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特開2024-134650ネットワーク管理システム及びネットワーク管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134650
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ネットワーク管理システム及びネットワーク管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/045 20220101AFI20240927BHJP
【FI】
H04L41/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044949
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】河崎 純一
(57)【要約】
【課題】通信ネットワーク品質の管理機能を自動的に構築することを図る。
【解決手段】対象ネットワークの管理要件と管理機能を関連付けると共に管理機能毎にネットワーク情報と管理機能に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付けるテーブル情報と、ユーザ品質管理要件と、対象ネットワーク情報とに基づいて、管理機能と管理機能毎にポリシー生成用情報とを特定し、特定した管理機能毎に特定したポリシー生成用情報と対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する管理機能設計モジュールと、各管理機能のポリシーを該当の管理機能に対して設定する管理機能設定モジュールと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の通信ネットワークである対象ネットワークの品質管理に関する管理要件と管理機能とを関連付けると共に管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報と管理機能に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付けるテーブル情報と、前記対象ネットワークの品質管理に関するユーザからの要件であるユーザ品質管理要件と、前記対象ネットワークの対象ネットワーク情報とに基づいて、前記ユーザ品質管理要件に対応する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定し、特定した管理機能毎に特定したポリシー生成用情報と前記対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する管理機能設計モジュールと、
前記管理機能設計モジュールが生成した各管理機能のポリシーを該当の管理機能に対して設定する管理機能設定モジュールと、
を備えるネットワーク管理システム。
【請求項2】
ユーザから取得した前記対象ネットワークの要件から前記ユーザ品質管理要件を抽出する要件抽出部をさらに備える、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項3】
前記対象ネットワーク情報は、ユーザからのネットワーク機能に関する要件に基づいて構成された前記対象ネットワークの情報である、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項4】
前記対象ネットワーク情報は、前記対象ネットワークに変更が生じた場合の前記対象ネットワークの変更後の情報である、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項5】
前記ポリシー生成用情報は、管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報に応じてポリシーを生成するためのポリシーテンプレートである、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項6】
前記テーブル情報は、既に実行している管理機能に適用されているポリシーに関する情報であり、
前記管理機能設計モジュールは、前記テーブル情報から、前記ユーザ品質管理要件及び前記対象ネットワーク情報に類似する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定する、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項7】
前記管理機能設定モジュールは、前記管理機能設計モジュールが生成した各管理機能のポリシーに対するユーザの承認を得てから管理機能へのポリシーの設定を実行する、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項8】
管理機能によって得られた前記対象ネットワークの品質管理に関するデータをユーザ毎に蓄積する管理情報データベースをさらに備える、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項9】
情報処理装置が実行するネットワーク管理方法であって、
管理対象の通信ネットワークである対象ネットワークの品質管理に関する管理要件と管理機能とを関連付けると共に管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報と管理機能に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付けるテーブル情報と、前記対象ネットワークの品質管理に関するユーザからの要件であるユーザ品質管理要件と、前記対象ネットワークの対象ネットワーク情報とに基づいて、前記ユーザ品質管理要件に対応する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定し、特定した管理機能毎に特定したポリシー生成用情報と前記対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する管理機能設計ステップと、
前記管理機能設計ステップで生成した各管理機能のポリシーを該当の管理機能に対して設定する管理機能設定ステップと、
