(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134588
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044855
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】村田 智大
【テーマコード(参考)】
2C060
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BB13
2C060BB16
2C060BC44
2C060BC91
(57)【要約】
【課題】排出口の内側でラベルの貼り付きを抑制できるプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ1は、印刷されたラベルLが排出される排出口18を有するケーシング10と、ケーシング10の内側に配置された印字ユニット30と、印字ユニット30と排出口18との間に位置するラベルLを検出するセンサと、を備える。ケーシング10は、印字ユニット30を通過したラベルLの粘着面に対向する案内面20を有する。案内面20は、複数の上流リブ50が幅方向に間隔をあけて立設された上流部21と、複数の下流リブ60が幅方向に間隔をあけて立設された下流部23と、搬送方向においてセンサと同じ位置に設けられ、上流部21および下流部23の間に位置し、搬送方向に沿って延びる中流リブ70が幅方向の中央部22aのみに立設された中流部22と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着面が設けられたライナーレスラベルへ印刷するプリンタであって、
印刷前の前記ライナーレスラベルを収容する収容部、および印刷された前記ライナーレスラベルが排出される排出口を有するケーシングと、
前記ケーシングの内側に配置されており、前記ライナーレスラベルに印刷するサーマルヘッド、および前記ライナーレスラベルの幅方向に延び、前記サーマルヘッドとの間で前記ライナーレスラベルを挟み込んで前記ライナーレスラベルを前記排出口に向けて搬送するプラテンローラを有する印字ユニットと、
前記印字ユニットと前記排出口との間に位置する前記ライナーレスラベルを検出するセンサと、
を備え、
前記ケーシングは、前記印字ユニットを通過した前記ライナーレスラベルの粘着面に対向する案内面を有し、
前記案内面は、
前記ライナーレスラベルの搬送方向に沿って延びる複数の上流リブが前記幅方向に間隔をあけて立設された上流部と、
前記上流部に対して間隔をあけて前記搬送方向の下流側に設けられ、前記搬送方向に沿って延びる複数の下流リブが前記幅方向に間隔をあけて立設された下流部と、
前記搬送方向において前記センサと同じ位置に設けられ、前記上流部および前記下流部の間に位置し、前記搬送方向に沿って延びる少なくとも1つの中流リブが前記幅方向の中央部のみに立設された中流部と、
を有する、
プリンタ。
【請求項2】
前記中央部は、前記幅方向において前記複数の上流リブが設けられた範囲の両端よりも内側、かつ前記複数の下流リブが設けられた範囲の両端よりも内側にある、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記中流部には、開口が形成され、
前記センサは、前記開口を通じて前記ライナーレスラベルを検出する、
請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの中流リブは、前記幅方向で前記センサを挟んだ両側に配置された一対の中流リブを有する、
請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記下流リブは、前記幅方向から見て前記中流部の接線から突出しない、
請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記収容部は、ロール状に巻回された前記ライナーレスラベルを収容する、
請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟み込んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を搬送しながらサーマルヘッドにより記録紙の印刷面に対して印刷を行うサーマルプリンタが知られている。ところで、食品のPOSラベルや各種表示ラベル等には、環境負荷の低減や利便性の向上を目的として、いわゆるライナーレスラベルを記録紙に用いることがある。ライナーレスラベルとは、印刷面とは反対側に粘着面を備える記録紙において、粘着面を覆う台紙を備えないものである。
【0003】
ライナーレスラベルへ印刷するプリンタでは、印刷したラベルを連続発行した場合に、プリンタから排出されたラベルがプリンタの外表面やプリンタの周辺等の意図しない箇所に貼り付き、ラベルの排出に支障を来す可能性がある。そのため、印刷されたラベルを裁断する裁断部と排出口との間の通紙部に位置するラベルの有無を検出するセンサを設け、裁断されたラベルが排出されていない状態でのラベルの印刷を制限することで、ラベルの連続発行を規制するプリンタがある。
