IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネクスペリア ベー.フェー.の特許一覧

<>
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図1
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図2
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図3
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図4
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図5
  • 特開-ピックアンドプレース装置及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134542
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ピックアンドプレース装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20240926BHJP
   B07C 5/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B65G47/91 Z
B07C5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043178
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】23162997.3
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】エレンブロエク ティム
(72)【発明者】
【氏名】フェルストエプ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】デ コニング ニールズ
【テーマコード(参考)】
3F072
3F079
【Fターム(参考)】
3F072AA14
3F072GB10
3F072GC01
3F072GD09
3F072KC03
3F072KC07
3F072KD14
3F072KD30
3F079AD06
3F079CA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示の態様は、複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送する方法に関する。本開示の別の態様は、この方法を実施する装置及び対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【解決手段】本開示の一態様において、電気部品の1つ以上のパラメータに基づいて、複数の電気部品のうちの各電気部品をM個のビンのうちの個別のビンに割り当てることによって、ソース基板のビンマップが構築される。対象基板は、複数のユニットセルに分割され、各ユニットセルは、複数の部品位置を含み、各部品位置は、複数のビンのうちの個別のビンに関連付けられる。各ユニットセルの各部品位置には、その部品位置に関連付けられたビンと同じビンに割り当てられたソース基板からの電気部品が配置されるように、電気部品は、対象基板に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送する方法において、
前記電気部品の1つ以上のパラメータに基づいて、前記複数の電気部品のうちの各電気部品をM個のビンのうちの個別のビンに割り当てることによって、前記ソース基板のビンマップを構築するステップであって、Mが3又は4である、ステップと、
前記対象基板を複数のユニットセルに分割するステップであって、各ユニットセルが9個又は16個の部品位置を含み、各部品位置が、前記複数のビンのうちの個別のビンに関連付けられる、ステップと、
各ユニットセルの各部品位置には、その部品位置関連付けられたビンと同じビンに割り当てられた前記ソース基板からの電気部品が配置されるように、前記対象基板に前記電気部品を配置するステップと、
を含み、
各ユニットセルは、長方形の形状を有し、前記部品位置は、行列のマトリックス状に配置され、
各ビンは、性能番号に関連付けられ、前記ビンの性能番号の順序は、前記1つ以上のパラメータに関する、これらのビンに割り当てられた前記電気部品の相対的性能に対応し、
ユニットセルの行方向に沿った前記性能番号の合計は、そのユニットセルの列方向に沿った前記性能番号の合計と同じであり、及び/又は、前記性能番号は、前記1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの測定値に比例又は反比例する、方法。
【請求項2】
前記ソース基板のビンマップを構築するステップは、
