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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134551
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】正極板及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/02 20060101AFI20240926BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240926BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240926BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240926BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240926BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240926BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240926BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/36 E
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/505
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044280
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】202310269388.4
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524107791
【氏名又は名称】珠海冠宇動力電池有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZhuHai CosMX Power Battery Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Zhufeng Road 209#, Jing’an Town, Doumen District, Zhuhai, Guangdong 519180, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 博
(72)【発明者】
【氏名】陳 瑶
(72)【発明者】
【氏名】李 俊義
(72)【発明者】
【氏名】劉 建明
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ08
5H029HJ19
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA19
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度が高く、より安定なサイクル性能を有する電池を提供する。
【解決手段】一実施例によれば、正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、第1活物質材料層は正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、第2活物質材料層は正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は第2活物質材料層は正極集電体の表面の周縁に位置する。第1活物質材料層は第1活物質を含み、第2活物質材料層は第2活物質を含み、第1活物質のグラム容量は第2活物質のグラム容量より高い。本発明に係る正極板は負極板縁部のリチウム析出問題を改善でき、該正極板を備えた電池はより高いエネルギー密度とより安定的なサイクル性能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板であって、
前記正極板が正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、
前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置し、
前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含み、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より高い
ことを特徴とする正極板。
【請求項2】
前記第1活物質材料層の領域と前記第2活物質材料層の領域は互いに繋がるか又は重なる
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項3】
前記第1活物質のグラム容量は125-190mAh/gであり、前記第2活物質のグラム容量は120-190mAh/gであり、
前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より0.1-240mAh/gも高いか、又は、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より0.8-60mAh/gも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項4】
前記第1活物質材料層の領域の面積はSであり、前記第2活物質材料層の領域の面積はSであり、
とSは、0<S/S≦0.5という関係を満たすか、又は0.005≦S/S≦0.15という関係を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項5】
前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は面密度が同一であり、
前記正極板の面密度は10-30mg/cmである
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項6】
前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は圧着密度が同一であり、
前記正極板の圧着密度は1-5g/cmである
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項7】
