(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134663
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20240927BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20240927BHJP
F24F 1/0067 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
F28F3/00 311
F28D9/00
F24F1/0067
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044973
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 卓弥
【テーマコード(参考)】
3L051
3L103
【Fターム(参考)】
3L051BE06
3L103BB38
3L103BB42
3L103CC18
3L103CC22
(57)【要約】
【課題】伝熱性能を高めることができる熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の熱交換器は、第一流路構造体と、第二流路構造体とを持つ。第一流路構造体は、第一伝熱プレートおよび第二伝熱プレートを持つ。第一伝熱プレートおよび第二伝熱プレートは、第一熱媒体が流通する第一流通空間を隔てて向かい合う。第二流路構造体は、第三伝熱プレートおよび第四伝熱プレートを持つ。第三伝熱プレートおよび第四伝熱プレートは、第二熱媒体が流通する第二流通空間を隔てて向かい合う。第二伝熱プレートと第三伝熱プレートとは、空間層を隔てて対向配置される。第二伝熱プレートは、第三伝熱プレートに対向する第一対向面を有する。第三伝熱プレートは、第二伝熱プレートに対向する第二対向面を有する。第一対向面および第二対向面の少なくとも一方に、他方に近づく方向に突出する一または複数の凸部が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一熱媒体が流通する第一流通空間を隔てて向かい合う第一伝熱プレートおよび第二伝熱プレートを備えた第一流路構造体と、
第二熱媒体が流通する第二流通空間を隔てて向かい合う第三伝熱プレートおよび第四伝熱プレートを備えた第二流路構造体と、
を備え、
前記第二伝熱プレートと前記第三伝熱プレートとは、空間層を隔てて対向配置され、
前記第二伝熱プレートは、前記第三伝熱プレートに対向する第一対向面を有し、
前記第三伝熱プレートは、前記第二伝熱プレートに対向する第二対向面を有し、
前記第一対向面および前記第二対向面の少なくとも一方に、他方に近づく方向に突出する一または複数の凸部が形成されている、
熱交換器。
【請求項2】
前記凸部は、前記第一対向面に形成された一または複数の第一凸部と、前記第二対向面に形成された一または複数の第二凸部と、を含み、
少なくとも一つの前記第一凸部と、少なくとも一つの前記第二凸部とは、互いに平行に延在し、少なくとも一部の側面どうしを向かい合わせて隣り合って形成されている、
請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第一凸部は、前記第一熱媒体の流れ方向に延び、内部に前記第一熱媒体が流通可能であり、
前記第二凸部は、前記第二熱媒体の流れ方向に延び、内部に前記第二熱媒体が流通可能である、
請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第一伝熱プレートと前記第二伝熱プレートとの間に、前記第一熱媒体の流れ方向に延びる凹凸を有するコルゲート形状とされた第一内部伝熱体が設けられ、
前記第三伝熱プレートと前記第四伝熱プレートとの間に、前記第二熱媒体の流れ方向に延びる凹凸を有するコルゲート形状とされた第二内部伝熱体が設けられている、
請求項1記載の熱交換器。
【請求項5】
前記凹凸は、所定の長さ範囲ごとに幅方向の位置がずらされている、
