(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013455
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01L21/304 648B
H01L21/304 648Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115549
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】前川 直嗣
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA02
5F157AA03
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB34
5F157AB48
5F157AB90
5F157CC31
5F157CF76
(57)【要約】
【課題】濡れた基板を搬送しつつも、乾燥した基板の搬送時に汚染が生じることを防止できる。
【解決手段】超臨界流体チャンバから基板Wを搬送する前に、洗浄乾燥部CDUによりハンド29に対して洗浄乾燥処理を行う。したがって、センターロボットCRは、ハンド29を清浄にできる。そのため、センターロボットCRは、水中姿勢変換部25から濡れた基板Wを搬送するが、超臨界流体チャンバから乾燥した基板Wを搬送する際に汚染が生じることを防止できる。したがって、ハンド29で濡れた基板Wを搬送しつつも、乾燥した基板Wの搬送時に汚染が生じることを防止できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置において、
複数枚の基板を鉛直姿勢の状態で一括して処理するバッチ式処理部と、
一枚の基板を水平姿勢の状態で処理する枚葉式処理部と、
前記バッチ式処理部で処理を終えた複数枚の基板を保持し、前記複数枚の基板を純水で濡らした状態で鉛直姿勢から水平姿勢に変換する姿勢変換部と、
前記バッチ式処理部で処理を終えた複数枚の基板を前記姿勢変換部に搬送する第1の搬送部と、
前記姿勢変換部で水平姿勢にされた基板をハンドに支持して前記枚葉式処理部に対して搬送し、前記枚葉式処理部で処理された基板をハンドに支持して前記枚葉処理部から搬送する第2の搬送部と、
前記第2の搬送部の前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部は、前記第2の搬送部が前記枚葉式処理部で処理された基板を前記枚葉式処理部から搬送する前に、前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部は、前記姿勢変換部から前記枚葉式処理部に基板を搬送した後に、前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部は、前記姿勢変換部の上方に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部と前記姿勢変換部とは、互いの空間が鉛直方向で連通していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部は、洗浄液を前記ハンドに吐出する洗浄液ノズルと、前記ハンドを乾燥させる乾燥機構とを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記乾燥機構は、前記ハンドに気体を供給する気体ノズルであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記枚葉式処理部は、基板を水平姿勢で回転可能に支持するスピンチャックと、前記スピンチャックに支持された基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記スピンチャックに支持された基板に気体を供給する気体供給機構とを備え、
前記洗浄乾燥部は、前記枚葉式処理部の前記処理液供給機構と前記気体供給機構とを使って前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことにより実現されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記洗浄乾燥部を複数個備え、かつ、前記複数個の前記洗浄乾燥部を平面視で異なる位置に備え、
前記第2の搬送部の位置に応じて、近い方の前記洗浄乾燥部で洗浄及び乾燥を行うことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板に所定の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、バッチ式モジュールと、枚葉式モジュールと、回転機構と、搬送ロボットとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。バッチ式モジュールは、複数枚の基板に対して一括して処理を行う。枚葉式モジュールは、一枚ずつの基板に対して処理を行う。一般的に、枚葉式モジュールによる乾燥処理は、バッチ式モジュールによる乾燥処理に比較すると、基板が影響を受ける処理雰囲気の空間が小さく、パーティクル性能が高い。そのため、枚葉式モジュールは、バッチ式モジュールよりも乾燥性能を高めやすい。そこで、例えば、バッチ式モジュールでエッチング処理及びリンス処理を行った後、枚葉式モジュールで乾燥処理を行うことが行われる。
【0003】
バッチ式モジュールでは、複数枚の基板を鉛直姿勢とした状態で処理を行う。一方、枚葉式モジュールでは、基板を水平姿勢とした状態で処理を行う。そのため、バッチ式モジュールで処理を終えた鉛直姿勢の基板は、枚葉式モジュールに搬送される前に回転機構により水平姿勢に変換される。回転機構で水平姿勢にされた基板は、搬送ロボットによって枚葉式モジュールに搬送される。枚葉式モジュールで乾燥処理された基板は、搬出のために再び同じ搬送ロボットによって搬送される。
【0004】
ところで、近年、半導体分野では、3次元構造のパターンにおける精細化が進んでいる。そのため、このような基板では、基板が乾燥するときの気液界面の影響により、パターンが倒壊する恐れがある。そのため、バッチ式モジュールによる処理の後、枚葉式モジュールにおける処理を行うまでに、基板が乾燥しないように基板を濡れた状態にすることが行われる。
【0005】
具体的には、回転機構の傍らに複数個の吹き付け管を配置する。吹き付け管は、回転機構に保持されている基板に純水を吹き付ける。これにより、回転機構に保持されている基板を枚葉式モジュールに載置されるまで濡れた状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、回転機構で水平姿勢にされた基板を搬送ロボットがハンドで受け取った際に、ハンドが純水で濡れる。そのため、枚葉式モジュールで乾燥処理された基板の搬送を搬送ロボットが行う際に、乾燥された基板をハンドで汚染する恐れがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、濡れた基板を搬送しつつも、乾燥した基板の搬送時に汚染が生じることを防止できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置において、複数枚の基板を鉛直姿勢の状態で一括して処理するバッチ式処理部と、一枚の基板を水平姿勢の状態で処理する枚葉式処理部と、前記バッチ式処理部で処理を終えた複数枚の基板を保持し、前記複数枚の基板を純水で濡らした状態で鉛直姿勢から水平姿勢に変換する姿勢変換部と、前記バッチ式処理部で処理を終えた複数枚の基板を前記姿勢変換部に搬送する第1の搬送部と、前記姿勢変換部で水平姿勢にされた基板をハンドに支持して前記枚葉式処理部に対して搬送し、前記枚葉式処理部で処理された基板をハンドに支持して前記枚葉処理部から搬送する第2の搬送部と、前記第2の搬送部の前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、第2の搬送部は、洗浄乾燥部にてハンドを洗浄及び乾燥される。したがって、第2の搬送部は、ハンドを清浄にできる。そのため、第2の搬送部は、姿勢変換部から濡れた基板を搬送するが、枚葉式処理部から乾燥した基板を搬送する際に汚染が生じることを防止できる。
