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特開2024-134633情報処理装置および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134633
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044922
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟田 恵吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹基
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF05
5H181FF10
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】 交通に関する有益な情報を適切に収集することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 交通に関する情報である交通情報を座標とともに取得する情報取得部と、情報取得部により取得された交通情報を座標と対応付けて格納する交通情報格納部と、を備える。さらに、交通情報格納部に格納された交通情報を、座標を地図上に示す地図情報に対応付けて出力する出力部を備えてもよい。情報取得部は、端末から送信された交通情報を端末の位置情報とともに取得してもよい。座標は、位置情報であってもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通に関する情報である交通情報を座標とともに取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記交通情報を前記座標と対応付けて格納する交通情報格納部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記交通情報格納部に格納された前記交通情報を、前記座標を地図上に示す地図情報に対応付けて出力する出力部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、端末から送信された前記交通情報を前記端末の位置情報とともに取得し、
前記座標は、前記位置情報である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記交通情報には、前記交通情報を発信した者の属性が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記交通情報は、前記座標近傍における車道の横断に関する情報である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記交通情報は、前記座標の近傍における交通に関する要望を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置と、端末と、を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
交通に関する情報である交通情報を座標とともに取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記交通情報を前記座標と対応付けて格納する交通情報格納部と、
を備え、
前記端末は、前記端末の位置情報に対応付けて前記交通情報を送信し、
前記情報取得部は、前記端末により送信された前記交通情報を前記座標としての前記位置情報に対応付けて取得する、情報処理システム。
【請求項8】
状態制御装置と、情報処理装置と、を備える情報処理システムであって、
前記状態制御装置は、
交通に関する情報である交通情報を座標とともに取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記交通情報に応じて、所定の場所で歩行者が車道を横断可能な状態とする状態制御部と、
前記車道が横断可能な状態となっていることを交通に係る対象に通知する状態通知部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記情報取得部により取得された前記交通情報を前記座標と対応付けて格納する交通情報格納部を備える、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交通計画案における交通経路上の交通量に基づいて、最適な交通計画案を選択することができる交通流管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-031796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、交通計画や道路計画の立案にあたっては、例えば、交通インフラを利用する者から提供される要望などの情報を、これに反映させることも必要である。また、意見を積極的に述べることができる者であれば従来の方法で市民の声を聞くことが可能だが、従来の方法では大多数の声なき声は収集できない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、交通に関する有益な情報を適切に収集することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、