請求項4記載の熱交換器。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の熱交換器を備える、冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、冷凍サイクル装置などに用いられる。例えば、熱交換器は、複数の伝熱プレートを備える。向かい合う伝熱プレートの間には、空間部が形成される場合がある。熱交換器では、空間部を有するため、伝熱プレート間の伝熱性能が低くなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、伝熱性能を高めることができる熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の熱交換器は、第一流路構造体と、第二流路構造体と、を持つ。前記第一流路構造体は、第一伝熱プレートおよび第二伝熱プレートを持つ。前記第一伝熱プレートおよび前記第二伝熱プレートは、第一熱媒体が流通する第一流通空間を隔てて向かい合う。前記第二流路構造体は、第三伝熱プレートおよび第四伝熱プレートを持つ。前記第三伝熱プレートおよび前記第四伝熱プレートは、第二熱媒体が流通する第二流通空間を隔てて向かい合う。前記第二伝熱プレートと前記第三伝熱プレートとは、空間層を隔てて対向配置されている。前記第二伝熱プレートは、前記第三伝熱プレートに対向する第一対向面を有する。前記第三伝熱プレートは、前記第二伝熱プレートに対向する第二対向面を有する。前記第一対向面および前記第二対向面の少なくとも一方に、他方に近づく方向に突出する一または複数の凸部が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】第1の実施形態の熱交換器の一部の分解斜視図。
【
図8】第2の実施形態の熱交換器の一部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の熱交換器および冷凍サイクル装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器(熱交換器)4と、膨張装置5と、室内熱交換器(熱交換器)6と、を備える。冷凍サイクル装置1の構成要素は、冷媒配管7によって接続されている。
図1では、冷房運転時の冷媒(熱媒体)の流通方向は実線矢印で示す。暖房運転時の冷媒の流通方向は破線矢印で示す。
【0009】
圧縮機2は、圧縮機本体2Aと、アキュムレータ2Bと、を備える。圧縮機本体2Aは、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。アキュムレータ2Bは、気液二相冷媒を分離して、気体冷媒を圧縮機本体2Aに供給する。
【0010】
四方弁3は、冷媒の流通方向を逆転させ、冷房運転と暖房運転とを切り替える。冷房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5、室内熱交換器6の順に流れる。このとき、室外熱交換器4は凝縮器として機能する。室内熱交換器6は蒸発器として機能する。
【0011】
暖房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に流れる。このとき、室内熱交換器6は凝縮器として機能する。室外熱交換器4は蒸発器として機能する。
【0012】
凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒を、外気へ放熱させて凝縮させることにより、高圧の液体冷媒にする。膨張装置5は、凝縮器から送り込まれる高圧の液体冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の気液二相冷媒にする。蒸発器は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0013】
冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒は気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環する。冷媒は、気体冷媒から液体冷媒に相変化する過程で放熱する。冷媒は、液体冷媒から気体冷媒に相変化する過程で吸熱する。冷凍サイクル装置1は、冷媒の放熱または吸熱を利用して、暖房、冷房、除霜などを行う。
【0014】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態の熱交換器の斜視図である。
図2に示すように、第1の実施形態の熱交換器は、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4および室内熱交換器6(
図1参照)のうち一方または両方として使用される。以下、実施形態の熱交換器が、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4(
図1参照)として使用される場合を例にして説明する。室外熱交換器4は、単に「熱交換器4」という。