【0004】
ラベルを検出するセンサを設けたプリンタでは、通紙部にセンサを配置するためのスペースが設けられる。このため、排出口の内側には、通紙部が比較的長い距離にわたって設けられる。しかしながら、通紙部の距離が長くなるに従ってラベルの粘着面に対向する通紙部の内面もラベルの搬送方向に大きくなるので、ラベルの粘着面が通紙部の内面に貼り付きやすくなる。ラベルが通紙部の内面に貼り付くと、ラベルがセンサの検出位置を通過しないことでセンサがラベルを精度よく検出できない場合があるので、ラベルの粘着面が通紙部の内面に貼り付くことを抑制することが望まれる。例えば、特許文献1には、排出口のラベルの粘着面が接する面に非粘着性シートを貼り付けた構成を有するラベルプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、ラベルの粘着面の貼り付きを抑制するために新たな部品を用いていることから、部品点数の増加により製造コストが上昇する可能性がある。したがって、排出口の内側でラベルの貼り付きを抑制することについては、依然として改良の余地がある。
【0007】
そこで本発明は、排出口の内側でラベルの貼り付きを抑制できるプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るプリンタは、裏面に粘着面が設けられたライナーレスラベルへ印刷するプリンタであって、印刷前の前記ライナーレスラベルを収容する収容部、および印刷された前記ライナーレスラベルが排出される排出口を有するケーシングと、前記ケーシングの内側に配置されており、前記ライナーレスラベルに印刷するサーマルヘッド、および前記ライナーレスラベルの幅方向に延び、前記サーマルヘッドとの間で前記ライナーレスラベルを挟み込んで前記ライナーレスラベルを前記排出口に向けて搬送するプラテンローラを有する印字ユニットと、前記印字ユニットと前記排出口との間に位置する前記ライナーレスラベルを検出するセンサと、を備え、前記ケーシングは、前記印字ユニットを通過した前記ライナーレスラベルの粘着面に対向する案内面を有し、前記案内面は、前記ライナーレスラベルの搬送方向に沿って延びる複数の上流リブが前記幅方向に間隔をあけて立設された上流部と、前記上流部に対して間隔をあけて前記搬送方向の下流側に設けられ、前記搬送方向に沿って延びる複数の下流リブが前記幅方向に間隔をあけて立設された下流部と、前記搬送方向において前記センサと同じ位置に設けられ、前記上流部および前記下流部の間に位置し、前記搬送方向に沿って延びる少なくとも1つの中流リブが前記幅方向の中央部のみに立設された中流部と、を有する。
【0009】
第1の態様によれば、センサを配置するスペースを確保するために案内面の中流部が搬送方向に大きく形成されることで、中流部と向かい合う位置をライナーレスラベルが通過する際に、ライナーレスラベルの粘着面が中流部に貼り付きやすくなるところ、中流リブによってライナーレスラベルの粘着面が中流部に貼り付くことを規制できる。このため、ライナーレスラベルの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことを抑制できる。したがって、排出口の内側でラベルの貼り付きを抑制できるプリンタを提供できる。
さらに、中流リブが中流部における幅方向の中央部のみに設けられているので、ライナーレスラベルのうち幅方向の片側部分のみが中流リブに貼り付いてライナーレスラベルが蛇行することを抑制できる。したがって、排出口の内側でライナーレスラベルの紙詰まりが生じることを抑制できる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るプリンタは、上記第1の態様に係るプリンタにおいて、前記中央部は、前記幅方向において前記複数の上流リブが設けられた範囲の両端よりも内側、かつ前記複数の下流リブが設けられた範囲の両端よりも内側にあってもよい。
【0011】
第2の態様によれば、中流部を挟んで搬送方向の両側には、上流リブおよび下流リブが中流リブよりも幅方向に広く設けられる。このため、中流リブを幅方向において上流リブおよび下流リブと同等以上の範囲にわたって設けなくても、案内面が臨む空間を所望の経路に沿ってライナーレスラベルを案内することができる。したがって、ライナーレスラベルの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことをより確実に抑制できる。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプリンタは、上記第1の態様または第2の態様に係るプリンタにおいて、前記中流部には、開口が形成され、前記センサは、前記開口を通じて前記ライナーレスラベルを検出してもよい。
