(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013463
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240125BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A01B69/00 301
A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115562
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】北岡 治正
(72)【発明者】
【氏名】新福 勇一
(72)【発明者】
【氏名】有田 英司
【テーマコード(参考)】
2B043
2B396
【Fターム(参考)】
2B043AA03
2B043BA02
2B043BB14
2B043DA17
2B043EA13
2B043EB05
2B043EB09
2B043EB17
2B043EB18
2B043EB22
2B043EB25
2B043EE01
2B043EE08
2B396JA04
2B396JC06
2B396LR02
2B396LR13
2B396MC04
2B396PA02
2B396PA12
2B396PA23
2B396PA30
2B396PC01
2B396PC07
2B396PC12
(57)【要約】
【課題】作業部と走行部との両方を操作可能な操作部を備える作業車両を提供する。
【解決手段】作業車両1は、車体101と、走行部102と、作業部200、400と、操作表示部73、74と、制御部50、80とを備える。車体101は、作業場で走行可能である。走行部102は、車体101を走行させる。作業部200、400は、作業場中の対象物に対して作業を行う。操作表示部73、74は、操作信号を出力する。制御部50、80は、操作信号に基づいて、作業部200、400及び走行部102を制御する。操作表示部73、74が走行制御画像と作業制御画像とを同時又は異なるタイミングで表示するように、制御部50、80は操作表示部73、74を制御する。走行制御画像は、走行部102を操作するための画像を含む。作業制御画像は、作業部200、400を操作するための画像を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業場で走行可能な車体と、
前記車体を走行させる走行部と、
前記作業場中の対象物に対して作業を行う作業部と、
操作信号を出力する操作表示部と、
前記操作信号に基づいて、前記作業部及び前記走行部を制御する制御部と
を備え、
前記操作表示部が走行制御画像と作業制御画像とを同時又は異なるタイミングで表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御し、
前記走行制御画像は、前記走行部を操作するための画像を含み、
前記作業制御画像は、前記作業部を操作するための画像を含む、作業車両。
【請求項2】
前記操作表示部が前記走行制御画像と前記作業制御画像とを切替えて表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御する、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記走行制御画像は、前記作業場中の前記作業車両の位置を示す情報を含み、
前記作業制御画像は、前記車体に対する前記作業部の位置又は角度を示す情報を含む、請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体は、運転座席を有するキャビンを備え、
前記操作表示部は、前記キャビンの支柱に支持される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記操作表示部は、筐体を備え、
前記制御部は、
前記車体に配置される第1制御部と、
前記筐体に配置される第2制御部と
を備え、
前記第1制御部と前記第2制御部とは、通信可能であり、
前記筐体は、前記車体に対して着脱可能である、請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記作業車両の周囲を撮影する撮影部を更に備え、
前記操作表示部が前記撮影部の撮影結果を表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御する、請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
作業場で走行可能な車体と、
前記車体を走行させる走行部と、
前記作業場中の対象物に対して作業を行う排出オーガと、
操作信号を出力する操作表示部と、
前記操作信号に基づいて、前記排出オーガ及び前記走行部を制御する制御部と
を備え、