【0015】
図3は、第1の実施形態の熱交換器4の断面図である。
図3は、
図2のI-I断面図である。
図3に示すように、X方向、Y方向およびZ方向は、以下のように規定する。X方向は、第一伝熱プレート11の短手方向である。X方向は、「幅方向」または「第二方向」の例である。Y方向は、第一伝熱プレート11の長手方向である。Y方向はX方向と垂直な方向である。Y方向は「第一方向」の例である。Z方向は、第一伝熱プレート11の厚さ方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向である。XY平面は、X方向とY方向とによって形成される平面である。XZ平面は、X方向とZ方向とによって形成される平面である。YZ平面は、Y方向とZ方向とによって形成される平面である。Z方向からXY平面を見ることを平面視という。
【0016】
図3に即して上下方向を仮に規定する。例えば、第一伝熱プレート11は、第二伝熱プレート12の上方に位置する。ここに示す位置関係は、熱交換器の使用時の姿勢を限定しない。
【0017】
熱交換器4は、第一流路構造体10と、第二流路構造体20と、1または複数の接合層30と、を備えている。
第一流路構造体10は、上部伝熱プレート13と、第一伝熱プレート11と、第二伝熱プレート12と、第一内部伝熱体14と、を備える。
【0018】
第一伝熱プレート11は、平板状に形成されている。第一伝熱プレート11は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。
【0019】
第二伝熱プレート12は、平板状に形成されている。第二伝熱プレート12は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。第二伝熱プレート12は、第一伝熱プレート11と同形状とされている。第二伝熱プレート12は、平面視において第一伝熱プレート11と重なる位置にある。第二伝熱プレート12は、第一伝熱プレート11と平行とされている。
【0020】
第二伝熱プレート12は、第一伝熱プレート11に対して下方に離れた位置にある。第一伝熱プレート11と第二伝熱プレート12とは上下に離れている。第一伝熱プレート11と第二伝熱プレート12との間の空間は、第一流通空間16である。第一伝熱プレート11と第二伝熱プレート12とは、第一流通空間16を隔てて向かい合っている。第一流通空間16は、第一熱媒体M1が流通する空間である。
【0021】
第二伝熱プレート12の下面は第一対向面12aである。第一対向面12aは、第三伝熱プレート21の第二対向面21aに対向する。
【0022】
上部伝熱プレート13は、平板状に形成されている。上部伝熱プレート13は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。上部伝熱プレート13は、第一伝熱プレート11と同形状とされている。上部伝熱プレート13は、平面視において第一伝熱プレート11と重なる位置にある。上部伝熱プレート13は、第一伝熱プレート11と平行とされている。
【0023】
上部伝熱プレート13は、第一伝熱プレート11に対して上方に離れた位置にある。第一伝熱プレート11と上部伝熱プレート13とは上下に離れている。第一伝熱プレート11と上部伝熱プレート13との間の空間は、第三流通空間17である。第一伝熱プレート11と上部伝熱プレート13とは、第三流通空間17を隔てて向かい合っている。第三流通空間17は、第三熱媒体M3が流通する空間である。
【0024】
第一伝熱プレート11は、第二伝熱プレート12より厚く形成されている。これにより、第一伝熱プレート11が破損しにくくなるため、第一熱媒体M1と第三熱媒体M3との混合は起こりにくくなる。
上部伝熱プレート13の厚さは、第一伝熱プレート11の厚さ以上であってもよいし、第一伝熱プレート11の厚さ未満であってもよい。第一伝熱プレート11が、上部伝熱プレート13より厚く形成されている場合、第一伝熱プレート11が破損しにくくなるため、第一熱媒体M1と第三熱媒体M3との混合は起こりにくくなる。
【0025】
第一内部伝熱体14は、第一流通空間16および第三流通空間17にそれぞれ設けられている。
第一内部伝熱体14は、Y方向に延びるコルゲート形状とされている。コルゲート形状は、山部(凸部)と谷部(凹部)とが交互に並んで形成された凹凸形状である。第一内部伝熱体14は、第一凹凸51を有する。第一凹凸51は、複数の凸部52と、複数の凹部53とを有する。凸部52と凹部53とは、X方向に交互に並ぶ。第一凹凸51は「凹凸」の例である。
