(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134533
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】人材配置支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038065
(22)【出願日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2023043937
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】510286499
【氏名又は名称】Tech Fun株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊智
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA06
(57)【要約】
【課題】プロジェクトにおける適切な人材配置を支援する人材配置支援システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】人材が過去に参画したプロジェクトにおいて当該人材が遂行した役割および前記役割を遂行した期間を少なくとも含む実績情報と、当該人材が遂行した役割について評価者によって評価された評価値とを記憶した人材実績情報DB20と、人材に割り当てられる肩書きであり且つプロジェクトを構成するポジションと当該ポジションが割り当てられた人材が遂行する一以上の所定の役割との関連づけを含むポジション情報を記憶したポジション情報DB30と、前記ポジション情報と前記実績情報および前記評価値とに基づき、人材とポジションとの相性度を算出する相性度算出部60とを備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトにおける人材配置を支援する人材配置支援システムであって、
人材が過去に参画したプロジェクトにおいて当該人材が遂行した役割および前記役割を遂行した期間を少なくとも含む実績情報と、当該人材が遂行した役割について評価者によって評価された評価値とを記憶した人材実績情報記憶部と、
人材に割り当てられる肩書きであり且つプロジェクトを構成するポジションと当該ポジションが割り当てられた人材が遂行する一以上の所定の役割との関連づけを含むポジション情報を記憶したポジション情報記憶部と、
前記ポジション情報記憶部に記憶されているポジション情報と前記人材実績情報記憶部に記憶された前記実績情報および前記評価値とに基づき、人材とポジションとの相性度を算出する相性度算出部とを備えた
ことを特徴とする人材配置支援システム。
【請求項2】
前記相性度算出部は、算出時により近い期間における評価値ほど相性度への影響が大きくなるよう評価値に重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1記載の人材配置支援システム。
【請求項3】
前記実績情報は、さらに、人材が遂行した役割において当該人材が担当した工程および技術要素を含むとともに、
前記評価値は、さらに、前記工程および技術要素について評価者によって評価された評価値を含み、
前記ポジション情報は、さらに、ポジションに関連づけられた工程および技術要素を含む
ことを特徴とする請求項1記載の人材配置支援システム。
【請求項4】
少なくとも一以上のポジションから構成されるプロジェクト情報を記憶するプロジェクト情報記憶部と、
プロジェクトを構成する各ポジションに対して人材を配置する人材配置部と、
プロジェクトを構成する各ポジションについて前記相性度算出部により算出された各ポジションと当該ポジションに配置された人材との相性度に基づきプロジェクト成功率を算出するプロジェクト成功率算出部とを備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の人材配置支援システム。
【請求項5】
前記プロジェクト成功率算出部により算出されるプロジェクト成功率が最大化するよう前記人材配置部による各ポジションへの人材配置を制御する人材配置制御部を備えた
ことを特徴とする請求項4記載の人材配置支援システム。
【請求項6】
前記ポジション情報記憶部および前記プロジェクト情報記憶部は、ユーザにより1以上の任意の追加項目を設定可能であり、
さらに、
人材に関する人材情報を記憶する人材情報記憶部であって、ユーザにより1以上の任意の追加項目を設定可能な人材情報記憶部と、
前記人材情報記憶部の追加項目と前記ポジション情報記憶部または前記プロジェ情報記憶部の追加項目との対応関係を記憶する対応関係記憶部とを備え、
前記相性度算出部は、前記追加項目の対応関係に含まれる、前記人材情報記憶部に記憶されている追加項目の内容と、前記ポジション情報記憶部および前記プロジェクト情報記憶部の何れか一方または双方に記憶されている追加項目の内容とに基づき、追加相性度を算出する追加相性度算出部を備えた
ことを特徴とする請求項4記載の人材配置支援システム。
【請求項7】
前記人材情報記憶部、前記ポジション情報記憶部および前記プロジェクト情報記憶部に設定する追加項目毎に、当該追加項目に入力される情報の種別情報を記憶する追加項目情報記憶部を備え、
前記追加相性度算出部は、追加項目情報に記憶されている追加項目の種別情報に対応する算出処理方法を用いて追加相性度の算出を行う
ことを特徴とする請求項6記載の人材配置支援システム。
【請求項8】
ユーザからの入力により、前記人材情報記憶部、前記ポジション情報記憶部および前記プロジェクト情報記憶部に対して追加項目を設定するとともに、前記対応関係記憶部に記憶する追加項目の対応関係を設定する追加情報設定部を備えた
ことを特徴とする請求項6記載の人材配置支援システム。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1記載の人材配置支援システムの各部として機能させる
