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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134561
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】流路切替装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044809
(22)【出願日】2023-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】中島 一真
(72)【発明者】
【氏名】岩出 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】栗田 昌直
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA13
3H067CC02
3H067CC45
3H067DD02
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA02
3H067EA33
3H067EA39
3H067EB07
3H067EB12
3H067FF11
3H067GG12
(57)【要約】
【課題】液体中でハウジングに対するシール手段の摺動を開始したとき、その第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始直後から速やかに低減させること。
【解決手段】流路切替装置は、ハウジング内部に配置される回転ディスク40を備える。ハウジング及び回転ディスクはそれぞれ複数の連通路を含み、回転ディスクとハウジングとの間には液漏れ抑制用の弁シール部材81が設けられる。回転ディスクを回転させることで同ディスクの連通路とハウジングの連通路とを組み合わせて接続することで複数の流路を選択的に切り替えて形成する。弁シール部材81は、回転ディスクの回転方向に沿って伸びる一対の第1シール部91と、回転ディスクの回転方向と交差する方向に配置され、第1シール部の両端を繋ぐ一対の第2シール部92とを含む。第1シール部の輪郭線は、回転ディスクの回転方向の軌道線TRO,TRIと交差するように設けられる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された弁体部と
を備え、
前記ハウジング及び前記弁体部は、それぞれ複数の連通路を含み、
前記弁体部と前記ハウジングとの間には、液体の漏れを抑制するためのシール手段が設けられ、
前記弁体部を駆動させることで前記弁体部の前記連通路と前記ハウジングの前記連通路とを組み合わせて接続することにより複数の流路を選択的に切り替えて形成するように構成した流路切替装置において、
前記シール手段は、前記連通路を挟んで前記弁体部の駆動方向に沿って伸びる一対の第1シール部と、前記連通路を挟んで前記弁体部の駆動方向と交差する方向に配置され、前記一対の第1シール部の両端を繋ぐ一対の第2シール部とを含み、
前記第1シール部の輪郭線が、前記弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられる
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流路切替装置において、
前記シール手段は、ゴム材により形成され、前記弁体部又は前記ハウジングに形成された嵌め溝に嵌め込まれ、
前記第1シール部に対応する前記嵌め溝の部分の輪郭線が、前記弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられる
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流路切替装置において、
前記第1シール部の輪郭線は、波線状又はジグザグ形状である
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の流路切替装置において、
前記弁体部を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段を制御するための制御手段と
を更に備え、
前記制御手段は、前記弁体部を所定の駆動方向へ駆動させる前に、前記弁体部を少なくとも一方向に微少駆動させた後に前記駆動方向へ駆動させるように前記駆動手段を制御する
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流路切替装置において、
前記制御手段は、前記弁体部の停止時間、環境温度及び前記シール手段の推定摩擦量の少なくとも一つに応じて、逆方向への微少駆動量及び反転回数の少なくとも一方を変える
ことを特徴とする流路切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、液体の流路を切り替えるように構成した流路切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「流路切替バルブ」が知られている。このバルブは、ステータと、ステータに対して円周上に摺動しつつ回転するロータシールと、ロータシールを回転するために接続されたロータとを備える。ステータは、ロータシールに開口する複数のステータ流路を有する。ロータシールは、複数のステータ流路のうち2つ以上を連結するための複数のロータシール流路を有する。これらロータシール流路は、同一円周上に配置され、円弧状の長円形状をなすようにロータシールに囲まれて形成される。そして、ロータシール流路を形成するロータシールの流路端部のうち、ロータシール流路の摺動方向の先端に位置する流路端部が、少なくとも摺動開始時にロータシール流路が接続するステータ流路端部の摺動方向の逆方向に位置付けられる。
【0003】
ここで、流路切替バルブが液体の流路切り替えに使用される場合、ロータシールとステータとの間には、液膜が形成される。この液膜は、ロータシールのステータに対する摺動に伴って形成されるが、ロータシールの摺動が停止すると、停止後の時間経過に伴って液膜の厚みが減衰することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-144027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の流路切替バルブでは、ロータシール流路がロータの回転に伴って移動し始めるとき、ロータシールとステータとの間の液膜が減衰していては、ロータシールの摺動抵抗が大幅に増加してしまう。しかし、その点について特許文献1には、対策について特に開示も示唆もない。
【0006】
ここで、上記「ロータシール」を想定したゴム製のシール手段と「ステータ」を想定したハウジングとの間の液膜と、その液膜の変化について検討する。図24図26には、従前の対比例に係り、ハウジング101と、ハウジング101に対向配置された弁体部102と、弁体部102の嵌め溝104に嵌め込まれたシール手段103との関係であって、ハウジング101とシール手段103との間にできる液膜の減衰のイメージを断面図により示す。図27には、従前の対比例に係り、ハウジング101とシール手段103との間の液膜の厚さTKの変化とシール手段103の摺動抵抗SRの変化をグラフにより示す。図24は、弁体部102が移動を停止した直後(流路切り替え直後)の状態を示し、図27の時刻t0に対応する。図25は、弁体部102の停止直後から所定時間が経過した状態を示し、図27の時刻t1に対応する。図26は、更に所定時間が経過した状態を示し、図27の時刻t2に対応する。
【0007】
