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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134658
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】吹出口装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240927BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60H1/34 631
F24F13/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044967
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】汐月 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA06
3L211AA01
3L211BA51
3L211DA14
3L211DA82
(57)【要約】
【課題】コンパクト化が可能であるとともに、レイアウトの自由度を向上できる吹出口装置を提供する。
【解決手段】吹出口装置1は、内部に通気路5を区画するとともに、吹出口を形成するケース体3と、ケース体3にて通気路5に回動可能に配置され、回動に応じて通気路5を開閉可能な遮蔽体15と、遮蔽体15の回動方向と異なる方向に回動操作可能な操作部21と、互いに異なる動作をする複数のリンク部材を有し、操作部21の動作に遮蔽体15を連動させるリンク機構22と、を備える。リンク機構22は、通気路5の外部に配置され、一のリンク部材の動作を他のリンク部材の動作に変換することで回動軸線が異なる操作部21と遮蔽体15とを連動させて回動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通気路を区画するとともに、吹出口を形成するケース体と、
このケース体にて前記通気路に回動可能に配置され、回動に応じて前記通気路を開閉可能な遮蔽体と、
この遮蔽体の回動方向と異なる方向に回動操作可能な操作部と、
互いに異なる動作をする複数のリンク部材を有し、前記操作部の動作に前記遮蔽体を連動させるリンク機構と、を備え、
前記リンク機構は、前記通気路の外部に配置され、一の前記リンク部材の動作を他の前記リンク部材の動作に変換することで回動軸線が異なる前記操作部と前記遮蔽体とを連動させて回動させる
ことを特徴とする吹出口装置。
【請求項2】
リンク機構は、
操作部側と接続される第一リンク部材と、
遮蔽体側と接続される第二リンク部材と、を有し、
前記第一リンク部材は、前記操作部の回動に伴い円弧状に回動するように動作し、
前記第二リンク部材は、前記第一リンク部材の動作に伴い前記遮蔽体の回動軸線と交差する方向にスライドする
ことを特徴とする請求項1記載の吹出口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動に応じて通気路を開閉可能な遮蔽体を備える吹出口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹出口に配置される吹出口装置がある。吹出口装置は、例えばインストルメントパネルやセンタコンソール部などの車両の各部に設置されて、冷暖房による快適性能の向上に寄与している。
【0003】
このような吹出口装置において、吹出口に位置する前側のフィンと、それと直交する回動軸を有する後側のフィンと、後側のフィンの後側にあって各フィンと直交する回動軸を有するダンパ装置と、を備え、前側のフィンに設けた操作ノブを軸回りに回転させると、回転力が歯車に伝達してダンパ装置が回動することで通気路を開閉する風向調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この構成では、一つの操作ノブによって、前側のフィンと、後側のフィンと、ダンパ装置と、の三つの部材を操作でき、吹出口の開口面積を確保しつつ、コンパクト化(薄型化)を図ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-159876号公報 (第8-14頁、図5-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の吹出口装置の場合、前側のフィンに設けた操作ノブを利用することから、レイアウト上、操作ノブが吹出口に位置することとなる。