(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134624
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】回転電機用の回転子、および、回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/20 20060101AFI20240927BHJP
H02K 3/51 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02K3/20
H02K3/51 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044909
(22)【出願日】2023-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】曲戸 大樹
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603CA02
5H603CA07
5H603CB03
5H604CC02
5H604QA08
(57)【要約】
【課題】回転子の制動構造体の小型化および軽量化を図る。
【解決手段】回転電機用の回転子1は、第1軸AXまわりに回転可能なシャフト2と、シャフト2に取り付けられる磁極部3と、磁極部3に配置される回転子コイル91と、制動構造体BSとを具備する。制動構造体BSは、第1群のダンパーバー6G-1を電気的に接続する第1板状体4-1と、第2群のダンパーバー6G-2を電気的に接続する第2板状体4-2と、第1接続部分C-1とを含む。第1板状体4-1は、第1群のダンパーバーに接続される第1外縁部4u-1からシャフト2に向かって延在する第1延在部4e-1を含む。第2板状体4-2は、第2群のダンパーバーに接続される第2外縁部4u-2からシャフト2に向かって延在する第2延在部4e-2を含む。第1接続部分C-1は、第1延在部4e-1と第2延在部4e-2とを電気的且つ機械的に接続する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸まわりに回転可能なシャフトと、
前記シャフトに取り付けられる磁極部と、
前記磁極部に配置される回転子コイルと、
制動構造体と
を具備し、
前記磁極部は、第1磁極片および第2磁極片を含む複数の磁極片を有し、
前記制動構造体は、
前記第1磁極片に配置された第1群のダンパーバーと、
前記第1群のダンパーバーを電気的に接続する第1板状体と、
前記第2磁極片に配置された第2群のダンパーバーと、
前記第2群のダンパーバーを電気的に接続する第2板状体と、
第1接続部分と
を含み、
前記第1板状体は、
前記第1群のダンパーバーに接続される第1外縁部と、
前記第1外縁部から前記シャフトに向かって延在する第1延在部と
を含み、
前記第2板状体は、
前記第2群のダンパーバーに接続される第2外縁部と、
前記第2外縁部から前記シャフトに向かって延在する第2延在部と
を含み、
前記第1接続部分は、前記第1延在部と前記第2延在部とを電気的且つ機械的に接続する
回転電機用の回転子。
【請求項2】
前記第1接続部分は、前記シャフトに固定されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項3】
前記第1接続部分は、
前記第1板状体の前記第1延在部から突出する第1突出部と、
前記第2板状体の前記第2延在部から突出する第2突出部と
を含み、
前記第1突出部と前記第2突出部とが第1固定部材を介して接続されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項4】
前記第1板状体の前記第1延在部は、
前記第1磁極片の端面に沿って配置される主板部と、
前記第1磁極片の第1側面に沿って配置される第1補助板部と
を含む
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項5】
前記シャフトの一方側の端部から前記シャフトの他方側の端部に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記第1板状体の前記第1延在部は、前記第1磁極片の前記第1方向側の端部に固定されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項6】
前記第1軸から前記第1磁極片の最外縁までの距離を距離L1と定義するとき、前記第1板状体を含む複数の板状体の内縁部分と、前記第1接続部分を含む複数の接続部分とからなる環状構造が、前記第1軸を中心とする半径が0.7×L1の仮想円筒の内側に配置されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転電機用の回転子と、
固定子巻線が配置される固定子と
を具備する
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機用の回転子、および、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の回転子に制動巻線を配置する技術が知られている。制動巻線は、同期速度から回転子の回転速度がずれた場合に、回転子の回転速度を安定化させる。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、突極形同期機の制動巻線が開示されている。特許文献1に記載の制動巻線は、磁極鉄心に挿通された複数のダンパーバーと、複数のダンパーバーの両端部の各々に配置される短絡リングとを備える。短絡リングは、複数の短絡片と、隣接する2つの短絡片を接続する接続片とによって構成される。また、短絡リングの外側には、短絡リングを補強する保持リングが配置されている。ダンパーバーは、磁極鉄心の外縁部に配置されているため、短絡リングのサイズ(すなわち、直径)は大きくなり、保持リングのサイズ(すなわち、直径)は更に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願平1-79258号(実開平3-18663号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の制動巻線では、短絡リングおよび保持リングのサイズが大きく、これらのリングに作用する遠心力が大きい。当該遠心力によって、回転子の振動が大きくなり易い。