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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134562
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】災危情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/10 20060101AFI20240927BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20240927BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G08B21/10
H04M1/72
G08B27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044810
(22)【出願日】2023-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】島崎 佑
(72)【発明者】
【氏名】飯島 玲
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K127
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086DA08
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB73
5C087DD02
5C087EE05
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG19
5C087GG66
5C087GG67
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG84
5K127AA26
5K127BA03
5K127BA10
5K127CB21
5K127GD03
5K127JA11
5K127JA14
5K127KA09
5K127KA16
(57)【要約】
【課題】災害又は危機のレベルが所定レベル以上の情報を対象としてユーザに提供しつつ、情報提供の終了に伴うユーザの誤認が生じることについても防止した災危情報提供システムを提供する。
【解決手段】新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを報知していないエリアである場合には、新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であることを条件に当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を行い、一方で新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合には、新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルに関わらず当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を継続して行うように構成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害又は危機が発生した場合に、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報を含む災危情報を所定間隔で取得する災危情報取得手段と、
前記災危情報取得手段により取得した前記災危情報に基づいて、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を報知する災危報知手段と、を有し、
前記災危報知手段は、
新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを報知していないエリアである場合には、新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であることを条件に当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を行い、
新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合には、新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルに関わらず当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を継続して行う災危情報提供システム。
【請求項2】
前記災危報知手段は、
新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合で、且つ新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが既に報知しているレベルと異なる場合には、報知対象となる情報を新たな前記災危情報へと更新した上で報知を継続して行う請求項1に記載の災危情報提供システム。
【請求項3】
前記災危情報には、情報を発表した発表時刻を特定する情報も含み、
前記災危報知手段は、
新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合で、且つ新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが既に報知しているレベルと同じ場合に、
新たな前記災危情報の発表時刻が既に報知している災危情報の発表時刻と同じ又は古い時刻である場合には、新たな前記災危情報は破棄した上で過去に取得した前記災危情報に基づく報知を継続して行う一方、
新たな前記災危情報の発表時刻が既に報知している災危情報の発表時刻よりも新しい場合には、報知対象となる情報を新たな前記災危情報へと更新した上で報知を継続して行う請求項2に記載の災危情報提供システム。
【請求項4】
前記災危報知手段は、
前記災危情報取得手段により取得してから所定の有効期限を経過するまでの前記災危情報を報知対象とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の災危情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して災害や危機に関する情報を提供する災危情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では政府が管轄する防災機関から発表された地震、津波、洪水、噴火、その他の大規模災害等の緊急通報や、テロ等の危機管理情報、避難勧告などの発令情報などの各種情報(以下、災危情報という)を、準天頂衛星である「みちびき」を経由して送信する災害・危機管理通報サービス(以下、災危通報という)について知られている。そして、例えばナビゲーション装置やスマートフォン等の「みちびき」に対応した情報端末では、上記災危通報により受信した災危情報に基づいて、発生した災害や危機に関する情報を迅速かつ正確にユーザに対して提供することが可能となっている。
【0003】
ここで、上記災危情報には一般的に災害又は危機が発生したエリアとともに発生した災害又は危機のレベルを特定する為の情報についても含まれている。例えば津波に関する情報では津波が発生すると予想されるエリアと、そのエリアで発生すると予想される津波の程度(レベルが高い順に大津波警報、津波警報、警報解除)が区分されている。そして、上記情報端末では災危通報により受信した全ての災危情報をユーザに提供するのではなく、エリアやレベルに関する情報を考慮してユーザにとって必要と思われる情報を選別して提供することが行われている。例えば特開2020-88741号公報には、車載器端末で災危情報を受信した場合に、災害又は危機の発生した災危発生エリアと緊急度のレベルを特定し、自車の現在位置から災危発生エリアまでの距離が閾値以下で且つ緊急度のレベルが閾値以上の場合に割込表示により情報提供を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88741号公報(段落0060、図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、災害又は危機が発生した場合に、その災害又は危機のレベルは発生から終了まで固定ではなく時間経過に伴って変化するのが通常である。