そのため、吹出口からの送風を操作ノブによって妨げないように、吹出口の小型化に限度があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、コンパクト化が可能であるとともに、レイアウトの自由度を向上できる吹出口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の吹出口装置は、内部に通気路を区画するとともに、吹出口を形成するケース体と、このケース体にて前記通気路に回動可能に配置され、回動に応じて前記通気路を開閉可能な遮蔽体と、この遮蔽体の回動方向と異なる方向に回動操作可能な操作部と、互いに異なる動作をする複数のリンク部材を有し、前記操作部の動作に前記遮蔽体を連動させるリンク機構と、を備え、前記リンク機構は、前記通気路の外部に配置され、一の前記リンク部材の動作を他の前記リンク部材の動作に変換することで回動軸線が異なる前記操作部と前記遮蔽体とを連動させて回動させるものである。
【0008】
請求項2記載の吹出口装置は、請求項1記載の吹出口装置において、リンク機構は、操作部側と接続される第一リンク部材と、遮蔽体側と接続される第二リンク部材と、を有し、前記第一リンク部材は、前記操作部の回動に伴い円弧状に回動するように動作し、前記第二リンク部材は、前記第一リンク部材の動作に伴い前記遮蔽体の回動軸線と交差する方向にスライドするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の吹出口装置によれば、操作部を吹出口に配置したり、操作部の回動軸線上に遮蔽体の回動軸線を設定したりする必要がなく、コンパクト化と、レイアウトの自由度の向上と、の両立を図ることができる。
【0010】
請求項2記載の吹出口装置によれば、請求項1記載の吹出口装置の効果に加えて、操作部の回動操作に伴い、第一リンク部材及び第二リンク部材を連動させて遮蔽体を回動させるリンク機構を簡素に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態の吹出口装置を示す側面図であり、(a)は遮蔽体が通気路を遮蔽していない状態を示し、(b)は遮蔽体が通気路を遮蔽している状態を示す。
図2】同上吹出口装置を後方から示す斜視図である。
図3】同上吹出口装置の分解斜視図である。
図4】同上吹出口装置の斜視図である。
図5】本発明の第2の実施の形態の吹出口装置を後方から示す斜視図である。
図6】同上吹出口装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図3及び図4において、1は吹出口装置である。吹出口装置1は、空調装置と接続され、空調風を吹き出す。以下、説明をより明確にするために、吹出口装置1は、風が吹き出す側である風下側を前側、正面側または手前側とし、その反対側、つまり風を受け入れる側である風上側を後側、背後側または奥側として、前側から見て左右方向である両側方向または幅方向、及び、上下方向を規定する。本実施の形態において、吹出口装置1は、自動車などの車両用の空調装置に適用される。吹出口装置1は、任意の位置に配置されていてよいが、図面においては、矢印FR側を前側、矢印RR側を後側、矢印L側を左側、矢印R側を右側、矢印U側を上側、矢印D側を下側とするように配置されているものとする。これらの方向は、あくまで一例として図示されるものであって、吹出口装置1の設置位置や設置向きによって適宜変更されるものとする。
【0014】
吹出口装置1は、ケース体3を備える。ケース体3は、ダクトとも呼ばれる。ケース体3は、筒状に形成されている。本実施の形態において、ケース体3は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、ケース体3は、角筒状に形成されている。ケース体3により、内部に通気路5が囲まれている。ケース体3の中心軸に平行な方向が通気路5の通気方向である。本実施の形態において、通気路5の通気方向は、前後方向であり、後方から前方に向かって通気される。すなわち、通気路5において、後側は通気方向の上流側、前側は通気方向の下流側である。
【0015】
