(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134591
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】移動台車、移動台車の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B62D 61/10 20060101AFI20240927BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20240927BHJP
B62D 15/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B62D61/10
B25J5/00 A
B62D15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044858
(22)【出願日】2023-03-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト 5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託) /リアルタイムクラウドロボティクス技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園浦 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707CS08
3C707HS27
3C707JS02
3C707JU02
3C707MT07
3C707WA16
3C707WL04
(57)【要約】
【課題】機動性および全方向移動機能を有する移動台車、移動台車の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の移動台車は、車体部と、複数の車輪部と、前記車輪部に接続され、第一回転軸を有し、前記第一回転軸を回転中心として前記車輪部を第一回転方向に回転可能な第一駆動部と、前記車体部と前記第一駆動部とを連結し、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を有し、前記第二回転軸を回転中心として前記車輪部および前記第一駆動部を第二回転方向に回転可能な第二駆動部と、前記車体部に設けられ、前記第一駆動部および前記第二駆動部を制御可能な制御部と、を持つ。前記車輪部は、前記第一回転方向と異なる第三回転方向に回転可能な複数の副車輪部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部と、
複数の車輪部と、
前記車輪部に接続され、第一回転軸を有し、前記第一回転軸を回転中心として前記車輪部を第一回転方向に回転可能な第一駆動部と、
前記車体部と前記第一駆動部とを連結し、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を有し、前記第二回転軸を回転中心として前記車輪部および前記第一駆動部を第二回転方向に回転可能な第二駆動部と、
前記車体部に設けられ、前記第一駆動部および前記第二駆動部を制御可能な制御部と、
を備え、
前記車輪部は、前記第一回転方向と異なる第三回転方向に回転可能な複数の副車輪部を有する、
移動台車。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第一駆動部を制御し、前記車輪部の前記第一回転方向における回転数を変更し、
前記第二駆動部を制御し、前記車輪部の前記第二回転方向における角度である操舵角度を変更する、
請求項1に記載の移動台車。
【請求項3】
前記第一回転軸および前記第二回転軸は、前記車輪部の中心で交差する、
請求項2に記載の移動台車。
【請求項4】
少なくとも3つの前記車輪部を有し、
全方位に進行方向を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動台車。
【請求項5】
前記制御部は、前記進行方向に基づいて前記第二駆動部を制御し、前記車輪部の前記第二回転方向における角度である操舵角度を変更する、
請求項4に記載の移動台車。
【請求項6】
前記制御部は、前記進行方向における進行速度に基づいて前記第二駆動部を制御し、前記車輪部の前記操舵角度を変更する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項7】
前記制御部は、前記車輪部の前記進行方向に段差があるとき、前記操舵角度が小さくなるように前記第二駆動部を制御する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項8】
前記制御部は、前記操舵角度に基づいて前記第一駆動部を制御し、前記車輪部の前記第一回転方向における角速度を変更する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一駆動部の駆動力によって前記車輪部が進行するべき方向である駆動方向と、前記進行方向とが異なるように前記第二駆動部を制御する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項10】
前記制御部は、逆運動学計算に基づいて前記第一駆動部における前記第一回転方向の角速度指令値を算出し、前記角速度指令値が前記第一駆動部における許容速度の範囲外となるとき、前記許容速度の範囲内となるように前記角速度指令値を変更する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項11】
前記車輪部に対する前記車体部の鉛直方向における高さを変更可能な第三駆動部を備え、
前記制御部は、前記第三駆動部を制御し、前記車体部の前記高さを変更する、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項12】
前記車輪部に対する前記車体部の鉛直方向における高さを変更可能な第三駆動部を備え、
前記第三駆動部は、サスペンション機構である、
請求項5に記載の移動台車。
【請求項13】
車体部と、
複数の車輪部と、前記車輪部に接続され、第一回転軸を回転中心として前記車輪部を第一回転方向に回転可能な第一駆動部と、を有する移動装置と、
前記車体部に設けられた第二駆動部と、
前記第二駆動部と2つ以上の前記移動装置とを連結する伝達部材と、
前記車体部に設けられ、前記第一駆動部および前記第二駆動部を制御可能な制御部と、
を備え、
前記第二駆動部は、前記伝達部材を介して、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を回転中心として2つ以上の前記移動装置を第二回転方向に回転可能であり、
前記車輪部は、前記第一回転方向と異なる第三回転方向に回転可能な複数の副車輪部を有する、
移動台車。
【請求項14】
複数の車輪部と、第一回転軸を有し、前記第一回転軸を回転中心として前記車輪部を回転可能な第一駆動部と、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を有し、前記第二回転軸を回転中心として前記車輪部および前記第一駆動部を回転可能な第二駆動部とを備え、全方位に進行方向を有する移動台車の制御方法であって、