前記ソース基板上の前記複数の部品のうちの各電気部品の1つ以上のパラメータを測定するステップと、
前記複数の部品のうちの各電気部品について、
前記1つ以上のパラメータの測定値と、前記1つ以上のパラメータの、好ましくは重複しない、それぞれが前記複数のビンのうちの個別のビンに関連付けられる複数の範囲と、を比較するステップと、
前記電気部品を、前記1つ以上のパラメータの前記範囲が前記1つ以上のパラメータの前記測定値をカバーするそのビンに関連付けるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のパラメータは、電気抵抗と、動作時に前記部品が発する光の周波数、波長、又は色点と、前記部品の順方向電圧とのうちの1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のユニットセルの前記ユニットセルは、すべて同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のユニットセルの前記ユニットセルは、それぞれN個の部品位置を有し、Nは、M以上の整数である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各ビンに割り当てられた電気部品の数は、前記複数のビンのそれぞれについて実質的に同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対象基板上の前記電気部品の前記性能の均一性を記述する均一性メトリックを算出するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記均一性メトリックを算出するステップは、
ユニットセル内の各部品位置の前記性能番号の局所平均値を算出するステップであって、前記局所平均値が、その部品位置における前記性能番号と隣接する部品位置における前記性能番号との平均値に対応する、ステップと、
算出された前記局所平均値の標準偏差を算出するステップと、
算出された前記標準偏差に基づいて、前記均一性メトリックを決定するステップと、
を含み、
前記方法は、好ましくは、ビンの数Mと前記ユニットセルの部品位置の数Nを使用して決定された前記均一性メトリックが所定の目標を満たすように、ビンの数Mと部品位置の数Nを選択するステップ、及び/又はMとNの特定の組み合わせに対する搬送プロセスのスループットを記述するスループットメトリックを決定するステップを更に含み、MとNは、前記スループットメトリックと前記均一性メトリックに基づいて選択され、MとNは、好ましくは、決定された前記均一性メトリックがスループットの最も高い所定の目標を満たすように、あるいは所定の重み係数を使用した前記均一性メトリックと前記スループットメトリックの重み付けされた合計が最も高くなるように、前記スループットメトリックを使用して選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
搬送プロセスにおいて、電気部品は、行ごとに、好ましくは1行の電気部品から隣接する行の電気部品に、好ましくは蛇行方式で移動することによって、前記ソース基板から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ソース基板は、同じ半導体ウェハーに由来する複数の半導体ダイを含むダイシングウェハー、又は異なる半導体ウェハーに由来する複数の半導体ダイを含む構造化ウェハーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複数の電気部品(107、107A~107D)をソース基板(101A)から対象基板(102A)上の複数の空の位置(130)に搬送するピックアンドプレース装置(1)であって、
前記ソース基板を保持するように構成されたソースキャリア(101)と、
前記対象基板を保持するように構成された対象キャリア(102)と、
前記ソース基板から電気部品を収集し、収集された前記電気部品を前記対象基板に配置するように構成された輸送システム(103)と、
前記輸送システムを制御するコントローラ(11)であって、前記輸送システムを制御して、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法に従って、前記電気部品を前記ソース基板から収集し、前記対象基板に配置するように構成される、コントローラ(11)と、を含む、ピックアンドプレース装置(1)。
【請求項12】
前記輸送システムは、前記ソースキャリアを移動させるソース駆動部(108)と、前記対象キャリアを移動させる対象駆動部(109)と、を含み、前記コントローラは、前記ソース駆動部及び前記対象駆動部を制御するように構成され、
前記輸送システムは、各電気部品に対して、前記電気部品を空間内の同じ収集位置(C)で収集するように構成され、及び/又は、前記輸送システムは、各電気部品に対して、収集された前記電気部品を空間内の同じ配置位置(R)で配置するように構成され、
