(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134584
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】データ生成装置およびデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044848
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
(72)【発明者】
【氏名】清水 太一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA01
5E353BB09
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC21
5E353CC22
5E353EE31
5E353EE54
5E353LL01
5E353LL02
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成することができるデータ生成装置およびデータ生成方法を提供する。
【解決手段】部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成方法は、部品実装装置によって基板に実装された複数の種類の部品の実装実績データを取得し(ST1)、実装実績データから、複数の種類の部品のうちの一の種類の部品の複数の実装条件を抽出し(ST2)、複数の実装条件に基づき、各々の実装条件に対応する部品実装装置の生産性を計算し(ST3)、計算された生産性に基づき、一の種類の部品の生産性データを生成する(ST4)。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成装置であって、
部品実装装置によって基板に実装された複数の種類の部品の実装実績データを取得する取得部と、
前記実装実績データから、前記複数の種類の部品のうちの一の種類の部品の複数の実装条件を抽出する抽出部と、
前記複数の実装条件に基づき、各々の前記実装条件に対応する前記部品実装装置の生産性を計算する計算部と、
前記計算された生産性に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する生成部と、を備える、データ生成装置。
【請求項2】
前記一の種類の部品の生産性データをディスプレイに表示させる表示処理部を、さらに備える、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記抽出部は、
前記実装実績データから、前記一の種類の部品の各々の前記実装条件に対応する実績エラー率をさらに抽出し、
前記生成部は、
各々の前記実装条件に対応する前記生産性と前記実績エラー率に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記実装実績データから、前記一の種類の部品の各々の前記実装条件に対応する実績エラー率をさらに抽出し、
前記データ生成装置は、
各々の前記実装条件に対応する前記生産性と前記実績エラー率とに基づき、各々の前記実装条件に対応する総合指標を決定する総合指標決定部を、さらに備え、
前記生成部は、
各々の前記実装条件に対応する総合指標に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記複数の実装条件の各々は、複数の詳細実装条件を含む、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項6】
前記複数の詳細実装条件は、
前記部品を移動させる速度、前記部品を保持する保持部の種類、前記部品を実装するための動作モードのうち少なくとも一つを含む、請求項5に記載のデータ生成装置。
【請求項7】
前記計算部は、
各々の前記実装条件を使用して前記部品実装装置が前記一の種類の部品を所定の基板に実装するシミュレーションによって、各々の前記実装条件の生産性を計算する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項8】
前記所定の基板は、所定数の前記一の種類の部品を所定の位置に所定の方向で実装するように設定された評価用の基板である、請求項7に記載のデータ生成装置。
【請求項9】
前記抽出部は、
前記実装実績データから、前記複数の種類の部品の各々の実装条件を抽出し、
前記計算部は、
前記複数の種類の部品の前記複数の実装条件に基づき、各々の前記実装条件に対応する前記部品実装装置の生産性を計算し、
前記生成部は、
前記計算された生産性に基づき、前記複数の種類の部品の生産性データを生成する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項10】
前記複数の種類の部品の生産性データをディスプレイに表示させる表示処理部を、さらに備える、請求項9に記載のデータ生成装置。
【請求項11】
前記抽出部は、
前記実装実績データから、前記複数の種類の部品の各々の前記実装条件に対応する実績エラー率をさらに抽出し、
前記生成部は、
各々の前記実装条件に対応する前記生産性と前記実績エラー率に基づき、前記複数の種類の部品の生産性データを生成する、請求項9に記載のデータ生成装置。
【請求項12】
前記抽出部は、
前記実装実績データから、前記複数の種類の部品の各々の前記実装条件に対応する実績エラー率をさらに抽出し、
前記データ生成装置は、
各々の前記実装条件に対応する前記生産性と前記実績エラー率とに基づき、各々の前記実装条件に対応する総合指標を決定する総合指標決定部を、さらに備え、
前記生成部は、
各々の前記実装条件に対応する総合指標に基づき、前記複数の種類の部品の生産性データを生成する、請求項9に記載のデータ生成装置。
【請求項13】
部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成方法であって、
部品実装装置によって基板に実装された複数の種類の部品の実装実績データを取得する取得工程と、
前記実装実績データから、前記複数の種類の部品のうちの一の種類の部品の複数の実装条件を抽出する抽出工程と、
複数の前記実装条件に基づき、各々の前記実装条件に対応する前記部品実装装置の生産性を計算する計算工程と、