前記進行方向に基づいて前記車輪部における前記第二回転軸周りの角度である操舵角度を変更する、
移動台車の制御方法。
【請求項15】
前記進行方向における進行速度に基づいて前記車輪部の前記操舵角度を変更する、
請求項14に記載の移動台車の制御方法。
【請求項16】
前記車輪部の前記進行方向に段差があるとき、前記操舵角度を小さくする、
請求項14に記載の移動台車の制御方法。
【請求項17】
前記操舵角度に基づいて前記車輪部における前記第一回転軸周りの角速度を変更する、
請求項14に記載の移動台車の制御方法。
【請求項18】
前記第一回転軸周りに回転する前記車輪部が進行するべき方向である駆動方向と、前記進行方向とが異なるように前記操舵角度を制御する、
請求項14に記載の移動台車の制御方法。
【請求項19】
逆運動学計算に基づいて前記第一回転軸周りの角速度指令値を算出し、前記角速度指令値が許容速度の範囲外となるとき、前記許容速度の範囲内となるように前記角速度指令値を変更する、
請求項14に記載の移動台車の制御方法。
【請求項20】
車体部と、
複数の車輪部と、
前記車輪部に接続され、第一回転軸を有し、前記第一回転軸を回転中心として前記車輪部を回転可能な第一駆動部と、
前記車体部と前記第一駆動部とを連結し、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を有し、前記第二回転軸を回転中心として前記車輪部および前記第一駆動部を回転可能な第二駆動部と、
前記車体部に設けられ、前記第一駆動部および前記第二駆動部を制御可能な制御部と、
を備え、全方位に進行方向を有する移動台車を制御するプログラムであって、
前記制御部に、前記進行方向に基づいて前記車輪部における前記第二回転軸周りの角度である操舵角度を変更させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動台車、移動台車の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省人化のために人に代わって作業を行うロボットが知られている。例えば、人に代わって移動を伴う作業を行う移動台車ロボットには、移動能力における高機動性が求められ、脚車輪機構による段差乗り越えや、オムニホイール等の特殊車輪を用いた全方向移動等により、床面の段差乗り越えや移動自由度の向上等が図られている。アスファルト等の舗装路面や工場等で使用される縞鋼板のように比較的平坦ではあるが細かな凹凸が繰り返す路面上を走行するとき、移動台車ロボットは、機動性を維持しつつ全方向へ移動することが困難な可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、機動性および全方向移動機能を有する移動台車、移動台車の制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の移動台車は、車体部と、複数の車輪部と、前記車輪部に接続され、第一回転軸を有し、前記第一回転軸を回転中心として前記車輪部を第一回転方向に回転可能な第一駆動部と、前記車体部と前記第一駆動部とを連結し、前記第一回転軸と異なる方向に延びる第二回転軸を有し、前記第二回転軸を回転中心として前記車輪部および前記第一駆動部を第二回転方向に回転可能な第二駆動部と、前記車体部に設けられ、前記第一駆動部および前記第二駆動部を制御可能な制御部と、を持つ。前記車輪部は、前記第一回転方向と異なる第三回転方向に回転可能な複数の副車輪部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る移動台車を模式的に示す底面図。
【
図3a】本実施形態に係る移動装置を模式的に示す斜視図。
【
図4】基準姿勢に対して操舵角度が小さいときの同移動台車を示す平面図。
【
図5】基準姿勢に対して操舵角度が大きいときの同移動台車を示す平面図。
【
図6a】進行方向に段差があるときの同移動台車を模式的に示す平面図。
【
図6b】進行方向に段差があるときの同移動台車を模式的に示す側面図。
【
図7】変形例1に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【
図8】変形例2に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【
図9】変形例3に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【
図10】変形例4に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【
図11a】変形例5に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【
図12】変形例6に係る移動台車を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の移動台車、移動台車の制御方法およびプログラムを、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0008】
図1から
図12を参照して、一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の移動台車1を模式的に示す底面図である。
図2は、本実施形態の移動台車1を模式的に示す正面図である。
【0009】
本実施形態では、
図1および
図2に示すように、移動台車1における鉛直方向を「上下方向V」、鉛直上向きを上下方向Vにおける「上方UP」、鉛直下向きを上下方向Vにおける「下方LO」と定義する。また、上下方向Vと垂直な方向、かつ、移動台車1が主に走行する方向を「前後方向D」、移動台車1が主に進行する向きを前後方向Dにおける「前方FR」、反対向きを前後方向Dにおける「後方RR」と定義する。また、上下方向Vおよび前後方向Dと垂直な方向を「左右方向H」、後方RRから見たときの左向きを左右方向Hにおける「左方LT」、反対向きを左右方向Hにおける「右方RT」と定義する。
【0010】
移動台車1は、車体部10と、移動装置20と、モータドライバ30と、バッテリ40と、制御部50と、を備える。
車体部10は、移動台車1の基部となる部位である。車体部10は、上方UPから見たときに方形をした平板である。車体部10の形状はこれに限られず、円板形状、箱形状など、任意の形状を採用できる。また、車体部10には、樹脂や金属等の公知の材質を採用できる。
【0011】
移動装置20は、移動台車1を移動可能にする移動機構を有する部位である。移動台車1は、車体部10の下方LOに設けられた4つの移動装置20(20a、20b、20c、20d)を有する。
図1に示すように、4つの移動装置20は、車体部10の4つの角の近傍にそれぞれ配置されている。移動装置20の個数および配置はこれに限られず、任意の個数および配置を採用できる。
【0012】
移動装置20は、車輪部21と、第一駆動部22と、第二駆動部23と、を備える。車体部10と第一駆動部22は、第二駆動部23によって連結されている。また、車輪部21は、第一駆動部22に接続されている。
【0013】
図3aおよび