例えば津波を例に挙げると、最もレベルが高い大津波警報が発令された場合であっても、その後しばらくしてよりレベルの低い津波警報に移行し、最終的に警報解除となるパターンがみられる。上記特許文献1では災害又は危機のレベルが閾値以上の情報のみを対象として提供しているので、例えば大津波警報以上を提供対象とすると大津波警報から津波警報へと移行したタイミングで情報提供が終了することとなり、そのタイミングでユーザは津波に関する警報はすべて解除となった(津波の虞が完全に無くなった)と誤認する可能性がある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、災害又は危機のレベルが所定レベル以上の情報を対象としてユーザに提供しつつ、情報提供の終了に伴うユーザの誤認が生じることについても防止した災危情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る災危情報提供システムは、災害又は危機が発生した場合に、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報を含む災危情報を所定間隔で取得する災危情報取得手段と、前記災危情報取得手段により取得した前記災危情報に基づいて、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を報知する災危報知手段と、を有し、前記災危報知手段は、新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを報知していないエリアである場合には、新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であることを条件に当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を行い、新たな前記災危情報を取得した場合であって取得した前記災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合には、新たな前記災危情報によって特定される災害又は危機のレベルに関わらず当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を継続して行う。
尚、「災害又は危機の種別」としては、例えば地震、津波、洪水、噴火、テロ、避難勧告などが挙げられる。
また、「発生した災害又は危機のレベル」とは、災害又は危機の規模を示すものであっても良いし、強さ(程度)を示すものであっても良いし、緊急度を示すものであっても良い。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る災危情報提供システムによれば、災害又は危機のレベルが所定レベル以上の情報を対象としてユーザに提供することで、ユーザにとって必要と思われる情報を選別して提供することが可能となる。一方で、災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアについてはその後に災害又は危機のレベルが所定レベル未満となっても情報の報知を継続して行うので、情報提供の終了に伴ってユーザの誤認が生じることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る災危情報提供システムを示した概略構成図である。
図2】災危通報によって配信される災危情報の一例を示した図である。
図3】本実施形態に係る通信端末の構成を示したブロック図である。
図4】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
図5】新たなエリアを対象にして災危情報に基づく報知を行う場合の例を示した図である。
図6】すでに報知が行われているエリアを対象にして災危情報に基づく報知を行う場合の例を示した図である。
図7】重複判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
図8図2に示す災危情報に対して重複判定処理を行った場合の結果を示した図である。
図9】情報更新処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る災危情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る災危情報提供システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る災危情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る災危情報提供システム1は、政府が管轄する防災機関である災危管理センタ2と、準天頂衛星である「みちびき」3と、ユーザ4が所持する通信端末5と、を基本的に有する。尚、通信端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ4は車両で移動していることを前提とするが、車両以外の移動手段で移動しても良いし、徒歩で移動或いは移動せずいずれかの地点に滞在している状態であっても良い。
【0012】
ここで、災危管理センタ2は、政府が管轄する防災や危機を管理する為の防災機関であり、例えば気象庁等が該当する。災危管理センタ2は、地震、津波、洪水、噴火、その他の大規模災害、テロ等の危機が発生した場合において、それらの災害や危機の種別と、災害や危機が発生したエリアと、発生した災害や危機のレベルと、を特定する情報を含む災危情報を生成する。生成された災危情報は「みちびき」3の管制局(図示せず)から準天頂衛星である「みちびき」3を経由して送信する災害・危機管理通報サービス(以下、災危通報という)を用いて通信端末5へと送信される。
【0013】
ここで、図2は災危通報によって通信端末5へと配信される災危情報の一例を示した図である。特に図2では災害として津波が発生した場合に生成される災危情報の例を示す。
図2に示すように災危情報は、エリアごとに区分されて各エリアで発生した災害や危機のレベルを特定している。尚、エリアについては都道府県や市区町村などの行政区画単位で区分しても良いし、緯度経度で区分しても良い。例えば図2に示す例では14時49分時点で配信された災危情報において『岩手県』、『宮城県』、『福島県』に大津波警報・発表が出され、『北海道太平洋沿岸中部』、『青森県太平洋沿岸』、『茨城県』、『千葉県九十九里・外房』、『伊豆諸島』に大津波警報が出され、『東北地方太平洋沿岸』において津波警報が出されている。尚、津波に関しては“大津波警報・発表”が最も警報のレベルが高く、続いて“大津波警報”、“津波警報”、“警報解除”の順となる。但し“大津波警報・発表”と“大津波警報”は区分せずにまとめて同じレベルとしても良い。
【0014】
尚、災危情報は災危管理センタ2において発生した災害や危機の経過や状況を確認しつつ所定間隔で最新の情報が生成され災危通報を用いて配信される。所定間隔は必ずしも決まった間隔ではなく、例えば図2に示す例では14時49分、15時14分、15時30分、16時8分、18時47分、21時35分、22時53分に夫々災危情報が生成されて災危通報を用いて配信されている。尚、災危通報を用いて配信された時刻或いは災危管理センタ2において災危情報が生成された時刻を発表時刻という。同じエリアであっても発表時刻によって災害や危機のレベルは随時変化する。レベルが上がる場合もあれば下がる場合もあり、一方で前回の発表時刻からレベルに変位がない場合もある。例えば『北海道太平洋沿岸東部』では15時14分に津波警報が発令され、その後の15時30分及び16時8分に大津波警報・発表へと警報のレベルが上がった後に、18時47分に津波警報へと警報のレベルが下がり、21時35分に一旦警報解除となるが、22時53分に再び大津波警報・発表へと警報のレベルが上がっている。尚、レベルに変位がない場合についても同じレベルを示す災害情報が再度生成される。例えば、15時30分と16時8分の災危情報では『北海道太平洋沿岸東部』については同じ内容の情報となるが、16時8分においても『北海道太平洋沿岸東部』で大津波警報・発表が出されたことを示す災危情報が生成され、配信されることとなる。
【0015】
一方、「みちびき」3は、準天頂軌道の衛星である。具体的には、準天頂軌道を周回する3機の衛星群と、赤道上空の静止軌道に配置する1機の静止衛星とを含む。ここで、「みちびき」3は、上記災危通報を行う以外に既存のGPS衛星による現在位置検出に対する補完と補強を行う機能についても有している。例えば電離層の影響による現在位置検出の誤差を解消するための補強電波を送信することで精度向上を実現する。