前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は厚さが同一である
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項8】
前記第2活物質のメジアン径D50は前記第1活物質のメジアン径D50より大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項9】
前記第2活物質のメジアン径と前記第1活物質のメジアン径との差は2μm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項10】
前記第1活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料、ニッケルコバルトマンガン三元材料、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム酸リチウム及びリチウムリッチマンガン系材料のうちの1つ又は複数を含み、
及び/又は、前記第2活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料、ニッケルコバルトマンガン三元材料、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム酸リチウム及びリチウムリッチマンガン系材料のうちの1つ又は複数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項11】
前記第1活物質はニッケルコバルトアルミニウム三元材料及びニッケルコバルトマンガン三元材料のうちの1つ又は複数を含み、前記第2活物質はコバルト酸リチウムを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の正極板。
【請求項12】
前記ニッケルコバルトアルミニウム三元材料及び前記ニッケルコバルトマンガン三元材料は、単結晶三元材料及び/又は多結晶三元材料を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の正極板。
【請求項13】
前記単結晶三元材料のメジアン径D50は1-6μmであるか、又は2-4μmであり、
前記多結晶三元材料のメジアン径D50は7-20μmであるか、又は8-12μmであり、
前記コバルト酸リチウムのメジアン径D50は5-25μmであるか、又は12-18μmである
ことを特徴とする請求項12に記載の正極板。
【請求項14】
電池であって、
前記電池は請求項1ないし13のいずれか一項に記載の正極板を備える
ことを特徴とする電池。
【請求項15】
前記電池は負極板を更に備え、
前記正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置し、前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含み、
前記電池は第1エリア及び第2エリアを備え、
前記第1エリアは前記第1活物質材料層を含む領域であり、前記第1エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第1エリアにおける第1活物質のグラム容量×第1エリアにおける第1活物質の含量)であり、
前記第2エリアは前記第2活物質材料層を含む領域であり、前記第2エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第2エリアにおける第2活物質のグラム容量×第2エリアにおける第2活物質の含量)であり、CB<CBである
ことを特徴とする請求項14に記載の正極板。
【請求項16】
0<CB-CB≦0.15であるか、又は、0.0008≦CB-CB≦0.06である
ことを特徴とする請求項15に記載の正極板。
【請求項17】
前記負極板の面密度は4-16mg/cmであり、
前記負極板の圧着密度は1.5-1.9g/cmである
ことを特徴とする請求項15に記載の正極板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池技術分野に関し、具体的には正極板及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
5G時代に入ってから、ポリマーリチウムイオン電池がますます重要な存在になっている。新型電子デバイスの電池持ちへのニーズが段々高くなっているため、リチウムイオン電池メーカーはリチウム電池のエネルギー密度の向上に向かって絶えずに努めなければならない。
【0003】
現在、各方面の材料に対する開発は限界に近づいており、開発コストもますます高くなってきた。リチウムイオン電池において、電極板の面密度を更に向上させることは、エネルギー密度を向上させるための効果的な手段であり、材料技術への依存度も最も低く、様々な製品シリーズにも適用可能な汎用手段である。しかしながら、電極板の面密度を向上させると、負極板の縁部のリチウム析出問題を招来しやすく、ひいては電池セルの性能低下につながる。
【0004】
そこで、負極縁部のリチウム析出を改善できるとともに、エネルギー密度が高く、より安定なサイクル性能を有する電池を発明することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術に存在する上述問題を解決するために、正極板及び該正極板を備える電池を提供する。本発明に係る電池において、正極板の中間領域と縁部領域にある活物質は、同一な電圧において異なる容量を果たすことができ、負極板と働き合うことによって負極縁部のリチウム析出問題を改善することができる。本発明の正極板を備える電池は、高い面密度において負極板のリチウム析出問題を改善するとともに、より高いエネルギー密度とより優れたサイクル性能を兼備する。
【0006】
電池が使用されている間、負極板の縁部の電位が中間部の電位より低いため、面密度が高い場合、負極板縁部にはリチウム析出問題が発生しやすく、それによって電池のサイクル安定性能が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、正極板を最適化することにより、負極板のリチウム析出問題を改善し、電池のエネルギー密度及びサイクル安定性を向上できることを発見した。
【0008】
本発明の発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、正極板を最適化するためには、正極板の中間領域と縁部領域が発揮する容量が相違するようにすることができ、それによって負極板のリチウム析出問題を改善して、電池のサイクル性能を向上させる。
