(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134572
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ワイパ制御装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/08 20060101AFI20240927BHJP
H02P 7/00 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
B60S1/08 D
B60S1/08 B
H02P7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044829
(22)【出願日】2023-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天本 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 友勝
【テーマコード(参考)】
3D225
5H571
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE02
3D225AE57
3D225AG07
3D225AG78
3D225AG79
5H571AA03
5H571BB07
5H571CC04
5H571HA04
5H571HA07
5H571JJ03
5H571JJ04
5H571JJ28
5H571LL23
5H571LL44
(57)【要約】
【課題】ワイパモータを駆動させる素子、これらに接続された配線、ワイパモータおよびワイパの異常を判定するワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】ワイパ制御装置30の判定部64は、電源電圧Vbと、Hi電圧Vm_Hiと、Lo電圧Vm_Loと、第1Hi閾値Vm_Hi_th1と、第1Lo閾値Vm_Lo_th1と、第2Hi閾値Vm_Hi_th2と、第2Lo閾値Vm_Lo_th2とに基づいて、Hiスイッチ35、Loスイッチ45、Hi配線37、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパに異常があるか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパ制御装置であって、
回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、
前記ワイパモータの前記第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、
オンすることにより、前記第1配線を介して電源電圧(Vb)を前記第1端子に印加することで、前記ワイパモータを回転させる第1駆動素子(35)と、
オンすることにより、前記第2配線を介して前記電源電圧を前記第2端子に印加することで、前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときよりも低速で前記ワイパモータを回転させる第2駆動素子(45)と、
異常を判定する判定部(64)と、
を備え、
前記判定部は、
前記電源電圧と、
前記第1端子の電圧(Vm_Hi)と、
前記第2端子の電圧(Vm_Lo)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ前記電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ前記電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、
に基づいて、前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第1配線、前記第2配線、前記ワイパモータおよび前記ワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第1配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きい、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第2端子の電圧が前記電源電圧以上、前記第4電圧に関する値未満であるとき、
前記第2駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第2駆動素子、前記第2配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項6】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項7】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第3電圧に関する値よりも大きく、前記電源電圧以下であるとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項1または2のワイパ制御装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第2駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項1または2のワイパ制御装置。
【請求項10】
ワイパ制御装置であって、
回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、
前記ワイパモータの前記第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、
オンすることにより、電源電圧(Vb)を印加する第1駆動素子(71)と、
前記第1配線および前記第2配線と接続されているとともに、オンオフすることにより、前記第1駆動素子からの前記電源電圧を前記第1端子および前記第2端子のどちらかに印加する第2駆動素子(72)と、
異常を判定する判定部(64)と、
を備え、
前記ワイパモータは、前記第2配線を介して前記電源電圧が前記第2端子に印加されるとき、前記第1配線を介して前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときよりも低速で回転し、
前記判定部は、
前記電源電圧と、
前記第1端子の電圧(Vm_Hi)と、
前記第2端子の電圧(Vm_Lo)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ前記電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ前記電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、
に基づいて、前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第1配線、前記第2配線、前記ワイパモータおよび前記ワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置。
【請求項11】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第1配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する請求項10に記載のワイパ制御装置。
【請求項12】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きい、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項13】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第2端子の電圧が前記電源電圧以上、前記第4電圧に関する値未満であるとき、
前記第2駆動素子に異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項14】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第2配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項15】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項16】
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第3電圧に関する値よりも大きく、前記電源電圧以下であるとき、
前記第2駆動素子に異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項17】
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【請求項18】
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する請求項10または11に記載のワイパ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイパ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、ワイパを駆動させるワイパモータと、ワイパモータへの通電をオンオフする半導体スイッチ素子と、半導体スイッチ素子のオンオフを制御するコントローラと、を有するワイパ制御装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載されたワイパ制御装置において、ワイパモータの2つの端子にかかる電圧を検出することで、半導体スイッチ素子がオンオフできない等の異常を判定することが考えられる。しかし、一方の端子に電圧が印加されてワイパモータが回転するとき、ワイパモータによる誘導起電力がもう一方の端子に発生する。このため、2つの端子の両方に電圧がかかることから、半導体スイッチ素子の異常判定が困難であるとともに、半導体スイッチ素子に接続されている配線、ワイパモータおよびワイパの異常判定が困難である。
【0005】