前記コントローラは、前記ソース駆動部及び/又は前記対象駆動部を制御して、前記ソース基板上の電気部品を前記収集位置に繰り返して配置し、及び/又は前記対象基板上の空の位置を前記配置位置に繰り返して配置するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
命令を含み、前記命令が請求項11に記載のピックアンドプレース装置の前記コントローラによって実行されると、前記コントローラに、前記輸送システムを制御して、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法に従って、前記電気部品を前記ソース基板から収集し、前記対象基板に配置するステップを実行させる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送する方法に関する。本開示の別の態様は、この方法を実施する装置及び対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を対象基板に配置して表示パネルを形成することができる。このようなパネルとしては、パターン又は画像を生成するためにLEDを個別に制御可能なパネルが挙げられる。通常、このような表示パネルを製造するために、パッケージ化又はベア半導体ダイの形態の発光ダイオードは、パッケージ化又はベア半導体ダイを含むソース基板から収集される。ソース基板は、例えば、すべての半導体ダイが同じ半導体ウェハーに由来するダイシング半導体ウェハーの形態を有してもよく、半導体ダイが異なる半導体ウェハーに由来する構造化ウェハーの形態を有してもよい。
【0003】
発光ダイオードは、発する光の波長又は色、強度を特徴とすることができる。通常、これらのパラメータは、ウェハー上の非均一分布を示す。例えば、ウェハーは、特定の所望の性能を示す、半導体ダイを保持する「最良」領域と、所望の性能とは異なる性能を示す、半導体ダイを保持する「最悪」領域とを有してもよい。これらの最悪領域は、通常、ウェハーのエッジの周りに見られる。
【0004】
ソース基板からLED又は他の電気部品を収集し、収集されたLEDを対象基板に配置するプロセスは、ピックアンドプレースプロセスとして知られており、このプロセスを実行する装置は、ピックアンドプレース装置と呼ばれている。
【0005】
既知のピックアンドプレース装置は、上述のLEDなどの複数の電気部品を含むソース基板を保持するように構成された、可動ソーステーブルなどのソースキャリアを含む。これらの装置は、対象基板を保持するように構成された、可動対象テーブルなどの対象キャリアと、ソース基板から電気部品を収集し、選択された電気部品を対象基板に配置する輸送システムと、を更に含む。輸送システムは、ソースキャリアを移動させるソース駆動部と、対象キャリアを移動させる対象駆動部と、を含んでもよい。既知のピックアンドプレース装置は、輸送システムを制御するコントローラを更に含む。例えば、コントローラは、ソース駆動部及び対象駆動部を制御するように構成することができる。
【0006】
高スループットのピックアンドプレース装置では、輸送システムは、ソース基板からの各電気部品を空間内の同じ収集位置で収集するように構成されることが多い。更に、輸送システムは、収集された各電気部品を空間内の同じ配置位置で基板に配置するように構成されることが多い。この場合、コントローラは、ソース駆動部及び/又は対象駆動部を制御して、ソース基板上の電気部品を収集位置に繰り返して配置し、及び/又は対象基板上の空の位置を配置位置に繰り返して配置するように構成することができる。
【0007】
既知のピックアンドプレース装置100の概略図を図1に示す。ソースキャリア及び対象キャリアを、それぞれ参照符号101及び102を使用して表す。例示を目的として、ソースキャリア101は、単一の電気部品107を保持するソース基板101Aを支持するように示され、対象キャリア102は、単一の電気部品107を保持する対象基板102Aを支持するように示される。更に、ソースキャリア101及び対象キャリア102は、それぞれ、輸送システム103の一部であるソース駆動部108及び対象駆動部109を使用して駆動することができる。
【0008】
輸送システム103は、真空ユニット106が取り付けられた2つのシリンダ又はドラム104、105を更に含み、各真空ユニット106は、真空により電気部品107を保持するように構成される。ドラム105を回転させることにより、空の真空ユニット106を、電気部品107を保持するソース基板101A付近の収集位置C又はその近くに配置することができる。例えば、ダイシング半導体ウェハーをダイシング箔に配置し、この組み合わせをソースキャリア101に配置することができる。
【0009】
