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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134582
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】湿度調節庫
(51)【国際特許分類】
   A21C 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A21C13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044846
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CK01
(57)【要約】
【課題】水を噴射する水噴射口と空気を噴射する空気噴射口とを有する2流体式のスプレイノズルから水を霧状に噴霧して収納庫内の湿度を調節可能とした湿度調節庫において、簡易な構造によって空気噴射口の塵埃を取り除けるようにする。
【解決手段】湿度調節庫10は、収納物を収納する収納庫12と、収納庫12内を加湿する加湿装置40とを備えている。加湿装置40は、水を噴射する水噴射口51aと空気を噴射する空気噴射口52aとを有する2流体式のスプレイノズル50と、スプレイノズル50に水を供給する給水管41と、スプレイノズル50に空気を供給する給気管42と、給気管42を介してスプレイノズル50に空気を送り出すエアポンプ43とを備え、給水管41の水を給気管42に導く導水管44と、給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過及び遮断させる導水弁45とを設けた。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物を収納する収納庫と、
前記収納庫内を加湿する加湿装置とを備え、
前記加湿装置は、水を噴射する水噴射口と空気を噴射する空気噴射口とを有する2流体式のスプレイノズルと、前記スプレイノズルに水を供給する給水管と、前記スプレイノズルに空気を供給する給気管と、前記給気管を介して前記スプレイノズルに空気を送り出すエアポンプとを備えた湿度調節庫であって、
前記給水管の水を前記給気管に導く導水管と、
前記給水管から前記導水管を通って前記給気管に供給される水を通過及び遮断させる導水弁とを設けたことを特徴とする湿度調節庫。
【請求項2】
請求項1に記載の湿度調節庫において、
前記収納庫内の湿度を調節する湿度調節プログラムを備えており、
前記湿度調節プログラムを実行していないときに前記給水管から前記導水管を通って前記給気管に供給される水を通過させるように前記導水弁を開放するように制御したことを特徴とする湿度調節庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を噴射する水噴射口と空気を噴射する空気噴射口とを有する2流体式のスプレイノズルから水を霧状に噴霧することで、収納庫内の湿度を調節可能とする湿度調節庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パン生地の解凍、熟成及び発酵を行う貯蔵庫の発明が開示されている。この貯蔵庫は、パン生地を貯蔵可能な貯蔵室と、貯蔵室を冷却する冷却装置と、貯蔵室内を加熱する加熱装置と、貯蔵室内を加湿する加湿装置と、貯蔵室内の空気を循環させる循環ファンとを備えている。この貯蔵庫においては、貯蔵室内は冷却装置または加熱装置の作動によって温度調節されるように制御されるとともに、冷却装置と加湿装置とを作動させることによって湿度調節されるように制御されている。この貯蔵庫の加湿装置は、水を霧状に噴霧する2流体ノズルであるスプレイノズルと、給水源からスプレイノズルに水を供給する給水管と、スプレイノズルに空気を供給する給気管と、給気管を介してスプレイノズルに空気を加圧状態で送るエアポンプとを備えている。
【0003】
スプレイノズルは筒体を二重に配設したものであり、内側の筒体の先端部に水の噴射口が設けられており、内側の筒体と外側の筒体との間には隙間よりなる空気の噴射口が設けられている。スプレイノズルから水を霧状に噴霧するときには、給水管に介装した給水弁を開放するとともにエアポンプを作動させており、スプレイノズルの水の噴射口から水が噴射されるとともに空気の噴射口から空気が噴射され、スプレイノズルの前方で水が霧状に噴霧される。スプレイノズルの空気の噴射口に塵埃が詰まると空気を噴射できなくなり、スプレイノズルの前方で水が霧状にならないおそれがある。