IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社関電工の特許一覧 ▶ 株式会社ニシヤマの特許一覧

<>
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図1
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図2
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図3
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図4
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図5
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図6
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図7
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図8
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図9
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図10
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図11
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図12
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図13
  • 特開-電柱用物品昇降装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134597
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電柱用物品昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/26 20060101AFI20240927BHJP
   B66D 1/28 20060101ALI20240927BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B66D3/26 G
B66D3/26 A
B66D1/28 A
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044869
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100120640
【弁理士】
【氏名又は名称】森 幸一
(72)【発明者】
【氏名】於保 健一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丙午郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 好啓
(72)【発明者】
【氏名】伊形 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅章
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AB02
5G352AC01
(57)【要約】
【課題】電柱の上部に極めて簡単に設置することができ、工事に関係する各種の物品の昇降を遠隔操作により迅速かつ簡単に行うことができ、しかもコンパクトに構成することができ、取り扱いも容易な電柱用物品昇降装置を提供する。
【解決手段】電柱用物品昇降装置は、電柱に設けられた腕金に着脱可能に取り付けられる金属製の筐体1と、筐体1の内部の底面に取り付けられた、外部からリモコンにより動作を制御することができる電動ウインチと、筐体1の内部に設けられた、リモコンの信号を受信する受信部と、筐体1の側面または底部に受信部に対向して設けられたリモコンの信号の受信用窓と、筐体1の内部に設けられた、電動ウインチおよび受信部用の電源部とを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に設けられた腕金に着脱可能に取り付けられる金属製の筐体と、
上記筐体の内部の底面に取り付けられた、外部からリモコンにより動作を制御することができる電動ウインチと、
上記筐体の内部に設けられた、上記リモコンの信号を受信する受信部と、
上記筐体の側面または底部に上記受信部に対向して設けられた上記リモコンの信号の受信用窓と、
上記筐体の内部に設けられた、上記電動ウインチおよび上記受信部用の電源部と、
を有する電柱用物品昇降装置。
【請求項2】
上記筐体の上面に上記腕金を把持するための把持部材を有し、当該把持部材は上記筐体の上面に設けられた第1部材および当該第1部材に対して上記上面に平行な軸の周りに回動可能な第2部材からなり、当該第1部材に対して当該第2部材を回動させて当該第1部材と当該第2部材との間に上記腕金を挟み込むことにより上記腕金を把持する請求項1記載の電柱用物品昇降装置。
