IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷蔵庫 図1
  • 特開-冷蔵庫 図2
  • 特開-冷蔵庫 図3
  • 特開-冷蔵庫 図4
  • 特開-冷蔵庫 図5
  • 特開-冷蔵庫 図6
  • 特開-冷蔵庫 図7
  • 特開-冷蔵庫 図8
  • 特開-冷蔵庫 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134655
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240927BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20240927BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240927BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D23/00 302D
F25D27/00
C02F1/32
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044960
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】中野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】村田 颯太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045CA02
3L045KA12
3L045LA02
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA17
3L345AA25
3L345BB05
3L345DD58
3L345GG13
3L345GG17
3L345GG27
3L345GG33
3L345GG34
3L345KK04
4C058AA20
4C058BB06
4C058DD03
4C058DD11
4C058KK02
4C058KK46
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】冷蔵室に噴霧される水を効率よく除菌することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫筐体と、貯蔵室に収納される収納物、又は前記貯蔵室の内側に向けて水を噴霧する水噴霧手段と、除菌作用を有する光を照射する光照射手段と、を備える。前記光照射手段は、前記水噴霧手段に前記水を供給する水供給部材を介した前記水、および前記水噴霧手段から噴霧された前記水のうち少なくとも一方に対して光を照射する構成を持つ。前記光照射手段は、前記水噴霧手段の噴霧口から前記貯蔵室に収納される収納物までの空間に前記光を照射する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫筐体と、
貯蔵室に収納される収納物、又は前記貯蔵室の内側に向けて水を噴霧する水噴霧手段と、
除菌作用を有する光を照射する光照射手段と、を備え、
前記光照射手段は、前記水噴霧手段に前記水を供給する水供給部材を介した前記水、および前記水噴霧手段から噴霧された前記水のうち少なくとも一方に対して光を照射する冷蔵庫。
【請求項2】
前記光照射手段は、前記水噴霧手段の噴霧口から前記貯蔵室に収納される収納物までの空間に前記光を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記噴霧口を前記貯蔵室の天面に配置した前記水噴霧手段により下向きに前記水を噴霧し、
前記光照射手段は、水平または上向きに前記光を照射する、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記光照射手段による前記光の照射は、前記水噴霧手段による前記水の噴霧を停止した後に一定時間継続され、前記一定時間が経過した後に停止される、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記光照射手段は、前記水噴霧手段の噴霧口に向けて前記光を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記光照射手段は、前記水噴霧手段で噴霧された前記水が付着した収納物に前記光を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記水供給部材は、前記光を透過することができる素材により形成され、前記貯蔵室の上側に設けられ、
前記光照射手段は、上向きに前記光を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記光照射手段による前記光の照射は、前記水噴霧手段による前記水の噴霧を開始する前の所定時間に開始し、噴霧を停止した後に一定時間継続され、前記一定時間が経過した後に停止される、請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記光照射手段は、前記貯蔵室において前記水噴霧手段が設けられた側の面に、前記水噴霧手段の噴霧方向に沿った方向に向けて設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記水噴霧手段の噴霧口および前記光照射手段は、前記貯蔵室の側面に設けられ、
前記噴霧口は、前記光照射手段より上に配置され、
前記光照射手段は、前記噴霧口から噴霧される前記水において、前記水の流速が低下し始める流速低下部に前記光を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
