(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134653
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044955
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022JJ08
3F022KK11
3F022MM67
5F131AA02
5F131CA09
5F131CA53
5F131DA05
5F131DA22
5F131DB12
5F131DC06
5F131GA14
5F131GA73
5F131KA02
5F131KA15
5F131KA44
5F131KA53
5F131KB32
5F131KB45
(57)【要約】
【課題】容器の蓋の落下を効果的に防止することができる天井搬送車を提供する。
【解決手段】軌道Rに沿って走行し、蓋110が着脱可能に設けられた容器100を収容空間AS内で吊り下げた状態で搬送する天井搬送車1であって、蓋110を走行方向に交差する幅方向に配置させた状態で容器100を保持する保持部8と、第1位置P1から蓋110の前面側の第2位置P2に進出することで蓋110が落下することを防止する可動式の第1蓋落下防止部材50と、収容空間ASに収容された容器100に取り付けられている蓋110の上端部に対向するように配置される第2蓋落下防止部材12と、を備え、第1蓋落下防止部材50は、第2蓋落下防止部材12よりも下方に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って走行し、蓋が着脱可能に設けられた容器を収容空間内で吊り下げた状態で搬送する天井搬送車であって、
前記蓋を走行方向に交差する幅方向に配置させた状態で前記容器を保持する保持部と、
所定の第1位置から前記蓋の前面側の第2位置に進出することで前記蓋が落下することを防止する可動式の第1蓋落下防止部材と、
前記収容空間に収容された前記容器に取り付けられている前記蓋の上端部に対向するように配置される第2蓋落下防止部材と、
を備え、
前記第1蓋落下防止部材は、前記第2蓋落下防止部材よりも下方に配置されている、天井搬送車。
【請求項2】
前記第1蓋落下防止部材は、前記第1位置と前記第2位置との間を、鉛直方向を回動軸として水平面に沿って回動可能に設けられている、
請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項3】
前記保持部に保持された前記容器の落下を防止する可動式の容器落下防止部材を更に備え、
前記容器落下防止部材は、前記収容空間への前記容器の移動軌跡に干渉しない退避位置と、前記収容空間に収容された前記容器の下側に進出して前記容器を防止する容器落下防止位置との間を移動可能であり、
前記第1位置から前記第2位置へ前記第1蓋落下防止部材の進出動作に連動して前記容器落下防止部材が進出し、前記第2位置から前記第1位置へ前記第1蓋落下防止部材の退避動作に連動して前記容器落下防止位置から前記退避位置への前記容器落下防止部材が退避する、
請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項4】
前記第2蓋落下防止部材は、下端に向かうにつれて前記蓋との間の距離が大きくなる呼び込み部を備える、
請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項5】
光を用いて前記蓋の脱離を検出する検出部を更に備え、
前記検出部は、前記蓋の下端付近と上端付近とを通過するように前記光を照射する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
FOUPなどの容器を搬送する天井搬送車において、容器の蓋の落下を防止する蓋落下防止部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の蓋落下防止部材は、蓋の下方に対向して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の蓋落下防止部材では、例えば、搬送する容器のサイズが大きい場合に、その容器の蓋の落下を防止することが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は、容器の蓋の落下を効果的に防止することができる天井搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る天井搬送車は、軌道に沿って走行し、蓋が着脱可能に設けられた容器を収容空間内で吊り下げた状態で搬送する天井搬送車であって、蓋を走行方向に交差する幅方向に配置させた状態で容器を保持する保持部と、第1位置から蓋の前面側の第2位置に進出することで蓋が落下することを防止する可動式の第1蓋落下防止部材と、収容空間に収容された容器に取り付けられている蓋の上端部に対向するように配置される第2蓋落下防止部材と、を備え、第1蓋落下防止部材は、第2蓋落下防止部材よりも下方に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様に係る天井搬送車によれば、蓋の上部側及び下部側に蓋落下防止部材が対向するため、蓋の落下を効果的に防止することができる。
【0008】
また、上記態様の天井搬送車において、第1蓋落下防止部材は、第1位置と第2位置との間を、鉛直方向を回動軸として水平面に沿って回動可能に設けられてもよい。このような構成によれば、第1蓋落下防止部材と容器との衝突を抑制することができる。
【0009】
また、上記態様の天井搬送車において、保持部に保持された容器の落下を防止する可動式の容器落下防止部材を更に備え、容器落下防止部材は、収容空間への容器の移動軌跡に干渉しない退避位置と、収容空間に収容された容器の下側に進出して容器を防止する容器落下防止位置との間を移動可能であり、第1位置から第2位置へ第1蓋落下防止部材の進出動作に連動して容器落下防止部材が進出し、第2位置から第1位置へ第1蓋落下防止部材の退避動作に連動して容器落下防止位置から退避位置への容器落下防止部材が退避してもよい。このような構成によれば、天井搬送車は、容器の落下を防止することができる。
【0010】
また、上記態様の天井搬送車において、第2蓋落下防止部材は、下端に向かうにつれて蓋との間の距離が大きくなる呼び込み部を備えてもよい。このような構成によれば、天井搬送車によって保持された容器を上昇させる際に、第2蓋落下防止部材の端と容器との衝突を防止することができる。
【0011】
また、上記態様の天井搬送車において、光を用いて蓋の脱離を検出する検出部を更に備え、検出部は、蓋の下端付近と上端付近とを通過するように光を照射してもよい。このような構成によれば、容器から蓋の上端及び下端のいずれかが外れ始めても、その蓋が外れたことを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る天井搬送車の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る天井搬送車を-X方向側から見た概念図である。
【
図3】本実施形態に係る閉状態の容器落下防止ユニットの斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る閉状態の容器落下防止ユニットを下から見た図である。
【
図5】本実施形態に係る閉状態での1容器落下防止部材の斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る開状態の容器落下防止ユニットの斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る開状態の容器落下防止ユニットを下から見た図である。
【
図8】本実施形態に係る開状態での1容器落下防止部材の斜視図である。
【
図9】本実施形態に係る閉状態の2つの容器落下防止ユニットを下から見た図である。
【
図10】本実施形態に係る開状態の2つの容器落下防止ユニットを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定しない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されるなど、実際の製品とは、形状、寸法が異なる場合がある。
【0014】
図面において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面における一方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る天井搬送車1を-Y方向側から見た概念図である。
図2は、本実施形態に係る天井搬送車1を-X方向側から見た概念図である。なお、