【0016】
また、通信端末5は、ユーザ4が所持し、現在位置を検出する機能や周辺の地図情報を表示したり設定された目的地までの移動案内を行うナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末5がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして上記災危通報によって「みちびき」3を経由して配信される災危情報の提供を受けることが可能となるアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、これらの災危情報の提供を受ける機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0017】
また、通信端末5は、「みちびき」3やその他のGPS衛星からの電波を受信して、電波を受信した場所の緯度経度を算出し、現在位置の座標を出力可能となっている。但し、現在位置の検出については衛星からの電波以外に後述の車速センサや加速度センサ等の通信端末5や車両に搭載された各種センサの検出結果についても用いて検出しても良い。
【0018】
また、通信端末5は、上記災危通報以外に通信ネットワーク網を介して、交通情報センタ、例えばVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報についても受信可能となっている。また、通信端末5が地図情報を有しない場合には外部のサーバから地図情報について受信することも可能である。
【0019】
そして、上記構成を有する災危情報提供システム1における基本的な情報提供の流れを説明すると、ユーザ4の操作に基づいて通信端末5において目的地が設定され目的地への移動が開始されると、ナビ機能により目的地への移動案内が行われる一方で、災害や危機が発生した場合には災危管理センタ2から災危通報を用いて「みちびき」3を経由して災危情報がユーザ4の通信端末5へと所定間隔で配信される。そして、配信された災危情報は後述のように災害や危機のレベルやユーザの現在位置等について考慮して通信端末5において出力対象とするか否かが判定され、出力対象とすると判定された災危情報について通信端末5において出力され、ユーザ4に提供される。尚、ナビ機能の移動案内中でなくとも災害や危機が発生した場合には、同様に災危情報の提供が行われる。詳細については後述する。
【0020】
次に、ユーザ4が所有する通信端末5の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係る通信端末5の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末5がナビゲーション装置である場合を例に挙げて説明する。
【0021】
図6に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置(通信端末5)は、ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出するとともに災危通報を用いて「みちびき」3から配信された災危情報を受信する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や災危情報等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内や災危情報等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、VICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。
【0022】
以下に、ナビゲーション装置が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GNSS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、GNSS21は、「みちびき」3やその他のGPS衛星からの電波を受信し、地上での現在位置を計測するシステムである。また、特に本実施形態のGNSS21は災危通報に対応しており、「みちびき」3から配信される災危情報(L1S信号)についても受信可能となっている。一方、車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置が備える構成としても良い。
【0023】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB25やキャッシュ26や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、地図情報DB25は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置が通信により取得する構成としても良い。
【0024】
ここで、地図情報DB25は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0025】
一方、キャッシュ26は、過去に災危通報によって「みちびき」3から配信された災危情報(図2)が保管される記憶手段である。配信された情報を保管する保管期間は適宜設定可能であるが、例えば配信から24時間とする。一方で、キャッシュ26に格納された情報には有効期限についても別途設定されており、有効期限を経過していない情報のみがユーザへの提供対象となる。有効期限は適宜設定可能であるが、例えば通信端末5が取得してから6分とする。但し、保管期間と有効期限は同じ期間としても良い(即ち有効期限が切れて提供対象とならなくなった情報はキャッシュ26から自動削除するようにしても良い)。尚、災害や危機のレベルによって上記保管期間や有効期限を変えても良く、その場合にはレベルの高い情報程、より長い保管期間や有効期限を設定するのが望ましい。尚、後述のように配信された全ての災危情報がキャッシュ26に格納されるのではなく、格納されずに廃棄対象となる場合もある。そして、ナビゲーションECU13は、キャッシュ26に格納された災危情報を用いて、発生している災害や危機に関するユーザへの情報提供を行う。詳細については後述する。
【0026】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述の情報提供処理プログラム(図4)等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、災危情報取得手段は、災害又は危機が発生した場合に、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報を含む災危情報を所定間隔で取得する。災危報知手段は、災危情報取得手段により取得した災危情報に基づいて、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を報知する。
【0027】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0028】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(移動予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。本実施形態では特に災危通報によって「みちびき」3から災危情報を受信した場合については、発生した災害や危機に関する情報の表示についても行う。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0029】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路(移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。本実施形態では特に災危通報によって「みちびき」3から災危情報を受信した場合については、発生した災害や危機に関する情報の音声出力についても行う。
【0030】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB25の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0031】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。
【0032】