本開示は、ワイパモータを駆動させる素子、これらに接続された配線、ワイパモータおよびワイパの異常を判定するワイパ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ワイパ制御装置であって、回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、ワイパモータの第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、オンすることにより、第1配線を介して電源電圧(Vb)を第1端子に印加することで、ワイパモータを回転させる第1駆動素子(35)と、オンすることにより、第2配線を介して電源電圧を第2端子に印加することで、電源電圧が第1端子に印加されるときよりも低速でワイパモータを回転させる第2駆動素子(45)と、異常を判定する判定部(64)と、を備え、判定部は、電源電圧と、第1端子の電圧(Vm_Hi)と、第2端子の電圧(Vm_Lo)と、電源電圧が第1端子および第2端子に印加されていないときの第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、電源電圧が第1端子および第2端子に印加されていないときの第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、電源電圧が第2端子に印加されるときにワイパモータが回転することにより発生する第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、電源電圧が第1端子に印加されるときにワイパモータが回転することにより発生する第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、に基づいて、第1駆動素子、第2駆動素子、第1配線、第2配線、ワイパモータおよびワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置である。
【0007】
また、請求項10に記載の発明は、ワイパ制御装置であって、回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、ワイパモータの第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、オンすることにより、電源電圧(Vb)を印加する第1駆動素子(71)と、第1配線および第2配線と接続されているとともに、オンオフすることにより、第1駆動素子からの電源電圧を第1端子および第2端子のどちらかに印加する第2駆動素子(72)と、異常を判定する判定部(64)と、を備え、ワイパモータは、第2配線を介して電源電圧が第2端子に印加されるとき、第1配線を介して電源電圧が第1端子に印加されるときよりも低速で回転し、判定部は、電源電圧と、第1端子の電圧(Vm_Hi)と、第2端子の電圧(Vm_Lo)と、電源電圧が第1端子および第2端子に印加されていないときの第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、電源電圧が第1端子および第2端子に印加されていないときの第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、電源電圧が第2端子に印加されるときにワイパモータが回転することにより発生する第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、電源電圧が第1端子に印加されるときにワイパモータが回転することにより発生する第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、に基づいて、第1駆動素子、第2駆動素子、第1配線、第2配線、ワイパモータおよびワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置である。
【0008】
これにより、第1駆動素子、第2駆動素子、第1配線、第2配線、ワイパモータおよびワイパの異常が判定される。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のワイパ制御装置が用いられるワイパ駆動システムの構成図。
【
図3】ワイパ駆動システムのワイパモータの通電時および非通電時における電圧と時間の関係図。
【
図4】ワイパ制御装置の判定部の処理を示すフローチャート。
【
図7】正常時、Hi側オフ異常時およびワイパ固定異常時におけるワイパモータの電圧と時間の関係図。
【
図8】正常時、Lo側オン異常時およびLo側オフ異常時におけるワイパモータの電圧と時間の関係図。
【
図9】正常時およびHi側オン異常時におけるワイパモータの電圧と時間の関係図。
【
図10】第2実施形態のワイパ制御装置が用いられるワイパ駆動システムの構成図。
【
図11】正常時、オフ異常時およびワイパ固定異常時におけるワイパモータの電圧と時間の関係図
【
図12】正常時および第2素子異常時におけるワイパモータの電圧と時間の関係図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態のワイパ制御装置30は、車両のワイパ駆動システム1に用いられる。まず、このワイパ駆動システム1について説明する。
【0013】
ワイパ駆動システム1は、
図1に示すように、モータユニット10、モータ用グラウンド12、モータ用電源14、ワイパスイッチ16およびワイパ制御装置30を備えている。
【0014】
モータユニット10は、ワイパモータ100を有する。ワイパモータ100は、Hi端子104、Lo端子106およびGND端子108を含む。Hi端子104およびLo端子106は、後述のワイパ制御装置30に接続されている。GND端子108は、モータ用グラウンド12に接続されている。ワイパモータ100は、Hi端子104への通電によって比較的高速で回転する。また、ワイパモータ100は、Lo端子106への通電によってHi端子104への通電時よりも低速で回転する。そして、ワイパモータ100の回転とワイパモータ100と接続された図示しないリンク機構により、
図2に示すような車両のワイパ90が動作する。このとき、ワイパ90は、図示しないウィンドシールド上の下反転位置Pdおよび上反転位置Puの間を往復する。
【0015】
また、ワイパモータ100は、Hi端子104およびLo端子106のどちらか一方への通電により回転するときに非通電の端子に誘導起電力を発生させる特性を有する。具体的には、
図3に示すように、Hi端子104が電源電圧Vbで通電され、かつ、Lo端子106が非通電とされているとき、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。このとき、ワイパモータ100が高速で回転することにより誘導起電力がLo端子106に発生する。このため、このとき、Lo電圧Vm_Loは、Lo誘導起電力Vf_Loとなる。また、Hi端子104が非通電とされ、かつ、Lo端子106が電源電圧Vbで通電されているとき、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。このとき、ワイパモータ100が低速で回転することにより誘導起電力がHi端子104に発生する。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、Hi誘導起電力Vf_Hiとなる。なお、電源電圧Vbは、モータ用電源14の電圧である。また、Hi電圧Vm_Hiは、Hi端子104の電圧である。さらに、Lo電圧Vm_Loは、Lo端子106の電圧である。また、Hi端子104およびLo端子106が非通電とされているとき、Hi電圧Vm_HiおよびLo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロである。
【0016】
ここで、Hi端子104が電源電圧Vbで通電され、かつ、Lo端子106が非通電とされているときのワイパモータ100の回転数をHi回転数Nm_Hiとする。さらに、Hi端子104が非通電とされ、かつ、Lo端子106が電源電圧Vbで通電されているときのワイパモータ100の回転数をLo回転数Nm_Loとする。このとき、ワイパモータ100がLo端子106への通電によってHi端子104への通電時よりも低速で回転することから、Lo回転数Nm_Loは、Hi回転数Nm_Hiよりも小さい。例えば、Lo回転数Nm_Loは、Hi回転数Nm_Hiの2/3である。また、Hi誘導起電力Vf_Hiは、下記関係式(1-1)に示すように、電源電圧VbとLo回転数Nm_Loとが乗算された値をHi回転数Nm_Hiで除算した値となる。さらに、Lo誘導起電力Vf_Loは、下記関係式(1-2)に示すように、電源電圧VbとHi回転数Nm_Hiとが乗算された値をLo回転数Nm_Loで除算した値となる。また、Lo回転数Nm_LoがHi回転数Nm_Hiよりも小さいことから、Hi誘導起電力Vf_Hiは、電源電圧Vbよりも小さい。さらに、Hi回転数Nm_HiがLo回転数Nm_Loよりも大きいことから、Lo誘導起電力Vf_Loは、電源電圧VbおよびHi誘導起電力Vf_Hiよりも大きい。
【0017】
Vf_Hi=Vb×Nm_Lo/Nm_Hi
Vf_Lo=Vb×Nm_Hi/Nm_Lo
【0018】
図1に戻って、モータ用電源14は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池および鉛蓄電池等の2次電池である。また、モータ用電源14の電圧は、例えば、12Vである。
【0019】
ワイパスイッチ16は、操作者により操作されて、ワイパ90の動作状態を後述するHiモード、Loモードおよび停止のいずれかにさせる信号を、後述のワイパ制御装置30の制御部60に出力する。
【0020】
ワイパ制御装置30は、ワイパモータ100に印加される電圧を制御することでワイパモータ100を制御する。これにより、ワイパ制御装置30は、ワイパモータ100に接続されているワイパ90の駆動を制御する。具体的には、ワイパ制御装置30は、Hiスイッチ35、Hi配線37、Loスイッチ45、Lo配線47および制御部60を有する。
【0021】
Hiスイッチ35は、リレーまたはトランジスタ等を含む。また、Hiスイッチ35の一端は、モータ用電源14と接続されている。さらに、Hiスイッチ35の他端は、Hi配線37を介してHi端子104に接続されている。また、Hiスイッチ35は、後述の制御部60からの信号により、オンオフする。これにより、Hi端子104への通電または電流の遮断がされる。
【0022】
Loスイッチ45は、リレーまたはトランジスタ等を含む。また、Loスイッチ45の一端は、モータ用電源14と接続されている。さらに、Loスイッチ45の他端は、Lo配線47を介してLo端子106に接続されている。また、Loスイッチ45は、後述の制御部60からの信号により、オンオフする。これにより、Lo端子106への通電または電流の遮断がされる。