【0013】
第3の態様によれば、案内面の中流部に開口が形成される分、中流部が搬送方向に大きく形成されるので、上記の作用効果を奏する最適な構成とすることができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係るプリンタは、上記第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係るプリンタにおいて、前記少なくとも1つの中流リブは、前記幅方向で前記センサを挟んだ両側に配置された一対の中流リブを有していてもよい。
【0015】
第4の態様によれば、センサの検出位置においてライナーレスラベルが案内面の中流部に貼り付くことを一対の中流リブによって規制できる。したがって、ライナーレスラベルが案内面に貼り付いてセンサの検出位置から外れることを抑制して、センサによりライナーレスラベルの有無を精度よく検出できる。
【0016】
本発明の第5の態様に係るプリンタは、上記第1の態様から第4の態様のいずれかの態様に係るプリンタにおいて、前記下流リブは、前記幅方向から見て前記中流部の接線から突出していなくてもよい。
【0017】
第5の態様によれば、案内面の中流部のうち幅方向において中流リブが設けられていない領域にライナーレスラベルの先端が摺接しても、ライナーレスラベルの先端が下流リブに引っ掛かることを抑制できる。これにより、ライナーレスラベルの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことを抑制できる。
【0018】
本発明の第6の態様に係るプリンタは、上記第1の態様から第5の態様のいずれかの態様に係るプリンタにおいて、前記収容部は、ロール状に巻回された前記ライナーレスラベルを収容してもよい。
【0019】
第6の態様によれば、案内面が臨む空間を長尺のライナーレスラベルが通過するので、ライナーレスラベルの安定した排紙を実現するために、上記の作用効果を得るのに好適なプリンタとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、排出口の内側でラベルの貼り付きを抑制できるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】実施形態のプリンタの断面図であって、
図1のIII-III線における断面の拡大図である。
【
図4】実施形態のプリンタの通紙部を示す斜視図である。
【
図5】実施形態のプリンタの排出口周辺を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0023】
図1および
図2は、実施形態のプリンタを示す斜視図である。
図1に示すように、プリンタ1は、裏面に粘着面が設けられたライナーレスラベルへ印刷するプリンタ1である。なお、ライナーレスラベルとは、粘着面を覆う台紙を備えないものである。本実施形態ではライナーレスラベルを紙製とするが、ライナーレスラベルは紙製に限定されず、例えば樹脂フィルム製であってもよい。なお以下の説明では、ライナーレスラベルを単にラベルLと称する。プリンタ1は、ケーシング10と、印字ユニット30と、カッターユニット40と、センサ80と、を備える。プリンタ1は、設置面G上に設置されている。以下のケーシング10及び印字ユニット30の説明において、設置面Gに対して垂直な方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する2方向を前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左方)とする。
【0024】
ケーシング10は、直方体状に形成されている。ケーシング10は、ケース本体11と、上カバー12と、に上下に分割された形状を有している。ケース本体11は、ケーシング10の下半部を形成している。ケース本体11は、上方に開口する箱型に形成され、設置面G上に設置されている。
【0025】
上カバー12は、ケーシング10の上半部を形成している。上カバー12の後端の下部は、ケース本体11の後端上部に回動可能に連結されている。上カバー12は、ケース本体11に対して左右方向に延びる軸線回りに回動する。上カバー12は、ケース本体11に対して回動することで、ケース本体11の開口を開閉する。上カバー12は、下方に開口する箱型に形成されている。上カバー12は、閉位置において、ケース本体11に上方から重ね合わせられ、ケース本体11の開口を閉塞する。上カバー12は、開位置において、ケース本体11の上方から退避して、ケース本体11の開口を開放する。以下では特に記載のない限り、上カバー12がケース本体11の開口を閉塞した状態のプリンタ1について説明する。
【0026】
ケーシング10は、印刷前のラベルLを収容する収容部14と、収容部14から引き出されたラベルLが通過する通紙部16と、印字ユニット30で印刷されたラベルLをケーシング10の外側に排出する排出口18と、を有する。