前記計算された生産性に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する生成工程と、を含む、データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成装置およびデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する実装機は、ノズルによる部品吸着、部品の撮像、部品の装着などに関する実装条件を含む多数の動作パラメータに基づいて、実装動作が制御される。この動作パラメータは、部品の形状などの情報を含む部品情報に紐付けた部品データとして、部品毎に適切な値が設定される。また、同じ部品であっても、実装する基板、要求される品質や生産性に応じて、異なる動作パラメータを有する部品データが作成される。特許文献1に記載のシステムは、部品搭載作業の成功率を部品データ別に集計し、集計した結果に基づいて動作パラメータ(制御パラメータ)を修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、実績から集計される成功率のみを評価指標として動作パラメータを生成すると、成功率は高いが吸着速度が遅くて生産性が低い条件ばかりを生成してしまうことがあり、動作パラメータを生成したり動作パラメータの良否を評価したりする際に生産性を適切に評価することができるデータが望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成することができるデータ生成装置およびデータ生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデータ生成装置は、部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成装置であって、部品実装装置によって基板に実装された複数の種類の部品の実装実績データを取得する取得部と、前記実装実績データから、前記複数の種類の部品のうちの一の種類の部品の複数の実装条件を抽出する抽出部と、前記複数の実装条件に基づき、各々の前記実装条件に対応する前記部品実装装置の生産性を計算する計算部と、前記計算された生産性に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する生成部と、を備える。
【0007】
本発明のデータ生成方法は、部品実装装置で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成するデータ生成方法であって、部品実装装置によって基板に実装された複数の種類の部品の実装実績データを取得する取得工程と、前記実装実績データから、前記複数の種類の部品のうちの一の種類の部品の複数の実装条件を抽出する抽出工程と、複数の前記実装条件に基づき、各々の前記実装条件に対応する前記部品実装装置の生産性を計算する計算工程と、前記計算された生産性に基づき、前記一の種類の部品の生産性データを生成する生成工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の生産システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の生産システムが備える部品実装ラインの構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の生産システムの構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される部品データの例の説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の生産能力データの計算方法の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品データ管理装置(データ生成装置)で使用される総合指標テーブルの例の説明図
【
図7】本発明の一実施の形態の総合指標の決定方法の説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の生産システムが備えるディスプレイに表示された生産性データ(部品毎)表示画面の例の説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の生産システムが備えるディスプレイに表示された生産性データ(部品毎詳細)表示画面の例の説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の生産システムが備えるディスプレイに表示された生産性データ(複数部品)表示画面の例の説明図
【
図11】本発明の一実施の形態のデータ生成方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、画面表示等は説明のための例示であって、生産システム、部品実装ライン、部品実装装置、生産管理装置、部品データ管理装置(データ生成装置)の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
まず
図1を参照して、生産システム1の構成を説明する。生産システム1は、顧客の工場内のフロアF1~F3と、サポートセンタSを含んで構成されている。サポートセンタSは、フロアF1~F3(工場)から離れた場所に開設されおり、顧客の生産活動をサポートする。各フロアF1~F3には、生産物として基板に部品を実装した実装基板を生産する部品実装ラインL1~L3が設置されている。なお、フロアF1~F3は同じ工場内に設置される構成の他、同じ顧客の複数の工場であっても、複数の顧客の工場に設置される構成であってもよい。各フロアF1~F3は同様の構成をしており、以下、フロアF1について説明する。
【0012】
図1において、フロアF1には、3本の部品実装ラインL1~L3が設置されている。部品実装ラインL1~L3が備える生産装置は、LAN(Local Area Network)などの構内通信ネットワーク2を介して生産管理装置3に接続されている。なお、フロアF1に設置される部品実装ラインL1~L3は3本である必要はなく、1本、2本または4本以上でも良い。生産管理装置3は、部品実装ラインL1~L3が備える生産装置の稼働に必要なデータやパラメータを作成し、各生産装置に送信する機能を有している。また、各生産装置より各生産装置の稼動状況、作業履歴などの稼働実績が、生産管理装置3に送信される。
【0013】
なお、フロアF1は、生産管理装置3に加えて、部品実装ラインL1~L3毎に実装基板の生産を管理するライン管理装置を備える構成であってもよい。また、