ことを特徴とする人材配置支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばソフトウェア開発などの各種プロジェクトにおける人材配置を支援する人材配置支援システムに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばソフトウェア開発などのプロジェクトでは人材の確保および配置が重要となり、適切な人材配置がプロジェクトの成否に大きく影響する。従来、人材配置を行うには、計画担当者が人材に関する各種情報を参照して、プロジェクトについての各種制約等を勘案して人材配置の検討を行っていた。しかし、人材に関する各種情報は増大する一方であるため、計画担当者が全ての情報を整理・確認することは困難であり、特にプロジェクトの特性等を考慮した適切な人材配置が困難であるのが実情である。また、従来は人材配置担当者による経験や主観に基づき人材配置が行われていたため、人材配置が客観性に欠けるものとなり、人材配置というタスク自体が属人化していた。
【0003】
このような事情に鑑みて、人材配置を支援するシステムが登場してきている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものは、従業者および職務の双方をコンピテンシモデルで把握して人材配置計画に利用している。ここで、コンピテンシとは、職務を実行するために必要となる個別の知識や能力であり、全般的な能力、専門知識、資格等に関して適宜設定されるものである。従業者には一部あるいは全部のコンピテンシの各々について評価が行われ、レベルが与えられる。また、職務についてもそれに必要なコンピテンシレベルが設定される。そして所定の職務について求人があった場合に、その職務の各コンピテンシレベルをクリアする従業者を候補者として選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで実際のプロジェクトの現場では、プロジェクトは複数のポジションにより構成されることが多い。そして、人材配置は、プロジェクトを構成する各ポジションにどの人材を配置するかを決定するものである。ここでポジションとは、その人材に割り当てられる肩書き或いは地位を意味するものであり、少なくとも一以上の役割から構成される。また、役割とは、プロジェクトにおける当該ポジションに応じて期待され或いは遂行する働きや役目を意味する。
【0006】
例えば、ソフトウェア開発プロジェクトにおいては、「(ポジションとしての)プロジェクトマネージャー」,「プレイングマネージャー」,「事業推進責任者」などのポジションが挙げられる。
【0007】
ここで、「(ポジションとしての)プロジェクトマネージャー」なるポジションは、プロジェクト全体の統括を専門的に行うポジションである。「(ポジションとしての)プロジェクトマネージャー」の役割は、例えば、「(役割としての)プロジェクトマネージャー」である。ここで、「(役割としての)プロジェクトマネージャー」なる役割は、プロジェクトにおける具体的なスケジュール調整や人材調整である。
【0008】
また、「プレイングマネージャー」なるポジションは、プロジェクト全体の統括を行うとともにプログラミングなどの実作業も兼任するポジションである。「プレイングマネージャー」の役割は、例えば、「(役割としての)プロジェクトマネージャー」と、「システムエンジニア」と、「プログラマ」の3つである。ここで、「システムエンジニア」なる役割は、ソフトウェアの開発や設計である。また、「プログラマ」なる役割は、ソフトウェアのコーディングである。
【0009】
また、「事業推進責任者」なるポジションは、プロジェクトに係る事業を推進する責任者というポジションである。「事業推進責任者」の役割は、例えば、「(役割としての)プロジェクトマネージャー」と、「営業」である。ここで、「営業」なる役割は、対外的な交渉や宣伝である。
【0010】
なお、ポジションは、あくまで呼称であり、プロジェクトの規模・特性等に応じて適宜自由に設定される。また、ポジションを構成する役割もプロジェクトの規模・特性等に応じて適宜自由に設定される。
【0011】
前述したように、人材配置計画は、プロジェクトを構成する各ポジションにどの人材を配置するかを計画するものである。一方、特許文献1に記載のものでは、ポジションという概念がないため、プロジェクトに対して適切な人材配置を行うことが困難であった。すなわち、仮に人材に遂行が求められる役割が同じ場合であっても、当該人材が発揮できる能力は当該人材に割り当てられたポジションによって異なることが多々ある。例えば、「(役割としての)プロジェクトマネージャー」の評価が高く、ポジション:プレイングマネージャーとしてはその能力を十分に発揮できる人材であっても、ポジション:(ポジションとしての)プロジェクトマネージャーとしてはその能力を十分に発揮できないことが多々ある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プロジェクトにおける適切な人材配置を支援する人材配置支援システムおよびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
出願人は、ポジションと人材との間には相性があり、プロジェクトを構成するポジションに対して当該ポジションと相性度が高い人材を配置するとプロジェクトの成功率が向上するという知見を得た。
【0014】
そして、上記目的を達成するために、本願発明は、プロジェクトにおける人材配置を支援する人材配置支援システムであって、人材が過去に参画したプロジェクトにおいて当該人材が遂行した役割および前記役割を遂行した期間を少なくとも含む実績情報と、当該人材が遂行した役割について評価者によって評価された評価値とを記憶した人材実績情報記憶部と、人材に割り当てられる肩書きであり且つプロジェクトを構成するポジションと当該ポジションが割り当てられた人材が遂行する一以上の所定の役割との関連づけを含むポジション情報を記憶したポジション情報記憶部と、前記ポジション情報記憶部に記憶されているポジション情報と前記人材実績情報記憶部に記憶された前記実績情報および前記評価値とに基づき、人材とポジションとの相性度を算出する相性度算出部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本願発明は、上記の人材配置支援システムにおいて、さらに、少なくとも一以上のポジションから構成されるプロジェクト情報を記憶するプロジェクト情報記憶部と、プロジェクトを構成する各ポジションに対して人材を配置する人材配置部と、プロジェクトを構成する各ポジションについて前記相性度算出部により算出された各ポジションと当該ポジションに配置された人材との相性度に基づきプロジェクト成功率を算出するプロジェクト成功率算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、人材とポジションとの相性度が算出されるので、当該相性度を基準の1つとして適切な人材配置を行うことができる。また、本発明によれば、前記相性度に基づきプロジェクトの成功率が算出されるので、プロジェクト成功率が高くなるような人材配置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】人材配置支援システムによるサービス提供を説明するネットワーク図