前記車体が前記対象物の所定領域に位置したときには、前記操作表示部が作業制御画像を表示し、前記車体が前記対象物の前記所定領域外に位置したときには、前記操作表示部が走行制御画像を表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御し、
前記走行制御画像は、前記走行部を操作するための画像を含み、
前記作業制御画像は、前記排出オーガを操作するための画像を含む、作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動走行が可能なコンバインが開示されている。まず、コンバインは、手動走行での回り刈りによって圃場の外周側に作業済領域を、圃場の内周側に未作業領域を形成し、未作業領域に対して自動走行用の走行経路を算出する。続いて、コンバインは、自動走行用の走行経路のうちの自動走行開始走行経路を捕捉できる位置にいる場合に自動走行許可状態と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、コンバインのような作業車両は、コンバインを走行させるための走行用の操作部と、回り刈りを行うための作業用の操作部とが異なっている。換言すれば、走行用の操作部と作業用の操作部との2個の操作部が必要であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業部と走行部との両方を操作可能な操作部を備える作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業車両は、車体と、走行部と、作業部と、操作表示部と、制御部とを備える。前記車体は、作業場で走行可能である。前記走行部は、前記車体を走行させる。前記作業部は、前記作業場中の対象物に対して作業を行う。前記操作表示部は、操作信号を出力する。前記制御部は、前記操作信号に基づいて、前記作業部及び前記走行部を制御する。前記操作表示部が走行制御画像と作業制御画像とを同時又は異なるタイミングで表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御する。前記走行制御画像は、前記走行部を操作するための画像を含む。前記作業制御画像は、前記作業部を操作するための画像を含む。
【0007】
本発明に係る作業車両は、車体と、走行部と、排出オーガと、操作表示部と、制御部とを備える。前記車体は、作業場で走行可能である。前記走行部は、前記車体を走行させる。前記排出オーガは、前記作業場中の対象物に対して作業を行う。前記操作表示部は、操作信号を出力する。前記制御部は、前記操作信号に基づいて、前記排出オーガ及び前記走行部を制御する。前記車体が前記対象物の所定領域に位置したときには、前記操作表示部が前記作業制御画像を表示し、前記車体が前記対象物の前記所定領域外に位置したときには、前記操作表示部が走行制御画像を表示するように、前記制御部は前記操作表示部を制御する。前記走行制御画像は、前記走行部を操作するための画像を含む。前記作業制御画像は、前記排出オーガを操作するための画像を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業部と走行部との両方を操作可能な操作部を備える作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態1に係るコンバインの概要図である。
【
図2】実施形態1におけるコンバインのブロック図である。
【
図4】実施形態1における携帯通信端末の一例を示す図である。
【
図5】実施形態1における携帯通信端末のブロック図である。
【
図6】第1時間におけるコンバインの正面図である。
【
図7】第1時間におけるコンバインの平面図である。
【
図8】実施形態1における表示部に表示される作業制御画像の一例を示す図である。
【
図9】実施形態1に係るコンバインの操作方法を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態1における表示部に表示される作業制御画像の他の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態2に係る携帯通信端末のブロック図である。
【
図12】本実施形態3に係るコンバインの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
<実施形態1>
図1を参照して、本実施形態1に係るコンバイン1について説明する。
図1は、本実施形態1に係るコンバイン1の概要図である。なお、本明細書では、理解を容易にするために、前後方向、左右方向及び上下方向を記載することがある。ここで、前後方向、左右方向及び上下方向は、運転空間2aに配置された運転座席(不図示)に着座した作業者(即ち、運転者)から見た方向である。但し、説明の便宜のために前後方向、左右方向及び上下方向を定義したに過ぎず、これらの方向の定義により、本発明のコンバイン1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0012】