真空をかけることにより、ソース基板101Aから電気部品107を収集することができる。その後にドラム105を回転させることにより、収集された電気部品107をドラム104の真空ユニット106付近に搬送することができる。ここで、ドラム105とドラム104との間でハンドオーバーが発生することがある。これは、例えば、ドラム105の真空ユニット106の真空をオフにし、ドラム104の真空ユニット106の真空をオンにするか又は維持することによって達成することができる。ドラム105とドラム104との間のハンドオーバーにより、電気部品107を反転させることができる。
【0010】
電気部品を対象基板102Aに配置するために、所定の配置位置Rに到達するか又は接近するまでドラム104を回転させる。この位置で、真空をオフにして、電気部品107を対象基板102Aの所望の位置に落下させることができる。
【0011】
この例では、ドラム104及びドラム105は、回転可能に取り付けられる。半導体ウェハーからすべての半導体ダイを収集するために必要な移動は、ソースキャリア101を使用して達成され、ソースキャリア101は、通常、半導体ウェハー101Aに平行な平面内で2つの直交方向に移動するように構成される。一方、すべての半導体ダイを対象基板102Aに配置するために必要な移動は、対象キャリア102を使用して達成され、対象キャリア102は、通常、対象基板102Aに平行な平面内で2つの直交方向に移動するように構成される。更に、収集位置C及び配置位置Rは、通常、空間内で固定される。
【0012】
上述のピックアンドプレースプロセスを実現するために、ピックアンドプレース装置100は、輸送システム103を制御するコントローラを含む。
【0013】
既知のピックアンドプレースプロセスでは、キャリアから電気部品を収集するために蛇行プロセスが使用される。蛇行プロセスでは、ソースキャリアは、電気部品の収集順序がソース基板上の蛇行形状に対応するように移動される。例えば、ソースキャリアは、最初に、同じ行の電気部品を収集できるように右から左に移動し、次いで、上下にシフトして次の行の電気部品に移動する。そして、左から右へ移動することにより、この行の電気部品を収集し、その後、別のシフトを行って次の行に移動することにより、上述のプロセスを繰り返すことができる。
【0014】
蛇行プロセスの利点は、このプロセスが非常に高いスループットを提供することである。これは、一般に比較的重い部品であるソースキャリアの移動が最小限であることに関連する。蛇行プロセスの欠点は、ソース基板上の電気部品のデバイス性能の不均一性が対象基板に伝達されることに関連する。
【0015】
通常、電気部品の性能は、製造後に決定される。例えば、ダイシング半導体ウェハーの各LEDの色及び/又は強度は、決定及び/又は測定することができる。これにより、半導体ダイの1つ以上のパラメータをウェハーのこれらの半導体ダイの位置の関数として記述する、いわゆるウェハーマップが得られる。
【0016】
基板上の部品の均一性の問題を解決するための既知の例は、ロボットアームを使用して電気部品をピックアンドプレースすることである。このようなロボットアームを使用し、ウェハーマップに基づくことにより、対象基板における電気部品の多少ランダムな分布を実現することができる。しかしながら、ロボットアームを使用すると、高スループットが得られない。
【発明の概要】
【0017】
本開示の態様は、複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送する方法に関する。この方法は、電気部品の1つ以上のパラメータに基づいて、複数の電気部品のうちの各電気部品をM個(Mが1より大きい)のビンのうちの個別のビンに割り当てることによって、ソース基板のビンマップを構築するステップを含む。この方法は、対象基板を複数のユニットセルに分割するステップであって、各ユニットセルが複数の部品位置を含み、各部品位置が、複数のビンのうちの個別のビンに関連付けられるステップを更に含む。そして、各ユニットセルの各部品位置には、その部品位置に関連付けられたビンと同じビンに割り当てられたソース基板からの電気部品が配置されるように、電気部品は、対象基板に配置される。
【0018】
本開示に係る方法により、スループットをほとんどもしくは全く低下させないとともに、対象基板上の高い均一性を達成することができる。例えば、比較的重いソースキャリアは、ピックアンドプレースプロセスにおいて、従来技術から知られているものに類似する移動を行うことができる。
【0019】
ソース基板のビンマップを構築するステップは、ソース基板上の複数の部品のうちの各電気部品の1つ以上のパラメータを測定するステップを含んでもよい。このようなパラメータとして、電気抵抗と、動作時に部品が発する光の周波数、波長、又は色点と、部品の順方向電圧とが挙げられる。
【0020】