【0011】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部は、前記第2の搬送部が前記枚葉式処理部で処理された基板を前記枚葉式処理部から搬送する前に、前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことが好ましい(請求項2)。
【0012】
姿勢変換部から枚葉式処理部への基板の搬送によりハンドが濡れる度にハンドの洗浄及び乾燥を行うわけではない。そのため、洗浄及び乾燥の頻度を低減できる。その結果、洗浄及び乾燥に要する資源を節約できる。
【0013】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部は、前記姿勢変換部から前記枚葉式処理部に基板を搬送した後に、前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことが好ましい(請求項3)。
【0014】
枚葉式処理部への基板の搬送によりハンドが濡れた後、洗浄及び乾燥を行う。そのため、ハンドが濡れてから洗浄及び乾燥までの時間を短くできる。したがって、ハンドが濡れてから長時間が経過することにより、付着した純水に起因する残渣がハンドに生じることを防止できる。その結果、ハンドの清浄度を高くできる。
【0015】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部は、前記姿勢変換部の上方に配置されていることが好ましい(請求項4)。
【0016】
洗浄乾燥部を姿勢変換部の上方へ配置するので、装置のフットプリントを小さくできる。
【0017】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部と前記姿勢変換部とは、互いの空間が鉛直方向で連通していることが好ましい(請求項5)。
【0018】
洗浄乾燥部による洗浄及び乾燥の際に、下方に洗浄液が流下する。下方には、複数枚の基板を純水で濡らした状態にする姿勢変換部が位置する。したがって、洗浄乾燥部による洗浄液を受けるためのバットを省略できる。その結果、構成を簡素化でき、コストを抑制できる。
【0019】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部は、洗浄液を前記ハンドに吐出する洗浄液ノズルと、前記ハンドを乾燥させる乾燥機構とを備えていることが好ましい(請求項6)。
【0020】
洗浄液ノズルと乾燥機構でハンドを洗浄及び乾燥することができる。
【0021】
また、本発明において、前記乾燥機構は、前記ハンドに気体を供給する気体ノズルであることが好ましい(請求項7)。
【0022】
比較的簡易な構成で効率的にハンドを乾燥できる。
【0023】
また、本発明において、前記枚葉式処理部は、基板を水平姿勢で回転可能に支持するスピンチャックと、前記スピンチャックに支持された基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記スピンチャックに支持された基板に気体を供給する気体供給機構とを備え、前記洗浄乾燥部は、前記枚葉式処理部の前記処理液供給機構と前記気体供給機構とを使って前記ハンドに対して洗浄及び乾燥を行うことにより実現されることが好ましい(請求項8)。
【0024】
洗浄乾燥部を枚葉式処理部で兼用できる。そのため、構成を簡易化でき、装置コストを抑制できる。
【0025】
また、本発明において、前記洗浄乾燥部を複数個備え、かつ、前記複数個の前記洗浄乾燥部を平面視で異なる位置に備え、前記第2の搬送部の位置に応じて、近い方の前記洗浄乾燥部で洗浄及び乾燥を行うことが好ましい(請求項9)
【0026】
近い位置の洗浄乾燥部でハンドの洗浄及び乾燥を行うので、ハンドの清浄化を早く行うことができる。したがって、付着した純水による残渣が生じにくくできる。また、枚葉処理部からの基板の搬送を早く行うことができるので、スループットを向上できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る基板処理装置によれば、第2の搬送部は、洗浄乾燥部にてハンドを洗浄及び乾燥される。したがって、第2の搬送部は、ハンドを清浄にできる。そのため、第2の搬送部は、姿勢変換部から濡れた基板を搬送するが、枚葉式処理部から乾燥した基板を搬送する際に汚染が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】水中姿勢変換部及び洗浄乾燥部の側面図である。
【
図20】基板処理装置の変形例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の平面図である。
【0030】
<1.全体構成>
【0031】
基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、ストッカーブロック5と、移載ブロック7と、処理ブロック9とを備えている。
【0032】
基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、例えば、基板Wに対して薬液処理、洗浄処理、乾燥処理などを行う。基板処理装置1は、バッチ式と枚葉式とを併せ持った処理方式(いわゆるハイブリッド方式)を採用している。バッチ式は、複数枚の基板Wを鉛直姿勢の状態で一括して処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で処理する。
【0033】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、ストッカーブロック5と、移載ブロック7と、処理ブロック9とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、ストッカーブロック5から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0034】
<2.搬入出ブロック>
【0035】
搬入出ブロック3は、投入部11と払出部13とを備えている。投入部11と払出部13は、幅方向Yに配置されている。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)が一つのキャリアC内に水平姿勢で一定の間隔をおいて積層収納されている。未処理の基板Wを収納したキャリアCは、投入部11に載置される。投入部11は、例えば、キャリアCが載置される載置台15を二つ備えている。キャリアCは、基板Wの面同士を離間して、基板Wを一枚ずつ収容する溝(図示省略)が複数個形成されている。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)がある。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。
【0036】
払出部13は、基板処理装置1における幅方向Yの中央部を挟んだ投入部11の反対側に配備されている。払出部13は、投入部11の左方Yに配置されている。払出部13は、処理済みの基板WをキャリアCに収納してキャリアCごと払い出す。このように機能する払出部13は、投入部11と同様に、例えば、キャリアCを載置するための二つの載置台17を備えている。投入部11と払出部13とは、ロードポートとも呼ばれる。
【0037】
<3.ストッカーブロック>
【0038】
ストッカーブロック5は、搬入出ブロック3の後方Xに隣接して配置されている。ストッカーブロック5は、搬送収納部ACBを備えている。搬送収納部ACBは、搬送機構19と棚21とを備えている。
【0039】
搬送機構19は、キャリアCを搬送する。搬送収納部ACBは、複数個の棚21を備えている。棚21には、キャリアCが単に一時的に載置されるものと、第1搬送機構HTRとの間における受け渡しのためにキャリアCが載置されるものとがある。搬送収納部ACBは、未処理の基板Wが収納されたキャリアCを投入部11から取り込んで棚21に載置する。搬送収納部ACBは、処理の順序を規定するスケジュールに応じて、受け渡し用の棚21にキャリアCを搬送して載置する。搬送収納部ACBは、受け渡し用の棚21に載置されて空になったキャリアCを棚21に搬送して載置する。搬送収納部ACBは、受け渡し用の棚21に載置され、処理された基板Wが第1搬送機構HTRにより収納されたキャリアCを棚21に搬送して載置する。搬送収納部ACBは、棚21に載置され、処理された基板Wが収納されたキャリアCを払出部13に搬出する。
【0040】
<4.移載ブロック>
【0041】
移載ブロック7は、ストッカーブロック5の後方Xに隣接して配置されている。移載ブロック7は、第1搬送機構HTRと、移載機構CTCと、第2搬送機構WTRを備えている。