を含むネットワーク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク管理システム及びネットワーク管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザがGUIにより仮想通信路を描画することにより、仮想通信路をネットワーク装置間に形成する技術が記載されている。特許文献2には、サービス事業者から受付けたサービス要件に基づいてネットワーク情報の中から最適な利用NWモデルを計算し、利用NWモデルを参照して、ネットワーク設定、監視、情報収集を含む運用の保守、設定、および監視処理を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163237号公報
【特許文献2】特開2017-038111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術では、ユーザの要件に基づいて構築されたネットワークに対してネットワーク品質を管理することまでは開示されていない。また、特許文献2に記載された技術では、ネットワーク監視機能の構築技術までは開示されていない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、通信ネットワーク品質の管理機能を自動的に構築することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、管理対象の通信ネットワークである対象ネットワークの品質管理に関する管理要件と管理機能とを関連付けると共に管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報と管理機能に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付けるテーブル情報と、前記対象ネットワークの品質管理に関するユーザからの要件であるユーザ品質管理要件と、前記対象ネットワークの対象ネットワーク情報とに基づいて、前記ユーザ品質管理要件に対応する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定し、特定した管理機能毎に特定したポリシー生成用情報と前記対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する管理機能設計モジュールと、前記管理機能設計モジュールが生成した各管理機能のポリシーを該当の管理機能に対して設定する管理機能設定モジュールと、を備えるネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、ユーザから取得した前記対象ネットワークの要件から前記ユーザ品質管理要件を抽出する要件抽出部をさらに備える、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、前記対象ネットワーク情報は、ユーザからのネットワーク機能に関する要件に基づいて構成された前記対象ネットワークの情報である、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、前記対象ネットワーク情報は、前記対象ネットワークに変更が生じた場合の前記対象ネットワークの変更後の情報である、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、前記ポリシー生成用情報は、管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報に応じてポリシーを生成するためのポリシーテンプレートである、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、前記テーブル情報は、既に実行している管理機能に適用されているポリシーに関する情報であり、前記管理機能設計モジュールは、前記テーブル情報から、前記ユーザ品質管理要件及び前記対象ネットワーク情報に類似する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定する、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、前記管理機能設定モジュールは、前記管理機能設計モジュールが生成した各管理機能のポリシーに対するユーザの承認を得てから管理機能へのポリシーの設定を実行する、ネットワーク管理システムである。
本発明の一態様は、上記のネットワーク管理システムにおいて、管理機能によって得られた前記対象ネットワークの品質管理に関するデータをユーザ毎に蓄積する管理情報データベースをさらに備える、ネットワーク管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、 情報処理装置が実行するネットワーク管理方法であって、管理対象の通信ネットワークである対象ネットワークの品質管理に関する管理要件と管理機能とを関連付けると共に管理機能毎に前記対象ネットワークのネットワーク情報と管理機能に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付けるテーブル情報と、前記対象ネットワークの品質管理に関するユーザからの要件であるユーザ品質管理要件と、前記対象ネットワークの対象ネットワーク情報とに基づいて、前記ユーザ品質管理要件に対応する管理機能と当該管理機能毎に前記対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報とを特定し、特定した管理機能毎に特定したポリシー生成用情報と前記対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する管理機能設計ステップと、前記管理機能設計ステップで生成した各管理機能のポリシーを該当の管理機能に対して設定する管理機能設定ステップと、を含むネットワーク管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信ネットワーク品質の管理機能を自動的に構築することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るネットワーク管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るネットワーク管理方法の手順の一例を示すシーケンス図である。