【
図9】人材配置支援システムを用いてユーザが人材配置の検討を行う流れ
【
図10】第2の実施の形態に係る人材配置支援システムの機能ブロック図
【
図11】第2の実施の形態に係る人材情報DBのデータ構造の一例
【
図12】第2の実施の形態に係るポジション情報DBのデータ構造の一例
【
図13】第2の実施の形態に係るプロジェクト情報DBのデータ構造の一例
【
図14】第2の実施の形態に係るカスタム項目情報のデータ構造の一例
【
図15】第2の実施の形態に係る条件情報DBのデータ構造の一例
【
図16】第2の実施の形態に係るカスタム項目設定画面の一例
【
図17】第2の実施の形態に係る条件情報設定画面の一例
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る人材配置支援システムについて図面を参照して説明する。なお、説明を簡単にするため、ここでは本発明の要旨にかかるもののみを記載している点に留意されたい。
【0019】
本実施の形態に係る人材配置支援システム1は、ユーザに対して人材配置支援サービスを提供する。ユーザは、人材配置支援システム1を用いて人材配置を行う者である。本実施の形態では、ユーザは、プロジェクトの主体である企業や組織における人材配置担当者である。なお、プロジェクトが複数の企業や組織にわたる場合、ユーザは、プロジェクトを主幹する企業や組織における人材配置担当者であってもよい。また、ユーザは、他社や他組織から各種情報を取得し、人材配置支援システム1を用いて人材配置を行い、人材配置結果を前記他社や他組織に提供する企業または組織の担当者であってもよい。
【0020】
図1に示すように、人材配置支援システム1は、インターネットなどのネットワーク2に配置されている。ユーザはユーザ端末3を用いて人材配置支援システム1にアクセスし、人材配置支援サービスの提供を受ける。人材配置支援システム1がユーザに提供する人材配置支援サービスは、新規プロジェクトに対する人材の配置を支援するサービスと、既存プロジェクトを評価して必要に応じて人材配置の変更を支援するサービスとを含む。
【0021】
本実施の形態では、
図2に示すように、プロジェクトは一以上のチームにより構成される。各チームは一以上のポジションにより構成される。ポジションは、その人材に割り当てられる肩書き或いは地位を意味するものであり、少なくとも一以上の役割から構成される。また、役割とは、プロジェクトにおける当該ポジションに応じて期待され或いは遂行する働きや役目を意味する。プロジェクトを構成するチームや、チームを構成するポジション、ポジションを構成する役割は、ユーザにより任意に設定される。
【0022】
図3に示すように、人材配置支援システム1は、人材情報DB10と、人材実績情報DB20と、ポジション情報DB30と、プロジェクト情報DB40と、チーム情報DB50と、相性度算出部60と、プロジェクト成功率算出部61と、人材配置処理部62と、最適人材配置探索部63と、ユーザインタフェース部70とを備えている。
【0023】
人材配置支援システム1は、サーバ装置など周知の情報処理装置により構成される。人材配置支援システム1の実装形態は不問であり、例えば人材配置支援システム1の各部を複数のハードウェア装置に分散して実装してもよい。本実施の形態では、人材配置支援システム1は、インターネット上に配備されたクラウドサーバに実装される。人材配置支援システム1は、例えば、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実装される。
【0024】
人材情報DB10のデータ構造の一例を
図4に示す。人材情報DB10は、人材に関する各種情報を記憶するものであって、
図4の例では、人材を一意に識別する人材ID、人材の名前、人材の所属する企業情報など人材の属性情報を記憶する。
【0025】
人材実績情報DB20のデータ構造の一例を
図5に示す。人材実績情報DB20は、人材が過去に参画したプロジェクトにおける当該人材の実績情報と、当該実績に対する評価値を記憶するものである。人材実績情報DB20は、
図5の例では、人材ID、参画したプロジェクトを一意に識別するプロジェクトID、当該プロジェクトにおいて人材に割り当てられたポジションを一意に識別するポジションID、当該ポジションを遂行した期間(開始日および終了日)、当該ポジションにおいて担当した役割・工程・技術要素およびそれらに対する評価値などを実績情報として記憶する。ここで、役割や工程や技術要素は、1つのポジションに対して複数あってもよい。また、ポジションおよび役割によっては、工程や技術要素およびそれらに対する評価値が存在しない場合もある。また、役割・工程・技術要素のそれぞれに対する評価値は、プロジェクトの終了後或いは当該役割・工程・技術要素の遂行期間が終了後にユーザによって入力される。本実施の形態では、各評価値は1~10の自然数で表すものとし、評価値が大きいほど評価が高いことを意味する。
【0026】
ポジション情報DB30のデータ構造の一例を
図6に示す。ポジション情報DB30は、プロジェクトにおけるポジションに関する情報を記憶する。ポジション情報DB30は、
図6の例では、ポジションを一意に識別するポジションID、ポジションの名称、当該ポジションが担当する役割・工程・技術分野などポジションを定義づける情報を記憶する。ここで、役割・工程・技術分野は1つのポジションに対して複数あってもよいことに留意されたい。また、ポジションおよび役割によっては工程や技術要素およびそれらに対する評価値が存在しない場合もあることに留意されたい。
【0027】
プロジェクト情報DB40の一例を
図7に示す。プロジェクト情報DB40は、プロジェクトに関する各種情報を記憶するものであって、