図3bは、移動装置20を模式的に示す斜視図である。
図3aは、車輪部21に第一駆動部22が接続されていない方向から見た移動装置20の斜視図である。
図3bは、車輪部21に第一駆動部22が接続された方向から見た移動装置20の斜視図である。
【0014】
車輪部21は、副車輪部21fを有する公知のオムニホイールである。副車輪部21fは、車輪部21の外周に配置された小径の車輪である。
図3aおよび
図3bに示すように、車輪部21は、大小の副車輪部21fを12個有する。車輪部21は、移動台車1を全方位に移動(進行)可能にする全方向駆動車輪であればよく、車輪部21が有する副車輪部21fの個数や形状はこれに限られない。また、車輪部21はオムニホイールに限られず、車輪部21としてメカナムホイール等を用いてもよい。
【0015】
第一駆動部22は、公知の電動モータであり、第一モータ部22aと、第一モータシャフト22bと、を備える。
図3aおよび
図3bに示すように、第一モータシャフト22bは、第一モータ部22aから第一回転軸R1に沿って延びており、第一回転軸R1を回転中心として第一モータ部22aに対して回転可能である。また、車輪部21は、第一モータシャフト22bに接続され、第一モータシャフト22bとともに第一回転軸R1を回転中心として、第一モータ部22aに対して第一回転方向RD1に回転可能である。
【0016】
第二駆動部23は、第二モータ部23aと、第二モータシャフト23bと、支持部23cと、接続部23dと、を備える。
第二モータ部23aおよび第二モータシャフト23bは、公知の電動モータの本体部分およびシャフト部分である。
図3aおよび
図3bに示すように、第二モータシャフト23bは、第二モータ部23aから第二回転軸R2に沿って延びており、第二回転軸R2を回転中心として第二モータ部23aに対して第二回転方向RD2に回転可能である。
【0017】
支持部23cは、第二モータシャフト23bの先端に接続された略U字形状の部材である。
図3aおよび
図3bに示すように、車輪部21は、第一回転軸R1が延びる方向において支持部23cに挟まれて配置されている。
【0018】
また、支持部23cの先端には第一駆動部22が接続されている。第二駆動部23における第二モータシャフト23bが第二回転方向RD2に回転したとき、支持部23cの先端に接続された第一駆動部22と、第一駆動部22に接続された車輪部21とが、第二回転軸R2を回転中心として第二回転方向RD2に回転する。
支持部23cには、樹脂や金属等の公知の材質を採用できる。
【0019】
接続部23dは、第二モータ部23aと、車体部10とを連結する略U字形状の部材である。接続部23dの一方の端部には第二モータ部23aが接続されている。また、接続部23dの他方の端部には車体部10が接続されている(不図示)。第二駆動部23において、第二モータ部23aは、接続部23dを介さずに車体部10に接続されていてもよく、その場合、第二駆動部23は接続部23dを備えなくてもよい。
接続部23dには、樹脂や金属等の公知の材質を採用できる。
【0020】
移動装置20が上述の第一駆動部22および第二駆動部23を有するため、車輪部21および第一駆動部22は、上下方向Vに延びる第二回転軸R2を回転中心として、車体部10に対して第二回転方向RD2に回転可能である。また、車輪部21は、第二回転軸R2と垂直な方向に延びる第一回転軸R1を回転中心として、第一回転方向RD1に回転可能である。第一回転軸R1と第二回転軸R2とは、車輪部21の中心で交差するのが望ましいが、車輪部21の中心で交差しなくてもよい。
【0021】
また、
図3aおよび
図3bに示すように、車輪部21が有する副車輪部21fは、第一回転軸R1と異なる方向に延びる第三回転軸R3を回転中心として、車輪部21に対して第三回転方向RD3に回転可能である。
【0022】
移動台車1は、車輪部21を第一回転方向RD1に回転させることで、床面(地面)に対する推進力を得ることができ、床面(地面)に対して移動可能である。また、車輪部21を第二回転方向RD2に回転させることで、移動台車1は、床面(地面)に対して移動するための推進力の方向を変更し、任意の方向に進行できる。また、車輪部21は、第一回転方向RD1と異なる第三回転方向RD3に回転可能な複数の副車輪部21fを有する全方向駆動車輪(例えば、オムニホイール)であるため、移動台車1は、全方位に進行方向を有する。
【0023】
モータドライバ30は、
図1および
図2に示すように、車体部10の上方UPの面に設けられている。モータドライバ30は、公知のモータドライバであり、第一駆動部22および第二駆動部23における第一モータ部22aおよび第二モータ部23aに接続され、第一モータ部22aおよび第二モータ部23aを制御可能である。
【0024】
移動台車1は、8つのモータドライバ30を備えており、4つの移動装置20がそれぞれ有する第一駆動部22又は第二駆動部23と、各モータドライバ30とが一対になって接続されている。モータドライバ30の個数はこれに限られず、移動装置20の個数やモータドライバ30の性能によって任意の個数を選択できる。また、モータドライバ30は、第一駆動部22および第二駆動部23に含まれていてもよい。
【0025】
バッテリ40は、
図1および
図2に示すように、車体部10の上方UPの面に設けられている。バッテリ40は、モータドライバ30、第一駆動部22、第二駆動部23および後述する制御部50へ給電可能な電源装置である。
【0026】
制御部50は、
図1および
図2に示すように、車体部10の上方UPの面に設けられている。制御部50は、モータドライバ30と接続され、モータドライバ30を制御することで、第一駆動部22および第二駆動部23の動作を制御可能である。具体的には、制御部50は、第一駆動部22および第二駆動部23における回転数、回転角速度、回転角度等を算出し、算出したパラメータを制御信号(指令)としてモータドライバ30へ出力する。
【0027】
制御部50は、外部と無線接続された通信部(不図示)を備えていてもよい。制御部50が通信部を備えることで、制御部50は、通信部を介して外部への信号の送信又は外部からの信号(指令)の受信等を行うことができる。通信部は、制御部50と一体に設けられてもよいし、制御部50と接続されて制御部50の外部に設けられてもよい。例えば、制御部50は、第一駆動部22および第二駆動部23における回転角速度や回転数等のパラメータを外部から受信し、受信したパラメータをモータドライバ30へ出力してもよい。
【0028】
制御部50は、例えば、プロセッサとメモリと記憶部等を備えたプログラム実行可能な装置(コンピュータ)である。制御部50の各機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)又はGPU(Graphics Processing Unit;グラフィックスプロセッサ)のような1つ以上のプロセッサがプログラムメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、これら機能の全部又は一部は、LSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等のハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。また、上記機能の全部又は一部は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。記憶部は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory;読み出し専用メモリ)、又はRAM(Random Access Memory;読み書き可能なメモリ)等により実現される。