続いて、前記構成を有する災危情報提供システム1において、通信端末5が実行する情報提供処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、災危通報により「みちびき」3を経由して災危情報を取得した場合に、発生した災害や危機に関する情報を提供するプログラムである。但し、通信端末5がナビゲーション装置以外である場合には、通信端末5において災危情報をユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばナビゲーションアプリ或いは情報提供のための専用のアプリ)の起動操作が行われた後に実行される。尚、以下の図4図7及び図9にフローチャートで示されるプログラムは、通信端末5が備えているRAM32やROM33に記憶されており、CPU31により実行される。
【0033】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、災危通報によって「みちびき」3から配信された情報を受信したか否かを判定する。具体的に災危通報による情報の受信は、GNSS21により「みちびき」3から発信されたL1S信号を受信することにより行う。尚、「みちびき」3からは上記災危通報に基づく信号以外に、電離層の影響による現在位置検出の誤差を軽減するための信号(サブメータ級測位補強情報)等も送信されているが、本実施形態では災危通報に基づく信号のみを対象にして以下説明する。また、「みちびき」3からは最短で1sec周期で信号が送信され、特に情報量が多い場合(災害や危機の発生したエリアが広い場合)については、複数回に分割して送信される。従って、S2以降の処理は最短で1sec周期で行われることとなる。
【0034】
そして、災危通報によって「みちびき」3から配信された情報を受信したと判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、災危通報によって「みちびき」3から配信された情報を受信していないと判定された場合(S1:NO)には、受信するまで待機する。
【0035】
S2においてCPU31は、災危通報により「みちびき」3から受信した情報について、特に通信端末5において情報提供の対象となる災危情報であるか否かを判定する受信判定処理を行う。具体的には、受信したL1S信号に含まれる衛星番号(配信元の衛星を特定する識別情報)が指定された衛星番号であること、信号レベルが閾値以上であること、受信したL1S信号に含まれる災害種別コードが該当するコードであること等を判定する。尚、これらの条件を満たさない場合については受信した情報について情報提供の対象となる災危情報でないとみなし、受信した情報はキャッシュ26に格納することなく破棄する。尚、破棄した場合については以下のS3及びS4の処理は行われない。
【0036】
ここで、災害種別コードは発生した災害又は危機の種別を示すコードであり、CPU31はL1S信号に含まれる災害種別コードを参照することにより、どのような災害又は危機に対する災危情報であるかを判定することが可能である。ここで、災危通報により提供の対象となるのは例えば地震、津波、洪水、噴火、その他の大規模災害情報、テロ等の危機情報がある。例えば地震の災害種別コードは“1”、津波の災害種別コードは“5”である。本実施形態の災危情報提供システム1では、例えば地震と津波に関する災危情報を提供の対象とする。
【0037】
続いて、S3においてCPU31は、後述の重複判定処理(図7)を行う。尚、重複判定処理は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている災危情報(正確には提供の対象となり得る情報であり。実際に提供されるかは後述のようにユーザの現在位置やルートから最終決定される)と今回新たに受信した災危情報とを比較し、更に今回新たに受信した災危情報のレベルについても考慮して、今回新たに受信した災危情報を提供の対象とすることなく破棄するか否かを決定する処理である。尚、破棄した場合についてはS4の処理は行われない。また、比較対象となる災危情報がキャッシュ26に存在しない場合(即ち新規の情報である場合)については基本的には破棄せずにキャッシュ26に格納対象となる。
【0038】
更に、S4においてCPU31は、後述の情報更新処理(図9)を行う。尚、情報更新処理は、前記重複判定処理(S3)において今回新たに受信した災危情報を破棄しないと判定された場合に、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている災危情報(正確には提供の対象となり得る情報であり。実際に提供されるかは後述のようにユーザの現在位置やルートから最終決定される)と今回新たに受信した災危情報の発表時刻を比較し、キャッシュ26に格納された災危情報を新たに受信した災危情報へと必要に応じて更新する処理である。尚、更新しない場合(更新する必要がないと判定された場合)については新たに受信した災危情報についてはキャッシュ26に格納されることなく破棄される。
【0039】
次に、S5においてCPU31は、通信端末5において目的地までの案内経路(即ちユーザの今後の移動予定経路)が設定されているか否かを判定する。尚、目的地までの案内経路については例えばユーザが通信端末5において希望する目的地を設定することによって、地図情報や交通情報を用いて目的地までの推奨経路が探索され、探索された目的地までの推奨経路が案内経路として設定される。尚、推奨経路の探索は通信端末5が行っても良いし、外部のサーバが行っても良い。
【0040】
そして、通信端末5において目的地までの案内経路が設定されていると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、通信端末5において目的地までの案内経路が設定されていないと判定された場合(S5:NO)には、S7へと移行する。
【0041】
S6においてCPU31は、通信端末5において設定されている案内経路(即ちユーザの今後の移動予定経路であり、現在位置も含む)が通過するエリアを特定し、そのエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されているか否かを判定する。尚、特定するエリアについては災危情報におけるエリア区分に従う。図2に示すように都道府県や市区町村などの行政区画単位で区分しても良いし、緯度経度で区分しても良い。キャッシュ26には災危通報により「みちびき」3から受信した情報の内、特に前記S2~S4で破棄対象とならなかった情報、即ちユーザに提供対象とすべきと判定された情報が格納されている。
【0042】
そして、通信端末5において設定されている案内経路が通過するエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されていると判定された場合(S6:YES)には、S8へと移行する。それに対して、通信端末5において設定されている案内経路が通過するエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されてないと判定された場合(S6:NO)には、新たな災危情報の提供を行うことなくS10へと移行する。
【0043】
一方、S6においてCPU31は、現在位置検出部11により検出された現在位置(即ちユーザが現在位置する地点)を含むエリアを特定し、そのエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されているか否かを判定する。特に、現在位置の検出については既存のGPS衛星に加えて「みちびき」3からの信号を受信することで補完と補強を行うのが望ましい。尚、特定するエリアについては災危情報におけるエリア区分に従う。図2に示すように都道府県や市区町村などの行政区画単位で区分しても良いし、緯度経度で区分しても良い。キャッシュ26には災危通報により「みちびき」3から受信した情報の内、特に前記S2~S4で破棄対象とならなかった情報、即ちユーザに提供対象とすべきと判定された情報が格納されている。
【0044】
そして、現在位置検出部11により検出された現在位置を含むエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されていると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、現在位置検出部11により検出された現在位置を含むエリアを対象とした災危情報がキャッシュ26に格納されてないと判定された場合(S7:NO)には、新たな災危情報の提供を行うことなくS10へと移行する。
【0045】