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明の第1態様は正極板を開示する。前記正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置する。
【0010】
ここで、前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含み、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より高い。
【0011】
本発明の第2態様は電池を開示する。該電池の正極板は本発明の第1態様に係る正極板である。
【0012】
一例において、前記電池は負極板を備え、前記正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置する。ここで、前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含む。前記電池は第1エリア及び第2エリアを備え、前記第1エリアは前記第1活物質材料層を含む領域であり、前記第1エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第1エリアにおいて第1活物質のグラム容量×第1エリアにおいて第1活物質の含量)であり、前記第2エリアは前記第2活物質材料層を含む領域であり、前記第2エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第2エリアにおいて第2活物質のグラム容量×第2エリアにおいて第2活物質の含量)であり、CB<CBである。
【0013】
一例において、0<CB-CB≦0.15である。
【発明の効果】
【0014】
以上の技術手段によって、本発明は従来技術に対して少なくとも以下のメリットを有する。
(1)本発明の正極板の中間領域と縁部領域は発揮する容量が異なり、中間領域と縁部領域は動力学が異なって差異がある。
(2)本発明の正極板の中間領域と縁部領域は活物質の分布が異なる。
(3)本発明の電池はエネルギー密度が高い。
(4)本発明の電池は負極板のリチウム析出問題を改善できる。
(5)本発明の電池はサイクル安定性が良い。
(6)本発明の電池は使用寿命が長い。
本発明の他の特徴及び長所は後述の具体的な実施形態において詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例による正極板の上面図の一例である。
図2】本発明の他の一実施例による正極板の上面図の一例である。
図3】本発明の実施例1で製造された電池が20回サイクル後に解体された負極板の実物図の一例である(負極板の色が均一で、縁部にリチウム析出が発生していない)。
図4】比較例で製造された電池が20回サイクル後に解体された負極板の実物図の一例である(縁部領域において色が濃い部分がリチウム析出であり、つまり縁部のリチウム析出問題が発生した)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。なお、ここで記述される具体的な実施形態は本発明を説明及び紹介するためのものに過ぎず、本発明を制限するためのものではない。
【0017】
本発明の第1態様は正極板を開示する。前記正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置する。
【0018】
ここで、前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含み、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より高い。
【0019】
正、負極板の面密度を向上させるとともに高い面密度における充電能力を兼備させる技術について、現在、圧着程度が高い急速充電黒鉛材料を負極板に用いることが多く検討されている。該技術は黒鉛材料の技術進歩に主に頼っているが、以下の2つの難点が存在する。(1)圧着程度が高い急速充電黒鉛材料において黒鉛のグラム容量は明らかに降下するため、エネルギー密度が顕著に向上することができない。(2)圧着程度が高い急速充電黒鉛材料の実際の充電能力は一般に1.5Cを超えられず、超えた場合には圧着密度が1.75g/cm以上に達成しにくい。
【0020】
一方、本発明の実施例によれば、既存の材料体系に基づいて、正極板における正極活物質の分布を最適化することにより、正極板の中間領域と縁部領域においてグラム容量が異なる正極活物質を設け、したがって正極板の中間領域と縁部領域の活物質が同じ電圧において異なるグラム容量を有し、中間領域のグラム容量を縁部領域のグラム容量より高くして、動力学的な差異を発生させ、ひいては負極板のリチウム析出問題を改善することができる。
【0021】
上述した手段で正極板を最適化することにより、正極板において従来技術より高いエネルギー密度ともっと安定なサイクル性能を実現することができる。さらに、効果をより一層向上させるために、そのうちの1つ又は複数の技術構成を更に好ましくすることができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域1に位置する。
【0023】
前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部2位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁3に位置する。図1に示すように、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部2に位置し、図2に示すように、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁3に位置する。
【0024】
一例において、前記第1活物質材料層の領域と前記第2活物質材料層の領域は互いに繋がるか又は重なる。繋がっても重なっても、いずれも負極板のリチウム析出問題を改善することを実現できる。
【0025】
前記第2活物質材料層と前記第1活物質材料層は互いに繋がることができる。図1に示すように、示された正極集電体の表面の、長手方向における中間領域1に位置する前記第1活物質材料層と、前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部2に位置する前記第2活物質材料層とは互いに繋がっており、無地領域4は一端に位置する。図2に示すように、示された正極集電体の表面の、長手方向における中間領域1に位置する前記第1活物質材料層と、前記正極集電体の表面の周縁2に位置する前記第2活物質材料層とは互いに繋がっており、無地領域4は一端に位置する。
