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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134661
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L21/304 621E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044971
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健之
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057BA15
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB09
5F057BC05
5F057CA16
5F057DA06
(57)【要約】
【課題】容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1面と、第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、第2面を囲み、第2面に対し垂直な方向において第2面よりも突出した環状の第2部分と、を有する半導体基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、を有する基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜に貼付されたシートと、に対し、第2部分の反対側の第1面に研磨テープを押圧して半導体基板を研磨することにより、第2部分を第1部分から分離する工程と、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜に研磨テープを押圧して第1導電膜を研磨することにより、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜を切断する工程と、を備える半導体装置の製造方法である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、
前記第2面を囲み、前記第2面に対し垂直な方向において前記第2面よりも突出した環状の第2部分と、
を有する半導体基板と、
前記第2面、前記第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、
を有する基板と、
前記第2面、前記第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた前記第1導電膜に貼付されたシートと、
に対し、
前記第2部分の反対側の前記第1面に研磨テープを押圧して前記半導体基板を研磨することにより、前記第2部分を前記第1部分から分離する工程と、
前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜に前記研磨テープを押圧して前記第1導電膜を研磨することにより、前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜を切断する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1面と、前記第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、
前記第2面を囲み、前記第2面に対し垂直な方向において前記第2面よりも突出した環状の第2部分と、
を有する半導体基板と、
前記第2面、前記第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、
を有する基板と、
前記第2面、前記第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた前記第1導電膜に貼付されたシートと、
に対し、
前記第2部分の反対側の前記第1面に研磨テープを押圧して前記半導体基板を研磨することにより、前記第2部分を前記第1部分から分離し、前記第1部分と前記第2部分の間の前記第1導電膜の上面を露出させる工程と、
露出された前記第1導電膜の前記上面からブレードダイシングを行うことにより、前記第1部分と前記第2部分の間の前記第1導電膜を切断する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板は、前記第1面に接して設けられた第2導電膜をさらに有し、
前記第2部分の反対側の前記第1面に前記研磨テープを押圧して前記半導体基板を研磨することにより、前記第2部分を前記第1部分から分離する工程において、前記第2導電膜が研磨される、
請求項1又は請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜に前記研磨テープを押圧して前記第1導電膜を研磨することにより、前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜を切断する工程において、
前記シートの上面が露出される、
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板は、前記第1面の上に設けられた保護膜をさらに有し、
前記第2部分の反対側の前記第1面に前記研磨テープを押圧して前記半導体基板を研磨することにより、前記第2部分を前記第1部分から分離する工程の前に、前記第2部分の反対側の前記第1面の上に設けられた前記保護膜を研磨する工程を備える、