【0042】
搬送収納部ACBの後方Xのうち右方Yには、第1搬送機構HTRが配置されている。第1搬送機構HTRは、複数枚の基板Wを一括して搬送する。換言すると、第1搬送機構HTRは、複数個のハンド(図示省略)を備えている。1つのハンドは、1枚の基板Wを支持する。第1搬送機構HTRは、1枚の基板Wだけを搬送することもできる。第1搬送機構HTRは、搬送収納部ACBにおける受け渡し用の棚21に載置されたキャリアCから、一括して複数枚の基板W(例えば、25枚)を取り出し、移載機構CTCに搬送する。このとき、第1搬送機構HTRは、基板Wの姿勢を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。第1搬送機構HTRは、後述する処理ブロック9から処理済みの複数枚の基板Wを一括して受け取る。第1搬送機構HTRは、搬送収納部ACBの受け渡し用の棚21に載置されているキャリアCに対して、処理済みの複数枚の基板Wを一括して搬送する。
【0043】
第1搬送機構HTRの左方Yには、移載機構CTCが配置されている。移載機構CTCは、複数枚の基板Wを第1搬送機構HTRと第2搬送機構WTRとの間で受け渡す。移載装置CTCは、第1搬送機構HTRと第2搬送機構WTRとの間で複数枚の基板Wを幅方向Yに搬送する。移載装置CTCは、第1搬送機構HTRから複数枚の基板Wを受け取った後、幅方向Yにおいて第2搬送機構WTRに移動する。その際には、移載機構CTCは、バッチロットの組み立てまたはバッチロットの解除を行う。移載機構CTCは、例えば、ある一つのキャリアCから取り出された一つのロットを構成する複数枚の基板Wと、他のキャリアCから取り出された他の一つのロットを構成する複数枚の基板Wとを一つのバッチロットとして組み合わせる。これがバッチロットの組み立てである。この逆の動作がバッチロットの解除となる。つまり、一つのバッチロットの一つのロットを構成する複数枚の基板Wと、同じバッチロットの他のロットを構成する複数枚の基板Wとをそれぞれ分離して元のロットに戻す。通常、キャリアCから取り出された複数枚の基板Wの間隔は、キャリアCと同じ間隔である。これをフルピッチと呼ぶ。一つのバッチロットでは、例えば、複数枚の基板Wの間隔がフルピッチの半分となる。これをハーフピッチと呼ぶ。なお、本発明は、ピッチについて問わないので、発明の理解を容易にするため、以下の説明においてはピッチについての詳細な説明を省略する。
【0044】
なお、以下の説明においては、処理対象のロットの構成については問わない。つまり、通常のロットであってもバッチロットであっても同じであるので、以下の説明においては、処理対象を単にロットや複数枚の基板Wと称する。
【0045】
第2搬送機構WTRは、移載機構CTCの左方Yに配置されている。第2搬送機構WTRは、移載ブロック7と処理ブロック9とにわたって移動可能に構成されている。第2搬送機構WTRは、前後方向Xに移動可能に構成されている。第2搬送機構WTRは、ロットを搬送する一対のハンド23を備えている。一対のハンド23は、例えば、幅方向Yに向けられた回転軸を備えている。一対のハンド23は、この回転軸周りに揺動する。一対のハンド23は、ロットを構成する複数枚の基板Wの両端面を挟持する。第2搬送機構WTRは、移載機構CTCとの間で複数枚の基板Wを受け渡す。第2搬送機構WTRは、処理ブロック9に対して未処理の複数枚の基板Wを受け渡す。
【0046】
なお、上述した第2搬送機構WTRが本発明における「第1の搬送部」に相当する。
【0047】
<5.処理ブロック>
【0048】
処理ブロック9は、基板Wに対して処理を行う。処理ブロック9は、第2搬送機構WTRを除いて、例えば、幅方向Yにおいて第1列R1と、第2列R2と、第3列R3に分けられている。詳細には、第1列R1は、左方Yに配置されている。第2列R2は、幅方向Yの中央部に配置されている。換言すると、第2列R2は、第1列R1の右方Yに配置されている。第3列R3は、第2列R2の右方Yに配置されている。
【0049】
<5-1.第1列>
【0050】
第1列R1は、主としてバッチ式処理部を備えている。具体的には、第1列R1は、第1バッチ処理部BPU1と、第2バッチ処理部BPU2と、第3バッチ処理部BPU3と、水中姿勢変換部25と、洗浄乾燥部CDUとを備えている。第1バッチ処理部BPU1は、移載ブロック7の後方Xに隣接する。第2バッチ処理部BPU2は、第1バッチ処理部BPU1の後方Xに隣接する。第3バッチ処理部BPU3は、第2バッチ処理部BPU2の後方Xに隣接する。水中姿勢変換部25は、第3バッチ処理部BPU3の後方Xに隣接する。洗浄乾燥部CDUは、水中姿勢変換部25の上方に配置されている。洗浄乾燥部CDUは、幅方向Yにおいて第2列R2に近い位置に寄せて配置されている。
【0051】
なお、第1バッチ処理部BPU1と、第2バッチ処理部BPU2と、第3バッチ処理部BPU3とが本発明における「バッチ式処理部」に相当する。
【0052】
第1バッチ処理部BPU1は、例えば、薬液処理部CHB1である。薬液処理部CHB1は、例えば、燐酸処理を行う。燐酸処理は、処理液として燐酸を用いる。燐酸処理は、複数枚の基板Wにエッチング処理を行う。エッチング処理は、例えば、基板Wに被着された被膜の膜厚を化学的に削る。被膜は、例えば、窒化膜である。
【0053】
薬液処理部CHB1は、処理槽27と、リフタLF1とを備えている。処理槽27は、処理液を貯留する。処理槽27は、例えば、処理液を下方から上方に向けて供給する。リフタLF1は、鉛直方向Zに昇降する。具体的には、リフタLF1は、処理槽27の内部にあたる処理位置と、処理槽27の上方にあたる受け渡し位置とにわたって昇降する。リフタLF1は、複数枚の基板Wを鉛直姿勢で保持する。リフタLF1は、受け渡し位置において、複数枚の基板Wを第2搬送機構WTRとの間で受け渡しする。
【0054】
第2バッチ処理部BPU2は、例えば、薬液処理部CHB2である。薬液処理部CHB2は、薬液処理部CHB1と同様の構成を備えている。つまり、薬液処理部CHB2は、処理槽27と、リフタLF2とを備えている。薬液処理部CHB2は、薬液処理部CHB1と同様の処理を行う。つまり、同じ薬液処理を行う処理部が複数存在する。これは、燐酸処理が他の薬液処理や純水洗浄処理などに比較して長時間を要するからである。燐酸処理は、例えば、60分程度を要する。そのため、複数台の処理部で並行して処理を行うことで、スループットを向上できる。
【0055】
第3バッチ処理部CHB3は、例えば、純水処理部ONBである。純水処理部ONBは、薬液処理部CHB1,CHB2と似た構成を備える。具体的には、処理槽27と、リフタLF3とを備えている。但し、処理槽27は、純水洗浄処理のために主として純水を供給される。純水処理部ONBの処理槽27は、複数枚の基板Wに付着している薬液を洗浄する。換言すると、純水処理部ONBの処理槽27は、複数枚の基板Wに付着している薬液を洗い流す。純水処理部ONBは、例えば、処理槽27内における純水の比抵抗が所定値に上昇すると、洗浄処理を終了する。
【0056】
<5-2.第2列>
【0057】
第2列R2は、センターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、ハンド29を備えている。ハンド29は、1枚の基板Wを保持する。センターロボットCRは、例えば、鉛直方向Zにもう1つのハンド29を備える構成を採用してもよい。センターロボットCRは、前後方向Xに移動可能に構成されている。センターロボットCRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。センターロボットCRは、前後方向X及び幅方向Yを含む水平面内で旋回可能に構成されている。ハンド29は、前後方向X及び幅方向Yを含む水平面内で進退可能に構成されている。ハンド29は、水中姿勢変換部25から基板Wを1枚ずつ受け取る。センターロボットCRは、第3列R3に対して1枚ずつ基板Wを渡す。センターロボットCRは、第3列R3から1枚ずつ基板Wを受け取る。なお、センターロボットCRが2つのハンド29を備える場合には、水中姿勢変換部25から2枚の基板Wを受け取り、第3列R3との間で1枚ずつ二箇所に基板Wを受け渡す。
【0058】
上述したセンターロボットCRが本発明における「第2の搬送部」に相当する。
【0059】
<5-3.第3列>
【0060】
