよい。
【0035】
絵柄層の厚みとしては、例えば、0.1μm以上5μm以下とすることが好ましい。膜質や密着性を良好にすることができる。
絵柄層の厚みは、0.5μm以上3μm以下とすることがより好ましい。
【0036】
(透明性樹脂層)
本開示の化粧シートは、基材シートの一方の面側に、透明性樹脂層を有する。
なお、「透明性」とは、絵柄層が視認できる範囲であれば、半透明や着色されていてもよい。
【0037】
透明性樹脂層は、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含む。
【0038】
バイオマス由来のホモポリプロピレンは、プロピレンのみが重合されたものであり、重合に用いるプロピレンとしては、バイオマス由来のプロピレンを含む。
バイオマス由来のホモポリプロピレンとしては、アイソタクチックホモポリプロピレン、アタクチックホモポリプロピレン、シンジオタクチックホモポリプロピレン等が挙げられる。
【0039】
バイオマス由来のホモポリプロピレンは、環境負荷を低減する観点から、バイオマス度が30%以上であることが好ましい。
【0040】
石油由来のランダムポリプロピレンとしては、プロピレンとプロピレン以外のモノマーとをランダムに共重合したものであればよく、例えば、エチレン、1-ブテン等を用いた共重合体等が挙げられる。
【0041】
透明性樹脂層は、バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上である。
【0042】
透明性樹脂層は、石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下である。
透明性樹脂層は、低温環境下における加工性を好適に付与する観点から、石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0043】
透明性樹脂層は、石油由来のホモポリプロピレンを含んでも良い。
石油由来のホモポリプロピレンは、石油由来のプロピレンのみが重合されたものである。
石油由来のホモポリプロピレンとしては、アイソタクチックホモポリプロピレン、アタクチックホモポリプロピレン、シンジオタクチックホモポリプロピレン等が挙げられる。
【0044】
透明性樹脂層は、低温環境下における加工性を好適に付与し、押出製膜時の生産速度の低下を好適に抑制する観点から、石油由来のホモポリプロピレンの含有量が、透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましく、0質量%(すなわち、透明性樹脂層を構成する樹脂成分がバイオマス由来のホモポリプロピレンと石油由来のランダムポリプロピレンとからなる)であることが特に好ましい。
【0045】
透明性樹脂層は、製膜時の機械との摩擦の軽減と、樹脂の流動性と離形性の向上の観点から、滑剤を含有することが好ましい。
滑剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸ブチル、ステアリルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0046】
滑剤の含有量としては、透明性樹脂層の質量を基準として、0.01質量%以上、0.2質量%以下であることが好ましい。
【0047】
透明性樹脂層には、更に必要に応じて各種添加剤を含有しても良い。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤等が挙げられる。これらは公知の添加剤を適宜選択して用いることができる。
【0048】
添加剤の含有量としては、透明性樹脂層の質量を基準として、0.01質量%以上、0.2質量%以下であることが好ましい。
【0049】
透明性樹脂層の厚みは、40μm以上150μm以下であることが好ましい。
透明性樹脂層の厚みが40μm以上であることにより、化粧シートの耐傷性を好適に向上させて耐久性を付与することができる。透明性樹脂層の厚みが150μm以下であることにより、化粧シート全体として化石燃料由来の材料を好適に削減することができ、環境負荷を好適に低減することができる。
なお、透明性樹脂層が凹凸形状を有する場合、透明性樹脂層の厚みとは、凹凸形状を避けた平坦な部分における厚みを意味する。後述する表面保護層や、後述する接着補助層の厚みについても、凹凸形状を避けた平坦部分の厚みを意味する。
【0050】
透明性樹脂層を積層する方法としては、一般的な方法であれば限定されず、ドライラミネート法やTダイを用いて溶融した樹脂を押出してラミネートする押出しラミネート法等が挙げられる。
なお、溶融した樹脂を押出すことができるTダイ等は、上述した押出し機構として用いることができる。
【0051】
透明性樹脂層は、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
【0052】
(表面保護層)
本開示の化粧シートは、基材シートの一方の面側に、表面保護層を有する。
【0053】
表面保護層は、例えば、熱硬化性成分の硬化物や電離放射線硬化性成分の硬化物を主成分として含有してもよい。硬化物は、透明性であることが好ましい。
【0054】
熱硬化性成分の硬化物としては、例えば、エステル系ウレタンやアクリル系ウレタンを挙げることができる。
【0055】
電離放射線硬化性成分の硬化物としては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性官能基を有するオリゴマー及び/又はモノマーの硬化物を挙げることができる。電離放射線とは、分子を重合或いは架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子を意味し、電子線(EB)又は紫外線(UV)が一般的である。表面保護層を形成する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0056】