請求項1又は請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜に前記研磨テープを押圧して前記第1導電膜を研磨することにより、前記第1部分と分離された前記第2部分の間の前記第1導電膜を切断する工程の後に、
前記第2部分を前記シートから剥離する工程をさらに備える、
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
露出された前記第1導電膜の前記上面から前記ブレードダイシングを行うことにより、前記第1部分と前記第2部分の間の前記第1導電膜を切断する工程の後に、
前記第2部分を前記シートから剥離する工程をさらに備える、
請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1導電膜は、厚みが5μm以上でありNi(ニッケル)を含む第3導電膜と、前記第3導電膜と前記第2面の間に設けられAl(アルミニウム)を含む第4導電膜と、を有する請求項1又は請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。MOSFETを有する半導体チップは、MOSFETが形成された半導体基板をダイシングすることにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-174896号公報
【特許文献2】特許第6121225号公報
【特許文献3】特許第5571409号公報
【特許文献4】特開2022―036498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1面と、第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、第2面を囲み、第2面に対し垂直な方向において第2面よりも突出した環状の第2部分と、を有する半導体基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、を有する基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜に貼付されたシートと、に対し、第2部分の反対側の第1面に研磨テープを押圧して半導体基板を研磨することにより、第2部分を第1部分から分離する工程と、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜に研磨テープを押圧して第1導電膜を研磨することにより、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜を切断する工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の基板の模式断面図である。
図2】第1実施形態の半導体基板の模式下面図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図9】第1実施形態の半導体装置の製造工程を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態の半導体装置の作用効果を説明するための模式断面図である。
図11】第2実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図12】第2実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
図13】第2実施形態の半導体装置の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
(第1実施形態)
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1面と、第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、第2面を囲み、第2面に対し垂直な方向において第2面よりも突出した環状の第2部分と、を有する半導体基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、を有する基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜に貼付されたシートと、に対し、第2部分の反対側の第1面に研磨テープを押圧して半導体基板を研磨することにより、第2部分を第1部分から分離する工程と、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜に研磨テープを押圧して第1導電膜を研磨することにより、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜を切断する工程と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の基板18の模式断面図である。
【0011】
図2は、本実施形態の半導体基板10の模式下面図である。なお、図2において、第1導電膜12の図示は省略している。
【0012】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、図1に示した基板18のダイシングにより、基板18の一部が個片化された半導体装置(半導体チップ)100を製造する方法である。
【0013】
基板18は、半導体基板10と、第1導電膜12と、第2導電膜14と、を有する。
【0014】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。図2は、本実施形態の半導体基板10を、-Z方向から見たときの図である。
【0015】
半導体基板10は、半導体材料を含む。ここで半導体材料は、例えば、Si(シリコン)、SiC(炭化ケイ素)、GaAs(ヒ化ガリウム)、又はGaN(窒化ガリウム)等であるが、これに限定されるものではない。