このため、この貯蔵庫では、水を噴射することなく空気を噴射させるようにして、空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-026913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貯蔵庫(湿度調節庫)においては、スプレイノズルの空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くために、水を噴射することなく空気を噴射させるようにして、空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くようにしている。スプレイノズルの空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くために、エアポンプを作動させてスプレイノズルの空気の噴射口から空気を噴射させて塵埃を取り除くようにしているが、エアポンプによって十分な圧力を付与できず、空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くことができないことがあった。高圧のエアポンプを用いるようにすれば、空気の噴射口に詰まった塵埃を取り除くことができるようになるが、高圧のエアポンプは大型であるので貯蔵庫の機械室に配置できなかったり、機械室に配置できるようにしても貯蔵庫が大型化する問題がある。本発明は、水を噴射する水噴射口と空気を噴射する空気噴射口とを有する2流体式のスプレイノズルから水を霧状に噴霧して収納庫内の湿度を調節可能とした湿度調節庫において、簡易な構造によって空気噴射口の塵埃を取り除けるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、収納物を収納する収納庫と、収納庫内を加湿する加湿装置とを備え、加湿装置は、水を噴射する水噴射口と空気を噴射する空気噴射口とを有する2流体式のスプレイノズルと、スプレイノズルに水を供給する給水管と、スプレイノズルに空気を供給する給気管と、給気管を介してスプレイノズルに空気を送り出すエアポンプとを備えた湿度調節庫であって、給水管の水を給気管に導く導水管と、給水管から導水管を通って給気管に供給される水を通過及び遮断させる導水弁とを設けたことを特徴とする湿度調節庫を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した湿度調節庫においては、給水管の水を給気管に導く導水管と、給水管から導水管を通って給気管に供給される水を通過及び遮断させる導水弁とを設けたので、導水弁を開放することで給水管の水を給気管に導くことにより、スプレイノズルの空気噴射口から水を噴射することができ、スプレイノズルの空気噴射口に詰まった塵埃を噴射される水によって取り除くことができる。このように、大型の高圧のエアポンプを用いることなく簡易な構造で、スプレイノズルの空気噴射口に詰まった塵埃を取り除くことができる。
【0008】
上記のように構成した湿度調節庫においては、収納庫内の湿度を調節する湿度調節プログラムを備えており、湿度調節プログラムを実行していないときに給水管から導水管を通って給気管に供給される水を通過させるように導水弁を開放するように制御するのが好ましい。湿度調節プログラムを実行していないときに給水管から導水管を通って給気管に供給される水を通過させるように導水弁を開放するように制御して、給水管の水を給気管に導くようにしているので、湿度調節プログラムによって収納庫内の湿度調節に影響を与えずに、スプレイノズルの空気噴射口に詰まった塵埃を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の湿度調節庫の一実施形態であるドウコンディショナーの正面図である。
図2図1の前部の左右方向に沿った縦断面図である。
図3】A-A断面図である。
図4】ドウコンディショナーの冷却装置、加熱装置及び加湿装置の概略図である。
図5】B-B断面図である。
図6】加湿装置の概略図である。
図7】スプレイノズルの一部拡大断面図である。
図8】制御装置を示すブロック図である。
図9】導水管を給水弁より下流側から分岐させたときの加湿装置の概略図である。
図10】給水管に導水弁を設けたときの加湿装置の概略図である。
図11】導水管に導水弁を設けたときの加湿装置の概略図である。
図12】1つの噴射口から水と空気とを噴射するスプレイノズルの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の湿度調節庫の一実施形態をドウコンディショナーの実施形態により添付図面を参照して説明する。本発明のドウコンディショナー10は、パン生地を焼成する前に、フリーズ(冷凍)、リタード(冷蔵)、予熱及びホイロ(発酵)の各工程を順番に実行するものである。ドウコンディショナー10では、上記各工程を実行するときに各工程に応じた温度制御を行うとともに、予熱及びホイロ工程では温度制御に加えて湿度制御を行うようにしたものである。