図1に示すように、コンバイン1は、携帯通信端末7を備える。コンバイン1は、「作業車両」の一例である。作業者は、携帯通信端末7等を用いて指示を行うことで、コンバイン1を走行させつつ、コンバイン1に農作物の収穫作業等を行わせる。
【0013】
コンバイン1は、走行機体101と、走行装置102と、刈取装置200と、排出オーガ400と、第1制御部50と、第1記憶部55と、第1通信装置16とを更に備える。走行機体101は、「車体」の一例である。走行装置102は、「走行部」の一例である。刈取装置200及び排出オーガ400の各々は、「作業部」の一例である。第1制御部50は、「制御部」の一例である。
【0014】
走行機体101は、圃場で走行可能である。圃場は、「作業場」の一例である。具体的には、走行機体101(コンバイン1)は、エンジン(不図示)を備える。エンジンは、例えば、ディーゼルエンジンである。エンジンは、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギー(動力)に変換する。
【0015】
走行装置102は、走行機体101の下方に配置されて、走行機体101を支持する。また、走行装置102は、コンバイン1を走行させる。具体的には、走行装置102は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて走行する。走行装置102は、例えば、左右一対の走行クローラ装置を含む。左右一対の走行クローラ装置は、コンバイン1を前後方向に走行させる。また、左右一対の走行クローラ装置は、コンバイン1を左右方向に旋回させる。
【0016】
刈取装置200は、走行機体101の前方に配置される。刈取装置200は、圃場中の未刈穀稈に対して作業を行う。未刈穀稈は、「対象物」の一例である。詳細には、刈取装置200は、圃場の未刈穀稈を刈り取る。刈取装置200は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて駆動する。具体的には、刈取装置200は、刈取フレーム201と、穀稈搬送装置204とを備える。
【0017】
刈取フレーム201は、走行機体101の前部に昇降自在に装着される。刈取フレーム201の下方には刈刃が配置される。刈取装置200は、圃場の未刈穀稈の株元を切断するために、刈刃を往復移動させる。穀稈搬送装置204は、刈刃によって刈り取られた刈取穀稈を脱穀装置(不図示)まで搬送する。
【0018】
排出オーガ400は、走行機体101の上部に配置される。排出オーガ400は、圃場中の対象物に対して作業を行う。詳細には、排出オーガ400は、収穫した穀粒を運搬車等へ搬送する。穀粒は、「対象物」の一例である。
【0019】
排出オーガ400は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて駆動する。具体的には、排出オーガ400は、オーガシュータ401と、アーム402とを備える。アーム402は、柱状体であり、走行機体101の上部に移動自在に装着される。アーム402の先端部にはオーガシュータ401が配置される。オーガシュータ401は、アーム402の先端部で回動自在に装着される。
【0020】
第1通信装置16は、走行機体101の上方に配置される。詳細には、第1通信装置16は、後述するキャビン2の上方に配置される。第1通信装置16は、測位アンテナ61、慣性計測装置62及び通信アンテナ63を有する。
【0021】
測位アンテナ61は、衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星からの電波(測位信号)を受信する。慣性計測装置62は、3軸の角速度センサと3方向の加速度センサとを含む。
【0022】
通信アンテナ63は、携帯通信端末7と無線通信を行うためのアンテナである。無線通信には、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)及びBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信等が採用される。また、コンバイン1には、携帯電話回線及びインターネットを利用した通信を行うための携帯通信用のアンテナ(不図示)が設けられていてもよい。
【0023】
続けて
図1及び
図2を参照して、第1制御部50について詳細に説明する。
図2は、実施形態1におけるコンバイン1のブロック図である。
図2に示すように、コンバイン1は、慣性計測装置62、位置取得部64、通信処理部65、車速センサ66、舵角センサ67、刈取センサ68及びオーガセンサ69を更に備える。
【0024】