【0026】
前記第1活物質材料層は第1活物質を含むことができ、前記第2活物質材料層は第2活物質を含むことができ、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より高い。前記第1活物質のグラム容量が前記第2活物質のグラム容量より高い場合、正極板の縁部領域が発揮する容量は、中間領域が発揮する容量より低くなり、それによって負極板縁部のリチウム析出問題が改善される。
【0027】
一例において、前記第1活物質のグラム容量は125-190mAh/g(例えば、125mAh/g、130mAh/g、140mAh/g、150mAh/g、160mAh/g、170mAh/g、180mAh/g、190mAh/g)である。
【0028】
一例において、前記第2活物質のグラム容量は120-190mAh/g(例えば、120mAh/g、125mAh/g、130mAh/g、140mAh/g、150mAh/g、160mAh/g、170mAh/g、180mAh/g、190mAh/g)である。
【0029】
一例において、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より0.1-240mAh/g(例えば、0.1mAh/g、0.5mAh/g、1mAh/g、5mAh/g、10mAh/g、15mAh/g、25mAh/g、30mAh/g、35mAh/g、40mAh/g、45mAh/g、50mAh/g、100mAh/g、150mAh/g、200mAh/g、240mAh/g)も高い。第1活物質のグラム容量が第2活物質のグラム容量より高い場合、同じ面密度の前提で、電極板の中間領域のCB値は電極板の縁部領域のCB値より小さい。つまり、負極板において、負極板の中間領域のリチウム挿入位置点は縁部領域のリチウム挿入位置点より少なく、したがって負極板の縁部領域において十分のリチウム挿入位置点が存在して負極板の縁部におけるリチウム析出問題が効果的に緩和される。
【0030】
一例において、前記第1活物質のグラム容量は前記第2活物質のグラム容量より0.8-60mAh/gも高い。
【0031】
本開示の実施例において、材料のグラム容量は0.2C放電による容量テスト方法によって測定される。具体的に、該方法は、セルを25±2℃の環境中に置き、4h静置後、0.2C倍率の定電流定電圧を用いて上限電圧まで充電し、0.05Cで終止し、さらに5min静置後、0.2C倍率の定電流で下限電圧まで放電し、放電容量Qを記録することと、電池製造過程中の正極板の重量を統計し、集電体及び付加材料の質量をひいて電池の活物質含量mを得ることと、該材料のグラム容量G=Q/mを算出することと、を含むことができる。
【0032】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質材料層の領域の面積はSであり、前記第2活物質材料層の領域の面積はSであり、SとSは、0<S/S≦0.5(例えば、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5)という関係を満たす。第1活物質材料層のグラム容量がより高いため、0<S/S≦0.5を満たすことによって、製造されるセルがより高いエネルギー密度を有するように保証できる。
【0033】
図1に示すように、前記第2活物質材料層が前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置する場合、前記第2活物質材料層の領域の面積Sは両側縁部の面積の和であり、図2に示すように、前記第2活物質材料層が前記正極集電体の表面の周縁に位置する場合、前記第2活物質材料層の領域の面積Sは周縁部の面積の和である。
【0034】
一実施例において、0.005≦S/S≦0.15である。
【0035】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は面密度が同一であり、すなわち前記正極板の面密度が均一であって縁部が薄くなる現象がなく、したがって電池セル本体の平坦度がより高くなる。
【0036】
一実施例において、前記正極板の面密度は10-30mg/cm(例えば、10mg/cm、12mg/cm、15mg/cm、18mg/cm、20mg/cm、21mg/cm、22mg/cm、23mg/cm、24mg/cm、25mg/cm、26mg/cm、27mg/cm、28mg/cm、29mg/cm、30mg/cm)である。本発明において、前記正極板の面密度とは、前記正極板の一側の面密度を指す。前記正極集電体の一側に前記正極活物質材料層が存在する場合、前記正極板の面密度は当該一側(すなわち正極活物質材料層が存在する一側)の面密度であり、前記正極集電体の両側に前記正極活物質材料層が存在する場合、前記正極板の両側の面密度は同じであり、前記正極板の面密度はそのうちのいずれか一側の面密度である。面密度が上述した範囲を満たす前記正極板は、容量の発揮に有利であり、エネルギー密度を向上させるとともにサイクル性能を向上させる。
【0037】
一実施例において、前記正極板の面密度は15-25mg/cmである。
【0038】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は圧着密度が同じであり、すなわち前記正極板の圧着密度は均一である。
【0039】
本開示の実施例において、材料の面密度のテスト方法は、面積がS電極板である関連電極板(両面にコーティング有り)を用意することと、重量測定を行って面積がS電極板である関連電極板の重量を得て、m電極板と記録することと、電極板の面密度C=m電極板/S電極板/2を算出することと、を含む。
【0040】
一実施例において、前記正極板の圧着密度は1-5g/cm(例えば、1g/cm、2g/cm、2.5g/cm、3.0g/cm、3.5g/cm、4g/cm、4.5g/cm、5g/cm)である。本発明において、前記正極板の圧着密度とは、前記正極板の一側の圧着密度を指す。前記正極集電体の一側に前記正極活物質材料層が存在する場合、前記正極板の圧着密度は当該一側(すなわち正極活物質材料層が存在する一側)の圧着密度であり、前記正極集電体の両側に前記正極活物質材料層が存在する場合、前記正極板の両側は圧着密度が同じであり、前記正極板の圧着密度はそのうちのいずれか一側の圧着密度である。圧着密度が上述した範囲を満たす前記正極板は、電池セルのエネルギー密度を向上させることができる。
【0041】
一例において、前記正極板の圧着密度は2.5-4.3 g/cmである。
【0042】