図7の例では、プロジェクトを一意に識別するプロジェクトID、プロジェクトの名称、プロジェクトの期間(開始日および終了日)などを記憶する。
【0028】
チーム情報DB50の一例を
図8に示す。チーム情報DB50は、プロジェクトを構成するチーム情報を記憶するものであり、
図8の例では、チームを一意に識別するチームID、チームの名称、チームが所属するプロジェクトのプロジェクトID、チームを構成する一以上のポジションのポジションID、当該ポジションの期間(開始日および終了日)などを記憶する。
【0029】
相性度算出部60は、ポジション情報DB30に記憶されているポジション情報と、人材実績情報DB20に記憶された実績情報および評価値とに基づき、人材とポジションとの相性度を算出する。
【0030】
具体的にはまず、相性度算出部60は、算出対象の人材Aについて、人材実績情報DB20に記憶された実績情報および評価値に基づき、評価対象要素毎にその評価値を集計して要素毎評価集計値を取得する。ここで、評価対象要素とは、ポジションを構成する役割・工程・技術分野における最小単位である。例えば、評価対象要素は、「役割:PM」や、「工程:要件定義」や、「技術要素:JAVA」である。人材Aの要素Xについての要素毎評価集計値は下記数1により算出される。
【0031】
【0032】
上記数1に示すように、人材Aの要素Xについての要素毎評価集計値の算出にあたっては、人材Aが参画したプロジェクト毎に要素Xの評価値の平均値を算出し、これに当該プロジェクトが終了してから算出時までの経過日数を用いて重み付けを行う。すなわち、算出時により近い期間における評価値ほど相性度への影響が大きくなるよう評価値に重み付けを行う。具体的には、プロジェクトが終了してから算出時までの経過日数の逆数を重み付けとして用いる。そして、これを人材Aが参画した全てのプロジェクトについて集計し、最後に経過日数合計で除算することにより正規化する。なお、要素毎評価集計値の算出は、相性度の算出要求がある度に行ってもよいし、定期的なバッチ処理により全ての人材について予め算出しておいてもよい。後者の場合、算出した要素毎評価集計値を別途DBに保存しておけばよい。
【0033】
次に相性度算出部60は、ポジション情報DB30に記憶されているポジションPのポジション情報を参照して、当該ポジションPを構成する評価対象要素Xを抽出する。そして、相性度算出部60は、下記数2のように、ポジションPを構成する各評価対象要素Xについて評価対象要素の種別毎に人材Aの要素毎評価集計値の平均値を算出し、この算出した値を種別毎相性度とする。ここで評価対象要素の種別とは、本実施の形態の場合は、「役割」、「工程」、「技術要素」の何れかである。したがって、本実施の形態では、「役割」、「工程」、「技術要素」のそれぞれについて種別毎相性度を算出する。
【0034】
【0035】
そして、相性度算出部60は、下記数3のように、種別毎相性度を集計することにより、ポジションPと人材Aの相性度を算出する。
【0036】
【0037】
ここで、α1,α2,α3は重み付けのための任意の定数である。α1,α2,α3は、例えば、ユーザ毎、ユーザの所属する企業毎、プロジェクト毎など任意に定めることができる。
【0038】
プロジェクト成功率算出部61は、プロジェクト情報DB40およびチーム情報DB50を参照して、あるプロジェクトにおける各ポジションに人材を配置した際の、当該プロジェクトの成功率を算出する。具体的には、プロジェクト成功率算出部61は、プロジェクトを構成する各チーム毎の成功率を算出するとともに、このチーム毎成功率の平均値を算出し、これをプロジェクトPJの成功率とする。チーム毎の成功率は、当該チームを構成する各ポジション毎の成功率を算出するとともに、このポジション毎成功率の平均値を算出し、これを当該チームの成功率とする。ポジション毎の成功率は、当該ポジションに配置した一以上の人材について各人材と当該ポジションの相性度の平均値を算出し、これを当該ポジション毎の成功率とする。なお、各成功率は算術平均に限定されることなく各種統計的手法を用いることができる。また、各成功率の算出にあたっては適宜重み付けを行うこともできる。
【0039】
人材配置処理部62は、プロジェクト情報DB40およびチーム情報DB50を参照して、あるプロジェクトに対して当該プロジェクトを構成する各ポジションにそれぞれ人材を配置する処理を行う。当該人材配置処理は、ユーザインタフェース部70を介してユーザからの入力により行うことができる。その際、人材配置処理部62は、相性度算出部60を用いて当該ポジションと人材の相性度を算出し、当該相性度をユーザインタフェース部70を介してユーザに提示することができる。同様に、人材配置処理部62は、プロジェクト成功率算出部61を用いてプロジェクト成功率を算出し、当該プロジェクト成功率をユーザインタフェース部70を介してユーザに提示することができる。これにより、ユーザにとっては、プロジェクト成功率が高くなるような適切な人材配置を容易に行うことができるという利点がある。
【0040】
最適人材配置探索部63は、プロジェクト成功率算出部61により算出されるプロジェクト成功率が最大化するよう、人材配置処理部62による各ポジションへの人材配置を自動制御する。最適人材配置探索部63による人材配置処理は、既存の種々の最適化アルゴリズムやAI等を用いることができる。最適人材配置探索部63の処理は、ユーザインタフェース部70を介したユーザの指示により実行される。
【0041】
ユーザインタフェース部70は、ユーザに対して人材配置支援システム1の各種機能を提供するインタフェースである。本実施の形態では、ユーザインタフェース部70は、HTTP等を用いた所謂Webインタフェースとして実装されている。ユーザインタフェース部70は、ユーザに対して、各DB10~40の更新・閲覧等の機能を提供する。特に、ユーザインタフェース部70は、人材の評価値の入力するためのインタフェースを提供する。また、ユーザインタフェース部70は、相性度算出部60を用いて人材とポジションとの相性度を算出・提示するためのインタフェースを提供する。また、ユーザインタフェース部70は、プロジェクト成功率算出部61を用いて既存のプロジェクトの成功率を算出・提示するためのインタフェースを提供する。また、ユーザインタフェース部70は、相性度算出部60、プロジェクト成功率算出部61、人材配置処理部62、最適人材配置探索部63を用いて新規のプロジェクトにおける人材配置を行ったり、既存のプロジェクトの人材配置を更新したりするためのインタフェースを提供する。