その後、S8においてCPU31は、前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報によって特定されるエリアが、同種の災害又は危機が発生していることを現時点で通信端末5において報知していない(後述のS9で情報の提供がされていない)エリアであって、且つ災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であるか否かを判定する。尚、図2に示すように災危情報には、災害や危機が発生したエリアと、発生した災害や危機のレベルと、を特定する情報が含まれている。また、同じく災危情報に含まれる災害種別コードによって発生した災害又は危機の種別が特定可能である。
【0046】
また、前記S8において判定基準となる所定レベルは適宜設定可能であるが、例えば津波であれば“大津波警報”とする。即ち、“大津波警報・発表”又は“大津波警報”であればYESと判定される。一方、地震であれば“震度3”とする。即ち、“震度3”以上の震度であればYESと判定される。
【0047】
そして、前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報によって特定されるエリアが、同種の災害又は危機が発生していることを現時点で通信端末5において報知していないエリアであって、且つ災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であると判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。
【0048】
S9においてCPU31は、前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。ここで、図5は前記S9において災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知を行う一例を示した図である。
【0049】
図5に示すように液晶ディスプレイ15に走行案内画面40が表示されている状態で、前記S9による情報の報知を行う場合には、走行案内画面40の前面に重畳してポップアップ画面41が新たに表示される。ポップアップ画面41には、発表時刻(該当する災危情報が災危通報を用いて配信された時刻或いは災危管理センタ2で生成された時刻)と、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報が記載される。特に、レベルについては警報の種類に加えて、津波であれば予想到達時刻や津波の高さ、地震であれば震度やマグニチュードについても案内対象に含めるのが望ましい。また、画面の表示に合わせてスピーカ16からも案内音声を出力する。それによって、ユーザは現在位置するエリア或いは今後に移動する予定のエリアにおいて発生した災害や危機に関する情報を把握することが可能となる。
【0050】
また、キャッシュ26に格納された情報には有効期限についても別途設定されており、有効期限を経過していない情報のみが報知対象となる。有効期限は適宜設定可能であるが、例えば通信端末5が取得してから6分とする。尚、ポップアップ画面41を表示した状態で有効期限が経過すればポップアップ画面41が閉じる(報知を終了する)こととなる。
【0051】
前記S9では報知対象とする災危情報をユーザは現在位置するエリア或いは今後に移動する予定のエリアに限定することに加えて、災害又は危機のレベルが所定レベル以上の情報のみを対象としてユーザに報知することで、ユーザにとって必要と思われる情報を選別して提供することが可能となる。但し、後述のように同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアについては所定レベル未満であっても報知の対象となる。
【0052】
一方、前記S8の判定処理においてNOと判定された場合であって、特に前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報によって特定されるエリアが、同種の災害又は危機が発生していることを既に通信端末5において報知しているエリアであると判定された場合(S10:YES)については、S11へと移行する。
【0053】
S11においてCPU31は、前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。尚、前記S11では報知対象となるエリアについては既に過去に受信した災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知が行われているので、報知開始から現時点までに前記S4の情報更新処理においてキャッシュ26に格納された災危情報の更新が行われている場合には、特に報知する対象となる情報をキャッシュ26に格納される情報の更新に合わせて新たな情報へと更新をした上で報知を継続して行うこととなる。尚、情報の内容は同じで発表時刻のみ更新される場合もある。一方、報知開始から現時点までに前記S4の情報更新処理においてキャッシュ26に格納された災危情報の更新が行われていない場合には、報知する対象となる情報の更新は行わずに報知を継続して行うこととなる。ここで、図6は前記S11において災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知を更新して継続する一例を示した図である。
【0054】
図6に示すように前記S9で走行案内画面40の前面に重畳してポップアップ画面41が既に表示された状態で前記S11による情報の更新を行う場合には、ポップアップ画面41の描画内容が更新される。ここでポップアップ画面41には、前述したように発表時刻(該当する災危情報が災危通報を用いて配信された時刻或いは災危管理センタ2で生成された時刻)と、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報が記載される。これらの内で更新対象となる情報の描画内容が更新される。例えば図6に示す例では発表時刻が最新の時間へと更新され、津波のレベルが『大津波警報・発表』から『津波警報』さらには『警報解除』へと更新され、予想到達時刻や津波の高さについても更新されている。また、画面の表示に合わせてスピーカ16から出力される案内音声の内容についても変更する。それによって、ユーザは現在位置するエリア或いは今後に移動する予定のエリアにおいて発生した災害や危機に関する最新の情報を把握することが可能となる。
【0055】
また、前記S11では前記S9と異なり災害又は危機のレベルが所定レベル未満の情報についてもユーザへの報知対象となる。従って、一旦報知の対象となったエリアについては前記S9では報知の対象とならないレベルへと災害や危機のレベルが下がっても報知が継続して行われることとなる。例えば、津波であれば一旦“大津波警報”以上のレベルとなって報知の対象となったエリアについては、その後に“津波警報”へとレベルが下がっても報知は継続し、更に最もレベルの低い“警報解除”の報知まで行われることとなる。その結果、警報が出ているにもかかわらずユーザが発令されていた警報はすべて解除となった(津波の虞が完全に無くなった)と誤認することを防止できる。
【0056】
一方、前記S8の判定処理においてNOと判定された場合であって、特に前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報によって特定されるエリアが、同種の災害又は危機が発生していることを現時点で通信端末5において報知していないエリアであって、災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル未満であると判定された場合(S10:NO)については、前記S6又はS7においてキャッシュ26に格納されていると判定された災危情報に基づく災害又は危機に関する情報の報知を行うことなくS12へと移行する。
【0057】
S12においてCPU31は、災危通報によって「みちびき」3から新たに配信された情報を受信したか否かを判定する。尚、災危管理センタ2では発生した災害や危機の経過や状況を確認しつつ所定間隔(一定間隔とは限らない)で最新の情報が生成され災危通報を用いて配信される。また、また情報量が多い場合(災害や危機の発生したエリアが広い場合)については、複数回に分割して送信される場合もある。詳細についてはS1と同様であるので省略する。
【0058】
そして、災危通報によって「みちびき」3から配信された情報を受信したと判定された場合(S12:YES)には、新たに受信した情報を対象としてS2以降の処理を再度実行することとなる。それに対して、災危通報によって「みちびき」3から配信された情報を受信していないと判定された場合(S12:NO)には、S13へと移行する。