【0023】
制御部60は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路、A/Dコンバータ、コンパレータ回路、DCDCコンバータ、ローパスフィルタおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、制御部60は、モータ用電源14または図示しない電源からの電圧によって駆動する。さらに、制御部60は、駆動部62および判定部64を機能ブロックとして有する。
【0024】
駆動部62は、制御部60に内蔵のプログラムを実行することにより、ワイパスイッチ16および後述の判定部64からの信号に基づいて、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45のオンオフを制御する。これにより、駆動部62は、ワイパモータ100に印加される電圧を制御する。このため、ワイパ90の動作状態がHiモード、Loモードおよび停止のいずれかになる。
【0025】
判定部64は、制御部60に内蔵のプログラムを実行することにより、ワイパスイッチ16からの信号と、電源電圧Vbと、Hi電圧Vm_Hiと、Lo電圧Vm_Loと、を取得する。また、判定部64は、これらの取得した値と、Hi誘導起電力Vf_Hiと、Lo誘導起電力Vf_Loと、に基づいて、Hiスイッチ35、Hi配線37、Loスイッチ45、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパ90の異常を判定する。
【0026】
以上のように、ワイパ駆動システム1は、構成されている。次に、制御部60のプログラム実行による駆動部62でのワイパ90の動作状態がHiモードおよびLoモードにされることについて説明する。なお、例えば、制御部60のプログラムは、図示しない車両のイグニッションがオンされると、実行される。
【0027】
(Hiモード)
操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態をHiモードにさせる信号を駆動部62に出力していたとする。このとき、駆動部62は、Hiスイッチ35をオンさせる。このため、モータ用電源14からHiスイッチ35、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Lo端子106への通電時よりも高速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されているワイパ90が高速で回転する。なお、このとき、Loスイッチ45は、オフされている。
【0028】
(Loモード)
また、操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態をLoモードにさせる信号を駆動部62に出力していたとする。このとき、駆動部62は、Loスイッチ45をオンさせる。このため、モータ用電源14からLoスイッチ45、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されているワイパ90が低速で回転する。なお、このとき、Hiスイッチ35は、オフされている。
【0029】
以上のように、駆動部62は、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45のオンオフを制御することにより、ワイパ90の動作状態をHiモードおよびLoモードにする。なお、操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態を停止させる信号を駆動部62に出力したとき、駆動部62は、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45をオフさせる。これにより、ワイパ90が下反転位置Pdで停止するようワイパモータ100の回転が停止する。
【0030】
次に、制御部60のプログラム実行による判定部64での異常判定について、
図4、
図5および
図6のフローチャートならびに
図7、
図8および
図9のタイムチャートを参照して説明する。
【0031】
図4のフローチャートに示すように、ステップS100において、判定部64は、各種情報を取得する。具体的には、判定部64は、ワイパ90の動作状態をHiモード、Loモードおよび停止のいずれかにさせる信号を、ワイパスイッチ16から取得する。また、判定部64は、モータ用電源14に接続された配線を介して電源電圧Vbを取得する。さらに、判定部64は、Hi配線37を介してHi電圧Vm_Hiを取得する。また、判定部64は、Lo配線47を介してLo電圧Vm_Loを取得する。
【0032】
続いて、ステップS102において、判定部64は、ステップS100にて取得したワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をHiモードにさせる信号であるか否かを判定する。ワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をHiモードにさせる信号であるとき、判定部64の処理は、ステップS104に移行する。また、ワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をHiモードにさせる信号でないとき、すなわち、ワイパ90の動作状態をLoモードおよび停止のどちらかにさせる信号であるとき、判定部64の処理は、ステップS200に移行する。
【0033】
ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、Hiスイッチ35がオンされる。これにより、電源電圧VbがHiスイッチ35、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図7~
図9の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が高速で回転することにより、誘導起電力がLo端子106に発生する。このため、このとき、Lo電圧Vm_Loは、Lo誘導起電力Vf_Loとなる。
【0034】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Hiスイッチ35がオンされない、または、Hi配線37が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常が発生したとする。このとき、電源電圧VbがHi端子104に印加されないため、
図7の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がLo端子106に発生しない。したがって、このとき、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。なお、以下では、便宜的に、Hiスイッチ35がオンされない、または、Hi配線37が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常を、Hi側オフ異常と記載する。
【0035】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、積雪や異物の堆積等の外部要因によりワイパ90が固定されて動作できない異常が発生したとする。このとき、Hiスイッチ35は、オンされる。これにより、電源電圧VbがHiスイッチ35、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、ワイパ90が固定されていることから、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がLo端子106に発生しない。したがって、このとき、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。なお、以下では、便宜的に、積雪や異物の堆積等の外部要因によりワイパ90が固定されて動作できない異常を、ワイパ固定異常と記載する。
【0036】
よって、
図4のフローチャートに戻って、ステップS102に続くステップS104において、判定部64は、ステップS100にて取得したLo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、Hi側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定する。なお、第1Lo閾値Vm_Lo_th1は、例えば、ゼロであって、Hi側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かが判定されるように、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0037】
そして、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとき、Lo電圧Vm_Loが、例えば、ゼロであるため、Hi側オフ異常またはワイパ固定異常がある。このとき、判定部64の処理は、ステップS106に移行する。また、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1より大きいとき、Hi側オフ異常およびワイパ固定異常はない。このとき、判定部64の処理は、ステップS112に移行する。
【0038】
ステップS104に続くステップS106において、判定部64は、ステップS100にて取得したHi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、異常がHi側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定する。なお、第1Hi閾値Vm_Hi_th1は、例えば、ゼロであって、異常がHi側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかが判定されるように、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0039】
そして、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるとき、ワイパ90の動作状態がHiモードであるが、Hi電圧Vm_HiおよびLo電圧Vm_Loがともに、例えば、ゼロである。よって、このときの異常は、Hi側オフ異常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS108に移行する。ステップS108において、判定部64は、Hi側オフ異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0040】