第3列R3は、主として枚葉式処理部を備えている。具体的には、第3列R3は、第1枚葉処理部SWP1と、第2枚葉処理部SWP2と、第3枚葉処理部SWP3と、バッファ部31とを備えている。第1枚葉処理部SWP1は、前後方向Xの最も奥側に配置されている。換言すると、第1枚葉処理部SWP1は、幅方向Yにおいて第2列R2を挟んで水中姿勢変換部25の反対側に配置されている。第2枚葉処理部SWP2は、第1枚葉処理部SWP1の前方Xに隣接する。第3枚葉処理部SWP3は、第2枚葉処理部SWP2の前方Xに隣接する。バッファ部31は、第3枚葉処理部SWP3の前方Xであって、第1搬送機構HTRの後方Xに隣接する。
【0061】
なお、第1枚葉処理部SWP1と、第2枚葉処理部SWP2と、第3枚葉処理部SWP3とが本発明における「枚葉式処理部」に相当する。
【0062】
第1枚葉処理部SWP1及び第2枚葉処理部SWP2は、例えば、回転処理部33と、ノズル35とを備えている。回転処理部33は、基板Wを水平面内で回転駆動する。ノズル35は、処理液及び気体を基板Wに供給する。ノズル35は、同時に処理液と気体を供給しない。ノズル35は、処理液のみを供給したり、気体のみを供給したりできる。ノズル35は、回転処理部33から離れた待機位置と、回転処理部33の上方の供給位置とにわたって揺動する。処理液は、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)や純水である。気体は、例えば、窒素ガス(N2ガス)である。窒素ガスは、ドライ窒素ガスであることが好ましい。第1枚葉処理部SWP1及び第2枚葉処理部SWP2は、例えば、基板Wに対して純水で洗浄処理を行った後、IPAで予備的な乾燥処理を行う。
【0063】
上述した回転処理部33が本発明における「スピンチャック」に相当する。上述したノズル35が本発明における「処理液供給機構」及び「気体供給機構」に相当する。
【0064】
第3枚葉処理部SWP3は、例えば、超臨界流体チャンバ37を備えている。超臨界流体チャンバ37は、例えば、超臨界流体による乾燥処理を行う。このとき使用される流体は、例えば、二酸化炭素である。超臨界チャンバ37は、処理液を超臨界状態にして基板Wに対して処理を行う。超臨界状態は、流体を流体に固有の臨界温度と臨界圧力にすることで得られる。具体的には、流体が二酸化炭素の場合、臨界温度=31℃、臨界圧力7.38MPaである。超臨界状態では、流体の表面張力がゼロになる。そのため、基板Wのパターンに気液界面の影響が生じない。したがって、基板Wにおけるパターン倒れが生じにくい。
【0065】
バッファ部31は、例えば、複数段の載置棚39を備えている。複数の載置棚39は、鉛直方向Zに積層配置されていることが好ましい。複数の載置棚39は、少なくとも1ロット分の基板Wが載置できる。第1搬送機構HTRが複数枚の基板Wを一括して取り出せるので、一枚ずつ基板Wを取り出す場合に比べて第1搬送機構HTRの負担を減らすことができる。バッファ部31は、水平方向の異なる複数方向からアクセスできる。センターロボットCRは、第2列R2側から右方Yに向かって基板Wを載置するためにバッファ部39にアクセスする。第1搬送機構HTRは、前方Xから後方Xに向かって1ロット分の基板Wを受け取るためにバッファ部39にアクセスする。第1搬送機構HTRは、1ロット未満の枚数の基板Wを受け取ることもできる。上述したセンターロボットCRは、複数の載置棚39との間で基板Wを受け渡しできるように鉛直方向Zに昇降する。
【0066】
上述した第1枚葉処理部SPW1と、第2枚葉処理部SWP2と、第3枚葉処理部SWP3とは、それぞれ同様の処理部が鉛直方向Zに多段に積層されていることが好ましい。これにより、スループットを向上できる。
【0067】
<6.制御系>
【0068】
ここで、
図2を参照する。
図2は、制御系を表すブロック図である。
【0069】
上述した各構成は、制御部CUによって統括的に制御される。制御部CUは、CPUやメモリを備えている。制御部CUは、上述した各部との間を信号線で電気的に接続されている。制御部CUは、メモリに予め記憶されたプログラムにより各部を操作して、基板Wに対する処理を行う。
【0070】
<7.水中姿勢変換部>
【0071】
ここで、
図3~
図6を参照して、水中姿勢変換部について説明する。
図3は、水中姿勢変換部及び洗浄乾燥部の側面図である。
図4は、水中姿勢変換部の平面図である。
図5は、水中姿勢変換部の側面図である。
図6は、水中姿勢変換部の正面図である。
【0072】
水中姿勢変換部25は、姿勢変換部41と、浸漬槽43と、リフタLF4と、プッシャー45を備えている。姿勢変換部41は、槽内キャリア47と、回転機構49とを備えている。
【0073】
槽内キャリア47は、横長状態では、複数枚の基板Wを鉛直姿勢で収納する。槽内キャリア47は、複数枚の基板Wを所定の整列方向に所定間隔で離間して収納する。基板Wの面は、整列方向と直交する方向である。この例における整列方向は、幅方向Yである。槽内キャリア47は、底部に開口51を形成されている。槽内キャリア47は、上面に開口53を形成されている。開口53は、前後方向Xの長さが基板Wの直径より長い。開口51は、開口53より開口面積が狭い。槽内キャリア47は、係合部55を備えている。係合部55は、槽内キャリア47の前後方向Xにおける二つの外側面に形成されている。係合部55は、複数枚の基板Wの整列方向と直交する方向の外側面に形成されている。
【0074】
浸漬槽43は、槽内キャリア47を収容する。浸漬槽43は、槽内キャリア47が縦長の状態(基板Wが水平姿勢)であっても、横長状態(基板Wが鉛直姿勢)であっても液面下に槽内キャリア47を収容できる大きさを有する。浸漬槽43は、底面における前後方向Xの両端に噴出管43aを備えている。それぞれの噴出管43aは、筒状を呈する。各噴出管43aは、幅方向Yに長軸を有する。各噴出管43aは、幅方向Yに長い。各噴出管43aは、浸漬槽43の前後方向Xにおける中央部に向けて純水を供給する。各噴出管43aは、浸漬槽43の底部から上方に向かう純水の上昇流を形成する。各噴出管43aから浸漬槽43に供給された純水は、浸漬槽43の上縁を越えて排出される。
【0075】
回転機構49は、エアシリンダ57と、モータ59とを備えている。エアシリンダ57は、作動軸57aと、係合片57bとを備えている。作動軸57aは、エアシリンダ57のオンオフに応じて前後方向Xに進退駆動される。浸漬槽43は、貫通孔44を形成されている。貫通孔44は、浸漬槽43の前後方向Xの側壁に形成されている。作動軸57aは、浸漬槽43の貫通孔44に液密状態で取り付けられている。作動軸57aは、液密状態で前後方向に進退可能である。作動軸57aは、液密状態で前後方向Xの軸周りに回転可能である。換言すると、作動軸57aは、液密性を維持した状態で浸漬槽43の中央部に対して進退及び回転可能である。
【0076】
作動軸57aの係合片57bが係合部55に係合する進出位置は、連結位置である。作動軸57aの係合片57bが係合部55から離間した退出位置は、開放位置である。
図4に示す作動軸57aは、係合片57bが開放位置に位置している。
【0077】
係合片57bは、槽内キャリア47の係合部55と係合する。係合片57bは、係合部55と係合するように、外周面の形状(輪郭)が形成されている。係合部55と係合片57bとは、例えば、前後方向Xから見た形状が多角形状である。係合片57bは、縦断面形状における寸法が係合部55より若干小さい。係合部55の内周面の形状と、係合片57bの外周面の形状とは相似である。係合片57bが係合部55に係合した状態では、槽内キャリア47と作動軸57aとが一体化する。換言すると、係合片57bが係合部55に係合した状態では、槽内キャリア47は、作動軸57aに対して前後方向Xの軸周りに回転しない。槽内キャリア47は、作動軸57aとともに前後方向Xの軸周りに回転可能である。
【0078】
エアシリンダ57は、例えば、オンされると作動軸57aが進出される。エアシリンダ57は、例えば、オフされると作動軸57aが退出される。エアシリンダ57は、オンされると係合片57bが係合部55に係合する連結位置に移動する。エアシリンダ57は、オフされると係合片57bが係合部55から離間した開放位置に移動する。連結位置では、作動軸57aが槽内キャリア47と一体となる。開放位置では、作動軸57aが槽内キャリア47と別体となる。
【0079】