図2に示す天井搬送車1は、説明の便宜上、一部の構成が省略されている。
【0016】
天井搬送車1は、クリーンルームの天井などの床面より高い位置に設けられる軌道Rに沿って走行し、容器100を収容空間AS内で吊り下げた状態で搬送する。天井搬送車1は、例えば、処理装置と容器保管装置との間、あるいは2つの処理装置の間などにおいて、容器100の搬送に用いられる。なお、
図1におけるX方向は、天井搬送車1の走行方向である。また、
図1におけるZ方向は、天井搬送車1の鉛直方向である。
図1におけるY方向は、天井搬送車1の幅方向である。
【0017】
処理装置は、例えば、成膜装置、コーター・ディベロッパ、露光装置、エッチング装置などであり、デバイス(例、半導体デバイス)を製造する過程で各種処理を施す。上記容器保管装置は、例えば、容器100を搬送する搬送経路に配置され、容器100を一時的に保管する。上記容器保管装置は、例えば、天井の近傍に配置される。容器100は、例えば、半導体素子の製造に用いられるウエハ又はレチクルなどを収容する。
【0018】
容器100は、半導体ウエハなどの被収容物を容器100の内部へ搬入するための開口101を備える。開口101は、鉛直方向と平行に配置される。容器100は、開口101が幅方向(
図1では-Y方向)に向くように収容空間AS内に配置される。蓋110は、開口101を塞ぐように、容器100に着脱可能に設けられる。蓋110の着脱機構は、任意の構成が適用されるが、例えば、着脱用の吸盤で蓋110を吸着させる構成を適用可能である。容器100は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF Pod、又はレチクルPodである。
【0019】
天井搬送車1は、例えば、走行駆動部2と、連結部3aと、支持部3bと、本体部4とを備える。
【0020】
走行駆動部2は、天井搬送車1を走行させるための駆動力を発生させる。走行駆動部2は、例えば、車輪、リニアモータ又は回転モータ、ロータリーエンコーダ又はリニアエンコーダなどを有する。車輪は、軌道Rに接するように配置され、走行駆動部2の駆動力により回転駆動する。なお、走行駆動部2は、ロータリーエンコーダ又はリニアエンコーダにより検出された車輪の回転数などの検出結果に基づいてリニアモータ又は回転モータを制御し、天井搬送車1の速度あるいは停止位置の制御を行う。
【0021】
連結部3aは、走行駆動部2と支持部3bとを連結する。例えば、連結部3aは、一端が走行駆動部2に接続されており、他端が支持部3bに接続されている。支持部3bは、水平面に沿って配置され、本体部4を支持する。
【0022】
本体部4は、連結部3aを介して走行駆動部2に連結されており、軌道Rに沿って走行する。本体部4は、水平駆動部5と、回転駆動部6と、昇降駆動部7と、保持部8と、カバー9a,カバー9bと、容器落下防止機構10と、第1蓋落下防止機構11と、第2蓋落下防止部材12と、検出部13とを備える。
【0023】
水平駆動部5は、連結部3aの他端に接続されている。水平駆動部5は、回転駆動部6、昇降駆動部7及び保持部8を水平面内おける幅方向に移動させる。回転駆動部6は、電動モータなどを有し、水平面内で昇降駆動部7及び保持部8を回転させる。昇降駆動部7は、例えば天井搬送車1に設けられた制御部(図示せず)によって制御され、所定の速度で保持部8を降下又は上昇させたり、保持部8を目標の高さに保持したりする。昇降駆動部7は、例えばホイストである。昇降駆動部7は、例えばワイヤ、ロープ又はベルトなどの吊り下げ部材71を繰り出すことにより保持部8を下降させ、吊り下げ部材71を巻き取ることにより保持部8を上昇させる。
【0024】
保持部8は、容器100を保持する。例えば、保持部8が、容器100のフランジ部を把持することにより、容器100を吊り下げて保持する。なお、保持部8が容器100を把持する方法は、特に限定されないが、上から容器100を把持してもよいし、左右から挟み込むことで容器100を把持してもよい。保持部8は、例えば、水平方向に移動可能な複数の爪部を有するチャックである。保持部8は、爪部を容器100のフランジ部の下方に進入させ、保持部8を上昇させることにより容器100を吊り下げて保持する。保持部8は、吊り下げ部材71と接続されている。保持部8は、吊り下げ部材71を介して昇降駆動部7から吊り下げられ、昇降駆動部7により昇降する。
【0025】