【請求項3】
上記筐体の内部の底面に上記電動ウインチが上記電動ウインチを囲むように設けられたウインチブラケットにより取り付けられ、当該ウインチブラケットの側面に上記受信部が設けられている請求項1記載の電柱用物品昇降装置。
【請求項4】
上記筐体は直方体形状を有する請求項1記載の電柱用物品昇降装置。
【請求項5】
上記ワイヤーは合成樹脂からなる請求項1記載の電柱用物品昇降装置。
【請求項6】
上記合成樹脂はナイロン、ポリフッ化ビニリデンまたは高密度ポリエチレンからなる請求項5記載の電柱用物品昇降装置。
【請求項7】
上記ワイヤーの先端をフックが取り付けられた滑車を介して上記腕金に接続した状態で上記フックに昇降を行う物品を収納した容器を取り付け、上記電動ウインチを上記リモコンの操作により正転または逆転することにより上記物品の昇降を行う請求項1記載の電柱用物品昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電柱用物品昇降装置に関し、例えば、電柱の上部に機器や部品などの物品を設置する工事を行う際に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電柱の上部に機器や部品などを設置する工事を行う際には、これらの物品を電柱の上部に持ち運ぶ必要がある。高所作業車を用いる場合には、これらの物品を作業床に載せて上昇させることで容易に物品を電柱の上部に運ぶことができる。しかしながら、工事を行うたびに高所作業車を用いるのは非効率である。また、作業者が電柱に登って工事を行うこともあるが、この場合、作業者が工事に関係する物品を持って電柱に登ることは大きな負担であり、危険も伴う。
【0003】
従来、電柱の上部に電気機器を設置するための装置として、電気機器の高所取付装置が提案されている(特許文献1参照)。この電気機器の高所取付装置は、複数の支柱固定金具、支柱、アーム、ウインチおよびワイヤーを備え、複数の支柱固定金具は、電柱の上部に上下に間隔をおいて着脱可能に取り付けられ、取付時に上下方向に並んで配置される支柱取付部を有し、支柱は、複数の支柱固定金具の支柱取付部に中心軸を回転中心として回動・固定可能に挿入され、アームは、支柱から側方へ張り出し、先端部に滑車が設けられ、ウインチはアームの中間部に取り付けられ、ワイヤーはウインチと滑車を介して電柱の上部と地上を連絡し、ワイヤーをウインチで巻き上げることにより、ワイヤーに連結した電気機器を地上から電柱の上部へ吊り上げ可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-201447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案された電気機器の高所取付装置は、電柱の上部に支柱固定金具、支柱、アーム、ウインチなどの様々な部材を設置する必要があり、設置自体に大掛かりな工事が必要である点で難点があった。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、電柱の上部に極めて簡単に設置することができ、工事に関係する各種の物品の昇降を遠隔操作により迅速かつ簡単に行うことができ、しかもコンパクトに構成することができ、取り扱いも容易な電柱用物品昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
電柱に設けられた腕金に着脱可能に取り付けられる金属製の筐体と、
上記筐体の内部の底面に取り付けられた、外部からリモコンにより動作を制御することができる電動ウインチと、
上記筐体の内部に設けられた、上記リモコンの信号を受信する受信部と、
上記筐体の側面または底部に上記受信部に対向して設けられた上記リモコンの信号の受信用窓と、
上記筐体の内部に設けられた、上記電動ウインチおよび上記受信部用の電源部と、
を有する電柱用物品昇降装置である。
【0008】
筐体の形状は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、典型的には直方体形状が採用される。筐体の大きさ(寸法)は特に限定されず、内部に収納する電動ウインチの大きさなどに応じて適宜選択される。筐体は、内部に収納する電動ウインチなどの重量、昇降を行う物品の重量、風雨などに耐えられる十分な機械的強度を有する限り、どのような金属により構成してもよいが、典型的には、鉄鋼、取り分けステンレス鋼(例えばSUS304)により構成される。筐体の表面には、必要に応じて、ポリ塩化ビニル(PVC)などの合成樹脂がコーティングされる。
【0009】
電柱に設けられた腕金に筐体を着脱可能に取り付けるための機構は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、典型的には、筐体の上面に腕金を把持するための把持部材が設けられる。この把持部材は、例えば、筐体の上面に取り付けられた第1部材およびこの第1部材に対して筐体の上面に平行な軸の周りに回動可能な第2部材からなり、第1部材に対して第2部材を回動させて第1部材と第2部材との間に腕金を挟み込むことにより腕金を把持する。