一般に、ゴム製のシール手段103は、弾性体であることから、その接地面が凹凸に対し滑らかに追従し、高いシール性が得られる。その反面、液体中でシール手段103をハウジング101に対し摺動させた場合、ハウジング101とシール手段103との間に液膜LF(図24図25においてハウジング101とシール手段103との間の隙間部分)が形成され、ウエット接地の状態となる。この場合、液膜LFにより摺動抵抗SRの低減が望めるが、時間経過と共に液膜LFが減衰し(図25参照)、その後にドライ接地となる(図26参照)。このドライ接地の状態から弁体部102が移動を再開するとき、シール手段103の摺動抵抗SRは大幅に増えてしまう。そのため、このドライ接地の状態から弁体部102の移動をスムーズに再開させるためには、弁体部102を駆動するアクチュエータの高出力化が必要になる。また、摺動抵抗が大きい状態でシール手段103を摺動させると、シール手段103の摩耗が悪化してしまう。
【0008】
図28には、従前の対比例に係り、弁体部102に設けられたシール手段103と、弁体部102の回転方向(矢印で示す方向)の軌道線との関係を平面図により示す。図28には、長円形状のシール手段103のみを示す。図28に示す3本の1点鎖線は、シール手段103の部位の違いに対応した軌道線TRO,TRC,TRIであって、シール手段103の外側に対応する外側軌道線TRO、シール手段103の中央に対応する中央軌道線TRC及びシール手段103の内側に対応する内側軌道線TRIを示す。図29には、従前の対比例に係り、ハウジング101、弁体部102及びシール手段103の関係を図28のB-B線断面図により示す。
【0009】
図28に示すように、シール手段103は、弁体部102の回転方向に沿って伸びる一対の第1シール部103aと、弁体部102の回転方向と交差する方向に配置され、一対の第1シール部103aの両端を繋ぐ一対の第2シール部103bとを含む。一対の第1シール部103aは、それぞれ大曲率な湾曲形状をなし、一対の第2シール部103bは、それぞれ半円形状をなす。液体中において、図29に示すように、ハウジング101とシール手段103との間で液膜が減衰した状態からシール手段103が各軌道線TRO,TRC,TRIに沿って摺動し始めたとき、第2シール部103bでは、直ちに液膜が形成されるが、第1シール部103aでは、破線円S1で囲む摺動先端部から液膜の形成が始まり、破線長円S2で囲む摺動後方部の液膜の形成が遅れることになる。そして、第1シール部103aの全部に液膜を形成させるには、弁体部102をある程度の角度で回転させる必要がある。
【0010】
図30には、従前の対比例に係り、弁体部102の回転角度と摺動トルクとの関係をグラフにより示す。図30に示すように、回転角度が増すに連れて、すなわち、液膜が第1シール部103aの摺動先端部から徐々に摺動後方部へ拡大するに連れて、摺動トルクが低減することがわかる。図30において、「θ1」は、第1シール部103aの全部に液膜ができる回転角度を示す。このグラフからわかるように、液膜が減衰した状態からシール手段103の摺動を開始したとき、その第1シール部103aの全部の摺動抵抗が液膜の形成に伴って低減するまでに、弁体部102をある程度の回転角度θ1で回転させなければならず、第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始から速やかに低減させることができなかった。
【0011】
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体中でハウジングに対するシール手段の摺動を開始したとき、その第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始直後から速やかに低減させることを可能とした流路切替装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された弁体部とを備え、ハウジング及び弁体部は、それぞれ複数の連通路を含み、弁体部とハウジングとの間には、液体の漏れを抑制するためのシール手段が設けられ、弁体部を駆動させることで弁体部の連通路とハウジングの連通路とを組み合わせて接続することにより複数の流路を選択的に切り替えて形成するように構成した流路切替装置において、シール手段は、連通路を挟んで弁体部の駆動方向に沿って伸びる一対の第1シール部と、連通路を挟んで弁体部の駆動方向と交差する方向に配置され、一対の第1シール部の両端を繋ぐ一対の第2シール部とを含み、第1シール部の輪郭線が、弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられることを趣旨とする。
【0013】
上記技術の構成によれば、シール手段につき、弁体部の駆動方向に沿って伸びる第1シール部の輪郭線が、弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられるので、第1シール部の輪郭線が駆動方向の軌道線からずれる。従って、第1シール部の摺動先端部では、シール手段が微少駆動するだけでハウジングとの間に液膜が形成される。また、第1シール部の摺動後方部でも、シール手段が微少駆動するだけでハウジングとの間に液膜が形成される。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、シール手段は、ゴム材により形成され、弁体部又はハウジングに形成された嵌め溝に嵌め込まれ、第1シール部に対応する嵌め溝の部分の輪郭線が、弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられることを趣旨とする。
【0015】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、シール手段が嵌め溝を介して弁体部又はハウジングに強固に取り付けられる。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、第1シール部の輪郭線は、波線状又はジグザグ形状であることを趣旨とする。
【0017】
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、第1シール部の輪郭線が波線状又はジグザグ形状をなすので、第1シール部の輪郭線が弁体部の軌道線と確実に交差する。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術において、弁体部を駆動するための駆動手段と、駆動手段を制御するための制御手段とを更に備え、制御手段は、弁体部を所定の駆動方向へ駆動させる前に、弁体部を少なくとも一方向に微少駆動させた後に駆動方向へ駆動させるように駆動手段を制御することを趣旨とする。
【0019】
上記技術の構成によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術の作用に加え、弁体部が所定の駆動方向へ駆動する前に、弁体部が少なくとも一方向に微少駆動する。従って、弁体部が所定の駆動方向へ駆動を開始するときから、ハウジングとシール手段との間に確実に液膜が形成される。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項4に記載の技術において、制御手段は、弁体部の停止時間、環境温度及びシール手段の推定摩擦量の少なくとも一つに応じて、逆方向への微少駆動量及び反転回数の少なくとも一方を変えることを趣旨とする。
【0021】
上記技術の構成によれば、請求項4に記載の技術の作用に加え、弁体部の停止時間、環境温度及びシール手段の推定摩擦量の少なくとも一つに応じて、弁体部の逆方向への微少駆動量及び反転回数の少なくとも一方が変えられる。従って、弁体部の停止時間、環境温度及びシール手段の推定摩擦量の状況に応じて、ハウジングとシール手段との間に液膜が形成され易くなる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の技術によれば、液体中でハウジングに対するシール手段の摺動を開始したとき、その第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始直後から速やかに低減させることができる。