【0016】
半導体基板10は、MOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、またはダイオード等の、半導体デバイスを有する基板である。
【0017】
半導体基板10には、第1面2aの反対側が研削され薄化されることにより、厚みの薄い第1部分2が形成されている。研削により、第1面2aの反対側には第2面2bが形成される。ここで、第1面2a及び第2面2bは、XY面に平行に配置されている。半導体基板10の薄化は、例えば、MOSFETのドリフト層の厚みを薄くすることにより、MOSFETのオン抵抗を低減するために行われている。
【0018】
第2部分4は、例えば、上記の研削が行われていない部分である。第2部分4は、図2に示したように、第2面2bを囲う環状の形状を有している。第2部分4は、第2面に対し垂直な方向(-Z方向)において、第2面2bよりも突出したものとなっている。第2部分4は、頂面4aと、内側面4bを有する。言い換えると、第1面2aは半導体基板10の表面である。内側面4bは、例えば、YZ面に平行な面である。しかし内側面4bは、YZ面に平行な面でなくてもかまわない。第2部分4は、例えば、半導体基板10の周辺部の厚みを厚く保っておくことにより、製造工程における半導体基板10の取り扱いを容易にするために設けられている。
【0019】
第1導電膜12は、第2面2b、第2部分4の頂面4a及び第2部分4の内側面4bに接して設けられている。
【0020】
第1導電膜12は、第3導電膜12aと、第4導電膜12bと、を有する。第1導電膜12は、例えば、金属材料を含む。第4導電膜12bは、例えば、MOSFETのドレイン電極に相当する。第4導電膜12bは、例えば、Al(アルミニウム)を含む。第3導電膜12aは、例えば、めっきにより形成されためっき層である。第3導電膜12aは、例えば、Ni(ニッケル)とAu(金)の合金を含む。第3導電膜12aは、例えば、半導体チップの実装の際に、はんだ等の接合材が接合される膜である。第4導電膜12bは、第3導電膜12aと第2面2bの間に設けられている。なお、第4導電膜12bは、第2面2bに直接接していてもかまわない。また、第4導電膜12bと第2面2bの間に図示しない他の膜が設けられることにより、第4導電膜12bが第2面2bに間接的に接していてもかまわない。
【0021】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、第3導電膜12aの厚みが5μm以上であり、第3導電膜12aがNi(ニッケル)を含み、第4導電膜12bがAl(アルミニウム)を含む場合に、特に好ましく適用される。
【0022】
第2導電膜14は、第5導電膜14aと、第6導電膜14bと、を有する。第2導電膜14は、例えば、金属材料を含む。第6導電膜14bは、例えば、MOSFETのソース電極またはゲート電極に相当する。第6導電膜14bは、例えば、Al(アルミニウム)を含む。第5導電膜14aは、例えば、めっきにより形成されためっき層である。第5導電膜14aは、例えば、Ni(ニッケル)とAu(金)の合金を含む。第5導電膜14aは、例えば、半導体チップの実装の際に、はんだ等の接合材が接合される膜である。第6導電膜14bは、第5導電膜14aと第1面2aの間に設けられている。なお、第6導電膜14bは、第1面2aに直接接していてもかまわない。また、第6導電膜14bと第1面2aの間に図示しない他の膜が設けられることにより、第6導電膜14bが第1面2aに間接的に接していてもかまわない。
【0023】
例えば、第2導電膜14は、フォトリソグラフィー等を用いた半導体製造プロセスにより、それぞれの半導体チップの大きさに対応する複数の第2導電膜14に分割されている。
【0024】
なお、第1導電膜12及び第2導電膜14の態様は、上記に限定されるものではない。
【0025】
図3乃至図8は、本実施形態の半導体装置の製造工程を示す模式断面図である。
【0026】
図9は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0027】
まず、図1に示した基板18の第1面2a及び第2導電膜14の上に、表面保護膜(保護膜)16を形成する(図3図9のS2)。ここで表面保護膜16としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂を含む保護膜、水溶性の保護膜、又は有機系の塗布膜等を用いることができる。なお、表面保護膜16は、形成されていなくても良い。
【0028】
次に、基板18を、ダイシングシート20を用いて、環状フレーム30の面30aに固定する(図4図9のS4)。具体的には、ダイシングシート20は、第1導電膜12及び環状フレームの面30aに貼付される。環状フレーム30は、中央に基板18を保持するための、Z方向に平行な貫通孔を有している。かかる貫通孔内に、基板18は配置される。
【0029】
次に、テーブル40の上に、環状フレーム30に固定された基板18を載置する(図4図9のS6)。テーブル40は、基板18が載置された状態で、XY面内において回転可能である。ここで、図3及び図9のS2を用いて説明した表面保護膜(保護膜)16は、テーブル40の上に環状フレーム30を載置した後に、形成してもかまわない。
【0030】