また、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きいとき、Hi端子104に電圧が印加されている。したがって、このとき、ワイパ90の動作状態がHiモードであって、Hi電圧Vm_Hiが電源電圧Vbとなっているが、Lo電圧Vm_Loが、例えば、ゼロである。よって、誘導起電力が発生していないことから、ワイパ90およびワイパモータ100が駆動されていないため、このときの異常は、ワイパ固定異常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS110に移行する。ステップS110において、判定部64は、ワイパ固定異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0041】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Loスイッチ45がオフされない、または、モータ用電源14とLo配線47とが直接導通する等の異常が発生したとする。このとき、Hiスイッチ35は、オンされる。これにより、電源電圧VbがHiスイッチ35、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図8の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、上記異常により、Lo端子106にも、電源電圧Vbが印加される。したがって、Lo電圧Vm_Loも、電源電圧Vbとなる。なお、以下では、便宜的に、Loスイッチ45がオフされない、または、モータ用電源14とLo配線47とが直接導通する等の異常を、Lo側オン異常と記載する。
【0042】
よって、
図4のフローチャートに戻って、ステップS104に続くステップS112において、判定部64は、ステップS100にて取得したLo電圧Vm_Loが電源電圧Vb以上、第2Lo閾値Vm_Lo_th2未満であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、Lo側オン異常があるか否かを判定する。なお、第2Lo閾値Vm_Lo_th2は、Lo誘導起電力Vf_Lo以下かつ電源電圧Vbよりも大きい値であって、例えば、ここでは、Lo誘導起電力Vf_Loである。また、第2Lo閾値Vm_Lo_th2は、Lo側オン異常があるか否かが判定されるように、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0043】
そして、Lo電圧Vm_Loが電源電圧Vb以上、第2Lo閾値Vm_Lo_th2未満であるとき、Lo電圧Vm_LoがLo誘導起電力Vf_Loではなく、例えば、電源電圧Vbであるため、Lo側オン異常がある。このとき、判定部64の処理は、ステップS114に移行する。ステップS114において、判定部64は、Lo側オン異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0044】
また、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きく電源電圧Vb未満、または、第2Lo閾値Vm_Lo_th2以上であるとき、Lo誘導起電力Vf_Loである可能性が高いため、ワイパ駆動システム1は、正常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS116に移行する。ステップS116において、判定部64は、ワイパ駆動システム1が正常であると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0045】
また、
図5のフローチャートに示すように、ステップS102に続くステップS200において、判定部64は、ステップS100にて取得したワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をLoモードにさせる信号であるか否かを判定する。ワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をLoモードにさせる信号であるとき、判定部64の処理は、ステップS202に移行する。また、ワイパスイッチ16からの信号がワイパ90の動作状態をLoモードにさせる信号でないとき、すなわち、ワイパ90の動作状態を停止にさせる信号であるとき、判定部64の処理は、ステップS300に移行する。
【0046】
ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、Loスイッチ45がオンされる。これにより、電源電圧VbがLoスイッチ45、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図7~
図9の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が低速で回転することにより、誘導起電力がHi端子104に発生する。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、Hi誘導起電力Vf_Hiとなる。
【0047】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Loスイッチ45がオンされない、または、Lo配線47が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常が発生したとする。このとき、電源電圧VbがLo端子106に印加されないため、
図8の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がHi端子104に発生しない。したがって、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。なお、以下では、便宜的に、Loスイッチ45がオンされない、または、Lo配線47が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常を、Lo側オフ異常と記載する。
【0048】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、ワイパ固定異常が発生したとする。このとき、Loスイッチ45は、オンされる。これにより、電源電圧VbがLoスイッチ45、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図7の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、ワイパ90が固定されていることから、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がHi端子104に発生しない。したがって、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。
【0049】
よって、
図5のフローチャートに戻って、ステップS200に続くステップS202において、判定部64は、ステップS100にて取得したHi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、Lo側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定する。なお、第1Hi閾値Vm_Hi_th1は、上記したように、例えば、ゼロであって、異常がHi側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定するための閾値である。また、ここでは、第1Hi閾値Vm_Hi_th1は、Lo側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定するための閾値にもされている。さらに、異常がHi側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定するための閾値と、Lo側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定するための閾値とは、異なる値であってもよい。
【0050】
そして、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるとき、Hi電圧Vm_Hiが、例えば、ゼロであるため、Lo側オフ異常またはワイパ固定異常がある。このとき、判定部64の処理は、ステップS204に移行する。また、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きいとき、Lo側オフ異常およびワイパ固定異常はない。このとき、判定部64の処理は、ステップS208に移行する。
【0051】
ステップS202に続くステップS204において、判定部64は、ステップS100にて取得したLo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、異常がLo側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定する。なお、第1Lo閾値Vm_Lo_th1は、上記したように、例えば、ゼロであって、Hi側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定するための閾値である。また、ここでは、第1Lo閾値Vm_Lo_th1は、異常がLo側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定するための閾値にもされている。さらに、Hi側オフ異常またはワイパ固定異常があるか否かを判定するための閾値と、異常がLo側オフ異常およびワイパ固定異常のどちらであるかを判定するための閾値とは、異なる値であってもよい。
【0052】
そして、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとき、ワイパ90の動作状態がLoモードであるが、Lo電圧Vm_LoおよびHi電圧Vm_Hiがともに、例えば、ゼロである。よって、このときの異常は、Lo側オフ異常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS206に移行する。ステップS206において、判定部64は、Lo側オフ異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0053】