【0042】
次に、
図9を参照して、人材配置支援システム1を用いてユーザが人材配置の検討を行う際の流れについて説明する。ここで、各DB10~40にはユーザによって必要な情報が入力されているものとする。人材配置支援システム1は、各人材について要素毎評価集計値を算出しておく(ステップS101)。ユーザはユーザインタフェース部70を介して、プロジェクトを構成する各ポジションに対して人材を配置する(ステップS102)。人材配置支援システム1は、人材配置画面において、相性度算出部60で当該人材と当該ポジションとの相性度を算出し、この相性度をユーザに提示する(ステップS103)。なおステップS102における人材配置処理においては最適人材配置探索部63による自動人材配置を適宜利用してもよい。プロジェクトを構成する各ポジションへの人材の配置が終了すると、人材配置支援システム1は、当該プロジェクトのプロジェクト成功率を算出し、ユーザインタフェース部70を介してユーザに提示する(ステップS104)。ユーザはこのプロジェクト成功率を指標にして人材配置の適否を検討する(ステップS105)。ここで人材配置が適切でないと判断した場合、ユーザは再度人材配置を行う。一方、人材配置が適切であると判断した場合、人材配置支援システム1は、各ポジションと当該ポジションに配置した人材との組を人材配置結果として所定の記憶装置に保存するとともに、人材実績情報DB20に保存する。
【0043】
以上詳述したように、本実施の形態に係る人材配置支援システム1によれば、人材とポジションとの相性度が算出されるので、当該相性度を基準の1つとして適切な人材配置を行うことができる。また、本実施の形態に係る人材配置支援システム1によれば、前記相性度に基づきプロジェクトの成功率が算出されるので、プロジェクト成功率が高くなるような人材配置を容易に行うことができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る人材配置支援システムについて図面を参照して説明する。なお、説明を簡単にするため、ここでは本発明の要旨にかかるもののみを記載している点に留意されたい。
【0045】
本実施の形態に係る人材配置支援システムが第1の実施の形態と異なる点は、相性度の算出ロジックにある。その他の点については第1の実施の形態と同様なのでここでは相違点について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付した。
【0046】
図10に示すように、第2の実施の形態に係る人材配置支援システム1aは、人材情報DB10aと、カスタム項目情報12と、条件情報DB14と、人材実績情報DB20と、ポジション情報DB30aと、プロジェクト情報DB40aと、チーム情報DB50と、相性度算出部60aと、プロジェクト成功率算出部61と、人材配置処理部62と、最適人材配置探索部63と、ユーザインタフェース部70aとを備えている。
【0047】
人材配置支援システム1aは、サーバ装置など周知の情報処理装置により構成される。人材配置支援システム1aの実装形態は不問であり、例えば人材配置支援システム1aの各部を複数のハードウェア装置に分散して実装してもよい。本実施の形態では、人材配置支援システム1aは、インターネット上に配備されたクラウドサーバに実装される。人材配置支援システム1aは、例えば、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実装される。
【0048】
人材情報DB10aのデータ構造の一例を
図11に示す。人材情報DB10aは、人材に関する各種情報を記憶するものであって、
図11の例では、第1の実施の形態と同様に、人材を一意に識別する人材ID、人材の名前、人材の所属する企業情報など人材の属性情報を記憶する。本実施の形態に係る人材情報DB10aは、さらに、ユーザによる1以上の任意の追加項目であるカスタム項目を設定可能となっている。
図11の例では、2つのカスタム項目が設定されている。カスタム項目は、ユーザインタフェース部70に含まれる後述のカスタム項目設定部71により設定される。
【0049】
ポジション情報DB30aのデータ構造の一例を
図12に示す。ポジション情報DB30aは、プロジェクトにおけるポジションに関する情報を記憶する。ポジション情報DB30aは、
図12の例では、第1の実施の形態と同様に、ポジションを一意に識別するポジションID、ポジションの名称、当該ポジションが担当する役割・工程・技術分野などポジションを定義づける情報を記憶する。本実施の形態に係るポジション情報DB30aは、さらに、ユーザによる1以上の任意の追加項目であるカスタム項目を設定可能となっている。
図12の例では、2つのカスタム項目が設定されている。カスタム項目は、ユーザインタフェース部70に含まれる後述のカスタム項目設定部71により設定される。
【0050】
プロジェクト情報DB40aの一例を
図13に示す。プロジェクト情報DB40は、プロジェクトに関する各種情報を記憶するものであって、
図13の例では、第1の実施の形態と同様に、プロジェクトを一意に識別するプロジェクトID、プロジェクトの名称、プロジェクトの期間(開始日および終了日)などを記憶する。本実施の形態に係るプロジェクト情報DB40aは、さらに、ユーザによる1以上の任意の追加項目であるカスタム項目を設定可能となっている。
図13の例では、1つのカスタム項目が設定されている。カスタム項目は、ユーザインタフェース部70に含まれる後述のカスタム項目設定部71により設定される。
【0051】
カスタム項目情報12の一例を
図14に示す。カスタム項目情報12は、人材情報DB10a,ポジション情報DB30a,プロジェクト情報DB40aに設定されたカスタム項目に関する情報、すなわちカスタム項目の定義情報を記憶する。カスタム項目情報12は、
図14の例では、カスタム項目を一意に識別するカスタム項目ID、当該カスタム項目が設定されたDB、当該DB上でのカスタム項目の名称、当該カスタム項目のユーザにとっての名称である項目名、当該カスタム項目に記憶されるデータのデータ種別、当該カスタム項目に記憶されるデータについての詳細情報を記憶する。