【0023】
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、シール手段に摺動抵抗が作用しても弁体部又はハウジングからのシール手段の剥がれを抑制することができる。また、シール手段の第1シール部の輪郭線を、容易に弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように配置することができる。
【0024】
請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、摺動開始直後に微少駆動するだけでシール手段とハウジングとの間に液膜が形成され、第1シール部の全部にわたって摺動開始から確実に摺動抵抗を低減させることができる。
【0025】
請求項4に記載の技術によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術の効果に加え、流路の切り替えに際して、ハウジングとシール手段との間に液膜がない状態でも、液膜を形成し、静摩擦駆動でも、液膜を意図して形成することによりシール手段の摺動抵抗を確実に低減することができる。
【0026】
請求項5に記載の技術によれば、請求項4に記載の技術の効果に加え、流路の切り替えに際して、液膜によりシール手段の摺動抵抗を更に確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係り、流路切替装置の外観を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係り、流路切替装置を示す分解斜視図。
図3】第1実施形態に係り、流路切替装置を示す断面図。
図4】第1実施形態に係り、回転ディスクを示す上面図。
図5】第1実施形態に係り、固定ディスクを示す上面図。
図6】第1実施形態に係り、流路パターンAを模式的に示すイメージ図。
図7】第1実施形態に係り、流路パターンBを模式的に示すイメージ図。
図8】第1実施形態に係り、ハウジング、回転ディスク及び固定ディスクの断面を簡略化して示すイメージ図。
図9】第1実施形態に係り、図8の場合の弁シール部材、回転流路、流入流路の開口部及び固定流路の開口部の平面視における配置関係を示すイメージ図。
図10】第1実施形態に係り、回転ディスクに設けられた弁シール部材と、回転ディスクの回転方向の軌道線との関係を示す平面図。
図11】第1実施形態に係り、回転ディスク、固定ディスク及び弁シール部材の関係を示す図10のA-A線断面図。
図12】第2実施形態に係り、弁シール部材の第1シール部の一部を示す平面図。
図13】第3実施形態に係り、流路切り替え制御の内容を示すフローチャート。
図14】第3実施形態に係り、流路切り替え制御の内容を示すフローチャート。
図15】第3実施形態に係り、所定値、第1の微少回転角度及び第2の微少回転角度の算出制御の内容を示すフローチャート。
図16】第3実施形態に係り、流路の切り替え回数に応じた起動繰り返し回数を算出するために参照されるマップ。
図17】第3実施形態に係り、流路の切り替え回数に応じた繰り返し角度を算出するために参照されるマップ。
図18】第3実施形態に係り、切り替え停止時間に応じた停止時間補正係数を算出するために参照されるマップ。
図19】第3実施形態に係り、冷却水温度に応じた水温補正係数を算出するために参照されるマップ。
図20】第3実施形態に係り、弁シール部材と固定ディスクとの間にできる液膜の変化のイメージを示すイメージ断面図。
図21】第3実施形態に係り、弁シール部材と固定ディスクとの間にできる液膜の変化のイメージを示すイメージ断面図。
図22】第3実施形態に係り、弁シール部材と固定ディスクとの間にできる液膜の変化のイメージを示すイメージ断面図。
図23】第3実施形態に係り、回転ディスクを回転させたときの回転角度に対する摺動トルクの変化を示すグラフ。
図24】従前の対比例に係り、ハウジングとシール手段との間にできる液膜の減衰のイメージを示す断面図。
図25】従前の対比例に係り、ハウジングとシール手段との間にできる液膜の減衰のイメージを示す断面図。
図26】従前の対比例に係り、ハウジングとシール手段との間にできる液膜の減衰のイメージを示す断面図。
図27】従前の対比例に係り、ハウジングとシール手段との間の液膜の厚さの変化とシール手段の摺動抵抗の変化を示すグラフ。
図28】従前の対比例に係り、弁体部に設けられたシール手段と、弁体部の回転方向の軌道線との関係を示す平面図。
図29】従前の対比例に係り、ハウジング、弁体部及びシール手段の関係を示す図28のB-B線断面図。
図30】従前の対比例に係り、弁体部の回転角度と摺動トルクとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、流路切替装置を具体化したいくつかの実施形態につき詳細に説明する。
【0029】
<第1実施形態>
第1実施形態について図1図11を参照して説明する。
【0030】
[流路切替装置の概要について]
先ず、流路切替装置の概要について説明する。図1に、この実施形態の流路切替装置1の外観を斜視図により示す。図2に、この実施形態の流路切替装置1を分解斜視図により示す(駆動部13と制御部14の図示は省略)。図3に、この実施形態の流路切替装置1を断面図により示す(駆動部13と制御部14の図示は省略)。図1図3に示すように、流路切替装置1は、ハウジング11と、弁体部12と、駆動部13と、制御部14とを備える。
【0031】
[ハウジングについて]
図1図3に示すように、ハウジング11は、上ハウジング11Aと下ハウジング11Bを複数のネジ16で締結することで構成される。ハウジング11は、液体が流入する流入流路20と、液体が流出する流出流路30とを含む。この実施形態では、流路切替装置1は、一例として六方弁として構成され、ハウジング11は、3つの流入流路20と3つの流出流路30とを有する。3つの流入流路20として、上ハウジング11Aには、第1流入流路21、第2流入流路22及び第3流入流路23が設けられる。図3に示すように、後述する回転ディスク40と対向する流入流路20の一端には、後述する回転流路60に連通可能な開口部20aが設けられる。また、3つの流出流路30として、下ハウジング11Bには、第1流出流路31、第2流出流路32及び第3流出流路33が設けられる。
【0032】
なお、ハウジング11は、例えば樹脂により形成される。ハウジング11(上ハウジング11A及び下ハウジング11B)は本開示技術の「ハウジング」の一例に相当し、流入流路20(第1流入流路21、第2流入流路22及び第3流入流路23)と、流出流路30(第1流出流路31、第2流出流路32及び第3流出流路33)は本開示技術の「連通路」の一例に相当する。
【0033】
[弁体部について]
弁体部12は、ハウジング11の内部に設けられる。この弁体部12は、図2図3に示すように、回転しない固定ディスク50と、固定ディスク50に積層して配置され、上ハウジング11A及び固定ディスク50に対し回転する回転ディスク40と、回転ディスク40の中心にて同ディスク40と一体に設けられる回転軸42とを含む。
【0034】
なお、回転ディスク40(回転軸42を含む)と固定ディスク50は、例えば樹脂により形成される。回転ディスク40は本開示技術の「弁体部」の一例に相当し、固定ディスク50は本開示技術の「ハウジング」の一部を構成する。
【0035】
[回転ディスクについて]