また、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとき、Lo端子106に電圧が印加されている。したがって、このとき、ワイパ90の動作状態がLoモードであって、Lo電圧Vm_Loが電源電圧Vbとなっているが、Hi電圧Vm_Hiが、例えば、ゼロである。よって、誘導起電力が発生していないことから、ワイパ90およびワイパモータ100が駆動していないため、このときの異常は、ワイパ固定異常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS110に移行する。ステップS110において、判定部64は、ワイパ固定異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0054】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hiスイッチ35がオフされない、または、モータ用電源14とHi配線37とが直接導通する等の異常が発生したとする。このとき、Loスイッチ45は、オンされる。これにより、電源電圧VbがLoスイッチ45、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図9の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、上記異常により、Hi端子104にも、電源電圧Vbが印加される。したがって、Hi電圧Vm_Hiも、電源電圧Vbとなる。なお、以下では、便宜的に、Hiスイッチ35がオフされない、または、モータ用電源14とHi配線37とが直接導通する等の異常を、Hi側オン異常と記載する。
【0055】
よって、
図5のフローチャートに戻って、ステップS202に続くステップS208において、判定部64は、ステップS100にて取得したHi電圧Vm_Hiが第2Hi閾値Vm_Hi_th2よりも大きく、電源電圧Vb以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、Hi側オン異常があるか否かを判定する。なお、第2Hi閾値Vm_Hi_th2は、Hi誘導起電力Vf_Hi以上かつ電源電圧Vbよりも小さい値であって、例えば、ここでは、Hi誘導起電力Vf_Hiである。また、第2Hi閾値Vm_Hi_th2は、Hi側オン異常があるか否かが判定されるように、実験やシミュレーション等によって設定される。
【0056】
そして、Hi電圧Vm_Hiが第2Hi閾値Vm_Hi_th2よりも大きく、電源電圧Vb以下であるとき、Hi電圧Vm_HiがHi誘導起電力Vf_Hiではなく、例えば、電源電圧Vbであるため、Hi側オン異常がある。このとき、判定部64の処理は、ステップS210に移行する。ステップS210において、判定部64は、Hi側オン異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0057】
また、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きく第2Hi閾値Vm_Hi_th2以下、または、電源電圧Vbよりも大きいとき、Hi誘導起電力Vf_Hiである可能性が高いため、ワイパ駆動システム1は、正常である。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS116に移行する。ステップS116において、判定部64は、ワイパ駆動システム1が正常であると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0058】
また、ここで、ワイパ90を停止させる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45は、オフされる。このとき、電源電圧VbがHi端子104およびLo端子106に印加されないため、
図7~
図9の時刻x0から時刻x1までの期間に示すように、Hi電圧Vm_HiおよびLo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。なお、
図7~
図9において、ワイパ90が停止する場合は、モードOFFとして示されている。
【0059】
さらに、ここで、ワイパ90を停止させる場合に、Lo側オン異常が発生したとする。このとき、Lo端子106に電源電圧Vbが印加される。このため、
図8の時刻x0から時刻x1までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。
【0060】
また、ここで、ワイパ90を停止させる場合に、Hi側オン異常が発生したとする。このとき、Hi端子104に電源電圧Vbが印加される。このため、
図9の時刻x0から時刻x1までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。
【0061】
よって、
図6のフローチャートに示すように、ステップS200に続くステップS300において、ワイパ90を停止させる場合である。このため、このとき、判定部64は、ステップS100にて取得したLo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下、かつ、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるか否かを判定する。これにより、判定部64は、Lo側オン異常およびHi側オン異常があるか否かを判定する。
【0062】
そして、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下、かつ、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下であるとき、Lo電圧Vm_LoおよびHi電圧Vm_Hiがともに、例えば、ゼロである。したがって、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45がオフされており、かつ、モータ用電源14とHi配線37およびLo配線47との導通異常もないことから、ワイパ駆動システム1が正常である。よって、このとき、判定部64の処理は、ステップS116に移行する。ステップS116において、判定部64は、ワイパ駆動システム1が正常であると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0063】
また、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとき、ワイパ90を停止させる場合であるが、Lo電圧Vm_Loが電源電圧Vbである可能性が高いため、Lo側オン異常がある。したがって、このとき、判定部64の処理は、ステップS302に移行する。ステップS302において、判定部64は、Lo側オン異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0064】
さらに、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きいとき、ワイパ90を停止させる場合であるが、Hi電圧Vm_Hiが電源電圧Vbである可能性が高いため、Hi側オン異常がある。よって、このとき、判定部64の処理は、ステップS302に移行する。ステップS302において、判定部64は、Hi側オン異常があると判定する。その後、判定部64の処理は、ステップS100に戻る。
【0065】
以上のように、判定部64は、Hiスイッチ35、Hi配線37、Loスイッチ45、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパ90の異常判定を行う。
【0066】
[1-1]以上のことから、上記異常判定を行うにあたり、本実施形態のワイパ制御装置30は、Hi配線37と、Lo配線47と、Hiスイッチ35と、Loスイッチ45と、判定部64と、を備える。Hi配線37は、Hi端子104に接続されている。Lo配線47は、Lo端子106に接続されている。Hiスイッチ35は、オンすることにより、Hi配線37を介して電源電圧VbをHi端子104に印加することで、ワイパモータ100を回転させる。Loスイッチ45は、オンすることにより、Lo配線47を介して電源電圧VbをLo端子106に印加することで、電源電圧VbがHi端子104に印加されるときよりも低速でワイパモータ100を回転させる。なお、Hi配線37は、第1配線に相当する。Hi端子104は、第1端子に相当する。Lo配線47は、第2配線に相当する。Lo端子106は、第2端子に相当する。Hiスイッチ35は、第1駆動素子に相当する。Loスイッチ45は、第2駆動素子に相当する。
【0067】
また、判定部64は、下記電圧および値に基づいて、Hiスイッチ35、Loスイッチ45、Hi配線37、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパ90に異常があるか否かを判定する。下記電圧および値とは、電源電圧Vbと、Hi電圧Vm_Hiと、Lo電圧Vm_Loと、第1Hi閾値Vm_Hi_th1と、第1Lo閾値Vm_Lo_th1と、第2Hi閾値Vm_Hi_th2と、第2Lo閾値Vm_Lo_th2とである。なお、Hi電圧Vm_Hiは、第1端子の電圧に相当する。Lo電圧Vm_Loは、第2端子の電圧に相当する。第1Hi閾値Vm_Hi_th1は、電源電圧Vbが第1端子および第2端子に印加されないときの第1端子の電圧である第1電圧に関する値に相当する。第1Lo閾値Vm_Lo_th1は、電源電圧Vbが第1端子および第2端子に印加されないときの第2端子の電圧である第2電圧に関する値に相当する。第2Hi閾値Vm_Hi_th2は、電源電圧Vbが第2端子に印加されるときにワイパモータ100が回転することにより発生する第1端子の電圧以上かつ電源電圧Vbよりも小さい電圧である第3電圧に関する値に相当する。また、電源電圧Vbが第2端子に印加されるときにワイパモータ100が回転することにより発生する第1端子の電圧は、Hi誘導起電力Vf_Hiに相当する。第2Lo閾値Vm_Lo_th2は、電源電圧Vbが第1端子に印加されるときにワイパモータ100が回転することにより発生する第2端子の電圧以下かつ電源電圧Vbよりも大きい電圧である第4電圧に関する値に相当する。さらに、電源電圧Vbが第1端子に印加されるときにワイパモータ100が回転することにより発生する第2端子の電圧は、Lo誘導起電力Vf_Loに相当する。