図3】一実施形態に係るネットワーク管理方法の手順の一例を示すシーケンス図である。
図4】一実施形態に係るテーブル情報の例を示す図である。
図5】一実施形態に係るテーブル情報の例を示す図である。
図6】一実施形態に係るポリシー生成方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るネットワーク管理システムの構成例を示すブロック図である。ネットワーク管理システム1は、通信ネットワークを構成する複数のNF(Network Function、ネットワーク機能)3の構築、NF3に対するMnF(Management Function、管理機能)5の構築、及びMnF5を用いた情報収集などの情報処理を行う。
【0011】
図1において、ネットワーク管理システム1は、要件抽出部100と、ネットワーク機能構築部200と、管理機能構築部300と、管理情報データベース(管理情報DB)400とを備える。ネットワーク機能構築部200は、NF(Network Function、ネットワーク機能)設計モジュール201と、NF設定モジュール202と、を備える。管理機能構築部300は、MnF(Management Function、管理機能)設計モジュール301と、MnF設定モジュール302とを備える。
【0012】
ネットワーク管理システム1の各機能は、ネットワーク管理システム1がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、ネットワーク管理システム1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、ネットワーク管理システム1は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、ネットワーク管理システム1の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、ネットワーク管理システム1は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又はネットワーク管理システム1の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
また、ネットワーク管理システム1として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0013】
要件抽出部100は、ユーザから通信ネットワークの要件(ユーザ要件)を受信する。ユーザは、通信ネットワークを管理する通信事業者でもよいし、通信ネットワークを利用するサービス事業者でもよい。また、ユーザは、アプリケーションであってもよい。
【0014】
ユーザ要件は、ネットワーク機能に関する要件(NF要件)と、通信ネットワークの品質管理に関する要件(ユーザ品質管理要件)とを含む。ユーザ要件は、所定のテンプレートを用いて作成される。これにより、要件抽出部100は、ユーザ要件から、NF要件とユーザ品質管理要件とを区別して抽出することができる。要件抽出部100は、ユーザ要件から抽出したNF要件をネットワーク機能構築部200へ送信する。要件抽出部100は、ユーザ要件から抽出したユーザ品質管理要件を管理機能構築部300へ送信する。
【0015】
ネットワーク機能構築部200において、NF設計モジュール201は、NF要件に基づいて、最適なネットワークを構築するためのNF設計情報を生成する。NF設定モジュール202は、当該NF設計情報に従って、NF3(ネットワーク機能)を構築する。NF設定モジュール202の例として、コントローラやオーケストレータなどが挙げられる。
【0016】
管理機能構築部300において、MnF設計モジュール301は、管理対象の通信ネットワークである対象ネットワークに対して、ユーザ品質管理要件、対象ネットワークのネットワーク情報及びテーブル情報に基づいてネットワーク品質を保証するために必要なMnF5(管理機能)を特定し、特定したMnF5に適用するポリシーを生成する。テーブル情報は、対象ネットワークの品質管理に関する管理要件とMnF5とを関連付けると共に、MnF5毎に対象ネットワークのネットワーク情報とMnF5に適用するポリシーを生成するためのポリシー生成用情報とを関連付ける、テーブル形式の情報である。
【0017】
MnF設定モジュール302は、MnF設計モジュール301が生成した各MnF5のポリシーを該当のMnF5に対して設定する。
【0018】
管理情報DB400は、構築されたMnF5によって得られたデータを収集し、ユーザ毎に蓄積する。
【0019】
次に図2図3を参照して、本実施形態に係るネットワーク管理方法を説明する。図2図3は、本実施形態に係るネットワーク管理方法の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0020】
[新規構築段階]
図2を参照して、本実施形態に係るネットワーク管理方法の新規構築段階を説明する。新規構築段階は、ユーザから受けたユーザ要件に基づいて、NF3及びMnF5を新規構築する段階である。図2には、本実施形態に係るネットワーク管理方法の新規構築段階の手順の一例が示されている。
【0021】
(ステップS1) ユーザは、ユーザ要件を要件抽出部100に送信する。
【0022】
(ステップS2) 要件抽出部100は、ユーザから受信したユーザ要件からNF要件を抽出し、抽出したNF要件をNF設計モジュール201へ送信する。
【0023】
(ステップS3) NF設計モジュール201は、NF要件から所定のルールやアルゴリズムを用いてNF要件を満たすネットワーク構成及びネットワーク設定を導出し、導出したネットワーク構成及びネットワーク設定を示すNF設計情報をNF設定モジュール202へ送信する。
【0024】
(ステップS4) NF設定モジュール202は、NF設計情報に従って、通信ネットワークを構成する各NF3の設定を行い、各NF3を構築する。これにより、ユーザのNF要件に基づく通信ネットワーク(対象ネットワーク)が構築される。
【0025】
(ステップS5) NF設定モジュール202は、ネットワーク構築完了後に、要件抽出部100に対して、対象ネットワークのネットワーク情報を含むネットワーク構築通知を送信する。ネットワーク情報の例として、ネットワーク機能種別やIPアドレス等が挙げられる。