【0011】
図1及び図2に示したように、ドウコンディショナー10は、ハウジング11内に右側部を除いた部分にパン生地(収納物)を収納する収納庫12と、ハウジング11の右側部に機械室13とを備えている。図3に示したように、収納庫12の前部にはパン生地を載せたトレイを出し入れする前側開口部12aが設けられており、前側開口部12aにはこれを開閉する扉14が開閉自在に設けられている。
【0012】
図2図4に示したように、収納庫12の右側部と底部には仕切板15が設けられており、収納庫12の仕切板15によって仕切られた右側部及び底部には温度及び湿度を調節した空気を収納庫12に送り出すダクト通路16が形成されている。図2及び図3に示したように、ダクト通路16は収納庫12の右側部に配置される縦ダクト通路16aと収納庫12の底部に配置される横ダクト通路16bとを備えている。また、縦ダクト通路16aの上部は機械室13側に突き出ており、この部分には後述する冷却装置20の蒸発器25と、加熱装置30のヒータ31等を収容して空気を冷却または加熱して温度を調節するための温調空間16cが形成されている。
【0013】
図2及び図4に示したように、収納庫12の右側部に配置した仕切板15の上部には循環ファン17が取り付けられており、図4の二点鎖線の矢印に示したように、収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16に導かれる。ダクト通路16に導かれた空気は、温調空間16cで冷却または加熱されて温度が調節され、縦ダクト通路16aと横ダクト通路16bとを通って収納庫12の左側部に送られる。図4及び図5に示したように、温調空間16cには温度センサ18が設けられており、温度センサ18は温調空間16cを通過する空気の温度を検出することによって収納庫12内の温度を検出している。温調空間16cには湿度センサ19が設けられており、湿度センサ19は温調空間16cを通過する空気の湿度を検出することによって収納庫12内の湿度を検出している。
【0014】
図2図4及び図5に示したように、温調空間16cには収納庫12内を冷却するための冷却装置20の蒸発器25が配設されている。冷却装置20は、温調空間16cを通過する収納庫12内の空気を冷却することによって収納庫12内を冷却するものである。冷却装置20は、周知の冷凍回路を用いたものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器22と、液化冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ23と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ(膨張手段)24と、膨張させた液化冷媒を気化させて収納庫12内を冷却する蒸発器25とを備えている。蒸発器25はダクト通路16の温調空間16cに配置され、他の部品は機械室13に配置されている。この冷却装置20においては、圧縮機21にて圧縮された冷媒ガスは凝縮器22で冷却されて液化冷媒となり、液化冷媒はドライヤ23を通ってキャピラリチューブ24で膨張して蒸発器25に送られ、冷媒が蒸発器25で気化するときの冷熱によって温調空間16cの空気が冷却される。なお、膨張手段としてキャピラリチューブを採用したが、これに限られるものでなく、電子膨張弁等の膨張弁を採用したものであってもよい。
【0015】
図2図4及び図5に示したように、温調空間16cには収納庫12内を加熱する加熱装置30が配設されている。加熱装置30は、温調空間16cを通過する収納庫12内の空気を加熱することによって収納庫12内を加熱するものである。加熱装置30は、温調空間16c内の空気を加熱するヒータ31と、ヒータ31を温調空間16cに取り付けるブラケット32とを備えている。ヒータ31はブラケット32によって冷却装置20の蒸発器25の下側に取り付けられている。ヒータ31はガラス管ヒータを用いたものであり、輻射熱によって温調空間16c内の空気を効率的に加熱できるだけでなく、上側に配置された蒸発器25のデフロストヒータとしての機能も有している。
【0016】
図2図4及び図5に示したように、ダクト通路16の縦ダクト通路16aには加湿装置40のスプレイノズル50が配設されており、加湿装置40は水を霧状に噴霧することで収納庫12内を加湿するものである。図6に示したように、加湿装置40は、水を霧状に噴霧するスプレイノズル50と、水道等の給水源からスプレイノズル50に水を供給する給水管41と、スプレイノズル50に空気を供給する給気管42と、給気管42を介してスプレイノズル50に空気を加圧状態で送り出すエアポンプ43とを備えている。
【0017】