上述の水平駆動部5、回転駆動部6、及び昇降駆動部7は、天井搬送車1に支持されており、天井搬送車1と一体となって走行方向に移動する。水平駆動部5、回転駆動部6、及び昇降駆動部7の-X側の側方にはカバー9aが設けられており、+X側の側方にはカバー9bが設けられている。カバー9a及びカバー9bは、それぞれ、支持部3bに固定されており、その支持部3bから-Z方向に向けて延びて配置される。一対のカバー9a,9bは、保持部8が上昇端まで上昇した状態において保持部8の下方に、容器100が収容される空間、すなわち収容空間ASを形成する。
【0026】
容器落下防止機構10は、容器100の落下を防止する。容器落下防止機構10は、2つの容器落下防止ユニット20a,20bを備える。容器落下防止ユニット20aは、カバー9a内に設けられている。容器落下防止ユニット20bは、カバー9b内に設けられている。容器落下防止ユニット20a及び容器落下防止ユニット20bは、左右対称の構成であり、基本的な構成が同じである。ただし、容器落下防止ユニット20aの各構成部と、容器落下防止ユニット20bの各構成部とを区別する目的として、容器落下防止ユニット20aの各構成部の符号の末尾に添え字「a」を付し、容器落下防止ユニット20bの各構成部の符号の末尾に添え字「b」を付して説明する場合がある。なお、容器落下防止ユニット20aと容器落下防止ユニット20bとを区別しない場合には、「容器落下防止ユニット20」と称する場合がある。
【0027】
以下に、容器落下防止ユニット20の構成例について説明する。容器落下防止ユニット20は、閉状態と開状態とのいずれかの状態に制御される。閉状態とは、容器100を収容空間ASに収容可能な状態である。開状態とは、収容空間ASに収容された容器100の落下を防止している状態である。
図3は、閉状態の容器落下防止ユニット20の斜視図であって、上面側から見た図である。
図4は、閉状態の容器落下防止ユニット20を下面側から見た図である。
図5は、閉状態の容器落下防止ユニット20における第2容器落下防止部材41の拡大図である。
図6は、開状態の容器落下防止ユニット20の斜視図であって、上面側から見た図である。
図7は、開状態の容器落下防止ユニット20を下面側から見た図である。
図8は、開状態の容器落下防止ユニット20における第2容器落下防止部材41の拡大図である。なお、
図3~
図8に示す容器落下防止ユニット20は、一例として、容器落下防止ユニット20bの構成を示している。
【0028】
容器落下防止ユニット20は、2つの支持部材30(301,302)と、基台31と、駆動部32と、駆動軸33と、第1歯車部材34と、リンク機構35と、回転軸36と、第1容器落下防止部材37と、第2歯車部材38と、第3歯車部材40と、第2容器落下防止部材41と、2つの揺れ防止部材42,43と、を備える。
【0029】
2つの支持部材301,302は、基台31を支持する。支持部材301,302は、カバー9内のY方向に沿って配置されている。また、支持部材301,302は、支持部3bから-Z方向に向けて延びて配置される。支持部材301は、一端が支持部3bに固定されており、他端が基台31の一端に固定されている。支持部材302は、一端が支持部3bに固定されており、他端が基台31の他端に固定されている。
【0030】
基台31は、Y方向に延びた板状の部材であって、水平面に沿って配置される。駆動部32は、基台31の上面に固定されている。駆動部32は、例えば電動モータであって、天井搬送車1の制御部(図示せず)によって駆動部32の駆動軸33が回転する。駆動軸33には、歯車が形成されている。
【0031】
第1歯車部材34は、駆動軸33の歯車に係合するように設けられている。第1歯車部材34は、基台31の下面に突出する回転軸341を有する。第1歯車部材34の回転に伴って回転軸341が回転する。
【0032】
リンク機構35は、第1リンク351及び第2リンク352を備える。第1リンク351の一端は、固定部材342を介して回転軸341に固定されている。また、第1リンク351の他端は、回転軸36に固定されている。回転軸36は、基台31の下面の一端側に設けられた固定部材200において、水平方向に回転可能に取り付けられている。
【0033】
第2リンク352の一端は、固定部材342を介して回転軸341に固定されている。また、第2リンク352の他端は、第2歯車部材38の回転軸381に固定されている。第2歯車部材38は、基台31の下面の他端側に設けられた固定部材210において、水平方向に回転可能に取り付けられている。