【0026】
(ステップS6) 要件抽出部100は、ユーザから受信したユーザ要件からユーザ品質管理要件を抽出し、抽出したユーザ品質管理要件と、ネットワーク構築通知に含まれる対象ネットワークのネットワーク情報(対象ネットワーク情報)とをMnF設計モジュール301へ送信する。
【0027】
(ステップS7) MnF設計モジュール301は、ユーザ品質管理要件及び対象ネットワーク情報から、テーブル情報を参照して、ネットワーク品質を保証するためのMnF5を特定する。MnF5の例として、ネットワークデータ収集機能、データ分析機能、対処機能などが挙げられる。次いで、MnF設計モジュール301は、特定したMnF5毎に、対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報を特定する。次いで、MnF設計モジュール301は、特定したMnF5毎に、特定したポリシー生成用情報と対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する。次いで、MnF設計モジュール301は、生成した各MnF5のポリシーを含むMnF設計情報をMnF設定モジュール302へ送信する。
【0028】
(ステップS8) MnF設定モジュール302は、MnF設計情報に従って、各MnF5に対してポリシーを設定する。これにより、各MnF5が構築される。
【0029】
(ステップS9) MnF設定モジュール302は、MnF5の構築完了後、要件抽出部100に対して、構築したMnF5に関する情報を含む管理機能構築通知を送信する。
【0030】
(ステップS10) 要件抽出部100は、管理機能構築通知を受信すると、ユーザに対して当該MnF5の構築結果を送信する。
【0031】
(ステップS11) 各MnF5は、設定されたポリシーに基づいて対象ネットワークの管理を行い、NF3から所定のデータを取得する。
【0032】
(ステップS12) 各MnF5は、NF3から取得したデータを管理情報DB400へ送信する。管理情報DB400は、各MnF5から受信したデータを、ユーザに関連付けて格納する。各MnF5がNF3から取得するデータの例として、ネットワークデータ収集機能の場合はネットワークから得られるパフォーマンス情報などが挙げられ、データ分析機能の場合は障害原因分析の結果などが挙げられる。なお、MnF5やデータの種別によって、NF3やMnF5から管理情報DB400へ直接データ送信されてもよい。
【0033】
なお、上述したステップS3及びステップS7において、各設計情報をユーザに送信し、ユーザが各設計情報の設定可否を判断してから、ユーザが各設計情報の設定投入を依頼するようにしてもよい。この場合、ユーザからの設定投入の依頼に応じて、各設計情報の設定が実行される。したがって、MnF設定モジュール302は、MnF設計モジュール301が生成した各MnF5のポリシーに対するユーザの承認を得てからMnF5へのポリシーの設定を実行する。
【0034】
[更新段階]
図3を参照して、本実施形態に係るネットワーク管理方法の更新段階を説明する。更新段階は、対象ネットワークの構成が変化した場合にMnF5を更新する段階である。図3には、本実施形態に係るネットワーク管理方法の更新段階の手順の一例が示されている。
【0035】
(ステップS31) NF設定モジュール202は、対象ネットワークに変更が生じた場合、対象ネットワークに関する新しいネットワーク構成の情報を含むネットワーク構成変更通知を要件抽出部100へ送信する。対象ネットワークの変更は、例えば、障害対処のためのNF3の変更や、NF3の増設又は減設などによって発生する。
【0036】
(ステップS32) 要件抽出部100は、ユーザ品質管理要件と、ネットワーク構成変更通知に含まれる新しいネットワーク構成の情報(対象ネットワーク情報)とをMnF設計モジュール301へ送信する。
【0037】
(ステップS33) MnF設計モジュール301は、ユーザ品質管理要件及び対象ネットワーク情報から、テーブル情報を参照して、ネットワーク品質を保証するためのMnF5を再特定する。次いで、MnF設計モジュール301は、再特定したMnF5毎に、対象ネットワーク情報に対応するポリシー生成用情報を特定する。次いで、MnF設計モジュール301は、再特定したMnF5毎に、特定したポリシー生成用情報と対象ネットワーク情報とから適用するポリシーを生成する。次いで、MnF設計モジュール301は、生成した各MnF5のポリシーを含むMnF再設計情報をMnF設定モジュール302へ送信する。
【0038】
(ステップS34) MnF設定モジュール302は、MnF再設計情報に従って、各MnF5に対してポリシーを再設定する。これにより、各MnF5が更新される。
【0039】
(ステップS35) MnF設定モジュール302は、MnF5の更新完了後、要件抽出部100に対して、更新したMnF5に関する情報を含む管理機能更新通知を送信する。
【0040】
(ステップS36) 要件抽出部100は、管理機能更新通知を受信すると、ユーザに対して当該MnF5の更新結果を送信する。
【0041】
上述した更新段階によって、対象ネットワークの変化に追従させて、ネットワーク品質を保証するためのMnF5を自動的に更新することができる。
【0042】
なお、ユーザからのユーザ要件自体に変更があった場合には、上述した図2の手順によってユーザ要件の変更に追従させた更新が可能である。
【0043】
図4及び図5は、本実施形態に係るテーブル情報の例を示す図である。
【0044】
[テーブル情報の例1]
図4を参照して本実施形態に係るテーブル情報の例1を説明する。図4は、本実施形態に係るテーブル情報の例1を示す図である。テーブル情報の例1では、MnF設計モジュール301は、予め、図4に例示されるテーブル情報を保持する。図4において、テーブル情報は、対象ネットワークの品質管理に関する管理要件とMnF5とを関連付ける。図4には管理要件の例として、「Availability」、「Usage Time」及び「Customer Type」が示される。また、MnF5の例として、「Collector」、「AnomalyDetection」、「Switching」、「RCA」及び「Scaling」が示される。図4の例では、管理要件の組合せに対して、利用するMnF5が関連付けられている。例えば、「Availability:High」、「Usage Time:24h」及び「Customer Type:Consumer」の組合せに対して、利用するMnF5「Collector」、「AnomalyDetection」及び「Switching」が関連付けられている。