【0052】
ここで、カスタム項目情報12に含まれるデータ種別は、各DBにおいてカスタム項目を記憶するフィールドのデータ種別、または、ユーザインタフェース部70aを介して各DBのカスタム項目を編集するための入力フォームにおけるフィールドのデータ種別である。データ種別の一例は、「数値」、「テキスト」、「ラジオボタン」、「チェックボックス」、「日付」などが挙げられる。
【0053】
カスタム項目情報12に含まれる詳細情報は、当該カスタム項目のデータ種別に応じた、データ入力時の制約条件やデータの定義情報などからなる。例えば、データ種別が「数値」である場合、制約条件として数値の上限や下限などである。また例えば、データ種別が「テキスト」である場合、制約条件として文字列数や文字列種別などである。また例えば、データ種別が「ラジオボタン」や「チェックボックス」である場合、定義情報として各ボタンやボックスに対応する値(文字列や数値等)の集合である。また例えば、データ種別が「日付」である場合、制約条件として入力可能な日付範囲である。
【0054】
ユーザインタフェース部70aは、第1の実施の形態と同様に、ユーザに対して人材配置支援システム1の各種機能を提供するインタフェースである。本実施の形態では、ユーザインタフェース部70aは、HTTP等を用いた所謂Webインタフェースとして実装されている。ユーザインタフェース部70aは、ユーザに対して、各DB10a,20,30a,40a,50の更新・閲覧等の機能を提供する。
【0055】
ここで、ユーザインタフェース部70aは、更新・閲覧等の対象のDBにカスタム項目が含まれる場合、当該カスタム項目についてはカスタム項目情報12を参照してユーザに対するデータの更新・閲覧等を行うようにする。例えば、カスタム項目の名称については、カスタム項目情報12に含まれるカスタム項目の項目名を表示させる。また、カスタム項目のデータを、カスタム項目情報12に含まれるデータ種別および詳細情報に対応する態様でデータの更新・閲覧等を行うようにする。
【0056】
条件情報DB14は、人材情報DB10aのカスタム項目と、ポジション情報DB30aまたはプロジェクト情報DB40aのカスタム項目との対応関係を含む条件情報を記憶する。この条件情報は、後述する相性度の算出処理に含まれる追加相性度の算出処理に用いられる。条件情報は、1つのプロジェクトに対して複数含むことができる。
【0057】
条件情報DB14の一例を
図15に示す。条件情報DB14は、
図15に示すように、条件情報を一意に識別する条件IDと、当該条件情報の名称と、人材情報DB10aにおけるカスタム項目と、この人材情報DB10aのカスタム項目に対応するカスタム項目が記憶されているDB名と、当該DBにおいて人材情報DB10aのカスタム項目に対応するカスタム項目と、演算種別とを記憶する。なお、以降の説明では、人材情報DB10aのカスタム項目を第1カスタム項目と呼び、当該第1カスタム項目と対応するポジション情報DB30aまたはプロジェクト情報DB40aのカスタム項目を第2カスタム項目と呼ぶ。
【0058】
演算種別は、後述する追加相性度の算出処理において、第1カスタム項目と第2カスタム項目とを用いた演算を行う際に、どのような演算を行うかを特定する情報である。この演算種別は、第1カスタム項目のデータ種別と、第2カスタム項目のデータ種別との組み合わせにより異なる値を取り得る。また、演算種別は、演算内容を日本語文章とした際に、「第1カスタム項目の値『は』第2項目カスタム項目の値{演算種別}」という命題として表せるものとなる。
【0059】
例えば、各カスタム項目のデータ種別が「テキスト」である場合、演算種別は「と等しい」、「と等しくない」、「を含む」、「に含まれる」の何れかの値を取り得る。
【0060】
例えば、各カスタム項目のデータ種別が「数値」である場合、演算種別は「と等しい」、「と等しくない」、「以下」、「より小さい」、「以上」、「より大きい」、「に近い」、「から遠い」の何れかの値を取り得る。
【0061】
例えば、各カスタム項目のデータ種別が「ラジオボタン」または「チェックボックス」である場合、演算種別は「と等しい」、「と等しくない」、「を含む」、「に含まれる」、「と共通の値を持つ」、「と共通の値を持たない」、「と共通の値が多い」、「と共通の値が少ない」の何れかの値を取り得る。
【0062】
例えば、各カスタム項目のデータ種別が「日付」である場合、演算種別は「と等しい」、「と等しくない」、「より前」、「以前」、「より後」、「以降」、「に近い」、「から遠い」の何れかの値を取り得る。
【0063】
ユーザインタフェース部70aは、ユーザからの入力により、人材情報DB10a,ポジション情報DB30a、プロジェクト情報DB40aに対するカスタム項目を設定するとともに、条件情報DB14の各条件情報を設定するカスタム項目設定部71を備えている。
【0064】
図16に、カスタム項目設定部71により人材情報DB10aにカスタム項目を設定するカスタム項目設定画面110の一例を示す。
図16の例では、カスタム項目設定画面110は、カスタム項目の名称入力部111と、データ種別選択部112と、データ種別に応じた詳細情報入力部113とを備えている。ここで詳細情報入力部113は、データ種別選択部112で選択されたデータ種別に応じて入力内容・方法を切り替える。
図16の例では、データ種別選択部112においてデータ種別が「チェックボックスン」が選択された際に、詳細情報入力113は、チェックボックスの各ボックスの値を編集するように切り替える。
【0065】
図17に、カスタム項目設定部71により条件情報DB14の各条件情報を設定する条件情報設定画面120の一例を示す。
図17の例では、条件情報設定画面120は、第1カスタム項目設定部121と、第2カスタム項目設定部122と、演算種別設定部123と、第1カスタム項目参照部124と、第2カスタム項目参照部125を備えている。
【0066】
ここで、第1カスタム項目設定部121は、カスタム項目情報12を参照して、人材情報DB10aの各カスタム項目の情報を抽出・提示し、いずれかのカスタム項目を選択させるようにする。同様に、第2カスタム項目設定部122は、カスタム項目情報12を参照して、ポジション情報DB30aおよびプロジェクト情報DB40aの各カスタム項目の情報を抽出・提示し、いずれかのカスタム項目を選択させるようにする。また、演算種別設定部123は、第1カスタム項目設定部121で選択されたカスタム項目および第2カスタム項目設定部122で選択されたカスタム項目のデータ種別をカスタム項目情報12を参照して抽出し、当該データ種別の組に対応する演算種別の集合を選択肢として提示し、いずれかの演算種別を選択させる。なお、第1カスタム項目設定部121・第2カスタム項目設定部122・演算種別設定部123においてユーザに値を選択させるために、