第1記憶部55は、走行機体101内部に配置される。第1記憶部55は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置である。第1記憶部55は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)のような補助記憶装置を更に含んでもよい。第1記憶部55には、各種のプログラム及びデータ等が記憶されている。
【0025】
第1制御部50は、走行機体101に配置される。第1制御部50は、各種のプログラムを第1記憶部55から読み出して実行する。第1制御部50は、走行装置102、刈取装置200及び排出オーガ400を制御する。具体的には、第1制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。第1制御部50は、1つのハードウェアであってもよいし、互いに通信可能な複数のハードウェアであってもよい。
【0026】
第1制御部50は、操舵ハンドル、主変速レバー、各種のスイッチ及び携帯通信端末7等から出力された操作信号を受けて、操作信号の示す指示内容に従って走行装置102、刈取装置200及び排出オーガ400を制御する。
【0027】
また、第1制御部50には、慣性計測装置62、位置取得部64、通信処理部65、車速センサ66、舵角センサ67、刈取センサ68及びオーガセンサ69が接続されている。
【0028】
通信処理部65は、通信アンテナ63を介して携帯通信端末7との間でデータの送受信を行う。
【0029】
位置取得部64は、測位アンテナ61が測位衛星から受信した測位信号を用いて、コンバイン1の位置を例えば緯度及び経度の情報として取得する。位置取得部64は、図示しない基準局からの測位信号を適宜の方法で受信した上で、公知のRTK-GNSS(Real Time Kinematic GNSS)法を利用して測位を行ってもよい。基準局は、圃場周辺の既知位置に設置される。或いは、位置取得部64は、DGNSS(Differential GNSS)法を利用して測位を行ってもよい。或いは、位置取得部64は、無線LAN等の電波強度に基づく位置取得、又は、慣性計測装置62の計測結果を用いた慣性航法による位置取得等を行ってもよい。
【0030】
車速センサ66は、コンバイン1の車速を検出する。車速センサ66は、走行装置102に配置された車軸等に設けられる。車速センサ66が走行装置102の車軸に設けられた場合、車速センサ66は、車軸の回転に応じたパルスを発生させる。車速センサ66で得られた検出結果のデータは、第1制御部50へ出力される。
【0031】
舵角センサ67は、例えば、操舵ハンドルに設けられ、操舵ハンドルの舵角を検出する。舵角センサ67で得られた検出結果のデータは、第1制御部50へ出力される。
【0032】
刈取センサ68は、刈取装置200の高さ及び刈取装置200の駆動状態を検出する。刈取センサ68で得られた検出結果のデータは、第1制御部50へ出力される。
【0033】
オーガセンサ69は、排出オーガ400の駆動状態を検出する。オーガセンサ69で得られた検出結果のデータは、第1制御部50へ出力される。
【0034】
続けて
図1及び
図3を参照して、走行機体101について詳細に説明する。
図3は、実施形態1に係るキャビン2の概要図である。
図1及び
図3に示すように、走行機体101は、キャビン2を更に備える。キャビン2は箱状であり、キャビン2の内部には、作業者が運転座席に着座してコンバイン1を運転するための運転空間2aが形成されている。
【0035】
キャビン2は、運転座席と、操舵ハンドル2bと、主変速レバー2cと、支柱2dと、支持部材2eとを備える。運転空間2aには、運転座席と、操舵ハンドル2bと、主変速レバー2cと、携帯通信端末7とが配置される。操舵ハンドル2b、主変速レバー2c及び携帯通信端末7は、作業者による操作に応じた指示内容を示す操作信号を第1制御部50に出力する。
【0036】
操舵ハンドル2bは、例えば、運転座席の前方に配置される。操舵ハンドル2bは、運転座席に着座している作業者により操作されて、走行装置102が走行する向きを変化させる。作業者は、操舵ハンドル2bを操作してコンバイン1を旋回させることができる。旋回には、例えば、90度ターン(αターン)、U字ターン及びフィッシュテールターンが含まれる。
【0037】
主変速レバー2cは、例えば、運転座席(操舵ハンドル2b)の左方に配置される。主変速レバー2cは、運転座席に着座している作業者により操作されて、走行装置102の進行方向を前進と後進とに切り換える。
【0038】
また、主変速レバー2cは、各種のスイッチを有する。主変速レバー2cの各種スイッチには、例えば、扱深さを調節するためのスイッチ、刈取装置200を上昇させるためのスイッチ、刈取装置200を下降させるためのスイッチ、刈取装置200の高さを調整するためのスイッチ、及び、エンジンにおいて生成された動力を刈取装置200に伝達するか否かを切り替えるスイッチが含まれる。
【0039】