複数の部品のうちの各電気部品について、1つ以上のパラメータの測定値は、1つ以上のパラメータの複数の範囲と比較される。各範囲は、複数のビンのうちの個別のビンに関連付けられる。次に、電気部品は、1つ以上のパラメータの範囲が1つ以上のパラメータの測定値をカバーするビンに関連付けられる。
【0021】
例として、各電気部品について2つのパラメータAとBを測定することができる。パラメータAの範囲[10-20]、[20-30]、及びパラメータBの範囲[1-3]、[3-6]に基づいて、ビンを構築することができる。これにより、[10-20]及び[1-3]に対応するビン1と、[20-30]及び[1-3]に対応するビン2と、[10-20]及び[3-6]に対応するビン3と、[20-30]及び[3-6]に対応するビン4との4つのビンを構築することができる。以下の表は、パラメータA及びBの測定値に基づいて、電気部品をビン1~4に割り当てるプロセスを示す。
【表1】
【0022】
上述の例では、電気部品をビンに割り当てるために2つのパラメータが使用される。本開示は、これに限定されない。他の実施形態では、単一のパラメータが使用される。更に、ビンに対応する範囲は、割り当てられる電気部品に適するビンが1つのみであるように重複しないことが好ましい。
【0023】
好ましくは、複数のユニットセルのユニットセルは、すべて同一である。また、ユニットは、好ましくは、2つの直交方向において隣接するユニットセル間のピッチが一定となるようにマトリックス状に配置される。
【0024】
複数のユニットセルのユニットセルは、それぞれN個の部品位置を有してもよく、Nは、M以上の整数である。NがMより大きい場合、同じビンに属する複数の電気部品は、1つのユニットセル内に配置される。
【0025】
各ビンに割り当てられた電気部品の数は、複数のビンのそれぞれについて実質的に同じであってもよい。M及びNの値を適切に選択することにより、使用可能な電気部品の有効利用を実現することができる。例えば、M=5かつN=6である場合、同じビンの2つの部品は、同じユニットセル内に配置される。この場合、対象基板上の電気部品の平均性能をできるだけ均一にするために、中央ビン内の電気部品を2回使用することが好ましい。したがって、この例では、この中央ビンに割り当てられた電気部品の数が、他の任意のビンに割り当てられた電気部品の数の2倍であることが好ましい。他の実施形態では、M=Nである場合、各ビンに割り当てられた電気部品の数が実質的に同じであることが好ましい。
【0026】
各ユニットセルは、長方形の形状を有してもよいが、本開示は、これに限定されない。また、部品位置は、行列のマトリックス状に配置することができる。各ビンは、性能番号に関連付けることができ、ビンの性能番号の順序は、上記1つ以上のパラメータに関する、これらのビンに割り当てられた電気部品の相対的性能に対応する。例えば、電気部品を割り当てるために使用されるパラメータは、電気部品の2つの端子間で測定された電気抵抗であってもよい。この場合、ビンの性能パラメータは、そのビンの抵抗の中央値であってもよい。例えば、ビンが100オームと200オームの間の範囲をカバーする場合、抵抗の中央値は、150オームに等しくてもよい。
【0027】
ユニットセルの行方向に沿った性能番号の合計は、そのユニットセルの列方向に沿った性能番号の合計と同じであることが好ましい。例えば、N=9及びM=3のユニットセルの性能番号は、以下のとおりであり得る。
1 2 3
2 3 1
3 1 2
【0028】
性能パラメータの合計が各列と各行について同じであることを容易に検証することができる。このタイプのユニットセル及びビンの選択により、電気部品の性能が比較的均一な対象基板が得られる。
【0029】
特定のビンに関連付けられた性能番号は、このビンの測定値範囲に比例又は反比例し得る。ビンが複数のパラメータに対応する場合、対応する複数の性能番号を使用することができる。そして、ユニットセルの行方向及び/又は列方向に沿った上述の合計は、各性能番号に対して個別に決定される。
【0030】
この方法は、対象基板上の電気部品の性能の均一性を記述する均一性メトリックを算出するステップを更に含んでもよい。均一性メトリックを算出するステップは、ユニットセル内の各部品位置の性能番号の局所平均値を算出するステップであって、局所平均値が、その部品位置における性能番号と隣接する部品位置における性能番号との平均値に対応するステップを含んでもよい。次に、算出された局所平均値の標準偏差を算出することができ、算出された標準偏差に基づいて、均一性メトリックを決定又は算出することができる。
【0031】