交通に関する情報である交通情報を座標とともに取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記交通情報を前記座標と対応付けて格納する交通情報格納部と、
を備える情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、交通に関する有益な情報を適切に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
図2】携帯端末から送信される送信情報のデータ構成を例示する図である。
図2A】携帯端末から送信される送信情報のデータ構成を例示する図である。
図3】交通情報格納部に格納された要望情報(図2)の内容を例示する図である。
図4】交通情報格納部に格納された要望情報(図2A)の内容を例示する図である。
図5】本実施例の情報処理システムのうち、状態制御に係る構成を示す図である。
図6】路側装置の構成例を示す図である。
図7】路側装置の設置状況を例示する図である。
図8】領域の周辺における公共交通機関の運行状況などをマップにより模式的に示す図である。
図9】状態制御部における処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施例)
図1は、本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理装置10は、交通に関する情報である交通情報を携帯端末30の位置情報とともに取得する情報取得部11と、情報取得部11により取得された交通情報を上記位置情報が示す座標と対応付けて格納する交通情報格納部12と、交通情報格納部12に格納された交通情報を、上記座標が示される地図情報に対応付けて出力する出力部13と、地図情報を格納する地図情報格納部14と、を備える。
【0012】
携帯端末30と情報処理装置10とは、互いに通信回線を介して接続される。通信回線の構成は任意であり、情報処理装置10の実装態様や設置場所に応じて適宜、選択される。
【0013】
情報処理装置10の構成は任意であるが、例えば、携帯端末30との間で通信可能な単一のまたは複数のサーバとして構成してもよい。
【0014】
携帯端末30には、携帯端末30を情報処理装置10が含まれる情報処理システムにおける端末として機能させるためのプログラム(アプリケーション)が実装される。このようなアプリケーションは、例えば、行政側から提示され、携帯端末30のユーザが自由に実装可能なものとしてユーザに提供されてもよい。また、アプリケーションの実装とともに、ユーザIDと、ユーザIDに対応付けられたユーザの属性(後述の属性情報)とが、携帯端末30に登録される。アプリケーションは、後述の要望情報をユーザが容易に設定できるよう構成されることが望ましい。
【0015】
次に、情報処理装置10の動作について説明する。
【0016】
情報処理装置10の情報取得部11は、携帯端末30から送信された交通情報を上記の通信回線を介して取得する。取得された交通情報は、交通情報格納部12に格納される。
【0017】
図2および図2Aは、携帯端末30から送信される送信情報のデータ構成を例示する図である。
【0018】
図2の例では、送信情報は、上記のユーザIDと、ユーザにより指定された座標を示す位置情報と、座標を指定したときの時刻を示す時刻情報と、当該座標に対応付けられた交通情報とを含む。
【0019】
交通情報は、交通情報を発信した者としての、携帯端末30のユーザの属性を示す属性情報と、要望情報とを含む。
【0020】
属性情報には、ユーザの年齢、ユーザの身体的障害に関する情報(例えば、車椅子、白杖、補聴器、盲導犬等を使用していること)を含めることができる。
【0021】
要望情報は、ユーザが指定した場所に対応する要望を特定する情報である。要望情報の内容は任意であるが、以下のような要望情報が例示される。
【0022】
例えば、歩行者であるユーザは、指定した場所での横断歩道の設置を要望する場合、この要望を要望情報として設定できる。同様に、ユーザは指定した場所での信号機の設置、バスの停留所の設置、タクシー乗り場の設置、信号の待機時間の短縮、踏切での待機時間の短縮、歩道の整備、自転車や電動キックボードの通行帯の接地希望、ガードレール等安全設備の設置などの要望を要望情報として設定できる。
【0023】
また、例えば、公共交通手段(バス、タクシーなど)を利用するユーザは、バスの本数の増加、バスの混雑の緩和、待ち時間の短縮、停留所や乗り場の整備などの要望を要望情報として設定できる。
【0024】
また、例えば、自動車を利用するユーザは、道路の整備、道路混雑の緩和などの要望を要望情報として設定できる。また、自動車を利用するユーザからは、踏切や信号の待ち時間について、歩行者と同様に受付可能とされてよい。また、ドライバーの目線から自転車や電動キックボードなど自動車と速度差のある交通手段との通行帯の分離を希望することも可能とされてよい。