図1に示す例では、生産管理装置3は部品実装ラインL1~L3が設置されたフロアF1の内部に設置されているが、生産管理装置3をフロアF1の外に設置してもよい。また、生産管理装置3は工場内のフロアF1~F3がそれぞれ備える構成の他、工場内に設置された1台の生産管理装置3が各フロアF1~F3の部品実装ラインL1~L3を管理する構成であってもよい。
【0014】
図1において、サポートセンタSには、部品データ管理装置5が設置されている。部品データ管理装置5は、インターネットや移動体通信回線などの構外通信ネットワーク4を介してフロアF1~F3の生産管理装置3に接続されている。この構成により、生産管理装置3と部品データ管理装置5は、構外通信ネットワーク4を介して情報をやり取りすることができる。部品データ管理装置5は、各フロアF1~F3の生産管理装置3が収集した稼働実績を取得し、フロアF1~F3に設置された部品実装装置で使用された部品データに含まれる実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成する機能を有している。なお、部品データ管理装置5は、顧客のフロアF1~F3に設置される構成であってもよい。
【0015】
次に
図2を参照して、部品実装ラインL1~L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1~L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1は、基板搬送方向の上流から下流に向けて、印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3~M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8などの生産装置を直列に連結して構成されている。なお、部品実装ラインL1は構内通信ネットワーク2を介して接続される生産装置群であって、物理的に生産装置同士が連結されていなくてもよい。
【0016】
印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3~M6、実装検査装置M7、リフロー装置M8は、構内通信ネットワーク2を介して生産管理装置3に接続されている。印刷装置M1は、はんだ印刷作業部によって上流から搬入された基板Bに複数の開口が形成されたマスクを介してはんだを印刷するはんだ印刷作業を実行する。
【0017】
図2において、印刷検査装置M2は、はんだ検査カメラを含む印刷検査作業部によって基板Bに印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査作業を実行する。なお、印刷装置M1と並設して、もしくは印刷装置M1の代わりにはんだを基板Bに塗布するはんだ塗布装置を備えてもよい。また、部品実装ラインL1は、印刷検査装置M2を備えなくてもよい。
【0018】
図2において、部品実装装置M3~M6は、コンベア、部品供給部、実装ヘッドを含む部品実装作業部によって基板Bに部品Dを実装する部品実装作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M3~M6が1台~3台であっても5台以上であってもよい。部品実装装置M3~M6において、基板搬送方向に沿って設置されたコンベアは、基板Bを実装作業位置まで搬送する。部品供給部は、コンベアの外側に配置されており、部品Dを実装ヘッドによるピックアップ位置まで供給する。
【0019】
部品供給部には、部品Dを保持するキャリアテープをテープ送りして部品Dを供給する複数のテープフィーダを搭載する台車や、複数の部品Dを保持するトレイを入れ替えながら部品Dを供給するトレイフィーダが装着されている。実装ヘッドは部品Dを吸着する複数の吸着ノズルを備えており、部品供給部が供給する部品Dをピックアップし、コンベアが搬送して保持している基板Bの実装位置に移送搭載する部品実装作業を実行する。部品供給部には、生産する実装基板の基板種に応じて所定の部品Dが供給されるように、段取り替え時にキャリアテープやトレイがセットされる(言い換えると、部品Dが配置される)。
【0020】
図2において、部品実装装置M3~M6は、吸着ノズルが保持する部品Dを撮像する部品認識カメラ、吸着ノズルに流入するエアの流量を計測するセンサ、テープフィーダが供給する部品を撮像するヘッドカメラなどを備えている。部品実装装置M3~M6は、部品実装作業中にカメラや各種センサを用いて、吸着ノズルが部品を正常に吸着していない吸着エラー、テープフィーダが部品を正常に供給していない供給エラーなどの作業エラーを監視する。監視結果は、生産管理装置3に送信される。
【0021】
図2において、実装検査装置M7は、部品検査カメラを含む実装検査作業部によって基板Bに実装された部品Dの状態を検査する実装検査作業を実行する。実装検査装置M7が検査した基板Bの実装位置に部品Dが実装されていない実装エラーなどの監視結果は、生産管理装置3に送信される。なお、部品実装ラインL1は、実装検査装置M7を備えなくてもよい。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bを基板加熱部によって加熱して、基板B上のはんだを融解させた後に硬化させ、基板Bの電極部と部品Dとを接合する基板加熱作業を実行する。
【0022】
次に
図3を参照して、生産管理装置3と部品データ管理装置5(データ生成装置)を備える生産システム1の構成について説明する。ここでは、生産システム1が備える複数の機能のち、部品実装装置M3~M6で使用された部品データに含まれる実装条件の生産性を評価するための生産性データを作成する機能に関する構成を中心に説明する。
【0023】
まず、生産管理装置3の構成について説明する。なお、フロアF1~F3に設置されている生産管理装置3は同様の構成をしており、ここでは、フロアF1を例に説明する。フロアF1に設置されている生産管理装置3には、入力部11、ディスプレイ12が接続されている。また、生産管理装置3は、部品実装装置M3~M6を含む部品実装ラインL1~L3が備える生産装置と構内通信ネットワーク2を介して接続されている。生産管理装置3は、生産管理記憶部13、実績収集部15、制御部(図示せず)を備えている。生産管理記憶部13は、例えば、半導体メモリ又はハードディスクドライブなどの記憶装置であり、稼働実績14などを記憶している。
【0024】
図3において、入力部11は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。ディスプレイ12は液晶パネルなどの表示装置であり、生産管理記憶部13が記憶する各種データを表示する他、入力部11による操作のための操作画面や入力画面、サポートセンタSの部品データ管理装置5から送信される画面情報などの各種情報を表示する。制御部は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、生産管理装置3全体を制御する。