【0027】
収容部14は、ロール状に巻回されたラベルLを収容する。収容部14は、上方に開放された凹部としてケース本体11に形成され、上カバー12によって閉塞されている。収容部14は、ケーシング10の後部に設けられている。収容部14は、ロール状のラベルL、その巻回軸が左右方向に沿う状態で収容する。ラベルLは、印刷面を上方に向け、粘着面を下方に向けた状態で、収容部14から引き出される。なお本実施形態では、収容部14は、紙幅の異なる複数種類のラベルLを収容可能に形成されている。収容部14は、収容したラベルLの紙幅によらず、ラベルLの幅方向の中心が通紙部16の左右方向の中心を通るようにラベルLを保持する。
【0028】
排出口18は、ケース本体11の前端と上カバー12の前端との間に形成されている。排出口18は、ケーシング10の内外を連通させる。排出口18は、左右方向に延びるスリット状に形成されている。排出口18は、ラベルLを前方に排出する。
通紙部16は、排出口18から収容部14に向けて前方に延びている。通紙部16の詳細については後述する。
【0029】
以下のプリンタ1の説明においては、通紙部16においてラベルLが搬送される方向を搬送方向とする。搬送方向において、ラベルLが搬送される向きを下流側とし、その反対向きを上流側とする。本実施形態においては、搬送方向は前後方向とおおよそ一致している。また、ケーシング10内に位置する帯状のラベルLの幅方向は、左右方向と一致している。ただし、搬送方向は前後方向と一致していなくてもよく、前後方向に傾斜していてもよい。
【0030】
図3は、実施形態のプリンタの断面図であって、
図1のIII-III線における断面の拡大図である。
図3に示すように、印字ユニット30は、ケーシング10の内側に配置されている。印字ユニット30は、搬送方向において収容部14と排出口18との間に配置されている。印字ユニット30は、ラベルLに印刷するサーマルヘッド31と、サーマルヘッド31との間でラベルLを挟み込んでラベルLを排出口18に向けて搬送するプラテンローラ32と、を備える。
【0031】
サーマルヘッド31は、上カバー12内に配置されている。サーマルヘッド31は、上カバー12の前端部に固定されている。サーマルヘッド31は、左右方向に沿って直線状に並ぶ複数の発熱素子を備えている。発熱素子は、上カバー12がケース本体11の開口を閉塞した状態で、通紙部16に位置するラベルLの印刷面と向かい合う。
【0032】
プラテンローラ32は、左右方向に延びるゴムローラである。プラテンローラ32は、ケース本体11内に配置されている。プラテンローラ32は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能であり、ラベルLの搬送時において不図示の駆動モータの駆動力に応じて回転する。
【0033】
プラテンローラ32およびサーマルヘッド31は、上下方向において通紙部16に位置するラベルLを間に挟んで向かい合っている。サーマルヘッド31は、ラベルLを介してプラテンローラ32に密接する。ラベルLは、プラテンローラ32の回転に応じて、プラテンローラ32とサーマルヘッド31との間を通過する。サーマルヘッド31は、制御基板(不図示)から出力される信号に基づいて発熱素子の発熱パターンが制御される。発熱素子の熱がラベルLの印刷面L1に伝わることで、発熱パターンに応じた情報(文字や図形等)が印刷面L1に印刷される。
【0034】
カッターユニット40は、搬送方向において印字ユニット30と排出口18との間に配置されている。カッターユニット40は、排出口18に対して搬送方向に間隔をあけて配置されている。カッターユニット40は、固定刃41と、可動刃42と、移動機構(不図示)と、を備える。カッターユニット40は、図示しない移動機構により、可動刃42をラベルLに対して往復移動させ、可動刃42と固定刃41との間のラベルLを挟みこむことにより、ラベルLに切れ目をいれる。カッターユニット40は、ラベルLに対し、その幅方向中央部に切断残りLa(
図4参照)を形成する、いわゆるパーシャルカットを施す。
【0035】
固定刃41は、ケース本体11内に配置されている。固定刃41は、通紙部16に位置するラベルLの粘着面に向かい合う。固定刃41は、左右方向に延びる板状に形成されている。固定刃41は、ケース本体11に固定されている。
【0036】
可動刃42は、上カバー12内に配置されている。可動刃42は、通紙部16に位置するラベルLの印刷面L1に向かい合う。可動刃42は、左右方向に延びる板状に形成されている。また、可動刃42は、図示しない移動機構によって、上下方向に往復移動する。可動刃42は、下方移動に伴って固定刃41に接近するとともに、上流側を向く裏スキ面42aを固定刃41の上端縁に下流側から摺接させる。可動刃42は、固定刃41との間にラベルLを挟んだ状態で下方移動することで、裏スキ面42aと固定刃41の上端縁との間でラベルLを切断する。