分子中にラジカル重合性不飽和基を有するオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等のオリゴマーが好ましく使用でき、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが更に好ましい。分子量としては、通常250以上10万以下程度のものが用いられる。
【0057】
分子中にラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、多官能モノマーが好ましく、多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート{5官能(メタ)アクリレート}、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート{6官能(メタ)アクリレート}等が挙げられる。なお、単官能モノマーを適宜使用しても良い。
【0058】
電離放射線硬化性成分が、ウレタンアクリレートオリゴマー及び多官能モノマーを、ウレタンアクリレートオリゴマー/多官能モノマーの質量比6/4以上9/1以下の範囲で含むことが好ましい。
【0059】
電離放射線硬化性樹脂を紫外線にて架橋させる場合、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の添加量は、例えば、電離放射線硬化性成分100質量部に対して0.1以上10以下質量部である。
【0060】
表面保護層は、必要に応じて上記無機充填剤以外の添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルゲン剤、防カビ剤等が挙げられる。
上記添加剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
表面保護層は、抗菌剤、抗ウイルス剤、及び、抗アレルゲン剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0062】
抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び、有機系抗菌剤がある。
特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。
無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものが挙げられる。
【0063】
表面保護層が抗菌剤を含有する場合、熱硬化性成分又は電離放射線硬化性成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましいが、抗菌剤の種類に応じて適宜調整することができる。
【0064】
抗ウイルス剤としては一般的に有機系と無機系とに大別することができる。
有機系の抗ウイルス剤としては、第4級アンモニウム塩系、第4級ホスホニウム塩系、ピリジン系、ピリチオン系、ベンゾイミダゾール系、有機ヨード系、イソチアゾリン系、アニオン系等が挙げられる。
無機系の抗ウイルス剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属イオンをゼオライト、アパタイト、ジルコニア、ガラス、酸化モリブデン等に担持させたものが挙げられる。
表面保護層が抗ウイルス剤を含有する場合、熱硬化性成分又は電離放射線硬化性成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましいが、抗ウイルス剤の種類に応じて適宜調整することができる。
【0065】
アニオン系の抗ウイルス剤としては、例えばスチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含むものが好ましい。
【0066】
無機系の抗ウイルス剤としては、生体毒性が無く安全性に優れる観点から銀系の抗ウイルス剤が好ましく、なかでも、リン酸系ガラス銀担持化合物または銀ゼオライト化合物、及び、酸化モリブデン銀複塩化合物は少量でも抗ウイルス性能を発現することから添加量を抑制することができるため、より好ましい。
【0067】
抗アレルゲン剤は、無機化合物又は有機化合物のいずれか一方を含むものであり、各々単体で用いても良いし、異なる2種以上を混合させても良い。
無機化合物としては金属を担持してなる材料であることが好ましい。
抗アレルゲン剤の添加量は、熱硬化性成分又は電離放射線硬化性成分100質量部に対して1.0~40質量部が好ましく、1~10質量部が更に好ましいが、抗アレルゲン剤の種類に応じて適宜調整することができる。
【0068】
無機化合物の無機材料としては例えば、酸化チタン、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ゼオライト、シリカアルミナ、珪酸マグネシウム及びリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、この中でも酸化チタン、リン酸ジルコニウム等がより好ましい。
市販品として例えば東亞合成社製「アレリムーブ(商品名)」等を使用することができる。
【0069】
無機材料に担持される金属としては、例えば、銀以外の金、白金、亜鉛及び銅からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、この中でも亜鉛等が好ましい。
【0070】
市販品として例えば、日揮触媒社製「アトミーボールTZ-R:酸化チタンに亜鉛担持」等を好適に用いることができ、これらの抗アレルゲン剤は、ダニや花粉などの種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