図7に示したように、スプレイノズル50は、水を噴射する水噴射口51aと空気を噴射する空気噴射口52aとを有する2流体式のスプレイノズルであり、噴出された水に空気を噴射することで水を細かい微粒子の霧状に噴霧するようにしたものである。スプレイノズル50は、略円筒形状の内側筒体51と、内側筒体51の外側に隙間を介して配置される外側筒体52とを備えている。図6に示したように、内側筒体51には給水管41が接続されており、内側筒体51の先端開口が水を噴射する水噴射口51aとなっている。外側筒体52には給気管42が接続されており、外側筒体52の先端開口と内側筒体51の外周面との間に形成される隙間が空気を噴射する空気噴射口52aとなっている。外側筒体52の先端開口は内側筒体51の先端開口よりも後側(水及び空気の流れる方向の上流側)に配置されており、水噴射口51aから噴射される水は後側の空気噴射口52aから噴射される空気が混ぜられて細かい微粒子の霧状になって噴霧される。
【0018】
図4及び図6に示したように、給水管41には減圧弁41aと給水弁41bが介装されており、給水源の水は減圧弁41aにより減圧された状態で給水弁41bを開放することによってスプレイノズル50の水噴射口51aから噴射される。給気管42にはエアポンプ43が接続されており、機械室13内の空気はエアポンプ43の作動によって給気管42を通ってスプレイノズル50の空気噴射口52aから噴射される。なお、エアポンプ43の空気の吸込口は温調空間16c内に配置されており、吸込口にはエアフィルタ43aが設けられている。エアポンプ43から送出される空気にはエアフィルタ43aによって塵埃が含まれにくくなっている。
【0019】
図4及び図6に示したように、給気管42には給水管41の水を導く導水管44が接続されており、導水管44は給水管41の減圧弁41aと給水弁41bとの間から分岐して給気管42に接続されている。給気管42には三方弁よりなる導水弁45が設けられており、導水管44はこの導水弁45によって給気管42に接続されている。導水弁45を給気管42の上流側と下流側で連通されるように開放したときには、エアポンプ43から送出される空気がスプレイノズル50の空気噴射口52aから噴射可能となる。導水弁45を導水管44と給気管42の下流側とで連通されるように開放したときには、給水源の水が給水管41から導水管44を通って給気管42に供給されるようになり、給水源から送出される水が導水管44を通ってスプレイノズル50の空気噴射口52aから噴射可能となる。また、給水管41には給水弁41bより下流側に排水管46が接続されており、排水管46には排水弁47が介装されている。排水弁47を開放することで、給水管41に残る水は排水管46から排出される。
【0020】
図8に示したように、ドウコンディショナー10は制御装置60を備えており、制御装置60は、循環ファン17、温度センサ18、湿度センサ19、冷却装置20、加熱装置30、加湿装置40(給水弁41b、エアポンプ43、導水弁45及び排水弁47)に接続されている。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置60は、収納庫12内の温度を調節する温度調節プログラムを備えており、温度センサ18の検出温度に基づいて冷却装置20または加熱装置30の作動を制御している。また、制御装置60は、収納庫12内の湿度を調節する湿度調節プログラムを備えており、湿度センサ19の検出湿度に基づいて冷却装置20または加湿装置40の作動を制御している。
【0021】
制御装置60は、ROMに収納庫12内のパン生地をフリーズ(冷凍)、リタード(冷蔵)、予熱及びホイロ(発酵)の各工程を順に実行する発酵プログラムを備えている。なお、ドウコンディショナー10は、フリーズ(冷凍)、リタード(冷蔵)、予熱及びホイロ(発酵)の各工程の少なくとも1つを選択的に実行することも可能となっている。フリーズ(冷凍)とリタード(冷蔵)では温度調節プログラムを実行するように制御されておりおり、予熱とホイロ(発酵)では温度調節プログラムと湿度調節プログラムを実行するように制御されている。
【0022】
フリーズ(冷凍)工程では、収納庫12内の温度は温度調節プログラムによって-5℃となるように制御されており、リタード(冷蔵)工程では、収納庫12内の温度は温度調節プログラムによって0℃~2℃となるように制御されている。予熱工程では、収納庫12内の温度は温度調節プログラムによって15℃~18℃となるように制御され、収納庫12内の湿度は湿度調節プログラムによって75~80%となるように制御されている。ホイロ(発酵)工程では、収納庫12内の温度は温度調節プログラムによって28℃~35℃となるように制御され、収納庫12の湿度は湿度調節プログラムによって75~85%となるように制御されている。なお、温度及び湿度は一例であって、発酵に供するパン生地の種類等によって変更可能としている。