また、振動が過大になると、短絡リングおよび保持リングが破損するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、回転子の制動構造体の小型化および軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における回転電機用の回転子は、第1軸まわりに回転可能なシャフトと、前記シャフトに取り付けられる磁極部と、前記磁極部に配置される回転子コイルと、制動構造体とを具備し、前記磁極部は、第1磁極片および第2磁極片を含む複数の磁極片を有し、前記制動構造体は、前記第1磁極片に配置された第1群のダンパーバーと、前記第1群のダンパーバーを電気的に接続する第1板状体と、前記第2磁極片に配置された第2群のダンパーバーと、前記第2群のダンパーバーを電気的に接続する第2板状体と、第1接続部分とを含み、前記第1板状体は、前記第1群のダンパーバーに接続される第1外縁部と、前記第1外縁部から前記シャフトに向かって延在する第1延在部とを含み、前記第2板状体は、前記第2群のダンパーバーに接続される第2外縁部と、前記第2外縁部から前記シャフトに向かって延在する第2延在部とを含み、前記第1接続部分は、前記第1延在部と前記第2延在部とを電気的且つ機械的に接続することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の実施形態における回転電機は、上記回転電機用の回転子に加え、固定子巻線が配置される固定子を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、回転子の制動構造体が小型化され、回転子の制動構造体が軽量化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態における回転電機用の回転子の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、シャフトと、複数の磁極片と、複数のダンパーバーとの間の配置関係を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、制動構造体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態における回転電機用の回転子の一部分を模式的に示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、第1接続部分の一例を拡大して示す図である。
【
図6】
図6は、第1板状体と第2板状体との間の配置関係を模式的に示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、第1板状体と、第2板状体と、第3板状体と、第4板状体とが組み合わせられる前の状態を模式的に示す概略斜視図である。
【
図9】
図9は、
図4におけるB-O-O’-B矢視断面図である。
【
図10】
図10は、シャフトの中心軸である第1軸と、第1接続部分との距離について説明するための図である。
【
図11】
図11は、制動構造体の環状構造のサイズが小さいことを説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態における回転電機の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態における回転電機用の回転子1、および、回転電機100に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0012】
(方向の定義)
本明細書において、シャフト2の一方側の端部からシャフト2の他方側の端部に向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第2方向DR2」と定義する。本明細書において、シャフト2の中心軸である第1軸AXに向かう方向を「径内方向DR3」と定義し、シャフト2の中心軸である第1軸AXから離れる方向を「径外方向DR4」と定義する。より具体的には、径内方向DR3は、第1軸AXに垂直な面において、第1軸AXに向かう方向である。また、径外方向DR4は、第1軸AXに垂直な面において、第1軸AXから離れる放射方向である。また、径外方向DR4は、径内方向DR3とは反対の方向である。
【0013】
(回転電機用の回転子1)
図1乃至
図11を参照して、実施形態における回転電機用の回転子1について説明する。
図1は、実施形態における回転電機用の回転子1の一例を模式的に示す概略断面図である。
図2は、シャフト2と、複数の磁極片30と、複数のダンパーバーとの間の配置関係を模式的に示す図である。
図3は、制動構造体BSの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図4は、実施形態における回転電機用の回転子1の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図5は、第1接続部分C-1の一例を拡大して示す図である。
図6は、第1板状体4-1と第2板状体4-2との間の配置関係を模式的に示す概略斜視図である。
図7は、第1板状体4-1と、第2板状体4-2と、第3板状体4-3と、第4板状体4-4とが組み合わせられる前の状態を模式的に示す概略斜視図である。
図8は、
図4におけるA-A矢視断面図である。なお、
図8において、第1コイル91-1が配置される領域にはドットによるハッチングが付与されている。
図9は、
図4におけるB-O-O’-B矢視断面図である。
図10は、シャフト2の中心軸である第1軸AXと、第1接続部分C-1との距離について説明するための図である。
図11は、制動構造体BSの環状構造Tのサイズが小さいことを説明するための図である。
【0014】
(構成・作用)
図1に例示されるように、実施形態における回転電機用の回転子1は、シャフト2と、磁極部3と、回転子コイル91と、制動構造体BSと、を具備する。
【0015】
シャフト2は、第1軸AXまわりに回転する。回転電機が発電機である場合、シャフト2は、直接的にまたは任意の動力伝達機構を介して間接的に、エンジン等の動力源から駆動力を受け取り可能なように構成される。回転電機が電動機である場合には、シャフト2は、直接的にまたは任意の動力伝達機構を介して間接的に、負荷に駆動力を伝達可能なように構成される。
図1に記載の例では、シャフト2は、軸部21と、軸部21に固定される被取付部23を有する。被取付部23には、磁極部3(より具体的には、第1磁極片30-1および第2磁極片30-2を含む複数の磁極片30)が取り付けられる。
【0016】
磁極部3は、シャフト2に取り付けられる。