【0068】
これにより、Hiスイッチ35、Loスイッチ45、Hi配線37、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパ90の異常が判定される。
【0069】
[1-2]例えば、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、
図4のフローチャートおよび
図7のタイムチャートに示すように、Hi側オフ異常があると判定する。なお、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合は、電源電圧Vbが第1端子に印加されることでワイパモータ100が回転する場合に相当する。Hi側オフ異常があることは、第1駆動素子、第1配線およびワイパモータ100の少なくとも1つに異常があることに相当する。
【0070】
[1-3]さらに、例えば、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きい、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、ワイパ固定異常があると判定する。なお、ワイパ固定異常があることは、ワイパ90の固定異常があることに相当する。
【0071】
[1-4]また、例えば、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Lo電圧Vm_Loが電源電圧Vb以上、第2Lo閾値Vm_Lo_th2未満であるとする。このとき、判定部64は、
図4のフローチャートおよび
図8のタイムチャートに示すように、Lo側オン異常があると判定する。なお、Lo側オン異常があることは、第2駆動素子および第2配線の少なくとも一方に異常があることに相当する。
【0072】
[1-5]さらに、例えば、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、
図5のフローチャートおよび
図8のタイムチャートに示すように、Lo側オフ異常があると判定する。なお、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合は、電源電圧Vbが第2端子に印加されることでワイパモータ100が回転する場合に相当する。また、Lo側オフ異常があることは、第2駆動素子、第2配線およびワイパモータ100の少なくとも1つに異常があることに相当する。
【0073】
[1-6]また、例えば、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、
図4、
図5のフローチャートおよび
図7のタイムチャートに示すように、ワイパ固定異常があると判定する。
【0074】
[1-7]さらに、例えば、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第2Hi閾値Vm_Hi_th2よりも大きく、電源電圧Vb以下であるとする。このとき、判定部64は、
図5のフローチャートおよび
図9のタイムチャートに示すように、Hi側オン異常があると判定する。なお、Hi側オン異常があることは、前記第1配線および前記第1駆動素子の少なくとも一方に異常があることに相当する。
【0075】
[1-8]また、例えば、ワイパ90を停止させる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、
図6のフローチャートおよび
図9のタイムチャートに示すように、Hi側オン異常があると判定する。なお、ワイパ90を停止させる場合は、ワイパモータ100を停止させる場合に相当する。
【0076】
[1-9]さらに、例えば、ワイパ90を停止させる場合に、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、
図6のフローチャートおよび
図8のタイムチャートに示すように、Lo側オン異常があると判定する。
【0077】
(第2実施形態)
第2実施形態のワイパ制御装置30は、
図10に示すように、Hiスイッチ35およびLoスイッチ45に代えて、スイッチング用グラウンド70、第1スイッチング素子71および第2スイッチング素子72を備える。
【0078】
第1スイッチング素子71は、第1駆動素子に相当しており、リレーまたはトランジスタ等を含む。また、第1スイッチング素子71は、モータ用電源14、スイッチング用グラウンド70および後述の第2スイッチング素子72と接続されている。さらに、第1スイッチング素子71は、駆動部62からの信号により、オンオフする。また、第1スイッチング素子71は、オンするとき、後述の第2スイッチング素子72と導通する。さらに、第1スイッチング素子71は、オフするとき、スイッチング用グラウンド70と導通する。
【0079】
第2スイッチング素子72は、第2駆動素子に相当しており、リレーまたはトランジスタ等を含む。また、第2スイッチング素子72は、第1スイッチング素子71と接続されている。さらに、第2スイッチング素子72は、Hi配線37を介してHi端子104に接続されている。また、第2スイッチング素子72は、Lo配線47を介してLo端子106に接続されている。さらに、第2スイッチング素子72は、駆動部62からの信号により、オンオフする。また、ここでは、第2スイッチング素子72は、オンするとき、Hi配線37を介してHi端子104と導通する。さらに、第2スイッチング素子72は、オフするとき、Lo配線47を介してLo端子106と導通する。なお、第2スイッチング素子72は、オンするとき、Lo配線47を介してLo端子106と導通し、オフするとき、Hi配線37を介してHi端子104と導通してもよい。
【0080】
以上のように、第2実施形態のワイパ制御装置30は、構成されている。次に、第2実施形態における駆動部62でのワイパ90の動作状態がHiモードおよびLoモードにされることについて説明する。
【0081】
(Hiモード)
操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態をHiモードにさせる信号を駆動部62に出力していたとする。このとき、駆動部62は、第1スイッチング素子71をオンさせる。これにより、第1スイッチング素子71は、第2スイッチング素子72と導通する。また、このとき、駆動部62は、第2スイッチング素子72をオンさせる。このため、第2スイッチング素子72は、Hi配線37を介してHi端子104と導通する。したがって、モータ用電源14から第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Lo端子106への通電時よりも高速で回転する。このため、ワイパモータ100に接続されているワイパ90が高速で回転する。
【0082】
(Loモード)
また、操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態をLoモードにさせる信号を駆動部62に出力していたとする。このとき、駆動部62は、第1スイッチング素子71をオンさせる。これにより、第1スイッチング素子71は、第2スイッチング素子72と導通する。さらに、このとき、駆動部62は、第2スイッチング素子72をオフさせる。このため、第2スイッチング素子72は、Lo配線47を介してLo端子106と導通する。したがって、モータ用電源14から第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転する。このため、ワイパモータ100に接続されているワイパ90が低速で回転する。
【0083】
以上のように、駆動部62は、第1スイッチング素子71および第2スイッチング素子72のオンオフを制御することにより、ワイパ90の動作状態をHiモードおよびLoモードにする。なお、操作者の操作により、ワイパスイッチ16がワイパ90の動作状態を停止させる信号を駆動部62に出力したとき、駆動部62は、第1スイッチング素子71をオフさせる。これにより、第1スイッチング素子71は、スイッチング用グラウンド70と導通する。このため、モータ用電源14からの電圧がワイパモータ100に印加されないで、ワイパ90が下反転位置Pdで停止するようワイパモータ100の回転が停止する。
【0084】
次に、第2実施形態における判定部64での異常判定について、
図11および
図12のタイムチャートを参照して説明する。
【0085】
[2-1]判定部64は、第1実施形態と同様に、下記電圧および値に基づいて、Hiスイッチ35、Loスイッチ45、Hi配線37、Lo配線47、ワイパモータ100およびワイパ90に異常があるか否かを判定する。下記電圧および値とは、電源電圧Vbと、Hi電圧Vm_Hiと、Lo電圧Vm_Loと、第1Hi閾値Vm_Hi_th1と、第1Lo閾値Vm_Lo_th1と、第2Hi閾値Vm_Hi_th2と、第2Lo閾値Vm_Lo_th2とである。
【0086】
[2-2]ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、第1スイッチング素子71がオンされるとともに、第2スイッチング素子72がオンされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図11および
図12の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が高速で回転することにより、誘導起電力がLo端子106に発生する。このため、このとき、Lo電圧Vm_Loは、Lo誘導起電力Vf_Loとなる。
【0087】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、第1スイッチング素子71がオンされない、または、Hi配線37が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常が発生したとする。このとき、電源電圧VbがHi端子104に印加されないため、
図11の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がLo端子106に発生しない。したがって、このとき、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。なお、
図11において、第1スイッチング素子71がオンされない、または、Hi配線37が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常がオフ異常として記載されている。