【0023】
発酵プログラムを実行したときの制御を以下に説明する。フリーズ(冷凍)工程では、制御装置60は、温度調節プログラムを実行して、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である-5℃より高い設定上限温度(設定上限温度は例えば設定温度より1℃高く設定されており、以下同じである)を検出したときには冷却装置20を作動させ、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である-5℃より低い設定下限温度(設定下限温度は例えば設定温度より1℃低く設定されており、以下同じである)を検出したときには、冷却装置20の作動を停止させている。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、フリーズ(冷凍)工程で温度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気はダクト通路16の温調空間16cで冷却装置20の蒸発器25と熱交換されて冷却され、収納庫12内の温度はフリーズ(冷凍)工程の設定温度となるように制御される。
【0024】
フリーズ(冷凍)工程を開始させてから3時間経過すると、制御装置60はリタード(冷蔵)工程を実行する。リタード(冷蔵)工程では、制御装置60は、温度調節プログラムを実行して、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である2℃より高い設定上限温度を検出したときには冷却装置20を作動させ、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である2℃より低い設定下限温度を検出したときには、冷却装置20の作動を停止させている。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、リタード(冷蔵)工程で温度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気はダクト通路の温調空間16cで冷却装置20の蒸発器25と熱交換されて冷却され、収納庫12内の温度はリタード(冷蔵)工程の設定温度となるように制御される。
【0025】
リタード(冷蔵)工程を開始させてから所定の時間が経過すると、制御装置60は予熱工程を実行する。室温が設定温度である18℃より高い環境下で実行される予熱工程では、制御装置60は、温度調節プログラムを実行して、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である18℃より高い設定上限温度を検出したときには冷却装置20を作動させるように制御し、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である18℃より低い設定下限温度を検出したときには冷却装置20の作動を停止させるように制御している。
【0026】
室温が設定温度である18℃以下の環境下で実行される予熱工程では、制御装置60は、温度調節プログラムを実行して、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である18℃より低い設定下限温度を検出したときにはヒータ31を作動させるように制御し、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である18℃より高い設定上限温度を検出したときにはヒータ31の作動を停止させるように制御している。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、予熱工程で温度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気はダクト通路16の温調空間16cで冷却装置20の蒸発器25または加熱装置30のヒータ31と熱交換されて冷却または加熱され、収納庫12内の温度は予熱工程の設定温度となるように制御される。
【0027】
また、予熱工程では、制御装置60は、湿度調節プログラムを実行して、湿度センサ19による検出湿度が75%より低い設定下限湿度(設定下限湿度は設定湿度より例えば5%低く設定されており、以下同じである)を検出するとエアポンプ43を作動させるとともに給水弁41bを噴霧時間である2秒間開放するように制御し、スプレイノズル50から水が縦ダクト通路16a内に霧状に噴霧される。所定の待機時間後に、湿度センサ19による検出湿度が75%より低い設定上限湿度(設定下限湿度は設定湿度より例えば5%高く設定されており、以下同じである)が検出されるまで、エアポンプ43を作動させるとともに給水弁41bを噴霧時間である2秒間開放するように制御し、スプレイノズル50から水が縦ダクト通路16a内に霧状に噴霧される。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、予熱工程で湿度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気は縦ダクト通路16aでスプレイノズル50から噴霧される水によって加湿され、収納庫12内の湿度は予熱工程の設定湿度となるように制御される。