次に、第2部分4の反対側の第1面2aに研磨テープ56を押圧して半導体基板10を研磨する(図9のS8)。なお、この際に、第2導電膜14も研磨される。また、表面保護膜16が設けられている場合には、半導体基板10の研磨及び第2導電膜14の研磨が行われる前に、表面保護膜16の研磨が行われる。研磨テープ56を用いた研磨には、研磨装置50が用いられる。研磨装置50は、押圧シリンダ52と、ロール54と、研磨テープ56と、ピストンロッド58と、押圧パッド60と、を有する。ロール54a及びロール54bにより、研磨テープ56は一方向に走行される。研磨テープ56の背面側には押圧パッド60が設けられている。押圧パッド60により、研磨テープ56は-Z方向に押圧される。押圧シリンダ52は、ピストンロッド58を介して、押圧パッド60を研磨テープ56に対して押圧する。これにより、研磨が行われる。なお、研磨テープ56により半導体基板10が研磨されている間、半導体基板10はテーブル40によりXY面内において回転されている。
【0031】
かかる研磨により、第2部分4は第1部分2から分離される(図9のS10)。
【0032】
次に、第1部分2と、分離された第2部分4の間の第1導電膜12に研磨テープ56を押圧して第1導電膜12を研磨する(図9のS12)。そして、第1部分2と、分離された第2部分4の間の第1導電膜12を切断し、除去する。これにより、ダイシングシート20の上面20zは露出される(図5図9のS14)。
【0033】
ここで、半導体基板10の研磨と第1導電膜12の研磨は、例えば、連続して行われてもかまわない。また、例えば、半導体基板10の研磨を行った後に、一定の時間間隔をおき、その後に第1導電膜12の研磨を行ってもかまわない。
【0034】
次に、第2部分4をダイシングシート20から剥離して、除去する(図6図9のS16)。
【0035】
次に、表面保護膜16を第1面2aの上及び第2導電膜14の上から除去する。また、ダイシングシート20により環状フレーム30に固定された基板18の第1部分2を、テーブル40から取り外す(図7図9のS18)。
【0036】
次に、ブレードダイシング等のダイシングを行うことにより、第1部分2を個片化して半導体装置100を得る(図8図9のS20)。
【0037】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の作用効果を記載する。
【0038】
図10は、本実施形態の比較形態となる半導体装置の製造方法の模式断面図である。第1部分2と第2部分4の分離、及び第1導電膜12の切断を、テーブル40をXY面内において回転させた上で、ブレードBを用いたブレードダイシングにより行なっている。この場合、ブレードBが目詰まりを起こすために、切断が適切に行われずに、半導体基板10の一部が欠けるチッピングが発生するおそれがあった。
【0039】
特に、第1導電膜12又は第2導電膜14に、Cu(銅)やAg(銀)等の、硬度の低い金属が含まれている場合に、ブレードBが硬度の低い金属により目詰まりをおこしやすいために、チッピングが発生するおそれがあった。また、特に、半導体基板10の径が大きい場合に、半導体基板10、第1導電膜12及び第2導電膜14が削られる量が多くなるために、チッピングが発生するおそれがあった。また、特に、第1導電膜12が第3導電膜12aを有し、かつ第2導電膜14が第5導電膜14aを有する場合に、削られる導電膜の厚みが厚くなるためにチッピングが発生するおそれがあった。
【0040】
また、ブレードダイシングにより形成された第1導電膜12のバリがダイシングシート20に食い込みやすい。そのために、第2部分4をダイシングシート20から剥離する際に、第2部分4が剥離しづらいため、第2部分4が割れて断片が装置内に飛散し、装置内が汚染されるという問題があった。
【0041】
そこで、本実施形態の半導体装置の製造方法は第1面と、第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、第2面を囲み、第2面に対し垂直な方向において第2面よりも突出した環状の第2部分と、を有する半導体基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、を有する基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜に貼付されたシートと、に対し、第2部分の反対側の第1面に研磨テープを押圧して半導体基板を研磨することにより、第2部分を第1部分から分離する工程と、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜に研磨テープを押圧して第1導電膜を研磨することにより、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜を切断する工程と、を備える。
【0042】
そして、本実施形態の半導体装置の製造方法では、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜に研磨テープを押圧して第1導電膜を研磨することにより、第1部分と分離された第2部分の間の第1導電膜を切断する工程において、シートの上面が露出される。
【0043】
かかる半導体装置の製造方法によれば、研磨テープを押圧することにより研磨を行なうため、ブレードBの目詰まりによるチッピングが発生しなくなる。そのため、容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法の提供が可能となる。
【0044】
また、研磨テープを押圧した研磨を第2導電膜14に対しても適用することにより。ブレードBの目詰まりによるチッピングが発生しなくなる。そのため、さらに容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法の提供が可能となる。
【0045】
また、第1面2aの上及び第2導電膜14の上に表面保護膜16を形成し、表面保護膜16を研磨することにより、研磨テープ56から生じる屑が第1面2aの上に付着することを抑制できる。