【0045】
また図4において、テーブル情報は、MnF5毎に、対象ネットワークのネットワーク情報と、MnF5に適用するポリシーを生成するためのポリシーテンプレートとを関連付ける。図4には対象ネットワークのネットワーク情報の例として、ネットワーク機能の種別が示される。図4にはネットワーク機能の種別の一例として、「NFa」が示される。また、ポリシーテンプレートの例として、「Ca」、「Aa」、「SWa」、「Ra」及び「SCa」が示される。図4の例では、MnF5毎に、ネットワーク機能の種別に応じて利用するポリシーテンプレートが示される。例えば、MnF5「Collector」に対して、ネットワーク機能の種別「NFa」の場合に利用するポリシーテンプレート「Ca」が示される。
【0046】
図4のテーブル情報によって、対象ネットワークの品質管理に関する管理要件の組合せに対してどのMnF5を利用するのかと、MnF5毎に対象ネットワーク情報「ネットワーク機能の種別」に対してどのポリシーテンプレートを利用するのかとを特定することができる。例えば、「Availability:High」、「Usage Time:24h」及び「Customer Type:Consumer」の組合せに対してMnF5「Collector」、「AnomalyDetection」及び「Switching」を利用し、種別「NFa」のNF3に対して、MnF5「Collector」にはポリシーテンプレート「Ca」を利用し、MnF5「AnomalyDetection」にはポリシーテンプレート「Aa」を利用し、MnF5「Switching」にはポリシーテンプレート「SWa」を利用することが特定できる。
【0047】
[テーブル情報の例2]
図5を参照して本実施形態に係るテーブル情報の例2を説明する。図5は、本実施形態に係るテーブル情報の例2を示す図である。テーブル情報の例2は、実行中の既存のMnF5に関する情報を有するデータベースである。MnF設計モジュール301は、当該データベースからテーブル情報を取得する。当該データベースは、ネットワーク管理システム1の内部に設けられてもよいし、ネットワーク管理システム1の外部に設けられてもよい。
【0048】
図5のテーブル情報の例では、実行中の既存のMnF5「AnomalyDetection」、「Switching」、「RCA」及び「Scaling」毎に、管理対象のネットワーク機能「種別が「NFa」であるNF3「NFa-1」」に適用するポリシー「Aa-1(ポリシーテンプレート「Aa」で生成されたポリシー)」、「SWa-1(ポリシーテンプレート「SWa」で生成されたポリシー)」、「Ra-1(ポリシーテンプレート「Ra」で生成されたポリシー)」及び「SCa-1(ポリシーテンプレート「SCa」で生成されたポリシー)」が示される。また、図5のテーブル情報の例では、実行中の既存のMnF5「AnomalyDetection」、「Switching」、「RCA」及び「Scaling」毎に、管理要件の組合せが示される。
【0049】
MnF設計モジュール301は、図5のテーブル情報から、ユーザ品質管理要件及び対象ネットワーク情報に類似するMnF5と当該MnF5毎に対象ネットワーク情報に対応するポリシー(ポリシーテンプレート)を特定する。具体的には、MnF設計モジュール301は、図5のテーブル情報から、ユーザ品質管理要件や対象ネットワーク情報との類似度を算出し、最も類似度の高い既存のMnF5を特定し、特定した既存のMnF5に適用されているポリシーテンプレートを特定する。
【0050】
次に図6を参照して本実施形態に係るポリシー生成方法を説明する。図6は、本実施形態に係るポリシー生成方法の一例を示す図である。図6には、MnF5「Collector(ネットワークデータ収集機能)」に適用するポリシーの例が示される。図6において、MnF設計モジュール301は、対象ネットワーク情報から抽出した固有の情報「host ip」、「username」及び「password」をポリシーテンプレートの該当欄に入れることによってポリシーを生成する。
【0051】
上述したように本実施形態によれば、通信ネットワーク品質の管理機能を自動的に構築することができるという効果が得られる。また、ユーザからのユーザ要件や対象ネットワークに変更が生じた場合に、通信ネットワーク品質を担保するための管理機能を更新することができる。
【0052】
また、要件抽出部100によって、ユーザから受信した通信ネットワークの要件(ユーザ要件)から、通信ネットワークの品質管理に関する要件(ユーザ品質管理要件)を抽出することができる。
【0053】
また管理情報DB400によって、ユーザ毎のユーザ品質管理要件に基づいて構築されたMnF5によって得られる情報をユーザ毎に蓄積することができる。
【0054】
本実施形態は、例えば、仮想化技術の普及に伴うネットワーク構成の複雑化や、5GやBeyond5Gにおいて求められるネットワーク要件の多様化や、将来的なオペレーション要員の不足の課題への対処方法の一つとして、通信ネットワークの運用や保守を自動化するシステムに適用可能である。
【0055】
なお、これにより、例えば通信ネットワークにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0057】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0058】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…ネットワーク管理システム、3…NF、5…MnF、100…要件抽出部、200…ネットワーク機能構築部、201…NF設計モジュール、202…NF設定モジュール、300…管理機能構築部、301…MnF設計モジュール、302…MnF設定モジュール、400…管理情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6