【0028】
予熱工程を開始させてから2時間が経過すると、制御装置60はホイロ(発酵)を実行する。ホイロ(発酵)工程では、制御装置60は、温度調節プログラムを実行して、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である35℃より低い設定下限温度を検出したときにはヒータ31を作動させるように制御し、温度センサ18の検出温度が収納庫12の設定温度である35℃より高い設定上限温度を検出したときにはヒータ31の作動を停止させるように制御している。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、ホイロ(発酵)工程で温度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気はダクト通路16の温調空間16cで加熱装置30のヒータ31と熱交換されて加熱され、収納庫12内の温度は予熱工程の設定温度となるように制御される。
【0029】
また、ホイロ(発酵)工程では、制御装置60は、湿度調節プログラムを実行して、湿度センサ19による検出湿度が85%より低い設定下限湿度(設定下限湿度は設定湿度より例えば5%低く設定されており、以下同じである)を検出するとエアポンプ43を作動させるとともに給水弁41bを噴霧時間である2秒間開放するように制御し、スプレイノズル50から水が縦ダクト通路16a内に霧状に噴霧される。所定の待機時間後に、湿度センサ19による検出湿度が85%より低い設定上限湿度(設定下限湿度は設定湿度より例えば5%高く設定されており、以下同じである)が検出されるまで、エアポンプ43を作動させるとともに給水弁41bを噴霧時間である2秒間開放するように制御し、スプレイノズル50から水が縦ダクト通路16a内に霧状に噴霧される。収納庫12内の空気は循環ファン17によってダクト通路16との間を循環しており、ホイロ(発酵)工程で湿度調節プログラムを実行することにより、収納庫12内の空気は縦ダクト通路16aでスプレイノズル50から噴霧される水によって加湿され、収納庫12内の湿度はホイロ(発酵)工程の設定湿度となるように制御される。
【0030】
このドウコンディショナー10においては、発酵プログラムの開始時と、フリーズ(凍結)工程の開始時に、排水弁47を開放するように制御して、給水管41に残る水を排出するようにしている。給水管41に残る水を排出することで、フリーズ(凍結)工程を実行するときに、給水管41に残る水が凍結しないようにすることができる。また、発酵プログラムの開始時と、フリーズ(凍結)工程の開始時に、三方弁よりなる導水弁45を導水管44と給気管42の下流側とで連通されるように10秒間開放するように制御している。給水源から給水管41に送出される水は導水管44を通って給気管42に送出され、給気管42に送出された水はスプレイノズル50の空気噴射口52aから噴射される。スプレイノズル50の空気噴射口52aは噴射される水により塵埃よりなる詰まりを含めて洗浄されるので、スプレイノズル50の空気噴射口52aは空気を噴射させても残る塵埃よりなる詰まりを取り除くことができる。
【0031】
この実施形態では、発酵プログラムの開始時と、フリーズ(凍結)工程のみを実行するときのフリーズ(凍結)工程の開始時に、導水弁45を導水管44と給気管42の下流側とで連通されるように10秒間開放するように制御し、スプレイノズル50の空気噴射口52aは噴射される水により塵埃よりなる詰まりを洗浄している。本発明は、これに限られるものでなく、ドウコンディショナー10の発酵プログラムを実行させていないときの一定時間(例えば6時間)毎に、導水弁45を導水管44と給気管42の下流側とで連通されるように10秒間開放するように制御して、スプレイノズル50の空気噴射口52aは噴射される水により塵埃よりなる詰まりを洗浄してもよい。
【0032】
また、この実施形態では、導水管44を給水管41における給水弁41bの上流側から分岐させているが、これに限られるものでなく、図9に示したように、導水管44を給水管41における給水弁41bの下流側から分岐させるようにしてもよい。導水管44を給水管41における給水弁41bの下流側から分岐させるようにしたときには、給水弁41bを開放させるとともに、導水弁45を導水管44と給気管42の下流側とで連通されるように10秒間開放するように制御する。スプレイノズル50の空気噴射口52aだけでなく水噴射口51aからも水が噴射されるので、スプレイノズル50の水噴射口51aと空気噴射口52aとを同時に洗浄することができる。