【0037】
ここで、通紙部16について説明する。
図4は、実施形態のプリンタの通紙部を示す斜視図である。
図3および
図4に示すように、通紙部16は、ラベルLの粘着面に対向する案内面20を有する。案内面20は、搬送方向においてカッターユニット40と排出口18との間に設けられている。案内面20は、ケース本体11に形成されている。案内面20は、排出口18の開口縁の下部から上流側に延びている。案内面20は、左右方向に延びる境界線に沿って搬送方向に分割された上流部21、下流部23および中流部22を備える。
【0038】
上流部21は、案内面20の上流側の端部を含む。上流部21は、案内面20の上流側の端縁から排出口18側に延びている。上流部21は、後方から前方に向かうに従い上方に延びている。上流部21は、平坦面である。上流部21は、固定刃41に前後方向で重なるように設けられている。上流部21は、固定刃41との間に前後方向の隙間を有し、固定刃41との間に可動刃42が下降して進入することを許容している。
【0039】
中流部22は、上流部21に下流側で隣接している。中流部22は、上流部21の下流側の端縁から排出口18側に延びている。中流部22は、前後方向に平行に延びている。中流部22は、平坦面である。中流部22の前後方向の大きさは、上流部21の前後方向の大きさよりも大きい。中流部22には、センサ開口25が形成されている。センサ開口25は、中流部22における左右方向の中央部22aに設けられている。左右方向の中央部22aは、例えば中流部22を左右方向に均等に三分割した場合の中央の領域である。本実施形態では、センサ開口25は、中流部22における左右方向の両端から等距離の箇所に設けられている。センサ開口25は、ケース本体11の内外を上下方向に連通させている。
【0040】
下流部23は、案内面20の下流側の端部を含む。下流部23は、中流部22に下流側で隣接している。下流部23は、中流部22の下流側の端縁から排出口18側に延びている。下流部23は、後方から前方に向かうに従い下方に延びている。下流部23は、平坦面である。下流部23は、上流部21よりも前後方向に対して急傾斜で延びている。下流部23の前後方向の大きさは、中流部22の前後方向の大きさ、および上流部21の前後方向の大きさよりも小さい。
【0041】
案内面20には、上流リブ50と、下流リブ60と、中流リブ70と、が立設されている。上流リブ50、下流リブ60および中流リブ70は、左右方向に厚みを有するとともに前後方向に延びている。
【0042】
上流リブ50は、上流部21に立設されている。上流リブ50は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。上流リブ50は、案内面20の左右方向の中心に対して左右対称に配置されている。上流リブ50は、案内面20の左右両端間の全域にわたって設けられている。
【0043】
上流リブ50は、左右方向から見て互いに一致するように形成されている。上流リブ50は、後端縁51と、上端縁52と、前端縁53と、を備える。後端縁51は、上流部21の上流側の端縁から下流側に延びている。後端縁51は、下流側に向かうに従い上流部21から離れるように、上流部21の上流側の端縁から前上方に直線状に延びている。上端縁52は、後端縁51の下流側の端部から下流側に延びている。上端縁52は、上流部21と平行に、後端縁51の下流側の端部から前上方に直線状に延びている。前端縁53は、上端縁52の下流側の端部から下流側に延びている。後端縁は、前端縁53に下流側に向かうに従い上流部21に近付くように、上端縁52の下流側の端部から前下方に直線状に延びている。上端縁52は、上流部21の下流側の端縁に接続している。
【0044】
下流リブ60は、下流部23に立設されている。下流リブ60は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。下流リブ60は、案内面20の左右方向の中心に対して左右対称に配置されている。下流リブ60は、一部の上流リブ50と1対1で前後方向で重なるように配置されている。本実施形態では、下流リブ60は、上流リブ50よりも2個少なく設けられており、複数の上流リブ50のうち左右方向の両端に位置する上流リブ50を除く上流リブ50と1対1で前後方向で重なるように配置されている。すなわち、下流リブ60は、案内面20の左右両端よりも左右方向の内側の領域に設けられている。ただし下流リブ60は、上流リブ50と同様に、案内面20の左右両端間の全域にわたって設けられていてもよい。
【0045】