本開示の実施例において、材料の圧着密度の測定方法は、マイクロメータで電極板の全体厚さを計り、集電体の厚さをひいてから2で割って片面の厚さhを得ることと、電極板の圧着密度P=C/hを算出することと、を含む。
【0043】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層は厚さが同一である。前記第1活物質材料層と前記第2活物質材料層の厚さを同一にすることにより、前記正極板の厚さの一致性を保証できるとともに、前記正極板のコーティング及びプレスのプロセスがすべて正常のコーティング標準に従って管理制御されることができるようにして、重量増加、厚さ及び外見に異常がないように保証する。
【0044】
一実施例において、前記第2活物質のメジアン径D50は前記第1活物質のメジアン径D50より大きい。前記第1活物質と前記第2活物質のメジアン径の相対的大小関係を限定することにより、正極板の圧着密度を向上させることができるとともに、電池セル全体のエネルギー密度の向上に寄与できる。
【0045】
一実施例において、前記第2活物質のメジアン径D50と前記第1活物質のメジアン径D50との差は2μm以上(例えば、2μm、5μm、10μm、15μm)である。前記第1活物質と前記第2活物質のメジアン径の相対的大小関係をより一層改善することにより、第1活物質及び第2活物質の長所を合わせて利用することができ、したがって電池セル全体のエネルギー密度を向上させる。
【0046】
本開示の実施例においては、レーザー粒子測定機器(LS-909)で材料のメジアン径D50を測定する。
【0047】
一実施例において、前記第1活物質はコバルト酸リチウム(LCO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガン鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム(LNMO)、三元材料(例えば、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料(NCA)、ニッケルコバルトマンガン三元材料(NCM))、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム酸リチウム(NCMA)及びリチウムリッチマンガン系材料(LRM)のうちの1つ又は複数を含む。
【0048】
一実施例において、前記第2活物質はコバルト酸リチウム(LCO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガン鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム(LNMO)、三元材料(例えば、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料(NCA)、ニッケルコバルトマンガン三元材料(NCM))、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム酸リチウム(NCMA)及びリチウムリッチマンガン系材料(LRM)のうちの1つ又は複数を含む。
【0049】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質は三元材料を含む。
【0050】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質はニッケルコバルトアルミニウム三元材料とニッケルコバルトマンガン三元材料とのうちの1つ又は複数を含む。
【0051】
具体的な一実施形態によると、前記第2活物質はコバルト酸リチウムを含む。
【0052】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質はニッケルコバルトアルミニウム三元材料とニッケルコバルトマンガン三元材料とのうちの1つ又は複数を含む。前記第2活物質はコバルト酸リチウムを含む。
【0053】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質は単結晶三元材料及び/又は多結晶三元材料を含む。
【0054】
具体的な一実施形態によると、前記ニッケルコバルトアルミニウム三元材料は単結晶三元材料及び/又は多結晶三元材料を含むことができ、前記ニッケルコバルトマンガン三元材料は単結晶三元材料及び/又は多結晶三元材料を含むことができる。
【0055】
一実施例において、前記単結晶三元材料の化学式はLiNiCoMn1-x-y(0≦x≦1,0≦y≦1,0.9≦a≦1.1,0≦k≦0.05)であり、Aはドープ元素である。好ましく、AはAl、Mg、Ti、La、Zr、V、Nb、Si、F、O、B、Cu、Sn、N、P、Y、Zr、N、C、Au及びAgのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0056】
一実施例において、前記単結晶三元材料の化学式はLiNiCoAl1-x-y(0≦x≦1,0≦y≦1,0.9≦a≦1.1,0≦k≦0.05)であり、Aはドープ元素である。好ましく、AはAl、Mg、Ti、La、Zr、V、Nb、Si、F、O、B、Cu、Sn、N、P、Y、Zr、N、C、Au及びAgのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0057】
一実施例において、前記単結晶三元材料の結晶構造は層状構造である。
【0058】
一実施例において、前記単結晶三元材料のメジアン径D50は1-6μm(例えば、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm)である。単結晶材料のD50を該範囲に下げることによって、反応活性面積を増大させることができ、単結晶三元材料の倍率性能をある程度向上させることができる。
【0059】
一実施例において、前記単結晶三元材料のメジアン径D50は2-4μmである。
【0060】
なお、本発明の実施例において、別途説明がない以上、D50はいつもDv50を指す。
【0061】
一実施例において、前記多結晶三元材料の化学式はLiNiCoMn1-x-y(0≦x≦1,0≦y≦1,0.9≦a≦1.1,0≦k≦0.05)であり、AはAl、Mg、Ti、Y及びZrのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0062】
一実施例において、前記多結晶三元材料の化学式はLiNiCoAl1-x-y(0≦x≦1,0≦y≦1,0.9≦a≦1.1,0≦k≦0.05)であり、AはAl、Mg、Ti、Y及びZrのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0063】