【0034】
第3歯車部材40は、第2歯車部材38の歯車に係合するように設けられている。第3歯車部材40は、例えば、固定部材210において、水平方向に回転可能に取り付けられている。第3歯車部材40は、回転軸410を有する。第3歯車部材40の回転に伴って回転軸410が回転する。
【0035】
第1容器落下防止部材37は、収容空間ASにおいて保持部8に保持された容器100の下面の下方に配置されることで、容器100の落下を防止する。第1容器落下防止部材37は、可動式である。具体的には、第1容器落下防止部材37は、回転軸36に固定されており、回転軸36の回転に伴って水平方向に回動する。第1容器落下防止部材37は、収容空間ASへの容器100の移動軌跡に干渉しない退避位置CL1(
図3~
図5)と、収容空間ASに収容された容器100の下側に進出して容器100を防止する容器落下防止位置OP1(
図6~
図8)との間を水平方向に回動可能である。第1容器落下防止部材37は、例えば、板状部材であり、アルミニウム等の材料により形成されている。
図3~
図5に示した退避位置CL1は、例えば、第1容器落下防止部材37が基台31の下方に位置し、カバー9内に収容された状態である。
【0036】
第2容器落下防止部材41は、収容空間ASにおいて保持部8に保持された容器100の下面の下方に配置されることで、容器100の落下を防止する。第2容器落下防止部材41は、可動式である。具体的には、第2容器落下防止部材41は、回転軸410に固定されており、回転軸410の回転に伴って水平方向に回動する。第2容器落下防止部材41は、収容空間ASへの容器100の移動軌跡に干渉しない退避位置CL2(
図3~
図5)と、収容空間ASに収容された容器100の下側に進出して容器100を防止する容器落下防止位置OP2(
図6~
図8)との間を水平方向に回動可能である。第2容器落下防止部材41は、例えば、板状部材であり、アルミニウム等の材料により形成されている。
図3~
図5に示した退避位置CL2は、例えば、第2容器落下防止部材41が基台31の下方に位置し、カバー9内に収容された状態である。
【0037】
第2容器落下防止部材41は、突出部60を有する。突出部60は、例えば、第2容器落下防止部材41の縁の一部において+Z方向に突出して設けられる。突出部60は、後述する第1蓋落下防止部材50の回動動作において、第1蓋落下防止部材50を第2位置P2に案内する。換言すると、突出部60は、第1蓋落下防止部材50が第1位置P1から第2位置P2に回動する回動動作において、第1蓋落下防止部材50の移動を第2位置P2までに規制する。
【0038】
ここで、駆動軸33の回転は、第1リンク351によって回転軸36に伝達され、回転軸36に固定されている第1容器落下防止部材37を回動させる。また、駆動軸33の回転は、第2リンク352及び第2歯車部材38によって第3歯車部材40に伝達され、第3歯車部材40の回転軸410に固定されている第2容器落下防止部材41を回動させる。これにより、第1容器落下防止部材37の回動動作と、第2容器落下防止部材41の回動動作とは連動している。すなわち、第1容器落下防止部材37が退避位置CL1から容器落下防止位置OP1に進出すると、第2容器落下防止部材41も同様に退避位置CL2から容器落下防止位置OP2に進出する。また、第1容器落下防止部材37が容器落下防止位置OP1から退避位置CL1に退避すると、第2容器落下防止部材41も同様に容器落下防止位置OP2から退避位置CL2に退避する。
【0039】
容器落下防止ユニット20が閉状態である場合とは、第1容器落下防止部材37が退避位置CL1であり、かつ第2容器落下防止部材41が退避位置CL2である状態を示す。容器落下防止ユニット20が開状態である場合とは、第1容器落下防止部材37が容器落下防止位置OP1であり、かつ第2容器落下防止部材41が容器落下防止位置OP2である状態を示す。
【0040】
2つの揺れ防止部材42,43は、容器100の側面に接触支持して、走行時における保持部8に保持された容器100の揺れを抑制する。揺れ防止部材42は、回転軸36に固定されており、回転軸36の回転に伴って水平方向に回動する。
【0041】
揺れ防止部材42は、容器100の側面90から離反した位置に配置される退避位置CL3(
図3~
図5)と、容器100の側面に接触配置される進出位置OP3(