図1に記載の例では、磁極部3は、第1磁極片30-1および第2磁極片30-2を含む複数の磁極片30を有する。磁極部3は、第3磁極片30-3および第4磁極片30-4を含んでいてもよい。
図1に記載の例では、シャフト2に、第1磁極片30-1、第2磁極片30-2、第3磁極片30-3、および、第4磁極片30-4が取り付けられている。
図1に記載の例では、シャフト2に取り付けられる磁極片30の数が4個であるが、実施形態において、シャフト2に取り付けられる磁極片30の数は4個に限定されない。磁極片30は、鉄などの材料によって構成される。
【0017】
図2に記載の例では、磁極片30は、突極型の磁極片である。突極型の磁極片の各々は、シャフト2からシャフト2の径外方向に突き出すように配置される。
図2に記載の例では、磁極片30の各々は、シャフト2に取り付けられる内縁部と、ダンパーバーが配置される外縁部30bとを含む。
図2に記載の例では、外縁部30bに複数の溝30vが形成されている。当該複数の溝30vの各々に、ダンパーバーが配置される。各磁極片30は、例えば、複数の積層板を積層することによって形成される。また、各積層板は、例えば、薄板状の電磁鋼板を所望の形状に打ち抜くことによって形成される。
【0018】
なお、突極型の磁極片では、回転電機の固定子と回転電機の回転子の間に存在するエアギャップの磁束密度分布を正弦波に近づけるため、磁極片の形が凸形(換言すれば、突極形)とされる。また、突極型の磁極片では、シャフト2の中心から離れるに従ってエアギャップが次第に大きくなるように構成される。突極型の磁極片では、界磁巻線の起磁力を大きくすることができ、極数を多くすることが容易である。
【0019】
図2に記載の例では、第1磁極片30-1は、第1コイル91-1(
図2には図示されず。)を支持する第1支持部31-1と、第1群のダンパーバー6G-1が配置される第1頭部32-1と、を含む。第1支持部31-1の基端部31a-1は、シャフト2に接続され、第1支持部31-1の先端部31b-1は、第1頭部32-1に接続される。
図2に記載の例では、第1頭部32-1は、第1支持部31-1に対して突出する突出部32p-1を有する。当該突出部32p-1は、第1支持部31-1から第1コイル91-1(
図2には図示されず。)が脱落するのを防止するストッパとして機能してもよい。
図2に記載の例では、第1磁極片30-1は、第1軸AXに垂直な断面において、略T字形状を有する。当該T字形状の頭部が上述の第1頭部32-1を構成し、当該T字形状の軸部が上述の第1支持部31-1を構成する。
【0020】
本明細書において、「K」を2以上の任意の自然数とする。「K」は、例えば、「2」、「3」、「4」、・・・である。
【0021】
図2に記載の例では、第K磁極片30-Kは、第Kコイル91-K(
図2には図示されず。)を支持する第K支持部31-Kと、第K群のダンパーバー6G-Kが配置される第K頭部32-Kと、を含む。第K支持部31-Kの基端部31a-Kは、シャフト2に接続され、第K支持部31-Kの先端部31b-Kは、第K頭部32-Kに接続される。
図2に記載の例では、第K頭部32-Kは、第K支持部31-Kに対して突出する突出部32p-Kを有する。当該突出部32p-Kは、第K支持部31-Kから第Kコイル91-K(
図2には図示されず。)が脱落するのを防止するストッパとして機能してもよい。
図2に記載の例では、第K磁極片30-Kは、第1軸AXに垂直な断面において、略T字形状を有する。当該T字形状の頭部が上述の第K頭部32-Kを構成し、当該T字形状の軸部が上述の第K支持部31-Kを構成する。
【0022】
回転子コイル91は、磁極部3に配置される。回転子コイル91は、界磁巻線と呼ばれることもある。
図1に記載の例では、回転子コイル91は、第1磁極片30-1に配置される第1コイル91-1と、第2磁極片30-2に配置される第2コイル91-2とを含む。回転子コイル91は、第3磁極片30-3に配置される第3コイル91-3、および、第4磁極片30-4に配置される第4コイル91-4を含んでいてもよい。
【0023】
制動構造体BSは、制動巻線と同様の機能を有する。制動巻線は、回転電機(例えば、発電機)の乱調防止の目的で、回転子の磁極の表面に設けられる短絡された巻線である。例えば、同期発電機では、同期発電機が系統と並行運転されるとき、負荷の急変、事故の発生などがあると、乱調を起こすことがある。このような乱調を防止するために制動巻線が設けられる。制動巻線は、一般的には、回転子の磁極片の外縁部のスロット(換言すれば、溝)に配置される複数の導体棒(例えば、銅または黄銅製の導体棒)を含む。また、制動巻線は、当該複数の導体棒を電気的に接続する短絡リングを含む。制動巻線は、誘導電動機のかご形回転子に似た構造の巻線である。また、回転軸まわりの制動巻線の回転数(すなわち、回転子の回転数)が同期速度から逸脱すると、制動巻線に鎖交する鎖交磁束が変化し、制動巻線には当該変化を抑制する方向に電流が流れる。こうして、制動巻線は、鎖交磁束の変化が抑制されるようにトルクを生成し、回転子の回転を安定化させる。
【0024】
図1に記載の例では、制動構造体BSは、第1群のダンパーバー6G-1と、第1板状体4-1と、第2群のダンパーバー6G-2と、第2板状体4-2と、第1接続部分C-1と、を有する。
【0025】
図2に例示されるように、第1群のダンパーバー6G-1は、第1磁極片30-1(より具体的には、第1磁極片30-1の第1頭部32-1)に配置される。第1群のダンパーバー6G-1は、複数の第1ダンパーバー6g-1によって構成される。第1群のダンパーバー6G-1(換言すれば、複数の第1ダンパーバー6g-1)は、第1方向DR1に平行な方向に延在する。複数の第1ダンパーバー6g-1の各々は、電気伝導性材料によって構成される。複数の第1ダンパーバー6g-1の各々は、銅製または黄銅製であってもよい。
【0026】
図3に例示されるように、第1板状体4-1は、第1群のダンパーバー6G-1を電気的に接続する。換言すれば、第1板状体4-1は、第1群のダンパーバー6G-1を構成する複数の第1ダンパーバー6g-1を電気的に接続する。
図3に記載の例では、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々の第1方向DR1側の端部61g-1が、第1板状体4-1に接続されている。換言すれば、第1板状体4-1は、第1群のダンパーバー6G-1の第1方向DR1側の端部において、複数の第1ダンパーバー6g-1を電気的に接続する。第1板状体4-1は、電気伝導性材料によって構成される。第1板状体4-1は、銅製または黄銅製であってもよい。