【0026】
図4は、熱交換器4の一部の分解斜視図である。
図4に示すように、凸部52は、Y方向に延びる。例えば、凸部52は、板材の曲げを伴う加工(例えば、プレス加工など)により上方に突出する形状となっている。
【0027】
図5は、熱交換器4の一部の断面図である。
図5に示すように、例えば、凸部52は、Y方向(長さ方向)に直交する断面、すなわちXZ平面に沿う断面が矩形状とされている。凸部52は、天板52aと、一対の側板52bとによって形成されている。天板52aはXY平面に沿う。側板52bはYZ平面に沿う。一対の側板52bは、それぞれ天板52aのX方向の両端から垂下する。凸部52の内部には、空間52cが形成されている。空間52cは、天板52aと、一対の側板52bとに囲まれた空間である。空間52cには、第一流通空間16および第三流通空間17ごとに熱媒体(第一熱媒体M1または第三熱媒体M3)が流通可能である。
【0028】
凹部53は、Y方向に延びる。例えば、凹部53は、板材の曲げを伴う加工(例えば、プレス加工など)により下方に向かって凹となる形状とされている。
【0029】
例えば、凹部53は、Y方向(長さ方向)に直交する断面、すなわちXZ平面に沿う断面が矩形状とされている。凹部53は、底板53aと、一対の側板52bとによって形成されている。底板53aはXY平面に沿う。底板53aは、隣り合う側板52bの下端どうしを連結する。凹部53の内部には、空間53cが形成されている。空間53cは、底板53aと、一対の側板52bとに囲まれた空間である。空間53cには、第一流通空間16および第三流通空間17ごとに熱媒体(第一熱媒体M1または第三熱媒体M3)が流通可能である。
【0030】
凸部52および凹部53の延在方向は、熱媒体(第一熱媒体M1または第三熱媒体M3)の流れ方向、すなわちY方向である。
【0031】
第一流通空間16に設けられた第一内部伝熱体14の天板52aの上面は、第一伝熱プレート11の下面に伝熱可能に接する。天板52aの上面は、第一伝熱プレート11の下面にロウ付け等により接合されてもよい。第一流通空間16に設けられた第一内部伝熱体14の底板53aの下面は、第二伝熱プレート12の上面に伝熱可能に接する(
図3参照)。底板53aの下面は、第二伝熱プレート12の上面にロウ付け等により接合されてもよい。
【0032】
第三流通空間17に設けられた第一内部伝熱体14の天板52aの上面は、上部伝熱プレート13の下面に伝熱可能に接する。天板52aの上面は、上部伝熱プレート13の下面にロウ付け等により接合されてもよい。第三流通空間17に設けられた第一内部伝熱体14の底板53aの下面は、第一伝熱プレート11の上面に伝熱可能に接する。底板53aの下面は、第一伝熱プレート11の上面にロウ付け等により接合されてもよい。
【0033】
例えば、第一伝熱プレート11、第二伝熱プレート12、上部伝熱プレート13および第一内部伝熱体14は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属等で形成される。
例えば、第一熱媒体M1は冷媒である。例えば、第三熱媒体M3は、非冷却流体である。非冷却流体は、例えば水である。すなわち、
図1に示す冷凍サイクル図において、熱交換器4には、冷媒配管7を通じて第一流通空間16に冷媒が流入する。また、熱交換器4には、水を循環させるポンプ(図示しない)から水配管を通じて、第三流通空間17に水が流入する。非冷却流体は、水とは異なる熱媒体であってよい。
【0034】
図3に示すように、第二流路構造体20は、第三伝熱プレート21と、第四伝熱プレート22と、下部伝熱プレート23と、第二内部伝熱体24と、を備える。
【0035】
第三伝熱プレート21は、平板状に形成されている。第三伝熱プレート21は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。第三伝熱プレート21は、第二伝熱プレート12と同形状とされている。第三伝熱プレート21は、平面視において第二伝熱プレート12と重なる位置にある。第三伝熱プレート21は、第二伝熱プレート12と平行とされている。
【0036】
第三伝熱プレート21の上面は第二対向面21aである。第二対向面21aは、第二伝熱プレート12の第一対向面12aに対向する。
【0037】
第四伝熱プレート22は、平板状に形成されている。第四伝熱プレート22は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。第四伝熱プレート22は、第三伝熱プレート21と同形状とされている。第四伝熱プレート22は、平面視において第三伝熱プレート21と重なる位置にある。第四伝熱プレート22は、第三伝熱プレート21と平行とされている。