【0025】
携帯端末30のユーザは、上記のアプリケーションが起動している状態において、例えば、以下の手順で、図2に示す送信情報を情報処理装置10に向けて送信することができる。
【0026】
まず、徒歩または交通手段により移動中のユーザは、交通インフラに関連する要望がある場合に、当該要望に対応する場所で携帯端末30に対して所定の操作を行う。これにより、その操作の時点における時刻情報と携帯端末30の位置情報とがユーザにより指定され、携帯端末30に保存される。また、携帯端末30に対するユーザの所定の操作により、上記の要望情報が設定され、携帯端末30に保存される。さらに、ユーザが携帯端末30に対して所定の送信操作を実行すると、保存されている位置情報、時刻情報および交通情報(属性情報、要望情報)が、ユーザIDとともに携帯端末30から情報処理装置10に送信され、情報取得部11により取得される。さらに、ユーザID、位置情報、時刻情報および交通情報は、互いに対応付けられて交通情報格納部12に格納される。
【0027】
図3は、交通情報格納部に格納された要望情報(図2)の内容を例示する図である。
【0028】
図3では、多数のユーザの要望情報のうち、道路50(例えば、幹線道路)に横断歩道の設置を要望するものの集計結果を、地図情報上に示している。図3の「×」は、要望情報に対応付けられた位置情報(座標)の位置に対応する。
【0029】
一方、図2Aの例では、送信情報は、上記のユーザIDと、ユーザの移動経路を示す経路情報と、当該経路情報に対応付けられた交通情報とを含む。交通情報には、携帯端末30のユーザの属性を示す属性情報が格納される。移動経路を記録することにより、ユーザの声なき声を収集することになる。すなわち、いつどの場所でどのような属性のユーザが、例えば、幹線道路を回り道をして横断したかわかる。出発地(経由地)から回り道をした先で滞在した場所との位置関係からどこに横断歩道を付けたらよいかを推測することが可能となる。また小学生や園児の通学路を知ることも可能で、通学路の安全対策も可能となる。
【0030】
図2Aの例において、経路情報は、ユーザの移動に伴って逐次、保存される位置情報と、その位置情報に対応する時刻情報の集合として規定される。
【0031】
携帯端末30のユーザは、上記のアプリケーションが起動している状態において、例えば、以下の手順で、図2Aに示す送信情報を情報処理装置10に向けて送信することができる。
【0032】
ユーザが徒歩または交通手段により移動を開始すると、自動的に、あるいはユーザの指示に従って、携帯端末30は、例えば、一定の時間間隔で、時刻情報と携帯端末30の位置情報とを互いに対応付けて携帯端末30に保存する。位置情報が示す座標の変化が停止し、または変化量が小さくなると、上記のアプリケーションは、ユーザの移動が終了したと判断し、保存されている経路情報(位置情報、時刻情報)および交通情報(属性情報)を、ユーザIDとともに携帯端末30から情報処理装置10に送信する。このことによって、ユーザの操作によらず情報の区切り(交通用語でトリップ)を自動保存し、声なき声を取得することが容易となる。また、ユーザ端末に保存されたデータはユーザの指示によって情報処理装置に送信することを先述したが、ユーザの指示によらず所定のタイミングで送信されるようにしてもよい。更にまた、ユーザ端末(携帯端末30)に蓄積された情報の中からどの情報を送るか/送らないかをユーザが選択できるようにしてよい。そうすることで、無駄な要望の排除や、プライバシーの保護を図ることができる。
なお、送信されたユーザID、位置情報および時刻情報は、経路情報として情報取得部11により取得される。これらのユーザID、経路情報および交通情報は、互いに対応付けられて交通情報格納部12に格納される。
【0033】
経路情報には、位置情報と時刻情報とが対応付けて格納される。したがって、経路情報は、ユーザの移動速度も提示している。このため、その移動速度と経路とに基づいて、ユーザが徒歩で移動したのか、自転車で移動したのか、あるいはバスを利用したのかなど、経路の部分ごとに予測できる。また、バスの待ち時間や横断歩道における信号の待機時間なども予測できる。
【0034】
図4は、交通情報格納部に格納された要望情報(図2A)の内容を例示する図である。
【0035】
図4では、道路50を横断したユーザの経路55を、地図情報上に実線で示している。図4の例では、スタート地点P0から始まる経路55は、信号の設置された交差点52の横断歩道を経て、目的地P1に到達している。実際には、このような経路55を示す経路情報が、多数、交通情報格納部12に格納されうる。
【0036】
本実施例によれば、交通情報格納部12に格納された交通情報を交通計画、道路計画や都市計画などに有効に利用できる。
【0037】
例えば、本実施例では、経路情報が属性情報と対応付けて蓄積(図2A)され、地図情報として出力される。このため、どのような年齢層の人がどの様な手段(徒歩、自転車、車など)でどこ(歩道か車道か)を移動したのかが分かる。したがって、例えば、「歩道を広くした方がよい」、「歩車道分離の安全対策をした方がよい」、「公共交通の整備が必要」、「信号の現示をどうしたらよいか」などの判断に有用な情報となる。