また、第1制御部50は、コンバイン1の自動走行に関する制御が可能である。自動走行とは、コンバイン1が備える第1制御部50により走行に関する装置が制御されることで、予め定められた経路に沿うように少なくとも操舵が自律的に行われることを意味する。自動走行には、コンバイン1に人が乗っている場合と、コンバイン1に人が乗っていない場合とが含まれる。また、操舵に加え、車速等が自律的に行われる構成であってもよい。
【0040】
車速を自律的に変更する場合、第1制御部50は、車速センサ66が検出する現在の車速を目標の車速に近づける制御を行う。車速の制御は、例えばミッションケース(不図示)内の変速装置の変速比又はエンジンの回転速度のうちの少なくとも一方を変更することにより実現される。なお、車速の制御は、コンバイン1が停止するように車速をゼロにする制御も含む。
【0041】
操舵を自律的に行う場合、第1制御部50は、舵角センサ67が検出する現在の舵角を目標の舵角に近づける制御を行う。舵角の制御は、例えば、操舵ハンドルの回転軸に設けられた操舵アクチュエータを駆動することにより実現される。なお、第1制御部50は、操舵アクチュエータの駆動に代えて、走行装置102の左右の走行クローラ装置のそれぞれの回転を直接調整して、走行装置102の旋回角を調整してもよい。
【0042】
第1制御部50は、携帯通信端末7を用いた作業者の操作に応じてコンバイン1を走行させる制御、刈取装置200及び排出オーガ400の動作の制御を行うことができる。
【0043】
続けて
図4及び
図5を参照して、携帯通信端末7について詳細に説明する。
図4は、実施形態1における携帯通信端末7の一例を示す図である。
図5は、実施形態1における携帯通信端末7のブロック図である。
図4及び
図5に示されるように、携帯通信端末7は、タブレット端末等である。
【0044】
携帯通信端末7は、支柱2dに支持される。詳細には、携帯通信端末7は、支柱2dに支持部材2eを介して取付けられる。また、携帯通信端末7は、走行機体101に対して着脱可能である。詳細には、携帯通信端末7は、支柱2dに対して着脱可能である。
【0045】
携帯通信端末7は、第1制御部50に操作信号を出力する。具体的には、携帯通信端末7は、筐体70、通信アンテナ71、通信処理部72、表示部73、操作部74、第2制御部80及び第2記憶部81を備える。第2制御部80は、「制御部」の一例である。表示部73及び操作部74は、「操作表示部」の一例である。
【0046】
通信アンテナ71は、コンバイン1と無線通信を行うためのアンテナである。通信処理部72は、通信アンテナ71を介してコンバイン1との間でデータの送受信を行う。具体的には、第2制御部80は、通信処理部72及び通信アンテナ71を介して、コンバイン1に設けられた各センサの検出結果等を受信可能である。
【0047】
コンバイン1は携帯電話回線に接続可能であるため、携帯通信端末7は、コンバイン1を介して携帯電話回線に接続することができる。なお、携帯通信用のアンテナ(不図示)は、コンバイン1ではなく、携帯通信端末7に設けられていてもよい。
【0048】
表示部73は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0049】
操作部74は、タッチパネル又はハードウェアキーの少なくとも一方を含む。ハードウェアキーは、携帯通信端末7の筐体の側面又は表示部73の周囲等に配置されており、作業者の指等による押圧を検出可能である。操作部74は、オートリターンセットボタン74Aと、排出クラッチボタン74Bと、オーガ操作ボタン74Cと、オーガシュータ操作ボタン74Dとを含む。また、タッチパネルは、表示部73に重ねて配置されており、作業者の指示等による操作を検出可能である。
【0050】
第2記憶部81は、筐体70に配置される。第2記憶部81は、ROM及びRAMのような主記憶装置である。第2記憶部81は、HDD又はSSDのような補助記憶装置を更に含んでもよい。第2記憶部81には、各種のプログラム及びデータ等が記憶されている。
【0051】
第2制御部80は、筐体70に配置される。第2制御部80は、図示しない演算装置を備える。演算装置は、プロセッサ又はマイクロプロセッサ等である。演算装置は、各種のプログラムを第2記憶部81から読み出して実行する。第1制御部50と第2制御部80とは、通信可能である。なお、携帯通信端末7に代えてコンバイン1が、第2制御部80を備えてもよい。
【0052】
上記のハードウェアとソフトウェアとの協働により、第2制御部80を、車両位置取得部85、表示処理部86及びオーガ位置取得部95として動作させることができる。具体的には、第2制御部80は、表示部73及び操作部74を制御する。
【0053】
実施形態1におけるコンバイン1の操作方法について説明する。
図4に示すように、表示部73には、走行制御画像MGが表示される。
【0054】