モータ59は、前後方向Xの軸周りにエアシリンダ57を回転させる。エアシリンダ57がオンされ、モータ59が第1の方向に回転駆動する場合には、モータ59が槽内キャリア47を前後方向Xの軸周りに回転する。エアシリンダ57がオンされ、モータ59が第1の方向とは逆方向の第2の方向に回転駆動する場合には、モータ59が槽内キャリア47を前後方向Xの軸周りに逆方向に回転する。これらの回転角度は、それぞれ約90°である。このときの回転角度は、槽内キャリア47に収納されている複数枚の基板Wの姿勢が、水平姿勢と鉛直姿勢とに変換される回転角度である。
【0080】
リフタLF4は、背板部63と、支持部65とを備えている。背板部63は、浸漬槽43の内側面に沿って延出されている。背板部63は、前後方向Xに沿った内側面において、鉛直方向Zの下方に伸びている。背板部63の下端部には、例えば、2本の支持部65が取り付けられている。2本の支持部65は、幅方向Yに伸びている。2本の支持部65は、前後方向Xにおける間隔が開口51より広い。2本の支持部65は、前後方向Xにおける間隔が前後方向Xにおける槽内キャリア47の幅より狭い。リフタLF4は、槽内キャリア47の長手方向が水平姿勢となるように支持する。
【0081】
リフタLF4の近くには、昇降機構67が配置されている。昇降機構67は、モータ69と、螺軸71と、リニアガイド73と、昇降片75とを備えている。モータ69は、回転軸が縦向きとなる姿勢で配置されている。モータ69の回転軸には、螺軸71が取り付けられている。螺軸71は、鉛直方向Zに向けられている。リニアガイド73は、螺軸71に平行に設けられている。リニアガイド73は、鉛直方向Zに向けられている。昇降片75は、螺軸71に螺合されている。昇降片75の一方は、リニアガイド73に摺動自在に取り付けられている。昇降片75の他方は、連結部材77に取り付けられている。連結部材77は、逆L字状を呈する。連結部材77は、背板部63の上端に結合されている。
【0082】
モータ69が回転されると、螺軸71が回転する。螺軸71が回転すると、モータ71の回転方向に応じて昇降片75がリニアガイド73に沿って鉛直方向Zに昇降する。これにより、例えば、リフタLF4は、複数の高さ位置に昇降移動される。
【0083】
例えば、
図5に示すように、リフタLF4は、昇降機構67により、第1の高さ位置P1と、第2の高さ位置P2と、第3の高さ位置P3と、第4の高さ位置P4とにわたって昇降移動される。第1の高さ位置P1は、第2~第4の高さ位置P2~P4よりも低い。第2の高さ位置P2は、第1の高さ位置P1及び第4の高さP4より高く、第3の高さ位置P3より低い。第3の高さ位置P3は、第1の高さ位置P1及び第2の高さ位置P2及び第4の高さ位置P4より高い。第4の高さ位置P4は、第1の高さ位置P1より高く、第2の高さ位置P2及び第3の高さP3より低い。
【0084】
第1の高さ位置P1は、リフタLF4の支持部65が浸漬槽43の底面付近に位置する。第1の高さ位置P1は、回転機構49によって槽内キャリア47が挟持され、槽内キャリア47の下面から支持部65が離間した位置である。第1の高さ位置P1では、槽内キャリア47が回転機構49によって浸漬槽43内で長手方向に縦回転される位置である。
【0085】
第2の高さ位置P2は、槽内キャリア47の全体を浸漬槽43の液面下に支持する位置である。第2の高さ位置P2では、槽内キャリア47の開口53が液面下に位置する。第2の高さ位置P2は、回転機構49によって槽内キャリア47に対する挟持動作が行われる位置である。第2の高さ位置P2は、槽内キャリア47の係合部55と、エアシリンダ57の係合片57bとが水平方向で直線的に並ぶ位置である。換言すると、第2の高さ位置P2は、係合部55と係合片57bとが水平方向で対向する位置である。
【0086】
第3の高さ位置P3は、第2搬送機構WTRと槽内キャリア47との間で複数枚の基板Wを受け渡しする位置である。第3の高さ位置P3は、例えば、リフタLF4の支持部65が浸漬槽43の液面より上方に位置する。但し、槽内キャリア47の底部が液面の上方に位置すればよいので、必ずしも支持部65が液面の上方に位置する必要はない。
【0087】
第4の高さ位置P4は、複数枚の基板Wを水平姿勢とした槽内キャリア47を浸漬槽43内の水面下に維持する。換言すると、第4の高さP4は、縦長状態の槽内キャリア47を水面下に維持する。第4の高さ位置P4から第3の高さ位置P3までの段階的な位置が、センターロボットCRによる搬送対象の基板Wだけを浸漬槽43の液面から上方に位置させる高さ位置である。
【0088】
浸漬槽43は、底部に貫通孔79が形成されている。貫通孔79には、昇降部材81が挿通されている。貫通孔79は、浸漬槽43を液密状態に維持して昇降部材81が挿通されている。昇降部材81は、U字状を呈する。昇降部材81の一方には、プッシャー45が取り付けられている。プッシャー45は、複数枚の基板Wを一括して支持できる。プッシャー45は、基板Wの下縁を当接して支持する。プッシャー45は、
図4及び
図6に示すように、槽内キャリア47の開口51及び開口53よりも寸法が小さい。プッシャー45は、槽内キャリア47を鉛直方向Zに貫通して昇降できる。プッシャー45は、リフタLF4の支持部65のうち、前後方向Xにおける間隔より幅が小さい。プッシャー45は、槽内キャリア47とリフタLF4の支持部65と干渉しない。
【0089】
図4及び
図6に示すように、プッシャー45は、隣接した位置に昇降機構83を有する。昇降機構83は、モータ85と、螺軸87と、リニアガイド89と、昇降片91とを備えている。モータ85は、回転軸が縦置に配置されている。モータ85の回転軸には、螺軸87が取り付けられている。螺軸87は、鉛直方向Zに配置されている。リニアガイド89は、螺軸87に対して平行な位置関係で配置されている。リニアガイド89は、鉛直方向Zに配置されている。昇降片91は、螺軸87に螺合されている。昇降片87の一方は、リニアガイド89に摺動自在に取り付けられている。昇降片87の他方は、昇降部材81に連結されている。
【0090】
モータ85が正転駆動または逆転駆動されると、螺軸87が正方向または逆方向に回転する。モータ85の回転方向に応じて昇降片91がリニアガイド89に沿って鉛直方向Zに昇降する。これにより、プッシャー45は、鉛直方向Zに昇降される。プッシャー45は、待機位置と移載位置とにわたって昇降される。待機位置は、槽内キャリア47の下方であって、浸漬槽43の底部付近である。この待機位置を
図5及び
図6に実線で示す。移載位置は、浸漬槽43における液面の上方である。この移載位置を
図5及び
図6に二点鎖線で示す。移載位置は、第2搬送機構WTRとの間で複数枚の基板Wを受け渡す位置である。
【0091】
なお、槽内キャリア47を回転機構49で回転させるので、槽内キャリア47に汚損等が生じた場合には、槽内キャリア47のみを交換することで回復させることができる。したがって、基板処理装置1におけるダウンタイムを短くでき、稼働率の向上が期待できる。
【0092】
<8.洗浄乾燥部>
【0093】
図3及び
図4を参照して、洗浄乾燥部CDUについて説明する。
【0094】
洗浄乾燥部CDUは、支持フレーム101と、洗浄液ノズル103と、気体ノズル105とを備えている。
【0095】
支持フレーム101は、図示しない支柱により、水中姿勢変換部25の上方に配置されている。その高さは、
図3に示すように、最も上昇した位置にある槽内キャリア47の上面より若干上方である。これにより、槽内キャリア47が最も高い位置に移動された状態となっても、ハンド29を洗浄及び乾燥することができる。換言すると、槽内キャリア47の高さ位置に関わらず、ハンド29を洗浄及び乾燥することができる。
【0096】
支持フレーム101は、天井部101aと、側面部101bとを備えている。支持フレーム101は、浸漬槽43の真上に配置されている。支持フレーム101は、幅方向Yにおいて、浸漬槽43のうち、第2列R2に近い位置に配置されている。支持フレーム101は、
図3に示すように、平面視において、縦長状態とされた槽内キャリア47と重複しない位置に配置されている。
図4においては、縦長状態とされた槽内キャリア47をハッチングで示す。支持フレーム101は、側面部101bを前後方向Xの両端部に備えている。各側面部101bは、天井部101aから下方に垂下して設けられている。換言すると、支持フレーム101は、幅方向Yから見るとカギ括弧状を呈する。支持フレーム101は、底面を備えていない。
【0097】
支持フレーム101には、洗浄液ノズル103と気体ノズル105とが取り付けられている。詳細には、支持フレーム101は、その天井部101aに、洗浄液ノズル103と気体ノズル105とが取り付けられている。換言すると、洗浄液ノズル103と気体ノズル105とは、天井部101aの下面に取り付けられている。