【0027】
第1板状体4-1は、第1外縁部4u-1と、第1延在部4e-1とを含む。第1外縁部4u-1は、第1群のダンパーバー6G-1(換言すれば、複数の第1ダンパーバー6g-1)に接続される。第1延在部4e-1は、第1外縁部4u-1からシャフト2に向かって延在する(より具体的には、第1外縁部4u-1から径内方向DR3に延在する。)。
【0028】
図3に例示されるように、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第1板状体4-1に加えて、第2方向DR2側の第1板状体5-1を有していてもよい。第2方向DR2側の第1板状体5-1は、第1群のダンパーバー6G-1を電気的に接続する。第1方向DR1側の第1板状体4-1、および、第2方向DR2側の第1板状体5-1は、複数の第1ダンパーバー6g-1を短絡させる短絡板として機能する。
【0029】
図3に記載の例では、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々の第2方向DR2側の端部62g-1が、第1板状体5-1に接続されている。換言すれば、第1板状体5-1は、第1群のダンパーバー6G-1の第2方向DR2側の端部において、複数の第1ダンパーバー6g-1を電気的に接続する。
【0030】
図3に例示されるように、第1板状体5-1は、第1外縁部5u-1と、第1延在部5e-1とを含む。第1外縁部5u-1は、第1群のダンパーバー6G-1(換言すれば、複数の第1ダンパーバー6g-1)に接続される。第1延在部5e-1は、第1外縁部5u-1からシャフト2に向かって延在する(より具体的には、第1外縁部5u-1から径内方向DR3に延在する。)。
【0031】
図3に記載の例では、第1群のダンパーバー6G-1の第2方向DR2側の端部の短絡機構は、第1群のダンパーバー6G-1の第1方向DR1側の端部の短絡機構と同様の機構である。代替的に、第2方向DR2側の短絡機構として、第1方向DR1側の短絡機構とは異なる任意の短絡機構が採用されてもよい。
【0032】
図2に例示されるように、第2群のダンパーバー6G-2は、第2磁極片30-2(より具体的には、第2磁極片30-2の第2頭部32-2)に配置される。第2群のダンパーバー6G-2は、複数の第2ダンパーバー6g-2によって構成される。
図3に記載の例では、第2群のダンパーバー6G-2(換言すれば、複数の第2ダンパーバー6g-2)は、第1方向DR1に平行な方向に延在する。複数の第2ダンパーバー6g-2の各々は、電気伝導性材料によって構成される。複数の第2ダンパーバー6g-2の各々は、銅製または黄銅製であってもよい。
【0033】
図3に例示されるように、第2板状体4-2は、第2群のダンパーバー6G-2を電気的に接続する。換言すれば、第2板状体4-2は、第2群のダンパーバー6G-2を構成する複数の第2ダンパーバー6g-2を電気的に接続する。
図3に記載の例では、複数の第2ダンパーバー6g-2の各々の第1方向DR1側の端部61g-2が、第2板状体4-2に接続されている。換言すれば、第2板状体4-2は、第2群のダンパーバー6G-2の第1方向DR1側の端部において、複数の第2ダンパーバー6g-2を電気的に接続する。第2板状体4-2は、電気伝導性材料によって構成される。第2板状体4-2は、銅製または黄銅製であってもよい。
【0034】
第2板状体4-2は、第2外縁部4u-2と、第2延在部4e-2とを含む。第2外縁部4u-2は、第2群のダンパーバー6G-2(換言すれば、複数の第2ダンパーバー6g-2)に接続される。第2延在部4e-2は、第2外縁部4u-2からシャフト2に向かって延在する(より具体的には、第2外縁部4u-2から径内方向DR3に延在する。)。
【0035】
図3に例示されるように、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第2板状体4-2に加えて、第2方向DR2側の第2板状体5-2を有していてもよい。第2方向DR2側の第2板状体5-2は、第2群のダンパーバー6G-2を電気的に接続する。第1方向DR1側の第2板状体4-2、および、第2方向DR2側の第2板状体5-2は、複数の第2ダンパーバー6g-2を短絡させる短絡板として機能する。
【0036】
図3に記載の例では、複数の第2ダンパーバー6g-2の各々の第2方向DR2側の端部62g-2が、第2板状体5-2に接続されている。換言すれば、第2板状体5-2は、第2群のダンパーバー6G-2の第2方向DR2側の端部において、複数の第2ダンパーバー6g-2を電気的に接続する。
【0037】
図3に例示されるように、第2板状体5-2は、第2外縁部5u-2と、第2延在部5e-2とを含む。第2外縁部5u-2は、第2群のダンパーバー6G-2(換言すれば、複数の第2ダンパーバー6g-2)に接続される。第2延在部5e-2は、第2外縁部5u-2からシャフト2に向かって延在する(より具体的には、第2外縁部5u-2から径内方向DR3に延在する。)。
【0038】
図3に記載の例では、第2群のダンパーバー6G-2の第2方向DR2側の端部の短絡機構は、第2群のダンパーバー6G-2の第1方向DR1側の端部の短絡機構と同様の機構である。代替的に、第2方向DR2側の短絡機構として、第1方向DR1側の短絡機構とは異なる任意の短絡機構が採用されてもよい。
【0039】
第1接続部分C-1(より具体的には、第1方向DR1側の第1接続部分C-1)は、第1板状体4-1の第1延在部4e-1と第2板状体4-2の第2延在部4e-2とを電気的且つ機械的に接続する(換言すれば、エレクトリカル且つメカニカルに接続する。)。
【0040】
付加的に、制動構造体BSは、第2方向DR2側の第1接続部分C’-1を有していてもよい。第2方向DR2側の第1接続部分C’-1は、第1板状体5-1の第1延在部5e-1と第2板状体5-2の第2延在部5e-2とを電気的且つ機械的に接続する。
【0041】
(効果)
実施形態における回転電機用の回転子1では、制動構造体BSの一部を構成する第1板状体4-1が、シャフト2に向かって延在する第1延在部4e-1を有し、制動構造体BSの一部を構成する第2板状体4-2が、シャフト2に向かって延在する第2延在部4e-2を有する。また、第1板状体4-1の第1延在部4e-1と第2板状体4-2の第2延在部4e-2とが第1接続部分C-1を介して電気的且つ機械的に接続される。第1延在部4e-1、第2延在部4e-2、および、第1接続部分C-1は、第1外縁部4u-1および第2外縁部4u-2と比較して、シャフト2の中心軸である第1軸AXから近い位置に配置されている。よって、第1延在部4e-1、第2延在部4e-2、および、第1接続部分C-1に作用する遠心力は相対的に小さい。また、第1外縁部4u-1と第2外縁部4u-2とを接続する場合と比較して、第1接続部分C-1のサイズを小さくすることができる。以上のことから、回転電機用の回転子1の制動構造体BSを、小型化および軽量化することができる。