走行制御画像MGは、走行装置102を操作するための画像である。走行制御画像MGは、圃場中のコンバイン1の位置を示す情報を含む。具体的には、走行制御画像MGは、地図画像MPと、アイコンC1と、経路設定ボタン画像901Pと、スタートボタン画像902Pとを含む。地図画像MPは、圃場の周囲を示す。地図画像MPは、圃場を示す圃場画像98Pを含む。アイコンC1は、コンバイン1の位置を示す。
【0055】
携帯通信端末7の表示処理部86は、地図画像MPを取得し、地図画像MPを表示部73に表示させる。地図画像MPは、例えば、第2記憶部81に記憶されていてもよいし、携帯電話回線及びインターネットを介して携帯通信端末7外部から取得されてもよい。
【0056】
携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された位置情報を受信する。車両位置取得部85は、通信処理部72によって受信された位置情報を取得する。表示処理部86は、車両位置取得部85によって取得された位置情報に基づいて、コンバイン1の位置を特定し、アイコンC1を、表示部73の地図画像MPにおいて対応する位置に表示させる。
【0057】
なお、位置情報には、舵角センサ67又は慣性計測装置62等によって検出されたコンバイン1の向き、即ち進行方向を示す情報が含まれてもよい。また、表示処理部86は、位置情報に含まれるコンバイン1の向きに合わせて、アイコンC1の向きを変更してもよい。
【0058】
また、表示処理部86は、表示部73の地図画像MPに重ねて、又は、地図画像MPと並べて、経路設定ボタン画像901P及びスタートボタン画像902P等を表示させる。経路設定ボタン画像901Pは、コンバイン1を自動走行させる走行経路を設定するための操作ボタンである。スタートボタン画像902Pは、コンバイン1の自動走行を開始させるための操作ボタンである。
【0059】
作業者は、経路設定ボタン画像901Pを押圧した後、走行制御画像MGを観察しながら、コンバイン1の走行経路の設定を行う。作業者は、コンバイン1の走行経路の設定を行った後、スタートボタン画像902Pを押圧する。操作部74は、操作信号を第2制御部80に出力する。第2制御部80は、第1制御部50に操作信号を送信する。その結果、コンバイン1は、走行経路に沿って走行しながら、走行経路上の未刈穀稈を刈り取る。よって、作業者は、携帯通信端末7を用いてコンバイン1を適切に走行させることができる。
【0060】
次に、
図6から
図8を参照して、実施形態1におけるコンバイン1の操作方法について説明する。
図6は、第1時間におけるコンバイン1の正面図である。
図7は、第1時間におけるコンバイン1の平面図である。
図8は、実施形態1における表示部73に表示される作業制御画像DG1の一例を示す図である。
【0061】
図6及び
図7に示すように、排出オーガ400は、走行機体101に対して右上方向に沿って延びている。詳細には、アーム402は、走行機体101に対して右上方向に沿って延びている。
【0062】
図8に示すように、表示部73には、作業制御画像DG1が表示される。換言すれば、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを異なるタイミングで表示する。具体的には、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを手動により切り替えて表示する。表示部73に表示される画像は、作業者の変更操作により変更可能である。変更操作は、作業者が携帯通信端末7の操作部74に対して、表示部73に表示される画像の変更を指示する操作を示す。
【0063】
作業制御画像DG1は、排出オーガ400を操作するための画像である。作業制御画像DG1は、走行機体101に対する排出オーガ400の位置を示す情報を含む。具体的には、作業制御画像DG1は、側面図画像DGAと、平面図画像DGBとを含む。側面図画像DGAは、第1時間に側方から視たコンバイン1の状態を示す。平面図画像DGBは、第1時間に上方から視たコンバイン1の状態を示す。第1時間は、現時点を示す。
【0064】
携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された状態情報を受信する。オーガ位置取得部95は、通信処理部72によって受信された状態情報を取得する。表示処理部86は、オーガ位置取得部95によって取得された状態情報に基づいて、排出オーガ400の位置を特定し、排出オーガ画像400Gを、側面図画像DGA及び平面図画像DGBにおいて対応する位置に表示させる。
【0065】