【0088】
したがって、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、オフ異常があると判定する。なお、オフ異常があることは、第1駆動素子、第1配線およびワイパモータ100の少なくとも1つに異常があることに相当する。
【0089】
[2-3]また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、ワイパ固定異常が発生したとする。このとき、第1スイッチング素子71がオンされるとともに、第2スイッチング素子72がオンされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、ワイパ90が固定されていることから、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がLo端子106に発生しない。したがって、このとき、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。
【0090】
よって、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きい、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、ワイパ固定異常があると判定する。
【0091】
[2-4]また、ここで、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、第2スイッチング素子72がオンされないで、オフされるとする。このとき、第2スイッチング素子72は、Lo配線47を介してLo端子106と導通する。また、第1スイッチング素子71は、オンされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図12の時刻x2から時刻x3までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が低速で回転することにより、誘導起電力がHi端子104に発生する。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、Hi誘導起電力Vf_Hiとなる。なお、
図12において、第2スイッチング素子72がオンされないことが、第2素子異常として記載されている。
【0092】
よって、ワイパ90の動作状態をHiモードにさせる場合に、Lo電圧Vm_Loが電源電圧Vb以上、第2Lo閾値Vm_Lo_th2未満であるとする。このとき、判定部64は、第2スイッチング素子72に異常があると判定する。なお、第2スイッチング素子72に異常があることは、第2駆動素子に異常があることに相当する。
【0093】
[2-5]また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、第1スイッチング素子71がオンされるとともに、第2スイッチング素子72がオフされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図11および
図12の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が低速で回転することにより、誘導起電力がHi端子104に発生する。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、Hi誘導起電力Vf_Hiとなる。
【0094】
また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、第1スイッチング素子71がオンされない、または、Lo配線47が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常が発生したとする。このとき、電源電圧VbがLo端子106に印加されないため、
図11の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がHi端子104に発生しない。したがって、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。なお、
図11において、第1スイッチング素子71がオンされない、または、Lo配線47が断線している、または、ワイパモータ100の故障により駆動しない等の異常がオフ異常として記載されている。
【0095】
したがって、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1以下であるとする。このとき、判定部64は、オフ異常があると判定する。なお、オフ異常は、第1駆動素子、第2配線およびワイパモータ100の少なくとも1つに異常があることに相当する。
【0096】
[2-6]また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、ワイパ固定異常が発生したとする。このとき、第1スイッチング素子71がオンされるとともに、第2スイッチング素子72がオフされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図11の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。しかし、このとき、ワイパ90が固定されていることから、ワイパモータ100が回転しないため、誘導起電力がHi端子104に発生しない。したがって、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、例えば、ゼロとなる。
【0097】
よって、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1以下、かつ、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、ワイパ固定異常があると判定する。
【0098】
[2-7]また、ここで、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、第2スイッチング素子72がオフされないで、オンされるとする。このとき、第2スイッチング素子72は、Hi配線37を介してHi端子104と導通する。また、第1スイッチング素子71は、オンされる。これにより、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、
図12の時刻x1から時刻x2までの期間に示すように、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。さらに、このとき、ワイパモータ100が高速で回転することにより、誘導起電力がLo端子106に発生する。このため、このとき、Lo電圧Vm_Loは、Lo誘導起電力Vf_Loとなる。なお、
図12において、第2スイッチング素子72がオフされないことが、第2素子異常として記載されている。
【0099】
したがって、ワイパ90の動作状態をLoモードにさせる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第2Hi閾値Vm_Hi_th2よりも大きく、電源電圧Vb以下であるとする。このとき、判定部64は、第2スイッチング素子72に異常があると判定する。
【0100】
[2-8]また、ここで、ワイパ90を停止させる場合、ワイパ駆動システム1が正常であれば、第1スイッチング素子71は、オフされる。このとき、電源電圧VbがHi端子104およびLo端子106に印加されないため、
図11および
図12の時刻x0から時刻x1までの期間に示すように、Hi電圧Vm_HiおよびLo電圧Vm_Loは、例えば、ゼロとなる。なお、
図11および
図12において、ワイパ90が停止する場合は、モードOFFとして示されている。
【0101】
また、ここで、ワイパ90を停止させる場合、第1スイッチング素子71がオフされないでオンされる、または、モータ用電源14とHi配線37とが直接導通する等の異常が発生したとする。このとき、第2スイッチング素子72がオンされていれば、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、Hi電圧Vm_Hiは、電源電圧Vbとなる。
【0102】
よって、ワイパ90を停止させる場合に、Hi電圧Vm_Hiが第1Hi閾値Vm_Hi_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、第1スイッチング素子71およびHi配線37の少なくとも一方に異常があると判定する。なお、第1スイッチング素子71およびHi配線37の少なくとも一方に異常があることは、第1駆動素子および第1配線の少なくとも一方に異常があることに相当する。
【0103】
[2-9]また、ここで、ワイパ90を停止させる場合、第1スイッチング素子71がオフされないでオンされる、または、モータ用電源14とLo配線47とが直接導通する等の異常が発生したとする。このとき、第2スイッチング素子72がオフされていれば、電源電圧Vbが第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に印加される。このため、このとき、Lo電圧Vm_Loは、電源電圧Vbとなる。
【0104】
したがって、ワイパ90を停止させる場合に、Lo電圧Vm_Loが第1Lo閾値Vm_Lo_th1よりも大きいとする。このとき、判定部64は、第1スイッチング素子71およびLo配線47の少なくとも一方に異常があると判定する。なお、第1スイッチング素子71およびLo配線47の少なくとも一方に異常があることは、第1駆動素子および第2配線の少なくとも一方に異常があることに相当する。
【0105】
以上のように、判定部64は、Hi配線37、Lo配線47、第1スイッチング素子71、第2スイッチング素子72、ワイパモータ100およびワイパ90の異常判定を行う。よって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0106】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0107】
