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特開2024-134631タイヤキャップトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134631
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】タイヤキャップトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/06 20060101AFI20240927BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240927BHJP
   C08L 57/02 20060101ALI20240927BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20240927BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240927BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08L9/06
C08K3/36
C08L57/02
C08K5/10
C08K3/22
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044918
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】伊津野 翔
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA03
3D131BA01
3D131BA02
3D131BA05
3D131BB09
3D131BC12
3D131BC15
3D131BC19
3D131BC33
4J002AC081
4J002BA012
4J002DE148
4J002DJ016
4J002EH057
4J002FD016
4J002FD018
4J002FD022
4J002FD027
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】競技用タイヤに求められる性能は多岐にわたり、特にウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性に優れることが求められる。
【解決手段】スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、およびエステル系可塑剤を5~50質量部配合したタイヤキャップトレッド用ゴム組成物によって上記課題を解決した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、
軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、および
エステル系可塑剤を5~50質量部配合したことを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記エステル系可塑剤:前記テルペン樹脂の質量比率が、1:0.5~3であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記エステル系可塑剤が、グリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
前記グリセンリン脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸モノエステルであることを特徴とする請求項3に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記スチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、さらに、酸価が30mgKOH/g以上かつ水酸基価が5mgKOH/g以上のテルペンフェノール樹脂を5~50質量部配合したことを特徴とする請求項1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
前記スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、さらに、水酸化アルミニウムを5~50質量部配合したことを特徴とする請求項1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物をキャップトレッドに使用したタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤキャップトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものであり、詳しくは、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性を同時に向上させ得るゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、競技用の空気入りタイヤでは、ドライ路面走行用タイヤとウェット路面走行用タイヤとが用意され、走行時の天候および路面の状態に応じそれぞれ最適のタイヤを選択するようにしている。ここでウェット路面走行用の競技用タイヤとしては、ウェットグリップ性能を高めるために、高比表面積のフィラー、高軟化点樹脂または液体可塑剤等の多量配合等の手段が取られている。しかし、前記高比表面積のフィラーおよび高軟化点樹脂の多量配合では、低温硬度上昇により、例えば低温時の作動性(初期グリップ性能)が低下するという課題がある。また、液体可塑剤を多量配合すると、破断強度が低下し耐摩耗性が悪化するという問題点がある。
【0003】
下記特許文献1には、スチレンブタジエンゴムの含有量が40~80質量%、ブタジエンゴムの含有量が10~35質量%であるゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、前記ゴム成分100質量部に対する含有量が10~60質量部のテルペン系樹脂とを含有し、下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物が開示されている。
(A) α/β≦3
α:スチレンブタジエンゴムのスチレン量[質量%]
β:ゴム成分100質量部に対するテルペン系樹脂の含有量[質量部]
しかし、上記のような従来技術では、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性を同時に向上させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-183010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性を同時に向上させ得るタイヤキャップトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムに、特定の特性を有するシリカおよびテルペン樹脂並びにエステル系可塑剤を特定量でもって配合したゴム組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
【0007】
すなわち本発明は、スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、およびエステル系可塑剤を5~50質量部配合したことを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物を提供するものである。
また本発明は、前記タイヤキャップトレッド用ゴム組成物をキャップトレッドに使用したタイヤを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物は、スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、およびエステル系可塑剤を5~50質量部配合したことを特徴としているので、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性を同時に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