【0098】
洗浄液ノズル103は、幅方向Yにおいて支持フレーム101の左方Y寄りに取り付けられている。換言すると、洗浄液ノズル103は、幅方向Yにおいて支持フレーム101のリフタLF4側に取り付けられている。洗浄液ノズル103は、例えば、2個で構成されている。2個の洗浄液ノズル103は、前後方向Xにおいて離間して配置されている。各洗浄液ノズル103は、同じ構成である。各洗浄液ノズル103は、下方に向けて洗浄液を噴射する。各洗浄液ノズル103は、センターロボットCRのハンド29に洗浄液を供給できる位置に配置されている。洗浄液は、例えば、純水や有機溶剤である。有機溶剤は、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)である。
【0099】
気体ノズル105は、例えば、2個で構成されている。2個の気体ノズル105は、洗浄液ノズル103よりも幅方向Yにおいて第2列R2寄りに配置されている。換言すると、2個の気体ノズル105は、2個の洗浄液ノズル103よりもセンターロボットCRに近い位置に配置されている。2個の気体ノズル105は、前後方向Xにおいて離間して配置されている。各気体ノズル105は、同じ構成である。各気体ノズル105は、下方に向けて気体を噴射する。各気体ノズル105は、センターロボット103のハンド29に気体を供給できる位置に配置されている。気体は、例えば、窒素ガス(N2ガス)である。窒素ガスは、ドライ窒素ガスであることが好ましい。気体は、不活性ガスであれば、窒素ガス以外のものでもよい。
【0100】
洗浄液ノズル103と気体ノズル105とは、ハンド29を洗浄及び乾燥できれば、それぞれ2個の個数に限定されない。それぞれ1個であってもよい。それぞれ3個以上であってもよい。
【0101】
洗浄乾燥部CDUは、上述したように構成されている。そのため、洗浄乾燥部CDUは、は、水中姿勢変換部25と鉛直方向Zにおいて互いの空間が連通している。換言すると、洗浄乾燥部CDUは、水中姿勢変換部25との間に鉛直方向Zにおいて互いの空間を区切る部材が存在しない。
【0102】
上述したセンターロボットCRは、ハンド29が
図3のように幅方向Yにおいて洗浄乾燥部CDUに対して進退する。具体的には、センターロボットCRは、ハンド29を第1の水平位置HP1と、第2の水平位置HP2とにわたって進退する。これらの位置は、ハンド29の先端部における位置である。第1の水平位置HP1は、幅方向Yにおいて、水中姿勢変換部25と洗浄乾燥部CDUに近い位置である。第2の水平位置HP2は、幅方向Yにおいて、縦長状態とされた槽内キャリア47の開口51に近い位置である。換言すると、第2の水平位置HP2は、第1の水平位置HP1よりも幅方向Yにおいて左方Yの位置である。
【0103】
センターロボットCRは、ハンド29の鉛直方向Zにおける高さが、第1の高さ位置VP1と第2の高さ位置VP2とにわたって昇降される。第1の高さ位置VP1は、槽内キャリア47から基板Wを取り出す際の進入高さである。ハンド29は、この第1の高さVP1で進入した後、若干鉛直方向Zに上昇されて基板Wをすくい上げ、基板Wを載置して退出する。第2の高さ位置VP2は、洗浄乾燥部CDUでハンド29を洗浄及び乾燥する際の進入高さである。第2の高さVP2は、洗浄乾燥部CDUから退出する際の退出高さでもある。但し、洗浄乾燥時にもハンド29を退出させる際に、基板Wの受け取り時と同様に若干鉛直方向Zに上昇させるようにしてもよい。これにより、センターロボットCRにおけるハンド29の昇降制御を単純化できる。
【0104】
上述したように構成された洗浄乾燥部CDUの動作については、詳細を後述する。なお、上述した気体ノズル105が本発明における「乾燥機構」に相当する。
【0105】
<9.動作説明>
【0106】
図7~
図14を参照して、上述した基板処理装置1における水中姿勢変換部25の動作について説明する。
図7~
図14は、水中姿勢変換部の動作説明図である。
【0107】
<9-1.バッチ処理>
【0108】
複数枚の基板Wは、薬液処理部CHB1で燐酸によるエッチング処理が行われ、次に、純水洗浄処理部ONBで純水洗浄処理が行われたものとする。純水洗浄処理が行われた複数枚の基板Wは、第2搬送機構WTRにより水中姿勢変換部25に搬送される。
【0109】
<9-2.姿勢変換>
【0110】
図7を参照する。第2搬送機構WTRは、純水処理部ONBで処理を終えた複数枚の基板Wをハンド23で挟持して水中姿勢変換部25の上方まで搬送する。このとき、水中姿勢変換部25は、第2の高さ位置P2にリフタLT4の支持部65が位置されている。槽内キャリア47は、支持部65に保持されている。浸漬槽43は、噴出管43aから純水をアップフローで供給されている。浸漬槽43は、上縁から純水が周りに溢れている。これにより、浸漬槽43は、常に清浄な純水で満たされる。回転機構49は、作動軸57aの係合片57bが開放位置とされている。つまり、回転機構49は、槽内キャリア47と離間している。プッシャー45は、浸漬槽43の待機位置から移載位置へ上昇される。これにより、第2搬送機構WTRに保持されている複数枚の基板Wの下縁がプッシャー45によって当接して支持される。
【0111】
図8を参照する。第2搬送機構WTRは、ハンド23の挟持を解除し、複数枚の基板Wを開放する。これにより、複数枚の基板Wが第2搬送機構WTRからプッシャー45へ受け渡しされる。次に、第2搬送機構WTRは、水中姿勢変換部25の上方から待避する。具体的には、第1バッチ処理部BPU1の方向へ移動する。
【0112】
昇降機構67は、モータ69を駆動して、リフタLF4を受渡位置に上昇させる。具体的には、リフタLF4を第3の高さ位置P3に上昇させる。これにより、プッシャー45で下縁が支持されている複数枚の基板Wが槽内キャリア47に収納される。
【0113】
図9を参照する。昇降機構83は、モータ85を回転駆動して、プッシャー45を待機位置に下降させる。これにより、複数枚の基板Wは、槽内キャリア47に完全に収納される。
【0114】
図10を参照する。昇降機構67は、モータ69を回転駆動して、リフタLF4を第2の高さ位置P2に下降させる。
【0115】
図11を参照する。回転機構49は、エアシリンダ57を作動させて、作動軸57aを槽内キャリア47へ進出させる。回転機構49は、作動軸57aを連結位置に進出させる。これにより、槽内キャリア47の係合部55に、エアシリンダ57の係合片57bが係合する。槽内キャリア47は、リフタLF4で下部を支持された状態で、一対の作動軸57aで挟持される。次に、昇降機構67のモータ69を回転駆動して、リフタLF4を第1の高さ位置P1に下降させる。これにより、槽内キャリア47は、一対の作動軸57aだけで挟持された状態となる。
【0116】
図12を参照する。姿勢変換部41の回転機構49を作動させる。具体的には、回転機構49のモータ59を回転駆動して、エアシリンダ57ごと槽内キャリア47を前後方向Xの軸周りに回転させる。換言すると、モータ59を回転駆動して、純水処理部ONB側から見て、洗浄槽内キャリア47を反時計回りに回転させる。回転角度は、90°である。これにより、槽内キャリア47が横姿勢(横長状態)から縦姿勢(縦長状態)となる。したがって、複数枚の基板Wの姿勢が鉛直姿勢から水平姿勢へと変換される。このとき、複数枚の基板Wは、浸漬槽43の純水に浸漬されたままである。複数の基板Wは、姿勢変換が行われる際に、一部であっても純水から露出することがない。
【0117】
このように、連結位置にある一対の作動軸57aを回転機構49により回転駆動することにより、槽内キャリア47を回転させて複数枚の基板Wの姿勢を水平姿勢に一括して変換できる。したがって、簡易な構造で複数枚の基板Wの姿勢を変換できるので、装置コストを抑制できる。
【0118】
図13を参照する。昇降機構67により、リフタLF4を第4の位置P4に上昇させる。これにより、リフタLF4の保持部65が、縦姿勢とされた槽内キャリア47を液中で保持する。さらに、エアシリンダ57を収縮動作させ、作動軸57aを開放位置に移動させる。これにより、槽内キャリア47は、リフタLF4だけで保持される。
【0119】
図14を参照する。昇降機構67により、リフタLF4を第4の位置P4から上昇させ、槽内キャリア47の最も上にある基板Wだけが液面から露出する位置にまで上昇させる。この基板Wは、センターロボットCRによって搬送される搬送対象である。これにより、最上位置の基板Wは、浸漬槽43に貯留している純水を上面に盛った状態で浸漬槽43の液面から上方へ露出する。この状態で、センターロボットCRは、ハンド29を槽内キャリア47に進出させ、最上位置の基板Wを搬出する。