【0029】
制御部50は、ディスプレイ等の表示装置を備えていてもよい。制御部50が表示装置を備えることで、使用者は、移動台車1の稼働状況や故障情報等を容易に確認することができ、複数の移動台車1を使用する場合は、機体情報を表示装置に表示することで容易に機体を区別できる。また、制御部50は、タッチパネルディスプレイ等の入力機能を有する表示装置を備えていてもよい。入力機能を有する表示装置を備えることで、使用者は、移動台車1の外部から通信部を介して制御部50へ指令を送信しなくても、制御部50へ指令を直接入力することができる。
【0030】
また、制御部50は、バッテリ40を制御可能であってもよい。例えば、バッテリ40は、制御部50からの指令により、モータドライバ30への給電を行う。
【0031】
モータドライバ30、バッテリ40および制御部50の設置場所は、車体部10の上方UPの面に限られない。モータドライバ30、バッテリ40および制御部50の全部又は一部は、車体部10の下方LOの面に設けられてもよい。また、車体部10が平板でなく箱形状の場合、モータドライバ30、バッテリ40および制御部50の全部又は一部は箱形状の内部に設けられてもよい。
【0032】
次に、移動台車1の制御方法の一例について説明する。
図4は、基準姿勢に対して操舵角度α(α1、α2、α3、α4)が小さいときの移動台車1を示す平面図である。
図5は、基準姿勢に対して操舵角度α(α1、α2、α3、α4)が大きいときの移動台車1を示す平面図である。ただし、
図4および
図5における移動台車1の進行方向は前後方向D(主に前方FR)とする。
【0033】
なお、
図4以降の平面図(
図4-12)は、車体部10や移動装置20などの各構成部品の位置関係を模式的に示すものである。そのため、移動台車1を上方UPから見た平面図において、車体部10の下方LOに設けられた移動装置20は本来は見えないが、
図4-12においては、車体部10を透過して見えるものとして表している。また、モータドライバ30、バッテリ40、制御部50などの一部の構成部品は省略されている。
【0034】
ここで、
図4および
図5に示すように、操舵角度αとは、第一駆動部22の駆動力によって車輪部21が進行するべき方向である駆動方向M(M1、M2、M3、M4)と、移動台車1の進行方向(前後方向D)とがなす角度である。
【0035】
例えば、
図4に示す移動台車1において、第一駆動部22の駆動力によって第一回転軸R1を回転中心として車輪部21を第一回転方向RD1に回転させ、移動台車1を前方FRへ進行させる。このとき、移動台車1の進行方向である前方FRと、第一駆動部22の駆動力によって車輪部21が進行するべき方向である駆動方向Mは、操舵角度αの角度分ずれている。しかし、車輪部21は、第一回転方向RD1と異なる第三回転方向RD3に回転可能な複数の副車輪部21fを有する全方向駆動車輪であるため、移動台車1は、車輪部21の第一回転方向RD1における回転方向や角速度等を制御することで、車輪部21の駆動方向Mと操舵角度αずれた進行方向(前方FR)へ進行することができる。
【0036】
また、移動台車1は、第二駆動部23を制御し、車輪部21の第二回転方向RD2における角度を変更することで、任意の操舵角度αを選択できる。
【0037】
移動台車1は、操舵角度αが45度である姿勢を基準姿勢とする。
図1には、基準姿勢のときの移動台車1が示されている。移動台車1の進行方向が前方FRであるとき、
図4に示す移動台車1は基準姿勢に対して操舵角度αが小さく、
図5に示す移動台車1は基準姿勢に対して操舵角度αが大きい。なお、移動台車1の基準姿勢における操舵角度αは45度に限られず、任意の角度を基準姿勢とすることができる。
【0038】
移動台車1は、全方向駆動車輪である車輪部21を有するため、基準姿勢(α=45度)のままでも前方FRへ進行可能である。また、
図4に示す、操舵角度αが45度よりも小さいときと、
図5に示す、操舵角度αが45度よりも大きいときにおいても、前方FRへ進行可能である。
【0039】
ここで、移動台車1が進行方向へ進行する速度は、操舵角度αによって変わる。例えば、前方FRへ進行する移動台車1において、4つ全ての車輪部21における駆動方向Mと進行方向とが一致し、操舵角度αが0度である場合、第一駆動部22が出力可能な最大回転速度で車輪部21を回転させたときに前方FRへ出力可能な移動台車1の最大併進速度をVmaxとする。
【0040】
車輪部21がオムニホイールである場合、操舵角度αが45度である基準姿勢のときに前方FRへ出力可能な最大併進速度は約0.71Vmaxとなる。また、操舵角度αが15度のとき、移動台車1における前方FRへ出力可能な最大併進速度は約0.96Vmaxである。
【0041】
このように、操舵角度αを小さくすることで、移動台車1の進行方向における最大併進速度を大きくすることができる。このとき、進行方向と異なる方向(例えば、左方LT)への速度出力は、基準姿勢のときの移動台車1と比較して低くなる。しかし、移動台車1が前方FRへ進行することが明らかな場合は、進行方向と異なる方向へ移動するための速度出力は重要ではないため、操舵角度αを小さくすることで効率よく移動台車1を進行させることができる。
【0042】
例えば、前方FRへ進行する移動台車1が、左方LT又は右方RTなどの進行方向と異なる方向への移動が必要となる場合として、車輪部21の滑りやエンコーダーオドメトリの誤差累積等によって移動台車1の位置を補正する場合が挙げられる。また、進行方向に予期せぬ障害物が存在し、進行方向と異なる方向の速度成分をわずかに追加することで障害物を避け、衝突を回避する場合が挙げられる。そのため、進行方向と異なる方向への速度出力は、移動台車1の主動作である進行方向への直進動作に必要な速度出力と比較して、大きく連続的な速度出力を必要としない。
【0043】
また、例えば、工場等の走行可能な空間が限られた屋内を走行する移動台車1において、前方FRへ進行した後、進行方向を左方LTへ変更し、左方LTへ曲がる動作を行う場合がある。このとき、制御部50は第二駆動部23を制御し、
図4に示す基準姿勢に対して操舵角度αが小さい姿勢から、
図5に示す基準姿勢に対して操舵角度αが大きい姿勢へと操舵角度αを変更する。
【0044】
図5に示す移動台車1の姿勢(操舵角度)は、
図4に示す移動台車1の姿勢と比較して、前後方向Dへの進行に対する速度出力が低い姿勢である。しかし、進行方向が左右方向Hである場合、
図5に示す移動台車1の姿勢は、進行方向と車輪部21における駆動方向とがなす角度である操舵角度が小さい姿勢である。すなわち、
図5に示す移動台車1の姿勢は、進行方向が左右方向Hである場合、進行方向に対して大きな速度出力を有する姿勢である。
【0045】
そのため、移動台車1が