【0025】
図3において、実績収集部15は、フロアF1に設置された部品実装装置M3~M6を含む生産装置から部品実装作業の実績を定期的に収集する。部品実装作業の実績には、実装基板の品種毎に、生産開始日時、生産終了日時(生産装置が生産物を生産した時間)、生産枚数、実装基板の基板情報、生産した部品実装ラインL1~L3の構成に関するライン情報などの情報などが含まれる。
【0026】
また、実績収集部15は、部品実装装置M3~M6で使用されている部品データに関する情報、部品実装装置M3~M6の機種に関する情報、部品実装装置M3~M6における部品Dの配置情報、部品実装装置M3~M6で発生した各種の作業エラー、実装検査装置M7で検出された実装エラーなどを収集する。すなわち、実績収集部15は、部品実装装置M3~M6によって基板Bに実装された複数の種類の部品Dの実装実績(部品データ、エラー実績など)を収集する。実績収集部15が収集した情報は、稼働実績14として生産管理記憶部13に記憶される。
【0027】
図3において、サポートセンタSに設置されている部品データ管理装置5は、顧客の工場のフロアF1~F3に設置された生産管理装置3から実装実績を取得し、実装条件の生産性を評価するための生産性データを作成し、フロアF1~F3に設置されたディスプレイ12に生産性データを表示させる機能などを有している。部品データ管理装置5には、記憶装置20が接続されている。
【0028】
記憶装置20は、半導体メモリ又はハードディスクドライブであり、実装実績データ21、評価用基板情報22、評価用生産データ23、生産能力データ24、生産性データ25、総合指標テーブル26、総合指標データ27などを記憶している。部品データ管理装置5は、取得部30、抽出部31、計算部32、生成部33、表示処理部34、総合指標決定部35、制御部(図示せず)などの情報処理装置を備えている。
【0029】
なお、各情報処理装置は、独立したハードウェア資産で構成しても、共通のCPUと各情報処理用のプログラムで構成してもよい。制御部は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、部品データ管理装置5の全体を制御する。また、部品データ管理装置5は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置20、部品データ管理装置5を構成する情報処理装置の全てもしくは一部を、サーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0030】
図3において、取得部30は、複数のフロアF1~F3(工場)に設置されている複数の生産管理装置3が収集した稼働実績14の中から、部品実装装置M3~M6によって基板Bに実装された複数の種類の部品Dの実装条件(動作パラメータ)を含む部品データ、部品実装装置M3~M6の機種に関する情報、作業エラーや実装エラーに関するエラー情報を取得して、実装実績データ21として記憶装置20に記憶させる。すなわち、取得部30は、部品実装装置M3~M6によって基板Bに実装された複数の種類の部品R1,R2の実装実績データ21を取得する(
図5のST1)。
【0031】
なお、実装実績データ21には、異なるフロアF1~F3において使用された複数の種類の部品Dの部品データと、その部品データを使用して実装基板を生産した際に発生した供給エラー数、吸着エラー数、実装エラー数などのエラーに関するエラー情報が含まれることがある。また、実装実績データ21には、同じ種類の部品Dに使用された複数の部品データ(実装条件)が含まれることもある。また、実装実績データ21には、異なる機種の部品実装装置M3~M6で使用された同じ種類の部品Dの部品データが含まれることもある。また、実装実績データ21には、同じ種類の部品Dを異なる種類の基板Bに実装した際に使用された複数の部品データが含まれることもある。
【0032】
図3において、抽出部31は、実装実績データ21から部品Dの種類毎に部品データ21aを抽出して、記憶装置20に記憶させる。すなわち、抽出部31は、実装実績データ21から部品実装装置M3~M6で使用された複数の種類の部品R1,R2のうちの一の種類の部品R1の各々の複数の部品データ21a(実装条件1~3)を抽出する(
図5のST2)。
【0033】
また、抽出部31は、実装実績データ21から一の種類の部品R1の複数の部品データ21a(実装条件1~3)に対応する実績エラー率21b(実績エラー率P1~P3)を抽出し、部品実装装置M3~M6の機種名と関連付けて、記憶装置20に記憶させる(
図5のST2)。
【0034】
なお、実装実績データ21に実績エラー率21bが含まれていない場合、抽出部31は、実装実績データ21から部品データ21aを使用して基板Bに部品Dを実装した実装数N1~N3と、そのうち作業エラー等のエラーが発生した回数(エラー数E1~E3)を抽出し、実績エラー率21b(エラー数/実装数)を部品データ21a毎に算出する。すなわち、抽出部31は、実装実績データ21から一の種類の部品R1の複数の部品データ21a(実装条件1~3)に対応する実装数N1~N3とエラー数E1~E3を抽出し、実績エラー率21b(エラー数/実装数)を算出し、部品実装装置M3~M6の機種名と関連付けて、記憶装置20に記憶させる。
【0035】
ここで
図4を参照して、部品データ21aの例について説明する。部品データ21aには、部品データ21aを特定する「部品n」(n=1,2,3・・・)で示す部品データコードが付与されている。同じ種類の部品Dであっても、実装条件が異なる部品データ21aには異なる部品データコードを付与して、他の部品データ21aと区別している。部品データ21aには、大分類項目として部品情報40、動作パラメータ41が規定されている。
【0036】
図4において、部品情報40は、部品Dの種類に固有の属性を示す情報である。ここでは、中分類項目として、「品名」40a、「形状」40b、「サイズ」40c、「部品パラメータ」40dが例示されている。「品名」40aは、部品Dを特定するための情報であり、部品メーカや自社が管理するために付与した「品番」が小分類項目として規定されている。「形状」40bは、部品Dの形状に関する情報であり、部品Dの外形形状を、矩形、円柱状などの形状区分によって示す「形状」、部品Dの形状を示す図面、画像情報を特定する情報などが小分類項目として規定されている。