図17の例では、ユーザインタフェースとしてドロップダウンメニューを用いている。
【0067】
また、第1カスタム項目参照部124は、第1カスタム項目設定部121でカスタム項目が選択された際に、当該カスタム項目のデータ種別が「チェックボックス」または「ラジオボタン」の場合に、カスタム項目情報12の詳細情報を参照して当該カスタム項目で取り得る選択肢を参照情報として表示する。同様に、第2カスタム項目参照部125は、第2カスタム項目設定部122でカスタム項目が選択された際に、当該カスタム項目のデータ種別が「チェックボックス」または「ラジオボタン」の場合に、カスタム項目情報12の詳細情報を参照して当該カスタム項目で取り得る選択肢を参照情報として表示する。
【0068】
相性度算出部60aは、第1の実施の形態と同様に、ポジション情報DB30aに記憶されているポジション情報と、人材実績情報DB20に記憶された実績情報および評価値とに基づき、人材とポジションとの相性度を算出する。また、相性度算出部60aは、人材情報DB10aに記憶されているカスタム項目の内容と、ポジション情報DB30aおよびプロジェクト情報DB40aの何れか一方または双方に記憶されているカスタム項目の内容と、条件情報DB14に記憶されているカスタム項目の対応関係を含む条件情報とに基づき、追加相性度を算出する追加相性度算出部60bを備える。相性度算出部60aは、前記相性度の算出にあたって、ポジション情報と実績情報および評価値とから算出した相性度を主相性度として、この主相性度と追加相性度とに基づき総合的な相性度を算出する。
【0069】
具体的には、相性度算出部60aは、算出対象の人材Aについて、人材実績情報DB20に記憶された実績情報および評価値に基づき、評価対象要素毎にその評価値を集計して要素毎評価集計値を取得する。この処理については第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0070】
次に相性度算出部60aは、ポジション情報DB30に記憶されているポジションPのポジション情報を参照して、当該ポジションPを構成する評価対象要素Xを抽出し、ポジションPを構成する各評価対象要素Xについて評価対象要素の種別毎に人材Aの要素毎評価集計値の平均値を算出し、この算出した値を種別毎相性度とする。この処理については第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0071】
そして、相性度算出部60aは、下記数4のように、種別毎相性度を集計するととともに、追加相性度を算出および集計することにより、ポジションPと人材Aの相性度を算出する。
【0072】
【0073】
ここで、α1,α2,α3,α4は重み付けのための任意の定数である。α1,α2,α3,α4は、例えば、ユーザ毎、ユーザの所属する企業毎、プロジェクト毎など任意に定めることができる。なお、式の先頭の係数は、追加相性度(A,P,PJ)の算出が行われない場合には、1/3に変更する。
【0074】
追加相性度(A,P,PJ)は、追加相性度算出部60bにより算出される。追加相性度算出部60bは、条件情報DB14の条件情報に基づき、人材Aのカスタム項目(第1カスタム項目)の値と、ポジションPまたはプロジェクトPJのカスタム項目(第2カスタム項目)の値と、演算種別とに基づき追加相性度(A,P,PJ)を算出する。条件情報DB14に条件情報が記憶されていない場合、追加相性度算出部60bは追加相性度の算出は行わない。以下、追加相性度算出部60bの処理の詳細について説明する。
【0075】
追加相性度算出部60bは、条件情報を参照して、「第1カスタム項目の値『が』第2項目カスタム項目の値{演算種別}」という命題が真のとき追加相性度(A,P,PJ)を1とし、当該命題が偽のとき追加相性度(A,P,PJ)を0とする。なお、演算種別によっては当該命題について真偽の判断があいまいな場合がある。例えば、演算種別が「に近い」などが挙げられる。このような場合、追加相性度算出部60bは、命題が真であることの尤度(0以上1以下)を算出し、算出した尤度を追加相性度(A,P,PJ)とする。1つのプロジェクトに対して条件情報DB14の条件情報が複数ある場合、追加相性度算出部60bは、各条件情報に基づき算出した追加相性度の平均値を追加相性度(A,P,PJ)とする。
【0076】
追加相性度(A,P,PJ)の算出例について説明する。まず、第1カスタム項目および第2カスタム項目のデータ種別が「テキスト」の例について説明する。ここでは、演算種別が「と等しい」の場合について説明する。この演算種別は命題の真偽を判定できるので、第1カスタム項目の値である文字列と、第2カスタム項目の値である文字列とが完全一致する場合には追加相性度(A,P,PJ)は1とし、それ以外の場合には追加相性度(A,P,PJ)を0とする。データ種別が「テキスト」の場合、全ての演算種別について命題が真偽で判定できるので、他の演算種別についても同様に処理すればよい。
【0077】
次に、第1カスタム項目および第2カスタム項目のデータ種別が「数値」の例について説明する。演算種別が「等しい」、「と等しくない」、「以下」、「より小さい」、「以上」、「より大きい」の場合には命題が真偽で判定できるので、真の場合には追加相性度(A,P,PJ)は1とし、偽の場合には追加相性度(A,P,PJ)を0とすればよい。
【0078】
一方、演算種別が「に近い」場合には、第1カスタム項目の値と第2カスタム項目の値の距離(偏差)に基づき、尤度の数値範囲を0~1として、前記離がゼロに近いほど大きく、当該距離が大きいほど小さくなるように尤度を算出し、この尤度を追加相性度(A,P,PJ)とする。
【0079】