図4に示す姿勢で前方FRへ進行した後に左方LTへ曲がる必要がある場合、第二駆動部23を制御して
図5に示す姿勢に変更することで、移動台車1が大きな速度を出力できる方向を左方LTへと変更できる。
【0046】
その結果、移動台車1は、前方FRへ進行した後に左方LTへ曲がる一連の動作を効率よく行うことができる。このとき、車体部10に対する車輪部21の向き(操舵角度)を変更しているため、車体部10の向きは変わらない。
【0047】
従来の全方向移動台車は、基準姿勢(α=45度)のままで全方位へ進行する。そのため、従来の全方向移動台車は、進行する見込みの少ない方向に対しても主動作(進行方向への走行)と同程度の余力を持たせることになり、主動作の動作性能を常に抑制してしまう。
【0048】
移動台車1は、車輪部21の操舵角度αを変更可能な第二駆動部23を備え、制御部50が進行方向に基づいて第二駆動部23を制御し、操舵角度αを変更することで、従来の全方向移動台車と比較して、主となる進行方向への動作性能が低下するのを抑制できる。
【0049】
制御部50は、移動台車1の進行方向における進行速度に基づいて第二駆動部23を制御し、操舵角度αを変更してもよい。例えば、移動台車1が進行方向に対して大きい進行速度を必要とする場合は操舵角度αを小さくし、移動台車1が進行方向に対して大きい進行速度を必要としない場合は、進行方向と異なる方向への動作性能の比率を大きくするために操舵角度αを45度にし、基準姿勢で走行してもよい。
【0050】
図6aは、進行方向(前方FR)に段差Sがあるときの移動台車1を模式的に示す平面図である。また、
図6bは、進行方向(前方FR)に段差Sがあるときの移動台車1を模式的に示す側面図である。
図6bに示すように、段差Sは、移動台車1が走行する床面Fよりも上方UPに隆起した段差である。
【0051】
制御部50は、段差Sに対する車輪部21の進入角度βが90度近傍になるように第二駆動部23を制御し、操舵角度αを変更する。すなわち、制御部50は、移動台車1の進行方向(前方FR)に段差Sがあるとき、操舵角度αが小さくなるように第二駆動部23を制御する。ここで、進入角度βは、
図6aに示す平面図において、駆動方向Mと段差Sとがなす角である。
【0052】
移動台車1は、進入角度βが90度以外のとき、車輪部21における第一回転方向RD1の回転だけでなく、副車輪部21fにおける第三回転方向RD3の回転も利用して段差Sを乗り越える。進入角度βが90度から遠ざかるにつれて、移動台車1が段差Sを乗り越える際に副車輪部21fにおける第三回転方向RD3の回転を利用する比率が大きくなる。一方、進入角度βが90度に近付くにつれ、移動台車1が段差Sを乗り越える際に車輪部21における第一回転方向RD1の回転を利用する比率が大きくなる。
【0053】
そのため、段差Sに対する車輪部21の進入角度βが90度に近くなるように操舵角度αを変更することで、移動台車1が段差Sを乗り越える際、第一駆動部22による駆動力を効率よく利用して段差Sを乗り越えることができる。また、副車輪部21fは車輪部21よりも小径であり、回転半径が小さい。そのため、より回転半径が大きい車輪部21の回転を利用して段差Sを乗り越えることで、移動台車1は、安定して段差Sを乗り越えることができる。なお、移動台車1が後述する特異姿勢状態になるのを避けるため、進入角度βは90度ではなく、例えば、80度など、90度近傍の角度が望ましい。
【0054】
図6bに示す段差Sのように車輪部21の高さ(直径)の半分ほどの高さを有する段差ではなく、縞鋼板等の細やかな凹凸が形成された床面を走行する際も同様に、進行方向に対する操舵角度αが小さくなるようにすることで、移動台車1は、安定して走行できる。
【0055】
次に、第一駆動部22の回転角速度φおよび第二駆動部23の操舵角度αを算出する方法の一例を説明する。ここで、回転角速度φは、第一駆動部22の第一モータシャフト22bが第一回転方向RD1に回転する角速度である。
【0056】
移動台車1が主に進行する方向である主進行方向(例えば、前方FR)をx方向とする。また、主進行方向と垂直な副進行方向(例えば、左方LT)をy方向とする。また、移動台車1は、主進行方向の速度として、副進行方向の速度の3倍の速度を出力可能であるとする。
【0057】
このとき、主進行方向の最高速度Vxmaxと、副進行方向の最高速度Vymaxは、式1および式2を用いて表すことができる。
【0058】
【0059】
【0060】
主進行方向の速度は、副進行方向の速度の3倍の速度であるため、VxmaxとVymaxの関係は式3を用いて表すことができる。
【0061】
【0062】
式1-3によって、操舵角度αを求めることができる。上述の例(式1-3)の場合、操舵角度αは、約18.4度であると算出できる。
【0063】
式3において、主進行方向の速度に対する副進行方向の速度の比率(式3は3倍)を可変値Nとして、移動台車1の周囲障害物との距離や動きの大きさなどに応じて随時必要な比率が設定されるようにしてもよい。例えば、移動台車1に対して障害物が近くにある場合は可変値Nを小さくし、障害物が近くにない場合は可変値Nを大きくする。
【0064】
移動台車1の目標併進速度と第一駆動部22の回転角速度φとの関係は、運動学の観点から式4を用いて表すことができる。
【0065】
【0066】
式4において、左辺は、移動台車1における目標併進速度(VxrefおよびVyref)および目標旋回角速度Wrefの3×1列ベクトルである。また、右辺の[φn(n=1~4)]は4×1の列ベクトルである。Tinv(α)は3×4の順運動学行列であり、車輪部21の径や設置位置、操舵角度αを含めた車輪部21の向きなどから幾何的に求まる。
【0067】
操舵角度αが定まれば、式4の逆運動学を解くことで回転角速度φが求まる。制御部50は式1-4に基づいて各瞬間における操舵角度αおよび回転角速度φを算出し、これらの角度指令値(αおよびφ)を第一駆動部22および第二駆動部23へ指示する。また、回転角速度φの算出に使用する操舵角度αは、先に算出した第二駆動部23への角度指令値αrefではなく、現時点での実際の操舵角度αnowを用いてもよい。このとき、現時点での操舵角度αnowとして、第二駆動部23が有するエンコーダ等によって検出した角度を使用してもよい。
このように、制御部50は、操舵角度αに基づいて第一駆動部22を制御し、車輪部21の第一回転方向RD1における角速度(回転角速度φ)を変更する。
【0068】
操舵角度αを決定する方法は、上述の例に限られず、制御方針に従ってその時々で重要視する項目を反映した評価関数を用意し、その値が最小又は最大となるような最適な操舵角度αを選定するようにしてもよい。
【0069】
例えば、移動台車1が段差Sを乗り越える場合、段差Sの上下方向Vにおける高さに応じた評価関数を用意し、この評価関数を用いて段差Sを安定して乗り越えるための操舵角度αDを求める。このαDと、式1-3に示した例のように主進行方向の速度と副進行方向の速度との関係から求めた操舵角度であるαVと、を比較し、より小さい操舵角度を採用してもよい。このように、操舵角度αは、複数の評価関数を組み合わせて決定してもよい。
【0070】