【0042】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図11を参照して、実施形態における回転電機用の回転子1において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0043】
(第K群のダンパーバー6G-K)
図1に記載の例では、制動構造体BSは、第K群のダンパーバー6G-Kを有する。なお、「K」は、2以上の自然数(例えば、「2」、「3」、「4」である。)。第K群のダンパーバー6G-Kは、第K磁極片30-K(より具体的には、第K磁極片30-Kの第K頭部32-K)に配置される。第K群のダンパーバー6G-Kは、複数の第Kダンパーバー6g-Kによって構成される。第K群のダンパーバー6G-K(換言すれば、複数の第Kダンパーバー6g-K)は、第1方向DR1に平行な方向に延在する。
【0044】
(第K板状体4-K、5-K)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第K板状体4-K、および、第2方向DR2側の第K板状体5-Kを有する。なお、「K」は、2以上の自然数(例えば、「2」、「3」、「4」である。)。
【0045】
図3に例示されるように、第1方向DR1側の第K板状体4-Kは、第K群のダンパーバー6G-Kの第1方向DR1側の端部において、複数の第Kダンパーバー6g-Kを電気的に接続する。また、第2方向DR2側の第K板状体5-Kは、第K群のダンパーバー6G-Kの第2方向DR2側の端部において、複数の第Kダンパーバー6g-Kを電気的に接続する。
【0046】
第1方向DR1側の第K板状体4-Kは、第K外縁部4u-Kと、第K延在部4e-Kと、を含む。第K外縁部4u-Kは、複数の第Kダンパーバー6g-Kに接続される。第K延在部4e-Kは、第K外縁部4u-Kからシャフト2に向かって延在する。
【0047】
第2方向DR2側の第K板状体5-Kは、第K外縁部5u-Kと、第K延在部5e-Kと、を含む。第K外縁部5u-Kは、複数の第Kダンパーバー6g-Kに接続される。第K延在部5e-Kは、第K外縁部5u-Kからシャフト2に向かって延在する。
【0048】
(第1方向DR1側の第2接続部分C-2)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第2接続部分C-2を有する。第2接続部分C-2は、第2板状体4-2の第2延在部4e-2と第3板状体4-3の第3延在部4e-3とを電気的且つ機械的に接続する。
【0049】
(第2方向DR2側の第2接続部分C’-2)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第2方向DR2側の第2接続部分C’-2を有する。第2接続部分C’-2は、第2板状体5-2の第2延在部5e-2と第3板状体5-3の第3延在部5e-3とを電気的且つ機械的に接続する。
【0050】
(第1方向DR1側の第3接続部分C-3)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第3接続部分C-3を有する。第3接続部分C-3は、第3板状体4-3の第3延在部4e-3と第4板状体4-4の第4延在部4e-4とを電気的且つ機械的に接続する。
【0051】
(第2方向DR2側の第3接続部分C’-3)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第2方向DR2側の第3接続部分C’-3を有する。第3接続部分C’-3は、第3板状体5-3の第3延在部5e-3と第4板状体5-4の第4延在部5e-4とを電気的且つ機械的に接続する。
【0052】
(第1方向DR1側の第4接続部分C-4)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第1方向DR1側の第4接続部分C-4を有する。第4接続部分C-4は、第4板状体4-4の第4延在部4e-4と第1板状体4-1の第1延在部4e-1とを電気的且つ機械的に接続する。
図3に記載の例では、第1方向DR1側に4個の接続部分(C-1、C-2、C-3、C-4)が配置されている。磁極片の数が4個以外である場合には、第1方向DR1側に配置される接続部分の数は、4個以外の数であってもよい。
【0053】
(第2方向DR2側の第4接続部分C’-4)
図3に記載の例では、制動構造体BSは、第2方向DR2側の第4接続部分C’-4を有する。第4接続部分C’-4は、第4板状体5-4の第4延在部5e-4と第1板状体5-1の第1延在部5e-1とを電気的且つ機械的に接続する。
図3に記載の例では、第2方向DR2側に4個の接続部分(C’-1、C’-2、C’-3、C’-4)が配置されている。磁極片の数が4個以外である場合には、第2方向DR2側に配置される接続部分の数は、4個以外の数であってもよい。
【0054】
(第1接続部分C-1のシャフト2への固定)
図4に記載の例では、第1接続部分C-1は、シャフト2に固定されている。より具体的には、
図5に例示されるように、第1接続部分C-1は、第1固定部材F-1(例えば、ボルト)によって、シャフト2の外表面20uに固定される。第1接続部分C-1がシャフト2に固定される場合、第1接続部分C-1に作用する遠心力の少なくとも一部は、シャフト2によって支持される。よって、第1接続部分C-1が径外方向DR4に変形しにくい。これに対し、特許文献1に例示されるように、短絡片(本明細書において第1外縁部4u-1に対応する部分)と他の短絡片(本明細書において第2外縁部4u-2に対応する部分)とを接続片を介して接続する場合には、当該接続片に相対的に大きな遠心力が作用する。
【0055】
図4に記載の例では、第1板状体4-1が、第1接続部分C-1を介して、シャフト2に固定されている。よって、第1板状体4-1に作用する遠心力に起因して、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々と第1板状体4-1との間の接続部に歪が生じることが防止または抑制される。よって、当該接続部が損傷しにくい。例えば、第1ダンパーバー6g-1の各々と第1板状体4-1とが銀ロウ付けによって接続されている場合を想定する。この場合、