【0071】
有機化合物としては、フェノール性水酸基を含有する非水溶性高分子又はポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたもの、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体であることが好ましい。
【0072】
上記フェノール性水酸基を含有する非水溶性高分子としては、市販品として例えば積水化学工業社製「アレルバスター(商品名)」、丸善石油社製「マルカリンカーM(商品名)」等を使用することができる。
これらの抗アレルゲン剤は、ダニや花粉等、種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
【0073】
表面保護層は、グロスマット効果を有してもよい。
グロスマット効果とは、艶のある部分を浮き出させ、艶のない部分を凹んで見えるようにする意匠効果を意味する。
グロスマット効果を付与する方法としては特に限定されず、艶調整剤を表面保護層に含有させてもよいし、後述する凹凸形状により実現してもよい。凹凸形状は、例えば、最大高さRzが10μm以上60μm以下とすることができる。表面保護層のグロスマット効果が構成する絵柄模様は、絵柄層が構成する絵柄模様の全部または一部と同調していても同調していなくてもよい。
【0074】
表面保護層の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm以上50μmである。表面保護層の厚みが1μm未満であると、十分に耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与することができないことがあり、50μmを超えると、透過率が低下し絵柄層の絵柄の視認性が低下してしまうことがある。
表面保護層の厚みは、3μm以上40μmであってもよく、5μm以上35μmであってもよい。
【0075】
(凹凸形状)
本開示の化粧シートは、意匠性を好適に付与する観点から、本開示の基材シートを備える側と反対側の面(表面保護層の表面)に凹凸形状を有することが好ましい。
凹凸形状は、透明性樹脂層や、後述する接着補助層(図1の接着補助層7)に達するものであってもよい。
【0076】
凹凸形状の最大高さRzが、10μm以上60μm以下であることが好ましい。
上記凹凸形状を有することにより、視覚だけでなく触覚(手触り)的にも立体感を感じられるような優れた意匠性を好適に付与することができる。
なお、「最大高さRz」とは、JIS B 0601(2001)に規定される最大高さRzを意味する。
【0077】
凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、熱によるエンボス加工、賦形シートによって凹凸形状を転写させる方法等が挙げられる。
熱によるエンボス加工としては、例えば、周知の枚葉、又は、輪転式のエンボス機によるエンボス加工を施す方法が挙げられる。
また、エンボスの柄模様としては、例えば、砂目、ヘアライン、梨地、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、万線条溝等が挙げられる。
【0078】
(接着補助層)
本開示の化粧シートは、各層の層間(基材シートと絵柄層との間、透明性樹脂層と表面保護層との間)に接着補助層を有していてもよく、基材シートの裏面(絵柄層を有する側と反対側)に接着補助層(裏面接着補助層)を有してもよい。
接着補助層は、プライマー層や易接着層として機能する。
【0079】
接着補助層は、例えば、エステル系ウレタンやアクリル系ウレタンなどのウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤を用いることができる。
【0080】
接着補助層は、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有してもよい。紫外線吸収剤や光安定剤は透明性樹脂層で記載したものを適宜選択することができる。
【0081】
接着補助層は、層間の接着不良を好適に抑制する観点から、厚みが0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。
なお、接着補助層の形成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択すればよい。
【0082】
(接着剤層)
本開示の化粧シートは、絵柄層と透明性樹脂層との間に接着剤層を有してもよい。
接着剤層は、透明性であることが好ましい。
【0083】
接着剤層の接着剤として、例えば、エステル系ウレタンやアクリル系ウレタンなどのウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤を用いることができる。
【0084】
接着剤層の厚みは、例えば、0.1以上30μm以下である。
なお、接着剤層の形成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択すればよい。
【0085】
(化粧シートの製造方法)
本開示の化粧シートの製造方法においては、上述した各層を形成する順番等は特に問わない。
例えば、本開示の基材シートの一方の面側に接着補助層(絵柄補助層ともいう)、絵柄層、接着剤層、透明性樹脂層、接着補助層、及び、表面保護層をこの順番で形成してもよい。
また、各層を形成する工程は連続して進行する必要はなく、これらの工程どうしの間に、他の工程や処理を行ってもよい。
【0086】
<化粧板>
本開示の化粧板は、本開示の化粧シートの基材シートの絵柄層を有する側と反対側に被着材が積層されている。