また、複数の移動装置20を有する移動台車1において、各移動装置20における操舵角度が異なっていてもよい。例えば、移動台車1の左方LTと右方RTにおける床面(地面)の凹凸状況が異なり、左方LTの凹凸の高さが右方RTの凹凸の高さより高い場合は、左方LTに配置された移動装置20a、20cにおける操舵角度α1、α3が、右方RTに配置された移動装置20b、20dにおける操舵角度α2、α4よりも小さくなるように各操舵角度を決定してもよい。
【0071】
公知のオムニホイールにおいて、本実施形態の副車輪部21fに該当する小車輪は、フリーローラーなどと呼ばれ、一般的に、受動的に回転する車輪である。本実施形態に係る移動台車1においても、車輪部21の副車輪部21fは、第一駆動部22によって回転する車輪部21と床面(地面)との間に発生する摩擦力等の外力を受けて受動的に回転する。
【0072】
そのため、移動台車1において、4つ全ての車輪部21における操舵角度αを主進行方向に対して0度にした場合、副進行方向に対して速度の出力ができず、外部から副進行方向へ押す力が加わった場合、踏ん張ることができずに受動的に移動してしまう。このような車輪部21の姿勢を、特異姿勢状態と呼ぶ。
【0073】
移動台車1は、4つ全ての操舵角度αが±90度のときにも特異姿勢状態となる。また、移動台車1は、4つの車輪部21における駆動方向M(M1、M2、M3、M4)が全て平行になったときに特異姿勢状態となる。例えば、α1=10度、α2=-10度、α3=-10度、α4=10度である組み合わせも特異姿勢状態である。ここで、操舵角度αの正負は、駆動方向Mと進行方向(前方FR)とが一致するときを0度とし、
図4に示すα1~α4を正(+)とし、反対向きを負(-)とする。
【0074】
制御部50は、特異姿勢状態を回避するように各操舵角度αを変更する。例えば、各車輪部21に対して特異姿勢状態に近い操舵角度αが選択された場合、制御部50は、各操舵角度αを強制的に変更し、特異姿勢状態を回避する。このように、制御部50は、車輪部21における駆動方向Mと、移動台車1の進行方向とが異なるように第二駆動部23を制御し、操舵角度αを変更する。
【0075】
また、制御部50は、逆運動学計算時における車輪部21の目標回転速度の発散傾向などを監視し、一定以上の発散傾向を検出した際には操舵角度αを強制的に変更し、目標値が所定の数値の範囲内に収まるようにしてもよい。
【0076】
また、制御部50は、特異姿勢状態ではない姿勢であっても、2つ以上の車輪部21の駆動方向Mが平行に近くなることを避けるように第二駆動部23を制御し、よりロバスト性を維持するように特異姿勢状態を回避してもよい。
【0077】
また、制御部50は、逆運動学計算に基づいて算出された角速度指令値が第一駆動部22における許容速度の範囲外となるとき、操舵角度αの大きさを特異姿勢状態から遠ざけるように変更するとともに、移動台車1の目標速度方向を維持しつつ、第一駆動部22に対する角速度指令値が第一駆動部22における許容速度の範囲内となるように角速度指令値を変更してもよい。制御部50が第一駆動部22における角速度指令値を許容速度の範囲内となるように変更することで、移動台車1は、より安全に特異姿勢状態を回避できる。
【0078】
本実施形態の移動台車1によれば、複数の車輪部21と、第一回転軸R1を回転中心として車輪部21を第一回転方向RD1に回転可能な第一駆動部22と、第一回転軸R1と異なる方向に延びる第二回転軸R2を有し、第二回転軸R2を回転中心として車輪部21および第一駆動部22を第二回転方向RD2に回転可能な第二駆動部23と、第一駆動部22および第二駆動部23を制御可能な制御部50と、を持ち、車輪部21は、第一回転方向RD1と異なる第三回転方向RD3に回転可能な複数の副車輪部21fを有する。
制御部50が第二駆動部23を制御し、移動台車1の進行方向に対する車輪部21の向き(操舵角度α)を変更することで、移動台車1は、機動性を維持しつつ全方向に移動できる。
【0079】
上記実施形態では、移動台車1は、4つの車輪部21と、各車輪部21と対応して各車輪部21の操舵角度αを変更する4つの第二駆動部23を有していた。移動台車1は、伝達部材を有し、伝達部材を介して第二駆動部の駆動力を複数の車輪部に伝達させることによって複数の車輪部の操舵角度を変更してもよい。
【0080】
図7は、変形例1に係る移動台車1Aを模式的に示す平面図である。移動台車1Aにおける移動装置20Aは、第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dを回転中心として移動装置20Aを車体部10に対して回転可能な回転部材24Aを備える。例えば、回転部材24Aは、伝達された動力に対して受動的に回転する歯車である。また、移動台車1Aは、第二駆動部23Aと、伝達部材70Aとを有する。第二駆動部23Aは、移動装置20Aにおける第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dと平行に延びる回転軸R4a、R4bを有する公知の電動モータである。第二駆動部23Aの回転軸の先端には、第二駆動部23Aの駆動力を伝達させるための歯車が設けられている。また、伝達部材70Aは、チェーンやタイミングベルトなど、複数の歯車の間で動力を伝達する部材である。
【0081】
図7に示すように、移動台車1Aの左方LTにおいて、伝達部材70Aaは、第二駆動部23Aaと、移動装置20Aaにおける回転部材24Aと、移動装置20Acにおける回転部材24Aとに8の字に掛けられている。そのため、第二駆動部23Aaの駆動力は、伝達部材70Aaを介して移動装置20Aaおよび移動装置20Acに伝達される。右方RTも同様に、第二駆動部23Abの駆動力は、伝達部材70Abを介して移動装置20Abおよび移動装置20Adに伝達される。その結果、移動台車1Aは、制御部50によって2つの第二駆動部23Aを制御することで、4つの移動装置20Aにおける操舵角度αを変更できる。このように、変形例1に係る移動台車1Aは、1つの第二駆動部23Aの駆動力を伝達部材70Aを介して2つの移動装置20Aに伝達することで、2つの移動装置20Aにおける2つの操舵角度αを連動して制御できる。2つの操舵角度αが連動して制御されることで、上記実施形態に係る移動台車1のように1つの第二駆動部23で1つの操舵角度αを制御する場合と比較して、各操舵角度αの取り方(組み合わせ)には制約が付されるが、操舵角度αの変更に使用するアクチュエータ(第二駆動部)の個数を減らすことができる。
【0082】
図8は、変形例2に係る移動台車1Bを模式的に示す平面図である。移動台車1Bにおける移動装置20Bは、第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dを回転中心として移動装置20Bを車体部10に対して回転可能な回転部材24Bを備える。例えば、回転部材24Bは、伝達された動力に対して受動的に回転する歯車(かさ歯車等)である。また、移動台車1Bは、第二駆動部23Bと、伝達部材70Bとを有する。第二駆動部23Bは、移動装置20Bにおける第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dと垂直に延びる回転軸を有する公知の電動モータである。第二駆動部23Bの回転軸の先端には、第二駆動部23Bの駆動力を伝達させるための歯車であるモータ伝達部61B(61Ba、61Bb)が設けられている。また、伝達部材70Bは、第二駆動部23Bの回転軸と平行に延びる棒状の伝達シャフト74B(74Ba、74Bb)と、伝達シャフト74Bの一方の端部に接続された第一伝達部71B(71Ba、71Bb)と、他方の端部に接続された第二伝達部72B(72Ba、72Bb)と、伝達シャフト74Bの中間に設けられた第三伝達部73B(73Ba、73Bb)と、を有する。第一伝達部71Bおよび第二伝達部72Bは、回転部材24Bと噛み合った歯車(かさ歯車等)である。第三伝達部73Bは、モータ伝達部61Bと噛み合った歯車である。