【0120】
センターロボットCRが次の基板Wを搬送するために水中姿勢変換部25に移動した場合には、昇降機構67により、リフタLF4をさらに上昇させる。具体的には、槽内キャリア47が有する溝の間隔分だけ上昇させる。これにより、次の1枚の基板Wだけが浸漬槽43の液面から上方へ露出する。この状態で、センターロボットCRが基板Wを搬出する。このように、センターロボットCRが移動してくるたびに、昇降機構67によりリフタLF4を徐々に上昇させる。これにより、全ての基板Wが純水で濡れた状態のままセンターロボットCRにより搬送されていく。
【0121】
このように、センターロボットCRによって搬送されない搬送対象外の基板Wは浸漬槽43の液面下に位置する。したがって、センターロボットCRによる搬送対象となるまでに、基板Wが乾燥することを防止できる。その結果、基板Wのパターンの倒壊を抑制できる。
【0122】
<9-3.枚葉処理>
【0123】
上述したようにしてセンターロボットCRにより搬送された基板Wは、例えば、次のように処理される。
【0124】
センターロボットCRは、基板Wを第1枚葉処理部SWP1に搬送する。第1枚葉処理部SWP1は、例えば、回転処理部33で基板Wを回転させつつ、ノズル35から純水を供給する。その後、基板Wに対してノズル35からIPAを供給して、基板Wの純水をIPAで置換する。その後、基板WがセンターロボットCRで搬出され、第3枚葉処理部SWP3に搬送される。第3枚葉処理部SWP3では、超臨界流体チャンバ37に基板Wが搬入される。基板Wは、超臨界流体チャンバ37内において二酸化炭素により乾燥処理が行われる。超臨界流体チャンバ37における乾燥処理により、基板Wに仕上げ乾燥処理が行われる。これにより基板Wが完全に乾燥されるが、基板Wに形成されているパターンの倒壊は抑制される。
【0125】
超臨界流体チャンバ37で乾燥処理を終えた基板Wは、センターロボットCRによりバッファ部31に搬送される。センターロボットCRは、バッファ部31の載置棚39に基板Wを載置する。バッファ部31に1ロット分の基板Wが載置されると、第1搬送機構HTRが複数枚の基板Wを一度に搬送収納部ACBに搬送する。搬送収納部ACBは、キャリアCごと払出部13に搬送する。上述したような枚葉処理とその後の搬送を槽内キャリア47の全ての基板Wに対して行う。これにより、複数枚の全ての基板Wに対してバッチ処理及び枚葉処理を行うことができる。
【0126】
<9-4.ハンド29の洗浄乾燥処理>
【0127】
上述したように、最終的に、複数枚の基板Wは、超臨界流体チャンバ37で乾燥処理された後、センターロボットCRによって搬送されてバッファ部31に載置される。センターロボットCRのハンド29は、水中姿勢変換部25における基板Wの受け取り時に純水で濡れる。この濡れたハンド29により、超臨界流体チャンバ37で乾燥処理を終えた基板Wを搬送すると、乾燥処理を終えた基板Wを濡らしてしまう。換言すると、濡れたハンド29により基板Wを汚染する恐れがある。そこで、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前には、次のようにハンド29に対して洗浄乾燥処理を行う。
【0128】
ここで、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前とは、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する直前を含む。また、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前とは、水中姿勢変換部25から基板Wを受け取って、第1枚葉処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2に基板Wを搬送した後を含む。
【0129】
ここで、
図15~
図18を参照する。
図15~
図18は、洗浄乾燥部の動作説明図である。なお、センターロボットCRは、ハンド29が第2の高さ位置VP2に上昇されているものとする。
【0130】
図15に示すように、センターロボットCRのハンド29を第1の水平位置HP1に位置させる。洗浄乾燥部CDUの洗浄液ノズル103から純水を噴射させる。この状態から、センターロボットCRのハンド29を幅方向Yにおいて左方Yへ移動させる。このときの移動速度は、槽内キャリア47内の基板Wを受け取る動作よりも低速であることが好ましい。その方が純水による洗浄効果が期待できるからである。
【0131】
図16に示すように、ハンド29が移動して、ハンド29が第2の水平位置HP2に到達する。ハンド29は、水平位置HP2で一旦停止される。このとき、ハンド29の先端側全体は、洗浄液ノズル103から噴射される純水により洗浄される。これにより、槽内キャリア47から基板Wを受け取った際にパーティクルや純水が付着していても、純水により洗い流される。パーティクル等を含み、ハンド29を流下した純水は、浸漬槽43に流下する。浸漬槽43は、上縁から純水が溢れているので、浸漬槽43内の基板Wに悪影響は生じない。
【0132】
ハンド29が第2の水平位置HP2に到達した後、洗浄液ノズル103からの純水の噴射を停止させる。さらに、
図17に示すように、気体ノズル105から窒素ガスを噴射させる。そして、ハンド29を第2の水平位置HP2から第1の水平位置HP1に向かって移動させる。詳細には、ハンド29を幅方向Yにおいて右方Yに移動させる。このときの移動速度も、槽内キャリア47内の基板Wを受け取る動作よりも低速であることが好ましい。その方が窒素ガスによる乾燥効果が期待できるからである。
【0133】
図18に示すように、ハンド29が移動して、ハンド29が第1の水平位置HP1に到達する。これにより、ハンド29は、気体ノズル105からの窒素ガスにより付着している純水が除去される。換言すると、ハンド29は、窒素ガスにより液切りされる。ハンド29から除去された純水は、下方へ流下する。これにより、センターロボットCRのハンド29を清浄にできる。
【0134】
本実施例によると、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前に、洗浄乾燥部CDUによりハンド29に対して洗浄乾燥処理を行う。したがって、センターロボットCRは、ハンド29を清浄にできる。そのため、センターロボットCRは、水中姿勢変換部25から濡れた基板Wを搬送するが、超臨界流体チャンバ37から乾燥した基板Wを搬送する際に汚染が生じることを防止できる。したがって、ハンド29で濡れた基板Wを搬送しつつも、乾燥した基板Wの搬送時に汚染が生じることを防止できる。
【0135】
なお、上述した実施例では、ハンド29に対する洗浄乾燥のタイミングを超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前としている。これは、水中姿勢変換部25から第2枚葉処理部SWP2及び第3枚葉処理部SWP3への基板Wの搬送によりハンド29が濡れる度にハンド29の洗浄及び乾燥を行うわけではない。そのため、ハンド29の洗浄及び乾燥の頻度を低減できる。その結果、洗浄及び乾燥に要する純水や窒素ガスの使用量を節約できる。
【0136】
上述した洗浄乾燥処理により、センターロボットCRのハンド29から除去された純水は、下方へ流下する。下方には、純水を貯留している浸漬槽43が位置している。そのため、洗浄乾燥部DCUのためのバットを配置する必要がない。その結果、構成を簡素化でき、コストを抑制できる。また、洗浄乾燥部CDUは、水中姿勢変換部25の上方に配置されている。そのため、基板処理装置1のフットプリントを小さくできる。
【0137】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0138】
(1)上述した実施例では、超臨界流体チャンバ37から基板Wを搬送する前に、ハンド29に対して洗浄乾燥処理を行った。しかしながら、本発明は、このようなタイミングでの洗浄乾燥処理に限定されない。例えば、水中姿勢変換部25から第1枚葉処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2に基板Wを搬送した後、他の基板Wを搬送する前に、ハンド29に対して洗浄及び乾燥を行うようにしてもよい。