(ゴム成分)
本発明のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物(以下、単にゴム組成物と言うことがある)で使用されるゴム成分は、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)である。本発明において、ゴム成分全体のすべてがSBRであることが好ましいが、必要に応じて通常のゴム組成物に配合できる任意のジエン系ゴム、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等を併用することもできる。
本発明で使用されるSBRは、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
また、本発明で使用されるSBRは、スチレン量が30質量%以上であるものが好ましい。このようなスチレン量を満たすことにより、タイヤのウェットグリップ性能、操縦安定性、耐摩耗性を高めることができる。さらに好ましい該スチレン量は、33~50質量%である。
【0011】
(シリカ)
本発明で使用するシリカは、窒素吸着比表面積NSAが200m/g未満である(以下特定シリカと言うことがある)。
シリカのNSAが200m/gを超えると、初期グリップ性能および耐摩耗性が悪化する。
本発明で使用するシリカのさらに好ましいNSAは、120~200m/gである。
なおNSAは、JIS K6217-2に準拠して測定するものとする。
【0012】
(テルペン樹脂)
本発明で使用されるテルペン樹脂は、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネンなどのテルペン樹脂が挙げられ、本発明の効果向上の観点から、テルペン樹脂は芳香族変性テルペン樹脂であるのが好ましい。
芳香族変性テルペン樹脂としては、例えば、前記テルペン樹脂と、フェノールを除く芳香族化合物とを重合することにより得られる。芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。当該芳香族化合物の芳香族変性テルペン樹脂中での含有量は、10~50質量%であることが好ましい。
また、本発明で使用されるテルペン樹脂の軟化点は、本発明の効果向上の観点から、60℃以上であるのが好ましく、80~170℃であるのがさらに好ましい。
【0013】
(エステル系可塑剤)
本発明に使用されるエステル系可塑剤は、例えば植物油;グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル等の脂肪酸エステル;植物油の加工品;等が挙げられる。中でも植物油の加工品から得られるものが好ましい。
【0014】
植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。
【0015】
脂肪酸エステルとしては、例えば、下記式で示される脂肪酸エステルを好適に使用できる。
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、R11は、炭素数1~8の直鎖若しくは分枝状アルキル基、炭素数1~8の直鎖若しくは分枝状アルケニル基、又は1~5個のヒドロキシル基で置換された炭素数2~6の直鎖又は分枝状アルキル基を表す。R12は、炭素数11~21のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
【0018】
11としては、メチル基、エチル基、2-エチルヘキシル基、イソプロピル基、オクチル基、これらの基が1~5個のヒドロキシル基で置換された基、等が挙げられる。R12としては、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基等の直鎖又は分岐状アルキル基、アルケニル基が挙げられる。
【0019】
脂肪酸エステルとしては、オレイン酸アルキル、ステアリン酸アルキル、リノール酸アルキル、パルミチン酸アルキル等が挙げられる。なかでも、オレイン酸アルキル(オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸オクチル等)が好ましい。この場合、脂肪酸エステル100質量%中のオレイン酸アルキルの含有量は、80質量%以上が好ましい。
【0020】
脂肪酸エステルとしては、脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸等)と、アルコール(エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール、イノシトール等)との脂肪酸モノエステル及び脂肪酸ジエステル等も挙げられる。中でも、グリセリン脂肪酸エステルが好ましく、グリセリン脂肪酸モノエステルがさらに好ましい。脂肪酸としては、とくにオレイン酸が好ましい。この場合、脂肪酸モノエステル及び脂肪酸ジエステルの合計量100質量%中のオレイン酸モノエステルの含有量は、80質量%以上が好ましい。さらに変性物としたものが特に好ましい。
【0021】
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、SBR100質量部に対し、前記特定シリカを120~200質量部、軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、およびエステル系可塑剤を5~50質量部配合したことを特徴とする。
前記特定シリカの配合量が120質量部未満であると、各グリップ性能が低下し、逆に200質量部を超えると耐摩耗性が低下する。
前記テルペン樹脂の配合量が15質量部未満であると配合量が少なすぎて本発明の効果を奏することができず、逆に80質量部を超えると初期グリップ性能が低下する。
前記エステル系可塑剤の配合量が5質量部未満であると配合量が少なすぎて本発明の効果を奏することができず、逆に50質量部を超えると各グリップ性能が低下する。
【0022】
前記特定シリカの配合量は、SBR100質量部に対し、120~160質量部が好ましい。
前記テルペン樹脂の配合量は、SBR100質量部に対し、30~80質量部が好ましい。
前記エステル系可塑剤の配合量は、SBR100質量部に対し、10~40質量部が好ましい。
【0023】
ここで、前記エステル系可塑剤と前記テルペン樹脂と質量比率は、前者を1としたときに後者が1:0.5~3であることが好ましい。この配合比によれば、環境対応の観点から液体可塑剤としてバイオマスオイルを使用したときに、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性の向上が図れる。
前記エステル系可塑剤:前記テルペン樹脂の質量比率は、1:1~2.5であることがさらに好ましい。
【0024】
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤;樹脂;硬化剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0025】
(テルペンフェノール樹脂)
本発明のゴム組成物は、効果向上の観点から、酸価が30mgKOH/g以上かつ水酸基価が5mgKOH/g以上のテルペンフェノール樹脂を配合するのが好ましい。
テルペンフェノール樹脂は、テルペン化合物とフェノールとを反応させて得られ、公知であり、本発明では前記酸価および水酸基価の条件を満たす限り、任意のテルペンフェノール樹脂を使用することができる。なお、上記で説明した芳香族テルペン樹脂は、テルペン化合物とフェノール以外の芳香族化合物との重合物であり、上記テルペンフェノール樹脂とは区別される。
前記テルペンフェノール樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであるのがさらに好ましく、水酸基価は、10~100mgKOH/gであるのがさらに好ましい。