【0038】
第四伝熱プレート22は、第三伝熱プレート21に対して下方に離れた位置にある。第三伝熱プレート21と第四伝熱プレート22とは上下に離れている。第三伝熱プレート21と第四伝熱プレート22との間の空間は、第二流通空間26である。第三伝熱プレート21と第四伝熱プレート22とは、第二流通空間26を隔てて向かい合っている。第二流通空間26は、第二熱媒体M2が流通する空間である。
【0039】
下部伝熱プレート23は、平板状に形成されている。下部伝熱プレート23は、平面視において矩形状(詳しくは長方形状)に形成されている。下部伝熱プレート23は、第四伝熱プレート22と同形状とされている。下部伝熱プレート23は、平面視において第四伝熱プレート22と重なる位置にある。下部伝熱プレート23は、第四伝熱プレート22と平行とされている。
【0040】
下部伝熱プレート23は、第四伝熱プレート22に対して下方に離れた位置にある。第四伝熱プレート22と下部伝熱プレート23とは上下に離れている。第四伝熱プレート22と下部伝熱プレート23との間の空間は、第四流通空間27である。第四伝熱プレート22と下部伝熱プレート23とは、第四流通空間27を隔てて向かい合っている。第四流通空間27は、第四熱媒体M4が流通する空間である。
【0041】
第四伝熱プレート22は、第三伝熱プレート21より厚く形成されている。これにより、第四伝熱プレート22が破損しにくくなるため、第二熱媒体M2と第四熱媒体M4との混合は起こりにくくなる。
下部伝熱プレート23の厚さは、第四伝熱プレート22の厚さ以上であってもよいし、第四伝熱プレート22の厚さ未満であってもよい。第四伝熱プレート22が、下部伝熱プレート23より厚く形成されている場合、第四伝熱プレート22が破損しにくくなるため、第二熱媒体M2と第四熱媒体M4との混合は起こりにくくなる。
【0042】
第二内部伝熱体24は、第二流通空間26および第四流通空間27にそれぞれ設けられている。
第二内部伝熱体24は、Y方向に延びるコルゲート形状とされている。第二内部伝熱体24は、第一内部伝熱体14と同様の構造であるため、説明を省略する。第二内部伝熱体24の空間52c,53cには、第二流通空間26および第四流通空間27ごとに熱媒体(第二熱媒体M2または第四熱媒体M4)が流通可能である。
【0043】
第二内部伝熱体24の凸部52および凹部53の延在方向は、第二流通空間26および第四流通空間27ごとに熱媒体(第二熱媒体M2または第四熱媒体M4)の流れ方向、すなわちY方向である。
【0044】
第二流通空間26に設けられた第二内部伝熱体24の天板52aの上面は、第三伝熱プレート21の下面に伝熱可能に接する。天板52aの上面は、第三伝熱プレート21の下面にロウ付け等により接合されてもよい。第二流通空間26に設けられた第二内部伝熱体24の底板53aの下面は、第四伝熱プレート22の上面に伝熱可能に接する。底板53aの下面は、第四伝熱プレート22の上面にロウ付け等により接合されてもよい。
【0045】
第四流通空間27に設けられた第二内部伝熱体24の天板52aの上面は、第四伝熱プレート22の下面に伝熱可能に接する。天板52aの上面は、第四伝熱プレート22の下面にロウ付け等により接合されてもよい。第四流通空間27に設けられた第二内部伝熱体24の底板53aの下面は、下部伝熱プレート23の上面に伝熱可能に接する。天板52aの上面は、第四伝熱プレート22の下面にロウ付け等により接合されてもよい。
【0046】
例えば、第三伝熱プレート21、第四伝熱プレート22、下部伝熱プレート23および第二内部伝熱体24は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属等で形成される。
例えば、第二熱媒体M2は非冷却流体である。例えば、第四熱媒体M4は冷媒である。非冷却流体は、例えば水である。すなわち、
図1に示す冷凍サイクル図において、熱交換器4には、冷媒配管7を通じて第四流通空間27に冷媒が流入する。また、熱交換器4には、水を循環させるポンプ(図示しない)から水配管を通じて、第二流通空間26に水が流入する。非冷却流体は、水とは異なる熱媒体であってよい。
【0047】
第二流路構造体20は、第一流路構造体10に対して下方に離れた位置にある。第一流路構造体10と第二流路構造体20とは上下に離れている。第一流路構造体10と第二流路構造体20との間の空間は、空間層31である。
【0048】