図4に記載の例では、第1板状体4-1に作用する遠心力に起因して、ロウ付け部分が損傷しにくい。これに対し、特許文献1に記載の例では、接続片がシャフトに固定されていない。よって、接続片および短絡片に作用する遠心力によって、短絡片とダンパーバーとの間の接続部に歪が生じやすい。
【0056】
図4に記載の例では、第1接続部分C-1は、第1磁極片30-1と第2磁極片30-2との間の領域において、シャフト2に固定されている。この場合、第1磁極片30-1と第2磁極片30-2との間の隙間を利用して、第1接続部分C-1をシャフト2に固定する作業を行うことができる。
【0057】
図5に記載の例では、第1接続部分C-1は、シャフト2の外表面20uに沿って延在する。この場合、第1接続部分C-1とシャフト2の外表面20uとを面接触させることができる。よって、第1接続部分C-1をシャフト2の外表面20uに安定的に固定することができる。
【0058】
(第1接続部分C-1)
図6に記載の例では、第1接続部分C-1は、第1板状体4-1の第1延在部4e-1から突出する第1突出部42c-1と、第2板状体4-2の第2延在部4e-2から突出する第2突出部42c-2とを含む。第1突出部42c-1は、第1板状体4-1の第1延在部4e-1から、第1磁極片30-1(必要であれば、
図4を参照。)から離れる方向に突出する。また、第2突出部42c-2は、第2板状体4-2の第2延在部4e-2から、第2磁極片30-2から離れる方向に突出する。
【0059】
第1突出部42c-1と第1延在部4e-1とは一体的に形成されてもよい。
図6に記載の例では、第1突出部42c-1と第1延在部4e-1とが、板部材を曲げ加工することにより一体的に形成されている。代替的に、第1突出部42c-1と第1延在部4e-1とが別体である場合には、第1突出部42c-1は第1延在部4e-1に取り付けられていてもよい。
【0060】
第2突出部42c-2と第2延在部4e-2とは一体的に形成されてもよい。
図6に記載の例では、第2突出部42c-2と第2延在部4e-2とは、板部材を曲げ加工することにより一体的に形成されている。代替的に、第2突出部42c-2と第2延在部4e-2とが別体である場合には、第2突出部42c-2は第2延在部4e-2に取り付けられていてもよい。
【0061】
図6に記載の例では、第1突出部42c-1および第2突出部42c-2の各々は、板形状を有する。
図7に記載の例では、第1突出部42c-1には、固定部材を挿入可能な貫通穴部4h-1が形成され、第2突出部42c-2には、当該固定部材を挿入可能な貫通穴部4h-2が形成されている。
【0062】
図5に記載の例では、第1突出部42c-1と第2突出部42c-2とが第1固定部材F-1を介して接続されている。より具体的には、第1突出部42c-1の貫通穴部4h-1および、第2突出部42c-2の貫通穴部4h-2の両方に第1固定部材F-1が挿入されることにより、第1突出部42c-1と第2突出部42c-2とが接続されている。第1固定部材F-1は、第1突出部42c-1と第2突出部42c-2とを接続し、且つ、第1突出部41c-1および第2突出部42c-2からなる第1接続部分C-1をシャフト2に固定することが好ましい。この場合、固定部材の数を少なくすることができ、回転子1を組み立てる作業を効率化することができる。
【0063】
(第1板状体4-1の第1延在部4e-1)
図8に記載の例では、第1板状体4-1の第1延在部4e-1は、第1磁極片30-1の端面E1(より具体的には、第1方向DR1側の端面)に沿って配置される主板部41e-1と、第1磁極片30-1の第1側面E2に沿って配置される第1補助板部42e-1と、を含む。
【0064】
図7に例示されるように、主板部41e-1と第1補助板部42e-1とは一体的に形成されていてもよい。
図7に記載の例では、主板部41e-1と第1補助板部42e-1とが、板部材を曲げ加工することにより一体的に形成されている。代替的に、第1補助板部42e-1は主板部41e-1に取り付けられていてもよい。
図7に記載の例では、主板部41e-1と、第1補助板部42e-1とは互いに直角に配置されている。
【0065】
図8に記載の例では、第1板状体4-1の第1延在部4e-1は、第1磁極片30-1の端部35-1(より具体的には、第1方向DR1側の端部)に固定されている。この場合、第1板状体4-1に作用する遠心力が、第1磁極片30-1の端部35-1によって支持される。よって、第1板状体4-1に作用する遠心力に起因して、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々と第1板状体4-1との間の接続部に歪が生じることが防止または抑制される。
【0066】
図8および
図9に記載の例では、回転電機用の回転子1は、第1磁極片30-1の第1方向DR1の端部に取り付けられる第1端板39-1を有する。また、第1板状体4-1の第1延在部4e-1(より具体的には、主板部41e-1)は、第1磁極片30-1と第1端板39-1とによって挟持されている。この場合、第1板状体4-1に作用する遠心力が、第1磁極片30-1および第1端板39-1によって支持される。よって、第1板状体4-1に作用する遠心力に起因して、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々と第1板状体4-1との間の接続部に歪が生じることが防止または抑制される。
【0067】
図8に記載の例では、第1端板39-1に形成された穴部39hと、第1板状体4-1(より具体的には、第1板状体4-1の第1延在部4e-1)に形成された穴部41h-1と、第1磁極片30-1に形成された穴部30h-1とに第2固定部材F-2(例えば、ボルト)が挿入される。こうして、第2固定部材F-2によって、第1磁極片30-1に、第1端板39-1および第1板状体4-1が固定される。
【0068】
図8に例示されるように、第1補助板部42e-1は、第1磁極片30-1と第1コイル91-1との間の領域に配置されていてもよい。
【0069】
図8に例示されるように、第1板状体4-1の第1延在部4e-1は、第1磁極片30-1の第2側面E3に沿って配置される第2補助板部43e-1を含んでいてもよい。
図8に記載の例では、第2補助板部43e-1は、第1磁極片30-1と第1コイル91-1との間の領域に配置されている。
【0070】
図7に例示されるように、主板部41e-1と第2補助板部43e-1とは一体的に形成されていてもよい。