【0087】
被着材として、例えば、木質板、石膏系板、セメント板、セラミックス板、金属板、樹脂板、繊維強化プラスチック板が挙げられる。被着材の積層方法としては例えば、本開示の基材シートの絵柄層を有する側と反対側に、上述した接着剤層を形成する接着剤等を使用して被着材を積層すればよい。
【0088】
本明細書では、以下の事項が開示されている。
【0089】
本開示(1)は、基材シートの一方の面側に、絵柄層と、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に有し、上記透明性樹脂層が、バイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、上記透明性樹脂層は、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して80質量%以下20質量%以上であり、上記石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が、上記透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対して20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする化粧シートである。
本開示(2)は、上記バイオマス由来のホモポリプロピレンは、バイオマス度が30%以上である本開示(1)に記載の化粧シートである。
本開示(3)は、上記透明性樹脂層の厚みが、40μm以上150μm以下である本開示(1)又は(2)に記載の化粧シートである。
本開示(4)は、上記透明性樹脂層が、上記表面保護層を有する側に凹凸形状を有する本開示(1)~(3)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(5)は、上記透明性樹脂層が、滑剤を含有する本開示(1)~(4)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(6)は、上記滑剤が、ステアリン酸カルシウムである本開示(5)に記載の化粧シートである。
本開示(7)は、上記基材シートの上記絵柄層を有する側と反対の面側に接着補助層を有する本開示(1)~(6)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(8)は、上記基材シートが、バイオマス由来のポリオレフィンを含む本開示(1)~(7)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(9)は、上記表面保護層は、抗菌剤、抗ウイルス剤、及び、抗アレルゲン剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(1)~(8)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(10)は、本開示(1)~(9)の何れかに記載の化粧シートの基材シートの絵柄層を有する側と反対の面側に被着材を備える化粧板である。
【実施例0090】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本開示は、この例によって限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
厚さ60μmの着色ポリプロピレンを準備し、これを基材シートとした。
基材シートの一方の面側に、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で有機溶剤を含むインキをベタ印刷することにより、基材シートの一方の面を被覆するエステル系ポリウレタン樹脂を主成分とする裏面接着補助層を形成した。
基材シートのもう一方の面側に、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で有機溶剤を含むインキをベタ印刷することにより、アクリル-ウレタン系樹脂を主成分とする絵柄層を形成した。
上記絵柄層の基材シートと反対の面側に、エステル系ポリウレタンを塗布して厚み10μmの接着剤層を形成した。
その後、上記接着剤層上に押出成形で製膜した厚み60μmの透明性樹脂層をドライラミネートにて形成した。
上記透明性樹脂層としては、バイオマス由来のホモポリプロピレン(バイオマス度50%)を80質量%、石油由来のランダムポリプロピレンを20質量%でブレンドした樹脂を使用した。
更に、上記透明性樹脂層の接着剤層と反対の面側に、厚み2μmのアクリル-ウレタン共重合体樹脂からなる接着補助層を形成し、該接着補助層上にグラビアコートにて、コート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)を塗工した後、電離放射線を照射してコート剤を硬化して、厚み5μmの表面保護層を形成した。
最後に、表面保護層を有する面側から熱圧によるエンボス加工を施して凹凸形状を形成し、化粧シートを製造した。
なお、バイオマス由来のホモポリプロピレンのバイオマス度は、本明細書に記載の方法により算出した。
【0092】
(実施例2~4、比較例1~3)
バイオマス由来のホモポリプロピレン、石油由来のランダムポリプロピレン、及び、石油由来のホモポリプロピレンを、表1に記載の比率でブレンドした樹脂を準備し、これを透明性樹脂層として用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
なお、表1中では、バイオマス由来のホモポリプロピレンを「バイオマスホモPP」、石油由来のホモポリプロピレンを「石油ホモPP」、石油由来のランダムポリプロピレンを「石油ランダムPP」と略記した。