【0083】
図8に示すように、移動台車1Bの左方LTにおいて、第二駆動部23Baの駆動力は、モータ伝達部61Baおよび第三伝達部73Baを経由して伝達部材70Baへ伝達される。また、伝達部材70Baに伝達した第二駆動部23Baの駆動力は、第一伝達部71Baおよび第二伝達部72Baを経由して移動装置20Baおよび移動装置20Bcへ伝達される。右方RTも同様に、第二駆動部23Bbの駆動力は、伝達部材70Bbを介して移動装置20Bbおよび移動装置20Bdに伝達される。その結果、移動台車1Bは、制御部50によって2つの第二駆動部23Bを制御することで、4つの移動装置20Bにおける操舵角度αを変更できる。変形例1に係る移動台車1Aと同様に、変形例2に係る移動台車1Bは、上記実施形態に係る移動台車1のように1つの第二駆動部23で1つの操舵角度αを制御する場合と比較して、各操舵角度αの取り方(組み合わせ)には制約が付されるが、操舵角度αの変更に使用するアクチュエータ(第二駆動部)の個数を減らすことができる。
【0084】
図9は、変形例3に係る移動台車1Cを模式的に示す平面図である。移動台車1Cにおける移動装置20Cは、第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dを回転中心として移動装置20Cを車体部10に対して回転可能な回転部材24Cを備える。例えば、回転部材24Cは、伝達された動力に対して受動的に回転する歯車である。また、移動台車1Cは、第二駆動部23Cと、伝達部材70Cとを有する。第二駆動部23Cは、移動装置20Cにおける第二回転軸R2a、R2b、R2c、R2dと平行に延びる回転軸R5を有する公知の電動モータである。第二駆動部23Cの回転軸の先端には、第二駆動部23Cの駆動力を伝達させるための歯車が設けられている。また、伝達部材70Cは、チェーンやタイミングベルトなど、複数の歯車の間で動力を伝達する部材であり、第一伝達部71C、第二伝達部72Cおよび第三伝達部73Cを有する。
【0085】
図9に示すように、移動台車1Cの左方LTにおいて、第一伝達部71Cは、移動装置20Caにおける回転部材24Cと、移動装置20Ccにおける第二駆動部23Cとに8の字に掛けられている。また、移動台車1Cの右方RTにおいて、第二伝達部72Cは、移動装置20Cbにおける回転部材24Cと、移動装置20Cdにおける回転部材24Cとに8の字に掛けられている。さらに、移動台車1Cの前方FRにおいて、第三伝達部73Cは、第二駆動部23Cと、移動装置20Caにおける回転部材24Cと、移動装置20Cbにおける回転部材24Cとに8の字に掛けられている。
【0086】
そのため、第二駆動部23Cの駆動力は、伝達部材70Cを介して移動装置20Ca、移動装置20Cb、移動装置20Ccおよび移動装置20Cdに伝達される。その結果、移動台車1Cは、制御部50によって1つの第二駆動部23Cを制御することで、4つの移動装置20Cにおける操舵角度αを変更できる。このように、変形例3に係る移動台車1Cは、1つの第二駆動部23Cの駆動力を伝達部材70Cを介して4つの移動装置20Cに伝達することで、4つの移動装置20Cにおける4つの操舵角度αを連動して制御できる。4つの操舵角度αが連動して制御されることで、上記実施形態に係る移動台車1のように1つの第二駆動部23で1つの操舵角度αを制御する場合と比較して、各操舵角度αの取り方(組み合わせ)には制約が付されるが、操舵角度αの変更に使用するアクチュエータ(第二駆動部)の個数を減らすことができる。
【0087】
上記実施形態では、移動台車1は、4つの移動装置20を有していた。移動台車1は、5つ以上の移動装置20を有していてもよい。
【0088】
図10は、変形例4に係る移動台車1Dを模式的に示す平面図である。
移動台車1Dは、移動装置20a、20b、20c、20dに加えて、さらに移動装置20e、20fを備える。
図10に示すように、移動装置20eは、移動装置20aおよび移動装置20cに前後方向Dに挟まれて配置されている。移動装置20fは、移動装置20bおよび移動装置20dに前後方向Dに挟まれて配置されている。
【0089】
上記実施形態における移動装置20と同様に、移動装置20eおよび移動装置20fは、第一回転軸R1e、R1fおよび第二回転軸R2e、R2fを有する。上記実施形態において、特異姿勢状態を回避するように移動装置20の操舵角度αが変更されるが、移動装置20eおよび移動装置20fにおける駆動方向は、移動台車1Dの主進行方向と一致するのが望ましい。
【0090】
移動装置20a、20b、20c、20dにおける操舵角度αが特異姿勢状態を回避するように変更されるため、移動装置20eおよび移動装置20fにおける駆動方向が移動台車1Dの主進行方向と一致した場合であっても、移動台車1Dは、副進行方向に加わる力に対して踏ん張ることができ、副進行方向に受動的に移動しない。また、移動装置20eおよび移動装置20fにおける駆動方向を移動台車1Dの主進行方向と一致させることで、移動装置20eおよび移動装置20fにおける速度出力の全て(又は大部分)を主進行方向への移動に利用できるため、移動台車1Dは、より安定して主進行方向へ移動できる。
【0091】
上記実施形態では、移動台車1は、車輪部21を回転可能な第一駆動部22と第二駆動部23とを有していた。移動台車1は、車輪部21に対する車体部10の鉛直方向(上下方向V)における高さを変更可能な第三駆動部を備えていてもよい。
【0092】
図11aは、変形例5に係る移動台車1Eを模式的に示す平面図である。
図11bは、変形例5に係る移動台車1Eにおける移動装置20の近傍を模式的に示す正面図である。
移動台車1Eは、変形例4に係る移動台車1Dにさらに脚部25Eと第三駆動部26Eとを備えた移動台車である。脚部25Eは、移動装置20と車体部10とを連結している。移動台車1Eにおける移動装置20は、脚部25Eによって車体部10に連結されているため、変形例4に係る移動台車1Dにおける移動装置20と比較して、車体部10から離れた位置に設けられている。
【0093】
また、第三駆動部26Eは、上下方向Vと垂直な方向に延びる回転軸R6を回転中心として回転方向RD6に回転可能である。第三駆動部26Eは、制御部50によって制御されることで回転方向RD6に回転する。第三駆動部26Eを回転方向RD6に回転させることで、車体部10に対する移動装置20の位置を変更できる。
【0094】