図4に、回転ディスク40の上面図を示す。図2図4に示すように、回転ディスク40は、上ハウジング11Aと固定ディスク50との間に配置される。回転ディスク40は、円板部41と回転軸42を含む。回転ディスク40(円板部41)は、円板状に形成されており、複数の回転流路60を含む。この回転流路60は、回転ディスク40を板厚方向(軸方向)に貫通し、板面方向に沿って伸び、流入流路20や後述する固定流路70と連通可能である。この実施形態で、回転ディスク40は、3つの回転流路60を含む。図2図4に示すように、3つの回転流路60として、第1回転流路61、第2回転流路62及び第3回転流路63を含む。回転流路60(第1回転流路61、第2回転流路62及び第3回転流路63)は、本開示技術の「連通路」の一例に相当する。
【0036】
[回転軸について]
回転軸42は、その軸方向一端側にて回転ディスク40(円板部41)に接続され、他端側にて駆動部13に接続される。この回転軸42は、その中心軸が回転ディスク40の中心軸Lと一致するように円板部41と一体に形成される。そして、駆動部13から回転駆動力を得て回転軸42が回転することにより、回転ディスク40が回転する。
【0037】
[固定ディスクについて]
図5に、固定ディスク50の上面図を示す。図2図3及び図5に示すように、固定ディスク50は、円板部51と、円板部51と一体に形成された複数の円筒部52とを含む。固定ディスク50と下ハウジング11Bとの間には、固定ディスク50を回転ディスク40の方向へ付勢し保持するための保持スプリング82が設けられる。保持スプリング82は、固定ディスク50の下面にて、各円筒部52を内包するように配置される。
【0038】
円板部51は、円板状に形成され、軸方向に貫通する固定流路70を含む。この実施形態では、3つの固定流路70として、第1固定流路71、第2固定流路72及び第3固定流路73を含む。3つの固定流路70は、互いに等角度間隔空けて配置される。なお、固定流路70は、本開示技術の「連通路」の一例に相当する。
【0039】
円筒部52は、固定流路70を囲うようにして円板部51から軸方向に延びるようにして形成される。この実施形態では、円筒部52は、3つの固定流路70のそれぞれに対応するようにして、3つ形成される。これら固定流路70の先端は、下ハウジング11Bに形成された流出流路30に接続される。図2図4に示すように、回転ディスク40と対向する固定流路70の一端には、回転流路60に連通可能な開口部70aが設けられる。
【0040】
[駆動部について]
駆動部13は、回転軸42に回転駆動力を与えるためのモータ及び減速機構等(図示略)を含む。駆動部13は、この開示技術の「駆動手段」の一例に相当する。
【0041】
[制御部について]
制御部14は、例えば、CPUとROM,RAM等のメモリを備え、メモリに予め格納されているプログラムに応じて、駆動部13のモータ等を制御するようになっている。制御部14は、この開示技術の「制御手段」の一例に相当する。
【0042】
上記のように構成した流路切替装置1は、流入流路20と回転流路60と固定流路70(流出流路30)とを連通させることで、液体が流れる流路を形成する。そして、流路切替装置1は、駆動部13により回転軸42を介し回転ディスク40を回転駆動させ、3つの回転流路60(61~63)と、3つの流入流路20(21~23)と、3つの固定流路70(71~73)と、3つの流出流路30(31~33)との連通の組み合わせを切り替えることで、液体の流路をいくつかのパターンに切り替えるようになっている。
【0043】
[流路パターンについて]
例えば、流路パターンAとして、図6に示すように、3つの回転流路60(61~63)により、第1流入流路21と第1固定流路71と第1流出流路31とを連通させ、第2流入流路22と第2固定流路72と第2流出流路32とを連通させ、第3流入流路23と第3固定流路73と第3流出流路33とを連通させる。図6は、流路パターンAを模式的なイメージ図により示す。
【0044】
そして、図6に示す流路パターンAの状態から、駆動部13により回転ディスク40を時計回りに「60°」回転させることで、図7に示す流路パターンBに切り替えることができる。図7は、流路パターンBを模式的なイメージ図により示す。
【0045】
すなわち、流路パターンBでは、3つの回転流路60(61~63)により、第1流入流路21と第3固定流路73と第3流出流路33とを連通させ、第2流入流路22と第1固定流路71と第1流出流路31とを連通させ、第3流入流路23と第2固定流路72と第2流出流路32とを連通させる。
【0046】
なお、図7に示す流路パターンBの状態から、駆動部13により回転ディスク40を反時計回りに「60°」回転させることで、図6に示す流路パターンAに切り替えることもできる。又は、回転ディスク40を更に時計回りに「60°」回転させることで、図6に示す流路パターンAに切り替えることもできる(この場合、回転流路60の組み合わせは異なる)。
【0047】
[弁シール部材について]
この実施形態で、図3に示すように、流路切替装置1において、上ハウジング11Aと回転ディスク40との間及び回転ディスク40と固定ディスク50との間には、流路における液体の漏れを抑制するための弁シール部材81が設けられる。ここで、弁シール部材81として、上ハウジング11Aと回転ディスク40との間には、上弁シール部材81Aが設けられ、回転ディスク40と固定ディスク50との間には、下弁シール部材81Bが設けられる。これら弁シール部材81は、長円形状をなし、回転ディスク40の回転流路60の外周に沿って形成された長円形状の嵌め溝41cに対し圧入及び接着されて固定される。
【0048】
この弁シール部材81は、図2図4に示すように、回転ディスク40(円板部41)の上面41aと下面41bにて、長孔状に形成される回転流路60の開口縁60aの周囲を囲むようにして突条に設けられる。回転ディスク40の上面41aに設けられる上弁シール部材81Aは、上ハウジング11Aへ向けて突出するように設けられ、上ハウジング11Aの内面11aに接触して、流入流路20と流入流路20に連通する回転流路60との間に形成される流路を外部からシールするようになっている。また、回転ディスク40(円板部41)の下面41bに設けられる下弁シール部材81Bは、固定ディスク50に接触して、固定流路70とその固定流路70に連通する回転流路60との間に形成される流路を外部からシールするようになっている。
【0049】
なお、この実施形態では、各弁シール部材81(81A,81B)は、例えば、弾性体であるゴム材により形成される。この他、各弁シール部材81は、フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))により形成したり、フッ素樹脂を貼付したゴムにより形成したり、フッ素樹脂やゴム以外の材料により形成したりすることもできる。これら弁シール部材81は、この開示技術の「シール手段」の一例に相当する。
【0050】
[その他のシール部材]
図3に示すように、上ハウジング11Aと回転軸42との間には、リップシール83が設けられる。また、固定ディスク50の各円筒部52と下ハウジング11Bとの間には、別のリップシール84が設けられる。
【0051】
[弁シール部材の課題について]
図8は、この実施形態に係り、ハウジング11、回転ディスク40及び固定ディスク50の断面を簡略化したイメージ図により示す。図8は、回転ディスク40を矢印で示す駆動方向へ駆動させて流路を切り替えた後の弁シール部材81(上弁シール部材81Aと下弁シール部材81B)の状態であって、弁シール部材81に変位がない場合を示す。図9には、図8の場合の弁シール部材81、回転流路60、流入流路20の開口部20a及び固定流路70の開口部70aの平面視における配置関係をイメージ図により示す。
【0052】
ここで、図9に示すように、弁シール部材81は、回転流路60の開口縁60aを挟んで回転ディスク40の回転方向Y(駆動方向)に沿って伸びる一対の第1シール部91と、開口縁60aを挟んで回転ディスク40の回転方向Yと交差する方向に配置され、一対の第1シール部91の両端を繋ぐ一対の第2シール部92とを含む。なお、回転流路60及び弁シール部材81の平面視の実際は、図4等に示すように湾曲した長円形状をなすが、図9では、説明上、回転ディスク40の回転方向Y(駆動方向)を図面の左右方向に直線状にして表している。