紫外線を照射する紫外線光源を備えた複数の前記貯蔵室が設けられ、
前記光照射手段は、複数の前記貯蔵室のうち少なくとも1つの貯蔵室に設けられる第1紫外線光源であり、
他の貯蔵室には、紫外線を照射する第2紫外線光源が設けられ、
前記第1紫外線光源の前記紫外線は、前記第2紫外線光源よりも除菌力が高い、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜室の内部にミスト状の水分粒子を噴霧し、野菜室の湿度を増加させる冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫においては、ミストの噴霧によって野菜室に保存される収容物に水滴が生じると、微生物が繁殖しやすくなる。すなわち、噴霧用水源に雑菌が混入するとそれがより顕著に発生する恐れがあり、ミストの水の除菌が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-105404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、貯蔵室に噴霧される水を効率よく除菌することができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫筐体と、貯蔵室に収納される収納物、又は前記貯蔵室の内側に向けて水を噴霧する水噴霧手段と、除菌作用を有する光を照射する光照射手段と、を持つ。前記光照射手段は、前記水噴霧手段に前記水を供給する水供給部材を介した前記水、および前記水噴霧手段から噴霧された前記水のうち少なくとも一方に対して光を照射する構成を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の冷蔵庫の正面図。
図2図1に示された冷蔵庫のF1-F1線に沿う断面図。
図3図2中に示された冷蔵庫のF2線で囲まれた領域を示す断面図。
図4】第2実施形態の冷蔵庫の野菜室近傍の構成を示す断面図。
図5】第3実施形態の冷蔵庫の野菜室近傍の構成を示す断面図。
図6】第4実施形態の冷蔵庫の野菜室近傍の構成を示す断面図。
図7】第5実施形態の冷蔵庫の野菜室近傍の背面図。
図8図7に示す野菜室近傍の構成を示す断面図。
図9】第6実施形態の冷蔵庫の野菜室近傍の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1実施形態)
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「前後方向」とは、奥行方向を意味する。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味する。図面において、前後方向を符号X、前側を符号X1、後側を符号X2、左右方向又は幅方向を符号Yで示す。
【0009】
本明細書で「除菌」とは、説明の便宜上の呼称であり、ウイルスまたは菌の抑制(例えば、ウイルスの感染性の低下や不活化、菌の増殖抑制)を意味する広い意味の用語として用いている。すなわち、本明細書で「除菌」とは、菌を除去する(減らす)ことに限定されず、菌が増えることを抑制すること、および/または、菌以外のウイルスなどの広まりを抑制することの意味で用いている。「ウイルスなどの広まりを抑制する」とは、冷蔵庫内でウイルスが広まることを抑制することに限定されず、ウイルスの感染性が弱まり、そのウイルスが冷蔵庫の外部に出た後に広まることを抑制する場合も該当し得る。
【0010】
[冷蔵庫の全体構成]
図1及び図2を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0011】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。図2は、図1に示された冷蔵庫1のF1-F1線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体10(冷蔵庫筐体)と、複数の扉20とを備えている。
【0012】
筐体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10e(図2参照)を有する。上壁10aおよび下壁10bは、水平方向に広がる。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。筐体10は、筐体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して筐体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み(図2参照)、断熱性を有する。
【0013】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。冷蔵室11Aは、例えば、約2℃~6℃である冷蔵温度帯に冷却される。チルド室11Aaは、例えば、約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却される。野菜室11Bは、例えば、約3℃~7℃である野菜室温度帯に冷却される。製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eは、例えば、約-20℃~-18℃である冷凍温度帯に冷却される。
【0014】
本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。野菜室11Bは、貯蔵室の一例である。
【0015】