ケース体3は、通気路5の通気方向に所定長を有する。本実施の形態において、ケース体3は、上下方向に扁平であり、左右方向に長手状、つまり横長に形成されている。したがって、吹出口装置1は、横型の薄型に形成されている。ケース体3は、通気路5の中央部、すなわち中心軸を挟んで互いに対向する一対の端壁部6と、これら一対の端壁部6間を連結する一対の側壁部7と、を一体的に有する。一対の端壁部6は、上下方向に互いに対向し、一対の側壁部7は、左右方向に互いに対向する。一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との後端部により、通気路5に空気すなわち空調風を受け入れる受入口8が囲まれ、一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との前端部により、通気路5から空調風を排出する吹出口9が囲まれる。つまり、ケース体3の後端部は、通気路5に空調風を受け入れる受入口8であり、ケース体3の前端部は、通気路5から空調風を吹き出す吹出口9となっている。受入口8と吹出口9との間にこれらを連通する通気路5が形成されている。受入口8から吹出口9へと空調風が通過する。受入口8及び吹出口9は、それぞれ横長となっている。
【0016】
ケース体3は、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。本実施の形態では、ケース体3は、ケース本体部11と、意匠部材であるフィニッシャ12と、を有する。ケース本体部11は、ケース体3の上流側の過半を構成する主体部である。ケース本体部11は角筒状に形成されている。ケース本体部11の前端すなわち下流端にフィニッシャ12が取り付けられている。フィニッシャ12は、パネルとも呼ばれ、吹出口装置1の設置位置の車室内意匠の一部をなす。フィニッシャ12は、吹出口9を囲む四角形枠状に形成されている。本実施の形態では、フィニッシャ12は、ケース本体部11よりも左右方向に広く、つまりケース本体部11よりも幅広に形成されている。
【0017】
ケース体3の内部、すなわち通気路5には、遮蔽体15が配置されている。遮蔽体15は、バルブなどとも呼ばれる。遮蔽体15は、ケース体3に対して回動することで、その回動に応じて通気路5を開閉するシャットバルブである。遮蔽体15は四角形板状に形成されている。遮蔽体15は、通気路5の断面形状より大きい外形を有する。本実施の形態において、遮蔽体15は、上下方向に回動可能であり、通気路5よりも上下方向に断面積が大きく形成されている。また、遮蔽体15は、通気路5において、ケース体3の受入口8の近傍、つまり上流端側に配置されている。
【0018】
遮蔽体15は、遮蔽体回動部16を有する。遮蔽体回動部16が、ケース体3(ケース本体部11)に形成された遮蔽体回動受け部17に回動可能に保持される。本実施の形態において、遮蔽体回動受け部17は、側壁部7に形成されている。例えば、遮蔽体回動部16と遮蔽体回動受け部17とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、遮蔽体回動部16が軸部、遮蔽体回動受け部17が丸穴状の穴部または凹部である。図示される例では、一方の遮蔽体回動部16は、遮蔽体15と一体的な軸部であり、他方の遮蔽体回動部16は、一方の遮蔽体回動部16と同軸状にあって遮蔽体15と一体的な取付部18に対し軸部材19が接続されて、軸部として構成されている。また、遮蔽体回動受け部17は、ケース体3の側壁部7に形成されている。本実施の形態において、遮蔽体回動受け部17は、側壁部7の上下方向の中央部に位置する。
【0019】
軸部材19は、ピンなどとも呼ばれ、取付部18に対し回り止めされた状態で一体的に接続されている。例えば、取付部18に形成された取付部接続部18aと軸部材19に形成された軸部材接続部19aとが互いに接続されることで、取付部18と軸部材19とが一体的に固定される。取付部接続部18aと軸部材接続部19aとの一方は角柱状であり、他方は角穴部または凹部である。図示される例では、取付部接続部18aが角穴部、軸部材接続部19aが角柱状部である。そして、軸部材接続部19aが、ケース体3の外部から遮蔽体回動受け部17に挿通されて、通気路5内に位置する遮蔽体15の取付部18の取付部接続部18aに挿入嵌合されて接続され、軸部材19の一部が遮蔽体回動受け部17に回動可能に保持されている。したがって、一方の側壁部7を挟み、ケース体3の内部(通気路5)に取付部18が位置し、ケース体3の外部に軸部材19の残りの他部が位置する。
【0020】
遮蔽体15の回動は、操作部21の操作に連動する。本実施の形態では、操作部21の操作がリンク機構22を介して軸部材19に伝達されることにより、遮蔽体15が回動するように構成されている。操作部21及びリンク機構22は、通気路5の外部に位置する。
【0021】