この方法は、好ましくは、ビンの数Mとユニットセルの部品位置の数Nを使用して決定された均一性メトリックが所定の目標を満たすように、ビンの数Mと部品位置の数Nを選択するステップを含んでもよい。加えて、又は、その代わりに、この方法は、MとNの特定の組み合わせに対する搬送プロセスのスループットを記述するスループットメトリックを決定するステップを含んでもよい。この場合、MとNは、スループットメトリックと均一性メトリックに基づいて選択することができる。例えば、MとNは、決定された均一性メトリックがスループットの最も高い所定の目標を満たすように、あるいは所定の重み係数を使用した均一性メトリックとスループットメトリックの重み付けされた合計が最も高くなるように、スループットメトリックを使用して選択することができる。MとNを決定するステップは、例えばウェハーマップに基づいて、搬送プロセスの前に実行することができる。
【0032】
搬送プロセスにおいて、電気部品は、行ごとに、好ましくは1行の電気部品から隣接する行の電気部品に、好ましくは蛇行方式で移動することによって、ソース基板から選択することができる。
【0033】
ソース基板は、同じ半導体ウェハーに由来する複数の半導体ダイを含むダイシングウェハー、又は異なる半導体ウェハーに由来する複数の半導体ダイを含む構造化ウェハーを含んでもよい。
【0034】
本開示の別の態様によれば、複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送するピックアンドプレース装置が提供される。この装置は、ソース基板を保持するように構成されたソースキャリアと、対象基板を保持するように構成された対象キャリアと、ソース基板から電気部品を収集し、収集された電気部品を対象基板に配置するように構成された輸送システムと、輸送システムを制御するコントローラであって、輸送システムを制御して、上述の方法に従って、電気部品をソース基板から収集し、対象基板に配置するように構成される、コントローラとを含む。例えば、コントローラは、プロセッサと、プロセッサに動作可能に接続されたメモリと、を含んでもよく、メモリは、プロセッサによって実行されると、ピックアンドプレース装置に上述の搬送プロセスを実行させる命令のリストを含む。
【0035】
輸送システムは、ソースキャリアを移動させるソース駆動部と、対象キャリアを移動させる対象駆動部と、を含んでもよく、コントローラは、ソース駆動部及び対象駆動部を制御するように構成される。この場合、輸送システムは、各電気部品に対して、電気部品を空間内の同じ収集位置で収集するように構成することができ、及び/又は、輸送システムは、各電気部品に対して、収集された電気部品を空間内の同じ配置位置で配置するように構成することができる。
【0036】
コントローラは、ソース駆動部及び/又は対象駆動部を制御して、ソース基板上の電気部品を収集位置に繰り返して配置し、及び/又は対象基板上の空の位置を配置位置に繰り返して配置するように構成することができる。
【0037】
本開示のまた別の態様によれば、命令を含み、命令が上述のピックアンドプレース装置のコントローラによって実行されると、コントローラに、輸送システムを制御して、上述の方法に従って、電気部品をソース基板から収集し、対象基板に配置するステップを実行させる、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0038】
本開示の特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照してより具体的な説明が行われ、実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態を示しているにすぎないため、その範囲を限定するとみなされるべきではないことに留意されたい。図面は、本開示の理解を容易にするためのものであるため、必ずしも縮尺で描かれているわけではない。請求される主題の利点は、同様の要素を示すために同様の参照符号が用いられる添付図面と併せて本明細書を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】既知のピックアンドプレース装置を示す。
図2】本開示の一態様に係るピックアンドプレース装置の一実施形態を示す。
図3】本開示の一態様に係る、電気部品をビンに割り当てるプロセスを示す。
図4】左側に、電気部品を配置可能な複数の位置を有する対象基板を示し、右側に、本開示の一態様に係る、異なるビンからの電気部品を使用してこの対象基板を充填できる方法を示す。
図5】本開示の一態様に係るユニットセルの異なる例を示す。
図6】本開示に係る均一性メトリックの算出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図2は、本開示の一態様に係るピックアンドプレース装置1の一実施形態を示す。ピックアンドプレース装置1は、図1に示す既知のピックアンドプレース装置と同じ部品を含む。したがって、これらの部品を、同じ参照符号を使用して表す。しかしながら、コントローラ11は、コントローラ110とは異なって構成される。本開示の一態様において、コントローラ11は、本開示の一態様に係る、複数の電気部品をソース基板から対象基板上の複数の空の位置に搬送する方法を実施するように構成される。このために、コントローラ11は、メモリ11Bに動作可能に接続された処理ユニット11Aを含んでもよく、メモリ11Bは、処理ユニット11Aによって実行されると、本開示の一態様に係る、電気部品をピックアンドプレースする方法を実施させる命令を含む。