【0037】
「サイズ」40cには、小分類項目として部品Dのサイズを示す「外形寸法」、部品Dに形成された接続用の電極(リード)の数や位置(間隔)を示す「電極位置」などが規定されている。「部品パラメータ」40dは部品Dの属性情報であり、小分類項目として部品Dの種類を示す「部品種別」、部品Dの外形における方向性の有無を示す「極性有無」、極性有りの場合に部品Dに付されるマークの形状などを示す「極性マーク」、極性マーク有りの場合にマークの位置を示す「マーク位置」などが規定されている。
【0038】
図4において、動作パラメータ41は、部品データ21aに規定される部品Dを対象として、部品実装装置M3~M6によって部品実装作業を実行する際に、部品実装装置M3~M6を制御するために用いられる制御パラメータ群(実装条件)である。ここでは、中分類項目として、「ノズル設定」41a、「スピードパラメータ」41b、「認識」41c、「吸着」41d、「装着」41eが例示されている。
【0039】
「ノズル設定」41aは、部品Dを保持する際に用いられる吸着ノズル(保持部)に関するデータであり、小分類項目として選択可能な吸着ノズルの種類を特定する「ノズル(ノズルの種類)」が規定されている。「スピードパラメータ」41bは、部品Dを吸着ノズルによって取り出して基板Bに装着する作業動作における吸着ノズルの移動速度に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として部品Dを吸着して保持する際の「吸着速度」、「吸着保持時間」、保持した部品Dを基板に装着する際の「装着速度」、「装着保持時間」、テープフィーダが部品Dをピッチ送りする際の「フィーダ駆動速度」などが含まれる。
【0040】
図4において、「認識」41cは、部品供給部から吸着ノズルによって取り出された部品Dを部品認識カメラによって撮像して認識する認識処理の実行に関するパラメータである。これらのパラメータには、小分類項目として撮像に使用されるカメラの種類を特定する「カメラ種別」、撮像に際して使用される照明のモードを示す「照明モード」、照明の照度を示す「透過ランプオフセット」、「反射ランプオフセット」、「BGAランプオフセット」、撮像により取得された画像を認識する際の「認識速度」などが含まれる。
【0041】
「吸着」41dは、部品供給部から吸着ノズルによって部品Dを取り出す際の吸着動作に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として、吸着ノズルを部品Dに着地させる際の吸着位置オフセットを示す「吸着位置X」、「吸着位置Y」、吸着位置のティーチングを示す「吸着位置学習」、「吸着位置自動ティーチ」などが含まれる。「装着」41eは、部品Dを吸着ノズルによって吸着保持した実装ヘッドを基板に移動させて、吸着ノズルに昇降動作を行わせて部品Dを基板Bに装着する装着動作に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として、吸着ノズルを下降させて部品Dを基板Bに着地させる際に部品Dを基板Bに押し付ける荷重である「装着荷重」、吸着ノズルを下降させる動作モードを示す「実装動作」、基板Bの高さ計測を示す「自動高さ計測」などが含まれている。
【0042】
このように、複数の動作パラメータ41(実装条件)の各々は、複数の詳細実装条件として、部品Dを移動させる速度に関するパラメータ(スピードパラメータ41bなど)、部品Dを保持する保持部の種類に関するパラメータ(ノズル設定41aなど)、部品Dを実装するための動作モードに関するパラメータ(装着41eなど)を含んでいる。
【0043】
図4において、動作パラメータ41(実装条件)は、「品名」40aが同じ、すなわち部品情報40が同じ部品Dであっても、基板Bに実装する部品実装装置M3~M6の機種、基板Bの材質、基板Bの電極の配置などが変わったり、要求される実装品質や作業エラー率を改善したりするために変更されることがある。
【0044】
部品Dの動作パラメータ41が変更されると、部品情報40に変更後の動作パラメータ41を紐づけた部品データ21aが新たに作成される。この際、部品データ21aの「部品n」(部品データコード)に新たなコードを付与して、修正前の動作パラメータ41と区別する。このように、部品データ21aは、部品Dの固有の属性を示す部品情報40に、部品実装装置M3~M6が部品Dを基板Bに実装するための実装条件である動作パラメータ41が紐付けされている。
【0045】
図3において、評価用基板情報22には、外形形状やサイズが異なる部品Dに対応する複数の評価用の基板(評価用基板)の情報が記憶されている。評価用基板は、部品実装装置M3~M6の生産性を評価するための基板Bであり、1つの基板Bに同じ部品Dを実装間隔や実装方向を変えて複数個所(例えば、チップ部品だと400箇所)に実装して、作業時間や実装品質を評価できるように設定されている。すなわち、評価用基板(所定の基板)は、所定数の一の種類の部品Dを所定の位置に所定の方向で実装するように設定された評価用の基板である。
【0046】
例えば、評価用基板として、IPC(Institute for Printed Circuits)などの事業者団体が提供する規格が使用可能である。評価用基板の情報には、部品Dの実装位置(X座標、Y座標)、実装方向(0°、90°、180°、270°など)が含まれる。規格化された評価用基板の情報を使用することで、部品実装装置M3~M6の機種が異なっていても、部品実装装置M3~M6の生産性を適切に比較することができる。
【0047】
図3において、評価用生産データ23は、部品実装装置M3~M6に使用して評価用基板に部品Dを実装するように設定された生産データであり、予め部品実装装置M3~M6の機種と評価用基板の種類の組み合わせに対応する評価用生産データ23が用意されている。評価用生産データ23には、評価用基板に実装する部品Dのダミーの部品データ21a、評価用の部品配置、評価用の実装ヘッドの情報などが初期値として設定されている。
【0048】
計算部32は、記憶装置20に記憶される部品データ21a(実装条件)、評価用基板情報22、評価用生産データ23に基づいて、部品データ21a(実装条件)を使用して部品実装装置M3~M6が部品Dを評価用基板(所定の基板)に実装するシミュレーションによって実装条件の生産性を計算する(