【0038】
また、例えば、図3および図4に示すように、交通情報格納部12に格納された交通情報が、地図情報格納部14に格納された地図情報に対応付けられて出力部13から出力される。道路50に横断歩道を設け、あるいは高架橋を設ける場合に、どの地点にそれを設置すべきかを、地図上で判断することができる。
【0039】
したがって、例えば、交通計画、道路計画や都市計画などの立案において、このような地図情報を有効に活用できる。
【0040】
また、交通情報格納部12に格納された交通情報自体を、例えば、交通計画、道路計画や都市計画を担当する機関等に提供することができる。この場合には、例えば、当該機関等で管理された地図情報と、提供された交通情報とを組み合わせることにより、図3および図4に示すような視覚的に分りやすい情報(地図情報)を得ることができる。
【0041】
このように、本実施例によれば、交通に関する有益な情報(交通情報)を適切に収集し、これを有効に活用することができる。
【0042】
(第2の実施例)
本実施例は、後述する状態制御装置60と、図1図2Aに示した情報処理装置10と、を備える情報処理システムを開示する。
【0043】
本実施例の情報処理システムでは、状態制御装置60の情報取得部61により取得され、記憶部64に蓄積された交通情報を、情報処理装置10の情報取得部11が取得する。この場合、情報取得部11により取得された交通情報は、第1の実施例で開示したように、交通に関する有益な情報として活用することができる。
【0044】
図5は、本実施例の情報処理システムのうち、状態制御に係る構成を示す図である。
【0045】
図5に示すように、本実施例の情報処理システムは、状態制御装置60と、車道の近傍に設置された路側装置70と、歩行者等が使用する携帯端末30と、を含んで構成される。
【0046】
状態制御装置60と路側装置70は、互いに通信回線を介して接続される。通信回線の構成は任意であり、状態制御装置60および路側装置70の実装態様や設置場所に応じて適宜、選択される。
【0047】
状態制御装置60と携帯端末30も、互いに通信回線を介して接続される。通信回線の構成は任意であり、状態制御装置60の実装態様や設置場所に応じて適宜、選択される。
【0048】
携帯端末30には、携帯端末30を本実施例の情報処理システムにおける端末として機能させるためのプログラム(アプリケーション)が実装される。
【0049】
図5に示すように、状態制御装置60は、交通情報を取得する情報取得部61と、情報取得部61により取得された交通情報に応じて、領域51で歩行者が車道を横断可能な状態とする状態制御部62と、車道が横断可能な状態となっていることを交通に係る対象に通知する状態通知部63と、状態制御装置60において使用されるデータおよび状態制御装置60における処理により生成されるデータを記憶する記憶部64と、を備える。
【0050】
状態制御装置60の構成は任意であるが、例えば、路側装置70および携帯端末30との間で通信可能な単一のまたは複数のサーバとして構成してもよい。また、状態制御装置60と路側装置70とを一体の装置として構成してもよい。
【0051】
図6は、路側装置の構成例を示す図である。
【0052】
図6の例では、路側装置70は、歩行者80が車道を横断可能となっていることなどの領域51に係る状態を表示する表示部71と、領域51に係る状態を歩行者80に音声で伝える音声出力部71Aと、車道や歩道の様子を撮影するカメラ72と、カメラ72の映像に基づく画像認識処理を実行する画像認識装置73と、車両との間での通信を行う路側通信部74と、表示部71、カメラ72、画像認識装置73および路側通信部74を制御する制御部75と、を備える。なお、カメラ72に代えて、またはカメラ72に加えて、赤外線センサやレーダーを用いたセンサを使用してもよい。
【0053】
図7は、路側装置の設置状況を例示する図である。
【0054】
図7において道路50が左右方向に延びており、歩行者80が横断可能とされる領域51が道路50の一部に設定されている。領域51において路面には、横断歩道の表示はなく、領域51における歩行者80の横断が禁止されている状態においては、車両は領域51を通過することができる。路側装置70は、このような領域51ごとに設置される。例えば、図7の例では、路側装置70の表示部71、音声出力部71Aおよびカメラ72が、領域51の近傍に設けられる様子が示されている。
【0055】
次に、状態制御に係る情報処理システムの動作について説明する。
【0056】
状態制御装置60の情報取得部61は、交通情報を取得する。取得された交通情報は、適宜、履歴データとして記憶部64に格納される。
【0057】
交通情報には、路側装置70のカメラ72により撮影された撮影画像に基づく画像認識情報が含まれる。カメラ72により撮影された画像は、画像認識装置73による画像認識の対象となり、画像認識の結果(画像認識情報)が路側装置70から状態制御装置60に送信され情報取得部61により取得される。
【0058】