一実施例において、前記多結晶三元材料の結晶構造は層状構造である。
【0064】
一実施例において、前記多結晶三元材料のメジアン径D50の範囲は7-20μm(例えば、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、15μm、16μm、17μm、20μm)である。多結晶材料のメジアン径を該範囲に高めることによって、多結晶材料の高温安定性を向上させるとともに十分な倍率性能を保証することができる。
【0065】
一実施例において、前記多結晶三元材料のメジアン径D50は8-12μmである。
【0066】
一実施例において、前記コバルト酸リチウムのメジアン径D50は5-25μm(例えば、5μm、7μm、10μm、12μm、15μm、17μm、20μm、22μm、25μm)である。
【0067】
一実施例において、前記コバルト酸リチウムのメジアン径D50は12-18μmである。
【0068】
具体的な一実施形態によると、前記第1活物質材料層は第1導電剤及び第1接着剤を含む。
【0069】
一実施例において、前記第1導電剤はカーボンブラック、メソフェーズ微小球体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性黒鉛、導電性カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、金属粉末、カーボンファイバー、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0070】
一実施例において、前記第1接着剤は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン-フッ化オレフィンの共重合体、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0071】
一実施例において、前記第1活物質材料層の総重量を基準として、前記第1活物質の重量含有量は80-99.8wt%であり、前記第1導電剤の重量含有量は0.1-10wt%であり、前記第1接着剤の重量含有量は0.1-10wt%である。
【0072】
一実施例において、前記第1活物質材料層の総重量を基準として、前記第1活物質の重量含有量は90-99.6wt%であり、前記第1導電剤の重量含有量は0.2-5wt%であり、前記第1接着剤の重量含有量は0.2-5wt%である。
【0073】
具体的な一実施形態によると、前記第2活物質材料層は第2導電剤及び第2接着剤を含む。
【0074】
一実施例において、前記第2導電剤はカーボンブラック、メソフェーズ微小球体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性黒鉛、導電性カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、金属粉末、カーボンファイバー、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0075】
一実施例において、前記第2接着剤はポリビニリデンフルオライド(PVDF)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン-フッ化オレフィンの共重合体、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0076】
一実施例において、前記第2活物質材料層の総重量を基準として、前記第2活物質の重量含有量は80-99.8wt%であり、前記第2導電剤の重量含有量は0.01-10wt%であり、前記第2接着剤の重量含有量は0.01-10wt%である。
【0077】
一実施例において、前記第2活物質材料層の総重量を基準として、前記第2活物質の重量含有量は90-99.6wt%であり、前記第2導電剤の重量含有量は0.02-5wt%であり、前記第2接着剤の重量含有量は0.02-5wt%である。
【0078】
本発明の第2態様は電池を開示する。該電池の正極板は本発明の第1態様に係る正極板である。
【0079】
前記電池の、正極板以外の材料及び製造方法は当分野の方式に従って行われることができ、いずれもエネルギー密度が高く、サイクル性能が安定になる効果を達成できる。
【0080】
一実施例において、前記電池は負極板を備える。
【0081】
前記負極板は当分野の通常な負極板であってもよく、例えば、前記負極板は負極集電体と、前記負極集電体の一側又は両側に設けられた負極活物質材料層とを備える。前記負極活物質材料層は負極活物質を含む。
【0082】
一実施例において、前記負極活物質はカーボン系負極材料(例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボン微小球体、ハードカーボン及びソフトカーボン)及びシリコン系負極材料のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0083】
一実施例において、前記正極板は正極集電体と、前記正極集電体の一側又は両側に設けられた正極活物質材料層とを備え、前記正極活物質材料層は第1活物質材料層及び第2活物質材料層を備え、前記第1活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における中間領域に位置し、前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の、長手方向における両側縁部に位置するか、又は前記第2活物質材料層は前記正極集電体の表面の周縁に位置する。ここで、前記第1活物質材料層は第1活物質を含み、前記第2活物質材料層は第2活物質を含む。
【0084】
一実施例において、前記第1活物質材料層の領域と前記第2活物質材料層の領域は互いに繋がるか又は重なる。
【0085】
正極板についての他の説明は第1態様を参照すればよく、ここでは再び説明しない。
【0086】
具体的な一実施形態によると、前記電池は第1エリア及び第2エリアを備え、前記第1エリアは前記第1活物質材料層を含む領域であり、前記第1エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第1エリアにおいて第1活物質のグラム容量×第1エリアにおいて第1活物質の含量)であり、前記第2エリアは前記第2活物質材料層を含む領域であり、前記第2エリアのCB値はCB=(負極板の面密度×負極活物質のグラム容量×負極活物質の含量)/(正極板の面密度×第2エリアにおいて第2活物質のグラム容量×第2エリアにおいて第2活物質の含量)であり、CB<CBである。