【0053】
上記した一対の第1シール部91は、開口部20a,70aを過らずに常に上ハウジング11Aの内面11a、固定ディスク50の上面51aを摺動する部位であり、回転ディスク40の回転軌道線(図4に示す回転流路60の回転軌道線L1と一致する。)にほぼ沿うように湾曲した形状に形成され、図9の領域R1に位置する。これら第1シール部91は、回転ディスク40が回転するときに、回転ディスク40の回転方向Yに沿って、上ハウジング11Aの内面11a、固定ディスク50の上面51aを摺動する。これら第1シール部91は、この開示技術の「第1シール部」の一例に相当する。
【0054】
また、上記した一対の第2シール部92は、上ハウジング11Aの内面11a、固定ディスク50の上面51aを摺動しつつ、開口部20a,70aを過って流入流路20、固定流路70に解放される部位であり、回転ディスク40の回転軌道線に交差する(回転流路60の回転軌道線L1に交差する)ように半円弧形状に形成され、図9の領域R2に位置する。これら第2シール部92には、回転ディスク40が回転するときに、上ハウジング11Aの内面11a、固定ディスク50の上面51aを摺動してせん断応力が生じる。これら第2シール部92は、この開示技術の「第2シール部」の一例に相当する。
【0055】
ここで、図9に示すように、弁シール部材81につき、一対の第1シール部91は、それぞれ大曲率な湾曲形状をなし、一対の第2シール部92は、それぞれ半円形状をなす。液中において、弁シール部材81とハウジング11等との間には、液膜が形成される。ここで、その液膜の厚さが減衰した状態から弁シール部材81が回転ディスク40と共に回転し始めたときは、第2シール部92では、その摺動により直ちに液膜が形成される。これに対し、第1シール部91では、その摺動先端部から液膜の形成は始まるが、摺動後方部の液膜の形成は遅れ、第1シール部91の全部としては液膜による摺動抵抗の低減が遅れる。また、第1シール部91の全部にわたって液膜を形成するには、回転ディスク40を、ある程度の角度で回転させる必要があり、駆動部13を高出力化する必要がある。
【0056】
[弁シール部材の摺動抵抗増加に関する対応策について]
そこで、この実施形態では、上記課題に対し次のような対応策を開示する。図10に、回転ディスク40に設けられた弁シール部材81と、回転ディスク40の回転方向(駆動方向)の軌道線との関係を平面図により示す。図10には、弁シール部材81のみを平面視のイメージ図により示す。図10に示す3本の1点鎖線は、弁シール部材81の部位に対応した回転ディスク40の軌道線TRO,TRC,TRIであって、弁シール部材81の外側に対応する外側軌道線TRO、弁シール部材81の中央に対応する中央軌道線TRC及び弁シール部材81の内側に対応する内側軌道線TRIを示す。図11には、回転ディスク40、固定ディスク50及び弁シール部材81の関係を図10のA-A線断面図により示す。
【0057】
この実施形態では、弁シール部材81の第1シール部91の輪郭線(図10に示す形状)は回転ディスク40の各軌道線TRO,TRC,TRIに沿うように湾曲した形状に形成されるが、外側軌道線TRO及び内側軌道線TRIと交差するように設けられる。すなわち、図10において、弁シール部材81の円周摺動部である外側(図10の上側)の第1シール部91は、外側軌道線TROと軌道を同じくせず、二カ所で交差するように配置される。同様に、内側(図10の下側)の第1シール部91は、内側軌道線TRIと軌道を同じくせず、二カ所で交差するように配置される。この実施形態で、弁シール部材81は、回転ディスク40に設けられる嵌め溝41cに嵌め込まれることから、換言すると、第1シール部91が嵌め込まれる嵌め溝41cの輪郭線が、回転ディスク40の各軌道線TRO,TRC,TRIと交差するように設けられる。
【0058】
これに対し、従前の対比例では、図28に示すように、シール手段103の第1シール部103aの輪郭線は、弁体部102の駆動方向(回転方向)の軌道線TRO,TRIと一致するように設けられている。
【0059】
[流路切替装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の流路切替装置1の構成によれば、弁シール部材81につき、回転ディスク40の回転方向Y(駆動方向)に沿って伸びる第1シール部91の輪郭線が、回転ディスク40の回転方向Yの軌道線TRO,TRC,TRIと交差するように設けられるので、第1シール部91の輪郭線が回転方向Yの軌道線TRO,TRC,TRIからずれる。従って、第1シール部91の摺動先端部では、弁シール部材81が微少駆動するだけで上ハウジング11A及び固定ディスク50(ハウジング)との間に液膜LFが形成される。また、第1シール部91の摺動後方部でも、弁シール部材81が微少駆動するだけで上ハウジング11A及び固定ディスク50との間に液膜LFが形成される。このため、液体中で上ハウジング11A及び固定ディスク50に対する弁シール部材81の摺動を開始したとき、その第1シール部91の全部の摺動抵抗を摺動開始直後から速やかに低減させることができる。
【0060】
この実施形態の構成によれば、弁シール部材81が嵌め溝41cを介して回転ディスク40に強固に取り付けられる。このため、弁シール部材81に摺動抵抗が作用しても回転ディスク40からの弁シール部材81の剥がれを抑制することができる。また、弁シール部材81の第1シール部91の輪郭線を、容易に回転ディスク40の駆動方向の軌道線と交差するように配置することができる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図12を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0062】
[弁シール部材の摺動抵抗増加に関する対応策について]
この実施形態では、弁シール部材81の形状の点で第1実施形態と異なる。第1実施形態では、弁シール部材81の第1シール部91の輪郭線(図10に示す形状)は、回転ディスク40の各軌道線TRO,TRC,TRIに沿うように湾曲した形状をなし、かつ、外側軌道線TRO及び内側軌道線TRIと交差するように設けられる。これに対し、この実施形態の第1シール部91の輪郭線は、図12に示すように、湾曲した形状ではなく、回転ディスク40の軌道線TRO,TRIと交差するようにジグザグ形状に形成される。この場合、第1シール部91が嵌め込まれる嵌め溝41cの輪郭線も、ジグザグ形状に形成される。図12は、この実施形態に係り、弁シール部材81の第1シール部91の一部を平面図により示す。
【0063】
なお、第1シール部91の輪郭線を、回転ディスク40の回転軌道線と交差するジグザグ形状ではなく、波線状に形成することもできる。
【0064】
[流路切替装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の流路切替装置1の構成によれば、弁シール部材81の第1シール部91の輪郭線がジグザグ形状をなすので、第1シール部91の輪郭線が回転ディスク40の軌道線TRO,TRIと確実に交差する。このため、摺動開始直後に微少駆動するだけで弁シール部材81と上ハウジング11A及び固定ディスク50との間に液膜LFが形成され、第1シール部91の全部にわたって摺動開始から確実に摺動抵抗を低減させることができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図13図23を参照して説明する。
【0066】
[弁シール部材の摺動抵抗増加に関する対応策について]
この実施形態では、前記各実施形態において、流路切替装置1の流路切り替えにつき、制御部14が次のような制御を実行することを想定する。図13図14にその「流路切り替え制御」の内容をフローチャートにより示す。制御部14には、この流路切り替え制御のプログラムが格納されている。