画像認識情報には、歩行者80に関する歩行者情報が含まれる。画像認識装置73によれば、カメラ72で撮影された各歩行者80の場所、動きが解析され、必要な情報を生成し、情報取得部61に与えることできる。これにより、例えば、情報取得部61は、領域51の近傍において、道路50を横断するために待機している歩行者80の人数や、各歩行者80の待機時間を取得することができる。また、カメラ72で撮影された歩行者80の状況を画像認識装置73で認識し、認識結果を情報取得部61に取得させてもよい。例えば、歩行者80の状況として、領域51に接近してくる歩行者80の歩行速度や姿勢、車椅子の利用、歩行者80が子どもであることなどが含まれる。
【0059】
画像認識情報には、カメラ72により撮影された、道路50を走行する車両に関する車両情報が含まれる。この車両情報には、カメラ72により撮影された車両の速度、車両の台数(単位時間当たりに領域51を通過した台数)、車両の属性情報(例えば、バス等の公共交通機関の車両、大型車、小型車、自動二輪車)などが含まれる。
【0060】
また、情報取得部61は、交通情報として、路側装置70の路側通信部74を介して得られる車両情報を取得することができる。例えば、自動運転制御、その他の目的で、道路50を通行する車両が自らの車両情報を送信可能とされている場合には、車両から送信される車両情報(位置情報、車速情報、車両の属性情報等)を路側通信部74で受信し、状態制御装置60に転送することができる。この場合、情報取得部61は、転送された車両情報を交通情報として利用することができる。
【0061】
また、情報取得部61は、歩行者80が所持する携帯端末30から送信される情報を交通に関連する情報として取得することができる。例えば、携帯端末30および路側通信部74を互いに直接通信可能な通信端末として機能させることにより、携帯端末30からの情報を、路側装置70を介して状態制御装置60の情報取得部61に転送することができる。また、携帯端末30からの情報を路側装置70を介さずに状態制御装置60の情報取得部11に送信してもよい。
【0062】
携帯端末30から送信される情報には、携帯端末30を所持する歩行者80に係る歩行者情報が含まれる。また、歩行者情報として、歩行者情報の送信時刻、携帯端末30の現在位置(座標)を示す位置情報などを含めることができる。
【0063】
例えば、歩行者80が領域51の近傍で、あらかじめ所定のアプリケーションが実装された携帯端末30の保持者である歩行者80が携帯端末30を操作して歩行者情報を送信すると、その歩行者情報が情報取得部61により取得される。この場合、歩行者情報には、送信時刻と、携帯端末30の座標を示す位置情報と、位置情報が示す携帯端末30の近傍、すなわち領域51において道路50を横断することを望む意思を示す情報とが含まれてもよい。歩行者80が領域51の近傍で携帯端末30に対し簡単な操作を行うだけで、必要な歩行者情報のすべて(道路50を横断することを望む意思を示す情報を含む)が送信されるようなアプリケーションが実装されることが望ましい。このようなアプリケーションは、例えば、行政側から提示され、携帯端末30のユーザ(保持者)が自由に実装可能なものとしてユーザに提供されてもよい。
また、ここでは歩行者80を前提としているが、先述した通り、移動経路や移動速度によって、ユーザが自転車や自動車を利用中と判定された場合は、ユーザの交通情報は、自転車利用又は自動車利用のデータとして取り扱われてよい。
【0064】
携帯端末30から送信される歩行者情報として、携帯端末30のユーザの属性が含まれてもよい。当該属性は、ユーザの年齢(学童児であること、高齢者であることなど)、ユーザの運動機能に関する情報(例えば、歩行速度、車椅子を使用していること)などを示すものでもよい。当該属性は、ユーザが子どもや高齢者、障害を有する者を同伴していることを示すものでもよい。当該ユーザは、ユーザIDに対応付けられてあらかじめ登録され、携帯端末30から送信される情報(歩行者情報)としては、ユーザIDであってもよい。
【0065】
携帯端末30の保持者は、歩行者80に限定されない。例えば、通学路上で児童の安全確保を担う学童擁護員が携帯端末30を使用してもよい。この場合、携帯端末30は、学童擁護員が職務上でのみ使用する専用の端末としてもよい。また、携帯端末30は、警官や、交通整理、道路工事等に係る職務を行う者が職務遂行時に携帯する端末であってもよい。
【0066】
情報取得部61は、外部からの交通情報(図1)を取得してもよい。例えば、領域51の周辺の道路の渋滞情報、工事情報、事故情報、領域51の周辺における公共交通機関の運行状況などを情報取得部61により取得することができる。
【0067】
図8は、領域の周辺における公共交通機関の運行状況などをマップにより模式的に示す図である。図8に示すマップでは、領域51と、道路50と道路50Aが交わる交差点52とが示されている。図8の例においては、例えば、情報取得部61は、横断歩道を備える交差点52に設置された信号機の点灯状態をリアルタイムに取得してもよい。また、情報取得部61は、外部からの交通情報として、矢印53により渋滞の発生場所と渋滞している通行方向とが示される渋滞情報を取得することができる。
【0068】
また、外部から取得される交通情報として、領域51の周辺の学校の徒歩通学に関連する情報、例えば、臨時休校、通学時間帯の変更などに関する情報を含むことができる。さらに、外部から取得される交通情報として、領域51の周辺で行われるイベントに関する情報を含めることができる。