図7に記載の例では、主板部41e-1と第2補助板部43e-1とが、板部材を曲げ加工することにより一体的に形成されている。代替的に、第2補助板部43e-1は主板部41e-1に取り付けられていてもよい。
図7に記載の例では、主板部41e-1と、第2補助板部43e-1とは互いに直角に配置されている。
【0071】
(他の突出部43c-1)
図7に例示されるように、制動構造体BSは、第1板状体4-1の第1延在部4e-1(より具体的には、第1延在部4e-1の第2補助板部43e-1)から突出する突出部43c-1(換言すれば、第1突出部42c-1とは別の他の突出部)を有していてもよい。
図3に記載の例において、当該他の突出部43c-1と、他の板状体(
図3に記載の例では、第4板状体4-4)から突出する突出部42c-4とは、第1板状体4-1と他の板状体(
図3に記載の例では、第4板状体4-4)とを電気的且つ機械的に接続する接続部分C-4として機能する。
【0072】
図4に記載の例では、接続部分C-4は、シャフト2に固定されている。
【0073】
図4に記載の例では、第1板状体4-1は、第1接続部分C-1を介して、第2板状体4-2およびシャフト2に固定され、他の接続部分C-4を介して、他の板状体(
図4に記載の例では、第4板状体4-4)およびシャフト2に固定されている。加えて、
図8に記載の例では、第1板状体4-1(より具体的には、第1延在部4e-1)は、第1磁極片30-1の第1方向DR1側の端部に固定されている。よって、第1板状体4-1に遠心力が作用しても、第1板状体4-1が径外方向に変形することは効果的に抑制される。このため、第1板状体4-1に作用する遠心力に起因して、複数の第1ダンパーバー6g-1の各々と第1板状体4-1との間の接続部に歪が生じることが防止または抑制される。
【0074】
図3に記載の例において、第2方向DR2側の第1板状体5-1、第1方向DR1側の第2板状体4-2、第2方向DR2側の第2板状体5-2、第1方向DR1側の第3板状体4-3、第2方向DR2側の第3板状体5-3、第1方向DR1側の第4板状体4-4、第2方向DR2側の第4板状体5-4は、それぞれ、上述の第1板状体4-1と同様の構造を有する。よって、これらの板状体(5-1、4-2、5-2、4-3、5-3、4-4、5-4)についての更なる説明は省略する。
【0075】
図3に記載の例において、第2方向DR2側の第1接続部分C’-1、第1方向DR1側の第2接続部分C-2、第2方向DR2側の第2接続部分C’-2、第1方向DR1側の第3接続部分C-3、第2方向DR2側の第3接続部分C’-3、第1方向DR1側の第4接続部分C-4、第2方向DR2側の第4接続部分C’-4は、上述の第1接続部分C-1と同様の構造を有する。よって、これらの接続部分(C’-1、C-2、C’-2、C-3、C’-3、C-4、C’-4)についての更なる説明は省略する。
【0076】
(制動構造体BS)
図3に記載の例では、第1群のダンパーバー6G-1および第2群のダンパーバー6G-2を含む複数群のダンパーバーと、第1板状体4-1および第2板状体を含む複数の板状体と、第1接続部分C-1を含む複数の接続部分とによって、かご状の制動構造体BSが形成されている。
【0077】
図10に例示されるように、シャフト2の中心軸である第1軸AXから第1磁極片30-1の最外縁J1までの距離を距離L1と定義する。
図10に記載の例では、第1接続部分C-1は、第1軸AXを中心とする半径が0.7×L1の仮想円筒R1(あるいは、第1軸AXを中心とする半径が0.6×L1の仮想円筒R2)の内側に配置されている。よって、第1接続部分C-1のサイズを小さくすることができ、第1接続部分C-1に作用する遠心力を小さくすることができる。同様に、
図10に記載の例では、第K接続部分C-Kは、第1軸AXを中心とする半径が0.7×L1の仮想円筒R1(あるいは、第1軸AXを中心とする半径が0.6×L1の仮想円筒R2)の内側に配置されている。
【0078】
図11には、制動構造体BSのうち、仮想円筒R1(すなわち、第1軸AXを中心とする半径が0.7×L1の仮想円筒R1)よりも内側の部分が図示されている。
図11に記載の例では、第1板状体4-1を含む複数の板状体(4-1、4-2、4-3、4-4)の内縁部分T1と、第1接続部分C-1を含む複数の接続部分(C-1、C-2、C-3、C-4)とからなる環状構造T(すなわち、制動構造体BSの環状構造T)が、仮想円筒R1の内側に配置されている。よって、当該環状構造Tのサイズは、特許文献1における短絡リングと比較して、顕著に小さい。
【0079】
(回転電機100)
図12は、実施形態における回転電機100の一例を模式的に示す図である。
図12に例示されるように、実施形態における回転電機100は、上述の回転電機用の回転子1に加えて、固定子巻線111が配置される固定子110を有する。回転電機100は、発電機として機能してもよいし、電動機として機能してもよい。
【0080】
回転電機100は、同期機であってもよい。なお、同期機は、定常運転時に同期速度で回転する回転子1を有し、交流電力と機械動力との間でエネルギー変換を行うか、あるいは、無効電力を調整する交流回転電気機械の総称である。
【0081】
実施形態における回転電機100は、実施形態における回転電機用の回転子1と同様の効果を奏する。また、実施形態では、回転子1の制動構造体BSが小型化および軽量化されるため、エンジン、タービン機関、モーターなどからの振動/ねじり振動の影響を受けにくい。また、第1板状体4-1などの板状体に作用する遠心力が抑制されるため、ダンパーバーと板状体との間の接続部が破損しにくい。また、大きな荷重が作用する部分が、ダンパーバーと板状体との間の接続部ではなく、ボルト等の固定部材(F-1、F-2)(
図5、
図8を参照。)によって固定される部分となるため、強度計算などが容易となる。
【0082】