下流リブ60は、左右方向から見て互いに一致するように形成されている。下流リブ60は、上端縁61と、前端縁62と、を備える。上端縁61は、下流部23の上流側の端縁から下流側に延びている。上端縁61は、下流側に向かうに従い下流部23から離れるように、下流部23の上流側の端縁から前方に直線状に延びている。上端縁61は、左右方向から見て下流リブ60が中流部22の接線よりも上方に突出しないように設けられている。本実施形態では、上端縁61は、中流部22の下流側の端縁から中流部22と平行に延びている。ただし、上端縁61は、左右方向から見て下流リブ60が中流部22の接線よりも上方に突出しないように、中流部22の下流側の端縁から中流部22に対して傾斜して前下方に延びていてもよい。前端縁62は、上端縁61の下流側の端部から下流側に延びている。前端縁62は、下流部23と平行に、上端縁61の下流側の端部から前下方に直線状に延びている。前端縁62は、排出口18の開口縁に接続している。
【0046】
中流リブ70は、中流部22に立設されている。中流リブ70は、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。中流リブ70は、案内面20の左右方向の中心に対して左右対称に配置されている。全ての中流リブ70は、左右方向において上流リブ50が設けられた範囲の両端よりも内側、かつ左右方向において下流リブ60が設けられた範囲の両端よりも内側の領域のみに設けられている。本実施形態では、全ての中流リブ70は、中流部22における左右方向の中央部22aのみに設けられている。一対の中流リブ70は、左右方向でセンサ開口25を挟んだ両側に配置されている。一対の中流リブ70の間隔は、センサ開口25の左右方向の幅の2倍以下である。一対の中流リブ70の間隔は、中流部22の前後方向の大きさよりも小さい。中流リブ70は、上流リブ50のうち左右方向の中心寄りに位置する2つの上流リブ50に1対1で接続しているとともに、下流リブ60のうち左右方向の中心寄りに位置する2つの下流リブ60に1対1で接続している。
【0047】
中流リブ70は、左右方向から見て互いに一致するように形成されている。中流リブ70は、上端縁71と、後端縁72と、前端縁73と、を備える。上端縁71は、中流部22の上流側端部の上方位置から、中流部22の下流側端部の上方位置にわたって延びている。上端縁71は、中流部22と平行に直線状に延びている。後端縁72は、上端縁71の上流側の端部から上流側に延びて上流リブ50に接続している。後端縁72は、上流リブ50の上端縁52における下流側の端部に接続している。後端縁72は、上流リブ50の上端縁52と平行に延びており、上流リブ50の上端縁52を延長するように設けられている。これにより、中流リブ70の後端縁72は、左右方向から見て上流リブ50の上端縁52に段差なく接続している。前端縁73は、上端縁71の下流側の端部から下流側に延びて下流リブ60に接続している。前端縁73は、下流リブ60の前端縁62における上流側の端部に接続している。前端縁73は、下流リブ60の前端縁62と平行に延びており、下流リブ60の前端縁62を延長するように設けられている。これにより、中流リブ70の前端縁73は、左右方向から見て下流リブ60の前端縁62に段差なく接続している。
【0048】
センサ80は、ケース本体11に固定されている。センサ80は、通紙部16のうち印字ユニット30と排出口18との間に位置するラベルLを検出する。センサ80は、案内面20の下方に配置されている。センサ80は、搬送方向において案内面20の中流部22と同じ位置に配置されている。センサ80は、センサ開口25を通じてラベルLを検出する。センサ80は、ラベルLにおける幅方向の中心部を検出する。
【0049】
図3に示すように、ラベルLは、カッターユニット40の下流側で、固定刃41の上端縁の前方に位置する上流リブ50に接触する。ラベルLは、排出口18の開口縁の下部を支点にして排出口18の外側で重力により垂れ下がることで、排出口18の内側では上流側に向かうに従い上方に延びている。ラベルLは、排出口18の内側で、中流リブ70の下流側の端部近傍に接触する。なおラベルLは、排出口18の内側で下流リブ60に接触してもよい。このように、ラベルLは、排出口18の内側で上流側に向かうに従い上方に延びた状態で、上流リブ50および中流リブ70の下流側の端部近傍に接触することで、案内面20の中流部22の上方空間で左右方向から見て上方に凸の形状を呈する。
【0050】
図5は、実施形態のプリンタの排出口周辺を示す正面図である。
図5に示すように、ラベルLは、その先端縁Lbが案内面20の中流部22の上方空間を通過するときに、上流リブ50に接触した箇所を支点にして垂れ下がる場合がある。この場合には、ラベルLの先端縁Lbが中流リブ70に接触して、ラベルLの先端部の垂れ下がりを規制する。これにより、ラベルLは、案内面20(特に中流部22)への接触を規制される。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態では、ケーシング10が印字ユニット30を通過したラベルLの粘着面に対向する案内面20を有する。案内面20は、搬送方向に沿って延びる複数の上流リブ50が左右方向に間隔をあけて立設された上流部21と、上流部21に対して間隔をあけて搬送方向の下流側に設けられ、搬送方向に沿って延びる複数の下流リブ60が左右方向に間隔をあけて立設された下流部23と、搬送方向においてセンサ80と同じ位置に設けられ、上流部21および下流部23の間に位置し、中流リブ70が左右方向の中央部22aのみに立設された中流部22と、を有する。