【0010】
筐体の内部の底面に電動ウインチを取り付ける方法は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、例えば、電動ウインチを囲むように設けられたウインチブラケットにより筐体の内部の底面に取り付けられる。この場合、リモコンの信号を受信する受信部は、このウインチブラケットの側面に設けることができる。
【0011】
典型的には、筐体の一つの側面が片開きの扉により構成され、この扉の内面に電動ウインチおよび受信部用の電源部としてバッテリーが取り付けられる。
【0012】
電動ウインチは、基本的にはどのようなものであってもよく、昇降を行う物品の重量などに応じて適宜選択される。電動ウインチのドラムに巻き付けられるワイヤーは、基本的にはどのようなものであってもよく、昇降を行う物品の重量などに応じて適宜選択されるが、例えば、金属や合成樹脂などからなり、単線であっても撚線(あるいは編み線)であってもよい。合成樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(フロロカーボン)、高密度ポリエチレンなどが用いられる。
【0013】
電動ウインチにより物品の昇降を行う際には、例えば、ドラムに巻き付けられたワイヤーを筐体の底部に設けられた開口を通して下方に繰り出し、その先端に取り付けられたフックに物品を収納した容器を引っ掛け、電動ウインチをリモコンの操作により正転または逆転してワイヤーを巻き取りあるいは繰り出すことにより昇降を行ってもよいが、昇降の安定性の向上を図るためには、好適には、次のようにする。すなわち、ワイヤーの先端をフックが取り付けられた滑車を介して腕金に接続した状態でフックに昇降を行う物品を収納した容器を取り付け、電動ウインチをリモコンの操作により正転または逆転することにより物品の昇降を行う。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、筐体を腕金に取り付けるだけで電柱用物品昇降装置を電柱の上部に極めて簡単に設置することができ、リモコンによる遠隔操作により工事に関係する各種の物品の昇降を迅速かつ簡単に行うことができ、しかも筐体には電動ウインチやリモコンの信号の受信部や電動ウインチおよび受信部用の電源部などが内蔵されているため電柱用物品昇降装置をコンパクトに構成することができ、取り扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す正面図である。
図2】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す左側面図である。
図3】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す右側面図である。
図4】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す上面図である。
図5】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す底面図である。
図6】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置を示す斜視図である。
図7】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置の筐体の正面の扉を内側から示す斜視図である。
図8】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置の筐体の正面の扉を開き、上面の把持部材の第2部材を開いた状態を示す斜視図である。
図9】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置の筐体の内部の底面にウインチブラケットにより取り付けられた電動ウインチを示す斜視図である。
図10】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置における電動ウインチを示す斜視図である。
図11】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置の筐体の底部の開口から電動ウインチのドラムに巻き付けられたワイヤーが下方に引き出されている様子を示す左側面図である。
図12】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置が電柱に設けられた腕金に設置された様子を示す正面図である。
図13】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置が電柱に設けられた腕金に設置され、電動ウインチのドラムに巻き付けられたワイヤーがフック付き滑車を介して腕金に接続されている様子を示す斜視図である。
図14】この発明の一実施の形態による電柱用物品昇降装置が電柱に設けられた腕金に設置され、電動ウインチのドラムに巻き付けられたワイヤーにより物品収納容器を昇降させる様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について説明する。