【0067】
処理がこの制御のルーチンへ移行すると、ステップ100で、制御部14は、流路切替装置1につき、切り替え位置角度Tdegと切り替え停止時間Tstpをそれぞれ取り込む。ここで、切り替え位置角度Tdegは、回転ディスク40回転位置の角度を意味し、切り替え停止時間Tstpは、流路を切り替えた後の回転ディスク40の停止時間を意味する。
【0068】
次に、ステップ110では、制御部14は、流路を切り替えるために、流路切替装置1の切り替え要求が有ったか否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ330へ移行する。
【0069】
制御部14は、ステップ330では、回転ディスク40(すなわち、流路切替装置1)の切り替え位置を保持した後、処理をステップ100へ戻す。
【0070】
制御部14は、ステップ120では、切り替えフラグXSWが「0」か否かを判断する。後述するように、この切り替えフラグXSWは、流路切替装置1の切り替え前には「0」に設定され、切り替え途中では「1」に設定される。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理を130へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ270へ移行する。
【0071】
ステップ130では、制御部14は、停止AフラグXSTAが「1」であるか否かを判断する。後述するように、制御部14は、このフラグXSTAを、流路切替装置1が流路パターンAで停止した場合に「1」に、流路パターンBで停止した場合に「0」に設定するようになっている。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ140へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ340へ移行する。
【0072】
ステップ140では、制御部14は、切り替え停止時間Tstpが所定値C1より大きいか否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ150へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ200へジャンプする。
【0073】
ステップ150では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を反時計回りに回転駆動する。
【0074】
次に、ステップ160で、制御部14は、回転ディスク40の切り替え位置角度Tdegが「60-α(°)」以下か否かを判断する。ここで、「α」は、回転ディスク40に係る第1の微少回転角度を意味し、この算出処理については後述する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ170へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0075】
ステップ170では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の反時計回り駆動を停止する。
【0076】
次に、ステップ180で、制御部14は、前回の繰り返し回数n(i-1)に「1」加算して今回の繰り返し回数n(i)を求める。すなわち、繰り返し回数nを「1」増加させる。
【0077】
次に、ステップ190で、制御部14は、繰り返し回数nが所定値D1以上か否かを判断する。ここで、所定値D1の算出処理については後述する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ200へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ220へ移行する。
【0078】
ステップ200では、制御部14は、切り替えフラグXSWを「1」に設定し、今回の繰り返し回数n(i)を「0」にリセットする。
【0079】
次に、ステップ210で、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を時計回りに回転駆動した後、処理をステップ100へ戻す。
【0080】
一方、ステップ190から移行してステップ220では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を時計回りに回転駆動する。
【0081】
次に、ステップ230で、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRを「1」に設定する。
【0082】
次の、ステップ240で、制御部14は、回転ディスク40の切り替え位置角度Tdegが「60+β(°)」以上か否かを判断する。ここで、「β」は、回転ディスク40に係る第2の微少回転角度を意味し、この算出処理については後述する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ250へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0083】
ステップ250では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の時計回り駆動を停止する。
【0084】
次に、ステップ260で、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRを「0」に設定した後、処理をステップ100へ戻す。
【0085】
一方、ステップ120から移行してステップ270では、制御部14は、停止AフラグXSTAが「1」か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ280へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ470へ移行する。
【0086】
ステップ280では、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRが「1」か否かを判断する。後述するように、制御部14は、このフラグXBRを、回転ディスク40が時計回り方向へ繰り返し駆動中の場合に「1」に、時計回り方向の駆動を停止した場合に「0」に設定するようになっている。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ290へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ300へ移行する。
【0087】
次に、ステップ290で、制御部14は、流路切替装置1につき切り替え位置角度Tdegを取り込んだ後、処理をステップ240へ移行する。
【0088】
一方、ステップ280から移行してステップ300では、制御部14は、切り替え位置角度Tdegが「120°」以上か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ310へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0089】
ステップ310では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の時計回り駆動を停止する(この場合、流路切替装置1を流路パターンBで停止する)。
【0090】
次に、ステップ320で、制御部14は、切り替えフラグXSWと停止AフラグXSTAをそれぞれ「0」にリセットした後、処理をステップ100へ戻す。
【0091】
一方、ステップ130から移行してステップ340では、制御部14は、切り替え停止時間Tstpが所定値C1より大きいか否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ350へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ400へジャンプする。