【0052】
この構成によれば、センサ80を配置するスペースを確保するために案内面20の中流部22が搬送方向に大きく形成されることで、中流部22と向かい合う位置をラベルLが通過する際に、ラベルLの粘着面が中流部22に貼り付きやすくなるところ、中流リブ70によってラベルLの粘着面が中流部22に貼り付くことを規制できる。このため、ラベルLの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことを抑制できる。したがって、排出口18の内側でラベルLの貼り付きを抑制できるプリンタを提供できる。
【0053】
しかも、中流リブ70が中流部22における左右方向の中央部22aのみに設けられているので、ラベルLのうち左右方向の片側部分のみが中流リブ70に貼り付いてラベルLが蛇行することを抑制できる。したがって、排出口18の内側でラベルLの紙詰まりが生じることを抑制できる。
【0054】
中流部22の中央部22aは、左右方向において複数の上流リブ50が設けられた範囲の両端よりも内側、かつ複数の下流リブ60が設けられた範囲の両端よりも内側にある。この構成によれば、中流部22を挟んで搬送方向の両側には、上流リブ50および下流リブ60が中流リブ70よりも左右方向に広く設けられる。このため、中流リブ70を左右方向において上流リブ50および下流リブ60と同等以上の範囲にわたって設けなくても、案内面20が臨む空間を所望の経路に沿ってラベルLを案内することができる。したがって、ラベルLの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことをより確実に抑制できる。
【0055】
中流部22には、センサ80を臨むセンサ開口25が形成されている。この構成によれば、案内面20の中流部22にセンサ開口25が形成される分、中流部22が搬送方向に大きく形成されるので、上記の作用効果を奏する最適な構成とすることができる。
【0056】
一対の中流リブ70は、左右方向でセンサ80を挟んだ両側に配置されている。この構成によれば、センサ80の検出位置においてラベルLが案内面20の中流部22に貼り付くことを一対の中流リブ70によって規制できる。したがって、ラベルLが案内面20に貼り付いてセンサ80の検出位置から外れることを抑制して、センサ80によりラベルLの有無を精度よく検出できる。
【0057】
下流リブ60は、左右方向から見て中流部22の接線から突出しない。この構成によれば、案内面20の中流部22のうち左右方向において中流リブ70が設けられていない領域にラベルLの先端が摺接しても、ラベルLの先端が下流リブ60に引っ掛かることを抑制できる。これにより、ラベルLの粘着面が意図しない箇所に接触して貼り付くことを抑制できる。
【0058】
収容部14は、ロール状に巻回されたラベルLを収容する。この構成によれば、案内面20が臨む空間を長尺のラベルLが通過するので、ラベルLの安定した排紙を実現するために、上記の作用効果を得るのに好適なプリンタ1とすることができる。
【0059】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、中流リブ70が一対設けられているが、中流リブは1つだけ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、中流リブ70が上流リブ50および下流リブ60に接続しているが、中流リブは、上流リブ50および下流リブ60のうち少なくともいずれか一方に対して接続していなくてもよい。ただし、中流リブは、その端縁が左右方向から見て上流リブおよび下流リブの端縁を延長するように延びていることが望ましい。例えば、中流リブは上流リブに接続していなくてもよい。その場合には、中流リブと、その中流リブに対して左右方向にずれて配置された上流リブとを左右方向から見て、中流リブが上流リブの端縁を延長するように延びる端縁を有していることが望ましい。これにより、ラベルの先端が複数の上流リブの端縁上を摺接して移動した後、中流リブの端縁上にスムーズに移動することができ、中流リブに引っ掛かることを抑制できる。中流リブが下流リブに接続していない構成においても同様である。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…プリンタ 10…ケーシング 14…収容部 18…排出口 20…案内面 21…上流部 22…中流部 22a…中央部 23…下流部 25…センサ開口(開口) 30…印字ユニット 31…サーマルヘッド 32…プラテンローラ 50…上流リブ 60…下流リブ 70…中流リブ 80…センサ L…ラベル(ライナーレスラベル)