図11bに示す正面図において、第三駆動部26Eを回転方向RD6に時計回りに回転させることで、脚部25Eが左右方向Hと平行に近づくように傾き、移動装置20は、車体部10に対して右方RTに移動し、左右方向Hにおいて車体部10から離れる。また、上下方向Vにおいて、移動装置20は車体部10に近付く。
第三駆動部26Eを回転方向RD6に反時計回りに回転させることで、脚部25Eが上下方向Vと平行に近づくように傾き、移動装置20は、
図11bに示す位置よりも左方LTに移動し、左右方向Hにおいて車体部10に近づく。また、上下方向Vにおいて、移動装置20は車体部10から下方LOに離れる。
【0095】
移動台車1Eを運用する際、移動装置20の車輪部21は地面又は床面に接地している。そのため、第三駆動部26Eを回転方向RD6に回転させることで、車輪部21に対する車体部10の上下方向V(鉛直方向)における高さが変更され、地面又は床面に対する車体部10の上下方向Vにおける高さが変更される。
【0096】
このとき、脚部25Eの回転方向RD6における角度に関わらず、移動装置20における第二回転軸R2が上下方向Vと平行になるのが望ましいが、第二回転軸R2が上下方向Vに対して傾いていてもよい。例えば、第三駆動部26Eの回転動作と連動して脚部25Eに対する移動装置20の角度を変更する構造を脚部25Eと移動装置20との接続部位に設けてもよいし、移動装置20の垂直姿勢を維持するために脚部25Eが平行リンク機構等を有していてもよい。
【0097】
また、第三駆動部26Eは、制御部50によって制御されて能動的に回転するアクチュエータでなく、バネやダンパ等を利用した受動的なサスペンション機構であってもよい。
図11cは、変形例5に係る移動台車1Eにおいて、第三駆動部26Eがサスペンション機構である例を模式的に示す正面図である。
【0098】
図11cに示す例において、車体部10と脚部25Eとは、サスペンション機構である第三駆動部26Eによって連結されている。
図11cに示す脚部25Eは、上下方向Vと垂直な方向に延びる回転軸R6aを回転中心として車体部10に対して回転方向RD6aに回転可能に、車体部10に接続されている。また、脚部25Eは、回転軸R6aからある程度離れた位置において、第三駆動部26Eを介して車体部10と接続されている。
【0099】
図11cに示す第三駆動部26Eは、回転軸R6bを回転中心として車体部10に対して回転方向RD6bに回転可能である。また、回転軸R6cを回転中心として脚部25Eに対して回転方向RD6cに回転可能である。ここで、回転軸R6bおよび回転軸R6cは、回転軸R6aと平行に延びているのが望ましいが、平行でなくてもよい。
【0100】
また、第三駆動部26Eは、バネ又はダンパ等を利用したサスペンション機構である。そのため、第三駆動部26Eが伸縮することにより、回転軸R6bから回転軸R6cまでの距離が変更される。すなわち、第三駆動部26Eの伸縮によって、車輪部21に対する車体部10の上下方向Vにおける高さが変更可能である。
【0101】
図11cに示す例において、例えば、車体部10の上方UPの面に貨物を載せたとき、貨物の重さによって第三駆動部26Eのバネ等が圧縮され、車体部10が下方LOへ沈み込む。そのため、貨物を載せた移動台車1Eの重心が高くなるのを抑制し、姿勢が不安定になるのを抑制できる。このとき、脚部25Eにおける回転方向RD6aの回転および第三駆動部26Eにおける回転方向RD6b、RD6cの回転によって、地面又は床面に対する車体部10の角度は変わらないため、車体部10の上方UPの面に乗せた貨物が落下するのを抑制できる。また、サスペンション機構である第三駆動部26Eを有することで、移動台車1Eは、地面又は床面の凹凸による振動等を吸収し、安定して移動できる。
また、
図11cに示す例においても、移動装置20の垂直姿勢を維持するための平行リンク機構等を脚部25Eが有していてもよい。
【0102】
なお、第三駆動部26Eおよび前述の平行リンク機構は、変形例5に係る移動台車1Eのように6つの移動装置20を有する態様に限られず、上記実施形態に記載の移動台車1のように4つの移動装置20を有する態様や5つの移動装置20を有する態様に採用されてもよい。
【0103】
第三駆動部26Eによって車輪部21に対する車体部10の高さを変更することで、例えば、移動台車1Eは、地面又は床面に置かれた障害物を上下方向Vに避けて走行することができる。また、移動装置20を上下方向Vに移動可能な直動アクチュエータを脚部25Eに設けて脚部25Eの角度を変えずに車体部10の高さを変更してもよい。また、移動台車1Eが車体部10に対する移動装置20の高さを変更可能な脚部25Eおよび第三駆動部26Eを有することで、移動台車1Eが段差を乗り越える際に、移動台車1Eは、移動装置20を段差よりも高い位置に持ち上げて、人が段差を乗り越えるようにして容易に段差を乗り越えることができる。
【0104】
上記実施形態では、移動台車1における第一回転軸R1と第二回転軸R2とは、車輪部21の中心で交差していた。第一回転軸R1と第二回転軸R2とは、車輪部21の中心で交差していなくてもよい。
【0105】
図12は、変形例6に係る移動台車1Fを模式的に示す平面図である。移動台車1Fは、変形例5に係る移動台車1Eと同様に脚部25Eおよび第三駆動部26Eを備える。また、移動台車1Fにおける移動装置20F(20Fa~20Ff)は、上記実施形態に係る移動台車1における第二駆動部23を有さない。移動台車1Fにおける第二駆動部23Fは、脚部25Eと車体部10との接続部位に設けられている。
【0106】
そのため、移動台車1Fは、第二駆動部23Fを駆動し、移動装置20F、脚部25Eおよび第三駆動部26Eを第二回転軸R2を回転中心として回転させることで操舵角度を変更できる。
【0107】
このとき、車輪部21は、第二回転軸R2を回転中心とした円弧軌道上を振られるため、車輪部21における第一回転方向RD1の回転は、その分の抵抗を地面又は床面から受ける。そのため、車輪部21における第一回転方向RD1の回転において、第二駆動部23Fの動きと同期した状態で、移動台車1Fの移動のための回転成分に加えて、第二駆動部23Fの動きにより車輪部21の接地点が第二回転軸R2を回転中心とした円弧軌道上を振られる変動分に相当する回転量を足し合わせた回転量となるように制御することで、第二回転軸R2を回転中心とした回転によって車輪部21が地面又は床面から受ける抵抗を抑制できる。
【0108】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、車輪部21を駆動させる第一駆動部22が有する第一回転軸R1と異なる方向に延びる第二回転軸R2を有する第二駆動部23を備え、第二駆動部23によって進行方向に対する車輪部21の向き(操舵角度α)を変更することで、移動台車1は、機動性を維持しつつ全方向に移動できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
1…移動台車、10…車体部、20…移動装置、21…車輪部、21f…副車輪部、22…第一駆動部、23…第二駆動部、30…モータドライバ、40…バッテリ、50…制御部、26E…第三駆動部、70A…伝達部材、R1…第一回転軸、R2…第二回転軸、R3…第三回転軸、RD1…第一回転方向、RD2…第二回転方向、RD3…第三回転方向、α…操舵角度、M…駆動方向、S…段差