チルド室11Aaは、冷蔵室11Aの下部の一画に設けられている。チルド室11Aaは、「特別貯蔵室」の一例である。本明細書で「特別貯蔵室」とは、冷蔵室よりも温度帯が低く、冷凍室よりも温度帯が高い貯蔵室である。「特別貯蔵室」は、チルド室11Aaに限定されず、パーシャル温度帯(約-4℃~-2℃)に冷却されるパーシャル室などでもよい。このため、以下の説明における「チルド室11Aa」は、「特別貯蔵室」または「パーシャル室」と読み替えられてもよい。
【0016】
筐体10は、第1および第2仕切部15,16を有する(図2参照)。第1および第2仕切部15,16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。各仕切部15,16は、それぞれが貯蔵室11を上部領域と下部領域に区画する。第1仕切部15は、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間に位置し、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部15は、断熱性を有しない仕切壁である。第1仕切部15は、筐体10と一体に設けられていてもよく、筐体10とは別体に設けられて筐体10内に取り付けられていてもよい。第1仕切部15は、冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気を野菜室11Bに導く通気孔を有する。一方で、第2仕切部16は、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間に位置し、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間を仕切っている。第2仕切部16は、例えば筐体10と一体に設けられ、断熱性を有する。
【0017】
複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。左右の冷蔵室扉20Aa,20Abは、例えばフレンチ扉(観音開き扉)を構成する。野菜室扉20B、製氷室扉20C、小冷凍室扉20D、および主冷凍室扉20Eの各々は、冷蔵庫1の前側に引き出し可能な引出扉である。冷蔵室11Aには、複数の棚17が設けられている。
【0018】
冷蔵庫1は、例えば、水噴霧ユニット30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、除菌ユニット70(70A、70B、70C)、および制御装置80を備えている。
【0019】
複数の容器40は、チルド室11Aaに収容された第1および第2チルド室容器41,42、野菜室11Bに収容された第1および第2野菜室容器43,44、製氷室11Cに収容された製氷室容器(不図示)、小冷凍室11Dに収容された小冷凍室容器46、および主冷凍室11Eに収容された第1および第2主冷凍室容器47,48を含む。
【0020】
[流路形成部品]
流路形成部品50は、冷蔵用ダクト部品51と、冷凍用ダクト部品52とを含む。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D1を形成している。本明細書で「ダクト部品」とは、筒状の部品に限定されず、他の部品(例えば筐体10の後壁10e)と協働することで冷気の通路の少なくとも一部を規定する部品を含み得る。例えば、本実施形態の冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eに取り付けられ、筐体10の後壁10eとの間にダクト空間D1を形成するカバーである。
【0021】
冷蔵用ダクト部品51は、冷気吹出口51a,51bおよび冷気戻り口51c,51dを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵室11Aに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気を冷蔵室11Aに供給する。冷気吹出口51bは、チルド室11Aaに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気をチルド室11Aaに供給する。冷気戻り口51cは、チルド室11Aaに開口し、チルド室11Aaを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に向けて導く。冷気戻り口51dは、野菜室11Bに開口し、冷蔵室11Aや野菜室11Bなどを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に導く。冷蔵用ダクト部品51については詳しく後述する。
【0022】
冷凍用ダクト部品52は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷凍用ダクト部品52は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D2を形成している。冷凍用ダクト部品52は、冷気吹出口52aおよび冷気戻り口52bを有する。冷気吹出口52aは、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに開口し、後述する冷凍用冷却器64により冷却された冷気を、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに供給する。冷気戻り口52bは、主冷凍室11Eの下部に開口し、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eのうち1つ以上を通過することで温められた冷気をダクト空間D2に導く。
【0023】