本発明は上記実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の変形例にも適用可能である。さらに、実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…回転子、2…シャフト、3…磁極部、4-1…第1板状体、4-2…第2板状体、4-3…第3板状体、4-4…第4板状体、4e-1…第1延在部、4e-2…第2延在部、4e-3…第3延在部、4e-4…第4延在部、4h-1…貫通穴部、4h-2…貫通穴部、4u-1…第1外縁部、4u-2…第2外縁部、4u-3…第3外縁部、4u-4…第4外縁部、5-1…第1板状体、5-2…第2板状体、5-3…第3板状体、5-4…第4板状体、5e-1…第1延在部、5e-2…第2延在部、5e-3…第3延在部、5e-4…第4延在部、5u-1…第1外縁部、5u-2…第2外縁部、5u-3…第3外縁部、5u-4…第4外縁部、6G-1…第1群のダンパーバー、6G-2…第2群のダンパーバー、6G-3…第3群のダンパーバー、6G-4…第4群のダンパーバー、6g-1…第1ダンパーバー、6g-2…第2ダンパーバー、6g-3…第3ダンパーバー、6g-4…第4ダンパーバー、20u…外表面、21…軸部、23…被取付部、30…磁極片、30-1…第1磁極片、30-2…第2磁極片、30-3…第3磁極片、30-4…第4磁極片、30b…外縁部、30h-1…穴部、30v…溝、31-1…第1支持部、31-2…第2支持部、31-3…第3支持部、31-4…第4支持部、31a-1…基端部、31b-1…先端部、31a-2…基端部、31b-2…先端部、31a-3…基端部、31b-3…先端部、31a-4…基端部、31b-4…先端部32-1…第1頭部、32-2…第2頭部、32-3…第3頭部、32-4…第4頭部、32p-1…突出部、32p-2…突出部、32p-3…突出部、32p-4…突出部、35-1…第1磁極片の端部、39-1…第1端板、39h…穴部、41e-1…主板部、41h-1…穴部、42c-1…第1突出部、42c-2…第2突出部、42c-4…突出部、42e-1…第1補助板部、43c-1…突出部、43e-1…第2補助板部、61g-1…第1ダンパーバーの端部、61g-2…第1ダンパーバーの端部、62g-1…第2ダンパーバーの端部、62g-2…第2ダンパーバーの端部、91…回転子コイル、91-1…第1コイル、91-2…第2コイル、91-3…第3コイル、91-4…第4コイル、100…回転電機、110…固定子、111…固定子巻線、AX…第1軸、BS…制動構造体、C-1…第1接続部分、C’-1…第1接続部分、C-2…第2接続部分、C’-2…第2接続部分、C-3…第3接続部分、C’-3…第3接続部分、C-4…第4接続部分、C’-4…第4接続部分、E1…端面、E2…第1側面、E3…第2側面、F-1…第1固定部材、F-2…第2固定部材、J1…第1磁極片の最外縁、T…環状構造、T1…板状体の内縁部分
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸まわりに回転可能なシャフトと、
前記シャフトに取り付けられる磁極部と、
前記磁極部に配置される回転子コイルと、
制動構造体と
を具備し、
前記磁極部は、第1磁極片および第2磁極片を含む複数の磁極片を有し、
前記制動構造体は、
前記第1磁極片に配置された第1群のダンパーバーと、
前記第1群のダンパーバーを電気的に接続する第1板状体と、
前記第2磁極片に配置された第2群のダンパーバーと、
前記第2群のダンパーバーを電気的に接続する第2板状体と、
第1接続部分と
を含み、
前記第1板状体は、
前記第1群のダンパーバーに接続される第1外縁部と、
前記第1外縁部から前記シャフトに向かって延在する第1延在部と
を含み、
前記第2板状体は、
前記第2群のダンパーバーに接続される第2外縁部と、
前記第2外縁部から前記シャフトに向かって延在する第2延在部と
を含み、
前記第1接続部分は、前記第1延在部と前記第2延在部とを電気的且つ機械的に接続し、
前記第1接続部分は、前記第1磁極片と前記第2磁極片との間の領域において第1固定部材によって前記シャフトの外表面に固定され、
前記第1接続部分は、
前記第1板状体の前記第1延在部から突出する第1突出部と、
前記第2板状体の前記第2延在部から突出する第2突出部と
を含み、
前記第1突出部と前記第1延在部とは一体的に形成された1つの部品であり、
前記第2突出部と前記第2延在部とは一体的に形成された1つの部品である
回転電機用の回転子。
【請求項2】
前記第1板状体の前記第1延在部は、
前記第1磁極片の端面に沿って配置される主板部と、
前記第1磁極片の第1側面に沿って配置される第1補助板部と
を含む
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項3】
前記シャフトの一方側の端部から前記シャフトの他方側の端部に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記第1板状体の前記第1延在部は、前記第1磁極片の前記第1方向側の端部に固定されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項4】
前記第1軸から前記第1磁極片の最外縁までの距離を距離L1と定義するとき、前記第1板状体を含む複数の板状体の内縁部分と、前記第1接続部分を含む複数の接続部分とからなる環状構造が、前記第1軸を中心とする半径が0.7×L1の仮想円筒の内側に配置されている
請求項1に記載の回転電機用の回転子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転電機用の回転子と、
固定子巻線が配置される固定子と
を具備する
回転電機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における回転電機用の回転子は、第1軸まわりに回転可能なシャフトと、前記シャフトに取り付けられる磁極部と、前記磁極部に配置される回転子コイルと、制動構造体とを具備し、前記磁極部は、第1磁極片および第2磁極片を含む複数の磁極片を有し、前記制動構造体は、前記第1磁極片に配置された第1群のダンパーバーと、前記第1群のダンパーバーを電気的に接続する第1板状体と、前記第2磁極片に配置された第2群のダンパーバーと、前記第2群のダンパーバーを電気的に接続する第2板状体と、第1接続部分とを含み、前記第1板状体は、前記第1群のダンパーバーに接続される第1外縁部と、前記第1外縁部から前記シャフトに向かって延在する第1延在部とを含み、前記第2板状体は、前記第2群のダンパーバーに接続される第2外縁部と、前記第2外縁部から前記シャフトに向かって延在する第2延在部とを含み、前記第1接続部分は、前記第1延在部と前記第2延在部とを電気的且つ機械的に接続し、前記第1接続部分は、前記第1磁極片と前記第2磁極片との間の領域において第1固定部材によって前記シャフトの外表面に固定され、前記第1接続部分は、前記第1板状体の前記第1延在部から突出する第1突出部と、前記第2板状体の前記第2延在部から突出する第2突出部とを含み、前記第1突出部と前記第1延在部とは一体的に形成された1つの部品であり、前記第2突出部と前記第2延在部とは一体的に形成された1つの部品であることを特徴とする。