【0087】
正極板を最適化し、正極板の中間領域と縁部領域において異なる活物質を設けることによって、電池の第1エリアのCBと第2エリアのCBの間に差異が発生するようにする。これによって、電池が高い面密度において縁部にリチウムが析出する問題を改善することができ、高いエネルギー密度と安定なサイクル性能を兼備するという効果を達成する。
【0088】
一実施例において、0<CB-CB≦0.15(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15)である。
【0089】
一実施例において、0.0008≦CB-CB≦0.06である。
【0090】
具体的な一実施形態によると、前記負極板の面密度は4-16mg/cm(例えば、10mg/cm、11mg/cm、12mg/cm、13mg/cm、14mg/cm、15mg/cm、16mg/cm)である。本発明において、前記負極板の面密度とは、前記負極板の一側の面密度を指す。前記負極集電体の一側に前記負極活物質材料層が存在する場合、前記負極板の面密度は当該一側の面密度であり、前記負極集電体の両側に前記負極活物質材料層が存在する場合、前記負極板の両側の面密度が同一であり、前記負極板の面密度はそのうちの一側の面密度である。
【0091】
一実施例において、前記負極板の面密度は10-13mg/cmである。
【0092】
一実施例において、前記負極板の圧着密度は1.5-1.9g/cm(1.5g/cm、1.6g/cm、1.7g/cm、1.8g/cm、1.9g/cm)である。本発明において、前記負極板の圧着密度とは前記負極板の一側の圧着密度である。前記負極集電体の一側に前記負極活物質材料層が存在する場合、前記負極板の圧着密度は当該一側の圧着密度であり、前記負極集電体の両側に前記負極活物質材料層が存在する場合、前記負極板の両側は圧着密度が同一であり、前記負極板の圧着密度はそのうちの一側の圧着密度である。該範囲内において、本発明に係る正極板及び前記負極板から製造された電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0093】
一実施例において、前記負極板の圧着密度は1.7-1.8g/cmである。該範囲内において、電池セルのエネルギー密度をより一層向上させることができる。
【0094】
一実施例において、前記負極活物質材料層は第3導電剤及び第3接着剤を含む。
【0095】
一実施例において、前記第3導電剤はカーボンブラック、メソフェーズ微小球体、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性黒鉛、導電性カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、金属粉末、カーボンファイバー、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0096】
一実施例において、前記第3接着剤はスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0097】
一実施例において、前記負極活物質材料層の総重量を基準として、前記負極活物質の重量含有量は80-99.8wt%であり、前記第3導電剤の重量含有量は0.1-10wt%であり、前記第3接着剤の重量含有量は0.1-10wt%である。
【0098】
一実施例において、前記負極活物質材料層の総重量を基準として、前記負極活物質の重量含有量は90-99.6wt%であり、前記第3導電剤の重量含有量は0.2-5wt%であり、前記第3接着剤の重量含有量は0.2-5wt%である。
【0099】
一実施例において、前記負極活物質材料層は、負極活物質スラリーが前記負極集電体の表面に塗布されることによって得られる。
【0100】
一実施例において、前記負極活物質スラリーの固形分は40wt%-49wt%(例えば、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%、45wt%、46wt%、47wt%、48wt%、49wt%)である。
【0101】
一実施例において、前記負極活物質スラリーの粘度は2000~6000mPa・s(例えば、2000mPa・s、3000mPa・s、4000mPa・s、5000mPa・s、6000mPa・s)である。
【0102】
本開示の実施例において、スラリーの粘度は粘度計(NDJ-5S/8S)で測定される。
【0103】
本発明に係る電池は、本発明に係る正極板を備えることにより、電池のエネルギー密度が向上し、サイクル安定性が向上し、サイクル寿命が長くなる。
【0104】
以下、実施例に基づいて本発明について詳しく説明する。本発明で記述される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明による実施例に基づいて当業者が創造的な労働を行わずに得られた他のすべての実施例はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0105】
以下の実施例は本発明に係る正極板の製造を説明するために用いられる。
実施例1a
(1)成分の準備
正極集電体:10μmのアルミ箔
第1活物質材料スラリー:97重量部の第1活物質(ニッケルコバルトマンガン三元材料であり、D50が10μm-12μmである三元多結晶材料とD50が2μm-4μmである三元単結晶材料とが混合されたものであり、グラム容量が190mAh/g@4.2Vである。ここで、@4.2Vは、該グラム容量が4.2Vの電圧で測定されたグラム容量であると表す)、1.5重量部の第1導電剤(多層カーボンナノチューブ)、1.5重量部の第1接着剤(PVDF)
第2活物質材料スラリー:97重量部の第2活物質(コバルト酸リチウム材料であり、D50が表1に示す通りであり、グラム容量が160mAh/g@4.2Vである)、1.5重量部の第2導電剤(多層カーボンナノチューブ)、1.5重量部の第2接着剤(PVDF)
(2)正極板の製造
製造できた第1活物質材料スラリーと第2活物質材料スラリーをプレス式塗布機器で正極集電体に塗布し、長手方向において中間領域に位置する第1活物質材料層と第1活物質材料層の両側に位置する第2活物質材料層とをそれぞれ得る。第1活物質材料層と第2活物質材料層の面密度はいずれも22mg/cmであり、第1活物質材料層と第2活物質材料層の圧着密度はいずれも3.8g/cmである。図1に示すように、第1活物質材料層の塗布幅は570mmであり、第2活物質材料層の塗布幅は30mm(両側それぞれ15mm)である。第1活物質材料層と第2活物質材料層の塗布幅の和は600mmであり、第1活物質材料層と第2活物質材料層は塗布長さが同一であり、厚さも同一である。塗布プロセスが完了後、正極板が出来上がる。