冷蔵用ダクト部品51及び冷凍用ダクト部品52の内部には、不図示の断熱部材が設けられている。断熱部材は、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS:Expanded Poly-Styrene)のような発泡断熱材であり、高い断熱性を有する。断熱部材は、単位厚さ当たりの断熱性がダクト部品51、52よりも良好な断熱部材である。
【0024】
冷却ユニット60は、例えば、圧縮器61、冷蔵用冷却器62、冷蔵室ファン63、冷凍用冷却器64、および冷凍室ファン65を含む。冷蔵用冷却器62および冷蔵室ファン63は、ダクト空間D1に配置されている。冷蔵用冷却器62は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。冷蔵室ファン63が駆動されると、冷蔵用冷却器62により冷却された冷気が冷気吹出口51a,51bから冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaに供給される。冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気の一部は、野菜室11Bに流入する。そして、冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11Bのうち1つ以上で温められた冷気が冷気戻り口51c,51dからダクト空間D1に戻る。
【0025】
冷凍用冷却器64および冷凍室ファン65は、ダクト空間D2に配置されている。冷凍用冷却器64は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。冷凍室ファン65が駆動されると、冷凍用冷却器64により冷却された冷気が冷気吹出口52aから冷凍室(製氷室11C、小冷凍室11D、主冷凍室11E)に供給され、上記冷凍室で温められた空気が冷気戻り口52bからダクト空間D2に戻る。
【0026】
制御装置80は、回路基板と、回路基板に実装された電子部品とを有する。制御装置80は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御装置80は、上述した圧縮器61、冷蔵室ファン63、および冷凍室ファン65の動作などを制御する。また、制御装置80は、除菌ユニット70A、70B、70Cによる紫外線Sの照射を制御する。
【0027】
[水噴霧ユニット]
図3は、図2中に示された冷蔵庫1のF2線で囲まれた領域を示す断面図である。
水噴霧ユニット30は、野菜室11Bに水噴霧手段31を設け、野菜室11Bに水Wを噴霧する。具体的に水噴霧ユニット30は、天面を構成する第1仕切部15に設けられ、本実施形態の冷蔵庫1に装備される除菌ユニット70のうち第1除菌ユニット70Aと組みわせて装備されている。水噴霧ユニット30は、野菜室11Bに向けて水Wを噴霧する水噴霧手段31と、水噴霧手段31に供給する水Wを貯蔵する水供給タンク32(噴霧水供給源)と、水供給タンク32から水噴霧手段31に水Wを流す給水管33(水供給手段)と、を備える。
【0028】
水噴霧手段31は、第1仕切部15の下面において前後方向中央および幅方向中央に取り付けられる噴霧口31aを有する。噴霧口31aは、下方の野菜室11Bの底面に向けて配置され、給水管33から給水される水Wをミスト状にして下方に向けて噴霧する。水噴霧手段31は、例えば超音波方式のものが採用される。超音波方式の水噴霧手段31を用いることで、省スペース化することができる。なお、超音波方式の水噴霧手段31に限定されることはなく、例えば高水圧により噴射するノズル方式等を採用することも可能である。
【0029】
水供給タンク32は、第1仕切部15の上側の冷蔵室11Aにおいて、チルド室11Aaの幅方向の一方に隣接して設けられる。水供給タンク32は、水噴霧手段31で噴霧する水Wを貯めておく設備であり、例えば製氷用タンクと共有で使用される。水供給タンク32が製氷用タンクと共有される場合には、不図示の二つの給水ポンプを備え、それぞれの給水ポンプによって製氷皿(図示省略)と水噴霧手段31との給水が切り替えられる構成を採用できる。水供給タンク32の外壁32aは、光を透過する素材であってもよいし、非透過性の素材であってもかまわない。
【0030】
給水管33は、水噴霧手段31と水供給タンク32とを連結し、水供給タンク32内の水Wを水噴霧手段31に給水する。給水管33は、第1仕切部15の下面15aに沿って配管されている。第1仕切部15の内側に埋設されていてもよいし、第1仕切部15の上側の冷蔵室11Aにおける水供給タンク32が配置される空間に配管されていてもよい。給水管33は、光を透過する素材であってもよいし、非透過性の素材であってもかまわない。
【0031】
[除菌ユニット]
図2に示すように、除菌ユニット70(70A、70B、70C)は、筐体10内に設けられている。本実施形態では、第1除菌ユニット70Aは、水噴霧ユニット30と組み合わせて使用される紫外線光源71(光照射手段)を有し、野菜室11Bの後方に配置されている。第2除菌ユニット70Bは、冷蔵室11Aの内箱10iの天面10fに配置されている。第3除菌ユニット70Cは、チルド室11Aaの後方に配置されている。第2除菌ユニット70Bおよび第3除菌ユニット70Cは、それぞれの室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する紫外線Sを照射する。以下では、水噴霧ユニット30と組み合わせて使用される第1除菌ユニット70Aについて、詳細に説明する。
【0032】
[第1除菌ユニット]
第1除菌ユニット70Aは、除菌作用を有する紫外線S(光)を照射する紫外線光源71(光照射手段、第1紫外線光源)を備えている。