第二伝熱プレート12と第三伝熱プレート21とは、空間層31を隔てて対向配置されている。すなわち、第二伝熱プレート12と第三伝熱プレート21とは、空間層31を介して向かい合っている。そのため、第一流路構造体10と第二流路構造体20とは、空間層31を隔てて対向配置されている。
【0049】
接合層30は、第一流路構造体10と第二流路構造体20とを接合する。接合層30の上面は第二伝熱プレート12の第一対向面12aの一部に伝熱可能に接合されている。接合層30の下面は第三伝熱プレート21の第二対向面21aの一部に伝熱可能に接合されている。例えば、接合層30は、ロウ材などの金属含有材料によって形成される。例えば、金属含有材料は、銅、銀、ニッケル、亜鉛などの金属を含む。接合層30は、熱伝導率が高いことが望ましい。
【0050】
本実施形態では、複数の接合層30が設けられている。接合層30は、Y方向に延びる(
図4参照)。複数の接合層30は、X方向に間隔をおいて形成されている。複数の接合層30は、X方向に等間隔に形成することができる。接合層30は、第一対向面12aの一部と、第二対向面21aの一部とに接するため、第二伝熱プレート12と第三伝熱プレート21とを部分的に接合している。
【0051】
第二伝熱プレート12の第一対向面12aには、一または複数の第一凸部41が形成されている。第一凸部41は、第一対向面12aから下方(第二対向面21aに近づく方向)に突出している。第一凸部41の突出高さは、第二対向面21aに達しない程度とされる。第一凸部41は、Y方向に延びる(
図4参照)。第一凸部41は「凸部」の例である。
【0052】
例えば、第一凸部41は、板材(第二伝熱プレート12)の曲げを伴う加工により下方に突出する形状となっている。そのため、第一凸部41は中空構造となっている。第一凸部41は、接合層30からX方向に離れた位置にある。
図3では、第一対向面12aに3つの第一凸部41が形成されている。3つの第一凸部41は、それぞれ、X方向に隣り合う接合層30の間の位置に形成されている。
【0053】
図5に示すように、例えば、第一凸部41は、Y方向(長さ方向)に直交する断面、すなわちXZ平面に沿う断面が矩形状とされている。第一凸部41は、XY平面に沿う底板41aと、YZ平面に沿う一対の側板41bとによって形成されている。一対の側板41bは、それぞれ底板41aのX方向の一端および他端から立ち上がる。第一凸部41の内部には、空間41cが形成されている。空間41cは、底板41aと、一対の側板41bとに囲まれた空間である。
【0054】
第一凸部41は、空間41cが凸部52内の空間52cに臨む位置に形成されている。空間41cには、第一熱媒体M1が流通可能である。第一凸部41の延在方向は、第一熱媒体M1の流れ方向、すなわちY方向である。第一凸部41は、板材の曲げを伴う加工(例えば、プレス加工など)によって形成することができる。
【0055】
第一凸部41が形成された部分の第二伝熱プレート12は、他の部分(第一凸部41が形成されていない平板状の部分)より薄くてもよい。第一凸部41が形成された部分(例えば、側板41b)は、プレス加工等により第一凸部41を形成する際に引き伸ばされることによって、他の部分より薄くなる場合がある。
【0056】
図3に示すように、第三伝熱プレート21の第二対向面21aには、一または複数の第二凸部42が形成されている。第二凸部42は、第二対向面21aから上方(第一対向面12aに近づく方向)に突出している。第二凸部42の突出高さは、第一対向面12aに達しない程度とされる。第二凸部42は、Y方向に延びる(
図4参照)。第一凸部41と第二凸部42とは、互いに平行に延在する。第二凸部42は「凸部」の例である。
【0057】
例えば、第二凸部42は、板材(第三伝熱プレート21)の曲げを伴う加工により上方に突出する形状となっている。そのため、第二凸部42は中空構造となっている。第二凸部42は、接合層30からX方向に離れた位置にある。
図3では、第二対向面21aに3つの第二凸部42が形成されている。3つの第二凸部42は、それぞれ、X方向に隣り合う接合層30の間の位置に形成されている。
【0058】
図5に示すように、例えば、第二凸部42は、Y方向(長さ方向)に直交する断面、すなわちXZ平面に沿う断面が矩形状とされている。第二凸部42は、XY平面に沿う天板42aと、YZ平面に沿う一対の側板42bとによって形成されている。一対の側板42bは、それぞれ天板42aのX方向の一端および他端から垂下する。第二凸部42の内部には、空間42cが形成されている。空間42cは、天板42aと、一対の側板42bとに囲まれた空間である。