図5のST3)。すなわち、計算部32は、各々の実装条件(部品データ21a)を使用して部品実装装置M3~M6が一の種類の部品Dを所定の基板(評価用基板)に実装するシミュレーションによって、各々の実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性を計算する。なお、複数の部品Dを評価用基板の同じ位置に複数回実装するような仮想的な評価手法を用いてもよい。
【0049】
具体的には、計算部32は評価用生産データ23のダミーの部品データ21aを計算対象の部品データ21aに入れ替え、部品配置や実装ヘッドの構成を計算対象の部品Dに対応させて最適化し、部品実装装置M3~M6の動作を摸したシミュレーションを実行して、部品データ21aに含まれる実装条件(動作パラメータ41)に対応する部品実装装置M3~M6の生産性を計算する。生産性としては、例えば、部品実装装置M3~M6が1時間に実装する部品Dの数を示すCPH(Chip per hour)が用いられる。
【0050】
また、計算部32は、部品データ21aの動作パラメータ41(実装条件)に含まれる吸着ノズル(保持部)の種類に対応する実装ヘッドが複数ある場合は、全ての実装ヘッドに対して部品Dの配置を最適化してシミュレーションを実行し、計算された複数のCPHのうちの最大のCPHを実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性として採用する。また、計算部32は、部品実装装置M3~M6の機種が複数ある場合は、各々の機種に対して生産性を計算する。計算部32は、計算した生産性(CPH)を部品データ21aの部品データコード、部品実装装置M3~M6の機種、評価用基板の種類と関連付けて、生産能力データ24として記憶装置20に記憶させる。
【0051】
なお、計算部32は、上述したシミュレーションによって実装条件の生産性を計算する手法の他、簡易な手法を用いて実装条件の生産性を計算するようにしてもよい。例えば、計算部32は、部品データ21aの動作パラメータ41(実装条件)に含まれるスピードパラメータ41b(詳細実装条件)である装着速度が「100%」ならば生産性を「10点」、「40%」ならば生産性を「4点」などと、詳細実装条件によって点数化した生産性を計算するようにしてもよい。この場合、部品Dが実装された基板Bや評価用基板に依存しない生産性が計算される。すなわち、計算部32は、各々の実装条件(部品データ21a)に含まれる詳細実装条件(装着速度など)を使用して、各々の実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性を計算するようにしてもよい。
【0052】
図3において、総合指標テーブル26には、部品データ21aに含まれる実装条件(動作パラメータ41)に対応する部品実装装置M3~M6の生産性(CPH)と、その実装条件に対応する実績エラー率21bから、部品データ21aの良し悪しを評価する総合指標を生成するのに必要な情報が含まれている。
【0053】
ここで、
図6を参照して、総合指標テーブル26の例について説明する。この例で総合指標50は、実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性(CPH)と実績エラー率21bの関係に基づいて、良い方の「A」から悪い方の「D」までの4段階に区分されている。具体的には、生産性(CPH)は、5段階(20,000以上、19,000以上20,000未満、18,000以上19,000未満、15,000以上18,000未満、15,000未満)に区分されている。また、実績エラー率21bは、4段階(0.5%未満、0.5%以上1.0%未満、1.0%以上2.0%未満、2.0%以上)に区分されている。
【0054】
そして、生産性(CPH)の区分と、実績エラー率21bの区分の関係から総合指標50が規定されている。例えば、生産性(CPH)が「20,000以上」で実績エラー率21bが「0.5%未満」の区間には、総合指標50として「A」が規定されている。また、生産性(CPH)が「15,000未満」で実績エラー率21bが「2.0%以上」の区間には、総合指標50として「D」が規定されている。すなわち、生産性(CPH)が高くて実績エラー率21bが低いほど総合指標50が良く(実装条件が良い)、生産性(CPH)が低くて実績エラー率21bが高いほど総合指標50が悪い(実装条件が悪い)。
【0055】
なお、総合指標50は4段階、生産性(CPH)は5段階、実績エラー率21bは4段階に限定されることなく、適宜、変更される。また、生産性(CPH)と実績エラー率21bの区分は、部品Dのサイズ、部品実装装置M3~M6の機種等に対応して、適宜変更される。また、総合指標50は「A」から「D」のアルファベットの順番に限定されることはなく、例えば、「1」から「4」の数字であっても、「〇」「△」「×」、「晴れ」「曇り」「雨」などであってもよい。
【0056】
図3において、総合指標決定部35は、計算部32によって計算された生産性(CPH)と実績エラー率21b、および総合指標テーブル26に基づき、部品データ21aの実装条件に対応する総合指標50を決定し、総合指標データ27として記憶装置20に記憶させる(
図7)。このように、総合指標50は、部品データ21aに含まれる動作パラメータ41(実装条件)に対応する生産性(CPH)とエラーの発生確率(実績エラー率21b)を考慮して、部品データ21aの良し悪しを総合的に評価可能な指標である。
【0057】
なお、総合指標決定部35は、総合指標テーブル26を使用せずに、生産性と実績エラー率21bに重み付けをして、総合指標50を決定するようにしてもよい。また、総合指標決定部35は、生産性と実績エラー率21bを変数として総合指標50を算出する関係式を使用して、総合指標50を決定するようにしてもよい。
【0058】
また、複数の評価目的に対応する総合指標テーブル26、重み付け、関係式を用意しておき、総合指標決定部35が複数の総合指標50を決定するようにしてもよい。例えば、生産性を重視した総合指標50、エラー率を重視した総合指標50、生産性とエラー率のバランスを重視した総合指標50などをそれぞれ導出して、後述するように生産性データ25としてディスプレイ12に表示するようにしてもよい。なお、総合指標テーブル26、重み付け、関係式は、予め準備しておいたものを使用しても、顧客が設定できるようにして、顧客が設定したものを使用するようにしてもよい。
【0059】