図6~
図8)との間で移動可能に設けられている。第1容器落下防止部材37が退避位置CL1から容器落下防止位置OP1に進出すると、揺れ防止部材42も同様に退避位置CL3から進出位置OP3に進出する。第1容器落下防止部材37が容器落下防止位置OP1から退避位置CL1に退避すると、揺れ防止部材42も同様に進出位置OP3から退避位置CL3に退避する。
【0042】
揺れ防止部材43は、回転軸410に固定されており、回転軸410の回転に伴って水平方向に回動する。揺れ防止部材43は、容器100の側面90から離反した位置に配置される退避位置CL4(
図3~
図5)と、容器100の側面に接触配置される進出位置OP4(
図6~
図8)との間で移動可能に設けられている。第2容器落下防止部材41が退避位置CL2から容器落下防止位置OP2に進出すると、揺れ防止部材43も同様に退避位置CL4から進出位置OP4に進出する。第2容器落下防止部材41が容器落下防止位置OP2から退避位置CL2に退避すると、揺れ防止部材42も同様に進出位置OP4から退避位置CL4に退避する。
【0043】
次に、第1蓋落下防止機構11について説明する。第1蓋落下防止機構11は、第1蓋落下防止部材50と、回転軸51と、ガイド部52とを備える。第1蓋落下防止部材50は、蓋110の正面に配置されることで、保持部8に保持された容器100から蓋110が落下することを防止する。第1蓋落下防止部材50は、可動式であって、第1位置P1(
図3~
図5)から蓋110の前面側の第2位置P2(
図6~
図8)に進出することで蓋110が落下することを防止する。
【0044】
第1蓋落下防止部材50は、第2容器落下防止部材41に対して、鉛直方向に延びる回転軸51を中心として水平方向に回動可能に設けられている。回転軸51は、第2容器落下防止部材41の回転軸であり、第2容器落下防止部材41に取り付けられている。第1蓋落下防止部材50は、回転軸51を中心とし、蓋110の正面から退避した位置に配置される第1位置P1と、蓋110の正面に配置される第2位置P2との間で、容器100の正面及び容器100の側面に沿って回動可能である。この第1蓋落下防止部材50の回動動作は、第2容器落下防止部材41の回動動作と連動する。
【0045】
第1蓋落下防止部材50は、例えば、ステンレススチール等の板状の材料により形成されている。第1蓋落下防止部材50は、第1蓋落下防止部材50の長手方向に沿って形成された孔部50Hを有する。これにより、第1蓋落下防止部材50の重量を軽量化することができる。
【0046】
ガイド部52は、ブラケット220によって支持部材302の下端部に固定されている。ガイド部52は、第1蓋落下防止部材50の回動動作を案内する。例えば、ガイド部52は、第1蓋落下防止部材50を挟み込む2つのローラ521,522を有する。ガイド部52は、2つのローラ521,522で第1蓋落下防止部材50を挟み込むことで、第1蓋落下防止部材50の姿勢を所定姿勢に保持させながら、第1蓋落下防止部材50の回動動作を可能とする。
【0047】
第2蓋落下防止部材12は、収容空間ASに収容された容器100に取り付けられている蓋110の上端部に対向するように配置される。第2蓋落下防止部材12は、蓋110の上端部、すなわち、蓋110の上端部の正面側(-Y方向)に配置されることで、保持部8に保持された容器100から蓋110が外れて落下することを防止する。第2蓋落下防止部材12の上端は、例えば、昇降駆動部7の下部に固定されている。第2蓋落下防止部材12は、容器100が可動範囲内で最も上昇した状態で、蓋110の上端部に対向する位置に配置される。容器100が可動範囲内で最も上昇した状態とは、保持部8で保持された容器100が収容空間ASに収容された状態である。
【0048】
第2蓋落下防止部材12は、下端に向かうにつれて蓋110との間の距離が大きくなる呼び込み部121を備えている。これにより、保持部8によって保持された容器100を上昇させる際に、第2蓋落下防止部材12の下端と容器100との衝突を防止することができる。
【0049】
検出部13は、光を用いて容器100からの蓋110の脱離を検出する。検出部13は、蓋110の下端付近と上端付近とを通過するように光を照射する。例えば、検出部13は、光電センサやレーザセンサを備える。検出部13は、例えば、光を照射する照射部131と、その照射部131から照射された光を受光する受光部132とを備える。蓋110が容器100から外れた場合には、その蓋110によって光が遮られ、受光部132は、当該光を受光することができない。そのため、検出部13は、受光部132にて光が受光されなくなった場合に、容器100からの蓋110の脱離を検出する。