【0059】
第二凸部42は、空間42cが凹部53内の空間53cに臨む位置に形成されている。空間42cには、第二熱媒体M2が流通可能である。第二凸部42の延在方向は、第二熱媒体M2の流れ方向、すなわちY方向である。第二凸部42は、板材の曲げを伴う加工(例えば、プレス加工など)によって形成することができる。
【0060】
第二凸部42が形成された部分の第三伝熱プレート21は、他の部分(第二凸部42が形成されていない平板状の部分)より薄くてもよい。第二凸部42が形成された部分(例えば、側板42b)は、プレス加工等により第二凸部42を形成する際に引き伸ばされることによって、他の部分より薄くなる場合がある。
【0061】
図6は、第二凸部42が形成された部分の第三伝熱プレート21の断面図である。
図6に示すように、第二凸部42が形成された部分の第三伝熱プレート21(例えば、側板42b)が他の部分より薄い場合、次に示す効果を奏する。
熱媒体の圧力上昇などによってプレートに大きな力が加えられた場合、第二凸部42は、他の部分に比べて破損が起こりやすい。しかし、第二凸部42は、2つの流通空間を隔てる構造がないため、破損が起きて熱媒体が空間層31に漏出した場合でも2つの熱媒体の混合は起こらない。そのため、熱媒体の混合による損害を抑制できる。
【0062】
図5に示すように、第一凸部41が形成された部分の第二伝熱プレート12(例えば、側板41b)が他の部分より薄い場合も、同様の効果を奏する。
【0063】
第一凸部41と第二凸部42とは、X方向に隣り合って形成されている。第一凸部41の側面の少なくとも一部と、第二凸部42の側面の少なくとも一部とは向かい合っている。第一凸部41の側面は、側板41bの外面である。第二凸部42の側面は、側板42bの外面である。言い換えれば、第一凸部41と第二凸部42とは、少なくとも一部の側面どうしが向かい合うように形成されている。
図5では、第一凸部41の側面のうち下端を含む部分と、第二凸部42の側面のうち上端を含む部分とは向かい合っている。第一凸部41と第二凸部42とは、側面の全領域が向かい合っていてもよい。
【0064】
本実施形態の熱交換器4では、第二伝熱プレート12の第一対向面12aに第一凸部41が形成されている。第三伝熱プレート21の第二対向面21aに第二凸部42が形成されている。第一凸部41および第二凸部42によって空間層31の容積は小さくなる。したがって、第一流路構造体10と第二流路構造体20との間の熱抵抗は小さくなる。よって、伝熱性能を高めることができる。
【0065】
第一凸部41と第二凸部42とは、少なくとも一部の側面どうしが向かい合うため、第一流路構造体10と第二流路構造体20との間の熱抵抗は小さくなる。
【0066】
第一凸部41の延在方向は、第一熱媒体M1の流れ方向であるため、第一熱媒体M1の流れを整えることができる。第二凸部42の延在方向は、第二熱媒体M2の流れ方向であるため、第二熱媒体M2の流れを整えることができる。
【0067】
熱交換器4では、第一伝熱プレート11と第二伝熱プレート12との間に、Y方向に延びるコルゲート形状の第一内部伝熱体14が設けられている。そのため、第一熱媒体M1の流れを整えることができる。熱交換器4では、第三伝熱プレート21と第四伝熱プレート22との間に、Y方向に延びるコルゲート形状の第二内部伝熱体24が設けられている。そのため、第二熱媒体M2の流れを整えることができる。第一熱媒体M1および第二熱媒体M2の流れを整えることができるため、第一流路構造体10および第二流路構造体20の熱特性を高めることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の熱交換器104の一部の断面図である。
図8は、熱交換器104の一部の分解斜視図である。
図7および
図8に示すように、熱交換器104は、第一内部伝熱体14に代えて第一内部伝熱体114が用いられている。第二内部伝熱体24に代えて第二内部伝熱体124が用いられている。それ以外の構成は、
図3および
図4に示す熱交換器4と同様である。
【0069】
第一内部伝熱体114は、Y方向に延びるコルゲート形状とされている。第一内部伝熱体114は、所定の長さ範囲ごとに、第一凹凸51のX方向の位置がずらされている。
【0070】