【0059】
S13では通信端末5において災危通報に伴う情報の提供を終了するか否かを判定する。尚、通信端末5において災危通報に伴う情報の提供を終了する場合としては、例えば通信端末5の電源がオフされた場合、ユーザが通信端末5を操作して情報提供の停止を選択した場合などがある。
【0060】
そして、通信端末5において災危通報に伴う情報の提供を終了すると判定された場合(S13:YES)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、通信端末5において災危通報に伴う情報の提供を終了しないと判定された場合(S13:NO)にはS5へと戻り、災危通報に伴う情報の提供を継続して行う。
【0061】
次に、前記S3において実行される重複判定処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は重複判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0062】
先ず、S21においてCPU31は、キャッシュ26に格納されている災危情報を読み出す。尚、キャッシュ26には過去に災危通報により「みちびき」3から受信した情報の内、特に前記S2~S4で破棄対象とならなかった情報、即ちユーザに提供対象とすべきと判定された情報が格納されている。但し、キャッシュ26に格納された災危情報は予め定められた保管期間が過ぎた後には削除される。保管期間は例えば配信から24時間とする。
【0063】
次に、S22においてCPU31は、キャッシュ26に格納されている災危情報の内、今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機に関する災危情報が格納されているか否かを判定する。具体的にCPU31は災危情報に含まれる災害種別コードを参照することにより、どのような災害又は危機に対する災危情報であるかを判定することが可能である。例えば今回新たに受信した災危情報が津波に関する情報である場合には、キャッシュ26に津波に関する災危情報が格納されているか否かを判定する。尚、同じ種別であればエリアやレベルについては問わないこととする。
【0064】
そして、キャッシュ26に格納されている災危情報の内、今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機に関する災危情報が格納されていないと判定された場合(S22:NO)、即ち今回受信したのが新規の情報である場合については破棄せずにキャッシュ26に格納対象とする(S23)。但し、前記S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならないので、所定レベル未満の災危情報については破棄対象としても良い。その後、情報更新処理(S4)は行わずにS5へと移行する。
【0065】
一方、キャッシュ26に格納されている災危情報の内、今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機に関する災危情報が格納されていると判定された場合(S22:YES)には、S24へと移行する。
【0066】
S24においてCPU31は、今回新たに受信した災危情報が特に津波に関する災危情報であるか否かを判定する。CPU31は災危情報に含まれる災害種別コードを参照することにより、どのような災害又は危機に対する災危情報であるかを判定することが可能である。
【0067】
そして、今回新たに受信した災危情報が津波に関する災危情報であると判定された場合(S24:YES)には、S26へと移行する。それに対して、今回新たに受信した災危情報が津波に関する災危情報でないと判定された場合(S24:NO)には、S25へと移行する。S25では津波以外の災危情報を対象として重複判定処理を行い、その後にS4へと移行する。尚、以下では特に津波の災危情報を対象とした重複判定処理について説明することとし、津波以外の災危情報を対象とした重複判定処理については説明を省略する。
【0068】
S26においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報(正確には提供の対象となり得る情報であり。実際に提供されるかは前述したS5~S11においてユーザの現在位置やルートから最終決定される、以下同じ)と今回新たに受信した災危情報について、発表時刻を比較し、発表時刻が同等か否かを判定する。尚、災危通報を用いて配信された時刻或いは災危管理センタ2において災危情報が生成された時刻を発表時刻という。発表時刻については両者が完全に一致している必要はなく、例えば数秒の差であれば誤差とみなして同等とするのが望ましい。
【0069】
そして、発表時刻が同等と判定された場合(S26:YES)には、S27へと移行する。それに対して、発表時刻が同等でないと判定された場合(S26:NO)には、S33へと移行する。
【0070】
S27においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機のレベルを比較し、レベルが同等か否かを判定する。尚、津波に関してはレベルが4段階あり、“大津波警報・発表”が最も警報のレベルが高く、続いて“大津波警報”、“津波警報”、“警報解除”の順となる。
【0071】
そして、災害又は危機のレベルが同等と判定された場合(S27:YES)には、S28へと移行する。それに対して、災害又は危機のレベルが同等でないと判定された場合(S27:NO)には、S37へと移行する。
【0072】
S28においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機の発生したエリアを比較し、エリアについても完全に一致したか否かを判定する。ここで、図2に示すように特に広範囲にわたる災害又は危機が発生した場合において災危情報は複数のエリアを対象とした情報となる場合がある。従って、今回新たに受信した災危情報が複数のエリアを対象にした情報である場合には、S27及びS28では今回新たに受信した災危情報が対象とする全てのエリア毎にそのエリアのレベルがキャッシュ26に格納された災危情報と同等か否かを判定することとなる。尚、どのエリアを対象とした情報であるかはコードによって特定される。例えば図2に示すようにコード1150であれば『北海道太平洋沿岸東部』を対象とした情報であることを示す。
【0073】
そして、エリアについても完全に一致すると判定された場合(S28:YES)、即ち発表時刻、レベル、エリアの全ての要素について同じ情報が既にキャッシュ26に格納されている場合には、今回新たに受信した災危情報については格納する必要がない(既に格納されている情報を用いて情報提供を行えば良い)ので破棄対象とする(S29)。その後、S5へと移行する。
【0074】
一方、エリアについて完全に一致しないと判定された場合(S28:NO)には、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むか否かを判定する(S30)。尚、前記S30において判定基準となる所定レベルは適宜設定可能であるが、例えば津波であれば“大津波警報”とする。即ち、“大津波警報・発表”又は“大津波警報”であればYESと判定される。
【0075】
そして、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むと判定された場合(S30:YES)には、今回新たに受信した災危情報については更新対象となることが予想される(S8及びS10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知しているか否かに関わらず、所定レベル以上の災危情報は報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。
【0076】
一方、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルがどのエリアも所定レベル未満であると判定された場合(S30:NO)には、S31へと移行する。
【0077】
S31においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機の発生したエリアを比較し、一致するエリアがあるか否かを判定する。
【0078】