操作部21は、操作ノブ、あるいは操作ダイアルとも呼ばれる。操作部21は、回動操作可能に設けられている。操作部21の回動方向は、遮蔽体15の回動方向と異なっている。本実施の形態において、操作部21の回動軸線C1は、前後方向に沿っており、左右方向に沿う遮蔽体15の回動軸線C2と交差または直交する方向となっている。そして、操作部21は、吹出口装置1の意匠側つまり車室側に露出して使用者が直接操作する摘み部24と、リンク機構22と接続される連結部25と、を一体的に有する。
【0022】
摘み部24は、例えば円柱状に形成されている。摘み部24は、例えばケース体3のフィニッシャ12にて吹出口9の側方に延出する延出部12aに配置されている。そして、摘み部24は、連結部25に対し回り止めされた状態で一体的に接続されている。例えば、摘み部24に形成された摘み部接続部24aと連結部25に形成された連結部接続部25aとが互いに接続されることで、摘み部24と連結部25とが一体的に固定される。摘み部接続部24aと連結部接続部25aとの一方は角柱状であり、他方は角穴部または凹部である。図示される例では、摘み部接続部24aが角柱状、連結部接続部25aが角穴部である。そして、摘み部接続部24aが、フィニッシャ12(延出部12a)の前方から、延出部12aに形成された丸穴状の挿入開口部27に挿通されて、フィニッシャ12(延出部12a)の背後側に位置する連結部25の連結部接続部25aに挿入嵌合されて接続され、摘み部24の一部が挿入開口部27に回動可能に保持されている。したがって、フィニッシャ12(延出部12a)を挟み、意匠側つまり車室側に摘み部24の残りの他部が位置し、背後側に連結部25が位置する。
【0023】
挿入開口部27は、延出部12aを厚み方向である前後方向に貫通して形成されている。挿入開口部27の中心部は、吹出口9の上下方向の中央部と、上下方向に略一致する位置にある。そのため、挿入開口部27の中心部と一致する操作部21の回動軸線C1と、遮蔽体15の回動軸線C2と、が、上下方向において同一または略同一の位置にある。操作部21(摘み部24)は、前側から見て吹出口9の上下方向の高さの幅内に収まっている。
【0024】
連結部25は、挿入開口部27よりも外径が大きい円柱状または円筒状に形成されている。連結部25には、径方向に突出する腕部30を備え、腕部30の先端部に、リンク機構22と連結されるリンク連結部31が形成されている。リンク連結部31は、後方に開口するコ字状に形成されている。
【0025】
本実施の形態において、操作部21は、正面から見て連結部25が吹出口9に対して最も離れた位置、つまり操作部21の左側部にある位置が遮蔽体15の開点位置(図2の実線に示す位置)P1aであり、連結部25が操作部21の回動軸線C1の直下にある位置が遮蔽体15の閉点位置(図2の破線に示す位置)P1bとして設定されている。
【0026】
そして、リンク機構22は、互いに動作が異なる複数のリンク部材を有し、一のリンク部材の動作を他のリンク部材の動作に変換する変換機構として構成されている。
【0027】
図示される例では、リンク機構22は、第一リンク部材34と、第二リンク部材35と、を有する。例えば、第一リンク部材34は、回動動作をするものであり、第二リンク部材35は、スライド動作をするものである。つまり、これら第一リンク部材34と第二リンク部材35とは、互いに動作が異なるリンク部材である。第一リンク部材34は、一端部である前端部が操作部21側、本実施の形態では連結部25のリンク連結部31と接続され、他端部である後端部が第二リンク部材35の一端部である前端部と接続される。また、第二リンク部材35は、他端部である後端部が遮蔽体15側、本実施の形態では軸部材19と接続される。
【0028】
第一リンク部材34は、操作部側リンク部材、あるいはダイアルリンクなどとも呼ばれる。第一リンク部材34は、操作部21と連結される操作部側接続部37と、第二リンク部材35と連結されるリンク部材側接続部38と、を有する。第一リンク部材34は、操作部側接続部37に連なる第一部分40に対し、リンク部材側接続部38に連なる第二部分41が傾斜して延びる長尺状に形成されており、第一部分40と第二部分41とがクランク状に屈曲されて連なっている。そして、第一リンク部材34は、操作部側接続部37及び第一部分40を前側、リンク部材側接続部38及び第二部分41を後側として配置される。
【0029】
操作部側接続部37は、第一リンク部材34の一端部である前端部に位置する。本実施の形態において、操作部側接続部37は、球状に形成され、リンク連結部31により両側が回動可能に保持されている。
【0030】