【0092】
ステップ350では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を時計回りに回転駆動する。
【0093】
次に、ステップ360では、制御部14は、回転ディスク40の切り替え位置角度Tdegが「120+α(°)」以上か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ370へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0094】
ステップ370では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の時計回り駆動を停止する。
【0095】
次に、ステップ380で、制御部14は、繰り返し回数nを「1」増加させる。
【0096】
次に、ステップ390で、制御部14は、繰り返し回数nが所定値D1以上か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ400へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ420へ移行する。
【0097】
ステップ400では、制御部14は、切り替えフラグXSWを「1」に設定し、今回の繰り返し回数n(i)を「0」にリセットする。
【0098】
次に、ステップ410で、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を反時計回りに回転駆動した後、処理をステップ100へ戻す。
【0099】
一方、ステップ390から移行してステップ420では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40を反時計回りに回転駆動する。
【0100】
次に、ステップ430で、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRを「1」に設定する。
【0101】
次の、ステップ440で、制御部14は、回転ディスク40の切り替え位置角度Tdegが「120-β(°)」以上か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ450へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0102】
ステップ450では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の反時計回り駆動を停止する。
【0103】
次に、ステップ460で、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRを「0」に設定した後、処理をステップ100へ戻す。
【0104】
一方、ステップ270から移行してステップ470では、制御部14は、起動繰り返しフラグXBRが「1」か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ480へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ490へ移行する。
【0105】
ステップ480では、制御部14は、流路切替装置1につき切り替え位置角度Tdegを取り込んだ後、処理をステップ440へ移行する。
【0106】
一方、ステップ470から移行してステップ490では、制御部14は、切り替え位置角度Tdegが「60°」以下か否かを判断する。制御部14は、この判断結果が肯定の場合は処理をステップ500へ移行し、この判断結果が否定の場合は処理をステップ100へ戻す。
【0107】
ステップ500では、制御部14は、駆動部13を制御することで、回転ディスク40の反時計回り駆動を停止する(この場合、流路切替装置1を流路パターンAで停止する)。
【0108】
次に、ステップ510で、制御部14は、切り替えフラグXSWを「0」にリセットし、停止AフラグXSTAを「1」に設定した後、処理をステップ100へ戻す。
【0109】
上記した流路切り替え制御によれば、制御部14は、回転ディスク40を時計回りの方向(所定の駆動方向)へ回転駆動させる前に、回転ディスク40を反時計回りの方向(その回転方向と逆方向)へ微少回転(微少駆動)させた後に時計回り方向へ回転駆動させるように駆動部13を制御するようになっている。すなわち、制御部14は、回転ディスク40を、時計回りに回転駆動させる前に、反時計回りに微少角度で回転駆動させ、その後、時計回りに回転駆動させて流路の切り替えを実行するようになっている。
【0110】
[所定値等の算出制御について]
ここで、上記した「流路切り替え制御」で使用される所定値D1、第1の微少回転角度α及び第2の微少回転角度βの算出制御について説明する。図15に、その制御内容をフローチャートにより示す。
【0111】
処理がこのルーチンへ移行すると、制御部14は、ステップ600で、流路の切り替え回数NSW、切り替え停止時間Tstp及び冷却水温度THWをそれぞれ読み込む。冷却水温度THWは、この流路切替装置1が設けられるエンジン等の冷却水温度を意味し、エンジンに設けられる所定の水温センサ(図示略)により検出されるようになっている。
【0112】
次に、ステップ610で、制御部14は、流路の切り替え回数NSWに基づき、回転ディスク40の起動繰り返し回数NSRと繰り返し角度DSTを算出する。制御部14は、図16に示すようなマップを参照することにより、流路の切り替え回数NSWに応じた起動繰り返し回数NSRを算出する。この起動繰り返し回数NSRは、弁シール部材81の摩擦量の多さ、すなわち、推定摩擦量に相関する。この起動繰り返し回数NSRの増加に伴い、弁シール部材81の摩擦量が増加し、同部材81の接地面積が増加する。この起動繰り返し回数の増加、又は、起動反転回転角度の増加により、液膜範囲が拡大する。また、制御部14は、図17に示すようなマップを参照することにより、流路の切り替え回数NSWに応じた繰り返し角度DSTを算出する。図17において、太線は第1の微少回転角度αのための第1の繰り返し角度を意味し、実線は第2の微少回転角度βのための第2の繰り返し角度を意味する。
【0113】
次に、ステップ620で、制御部14は、ステップ610で算出した起動繰り返し回数NSRを、「流路切り替え制御」で使用される所定値D1として設定する。
【0114】
次に、ステップ630で、制御部14は、切り替え停止時間Tstpに応じた停止時間補正係数Kstpを算出する。制御部14は、図18に示すようなマップを参照することにより、切り替え停止時間Tstpに応じた停止時間補正係数Kstpを算出することができる。このマップでは、切り替え停止時間Tstpの増加に伴い停止時間補正係数Kstpが「1.0」へ増加するように設定される。この切り替え停止時間Tstpにより回転ディスク40の起動角度(弁シール部材81のドライ範囲)を補正することができる。回転ディスク40の停止時間が長くなるほど、弁シール部材81のドライ範囲が拡大する。
【0115】
次に、ステップ640で、制御部14は、冷却水温度THWに応じた水温補正係数Kthwを算出する。制御部14は、図19に示すようなマップを参照することにより、冷却水温度THWに応じた水温補正係数Kthwを算出することができる。このマップでは、冷却水温度THWの増加に伴い水温補正係数Kthwが「1.0」へ増加するように設定される。この冷却水温度THWにより回転ディスク40の起動角度(弁シール部材81の硬度)を補正することができる。冷却水温度THWが高温になるほど、弁シール部材81の硬度が軟化するので、回転ディスク40の反転角度を大きくして隙間(液膜侵入)を形成することができる。