そして、一致するエリアがあると判定された場合(S31:YES)には、少なくとも一致するエリアについては今回新たに受信した災危情報が更新対象となることが予想される(S10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知しているエリアについては、所定レベル未満の災危情報であっても報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。尚、今回新たに受信した災危情報の内、キャッシュ26に格納された災危情報と一致しないエリアの災危情報については格納する必要がない(S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならない)ので破棄対象とするのが望ましい。
【0079】
一方、一致するエリアがないと判定された場合(S31:NO)には、今回新たに受信した災危情報については格納する必要がない(S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならない)ので破棄対象とする(S32)。その後、S5へと移行する。
【0080】
また、前記S26において発表時刻が同等でないと判定された場合(S26:NO)に実行されるS33では、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機のレベルを比較し、レベルが同等か否かを判定する。尚、津波に関してはレベルが4段階あり、“大津波警報・発表”が最も警報のレベルが高く、続いて“大津波警報”、“津波警報”、“警報解除”の順となる。
【0081】
そして、災害又は危機のレベルが同等と判定された場合(S33:YES)には、S34へと移行する。それに対して、災害又は危機のレベルが同等でないと判定された場合(S33:NO)には、S37へと移行する。
【0082】
S34においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機の発生したエリアを比較し、一致するエリアがあるか否かを判定する。
【0083】
そして、一致するエリアがあると判定された場合(S34:YES)には、少なくとも一致するエリアについては今回新たに受信した災危情報が更新対象となることが予想される(S10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知しているエリアについては、レベルに関わらず(レベルに変化がなかったとしても)報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。
【0084】
一方、一致するエリアがないと判定された場合(S34:NO)には、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むか否かを判定する(S35)。尚、前記S35において判定基準となる所定レベルは適宜設定可能であるが、例えば津波であれば“大津波警報”とする。即ち、“大津波警報・発表”又は“大津波警報”であればYESと判定される。
【0085】
そして、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むと判定された場合(S35:YES)には、今回新たに受信した災危情報については更新対象となることが予想される(S8及びS10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアであっても、所定レベル以上であれば報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。
【0086】
一方、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルがどのエリアも所定レベル未満であると判定された場合(S35:NO)には、今回新たに受信した災危情報については格納する必要がない(S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならない)ので破棄対象とする(S36)。その後、S5へと移行する。
【0087】
また、前記S27又は前記S33において災害又は危機のレベルが同等でないと判定された場合(S27:NO又はS33:NO)に実行されるS37では、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むか否かを判定する。尚、前記S37において判定基準となる所定レベルは適宜設定可能であるが、例えば津波であれば“大津波警報”とする。即ち、“大津波警報・発表”又は“大津波警報”であればYESと判定される。
【0088】
そして、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上のエリアを含むと判定された場合(S37:YES)には、今回新たに受信した災危情報については更新対象となることが予想される(S8及びS10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知しているか否かに関わらず、所定レベル以上の災危情報は報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。
【0089】
一方、今回新たに受信した災危情報によって特定される災害又は危機のレベルがどのエリアも所定レベル未満であると判定された場合(S37:NO)には、S38へと移行する。
【0090】
S38においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種の災危情報と今回新たに受信した災危情報について、災害又は危機の発生したエリアを比較し、一致するエリアがあるか否かを判定する。
【0091】
そして、一致するエリアがあると判定された場合(S38:YES)には、少なくとも一致するエリアについては今回新たに受信した災危情報が更新対象となることが予想される(S10にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知しているエリアについては、所定レベル未満の災危情報であっても報知の対象となる)ので破棄対象とせずにS4の情報更新処理へと移行する。尚、今回新たに受信した災危情報の内、キャッシュ26に格納された災危情報と一致しないエリアの災危情報については格納する必要がない(S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならない)ので破棄対象とするのが望ましい。
【0092】
一方、一致するエリアがないと判定された場合(S38:NO)には、今回新たに受信した災危情報については格納する必要がない(S8にて説明したように同種の災害又は危機が発生していることを現時点で報知していないエリアについては、所定レベル未満の災危情報は報知の対象ならない)ので破棄対象とする(S36)。その後、S5へと移行する。
【0093】
尚、災危通報によって図2に示すように14時49分、15時14分、15時30分、16時8分、18時47分、21時35分、22時53分の各時刻で災危情報を受信した場合において上記重複判定処理(図7)を行うと、破棄対象とされずに更新対象となる災危情報は図8に示す通りとなる。図8に示すように、同種の災害又は危機がキャッシュ26に格納されていないエリアについては、所定レベル以上(大津波警報以上)の災危情報のみが新規に格納され、その他は破棄対象となる。一方、同種の災害又は危機がキャッシュ26に格納されている場合については、災害や危機のレベルに関わらず破棄されることなく更新の対象となる。但し、発表時刻を含めて過去の情報と完全に一致する場合については所定レベル以上であっても破棄対象となる。また、既にキャッシュ26に格納されている情報よりも発表時刻が遅い情報(古い情報)についても後述の情報更新処理(図9)において破棄対象となる。
【0094】
次に、前記S4において実行される情報更新処理のサブ処理について図9に基づき説明する。図9は情報更新処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0095】
先ず、S41においてCPU31は、今回新たに受信した災危情報の情報形態が“発表”か“取り消し”のいずれかであるかを判定する。尚、災危情報の情報形態としては災害や危機が発生したことを発表する“発表”以外に、過去に発表された情報を取り消す為の“取り消し”も存在する。
【0096】