【0033】
また、導水弁45は、給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過及び遮断させるようにしたものであれば、図10に示したように、給水管41に三方弁よりなる導水弁45を設けるようにしたものであってもよい。同様に、図11に示したように、導水管44に電磁弁よりなる導水弁45を設けるようにしたものであってもよい。これらの場合には、給気管42の導水管44の接続部分より上流側に逆止弁48を設けるようにすることで、導水管44から送出される水がエアポンプ43に流入するのを防ぐことができる。
【0034】
上記のように構成したドウコンディショナー10は、パン生地等の収納物を収納する収納庫12と、収納庫12内を加湿する加湿装置40とを備え、加湿装置40は、水を噴射する水噴射口51aと空気を噴射する空気噴射口52aとを有する2流体式のスプレイノズル50と、スプレイノズル50に水を供給する給水管41と、スプレイノズル50に空気を供給する給気管42と、給気管42を介してスプレイノズル50に空気を送り出すエアポンプ43とを備えている。
【0035】
図12に示したように、水と空気とを同じ噴射口50Aaから噴射する2流体式のスプレイノズル50Aでは、噴射口50Aaから水と空気が混合されて噴射されるので、噴射口50Aaに塵埃等の汚れが詰まりにくい。これに対し、本実施形態のドウコンディショナー10で採用されているスプレイノズル50は、水を噴射する水噴射口51aと空気を噴射する空気噴射口52aとを有する2流体式のスプレイノズルであり、空気噴射口52aに塵埃等の汚れが詰まるおそれがあった。空気噴射口52aに塵埃等の汚れが詰まると、空気を十分に噴射することができず、水噴射口51aから噴射される水に空気を噴射することができずに、スプレイノズル50から水を霧状に噴霧できないおそれがある。
【0036】
ドウコンディショナー10においては、給水管41の水を給気管42に導く導水管44と、給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過及び遮断させる導水弁45とが設けられている。給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過させるように導水弁45を開放することで給水管41の水を給気管42に導くことにより、スプレイノズル50の空気噴射口52aから水を噴射することができ、スプレイノズル50の空気噴射口52aに詰まった塵埃を噴射される水によって取り除くことができる。このように、大型の高圧のエアポンプを用いることなく簡易な構造でスプレイノズル50の空気噴射口52aに詰まった塵埃を取り除くことができるので、大型のエアポンプを機械室13内に配置してドウコンディショナー10が大型化しないようにすることができる。
【0037】
また、このドウコンディショナー10は、収納庫12内の湿度を調節する湿度調節プログラムを備えており、発酵プログラムの予熱及びホイロ(発酵)工程で湿度調節プログラムが実行されている。予熱及びホイロ(発酵)工程で湿度調節プログラムを実行しているときには、給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過させるように導水弁45を開放するように制御せず、予熱及びホイロ(発酵)工程で湿度調節プログラムを実行していないときに、給水管41から導水管44を通って給気管42に供給される水を通過させるように導水弁45を開放するように制御している。この実施形態では、発酵プログラムを開始させるときや、フリーズ(冷凍)工程のみを実行開始するときのように、湿度調節プログラムを実行していないときに、導水管44と給気管42とが連通されるように導水弁45を開放するように制御して、給水管41の水を導水管44を通して給気管42に導くようにしている。これにより、予熱及びホイロ(発酵)を実行するときのような湿度調節プログラムを実行しているときの収納庫12内の湿度調節に影響を与えずに、スプレイノズル50の空気噴射口52aに詰まった塵埃を取り除くことができる。
【符号の説明】
【0038】
10…湿度調節庫(ドウコンディショナー)、12…収納庫、40…加湿装置、41…給水管、42…給気管、43…エアポンプ、44…導水管、45…導水弁、50…スプレイノズル、51a…水噴射口、52a…空気噴射口。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12