紫外線光源71としては、紫外線LEDが用いられている。紫外線LEDは、中心波長がUV-Bの電磁波を照射する。このような波長の電磁波によれば、例えばUV-Aの電磁波と比べて、除菌力が高く、照射した水Wに対するウイルスまたは菌を抑制することができる。さらに、紫外線光源71の紫外線は、他の第2除菌ユニット70Bおよび第3除菌ユニット70Cに設けられる他の紫外線光源(第2紫外線光源)よりも波長が短く、かつ除菌力が高いことが好ましい。紫外線LEDは、「紫外線光源」の一例である。なお、紫外線光源は、紫外線LEDに限らず、紫外線ランプなどでもよい。
【0033】
紫外線Sは、「ウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光」の一例である。本明細書で「紫外線」とは、中心波長が100nm~400nmの範囲内にある電磁波を意味する。すなわち「紫外線」とは、中心波長が、UV-A(波長315nm~400nm)の電磁波でもよく、UV-B(波長280nm~315nm)の電磁波でもよく、UV-C(波長100nm~280nm)の電磁波でもよい。また「紫外線」とは、中心波長が100nm~400nmの範囲内にあればよく、紫外線LEDから照射される一部の電磁波の波長が400nm以上でもよい(すなわち可視光領域の波長でもよい)。紫外線LEDにより照射される紫外線Sは、人間が見える光を含んでもよく、人間が見える光を含まなくてもよい。
【0034】
図3に示すように、紫外線光源71は、野菜室11B内において第1仕切部15の後端部が固定されるカバー体をなすダクト部品51の上部において、照射方向を前方に向けて配置されている。このように第1除菌ユニット70では、紫外線光源71が野菜室11Bの奥部に設けられているので、野菜室11B全体に後方から前方に向けて水平または上向きに紫外線Sを照射する。すなわち、紫外線光源71は、水噴霧手段31の噴霧口31aから野菜室11Bに収納される収納物Mまでの空間に紫外線Sを照射するように配置される。とくに本実施形態では、紫外線光源71が取り付けられる具体的な位置は、噴霧口31aから噴霧された直後の水Wに紫外線Sが照射される。なお、野菜室11Bに収容され、紫外線光源71に対向する位置に設けられる第2野菜室容器44は、紫外線光源71で照射される紫外線Sを透過する素材により形成されている。
【0035】
第1除菌ユニット70Aは、不図示の回路基板に紫外線光源71のLEDを配置し、透過性を有する不図示のカバーによって紫外線光源71の前方を覆う構成にできる。紫外線光源71を封止することで、紫外線光源71の周りに冷気が流れることが抑制され、紫外線光源71に結露が生じることを抑制できる。
【0036】
[水噴霧ユニットおよび第1除菌ユニットの制御方法]
水噴霧ユニット30および第1除菌ユニット70Aは、図2に示す制御装置80によって水噴霧手段31による水Wの噴霧および紫外線Sの照射が制御される。
【0037】
制御装置80による制御方法の一例として、図3に示すように、冷却ユニット60の冷蔵室ファン63が停止しているときに水噴霧ユニット30の水噴霧手段31を起動させて水Wを噴霧するように制御する。ここで、冷蔵室ファン63の回転中は、冷蔵室11A内の冷気が冷蔵室ファン63の回転方向に流れるため、野菜室11B内の冷気は冷蔵用ダクト部品51に形成されるダクト空間D1内に吸収される。そのため、冷蔵室ファン63の回転中に水噴霧手段31より野菜室11Bに水Wを噴霧しても、流れのある冷気とともに噴霧した水Wもダクト空間D1に吸収されてしまい、効果的な噴霧を行うことができない。そのため、制御装置80では、冷蔵室ファン63が停止しているときに水Wを噴霧するように水噴霧手段31を制御する。
【0038】
また、第1除菌ユニット70Aでは、図2に示す制御装置80によって水噴霧手段31により水Wの噴霧が開始される前の所定時間前(例えば30秒前)から野菜室11B内に紫外線光源71による紫外線Sの照射を開始し、水Wの噴霧が停止された後の一定時間後(例えば30秒後)に停止するように制御される。これにより、水Wの噴霧前の水噴霧手段31の噴霧口31aを紫外線Sによって除菌して衛生的に保ち、噴霧後に水滴が付着した噴霧口31aをきれいに保つことができる。
【0039】
次に、冷蔵庫1の作用について説明する。
【0040】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、筐体10と、貯蔵室11の野菜室11Bに向けて水Wを噴霧する水噴霧手段31と、除菌作用を有する紫外線Sを照射する紫外線光源71と、を備える。紫外線光源71によって水噴霧手段31で使用する水Wに対して紫外線Sを照射する。
このように本実施形態では、野菜室11Bに水噴霧手段31から水Wを噴霧することにより、野菜室11B内を高湿度に維持することができ、収納物Mである青果物を高鮮度に保存することができる。そして、本実施形態では、水噴霧手段31から噴霧される水Wに対して紫外線光源71によって紫外線Sを照射することで、噴霧した水Wが除菌されて清潔に保つことができる。
【0041】
また、本実施形態では、紫外線光源71で照射する紫外線Sの照射対象が水Wとなるので、例えば紫外線LEDの種類や動作時間を水Wに好適となるよう効率よく設定することができ、コストの低減を図ることができる。
【0042】
本実施形態では、紫外線光源71は、水噴霧手段31の噴霧口31aから野菜室11Bに収納される収納物Mまでの空間に紫外線Sを照射する。この場合、野菜室11Bの空間内で水Wが霧状化して表面積が増大した水Wに対して紫外線Sが照射されることから、除菌効率を向上させることができる。
【0043】
本実施形態では、噴霧口31aを野菜室11Bの天面に配置した水噴霧手段31により下向きに水Wを噴霧する。紫外線光源71は、水平または上向きに紫外線Sを照射する。これにより、紫外線Sを噴霧口31aに直接照射させることができ、噴霧される水Wだけでなく、噴霧口31aの除菌も行うことができる。