本開示に記載の判定部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の判定部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の判定部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0108】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0109】
(本開示の観点)
[観点1]
ワイパ制御装置であって、
回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、
前記ワイパモータの前記第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、
オンすることにより、前記第1配線を介して電源電圧(Vb)を前記第1端子に印加することで、前記ワイパモータを回転させる第1駆動素子(35)と、
オンすることにより、前記第2配線を介して前記電源電圧を前記第2端子に印加することで、前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときよりも低速で前記ワイパモータを回転させる第2駆動素子(45)と、
異常を判定する判定部(64)と、
を備え、
前記判定部は、
前記電源電圧と、
前記第1端子の電圧(Vm_Hi)と、
前記第2端子の電圧(Vm_Lo)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ前記電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ前記電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、
に基づいて、前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第1配線、前記第2配線、前記ワイパモータおよび前記ワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置。
[観点2]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第1配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する観点1に記載のワイパ制御装置。
[観点3]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きい、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する観点1または2に記載のワイパ制御装置。
[観点4]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第2端子の電圧が前記電源電圧以上、前記第4電圧に関する値未満であるとき、
前記第2駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点1ないし3のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点5]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第2駆動素子、前記第2配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する観点1ないし4のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点6]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する観点1ないし5のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点7]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第3電圧に関する値よりも大きく、前記電源電圧以下であるとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点1ないし6のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点8]
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点1ないし7のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点9]
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第2駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点1ないし8のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点10]
ワイパ制御装置であって、
回転することでワイパ(90)を駆動させるワイパモータ(100)の第1端子(104)に接続されている第1配線(37)と、
前記ワイパモータの前記第1端子とは異なる端子である第2端子(106)に接続されている第2配線(47)と、
オンすることにより、電源電圧(Vb)を印加する第1駆動素子(71)と、
前記第1配線および前記第2配線と接続されているとともに、オンオフすることにより、前記第1駆動素子からの前記電源電圧を前記第1端子および前記第2端子のどちらかに印加する第2駆動素子(72)と、
異常を判定する判定部(64)と、
を備え、
前記ワイパモータは、前記第2配線を介して前記電源電圧が前記第2端子に印加されるとき、前記第1配線を介して前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときよりも低速で回転し、
前記判定部は、
前記電源電圧と、
前記第1端子の電圧(Vm_Hi)と、
前記第2端子の電圧(Vm_Lo)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第1端子の電圧である第1電圧に関する値(Vm_Hi_th1)と、
前記電源電圧が前記第1端子および前記第2端子に印加されていないときの前記第2端子の電圧である第2電圧に関する値(Vm_Lo_th1)と、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第1端子の電圧(Vf_Hi)以上かつ前記電源電圧よりも小さい電圧である第3電圧に関する値(Vm_Hi_th2)と、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されるときに前記ワイパモータが回転することにより発生する前記第2端子の電圧(Vf_Lo)以下かつ前記電源電圧よりも大きいである第4電圧に関する値(Vm_Lo_th2)と、
に基づいて、前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第1配線、前記第2配線、前記ワイパモータおよび前記ワイパに異常があるか否かを判定するワイパ制御装置。
[観点11]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第1配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する観点10に記載のワイパ制御装置。
[観点12]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きい、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する観点10または11に記載のワイパ制御装置。
[観点13]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第1端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第2端子の電圧が前記電源電圧以上、前記第4電圧に関する値未満であるとき、
前記第2駆動素子に異常があると判定する観点10ないし12のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点14]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値以下であるとき、
前記第1駆動素子、前記第2配線および前記ワイパモータの少なくとも1つに異常があると判定する観点10ないし13のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点15]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値以下、かつ、前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記ワイパの固定異常があると判定する観点10ないし14のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点16]
前記判定部は、
前記電源電圧が前記第2端子に印加されることで前記ワイパモータが回転する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第3電圧に関する値よりも大きく、前記電源電圧以下であるとき、
前記第2駆動素子に異常があると判定する観点10ないし15のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点17]
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第1端子の電圧が前記第1電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第1配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点10ないし16のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
[観点18]
前記判定部は、
前記ワイパモータが停止する場合に、
前記第2端子の電圧が前記第2電圧に関する値よりも大きいとき、
前記第1駆動素子および前記第2配線の少なくとも一方に異常があると判定する観点10ないし17のいずれか1つに記載のワイパ制御装置。
【符号の説明】
【0110】
14 モータ用電源
16 ワイパスイッチ
35 Hiスイッチ
37 Hi配線
45 Loスイッチ
47 Lo配線
60 制御部
100 ワイパモータ
104 Hi端子
106 Lo端子