【0069】
交通情報として、記憶部64に格納された履歴データを使用することができる。履歴データは、状態制御装置60の動作に伴って蓄積された履歴データに限定されず、あらかじめ用意された、あるいは適時、更新される履歴データであってもよい。履歴データには、曜日、季節、天候ごとの車両の交通量や、歩行者の数の変動の傾向を示すデータが含まれてもよい。
【0070】
さらに、状態通知部63から車両への通知(後述)に対する車両からの返信情報(後述)を車両情報として使用することも可能である。
【0071】
状態制御装置60の状態制御部62は、情報取得部61により取得された交通情報に応じて、領域51において歩行者80が道路50を横断可能な状態とするか否か判断する。
【0072】
図9は、状態制御部における処理を例示するフローチャートである。この処理は、例えば、状態制御装置60の起動処理後に開始される。処理の開始時において、状態制御部62は、領域51に係る制御状態を、歩行者が領域51において道路50を横断することを禁止する状態(横断禁止状態)、すなわち、領域51を車両が走行できる状態に設定している。
【0073】
図9のステップS102では、状態制御部62は、情報取得部61により取得され、記憶部64に格納された交通情報を取得する。
【0074】
ステップS104では、状態制御部62は、ステップS102で取得された交通情報に基づいて、領域51で道路50を横断する意思を有する歩行者80がいるか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS106へ進め、判断が否定されれば処理をステップS102へ進める。
【0075】
ステップS106では、状態制御部62は、記憶部64にアクセスし、交通情報(状態制御部62が取得している交通情報)を更新する。
【0076】
ステップS108では、状態制御部62は、ステップS106で更新された交通情報に基づいて、領域51での横断が可能となる旨を予告すべきタイミングが到来したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS110へ進め、判断が否定されれば処理をステップS106へ進める。
【0077】
ステップS110では、状態制御部62は、領域51に係る制御状態を、領域51での横断が可能となる旨を予告する状態(横断予告状態)に設定する。
【0078】
ステップS112では、状態制御部62は、記憶部64にアクセスし、交通情報(状態制御部62が取得している交通情報)を更新する。
【0079】
ステップS114では、状態制御部62は、ステップS112で更新された交通情報に基づいて、領域51での横断を可能とするタイミングが到来したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS116へ進め、判断が否定されれば処理をステップS112へ進める。
【0080】
ステップS116では、状態制御部62は、領域51に係る制御状態を、領域51での横断が可能な状態(横断可能状態)に設定する。
【0081】
ステップS118では、状態制御部62は、記憶部64にアクセスし、交通情報(状態制御部62が取得している交通情報)を更新する。
【0082】
ステップS120では、状態制御部62は、ステップS118で更新された交通情報に基づいて、領域51での横断の終了を予告すべきタイミングが到来したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS122へ進め、判断が否定されれば処理をステップS118へ進める。
【0083】
ステップS122では、状態制御部62は、領域51に係る制御状態を、領域51での横断の禁止を予告する状態(禁止予告状態)に設定する。
【0084】
ステップS124では、状態制御部62は、記憶部64にアクセスし、交通情報(状態制御部62が取得している交通情報)を更新する。
【0085】
ステップS126では、状態制御部62は、ステップS124で更新された交通情報に基づいて、領域51での横断を禁止するタイミングが到来したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS128へ進め、判断が否定されれば処理をステップS124へ進める。
【0086】
ステップS128では、状態制御部62は、領域51に係る制御状態を、領域51での横断の禁止する状態(横断禁止状態)に設定し、処理をステップS102へ進める。
【0087】
このように、本実施例では、ステップS104において、領域51で道路50を横断する意思を有する歩行者80がいないと判断される間は、状態制御部62により横断禁止状態が継続される。このため、車両の通行を必要以上に阻害することがない。
【0088】
また、状態制御部62は、歩行者情報、車両情報を含む様々な交通情報をリアルタイムに更新し、更新された当該情報に基づいて領域51に係る制御状態を制御している。このため、領域51に係る制御状態を状況に応じて適切に切り替えることができる。
【0089】