【0044】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線光源71による紫外線Sの照射は、水噴霧手段31による水Wの噴霧を停止した後に一定時間継続され、一定時間が経過した後に停止される。これにより、水Wの噴霧を停止した後において野菜室11B内に漂っている水Wに対しても紫外線Sを十分に照射して除菌することができる。さらに、水Wの噴霧前の水噴霧手段31の噴霧口31aを紫外線Sによって除菌して衛生的に保つことができるうえ、噴霧後にも水滴が付着した噴霧口31aを衛生的に保つことができる。
【0045】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、第1除菌ユニット70Aの紫外線光源71の紫外線Sは、波長が第2除菌ユニット70Bおよび第3除菌ユニット70Cの第2紫外線光源よりも短く、かつ除菌力が高い。そのため、水噴霧手段31から噴射される水Wに対して短時間で効果的に照射できる紫外線Sを使用することができる。
【0046】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、野菜室11Bに噴霧される水Wを効率よく除菌することができる冷蔵庫を提供することができる。
【0047】
以下、上述した他の実施形態について説明する。なお各他の実施形態で説明する以外の構成については、上記第1実施形態の構成と同様である。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態による冷蔵庫1Aについて説明する。図4は、第2実施形態の冷蔵庫1Aの野菜室11B近傍の構成を示す断面図である。冷蔵庫1Aは、第1除菌ユニット70Dの紫外線光源71(光照射手段)において、水噴霧手段31の噴霧口31aに向けて紫外線S(光)を照射するように配置した構成である。すなわち、紫外線光源71は、水平または上向きに紫外線Sを照射する向きで冷蔵用ダクト部品51に固定されている。また、紫外線光源71は、噴霧口31aに照射される紫外線Sの照射範囲の中心Scが向くように配置されることが好ましい。
【0049】
第2実施形態による冷蔵庫1Aでは、紫外線Sを水噴霧手段31の噴霧口31aに直接照射させることができ、噴霧される水Wだけでなく、噴霧口31aの除菌も行うことができる。
【0050】
また、この場合には、噴霧直後の水Wの全てに紫外線Sを照射することができる。なお、噴霧口31a付近から噴霧される水Wは流速が大きいことから、短時間で除菌が可能な、紫外線Sの中心波長が100nm~280nmの電磁波であるUV-C等の高出力の紫外線LEDが好適である。
【0051】
なお、第2実施形態では、水噴霧手段31の噴霧口31aが下向きに水Wを噴霧するように第1仕切部15に設けられているが、この位置に限定されることはない。ここでは、噴霧口31aが紫外線光源71の紫外線Sの照射範囲内に配置されていればよく、この範囲内において、水噴霧手段31の配置、噴霧方向、および紫外線Sの照射方向を適宜変更することが可能である。
【0052】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態による冷蔵庫1Bについて説明する。図5は、第3実施形態の冷蔵庫1Bの野菜室11B近傍の構成を示す断面図である。
図5に示すように、冷蔵庫1Bは、水噴霧ユニット30Aの水噴霧手段31の噴霧口31aおよび紫外線光源71(光照射手段)が、野菜室11Bの後側X2の冷蔵用ダクト部品51の面(側面)に設けられている。紫外線光源71は、水噴霧手段31による噴霧方向に沿った方向に向けて設けられている。なお、本実施形態の冷蔵庫1Bにおいて貯蔵室(野菜室11B)内の側面とは、左右方向Yを向く面(右側面、左側面)のみではなく、前後方向Xの後側面(奥側の側面)も含むものをいう。
【0053】
第3実施形態による水噴霧ユニット30Aは、野菜室11Bに向けて水Wを略水平に噴霧する水噴霧手段31と、冷却ユニット60の冷蔵用冷却器62を除霜したときに生じる除霜水(水W)を貯蔵する水受け皿34(噴霧水供給源)と、水受け皿34から水噴霧手段31に水Wを給水する給水管35(水供給手段)と、を備える。
【0054】
水噴霧手段31は、上述した第1実施形態と同様の超音波方式の構成であり、取り付け位置と水Wの噴霧方向が異なっている。水受け皿34は、冷蔵用ダクト部品51に形成されるダクト空間D1において冷蔵用冷却器62の下方に配置されている。そのため、水受け皿34は、上述した第1実施形態のように製氷用タンクと共有されるものではない。水受け皿34には、例えば仕切を設けて一定量の水が排水されずに溜まるようにすることで、皿内に溜まった水Wを切らすことなく効率よく水噴霧手段31に給水することができる。また、冷蔵用冷却器62の除霜水は真水のためミネラル成分の結晶化などは発生しない。給水管35は、例えば吸水性のポリマーや不織布等から形成され、毛細管現象によって水受け皿34に溜まった水Wを水噴霧手段31に給水する構成を採用できる。
【0055】
噴霧口31aは、紫外線光源71より上に配置されている。紫外線光源71は、噴霧口31aから噴霧される水Wにおいて、水Wの流速が低下し始める流速低下部に紫外線Sの照射範囲の中心Scを向けて照射するように配置されている。なお、噴霧口31aは、紫外線光源71と同じ高さの位置に配置されていてもよいし、紫外線光源71より下に配置設置されていてもよい。要は、紫外線光源71の照射範囲内に噴霧した水Wが含まれるように配置されていればよい。
【0056】