【0041】
図3は、本開示の一態様に係る、電気部品をビンに割り当てるプロセスを示す。ここでは、ソース基板101Aは、複数の電気部品107A~107Dを含むダイシングウェハーの形態で示される。図3で使用される異なるハッシュは、電気部品107A~107Dが特定のパラメータに関して異なることを示す。例えば、電気部品107A~107Dは、特定の電圧又は電流レベルで発する光の強度に関して異なるか、又は発する光の色温度に関して異なるLEDを含み得る。
【0042】
図3は、右側に、各電気部品107A~107Dを対応する性能ビン120A~120Dに割り当てるプロセスを概念的に示す。性能ビン120A~120Dは、好ましくは、パラメータの重複しない範囲に関連付けられる。
【0043】
通常、ウェハー101Aは、ピックアンドプレースプロセスを実行する前に特徴付けられる。この特徴付け中、ウェハー101A上の各電気部品のパラメータに関する情報を含むウェハーマップが構築される。ウェハーマップのエントリの例として、[ウェハー101A上の半導体ダイの位置]、[パラメータの測定値]などがある。
【0044】
電気部品107A~107Dの割り当ては、ウェハーマップに基づいて実行され、その結果、いわゆるビンマップが得られる。このビンマップは、電気部品107A~107Dのうちのどれがビン120A~120Dのうちのどれに割り当てられるかに関する情報を含む。ビンマップのエントリの例として、[ウェハー101A上の半導体ダイの位置]、[ビン番号]などがある。
【0045】
電気部品を割り当てるプロセスは、ピックアンドプレース装置の外部で実行することができる。この場合、コントローラ11は、ビンマップを受信し、当該ビンマップをメモリ11Bに記憶するように構成される。
【0046】
図4は、左側に、電気部品107A~107Dを配置可能な複数の部品位置130を有する対象基板102Aを示し、右側に、異なるビン120A~120Dからの電気部品107A~107Dを使用して対象基板102Aを充填できる方法を示す。
【0047】
より具体的には、本開示の一態様において、対象基板102Aは、複数のユニットセル140に分割され、各ユニットセル140は、複数の部品位置130を含む。更に、各部品位置130は、個別のビン120A~120Dに関連付けられる。本開示において、各ユニットセル140の各部品位置130には、その部品位置130に関連付けられたビンと同じビン120A~120Dに割り当てられたソース基板101Aからの電気部品107A~107Dが配置されるように、電気部品107A~107Dは、対象基板102Aに配置される。
【0048】
図5は、本開示の一態様に係るユニットセル104A~104Cの異なる例を示す。各ユニットセル104A~104Cは、性能ビンを識別するための番号を含む。例えば、ユニットセル140Aは、それぞれが9つのビンのうちの異なるビンに関連付けられた9つの部品位置を含む。ユニットセル140Bは、それぞれが3つのビンのうちの1つに関連付けられた9つの部品位置を含み、ユニットセル140Cは、それぞれが5つのビンのうちの1つに関連付けられた9つの部品位置を含む。本開示は、ユニットセル当たりの特定の数の部品位置、又は特定の数のビンに限定されない。
【0049】
図6は、本開示に係る均一性メトリックの算出を示す。図6には、対象基板102Aは、右側に示される複数の同一のユニットセル140Dに分割されることが示されている。ユニットセル140Dは、それぞれが4つの異なる性能ビンのうちの1つに関連付けられた16個の部品位置を含む。図6において、部品位置に関連付けられた番号、すなわち番号1~4は、パラメータに関する、関連付けられたビンの電気部品の性能を表し、以下で性能番号と呼ばれる。例えば、性能ビンは、電気部品の電気抵抗に基づいて生成されてもよい。この場合、性能番号「1」は、1オームの抵抗、「2」は、2オームの抵抗などを示してもよい。当業者は、性能番号1~4が例示を目的とするに過ぎないことを理解するであろう。
【0050】
通常、性能番号は、特定のビンのパラメータの平均値を表す。例えば、第一の性能ビンが100~200オームの電気抵抗の範囲に対応する場合、その性能ビンの性能番号は、150オームに等しくてもよい。
【0051】
性能番号により、電気部品を対象基板102Aに配置する前であっても、対象基板102A上の電気部品のパラメータの均一性を推定することができる。その一例を図6の左側に示す。この図は、対象基板102上の性能番号を示し、そして、対象基板102A上の電気部品の性能の均一性の推定を提供する均一性メトリックを決定するために使用されるカーネル141を示す。
【0052】