また、リンク部材側接続部38は、第一リンク部材34の他端部である後端部に位置する。リンク部材側接続部38は、球状に形成され、第二リンク部材35に形成されたリンク連結部43により両側が回動可能に保持されている。
【0031】
第二リンク部材35は、遮蔽体側リンク部材、あるいはバルブリンクなどとも呼ばれる。第二リンク部材35は、第一リンク部材34と連結されるリンク連結部43と、軸部材19と連結される遮蔽体側接続部44と、を有する。第二リンク部材35は、長尺状に形成されており、ガイド部46に保持されて、前後方向に長手方向を沿わせ、前後方向、つまり遮蔽体15の回動軸線C2に対して交差または直交する方向にスライド可能に配置されている。ガイド部46は、レール部などとも呼ばれる。本実施の形態において、ガイド部46は、ケース体3の一方の側壁部7の側部に形成されている。そのため、第二リンク部材35は、操作部21の回動軸線C1に対して、左右方向、本実施の形態では右側に離れて位置する。また、図示される例では、第二リンク部材35は、後端部がL字状に屈曲されている。本実施の形態において、第二リンク部材35は、最も前側つまり操作部21に対し前後方向に最も接近した位置が遮蔽体15の開点位置(図2の実線に示す位置)P2aであり、最も後側つまり操作部21に対し前後方向に最も離れた位置が遮蔽体15の閉点位置(図2の破線に示す位置)P2bである。
【0032】
リンク連結部43は、第一リンク部材34側である前方に開口するコ字状に形成されている。リンク連結部43の開口方向は、操作部21側に向かって傾斜する方向となっている。本実施の形態では、リンク連結部43は、左前方に開口されている。ガイド部46に第二リンク部材35が保持されている位置で、リンク連結部43は、操作部21の回動軸線C1に対して側方、本実施の形態では右側にずれて位置する。すなわち、第一リンク部材34と第二リンク部材35との連結点が、操作部21の回動軸線C1から離れた構成となっている。
【0033】
本実施の形態において、遮蔽体側接続部44は、第二リンク部材35からケース体3の側壁部7側に突出するピン状に形成されている。遮蔽体側接続部44は、軸部材19に形成された接続受け部48と連結されている。接続受け部48は、軸部材19から径方向に突出した位置に形成されている。つまり、接続受け部48は、遮蔽体15の回動軸線C2に対して離れた位置にある。また、第二リンク部材35と遮蔽体15との連結点は、操作部21の回動軸線C1から離れた構成となっている。
【0034】
その他、通気路5には、ケース体3に動作可能に保持されて回動などの動作により配風するためのフィン(ルーバ)を備えていてもよい。フィンは、吹出口9に臨んで位置する一段構成でもよいし、吹出口9とその上流側とに位置する二段構成でもよい。二段構成の場合、上流側のフィンと下流側のフィンとは、その回動軸線が直交していることが好ましい。各段のフィンの枚数は、単数でも複数でもよい。フィンを備える場合、吹出口装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれる風向調整装置となる。
【0035】
そして、吹出口装置1は、受入口8を空調装置と連結して配置する。操作部21及び第二リンク部材35が遮蔽体15の開点位置P1a,P2aにある状態では、図1(a)に示すように遮蔽体15の各主面が通気方向に沿っていて通気路5を遮蔽していない。そのため、空調装置からの空調風は、受入口8から通気路5を通過し、吹出口9(図4)から吹き出される。吹出口装置1がフィンを有する場合、フィンの動作に応じて、吹出口9(図4)から吹き出される空調風の方向が変わる。
【0036】
他方、吹出口9(図4)からの空調風の吹き出しを遮断する場合には、遮蔽体15により通気路5を遮断する。このとき、使用者は、摘み部24を摘んで操作部21を、図2に示すように遮蔽体15の開点位置P1aから閉点位置P1bへと、周方向、例えば図2に示す時計回り方向(矢印Xに示す)に回動させると、連結部25に操作部側接続部37が連結されていることにより、第一リンク部材34の前端部側が操作部21の回動軸線C1を中心とする円弧状に回動する。このとき、リンク連結部43が操作部21の回動軸線C1上になく、この回動軸線C1から離れていることから、第二リンク部材35が遮蔽体15の開点位置P2aにあるときのリンク連結部43の位置を基準として、操作部21が遮蔽体15の開点位置P2aにあるときの連結部25までの前後方向の距離D1に対し、操作部21が遮蔽体15の閉点位置P1bに回動した状態での連結部25までの前後方向の距離D2が変化する。