【0106】
実施例グループ1b
本実施例グループは、第1活物質材料層と第2活物質材料層のD50が変化するときに生じる影響を説明するために用いられる。
【0107】
当該グループの実施例は実施例1aに基づいて行われるが、差異としては、第1活物質材料層のD50が14μmであり、第2活物質材料層のD50が10μmである。具体的には表1に示す。
【0108】
実施例グループ2
本実施例グループは、S/Sが変化するときに生じる影響を説明するために用いられる。
【0109】
当該グループの実施例は実施例1に基づいて行われるが、差異としては、第2活物質材料層の塗布幅が変更される。具体的には表1に示す。
【0110】
実施例グループ3
本実施例グループは、第1活物質及び/又は第2活物質のグラム容量が変化するときに生じる影響を説明するために用いられる。
【0111】
当該グループの実施例は実施例1に基づいて行われるが、差異としては、第1活物質及び/又は第2活物質のグラム容量が変更される。具体的には表1に示す。
【0112】
実施例グループ4
本実施例グループは、正極板の面密度が変化するときに生じる影響を説明するために用いられる。
【0113】
当該グループの実施例は実施例1に基づいて行われるが、差異としては、正極板の面密度が変更される。具体的には表1に示す。
【0114】
実施例グループ5
本実施例グループは、第1活物質及び/又は第2活物質が変化するときに生じる影響を説明するために用いられる。
【0115】
当該グループの実施例は実施例1に基づいて行われるが、差異としては、第1活物質及び/又は第2活物質が変更される。具体的には表1に示す。
【0116】
比較例1
実施例1に基づいて行われるが、差異としては、第2活物質を実施例1で使用されたニッケルコバルトマンガン三元材料に変更する。
【0117】
比較例2
実施例1に基づいて行われるが、差異としては、第2活物質を実施例1で使用されたコバルト酸リチウムに変更し、第2活物質を実施例1で使用されたニッケルコバルトマンガン三元材料に変更する。
【0118】
表1
*は、実施例1と同じであると表す。
【0119】
製造例
実施例及び比較例で製造された正極板を用いて以下の流れで電池をそれぞれ製造する。
(1)正極板の製造
上述した各実施例及び比較例で得られた正極板をそれぞれ使用する。
(2)負極板の製造
黒鉛:接着剤:CMC:カーボンブラック=96.5重量%:1.5重量%:1.5重量%:0.5重量%で負極活物質スラリーを製造し、スラリー製造完了後、塗布管理制御標準に従って塗布プロセスを遂行する。該負極板の面密度は12.0mg/cmであり、圧着密度は1.8g/cmである。
(3)セパレータ
市販の旭化成製の5+2+2油系セパレータを採用する。
(4)電解液
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を、エチレンカーボネート(EC)、炭酸ジメチル(DEC)及び炭酸エチルメチル(EMC)からなる混合溶剤(三者の重量比が1:1:1)に溶解して、電解液を得る。
(5)電池の製造
従来のポリマーリチウムイオン電池の製造プロセスに従って、正極及び負極の圧着密度が工程要求を満たすように、工程設計に従ってプレスを行う。そのあと、シート製造(タブを溶接)及び捲回(正極+セパレータ+負極)を行う。次に、パッケージング、注液及び化成を行ってから2次封止を行い、残液量係数が1.3以上になるように保証する。最後には分類選択を行ってパウチ型ポリマーリチウムイオン電池の製造を完成する。
【0120】
テスト例
実施例及び比較例で得られた電池に対して以下のテストをそれぞれ行う。
(1)25℃サイクル性能テスト
電池を、25℃において1Cの倍率で充放電終止電圧の範囲内において700回の充放電サイクルを行い、テストの1サイクル目の放電容量をx mAhと記し、Nサイクル目の放電容量をy mAhと記す。1サイクル目の容量でNサイクル目の容量を割ると、Nサイクル目のサイクル容量維持率R=y/xが得られる。
(2)45℃サイクル性能テスト
電池を、45℃において1Cの倍率で充放電終止電圧の範囲内において500回の充放電サイクルを行い、テストの1サイクル目の放電容量をA mAhと記し、Nサイクル目の放電容量をB mAhと記す。1サイクル目の容量でNサイクル目の容量を割ると、Nサイクル目のサイクル容量維持率R=B/Aが得られる。
(3)リチウム析出テスト
25℃で20回サイクルされた電池を解体し、負極板のリチウム析出状況を確認する。リチウムが析出していない場合、「無し」と表し、リチウムが析出した場合、「有り」と表す。
図3は本開示の実施例1で製造された電池が20回サイクル後に解体された負極板の実物図であり、該負極板は色が均一で、縁部にリチウム析出が発生していない。
図4は比較例で製造された電池が20回サイクル後に解体された負極板の実物図であり、その縁部領域において色が濃い部分がリチウム析出であり、つまり縁部のリチウム析出問題が発生した。
(4)エネルギー密度テスト
1)電池セルモデルの寸法は4.0(mm,厚さ,H)×60(mm,幅,W)×90(mm,高さ,L)であり、すなわち電池セルの体積V=厚さ×幅×高さである。
2)電池セルを25±3℃の環境中において2h静置した後、0.5Cの倍率で定電流且つ定電圧で電池セルを満充電まで充電し、終止電流が0.025Cである。5min静置した後、0.2Cの倍率で電池セルを3.0Vまで放電する。放電容量Q及び平坦電圧Uを記録する。
3)電池セルの体積エネルギー密度の計算公式はED=Q×U/(H×W×L)である。
【0121】
得られた結果を表2に記録する。
表2
【0122】
表2からわかるように、比較例と実施例を比べると、実施例に係る正極板を用いて電池を製造した場合、エネルギー密度とサイクル容量維持率は兼備されることができ、負極板の縁部のリチウム析出問題が改善された。つまり、本発明に係る正極板と該正極板を備える電池は、正極板における正極活物質の分布を最適化することによって、負極板のリチウム析出問題を改善して、電池の使用寿命を向上させた。
【0123】
以上では本発明の好ましい実施形態を記述したが、本発明はこれに限られない。本発明の技術的思想の範囲内において、本発明に係る技術案は様々に簡単変形されることができ、例えば各技術的構成が他の任意の適切な形態で組み合わせられることができる。これらの簡単な変形及び組合せも本発明の開示内容として見なされるべきであり、本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4