また、表1中では、各実施例の「バイオマスホモPP」等の樹脂成分の右欄に記載した数値は、透明性樹脂層を構成する樹脂成分の質量に対する各樹脂成分の含有量(質量%)を意味する。
【0093】
(実施例5)
表面保護層の形成に用いたコート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)100質量部に対し、抗ウイルス剤としてリン酸系ガラス銀担持化合物(興亜硝子社製 PG-711)を3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
【0094】
(実施例6)
表面保護層の形成に用いたコート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)100質量部に対し、アニオン性フェノール系材料(抗アレルゲン剤、DIC社製 EXP20530A)及び亜鉛系材料(抗アレルゲン剤、DIC社製 EXP20530B)をそれぞれ16質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
【0095】
<評価方法>
【0096】
(1)低温環境下における加工性
作製した化粧シートの裏面接着補助層を備える側と、MDFとをエマルジョン系接着剤(塗布量75g/m)を介して貼り合わせ、試験片(幅30cm、長さ30cm、厚み2.5mm)を作製した。
試験片を養生した後、MDFの化粧シートが貼り合されていない面にV型の溝(深さ2.4mm、幅4mm)を掘り、5℃環境下で直方体(縦20cm、横10cm、高さ5cm)の木材にMDFの化粧シートが貼り合されていない面側が接するように巻き付けて、Vカット加工品を作製した。
500ルクス以上の光源下で、Vカット加工品を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
++:50cm離れて、角部(折り曲げ部)のシート割れが確認できない。
+:1m離れて、角部(折り曲げ部)のシート割れが確認できない。
-:50cm離れてシート割れが確認できないが、1m離れて、角部(折り曲げ部)のシート割れが確認できる。
なお、上記試験では、「++」「+」評価を合格、「-」評価を不合格と判断した。
【0097】
(2)押出製膜時の生産速度
バイオマス由来のホモポリプロピレン(バイオマス度100%、厚み60μm)の押出製膜時の生産速度(m/分)と、作製した透明性樹脂層の押出製膜時の生産速度(m/分)を測定した。
以下の式により、生産速度の向上度合いを算出し、以下の基準で評価した。
(式)
[(作製した透明性樹脂層の押出製膜時の生産速度-バイオマス由来のホモポリプロピレンの押出製膜時の生産速度)/バイオマス由来のホモポリプロピレンの押出製膜時の生産速度]×100
+:生産速度の向上が10%以上
-:生産速度の向上が10%未満
なお、上記試験では、「+」評価を合格、「-」評価を不合格と判断した。
【0098】
(3)抗ウイルス性能
実施例1及び実施例5で作製した化粧シートについて、抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で抗ウイルス性能試験を行い、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を算出し、下記評価基準に基づいて評価した。その結果を表2に示した。
なお、表2中の抗ウイルス剤(質量部)とは、コート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)100質量部に対する抗ウイルス剤の使用量(質量部)を意味する。
+:抗ウイルス活性値2.0以上であった
-:抗ウイルス活性値2.0未満であった
なお、「+」を合格、「-」を不合格と判断した。
【0099】
(4)抗アレルゲン性能
実施例1及び実施例6で作製した化粧シートについて、抗アレルゲン性能を評価した。
具体的には、実施例1及び実施例6で作製した化粧シート(10cm×10cm)を細かく切断し、20~30ng/mlのコナヒョウヒダニ由来アレルゲン水溶液60mL中に1日間浸した後のアレルゲン量を水平展開クロマト法(マイティチェッカー)で目視にて確認し、下記評価基準に従って評価した。その結果を表3に示した。
なお、表3中に記載のアニオン性フェノール系材料(質量部)及び亜鉛系材料(質量部)は、コート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)100質量部に対するアニオン性フェノール系材料及び亜鉛系材料の使用量(質量部)を意味する。
+:アレルゲン量の減少が確認できた(ダニアレルゲンレベル判定が+判定以下(すなわち100匹程度/m以下)
-:アレルゲン量の減少が確認できなかった(ダニアレルゲンレベル判定が+判定超過)
なお、「+」を合格、「-」を不合格と判断した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
表1に示すように、透明性樹脂層がバイオマス由来のホモポリプロピレンと、石油由来のランダムポリプロピレンとを含み、バイオマス由来のホモポリプロピレンの含有量が80質量%以下20質量%以上であり、石油由来のランダムポリプロピレンの含有量が20質量%以上80質量%以下である実施例の化粧シートでは、低温環境下における加工性に優れており、押出製膜時の生産速度の低下を抑制し得る。
また、表2より、表面保護層が抗ウイルス剤を含むことにより、抗ウイルス性能を付与し得る。また、表3より、表面保護層が抗アレルゲン剤を含むことにより、抗アレルゲン性能を付与し得る。
【符号の説明】
【0104】
1 基材シート
2 接着補助層(絵柄補助層)
3 絵柄層
4 接着補助層(裏面接着補助層)
5 接着剤層
6 透明性樹脂層
7 接着補助層(表面接着補助層)
8 表面保護層
10 化粧シート
図1