本実施の形態では、距離D1に対し、距離D2が短くなる。そこで、操作部21と第二リンク部材35とが、第一リンク部材34により連結されているため、操作部21が遮蔽体15の閉点位置P1bに回動した状態でも距離D1が保たれるので、距離D1と距離D2との差分、第二リンク部材35がガイド部46に沿ってガイドされつつ後方へとスライドして閉点位置P2bとなる。つまり、リンク機構22の第一リンク部材34の操作部側接続部37での回動及びリンク部材側接続38の回動と、ガイド部46によるガイドと、により、操作部21の回動操作に伴う第一リンク部材34の円弧を描く回転動作が、第二リンク部材35のスライド動作に変換される。そのため、第二リンク部材35が軸部材19の接続受け部48を後方へ押すことにより軸部材19が回動し、図1(b)に示すように、軸部材19と一体的に遮蔽体15も回動することで、遮蔽体15が通気路5を遮蔽する。この結果、空調風が遮蔽体15よりも下流側に流れず、吹出口9(図4)からの空調風の吹き出しが遮断される。
【0037】
このように、第1の実施の形態によれば、通気路5の外部に配置され、一のリンク部材の動作を他のリンク部材の動作に変換する変換機構であるリンク機構22を用い、回動軸線が異なる操作部21と遮蔽体15とを連動させて回動させるので、操作部21を吹出口9に配置したり、操作部21の回動軸線C1上に遮蔽体15の遮蔽体回動部16を設定したりする必要がなく、コンパクト化(薄型化)と、操作部21などのレイアウトの自由度の向上と、の両立を図ることができる。そして、吹出口装置1を薄型化できることにより、外観を向上することも可能となる。
【0038】
また、リンク機構22は、通気路5の外部にあるため、リンク機構22やその動作によって通気を妨げることがない。
【0039】
リンク機構22が、操作部21側と接続される第一リンク部材34と、遮蔽体15側と接続される第二リンク部材35と、を有し、第一リンク部材34が、操作部21の回動に伴い円弧状に回動し、第二リンク部材35が、第一リンク部材34の動作に伴い遮蔽体15の回動軸線C2と交差する方向にスライドするので、操作部21の回動操作に伴い、第一リンク部材34及び第二リンク部材35を連動させて遮蔽体15を回動させるリンク機構22を簡素に構成できる。
【0040】
特に、リンク機構22は、歯車を使用しない構成であるため、組み立てが容易であるとともに、バックラッシに起因するがたつきなどの発生も抑制できる。
【0041】
なお、第1の実施の形態では、操作部21の回動に伴い連結部25が回動することで、連結部25に操作部側接続部37が連結されている第一リンク部材34の前端部側が円弧状に回動する構成としたが、これに限らず、図5及び図6に示す第2の実施の形態のように、第一リンク部材34を操作部21(摘み部24)と一体的な円筒状に形成し、その外周面に螺旋状の溝部であるリンク部側接続部38を形成するとともに、第二リンク部材35のリンク部材側接続部38をカム溝に嵌合するピン状とすることで、操作部21の回動に伴い第一リンク部材34が円弧状に回動するように構成されていてもよい。この場合でも、コンパクト化(薄型化)と、操作部21のレイアウトの自由度の向上と、の両立を図ることができるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
また、上記の各実施の形態において、操作部21の回動軸線C1と遮蔽体15の回動軸線C2とは、上下方向において異なる位置にあってもよい。
【0043】
また、吹出口装置1は、横型のものとしたが、長手方向を上下方向とした縦型のものであっても、同様に構成できる。その場合、遮蔽体15を左右方向に回動させるなど、上記の各実施の形態の配置を正面から見て90°回転させることで、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0044】
さらに、吹出口装置1は、自動車用のものに限らず、その他の任意の用途に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば自動車の空調用の吹出口装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 吹出口装置
3 ケース体
5 通気路
9 吹出口
15 遮蔽体
21 操作部
22 リンク機構
34 第一リンク部材
35 第二リンク部材
C1,C2 回動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6