【0050】
一例として、照射部131から照射される光(
図1に示す一点鎖線)は、例えば、蓋110の前面から所定距離だけ-Y方向に離れたXZ平面上であって、かつ、-Y方向から見た場合に左下から右上にかけての対角方向又はその逆の対角方向に向けて照射される。なお、照射部131から照射される光は、例えば、蓋110の前面から所定距離だけ-Y方向に離れたXZ平面上であって、かつ、+Y方向から見た場合に右下から左上にかけての対角方向又はその逆の対角方向に向けて照射されてもよい。これにより、検出部13は、蓋110の上下端のいずれかが容器100から外れ始めても、その蓋が外れたことを検出することができる。なお、検出部13は、一例として光を用いて容器100からの蓋110の脱離を検出するが、これに限定されず、容器100からの蓋110の脱離を検出するものではあれば特に限定されない。例えば、検出部13は、リミットセンサ又は近接センサであってもよい。
【0051】
以下に、天井搬送車1が容器100を収容空間ASに収容する動作の流れについて説明する。天井搬送車1が容器100を収容空間ASに収容する場合には、まず、天井搬送車1は、軌道Rに沿って走行し、軌道Rの所定位置で停止する。この際、天井搬送車1は、容器100を保持していない。天井搬送車1が容器100を保持していない場合には、
図9に例示するように、容器落下防止ユニット20aの第1容器落下防止部材37aと容器落下防止ユニット20bの第1容器落下防止部材37bとがともに退避位置CL1に位置し、容器落下防止ユニット20aの第2容器落下防止部材41aと容器落下防止ユニット20bの第2容器落下防止部材41bがともに退避位置CL2に位置している。
【0052】
第1蓋落下防止部材50は、第2蓋落下防止部材12よりも下方に配置されており、第2容器落下防止部材41に回動可能に設けられている。そのため、第2容器落下防止部材41が退避位置CL2に位置している場合には、第1蓋落下防止部材50a,50bは、第1位置P1に位置している。すなわち、天井搬送車1が容器100を保持していない場合には、容器落下防止ユニット20a及び容器落下防止ユニット20bのそれぞれにおいて、第1容器落下防止部材37が退避位置CL1に位置し、第2容器落下防止部材41が退避位置CL2に位置し、第1蓋落下防止部材50a,50bが第1位置P1に位置している。したがって、この場合には、本体部4による収容空間ASへの容器100の収容が阻害する部材がなく、収容空間ASへの容器100の収容が可能な状態となる。
【0053】
天井搬送車1は、軌道Rの所定位置において、昇降駆動部7により保持部8を下降させる。そして、天井搬送車1は、保持部8により容器100を保持させる。なお、天井搬送車1は、軌道Rの所定位置において、水平駆動部5により保持部8を水平面内おける幅方向に移動させ、その後に、昇降駆動部7により保持部8を下降させてもよい。また、天井搬送車1は、適宜、回転駆動部6により昇降駆動部7及び保持部8を回転させてもよい。
【0054】
保持部8が容器100を保持した後、天井搬送車1は、昇降駆動部7により保持部8を上昇させ、容器100を収容空間ASに収容する。この場合において、第2蓋落下防止部材12に呼び込み部121が形成されているため、第2蓋落下防止部材12の端と容器100との衝突を防止することができる。
【0055】
なお、天井搬送車1は、昇降駆動部7により上昇させた保持部8を、回転機構19により保持部8を回転させたり、水平駆動部5により保持部8を水平面内おける幅方向に移動させたりして、容器100を収容空間ASに収容してもよい。容器100が収容空間ASに収容されると、その容器100の蓋110の上端部に第2蓋落下防止部材12が対向するように配置された状態となる。
【0056】
天井搬送車1は、容器100を収容空間ASに収容すると、駆動部32を駆動させて駆動軸33を第1方向に回転させる。これにより、