例えば、状態制御部62は、児童や高齢者、学童擁護員などの属性が付された歩行者情報を優先的に取り扱い、このような歩行者情報が取得された際には、横断可能状態へ極力、迅速に状態を切り替えてもよい。
【0090】
また、状態制御部62は、歩行者80が横断を完了するまで、横断可能状態を延長してもよい。
【0091】
また、本実施例では、車両情報に基づき、領域51に係る制御状態を横断可能状態へと移行させるタイミングを調整することができる。例えば、領域51に高速で近づいてくる車両がある場合には、歩行者80の安全を考慮し、その車両の状況に応じて横断可能状態へ切り替えのタイミングが制御されてもよい。また、道路50を走行中の車両から送信される返信情報(後述)に基づいて、領域51に係る制御状態が制御されてもよい。
また、例えば、高速で接近してくる車両が存在する場合は低速で接近してくる車両だけの場合に比べて、早目に横断歩道が出来ていることを通知したり、早目に状態情報を更新したりしてもよい。そうすることによって、車速に応じて、接近する車両がスピードをコントロールする余裕時間が生まれる。なお、車両は、車両以外の移動体であってもよい。
【0092】
次に、状態通知部63に関連する動作について説明する。
【0093】
状態通知部63は、状態制御部62により設定される領域51に係る状態を歩行者80および車両に通知する。
【0094】
状態通知部63は、路側装置70の表示部71および音声出力部71Aを介して、歩行者80に領域51に係る状態を通知する。例えば、状態通知部63は、表示部71および音声出力部71Aを介して横断禁止状態、横断予告状態、横断可能状態、禁止予告状態を区別した態様で、領域51に係る状態を歩行者80に通知する。各状態に対応する通知の態様は、例えば、歩行者用の信号機に類似した態様としてもよい。
【0095】
また、状態制御部62または状態通知部63は、道路50の路面に横断歩道を出現させることにより、領域51を歩行者が横断可能な状態としてもよい。横断歩道を出現させる方法としては、道路50の路面にLED等の発光体を埋め込み、これを発光させることにより、道路50に視覚的に認識可能な横断歩道を出現させる方法を使用できる。また、夜間であれば、道路50の路面を投影スクリーンとして使用し、横断歩道を路面に投影することにより、道路50に視覚的に認識可能な横断歩道を出現させる方法を使用できる。
【0096】
また、状態通知部63は、路側装置70の表示部71を介して、車両の運転者に領域51に係る状態を通知する。とくに、車両の運転者に対し、少なくとも、禁止予告状態および横断禁止状態を通知することが必要である。一方、領域51が横断禁止状態にある場合、状態通知部63は路側装置70の表示部71や道路50の路面を用いた、車両に対する通知を停止してもよい。この場合、領域51が横断禁止状態にある場合、例えば、車両の運転者から、領域51が実質的に横断歩道となる得ることが認識されなくてもよい。
【0097】
また、状態通知部63は、路側装置70の路側通信部74を介して、車両に搭載された通信端末に領域51に係る状態を通知(送信)することができる。この場合、車両側に通知された状態は、運転者が視認可能な状態でカーナビ等の表示装置に表示することができ、あるいは、自動運転に係る制御装置において運転制御に反映させることができる。
【0098】
車両において当該通知が表示装置に表示され、それを運転者が認識した場合、車両側からの返信情報を路側装置70の路側通信部74において受信するようにしてもよい。この場合、通知を認識した運転者の操作に従って、車両の通信端末か路側通信部74に対して、運転者が通知を認識した旨を示す返信情報を送信してもよい。
【0099】
車両側に通知された状態が自動運転に係る制御装置において認識された場合、車両側からの返信情報を路側装置70の路側通信部74において受信するようにしてもよい。この場合、車両の通信端末か路側通信部74に対して、自動運転に係る制御装置において通知を認識した旨や、認識された通知に応じて領域51の手前で車両を停止させる旨を示す返信情報を送信してもよい。上記のように、返信情報は状態制御部62における領域51に係る状態の制御に使用することができる。
【0100】
上記のように、第2の実施例における情報取得部61を介して取得された交通情報は、第1の実施例における情報取得部11により取得された交通情報と同様、交通計画や道路計画に利用されるなど、交通に関する有益な情報として活用することができる。
【0101】
また、例えば、領域51を設定するにあたり、第1の実施例において得られる地図情報を利用することができる。例えば、図3図4に基づいて、横断歩道の設置を求める要望が多い場所やその設置の必要性が高い場所を特定した上で、その場所の近傍に領域51を設定することができる。
【0102】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0103】
10 情報処理装置
11 情報取得部
12 交通情報格納部
13 出力部
14 地図情報格納部
30 携帯端末
60 状態制御装置
61 情報取得部
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9