【0017】
〈一実施の形態〉
[電柱用物品昇降装置]
図1図6は電柱用物品昇降装置を示す。ここで、図1は正面図、図2は左側面図、図3は右側面図、図4は上面図、図5は底面図、図6は斜視図である。図1図6に示すように、電柱用物品昇降装置は金属板により構成された直方体形状の筐体1を有する。
【0018】
筐体1の正面には、一対の蝶番11を介して片開きの扉12が取り付けられている。図7に扉12を内側から見た様子を示す。図7に示すように、扉12は、金属板からなる偏平な直方体形状の箱状の形状を有し、内側が空いている。図8に扉12が開いた状態を示す。図8に示すように、扉12が開いた状態で露出する筐体1の前面には長方形の形状の突出部13が設けられ、その前面にはこの突出部13より一回り大きい長方形状のフレーム部13aが設けられており、扉12が閉まった時に扉12の内側にこれらのフレーム部13aおよび突出部13の大部分が収容されるようになっている。こうすることで、雨天の時に扉12と筐体1との間の隙間から筐体1の内部に雨水が侵入するのを防止することができる。扉12はパチン錠14により開閉可能になっている。パチン錠14は、筐体1の左側面の最前部にねじ止めされた係合片14aと扉12の左側面にねじ止めされ、係合片14aに係合する被係合片14bとからなる。図7に示すように、扉12の内面には二つのバッテリーポケット15、16が取り付けられている。バッテリーポケット15には電動ウインチ用バッテリー17が収納され、バッテリーポケット16にはリモコン用基板/受信部用バッテリー18が収納されている。扉12の前面には電源スイッチ19が取り付けられている。電源スイッチ19を入れることにより後述の電動ウインチ62、リモコン用基板63および受信部64に電源を供給することができるようになっている。
【0019】
筐体1の上面の中央には細長い把持部台座21が上面の長辺に平行に設けられている。把持部台座21は筐体1の上面にねじ止めされている。把持部台座21には、電柱に設けられた腕金にこの電柱用物品昇降装置を取り付けるための把持部材22が取り付けられている。把持部材22は、把持部台座21にねじ止めされているコの字状の第1部材22aとこの第1部材22aに対して蝶番23の軸の周りに回動可能に取り付けられたコの字状の片開きの第2部材22bとにより構成されている。第2部材22bは第1部材22aに対してパチン錠24により開閉可能になっている。図8に第2部材22bが開いた状態を示す。パチン錠24は、第1部材22aの上面の最前部にねじ止めされた係合片24aと、第2部材22bの上面にねじ止めされ、この係合片24aに係合する被係合片24bとからなる。第2部材22bを第1部材22aに対してパチン錠24により閉じた状態では、これらの第1部材22aおよび第2部材22bの間の空間に電柱に設けられた腕金が丁度納まるようになっている。筐体1の上面には一方の対角線上の両隅にそれぞれアイボルト25が取り付けられている。アイボルト25はこの電柱用物品昇降装置を吊り上げるときに使用される。
【0020】
筐体1の左右の側面には、電柱用物品昇降装置を持ち運ぶ際に両手で持つための取っ手31がそれぞれ取り付けられている。
【0021】
筐体1の右側面には筐体1の背面寄りに円形の開口41が設けられており、この開口41に赤外線や電波の信号に対して透明な材料からなる円形の受信用窓42が取り付けられている。
【0022】
筐体1の底面の四隅にはそれぞれゴム脚51が取り付けられている。
【0023】
図9に筐体1の内部の底面を示す。図9に示すように、筐体1の内部の底面には、ウインチブラケット61により電動ウインチ62が取り付けられている。ウインチブラケット61は電動ウインチ62を囲むように設けられ、電動ウインチ62の両端のフランジ62a、62bの上面にねじ止めされるとともに、その両端が筐体1の内部の底面にねじ止めされている。電動ウインチ62のドラム62cの中心軸が底面の長手方向の辺に平行になっている。電動ウインチ62の詳細については後述する。
【0024】
ウインチブラケット61の右側の面にはこの面から少し離れた位置にリモコン用基板63がねじ止めされている。リモコン用基板63の上部中央には、電柱用物品昇降装置の操作用のリモコンから発射される赤外線や電波の信号を受信するための受信部64が設けられている。受信部64は、赤外線や電波の信号を受信して電気信号に変換する半導体受光素子などにより構成される。受信部64は受信用窓42に面している。リモコン用基板63には、受信部64で受信され、電気信号に変換された信号を電動ウインチ62の駆動回路に送るための回路が設けられている。電柱用物品昇降装置の外部からリモコンにより受信用窓42を通して受信部64に信号が入力されることで電動ウインチ62の動作を制御することができるようになっている。
【0025】
筐体1の底面の背面側の部分には開口71が設けられている(図5参照)。
【0026】