図10に例示するように、容器落下防止ユニット20a及び容器落下防止ユニット20bが開状態に移行する。具体的には、駆動軸33が所定方向に回転すると、第1リンク351によって回転軸36に伝達され、回転軸36に固定されている第1容器落下防止部材37が容器落下防止位置OP1まで回動する。また、駆動軸33が所定方向に回転すると、その回転が第2リンク352及び第2歯車部材38によって第3歯車部材40に伝達され、第3歯車部材40の回転軸410に固定されている第2容器落下防止部材41が容器落下防止位置OP2まで回動する。
【0057】
第2容器落下防止部材41aが容器落下防止位置OP2まで回動すると、第1蓋落下防止部材50aは、第2容器落下防止部材41aの回動動作に連動して、第1位置P1から第2位置P2へ回動する。また、第2容器落下防止部材41bが容器落下防止位置OP2まで回動すると、第1蓋落下防止部材50bは、第2容器落下防止部材41bの回動動作に連動して、第1位置P1から第2位置P2へ回動する。これにより、収容空間ASに収容された蓋110の上端部の正面側に固定式の第2蓋落下防止部材12が対向するように配置され、蓋110の下端部の正面側に、可動式の第1蓋落下防止部材50が対向するように配置される。したがって、容器100における蓋110の落下を効果的に防止することができる。
【0058】
ところで、天井搬送車1と処理装置との間でクリアランスを確保するために、各落下防止部材を容器100に近づけて配置したい場合が考えられる。その際には、上昇している容器100と蓋落下防止部材との衝突も考慮しなければならない。容器100が上側の第2蓋落下防止部材12に対向する場合には、容器100が十分に減速しているため、上側の第2蓋落下防止部材12を蓋110に近づけて配置しても衝突のリスクは小さい。したがって、第2蓋落下防止部材12は、固定式である。
【0059】
一方、容器100が下側の第1蓋落下防止部材50に対向する時には、容器100が十分に減速していないため、下側の第1蓋落下防止部材50を蓋110に近づけて配置すると衝突してしまう場合がある。そのため、本実施形態では、下側の第1蓋落下防止部材50は、容器100の上昇が停止してから進出する可動式とすることで、容器100と第1蓋落下防止部材50との衝突を抑制している。
【0060】
上記実施形態は、以下の構成を開示する。
(構成1)
軌道Rに沿って走行し、蓋110が着脱可能に設けられた容器100を収容空間AS内で吊り下げた状態で搬送する天井搬送車1であって、
蓋110を走行方向に交差する幅方向に配置させた状態で容器100を保持する保持部8と、
第1位置P1から蓋110の前面側の第2位置P2に進出することで蓋110が落下することを防止する可動式の第1蓋落下防止部材50と、
収容空間ASに収容された容器100に取り付けられている蓋110の上端部に対向するように配置される第2蓋落下防止部材12と、
を備え、第1蓋落下防止部材50は、第2蓋落下防止部材12よりも下方に配置されている、天井搬送車1。
(構成2)
第1蓋落下防止部材50は、第1位置P1と第2位置P2との間を、鉛直方向を回動軸として水平面に沿って回動可能に設けられている、
構成1に記載の天井搬送車1。
(構成3)
保持部8に保持された容器100の落下を防止する可動式の容器落下防止部材(37,41)を更に備え、
容器落下防止部材(37,41)は、収容空間ASへの容器100の移動軌跡に干渉しない退避位置と、収容空間ASに収容された容器の下側に進出して容器を防止する容器落下防止位置との間を移動可能であり、
第1位置P1から第2位置P2への第1蓋落下防止部材50の進出動作に連動して容器落下防止部材(37,41)が進出し、第2位置P2から第1位置P1への第1蓋落下防止部材50の退避動作に連動して容器落下防止位置から退避位置への容器落下防止部材(37,41)が退避する、
構成1又は構成2に記載の天井搬送車1。
(構成4)
第2蓋落下防止部材12は、下端に向かうにつれて蓋110との間の距離が大きくなる呼び込み部121を備える、
構成1から構成3のいずれかに記載の天井搬送車1。
(構成5)
光を用いて蓋110の脱離を検出する検出部13を更に備え、
検出部13は、蓋110の下端付近と上端付近とを通過するように光を照射する、
構成1から構成5のいずれかに記載の天井搬送車1。
【0061】
上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0062】
1・・・天井搬送車
8・・・保持部
11・・・第1蓋落下防止機構
12・・・第2蓋落下防止部材
13・・・検出部
50・・・第1蓋落下防止部材
100・・・容器
110・・・蓋
120・・・呼び込み部
AS・・・収容空間