【0116】
そして、ステップ650で、制御部14は、第1の繰り返し角度DSTαに停止時間補正係数Kstpと水温補正係数Kthwを乗算することにより第1の微少回転角度αを算出し、第2の繰り返し角度DSTβに停止時間補正係数Kstpと水温補正係数Kthwを乗算することにより第2の微少回転角度βを算出する。その後、制御部14は、処理をステップ600へ戻す。
【0117】
上記の所定値等の算出制御によれば、制御部14は、回転ディスク40の切り替え停止時間Tstp(停止時間)、冷却水温度THW(環境温度)及び起動繰り返し回数NSR(弁シール部材81の推定摩擦量)に応じて、回転ディスク40の反時計回り方向(逆方向)への微少回転角度(微少駆動量)及び反転回数を変えるようになっている。
【0118】
[流路切替装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の流路切替装置1の構成によれば、回転ディスク40が時計回り方向へ回転駆動(所定の駆動方向へ駆動)する前に、回転ディスク40が時計回り方向と逆方向の反時計回り方向へ微少に回転駆動する。従って、回転ディスク40が時計回り方向へ回転駆動を開始するときから、上ハウジング11A及び固定ディスク50と弁シール部材81との間に確実に液膜LFが形成される。このため、流路切替装置1の流路の切り替えに際して、上ハウジング11A及び固定ディスク50と弁シール部材81との間に液膜LFがない状態でも、液膜LFを形成し、静摩擦駆動でも、液膜LFを意図して形成することにより弁シール部材81の摺動抵抗を確実に低減することができる。
【0119】
また、この実施形態の構成によれば、回転ディスク40の切り替え停止時間Tstp(停止時間)、冷却水温度THW(環境温度)及び起動繰り返し回数NSR(弁シール部材81の推定摩擦量)に応じて、回転ディスク40の反時計回り方向への微少駆動量及び反転回数が変えられる。従って、回転ディスク40の切り替え停止時間Tstp、冷却水温度THW及び起動繰り返し回数NSRの状況に応じて、上ハウジング11A及び固定ディスク50と弁シール部材81との間に液膜LFが形成され易くなる。このため、流路切替装置1の流路の切り替えに際して、液膜により弁シール部材81の摺動抵抗を更に確実に低減することができる。
【0120】
図20図22に、弁シール部材81と固定ディスク50との間にできる液膜LFの変化のイメージを断面図により示す。図20は、回転ディスク40が時計回り方向(正転方向)に回転を開始する前の停止状態を示し、図21は、回転開始時に回転ディスク40が反時計回り方向へ微少回転した状態を示し、図22に、回転ディスク40が時計回り方向へ回転した状態を示す。この実施形態では、図20に示すように、液膜LFが無い状態から回転ディスク40が時計回り方向へ回転を開始しようとするとき、図21に示すように、回転ディスク40を反時計回り方向へ微少回転させてから、図22に示すように、回転ディスク40を時計回り方向へ回転させることで、反時計回り方向の微少回転時に浮いた弁シール部材81と固定ディスク50との隙間に液膜LFが侵入し、弁シール部材81の接地面全体に液膜LFを速やかに形成することができる。この結果、弁シール部材81の摺動抵抗を安定かつ低い状態にすることができる。
【0121】
[摺動トルクの変化の比較]
図23に、流路切替装置で流路を切り替えるために回転ディスクを回転させたときの回転角度に対する摺動トルクの変化を各種折れ線E0,E1,E2,E3を含むグラフにより示す。図23に示すように、折れ線E0で示す対比例(図28参照)では、摺動トルクは、回転ディスクの回転開始直後に急増し、その後、徐々に減少して最低値に至る。
【0122】
これに対し、折れ線E1で示す第2実施形態(図12参照)では、摺動トルクは、回転ディスクの回転開始直後に急増するが、その後、直ちに急減して最低値に至る。この場合の摺動トルクは、回転ディスクの回転開始直後に増減する。
【0123】
また、折れ線E2で示す対比例(図28参照)に第3実施形態の制御を実行した場合では、摺動トルクは、回転ディスクの回転開始直後に少し増加し、その後、徐々に減少して最低値に至る。
【0124】
更に、折れ線E3で示す第2実施形態(図12参照)に第3実施形態の制御を実行した場合では、摺動トルクは、回転ディスクの回転開始直後に反転と正転により少し増減し、再び増加するが、直ちに減少して最低値に至る。この場合の摺動トルクも、回転ディスクの回転開始直後に生じる。
【0125】
<別の実施形態>
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
【0126】
(1)前記各実施形態では、流路切替装置1の弁体部12に、回転軸42を中心に回転する回転ディスク40と、下ハウジング11Bに固定された固定ディスク50を設けた。これに対し、弁体部から固定ディスクを省略し、回転軸を中心に回転する回転ディスクのみを設けてもよい。
【0127】
(2)前記各実施形態では、弁シール部材81(上弁シール部材81A及び下弁シール部材81B)をそれぞれ回転ディスク40の上下両面に固定し、上ハウジング11A及び固定ディスク50の内面に対し摺動可能に設けた。これに対し、弁シール部材をハウジングに固定し、回転ディスクに対し摺動可能に設けることもできる。
【0128】
(3)前記各実施形態では、弁体部をハウジングに対し回転する回転ディスクにより構成したが、弁体部をハウジングに対し直線的に移動する移動部材により構成することもできる。
【0129】
(4)前記各実施形態では、流路切替装置1を六方弁に具体化したが、これに限らず、三方弁や四方弁などのその他の多方弁に具体化することもできる。
【0130】
(5)前記各実施形態では、「弁体部」である回転ディスク40の板厚方向に貫通した回転流路60を「弁流路」として設けたが、弁体部を板厚方向に貫通しない弁流路を設けることもできる。
【0131】
(6)前記各実施形態では、制御部14が、回転ディスク40の切り替え停止時間Tstp(停止時間)、冷却水温度THW(環境温度)及び起動繰り返し回数NSR(弁シール部材81の推定摩擦量)に応じて、回転ディスク40の反転方向(逆方向)への微少回転角度(微少駆動量)及び反転回数を変えるように構成した。これに対し、制御部が、回転ディスクの停止時間、環境温度及び弁シール部材の推定摩擦量の少なくとも一つに応じて、回転ディスクの反転方向への微少駆動量及び反転回数の少なくとも一方を変えるように構成することもできる。
【0132】
(7)前記第3実施形態では、制御部4が、回転ディスク40を、時計回りに回転駆動させる前に、反時計回りに微少角度で回転駆動させ、その後、時計回りに回転駆動させて流路の切り替えを実行するように構成した。これに対し、制御部が、回転ディスクを、時計回りに回転駆動させる前に、一旦、時計回りに微少角度で回転駆動させ、その後、更に反時計回りに微少角度で回転駆動させた後、時計回りに更に回転駆動させて流路の切り替えを実行するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
この開示技術は、例えば、冷媒等の液体が流れる液体回路において液体の流路を切り替えるために利用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 流路切替装置
11 ハウジング
12 弁体部
13 駆動部(駆動手段)
14 制御部(制御手段)
20 流入流路(連通路)
30 流出流路(連通路)
40 回転ディスク(弁体部)
41c 嵌め溝
50 固定ディスク(ハウジング)
60 回転流路(連通路)
70 固定流路(連通路)
81 弁シール部材(シール手段)
91 第1シール部
92 第2シール部
TRO 外側軌道線
TRC 中央軌道線
TRI 内側軌道線
図1
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