図10に電動ウインチ62を示す。電動ウインチ62は、一対のフランジ62a、62bと、この一対のフランジ62a、62bの間に設けられた円筒状のドラム62cとを有する。ドラム62cの外周面にワイヤー62dが巻かれている。ドラム62cはその中心軸の周りに回転可能に一対のフランジ62a、62bに支持されている。電動ウインチ62のモーターや駆動回路などの図示および説明は省略する。電動ウインチ62が駆動されるとドラム62cが中心軸の周りに正転または逆転する。ドラム62cが正転するとワイヤー62dがドラム62cに巻き取られる。一方、ドラム62cが逆転すると、ワイヤー62dがドラム62cから繰り出される。電動ウインチ62を駆動するための駆動電力は、バッテリーポケット15に収納された電動ウインチ用バッテリー17から供給される。図11に、電動ウインチ62からワイヤー62dが、筐体1の底面の背面側の部分に設けられた開口71を通って下方に引き出されている様子を示す。電動ウインチ62としては市販の電動ウインチを用いることができ、適宜選択される。電動ウインチ62には、好適には、ワイヤー62dを巻き取り過ぎる誤動作を防ぐ機能を持たせる。
【0027】
電柱用物品昇降装置の主要部の寸法や材質の一例を挙げると次の通りである。筐体1の幅は200~250mm、高さは150~190mm、奥行きは170~200mmである。把持部材22の幅は80~100mm、高さは70~90mm、奥行きは50~70mmである。筐体1を構成する金属板の材質はSUS304である。電動ウインチ62のワイヤー62dは高密度ポリエチレンの撚線である。
【0028】
[電柱用物品昇降装置の設置方法]
まず、電柱用物品昇降装置の筐体1の正面の扉12の電源スイッチ19を入れる。図12に示すように、地面に垂直に設置された電柱80の上部に水平方向へ延びるように設けられた腕金90に対し、電柱用物品昇降装置の筐体1の上面の把持部材22の第1部材22aに対して第2部材22bを開いた状態で第1部材22aの凹部を嵌め、腕金90の長手方向の位置決めを行った後、第1部材22aに対して第2部材22bを回動させることにより第1部材22aと第2部材22bとの間に腕金90を挟み込み、パチン錠24を閉じる。こうすることで、電柱用物品昇降装置を腕金90に設置することができる。腕金90の先端部には上下方向にアイボルト91が取り付けられている。アイボルト91のリング部にはカラビナ92が取り付けられている。
【0029】
[電柱用物品昇降装置の使用方法]
図13に示すように、電動ウインチ62からワイヤー62dを繰り出しておき、このワイヤー62dを滑車93を介してカラビナ92に巻き付ける。滑車93にはフック95が取り付けられている。
【0030】
次に、図14に示すように、地上にいる作業者がリモコンを操作して電動ウインチ62を逆転させることによりワイヤー62dを地上に向かって繰り出し、地上に置かれた、工事に必要な物品が収納された物品収納容器96の上部に取り付けられた持ち手97に滑車93のフック95を引っ掛けた後、リモコンを操作して電動ウインチ62を正転させることによりワイヤー62dを巻き取り、物品収納容器96を上昇させる。
【0031】
こうして物品収納容器96を所定の高さまで上昇させた時点でリモコンを操作して電動ウインチ62の動作を停止する。
【0032】
物品収納容器96を地上に降ろす際には、リモコンを操作して電動ウインチ62を逆転させることによりワイヤー62dを地上に向かって繰り出し、物品収納容器96を地面に着地させる。
【0033】
以上のように、この一実施の形態によれば、電動ウインチ62、リモコン用基板63、受信部64、電動ウインチ用バッテリー17、リモコン用基板/受信部用バッテリー18などが内蔵された筐体1を把持部材22により電柱80の腕金90に把持することにより電柱用物品昇降装置を極めて簡単に電柱の上部に設置することができる。そして、リモコンによる遠隔操作により工事に関係する各種の物品を迅速かつ簡単に昇降することができる。このため、電柱用物品昇降装置の設置に必要な人員を最小限に抑えることができる。また、筐体1の内部に電動ウインチ62、受信部64、電動ウインチ用バッテリー17、リモコン用基板/受信部用バッテリー18などが内蔵されているため、電柱用物品昇降装置をコンパクトに構成することができ、取り扱いも容易である。
【0034】
以上、この発明の一実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0035】
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、構成、材料、方法などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、材料、方法などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…筐体、12…扉、14、24…パチン錠、15、16…バッテリーポケット、17…電動ウインチ用バッテリー、18…リモコン用基板/受信部用バッテリー、19…電源スイッチ、22…把持部材、42…受信用窓、61…ウインチブラケット、62…電動ウインチ、63…リモコン用基板、64…受信部、62a、62b…フランジ、62c…ドラム、62d…ワイヤー、71…開口、80…電柱、90…腕金、91…アイボルト、92…カラビナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14