上述した水Wの流速が低下し始める流速低下部は、噴霧された水Wが空気抵抗により噴出方向における速度が低下した領域であって、噴霧口31aから所定距離(例えば1cm~10cm)離れた部分、霧化された水Wが噴出方向以外の方向への拡散する部分、あるいは霧化された水Wが空気抵抗により噴出方向における速度が所定以下になった部分をいう。
【0057】
第3実施形態の紫外線Sの波長として、低コストで除菌力のあるUV-B(波長280nm~315nm)の波長が採用される。
【0058】
第3実施形態による水噴霧ユニット30の制御方法では、水噴霧ユニット30Aによる水Wの噴霧は、上述したように冷蔵室ファン63の停止中だけではなく、冷蔵用冷却器62による冷却動作の停止中に行うように制御する。すなわち、冷蔵室ファン63の回転と冷蔵用冷却器62に冷却動作との両方が停止したときに、水Wが噴霧される。この場合には、冷蔵用冷却器62から生じる除霜水が噴霧に必要な水Wとなるため、冷蔵用冷却器62の冷却動作の停止も水Wの噴霧動作の条件となる。
【0059】
第3実施形態による紫外線光源71の制御は、水噴霧手段31により水Wの噴霧が開始されると同時に野菜室11B内に紫外線Sを照射し始め、水Wの噴霧が停止された後の一定時間後(例えば30秒後)に停止するように制御される。本第3実施形態では、上述したように水Wの噴霧時間の制約が増えるため、噴霧開始前の紫外線Sの照射を省略した制御を行うことで、紫外線Sの照射時間の短縮している。
【0060】
このように、第3実施形態では、以下のような作用効果を有する。噴霧口31a付近は、噴霧される水Wの密度が高く、かつ噴出する水Wの流速が大きいため、水Wに対する紫外線Sの照射が不十分となり除菌しきれない可能性がある。そこで、本実施形態のように、噴霧口31aから距離が離れた、水Wの流速が低下し始める流速低下部に紫外線Sを照射することで、水Wを確実に除菌できる。
【0061】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態による冷蔵庫1Cについて説明する。図6は、第4実施形態の冷蔵庫1Cの野菜室11B近傍の構成を示す断面図である。
図6に示すように、冷蔵庫1Cは、上述した第1実施形態の紫外線光源71(光照射手段)における紫外線Sの照射方向を変えた構成である。
【0062】
第4実施形態の紫外線光源71は、水噴霧手段31で噴霧された水Wが付着した収納物Mに紫外線Sを照射する。収納物Mは、野菜室11Bの第2野菜室容器44に収納されている。第2野菜室容器44は、紫外線光源71で照射される紫外線Sを透過する素材により形成されている。紫外線光源71は、野菜室11Bにおける冷蔵用ダクト部品51の上側に固定されている。そのため、紫外線光源71は、収納物Mよりも高い位置に配置されるので、前側X1又はやや下向きに設置されている。紫外線光源71は、平面視して噴霧口31aから噴霧される水Wが付着する収納物Mが配置される第2野菜室容器44の中心に紫外線Sの照射範囲の中心Scを向けて照射するように配置されている。なお、収納物Mの厚みを考慮して、紫外線Sの照射範囲の中心Scを手前(紫外線光源71寄りの位置)にしてもよい。
【0063】
この場合には、収納物Mが長期間留まって動かないことから、紫外線Sの波長として、長時間動作可能で出力が低いUV-A(波長315nm~400nm)の波長を採用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0064】
そして、第4実施形態による紫外線光源71では、紫外線Sの照射対象が動きのない収納物Mに付着した水Wとなることから、水噴霧手段31からの水Wの噴霧のタイミングに関わらず紫外線Sを収納物Mに照射することができる。
【0065】
第4実施形態では、噴霧による水Wが収納物Mに付着した後に紫外線Sを照射して除菌する構成であり、収納物Mに接触している水Wのみが照射対象となることから、効果的な除菌が可能となる。また、水噴霧手段31によって噴霧される水Wが付着する前の収納物Mにおいても紫外線Sが照射されることから、野菜などの収納物Mの表面に付着していた雑菌を除菌できる効果も有する。
【0066】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態による冷蔵庫1Dについて説明する。図7は、第5実施形態の冷蔵庫1Dの野菜室11B近傍の背面図である。図8は、図7に示す野菜室11B近傍の構成を示す断面図である。
図7及び図8に示すように、冷蔵庫1Dは、上述した第1実施形態の紫外線光源71(光照射手段)の位置を変えた構成である。
【0067】
第5実施形態による冷蔵庫1Dは、水供給タンク32(噴霧水供給源)の外壁32aが紫外線光源71で照射される紫外線Sを透過する素材により形成されている。紫外線光源71は、外壁32aを透過させて水供給タンク32に貯蔵された水Wに紫外線Sを照射する。紫外線光源71は、水供給タンク32の周囲に複数配置されている。具体的には、水供給タンク32の後側X2に位置する冷蔵用ダクト部品51に固定される2つの紫外線光源71A、71Bと、水供給タンク32の幅方向の側方に配置される紫外線光源71Cと、を有する。紫外線光源71A、71B、71Cは、それぞれ前向き、あるいはやや下向きに設置されている。紫外線光源71A、71B、71Cは、平面視して水供給タンク32の中心に紫外線Sの照射範囲の中心Scを向けて照射するように配置されている。
【0068】
この場合には、水供給タンク32には水Wが溜まった状態であることから、紫外線Sの波長として、長時間動作可能で出力が低いUV-A(波長315nm~400nm)の波長を採用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0069】