そして、今回新たに受信した災危情報の情報形態が“発表”である場合(S41:YES)には、S43へと移行する。それに対して、今回新たに受信した災危情報の情報形態が“取り消し”である場合(S41:NO)には、該当する情報をキャッシュ26から削除するなどの処理が行われる(S42)。但し、削除するのは取り消し情報の発表時刻が削除対象となる災危情報の発表時刻よりも新しい場合に限られる。尚、キャッシュ26から削除された災危情報に基づく報知(S9、S11)を行っていた場合については、報知も中止となる。
【0097】
次に、S43においてCPU31は、キャッシュ26に格納されている災危情報の内、今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機且つ同じエリアを対象とした災危情報を読み出す。
【0098】
その後、S44においてCPU31は、キャッシュ26に今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機且つ同じエリアを対象とした災危情報が格納されているか否かを判定する。
【0099】
そして、キャッシュ26に今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機且つ同じエリアを対象とした災危情報が格納されていないと判定された場合(S44:YES)、即ち今回受信したのが新規の情報である場合については破棄せずにキャッシュ26に格納対象とする(S45)。その後、S5へと移行する。
【0100】
一方、キャッシュ26に今回新たに受信した災危情報と同じ災害又は危機且つ同じエリアを対象とした災危情報が格納されていると判定された場合(S44:NO)には、S46へと移行する。
【0101】
S46においてCPU31は、過去に受信してキャッシュ26に格納され提供の対象となっている同種同エリアの災危情報(正確には提供の対象となり得る情報であり。実際に提供されるかは前述したS5~S11においてユーザの現在位置やルートから最終決定される、以下同じ)と今回新たに受信した災危情報について、発表時刻を比較し、今回受信した災危情報の方が発表時刻が新しいか否かを判定する。
【0102】
そして、今回受信した災危情報の方が発表時刻が新しいと判定された場合(S46:YES)、即ち今回受信したのが既にキャッシュ26に格納されている情報よりも新しい情報である場合については破棄せずにキャッシュ26に格納対象とする(S47)。その際には発表時刻が古い過去の情報に上書きする(情報更新)。その結果、報知対象となる情報を新たな災危情報へと更新した上で報知を継続して行うこととなる(S11)。但し、発表時刻以外の情報の内容が同じ場合には発表時刻のみ更新される場合もある。その後、S5へと移行する。
【0103】
一方、今回受信した災危情報の方が発表時刻が古い又は同等と判定された場合(S46:NO)には、今回新たに受信した災危情報については格納する必要がない(既に格納されている情報を用いて情報提供を行えば良い)ので破棄対象とする(S48)。その場合には、過去に受信した災危情報に基づく報知を継続して行うこととなる(S11)。その後、S5へと移行する。
【0104】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る災危情報提供システム1、通信端末5及び通信端末5で実行されるコンピュータプログラムでは、災害又は危機が発生した場合に、発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を特定する情報を含む災危情報を所定間隔で取得し(S1、S12)、取得した災危情報に基づいて発生した災害又は危機の種別と、災害又は危機が発生したエリアと、発生した災害又は危機のレベルと、を報知する(S9、S11)場合において、新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを報知していないエリアである場合には、新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが所定レベル以上であることを条件に当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を行い(S8、S9)、一方で新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合には、新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルに関わらず当該エリアで発生した災害又は危機に関する情報の報知を継続して行う(S10、S11)ので、災害又は危機のレベルが所定レベル以上の情報を対象としてユーザに提供することで、ユーザにとって必要と思われる情報を選別して提供することが可能となる。一方で、災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアについてはその後に災害又は危機のレベルが所定レベル未満となっても情報の報知を継続して行うので、情報提供の終了に伴ってユーザの誤認が生じることを防止することが可能となる。
また、新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合で、且つ新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが既に報知しているレベルと異なる場合には、報知対象となる情報を新たな災危情報へと更新した上で報知を継続して行う(S11)ので、ユーザは発生した災害や危機に関する最新の情報を把握することが可能となる。
また、災危情報には、情報を発表した発表時刻を特定する情報も含み、新たな災危情報を取得した場合であって取得した災危情報によって特定されるエリアが同種の災害又は危機が発生していることを既に報知しているエリアである場合で、且つ新たな災危情報によって特定される災害又は危機のレベルが既に報知しているレベルと同じ場合に、新たな災危情報の発表時刻が既に報知している災危情報の発表時刻と同じ又は古い時刻である場合には、新たな災危情報は破棄した上で過去に取得した前記災危情報に基づく報知を継続して行う(S48)一方、新たな災危情報の発表時刻が既に報知している災危情報の発表時刻よりも新しい場合には、報知対象となる情報を新たな前記災危情報へと更新した上で報知を継続して行う(S47)ので、同じ内容の危機情報であっても発表時刻が更新された場合には新しい発表時刻に基づく危機情報に基づく報知を行うことが可能となる。
また、取得してから所定の有効期限を経過するまでの災危情報を報知対象とするので、古い誤った情報により報知が行われることを防止することが可能となる。
【0105】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では、特に津波が発生した場合の災危情報を例に挙げて説明したが、津波以外の災害や危機に関する災危情報に対しても同様の処理が可能である。災害又は危機の種別としては、例えば地震、津波、洪水、噴火、テロ、避難勧告などが挙げられる。
【0106】
また、本実施形態では発生した災害又は危機のレベルを津波の高さ(警報の種類)としているが、例えば津波の影響する範囲の広さ、影響する時間の長さをレベルとしても良い。
【0107】
また、本実施形態では、ユーザが車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段(例えば電車など)に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態、或いは特定の地点に滞在している状態であっても良い。
【0108】
また、本実施形態では、通信端末5を車載器であるナビゲーション装置に適用した例について説明したが、ナビ機能と情報を出力する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0109】
また、本実施形態では、図4に示す情報提供処理プログラムの各処理(S1~S13)について通信端末5が実行する構成としているが、一部或いは全部を通信端末5と通信可能に接続された外部のサーバが行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0110】
1…災危情報提供システム、2…災危管理センタ、3…みちびき(衛星)、4…ユーザ、5…通信端末、13…ナビゲーションECU、21…GNSS、26…キャッシュ、40…走行案内画面、41…ポップアップ画面
図1
図2
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図9