また、本発明で使用するテルペンフェノール樹脂の軟化点は85~180℃が好ましい。
【0026】
テルペンフェノール樹脂の配合量は、SBR100質量部に対し、5~50質量部であるのが好ましく、10~40質量部であることがさらに好ましい。
【0027】
なお本明細書において、酸価および水酸基価は、JIS K 0070:1992に準拠して測定することができる。また軟化点は、JIS K 6220-1:2001に準拠して測定することができる。
【0028】
(水酸化アルミニウム)
本発明のゴム組成物は、効果向上の観点から、水酸化アルミニウムを配合するのが好ましい。水酸化アルミニウムの配合量は、前記スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、例えば5~50質量部、好ましくは10~40質量部配合するのがよい。
【0029】
本発明のゴム組成物は、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性を同時に向上させ得ることから、タイヤのトレッド、とくにキャップトレッド、好ましくは競技用タイヤのトレッド、とくにキャップトレッドに好適に用いられ得る。また本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0031】
標準例、実施例1~6、比較例1~3
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で150℃で30分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0032】
硬度(20℃):JIS K6253に準拠して20℃にて測定した。結果は、標準例を100として指数表示した。指数が小さいほど、初期グリップ性能に優れることを示す。
【0033】
ウェットグリップ性能:JIS K6394に基づき、株式会社東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪=10%、振幅=±2%、周波数=20Hzの条件下でtanδ(0℃)を測定し、この値をもってウェットグリップ性能を評価した。結果は、標準例を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能が良好であることを示す。
【0034】
M300:JIS K6251に準拠して、20℃における300%モジュラス(M300)を測定した。結果は、標準例を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
【0035】
結果を表1に併せて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
*1:SBR-1(日本ゼオン株式会社製 Nipol 1739、スチレン量=40質量%、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部。)
*2:SBR-2(日本ゼオン株式会社製 Nipol 1723、スチレン量=23質量%、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*3:カーボンブラック(東海カーボン株式会社製シースト9、N2SA=142m2/g)
*4:水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製BF013)
*5:シリカ-1(EVONIK社製ULTRASIL 9100GR、N2SA=237m2/g)
*6:シリカ-2(EVONIK社製ULTRASIL 7000GR、N2SA=176m2/g)
*7:樹脂-1(ヤスハラケミカル株式会社製YSレジンTO-125、芳香族変性テルペン樹脂、軟化点=125℃)
*8:樹脂-2(荒川化学工業株式会社製タマノル803L、テルペンフェノール樹脂、酸価 =50mg KOH/g、水酸基価=15mgKOH/g)
*9:オイル(昭和シェル石油社製エキストラクト4号S、Tg=-41℃)
*10:エステル系可塑剤(H&R社製Pionier TP130B、高オレイン酸ヒマワリ油のグリセンリン脂肪酸モノエステル、Tg=-110℃)
*11:シランカップリング剤(EVONIK社製Si69)
*12:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*13:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*14:老化防止剤(フレキシス社製6PPD)
*15:加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ-G)
*16:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
【0038】
表1の結果から、実施例1~6のゴム組成物は、スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、およびエステル系可塑剤を5~50質量部配合したので、標準例に対し、ウェットグリップ性能、初期グリップ性能および耐摩耗性が同時に向上している。
一方、比較例1は、SBRのスチレン量が本発明で規定する下限未満であり、エステル系可塑剤以外の可塑剤を使用しているので、ウェットグリップ性能および耐摩耗性が悪化した。
比較例2は、シリカの窒素吸着比表面積(NSA)が200m/gを超え、エステル系可塑剤以外の可塑剤を使用しているので、初期グリップ性能および耐摩耗性が悪化した。
比較例3は、エステル系可塑剤以外の可塑剤を使用したため、初期グリップ性能が悪化した。
【0039】
本発明は、下記形態を包含する。
実施形態1:
スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が200m/g未満のシリカを120~200質量部、
軟化点が60℃以上のテルペン樹脂を15~80質量部、および
エステル系可塑剤を5~50質量部配合したことを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態2:
前記エステル系可塑剤:前記テルペン樹脂の質量比率が、1:0.5~3であることを特徴とする実施形態1に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態3:
前記エステル系可塑剤が、グリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする実施形態1または2に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態4:
前記グリセンリン脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸モノエステルであることを特徴とする実施形態3に記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態5:
前記スチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、さらに、酸価が30mgKOH/g以上かつ水酸基価が5mgKOH/g以上のテルペンフェノール樹脂を5~50質量部配合したことを特徴とする実施形態1~4のいずれかに記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態6:
前記スチレン量が30質量%以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、さらに、水酸化アルミニウムを5~50質量部配合したことを特徴とする実施形態1~5のいずれかに記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
実施形態7:
実施形態1~6のいずれかに記載のタイヤキャップトレッド用ゴム組成物をキャップトレッドに使用したタイヤ。