図8に示すように、例えば、第一内部伝熱体114は、第1長さ範囲L1と、第2長さ範囲L2と、第3長さ範囲L3とを有する。第1~第3長さ範囲L1~L3は、この順にY方向に並ぶ。隣り合う長さ範囲は、第一凹凸51のX方向の位置が互いに異なる。例えば、第1長さ範囲L1と第2長さ範囲L2とは、第一凹凸51のX方向の位置が互いに異なる。第2長さ範囲L2と第3長さ範囲L3とは、第一凹凸51のX方向の位置が互いに異なる。隣り合う長さ範囲の第一凹凸51のX方向の位置の差は、第一凹凸51のピッチの半分以下が好ましい。例えば、第一凹凸51のピッチは、X方向に隣り合う凸部52の、X方向におけるそれぞれの凸部52の中点どうしを結ぶ距離である。
【0071】
第一内部伝熱体114は、所定の長さ範囲ごとに、第一凹凸51のX方向の位置がずらされているため、凸部52内の空間52cを流れる熱媒体の一部は、隣の長さ範囲の凹部53内の空間53cに流れる。凹部53内の空間53cを流れる熱媒体の一部は、隣の長さ範囲の凸部52内の空間52cに流れる。
【0072】
第二内部伝熱体124は、第一内部伝熱体114と同様の構造であるため、説明を省略する。
【0073】
本実施形態の熱交換器104は、第1の実施形態の熱交換器4(
図3および
図4参照)と同様に、第二伝熱プレート12に第一凸部41が形成されている。第三伝熱プレート21に第二凸部42が形成されている。そのため、熱抵抗は小さくなる。よって、伝熱性能を高めることができる。
【0074】
熱交換器104では、第一内部伝熱体114および第二内部伝熱体124は、所定の長さ範囲ごとに第一凹凸51のX方向の位置がずらされているため、熱媒体の一部は流路を変えつつ流れる。そのため、熱媒体の流れを乱し、伝熱性能を高めることができる。
【0075】
第一内部伝熱体114および第二内部伝熱体124は、所定の長さ範囲ごとに第一凹凸51のX方向の位置がずらされているため、伝熱面積を大きくして伝熱性能を向上させることができる。
【0076】
以上、実施形態の熱交換器および冷凍サイクル装置について説明したが、実施形態の構成は前述の例に限定されない。
図5に示すように、熱交換器4では、第二伝熱プレート12(第一対向面12a)と第三伝熱プレート21(第二対向面21a)の両方に凸部41,42が形成されているが、凸部は、第一対向面と第二対向面のうち一方のみに形成されていてもよい。凸部は、第一対向面と第二対向面のうち少なくとも一方に、他方に近づく方向に突出して形成されていればよい。
【0077】
図5に示す第一凸部41および第二凸部42は、Y方向(長さ方向)に直交する断面が矩形状とされているが、凸部の形状は特に限定されない。凸部の断面形状は、湾曲形状、逆V字形状、多角形状などであってよい。湾曲形状としては、例えば、円弧形状(半円形状など)、楕円弧形状などが挙げられる。多角形状としては、例えば、突出方向に幅が狭くなる台形状が挙げられる。
【0078】
第二伝熱プレートに形成される凸部の数は、1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。第三伝熱プレートに形成される凸部の数は、1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。
【0079】
図5に示す第一凸部41および第二凸部42は、中空構造であって内部に熱媒体が流通できるが、第二伝熱プレートおよび第三伝熱プレートに形成される凸部は、中実構造であってもよい。
【0080】
第一内部伝熱体14および第二内部伝熱体24の凸部52および凹部53は、Y方向(長さ方向)に直交する断面、すなわちXZ平面に沿う断面が矩形状とされているが、凸部および凹部の形状は特に限定されない。凸部および凹部の断面形状は、湾曲形状、V字形状、多角形状などであってよい。第一内部伝熱体および第二内部伝熱体は、波形状であってもよい。
【0081】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第一対向面および第二対向面の少なくとも一方に凸部が形成されている。凸部によって空間層の容積は小さくなる。したがって、第一流路構造体と第二流路構造体との間の熱抵抗は小さくなる。よって、伝熱性能を高めることができる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1…冷凍サイクル装置、4,104…室外熱交換器(熱交換器)、10…第一流路構造体、11…第一伝熱プレート、12…第二伝熱プレート、12a…第一対向面、14…第一内部伝熱体、16…第一流通空間、20…第二流路構造体、21…第三伝熱プレート、21a…第二対向面、22…第四伝熱プレート、24…第二内部伝熱体、26…第二流通空間、31…空間層、41…第一凸部(凸部)、42…第二凸部(凸部)、51…第一凹凸(凹凸)、M1…第一熱媒体、M2…第二熱媒体