作業者は、側面図画像DGA及び平面図画像DGBを観察しながら、オートリターンセットボタン74Aと排出クラッチボタン74Bとオーガ操作ボタン74Cとオーガシュータ操作ボタン74Dとを押圧して、アーム402の移動と、後述するオーガシュータ401の回動操作とを行う。操作部74は、操作信号を第2制御部80に出力する。第2制御部80は、第1制御部50に操作信号を送信する。その結果、アーム402は、走行機体101に対して移動する。具体的には、アーム402が走行機体101に対して右上方向に沿って延びるように、アーム402を適切に配置できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態1について説明した。実施形態1によれば、携帯通信端末7が走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを表示する。その結果、携帯通信端末7で排出オーガ400と走行装置102との両方を操作できる。よって、走行用の操作部と作業用の操作部との2個の操作部が必要でなくなる。その結果、運転空間2a中に操作部が占める空間を抑制できる。更に、作業者は、1個の操作部で排出オーガ400と走行装置102とを容易に操作できる。
【0067】
また、携帯通信端末7は、走行機体101に対して着脱可能である。その結果、作業者は、コンバイン1を遠隔操作できる。このとき、走行用の操作部と作業用の操作部との2個の操作部が必要でなくなる。よって、作業者は、1個の操作部で排出オーガ400と走行装置102とを容易に操作できる。
【0068】
また、表示部73が走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを切替えて表示するように、第2制御部80は表示部73を制御する。その結果、表示部73が走行制御画像MGを表示するときには、作業者は走行装置102の操作に集中でき、表示部73が作業制御画像DG1を表示するときには、作業者は排出オーガ400の操作に集中できる。
【0069】
また、走行制御画像MGは、圃場中のコンバイン1の位置を示す情報を含む。また、作業制御画像DG1は、走行機体101に対する排出オーガ400の位置を示す情報を含む。その結果、作業者は、排出オーガ400と走行装置102との位置を把握して、排出オーガ400と走行装置102とを、より容易に操作できる。
【0070】
携帯通信端末7は、支柱2dに支持される。その結果、作業者は、キャビン2内で排出オーガ400と走行装置102とを、より容易に操作できる。
【0071】
次に
図9を参照して、実施形態1に係るコンバイン1の操作方法について説明する。
図9は、実施形態1に係るコンバイン1の操作方法を示すフローチャートである。
【0072】
まず、ステップS101において、操作部74は、変更信号を第2制御部80に出力する。変更信号は、走行制御画像MGを表示することを示す。
【0073】
次に、ステップS102において、携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された位置情報を受信する。
【0074】
次に、ステップS103において、表示処理部86は、車両位置取得部85によって取得された位置情報に基づいて、走行制御画像MGを表示する。具体的には、走行制御画像MGは、地図画像MPと、アイコンC1と、経路設定ボタン画像901Pと、スタートボタン画像902Pとを含む。
【0075】
次に、ステップS104において、操作部74は、操作信号を第2制御部80に出力する。第2制御部80は、第1制御部50に操作信号を送信する。
【0076】
次に、ステップS105において、第1制御部50は、操作信号に基づいて、走行装置102を制御する。
【0077】
次に、ステップS106において、操作部74は、変更信号を第2制御部80に出力する。変更信号は、作業制御画像DG1を表示することを示す。
【0078】
次に、ステップS107において、携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された状態情報を受信する。
【0079】
次に、ステップS108において、表示処理部86は、状態情報に基づいて、作業制御画像DG1を表示する。具体的には、作業制御画像DG1は、側面図画像DGAと、平面図画像DGBとを含む。
【0080】
次に、ステップS109において、操作部74は、操作信号を第2制御部80に出力する。第2制御部80は、第1制御部50に操作信号を送信する。
【0081】
次に、ステップS110において、第1制御部50は、操作信号に基づいて、排出オーガ400を制御する。
【0082】
次に
図10を参照して、実施形態1におけるコンバイン1の操作方法について説明する。
図10は、実施形態1における表示部73に表示される作業制御画像の他の一例を示す図である。
【0083】
図10に示すように、表示部73には、作業制御画像DG2が表示される。換言すれば、表示部73は、走行制御画像MGと作業制御画像DG1と作業制御画像DG2とを異なるタイミングで表示する。具体的には、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1と作業制御画像DG2とを手動により切り替えて表示する。
【0084】