生成部33は、工場の管理者等が部品データ21aの実装条件の生産性を評価するためにフロアF1~F3(顧客の工場)に設定されたディスプレイ12に表示される表示画面に含まれる生産性データ25を作成する。具体的には、生成部33は、計算された生産性(CPH)に基づき、一の種類の部品Dの生産性データ25を生成する。また、生成部33は、一の種類の部品Dの各々の実装条件に対応する生産性(CPH)と実績エラー率21bに基づいて、生産性データ25を生成する。また、生成部33は、一の種類の部品Dの各々の実装条件に対応する総合指標50(総合指標データ27)に基づいて、生産性データ25を生成する。
【0060】
図3において、また、生成部33は、一の種類の部品Dの生産性データ25の作成を複数の種類の部品Dについて繰り返して実行することで、複数の種類の部品Dの生産性データ25を生成する。表示処理部34は、フロアF1~F3に設置されているディスプレイ12に生産性データ25を表示させる表示処理を実行する。
【0061】
次に、
図8~
図10を参照して、表示処理部34がディスプレイ12に表示させた生産性データ表示画面の例について説明する。
図8は、表示処理部34がディスプレイ12に表示させた生産性データ(部品毎)表示画面51の例である。生産性データ(部品毎)表示画面51には、部品名選択枠52、データ表示枠53、詳細表示ボタン54、条件選択表示ボタン55、中止ボタン56が表示されている。入力部11の操作により部品名選択枠52の部品名が選択されると、データ表示枠53に選択された部品名の部品Dに関する総合指標50などが表示される。この例では、部品名が「R1」の部品(以下、「部品R1」などと称する。)が選択されている。
【0062】
データ表示枠53には、番号欄53a、動作パラメータ表示欄53b、評価値表示欄53cが設けられている。番号欄53aには、部品R1の実装に使用された部品データ21aに含まれる実装条件に付された条件番号が表示されている。この例では、データ表示枠53には、「条件1」から「条件5」の5つの部品データ21aに含まれる実装条件に関するデータが表示されている。動作パラメータ表示欄53bには、部品データ21aに含まれる複数の詳細実装条件のうち、部品R1を移動させる速度を示す「装着速度」と「吸着速度」、部品R1を保持する保持部の種類を示す「ノズルの種類」、部品R1を実装するための動作モードを示す「実装動作」が表示されている。
【0063】
図8において、評価値表示欄53cには、生産性データ25に含まれる情報が表示される。この例では、部品データ21aに含まれる実装条件に基づき計算された生産能力データ24に含まれる生産性(CPH)、実装条件での実績エラー率21bとエラー数および実装数、生産性と実績エラー率21bから生成された総合指標データ27に含まれる総合指標50が表示されている。なお、評価値表示欄53cに表示される生産性(CPH)、実績エラー率21bは、
図8に示す数値の他、アルファベット(A、B、C、・・・)、数字(1、2、3、・・・)、記号(〇、△、×など)であってもよい。また、データ表示枠53に表示されるデータは
図8の例に限定されることはなく、生産性の計算に使用した部品実装装置M3~M6の機種、評価用基板の種類も併せて表示するようにしてもよい。
【0064】
このように、表示処理部34は、複数の実装条件の各々に対して、生産性データ25に含まれる生産性(CPH)(生産能力データ24)、実績エラー率21b、総合指標50(総合指標データ27)をディスプレイ12に表示させる。フロアF1~F3(顧客の工場)に設定されたディスプレイ12に、一の種類の部品Dの各々の実装条件の生産性(CPH)、実績エラー率21b、総合指標50を表示することによって、工場の管理者は部品データ21aの良し悪しを容易に判断することができ、実装実績のある部品データ21aの中から生産性や実装基板の用途等に最適な部品データ21aを容易に選択することができる。
【0065】
なお、表示処理部34は、生産性データ25として生産性、実績エラー率21b、総合指標50の全て(3つ)を評価値表示欄53cに表示させる必要は無く、生産性と総合指標50の少なくともいずれか(1つ、または、2つ)を表示させるようにしてもよい。
【0066】
入力部11の操作によりデータ表示枠53の番号欄53aから実装条件が選択され、詳細表示ボタン54が押下されると、表示処理部34はディスプレイ12に生産性データ(部品毎詳細)表示画面を表示させる。
図8では、「条件1」「条件2」「条件3」の3つの実装条件が選択され、選択された3つの実装条件を囲う選択表示53dが表示され、番号欄53aの「条件1」「条件2」「条件3」に斜線のハッチングが付されている。
【0067】
図9は、
図8において詳細表示ボタン54が押下されて表示処理部34がディスプレイ12に表示させた生産性データ(部品毎詳細)表示画面57の例である。生産性データ(部品毎詳細)表示画面57には、表示部品枠58、詳細実装条件表示枠59、戻るボタン60が表示されている。表示部品枠58には、詳細実装条件表示枠59に詳細実装条件が表示されている部品の部品名(R1)が表示される。
【0068】
詳細実装条件表示枠59には、項目表示欄59a、条件1表示欄59b、条件2表示欄59c、条件3表示欄59d、生産性表示欄59e、実績エラー率表示欄59f、総合指標表示欄59gが設けられている。項目表示欄59aには、
図4に示す部品データ21aの動作パラメータ41(実装条件)の小分類項目(詳細実装条件)に対応する項目名が表示されている。
【0069】
図9において、条件1表示欄59b、条件2表示欄59c、条件3表示欄59dには、「条件1」「条件2」「条件3」の詳細実装条件が表示されている。この例では、
図4に示すノズル設定41aのうちの「ノズルの種類」、スピードパラメータ41bのうちの「装着速度」「吸着速度」「装着保持時間」「吸着保持時間」「フィーダ駆動速度」、認識41cのうちの「透過ランプオフセット」「反射ランプオフセット」「BGAランプオフセット」、吸着41dのうちの「吸着位置学習」「吸着位置自動ティーチ」、装着41eのうちの「実装動作」「自動高さ計測」が、詳細実装条件として表示されている。
【0070】
生産性表示欄59eには、「条件1」「条件2」「条件3」の生産性(CPH)(生産能力データ24)が表示されている。実績エラー率表示欄59fには、「条件1」「条件2」「条件3」の実績エラー率21bが表示されている。総合指標表示欄59gには、「条件1」「条件2」「条件3」の総合指標50が表示されている。詳細実装条件表示枠59のスクロールバーが操作されると、詳細実装条件表示枠59に表示される詳細実装条件がスクロールされる。
【0071】
図9において、入力部11の操作により戻るボタン60が押下されると、生産性データ(部品毎)表示画面51(
図8)に表示が戻る。