【0046】
上記のように、本実施形態の半導体装置の製造方法においては、研磨テープを押圧することにより研磨を行なっている。そのため、第2部分4をダイシングシート20から剥離する際にも、第1導電膜12のバリがダイシングシート20に食い込むおそれが少ない。よって、第2部分4をダイシングシート20から剥離する際にも、第2部分4の剥離を容易に行うことができる。
【0047】
第1導電膜12が、厚みが5μm以上でありNi(ニッケル)を含む第3導電膜12aと、第3導電膜12aと第2面2bの間に設けられAl(アルミニウム)を含む第4導電膜と、を有する場合に、本実施形態の半導体装置の製造方法はより好ましく適用される。Ni(ニッケル)を含む第3導電膜12aの厚みは比較的厚くなることが多いため、ブレードダイシングによるチッピングがより発生しやすくなるためである。
【0048】
本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法が提供可能になる。
【0049】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置の製造方法は、第1面と、第1面の反対側に設けられた第2面と、を有する第1部分と、第2面を囲み、第2面に対し垂直な方向において第2面よりも突出した環状の第2部分と、を有する半導体基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜と、を有する基板と、第2面、第2部分の頂面及び内側面に接して設けられた第1導電膜に貼付されたシートと、に対し、第2部分の反対側の第1面に研磨テープを押圧して半導体基板を研磨することにより、第2部分を第1部分から分離し、第1部分と第2部分の間の第1導電膜の上面を露出させる工程と、露出された第1導電膜の上面からブレードダイシングを行うことにより、第1部分と第2部分の間の第1導電膜を切断する工程と、を備える。
【0050】
ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は、省略する。
【0051】
図11及び図12は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。図13は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0052】
本実施形態の半導体装置の製造方法においては、第2部分4の反対側の第1面2aに研磨テープ56を押圧して半導体基板10を研磨する(図13のS8)点までは、第1実施形態の半導体装置の製造方法と同様である。これにより、第2部分4を第1部分2から分離し、第1部分2と第2部分4の間の第1導電膜12の上面12zを露出させる(図11図13のS10’)。
【0053】
次に、テーブル40をXY面内において回転させながら、露出された第1導電膜12の上面12zからブレードダイシングを行う(図13のS12’)。そして、かかるブレードダイシングにより、第1部分2と、分離された第2部分4の間の第1導電膜12を切断する(S14’)。
【0054】
この後の工程については、第1実施形態の半導体装置の製造方法と同様である。
【0055】
第1実施形態の半導体装置の製造方法においては、第1部分2と、分離された第2部分4の間の第1導電膜12に研磨テープ56を押圧して第1導電膜12を研磨する際に、ダイシングシート20にまで研磨が進んでしまうおそれがある。そこで、本実施形態の半導体装置の研磨方法では、研磨テープ56による半導体基板10の研磨により第1導電膜12の上面12zを露出させる。その後、ブレードダイシングにより第1導電膜12を切断する。言い換えると、研磨テープ56による第1導電膜12の研磨が出来るだけ行われないようにする。
【0056】
本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、研磨テープ56によるダイシングシート20の研磨が抑制される。
【0057】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ブレードダイシングによる半導体基板10の切断をおこなわない。また、第1導電膜12については、ブレードダイシングによる切断を行う。半導体基板10と第1導電膜12の両方についてブレードダイシングを行う場合には、第1導電膜12のバリの発生を抑制する条件を見出すことは困難である。しかし、半導体基板10についてブレードダイシングを行わず、第1導電膜12についてのみブレードダイシングを行う場合には、第1導電膜12のバリの発生を抑制する条件を見出すことは、可能である。
【0058】
本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、容易に製造を行うことができる半導体装置の製造方法が提供可能になる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
2 第1部分
2a 第1面
2b 第2面
4 第2部分
4a 頂面
4b 内側面
10 半導体基板
12 第1導電膜
12a 第3導電膜
12b 第4導電膜
12z 第1導電膜の上面
14 第2導電膜
14a 第5導電膜
14b 第6導電膜
16 表面保護膜(保護膜)
18 基板
20 ダイシングシート(シート)
20z ダイシングシートの上面
30 環状フレーム
30a 環状フレームの面
40 テーブル
50 研磨装置
52 押圧シリンダ
54 ロール
56 研磨テープ
58 ピストンロッド
60 押圧パッド
100 半導体装置(半導体チップ)
B ダイシングブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13