作業制御画像DG2は、排出オーガ400を操作するための画像である。作業制御画像DG2は、アーム402に対するオーガシュータ401の角度を示す情報を含む。具体的には、作業制御画像DG2は、側面図画像DGCを含む。側面図画像DGCは、第1時間に側方から視た排出オーガ400の状態を示す。
【0085】
携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された状態情報を受信する。オーガ位置取得部95は、通信処理部72によって受信された状態情報を取得する。表示処理部86は、オーガ位置取得部95によって取得された状態情報に基づいて、オーガシュータ401の角度を特定し、オーガシュータ画像401Gを、作業制御画像DG2において対応する角度に表示させる。
【0086】
作業者は、作業制御画像DG2を観察しながら、オートリターンセットボタン74Aと排出クラッチボタン74Bとオーガ操作ボタン74Cとオーガシュータ操作ボタン74Dとを押圧して、オーガシュータ401の回動を行う。操作部74は、操作信号を第2制御部80に出力する。第2制御部80は、第1制御部50に操作信号を送信する。その結果、オーガシュータ401は、アーム402に対して回動する。具体的には、オーガシュータ401の角度がアーム402に対して所定角度となるように、オーガシュータ401を適切に配置できる。
【0087】
<実施形態2>
図4及び
図11を参照して、本実施形態2に係るコンバイン1について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを自動により切り替えて表示する点で実施形態1と異なる。
【0088】
図11は、本実施形態2における携帯通信端末のブロック図である。
図11に示すように、第2制御部80を、車両位置取得部85、表示処理部86、オーガ位置取得部95及び切替部84として動作させることができる。具体的には、第2制御部80は、表示部73及び操作部74を制御する。
【0089】
切替部84は、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DGとを自動により切り替えて表示するように、表示部73を制御する。具体的には、所定領域AEにコンバイン1が位置したときには、表示部73が走行制御画像MGから作業制御画像DG1に切替えて表示するように、第2制御部80は表示部73を制御する。所定領域AEは、例えば、トラックTRから1m以内である領域を示す。所定領域AEの座標は、作業者によって第2記憶部81に記憶される。
【0090】
また、所定領域AE外にコンバイン1が位置したときには、表示部73が作業制御画像DG1から走行制御画像MGに切替えて表示するように、第2制御部80は表示部73を制御する。
【0091】
以上、本発明の実施形態2について説明した。実施形態2によれば、切替部84は、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1とを自動により切り替えて表示するように、表示部73を制御する。その結果、作業者は、排出オーガ400と走行装置102とを、より容易に操作できる。
【0092】
<実施形態3>
図12を参照して、本実施形態3に係るコンバイン1について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、撮影部90を備える点で実施形態1と異なる。
【0093】
図12に示すように、コンバイン1は、撮影部90を更に備える。撮影部90は、コンバイン1の周囲を撮影する。例えば、コンバイン1の後方を撮影する。撮影部90で得られた撮影結果のデータは、第1制御部50へ出力される。
【0094】
携帯通信端末7の通信処理部72は、コンバイン1から送信された撮影結果を受信する。表示部73には、撮影結果が表示される。表示部73は、走行制御画像MGと作業制御画像DG1と撮影結果とを異なるタイミングで表示する。具体的には、表示部73は走行制御画像MGと作業制御画像DG1と撮影結果とを手動により切り替えて表示する。
【0095】
以上、本発明の実施形態3について説明した。実施形態3によれば、作業者は、キャビン2内で撮影結果を観察できる。例えば、作業者は、キャビン2内でコンバイン1の後方を確認できる。
【0096】
以上、図面(
図1~
図12)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0097】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、作業車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 コンバイン(作業車両)
50 第1制御部
73 表示部(操作表示部)
74 操作部(操作表示部)
80 第2制御部
101 走行車体(車体)
102 走行装置(走行部)
200 刈取装置(作業部)
400 排出オーガ(作業部)