当該尤度は、距離の絶対値ではなく、人材情報DB10aに記憶されている全ての人材についての第1カスタム項目の値と第2カスタム項目の距離から統計的手法により算出した相対的な値とする。具体的には、まず、全ての人材について、第1カスタム項目の値と第2カスタム項目(ポジションPのカスタム項目またはプロジェクトPJのカスタム項目)の値の距離(偏差)を算出し、当該距離の最大値と最小値を取得する。そして、人材Aについての距離(偏差)が前記最小値の場合には追加相性度(A,P,PJ)は1、前記最大値の場合には追加相性度(A,P,PJ)は0として、距離と尤度の関係が線形となるように尤度を算出する。算出式は下記数5のようになる。なお式中「ABS」は絶対値を算出する関数である。
【0080】
【0081】
なお、各人材についての距離の分布に基づき、距離と尤度の関係が非線形となるように尤度を算出するようにしてもよい。
【0082】
演算種別が「から遠い」場合には、前述の「に近い」の場合の算出ロジックと同様に、尤度を算出すればよい。具体的には、前記数5から「1-」を取り除いたものが算出式となる。
【0083】
次に、第1カスタム項目および第2カスタム項目のデータ種別が「ラジオボタン」または「チェックボックス」の例について説明する。演算種別が「と等しい」、「と等しくない」、「を含む」、「に含まれる」、「と共通の値を持つ」、「と共通の値を持たない」の場合には命題が真偽で判定できるので、真の場合には追加相性度(A,P,PJ)は1とし、偽の場合には追加相性度(A,P,PJ)を0とすればよい。なお、データ種別が「ラジオボタン」または「チェックボックス」の場合、各カスタム項目の値は1以上の選択肢の値の集合となる。このため、演算種別が「と等しい」および「と等しくない」の場合には、集合同士を対比して、集合が完全一致する場合には等しく、完全一致しない場合には等しくない、と判定される点に留意されたい。
【0084】
一方、演算種別が「と共通の値が多い」場合には、第1カスタム項目と第2カスタム項目の積集合に含まれる値(選択肢)の数と、第2カスタム項目の値(選択肢)の数との比率を尤度として算出し、この尤度を追加相性度(A,P,PJ)とする。同様に、演算種別が「と共通の値が少ない」場合には、第1カスタム項目と第2カスタム項目の積集合に含まれる値(選択肢)の数と、第2カスタム項目の値(選択肢)の数との比率を算出した後に、1から当該比率を減算した値を尤度として算出し、この尤度を追加相性度(A,P,PJ)とする。
【0085】
次に、第1カスタム項目および第2カスタム項目のデータ種別が「日付」の例について説明する。この場合は、前述の「数値」と同様の算出ロジックにより追加相性度(A,P,PJ)を算出すればよい。
【0086】
プロジェクト成功率算出部61と、人材配置処理部62と、最適人材配置探索部63については第1の実施の形態と同様である。また、ユーザインタフェース部70aは、第1の実施の形態と同様の機能を有する。さらに、人材配置支援システム1aを用いてユーザが人材配置の検討を行う際の流れについても第1の実施の形態と同様である。
【0087】
本実施の形態に係る人材配置支援システム1aによれば、第1の実施の形態と同様に、人材とポジションとの相性度が算出されるので、当該相性度を基準の1つとして適切な人材配置を行うことができる。また、本実施の形態に係る人材配置支援システム1aによれば、前記相性度に基づきプロジェクトの成功率が算出されるので、プロジェクト成功率が高くなるような人材配置を容易に行うことができる。
【0088】
特に、本実施の形態に係る人材配置支援システム1aによれば、ユーザにより追加可能なカスタム項目を用いて追加相性度を算出し、この追加相性度を加味した相性度を算出することができる。これにより、プロジェクトの特性やユーザの希望に応じた適切な相性度を算出することができるのでユーザにとって利便性の高いものとなる。
【0089】
なお、本実施の形態では、人材情報DB10a、ポジション情報DB30a、プロジェクト情報DB40aのカスタム項目に関する情報を、カスタム項目情報12として各DBとは別に記憶するようにしたが、各DBに記憶するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態において説明したカスタム項目のデータ種別は一例であり、他のデータ種別を含んでいてもよい。また、本実施の形態において説明した演算種別や演算方法についても一例であり、他の演算種別や演算方法を含んでいてもよい。
【0091】
以上、本発明の一実施の形態について詳述したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。
【0092】
例えば、上記の実施の形態において各DB10~50のデータ構造は一例であり、他のデータ構造であっても本発明を実施できる。例えば、上記実施の形態では人材実績情報DB20に実績情報と評価値の双方を記憶していたが、実績情報と評価値とを異なるDBに記憶するようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、ポジションを構成する要素の種別として、役割、工程、技術要素について例示したが、少なくとも役割を含んでいればよく、他の要素である工程および技術要素は任意であるとともに、さらに他の要素を含んでいてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において人材とポジションの相性度を算出するアルゴリズムは一例であり、他のアルゴリズムによって人材とポジションの相性度を算出するようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態の
図2ではプロジェクトの一例としてソフトウェア開発プロジェクトについて例示したが、本発明に係る人材配置支援システムは他のプロジェクトにも適用できる。例えば、建築に係るプロジェクト、各種工事に係るプロジェクト、ゲーム開発に係るプロジェクト、イベント運営に係るプロジェクト、映像制作に係るプロジェクトなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0096】
1,1a…人材配置支援システム
10,10a…人材情報DB
20…人材実績情報DB
30,30a…ポジション情報DB
40,40a…プロジェクト情報DB
50…チーム情報DB
60,60a…相性度算出部
60b…追加相性度算出部
61…プロジェクト成功率算出部
62…人材配置処理部
63…最適人材配置探索部
70,70a…ユーザインタフェース部
71…カスタム項目設定部