図8において、入力部11の操作により条件選択表示ボタン55が押下されると、表示処理部34はディスプレイ12に生産性データ(複数部品)表示画面を表示させる。中止ボタン56が押下されると、表示処理部34は表示処理を中止する。
【0072】
図10は、
図8において条件選択表示ボタン55が押下されて表示処理部34がディスプレイ12に表示させた生産性データ(複数部品)表示画面61の例である。生産性データ(複数部品)表示画面61には、表示条件選択枠62、データ表示枠63、詳細表示ボタン64、部品選択表示ボタン65、中止ボタン66が表示されている。入力部11の操作により表示条件選択枠62の表示条件が選択されると、データ表示枠63に選択された条件に合致する複数の部品Dに関する総合指標50などが表示される。この例では、「総合指標がA」の実装条件の部品Dが表示されている。その他、表示条件として「生産性の範囲」「実績エラー率の範囲」などが選択され得る。
【0073】
データ表示枠63には、部品名欄63a、動作パラメータ表示欄63b、評価値表示欄63cが設けられている。部品名欄63aには、部品Dの部品名が表示されている。動作パラメータ表示欄63bと評価値表示欄63cは、
図8に示す生産性データ(部品毎)表示画面51の動作パラメータ表示欄53bと評価値表示欄53cと同様であり、詳細な説明は省略する。
【0074】
このように、表示処理部34は、複数の種類の部品Dの各々に対して、生産性データ25に含まれる生産性(CPH)(生産能力データ24)、実績エラー率21b、総合指標50(総合指標データ27)をディスプレイ12に表示させる。フロアF1~F3(顧客の工場)に設定されたディスプレイ12に、複数の種類の部品Dの各々の実装条件の生産性(CPH)、実績エラー率21b、総合指標50を表示することによって、工場の管理者は生産性や実装基板の用途等に適するように部品データ21aを作成、変更することができる。
【0075】
入力部11の操作により詳細表示ボタン64が押下されると、表示処理部34はディスプレイ12に生産性データ(複数部品詳細)表示画面(図示省略)に選択表示63dで囲われた部品名の詳細情報を表示させる。入力部11の操作により部品選択表示ボタン65が押下されると、表示処理部34はディスプレイ12に生産性データ(部品毎)表示画面51(
図8)を表示させる。中止ボタン66が押下されると、表示処理部34は表示処理を中止する。
【0076】
次に、
図11のフローに沿って、
図5を参照しながら、部品実装装置M3~M6で使用される実装条件(動作パラメータ41)の生産性を評価するための生産性データ25を生成するデータ生成方法について説明する。まず、取得部30は、部品実装装置M3~M6が基板Bに複数の種類の部品R1、R2を実装した実装実績データ21を、フロアF1~F3(工場)に設置されている生産管理装置3から取得する(ST1:取得工程)。
【0077】
次いで抽出部31は、実装実績データ21から、複数の種類の部品R1、R2のうちの一の種類の部品R1の部品実装装置M3~M6で使用された複数の実装条件(部品データ21a)を抽出する(ST2:抽出工程)。次いで計算部32は、一の種類の部品R1の複数の部品データ21aに含まれる実装条件(動作パラメータ41)に基づき、各々の実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性(生産能力データ24)を計算する(ST3:計算工程)。次いで生成部33は、計算された生産性(生産能力データ24)に基づき、一の種類の部品R1の生産性データ25を生成する(ST4:生成工程)。
【0078】
図11において、実装実績データ21に含まれる全ての種類の部品R1,R2について生産性データ25が生成されていない場合、あるいは、指定された複数の種類の部品の全てに対して生産性データ25が生成されていない場合(ST5においてNo)、次の種類の部品R2に対して抽出工程(ST2)、計算工程(ST3)、生成工程(ST4)が繰り返し実行される。
【0079】
すなわち、抽出部31は、実装実績データ21から、複数の種類の部品R1,R2の各々の実装条件(部品データ21a)を抽出し(ST2)、計算部32は、複数の実装条件(部品データ21a)に基づき、各々の実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性(生産能力データ24)を計算し(ST3)、生成部33は、計算された生産性に基づき、複数の種類の部品R1,R2の生産性データ25を生成する(ST4)。
【0080】
全ての種類の部品R1,R2で生産性データ25が生成されると(ST5においてYes)、表示処理部34は、ディスプレイ12に生産性データ25を表示させる(ST6:表示処理工程)(
図8~
図10)。これによって、実装条件の生産性を評価するための生産性データ25を生成することができる。
【0081】
上記説明したように、本実施の形態の部品データ管理装置5は、部品実装装置M3~M6によって基板Bに実装された複数の種類の部品Dの実装実績データ21を取得する取得部30と、実装実績データ21から、複数の種類の部品R1,R2のうちの一の種類の部品R1の複数の実装条件(部品データ21aの動作パラメータ41)を抽出する抽出部31と、複数の実装条件に基づき、各々の実装条件に対応する部品実装装置M3~M6の生産性(生産能力データ24)を計算する計算部32と、計算された生産性に基づき、一の種類の部品R1の生産性データ25を生成する生成部33と、を備え、部品実装装置M3~M6で使用される実装条件の生産性を評価するための生産性データ25を生成するデータ生成装置である。
【0082】
これによって、実装条件の生産性を評価するための生産性データ25を生成することができる。
【0083】
なお、上記では、実装条件は、動作パラメータ41として部品データ21aに含まれる例で説明したが、この構成に限定されることはない。例えば、実装条件(動作パラメータ41)と部品情報40は、別々のファイルとして記憶しておき、部品データコードによって関連付ける構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のデータ生成装置およびデータ生成方法は、実装条件の生産性を評価するための生産性データを生成することができるという効果を有し、部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0085】
5 部品データ管理装置(データ生成装置)
12 ディスプレイ
50 総合指標
D、R1、R2 部品
M3~M6 部品実装装置