【0139】
換言すると、水中姿勢変換部25から第1枚葉処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2への基板Wの搬送によりハンド29が濡れる度にハンド29に対する洗浄及び乾燥を行う。換言すると、ハンド29が濡れたら、できるだけ早く、洗浄及び乾燥を行う。そのため、ハンド29が濡れてから洗浄及び乾燥までの時間を短くできる。したがって、ハンド29が濡れてから長時間が経過することにより、付着した純水に起因する残渣がハンド29に生じることを防止できる。その結果、ハンド29の清浄度を高くできる。
【0140】
(2)上述した実施例では、洗浄乾燥部CDUを水中姿勢変換部25の上方に配置している。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。つまり、洗浄乾燥部CDUを第1バッチ処理部BPU1や水中姿勢変換部25などと平面視で重複しない位置に配置してもよい。
【0141】
(3)上述した実施例では、乾燥機構として気体ノズル105を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、
図19に示すような乾燥機構を採用してもよい。なお、
図19は、乾燥機構の変形例を表す側面図である。
【0142】
ハンド29は、内部に乾燥機構としてヒータ107を備えている。ヒータ107は、ヒータ用電源109が電気的に接続されている。ヒータ用電源109は、制御部CUにより操作される。ヒータ用電源109は、制御部CUによってヒータ107へ付与する電力を制御される。上述した気体ノズル105に代えて、ヒータ用電源109を介してヒータ107を加熱することにより、洗浄したハンド29を乾燥するようにしてもよい。これにより、洗浄ノズル103で洗浄した後、洗浄乾燥部CDUとは異なる位置にハンド29を移動させつつ乾燥を行うことができる。なお、上述した気体ノズル105とヒータ107とを併用してもよい。
【0143】
上記の構成とする場合には、例えば、ハンド29を次のように構成することが好ましい。例えば、ステンレス鋼板の上面にヒータ107を配置し、ステンレス鋼板をヒータ107とともにフッ素樹脂でコーティングする。あるいは、セラミックス部材の上面にヒータ107を配置し、セラミックス部材をヒータ107とともにフッ素樹脂でコーティングする。これによりハンド29の耐薬品性を低下させることなく、ヒータ107をハンド29に容易に内蔵させることができる。
【0144】
(4)上述した実施例では、洗浄乾燥部CDUにおいてハンド29の洗浄及び乾燥を行っている。しかしながら、洗浄乾燥部CDUを省略し、第1枚葉式処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2で洗浄及び乾燥を行うようにしてもよい。この場合には、ハンド29を第1枚葉式処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2に移動させた後、ノズル35から処理液を洗浄液として供給する。その後、ノズル35から窒素ガスを供給して乾燥処理を行うようにすればよい。これにより、洗浄乾燥部CDUを第1枚葉式処理部SWP1または第2枚葉処理部SWP2で兼用できる。そのため、構成を簡易化でき、装置コストを抑制できる。
【0145】
(5)上述した実施例では、洗浄乾燥部CDUにて、洗浄液の供給後に気体を供給して乾燥させた。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、気体に代えて有機溶剤を供給して、乾燥させてもよい。この場合には、沸点が低い有機溶剤が好ましい。具体的には、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)が挙げられる。
【0146】
(6)上述した実施例では、基板処理装置1が洗浄乾燥部CDUを1つだけ備えた構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、この構成に限定されない。ここで、
図20を参照して、変形例である基板処理装置1Aを例にとって説明する。
図20は、基板処理装置の変形例を表す平面図である。
【0147】
基板処理装置1Aは、第1の洗浄乾燥部CDU1と、第2の洗浄乾燥部CDU2とを備えている。第1の洗浄乾燥部CDU1は、実施例で記載したように水中姿勢変換部25の上方に配置されている。第2の洗浄乾燥部CDU2は、変形例で記載したように、例えば、第2枚葉処理部SWP2が兼用している。換言すると、第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2とは、第2列R2を挟んで幅方向Yにそれぞれ配置されている。第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2とは、前後方向Xにおいてずれて配置されている。第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2とは、平面視において異なる位置に配置されている。
【0148】
このような構成では、センターロボットCRが第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2のいずれでもハンド29の洗浄及び乾燥を行うことができる。このような構成の場合には、制御部CUが次のように制御することが好ましい。
【0149】
すなわち、制御部CUは、センターロボットCRの現在位置を知ることができる。また、制御部CUは、第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2との位置を記憶している。そのため、制御部CUは、今現在、センターロボットCRが第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2のいずれの方に近いかを判断できる。制御部CUは、センターロボットCRのハンド29に洗浄及び乾燥を行う際には、第1の洗浄乾燥部CDU1と第2の洗浄乾燥部CDU2のうち近い方を選択して、センターロボットCRを移動させる。このように制御することにより、ハンド29の清浄化を早く行うことができる。したがって、ハンド29に付着した純水による残渣が生じにくくできる。また、超臨界流体チャンバ37からの基板Wの搬送を早く行うことができるので、スループットを向上できる。
【0150】
また、3個以上の洗浄乾燥部CDUをそれぞれ異なる位置に備えるようにしてもよい。
【0151】
(7)上述した実施例及び変形例では、水中姿勢変換部25を備えた基板処理装置1,1Aを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、水中姿勢変換部25を必須とするものではない。つまり、基板Wの姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する姿勢変換部と、姿勢変換される基板Wに純水を吹き付けるノズルを備えた構成であっても適用できる。
【0152】
(8)上述した実施例及び変形例では、基板処理装置1,1Aが
図1や
図20に示すような構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、ストッカーブロック5、第1搬送機構HTR、移載機構CTCを必須とするものではない。
【符号の説明】
【0153】
1 … 基板処理装置
3 … 搬入出ブロック
5 … ストッカーブロック
7 … 移載ブロック
9 … 処理ブロック
W … 基板
C … キャリア
11 … 投入部
13 … 払出部
ACB … 搬送収納部
19 … 搬送機構
21 … 棚
HTR … 第1搬送機構
CTC … 移載機構
WTR … 第2搬送機構
23 … ハンド
R1 … 第1列
R2 … 第2列
R3 … 第3列
BPU1~BPU3 … 第1~第3バッチ処理部
25 … 水中姿勢変換部
CHB1,CHB2 … 薬液処理部
ONB … 純水処理部
LF1~LF4 … リフタ
CR … センターロボット
SWP1~SWP3 … 第1~第3枚葉処理部
31 … バッファ部
41 … 姿勢変換部
43 … 浸漬槽
45 … プッシャー
47 … 槽内キャリア
49 … 回転機構
CDU … 洗浄乾燥部
101 … 支持フレーム
101a … 天井部
101b … 側面部
103 … 洗浄液ノズル
105 … 気体ノズル
107 … ヒータ
109 … ヒータ用電源