図6において、カーネル141は、右下の円で示されるユニットセル140Dの特定の部品位置について、当該部品位置での性能番号と、隣接する8つの部品位置での性能番号との合計を決定するために使用される。カーネル141を対象基板102A上で移動させることによって、各部品位置について類似する合計を決定することができる。この算出結果は、右上に示される。
【0053】
算出された合計を使用して均一性メトリックを決定することができる。例えば、合計の標準偏差を決定することができ、その標準偏差は、カーネル141上の平均値を使用して任意にスケーリングすることができる。
【0054】
均一性メトリックは、ピックアンドプレースプロセスの前に算出することができる。更に、均一性メトリックは、ユニットセルの性能ビンの数M及び部品位置の数Nの適切な値を決定するために使用することができる。例えば、MとNの特定の組み合わせの均一性メトリックを、所定の閾値と比較することができる。MとNのこれらの組み合わせから、均一性メトリックを使用して最良の均一性を提供する組み合わせを選択することができる。
【0055】
上述の均一性メトリックは、対象基板上の電気部品の性能の均一性を説明するに過ぎない。MとNの特定の組み合わせを使用して得られるスループットは考慮されていない。例えば、大量のM及びNにより、ソースキャリア及び/又は対象キャリアの移動により時間がかかる。したがって、装置のスループットを表す異なるメトリック、例えば、スループットメトリックを決定することもできる。この場合、全体的なメトリックは、スループットメトリックと均一性メトリック、例えば、加重合計に基づいて決定することができ、全体的なメトリックは、MとNの最適な組み合わせを決定する所定の閾値と比較される。その代わりに、スループットメトリック及び均一性メトリックに別個の閾値が使用される。例えば、MとNの最適な組み合わせは、スループットが特定の目標値を満たすという条件で最良の均一性を提供する組み合わせである。
【0056】
上述のM及びNの決定は、部品位置と性能ビンとの固定的な関連付けに対して実行することができ、その関連付けは、メモリ11Bに記憶されるか、又はコントローラ11に提供される。
【0057】
ウェハーマップの構築は、一般に、ピックアンドプレース装置の外部で実行される。しかしながら、ピックアンドプレース装置に測定ユニットを組み込むことによって、ウェハーマップの構築は、ピックアンドプレース装置内で実行することができる。同様に、ビンマップを構築するプロセスは、ピックアンドプレース装置の外部で実行することができる。この場合、コントローラは、ビンマップを受信し、ピックアンドプレース装置は、このビンマップに基づいて電気部品を収集し配置する。このために、使用されるユニットセルに関する情報、すなわちユニットセルのサイズ、及びどのビンがどの部品位置に関連付けられるかは、コントローラに提供することができる。この情報は、例えば、ビンマップも含む情報パッケージに含まれてもよい。他の実施形態では、コントローラは、ピックアンドプレースプロセスに使用されるユニットセルを決定するように構成される。ユニットセルのサイズ、形状、及びどの性能ビンがどの部品位置に関連付けられるかは、コントローラに提供されたビンマップ及び/又はウェハーマップを使用して決定することができる。
【0058】
以上、詳細な実施形態を用いて本発明を説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。その代わりに、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0059】
本発明の特定の及び好ましい態様は、添付の独立請求項に記載されている。また、従属請求項及び/又は独立請求項の特徴は、請求項に記載されているものに限らず、適宜組み合わされてもよい。
【0060】
本開示の範囲は、特許請求される発明に関連しているか否か、あるいは本発明の解決しようとする課題のいくつか又はすべてを軽減するか否かとは無関係に、任意の新規な特徴若しくは本明細書に明示的に又は暗示的に開示された特徴の組み合わせ、又はそれらの任意の一般化を含む。本出願人は、ここに、本願又は本願から派生する任意の更なる出願の手続き中に、そのような特徴に対して新しい請求項が案出されてもよいことを通知する。詳細には、添付の特許請求の範囲を参照すると、従属請求項の特徴は独立請求項の特徴と組み合わせることができ、また、個々の独立請求項の特徴は、任意の適切な方法で組み合わせることができ、特許請求の範囲に記載の特定の組み合わせのみがあるわけではない。
【0061】
別個の実施形態の文脈において記載された特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載された様々な特徴は、別個に、又は任意の適切なサブ組み合わせで提供されてもよい。
【0062】
「含む」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】