そして、第5実施形態による紫外線光源71では、紫外線Sの照射対象が動きが少ない水供給タンク32に溜まった水Wとなることから、水噴霧手段31からの水Wの噴霧のタイミングに関わらず紫外線Sを水供給タンク32内の水Wに照射することができる。そして、ある程度の時間紫外線Sを水供給タンク32内の水Wに対して確実に照射し続けたり、一定の周期で繰り返し照射することができる。また、水供給タンク32内の水Wが空になったときには、紫外線Sの照射を停止すればよい。
【0070】
なお、野菜室11Bへの水Wの噴霧のために水Wを水供給タンク32に長期間貯めておくと、雑菌が繁殖し噴霧する水W全体に雑菌が混入する可能性があるが、本実施形態のように水供給タンク32に向けて外壁32aを通して紫外線Sを照射することで水供給タンク32に貯蔵される水Wを効率よく除菌することができる。また、水供給タンク32が製氷用タンクと共有している場合には、紫外線Sの照射により製氷も衛生的に行うことができる。
【0071】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態による冷蔵庫1Eについて説明する。図9は、第5実施形態の冷蔵庫1Eの野菜室11B近傍の構成を示す断面図である。
図9に示すように、冷蔵庫1Eは、上述した第1実施形態の紫外線光源71(光照射手段)の位置を変えた構成である。紫外線光源71は、上述した第1実施形態と同様に水噴霧手段31の噴霧口31aから噴霧される水Wに向けて紫外線Sを照射する紫外線光源71Dと、給水管33に向けて紫外線Sを照射する紫外線光源71Eと、を有する。なお、本第6実施形態では、紫外線光源71Dおよび紫外線光源71Eの両方を備えた構成としているが、紫外線光源71Dと紫外線光源71Eのいずれか一方のみ備える構成であっても良い。
【0072】
第6実施形態による冷蔵庫1Eは、給水管33(水供給手段)が紫外線光源71Eで照射される紫外線Sを透過する素材により形成されている。紫外線光源71Eは、給水管33を透過させて給水管33内を流れる水Wに紫外線Sを照射する。紫外線光源71D、71Eは、それぞれ野菜室11Bにおける冷蔵用ダクト部品51の上側に固定されている。そのため、紫外線光源71Eは、給水管33よりも低い位置に配置されるので、前側X1又はやや上向きに設置されている。給水管33を照射する紫外線光源71Eは、噴霧口31aを照射する紫外線光源71Dより下側に配置されている。紫外線光源71Eは、平面視して給水管33に紫外線Sの照射範囲の中心Scを向けて照射するように配置されている。
【0073】
この場合には、給水管33には水Wが流れる状態であることから、紫外線光源71Eの紫外線Sの波長として、短時間で除菌が可能な高出力のUV-C(波長100nm~280nm)の波長を採用することが好適である。
【0074】
そして、第6実施形態による紫外線光源71Eでは、水噴霧手段31により水Wの噴霧が開始される前の所定時間前(例えば30秒前)から給水管33に紫外線Sを照射し始め、水Wの噴霧が停止された後の一定時間後(例えば30秒後)に停止するように制御される。これにより、水Wの噴霧前の給水管33内の水Wを紫外線Sによって除菌して衛生的に保ち、噴霧後に給水管33内で滞留する水Wもきれいに保つことができる。このように、本第6実施形態では、水供給タンク32の水Wの表面積よりも細い給水管33内の水Wの表面積が大きくなることから、給水管33に向けて紫外線Sを照射することで、効率的に除菌することができる。また、給水管33を図示しない製氷皿への給水管に接続することにより給水管33が製氷に転用している場合には、紫外線Sの照射により製氷も衛生的に行うことができる。これにより、水供給タンク32が製氷用タンクと共有されても、ひとつの給水ポンプのみで水噴霧手段31および製氷皿へ供水を行うことができる。
【0075】
第6実施形態では、給水管33を貯蔵室(野菜室11B)の上方側に設け、さらに紫外線光源71Eを上向きに設置して給水管33に向けて紫外線Sを照射することにより、紫外線Sが野菜室11Bの上壁面に向けて照射され、ユーザが野菜室11Bの奥側を覗くときに、紫外線光源71Eから紫外線Sが直接にユーザの目に入ることや、野菜室11Bの容器底壁上面に反射された紫外線Sがユーザの目に入ることを抑制できる。なお、このような給水管33と紫外線光源71Eとを備える構成は、野菜室11Bに設けられることに制限されることはなく、他の貯蔵室であってもかまわない。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0077】
上述した、実施形態では、水噴霧手段31から噴霧する水Wに対する除菌する貯蔵室の対象として野菜室11Bを例示しているが、野菜室11Bであることに限定されることはなく、他の貯蔵室に適用することも可能であるし、複数の貯蔵室に対して適用することも可能である。
【0078】
上述した第1実施形態~第6実施形態の構成は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A、1B、1C、1D、1E…冷蔵庫、10…筐体、11A…冷蔵室、11Aa…チルド室(特別貯蔵室)、11B…野菜室、30、30A…水噴霧ユニット、31…水噴霧手段、31a…噴霧口、32…水供給タンク(噴霧水供給源)、33、35…給水管(水供給手段)、34…水受け皿(噴霧水供給源)、44…第2野菜室容器、51…冷蔵用ダクト部品、62…冷蔵用冷却器、63…冷蔵室ファン、70、70A、70B、70C…除菌ユニット、71…紫外線光源(光照射手段)、80…制御装置、M…収納物、S…紫外線(光)、W…水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9