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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134667
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G03G21/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044981
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山本 万弥
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA46
2H270LA25
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MG01
2H270MG06
2H270MH06
2H270MH16
2H270MH19
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】 各デバイスに供給する電源が同一でない場合でも、精度良く定着温度の2重監視制御を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本開示は、第1電源を供給する第1電源供給部と、第2電源を供給する第2電源供給部と、第1電源及び第2電源のいずれか選択された第3電源を供給する第3電源供給部と、第1電源で駆動され、ヒータを計測するセンサと、第1電源で駆動される第1のADコンバータを備え、第1のADコンバータで変換されたセンサの出力値を基に、ヒータの監視を行う第1の制御部と、第3電源で駆動される第2のADコンバータを備え、第2のADコンバータで変換されたセンサの出力値を基に、ヒータの監視を行う第2の制御部とを有し、第1の制御部は、センサによる計測要否に応じて、第2のADコンバータに供給される第3電源として、第1電源又は第2電源の選択を行う。
【選択図】 図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源を供給する第1の電源供給部と、
第2の電源を供給する第2の電源供給部と、
前記第1の電源及び前記第2の電源のいずれか選択された第3の電源を供給する第3の電源供給部と、
ヒータを計測するセンサと、
前記第1の電源で駆動される第1のADコンバータを備え、前記第1のADコンバータで変換された前記センサの出力値を基に、前記ヒータの監視を行う第1の制御部と、
前記第3の電源で駆動される第2のADコンバータを備え、前記第2のADコンバータで変換された前記センサの出力値を基に、前記ヒータの監視を行う第2の制御部と
を有し、
前記センサと前記第1のADコンバータと前記第2のADコンバータとによる計測要否に応じて、前記第2のADコンバータに供給される前記第3の電源として、前記第1の電源又は前記第2の電源の選択を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記センサによる精度を向上させた計測が必要なときには前記第1の電源をオンし、前記センサによる精度を向上させた計測が不要なときには前記第1の電源をオフし、
前記第1の制御部は、前記第1の電源がオンのときには前記第3の電源が前記第1の電源となるように選択し、前記第1の電源がオフのときには前記第3の電源が前記第2の電源となるように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサは、精度を向上させた計測が必要なとき前記第1の電源で駆動され、ヒータ温度を検出するサーミスタであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の制御部が、前記第1の電源をオンするタイミングは、画像形成を開始するタイミングであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の制御部が、前記第1の電源をオフするタイミングは、画像形成が終了したタイミングであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の制御部が、前記第1の電源をオンするタイミングは、装置の起動が完了するタイミングであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の制御部が、前記第1の電源をオフするタイミングは、装置が省電力状態になるタイミングであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、例えば、定着器を備えた電子写真方式のプリンタ等の画像形成装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、定着器を備えた画像形成装置は、用紙等の媒体に現像剤で形成されたトナー像を転写した後、媒体に転写されたトナー像を定着器により溶融して媒体に定着させている。
【0003】
このような画像形成装置においては、プリンタの制御全般を行うCPUと電源制御を行うCPUの2つのCPU(Central Processing Unit)のそれぞれに内蔵されるADコンバータ(ADコンバータでデジタル信号に変換された温度等のセンシングデータ)を用いて定着温度の2重監視を行うことで定着ヒータの過熱による災害を未然に防ぐような回路を形成している。
【0004】
上述の回路では、ADコンバータで精度良く変換するために、従来から種々様々な工夫がなされている。例えば、ADコンバータに入力されるセンサ信号を出力するセンサの電源とADコンバータの基準電圧であるリファレンス電圧の電源には同じものを入力し、アナログ電圧をデジタル値に変換する際に電源電圧の誤差が入らないようにすることで精度良く変換していた。また、特許文献1では、上述の精度向上を応用して複数の電源のアナログ出力に対し、それぞれの電源を切り替えてリファレンスに入力して精度向上を図る例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-20021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の回路構成において、例えばCPUを駆動する電源と該CPUに内蔵されるADコンバータを駆動する電源とが同一の電源であるCPUを用いる様な場合、複数のCPU間で異なるタイミングで電源の切替が発生すると各CPUのADコンバータの基準となる電源を同一とすることが困難で、測定誤差が発生する場合があった。
【0007】
そのため、各デバイスに供給する電源を同一電源とすることができない場合でも、精度良く定着温度の2重監視制御を行うことができる画像形成装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の画像形成装置は、(1)第1の電源を供給する第1の電源供給部と、(2)第2の電源を供給する第2の電源供給部と、(3)前記第1の電源及び前記第2の電源のいずれか選択された第3の電源を供給する第3の電源供給部と、(4)前記第1の電源で駆動され、ヒータを計測するセンサと、(5)前記第1の電源で駆動される第1のADコンバータを備え、前記第1のADコンバータで変換された前記センサの出力値を基に、前記ヒータの監視を行う第1の制御部と、(6)前記第3の電源で駆動される第2のADコンバータを備え、前記第2のADコンバータで変換された前記センサの出力値を基に、前記ヒータの監視を行う第2の制御部とを有し、(7)前記第1の制御部は、前記センサによる計測要否に応じて、前記第2のADコンバータに供給される前記第3の電源として、前記第1の電源又は前記第2の電源の選択を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、各デバイスに供給する電源を同一電源とすることができない場合でも、精度良く定着温度の2重監視制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置の制御部(プリンタ制御CPU、電源制御CPU)を含む電源回路を概略的に示すブロック図である。
図3】実施形態に係る制御部(プリンタ制御CPU、電源制御CPU)を含む電源回路の電源系統の概要を示すブロック図である。
図4】実施形態に係るプリンタの特徴動作(電源シーケンス)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)主たる実施形態
以下、本開示による画像形成装置の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本開示の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
【0012】
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)概略全体構成
図1は、この実施形態のプリンタ1の全体構成を示す概略断面図である。
【0013】
プリンタ1は、画像形成部2(2K、2Y、2M、2C)と、給紙ローラ11と、給紙センサ12と、搬送ローラ14と、搬送ローラ15と、書込みセンサ16と、搬送ベルト従動ローラ17と、搬送ベルト駆動ローラ18と、搬送ベルト19と、定着器20と、排出センサ24と、排出ローラ25と、排出ローラ26とを有する。
【0014】
画像形成部2K、2Y、2M、2Cは、それぞれトナー像を形成するものである。画像形成部2K、2Y、2M、2Cは、それぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー色のトナー像を形成するものである。画像形成部2K、2Y、2M、2Cは、それぞれLEDヘッド3K、3Y、3M、3Cを備え、対向して設置された転写ローラ10K、10Y、10M、10Cを用いて給紙されてきた用紙Mにトナー像を形成する。
【0015】
給紙ローラ11は、図示しない用紙カセット内から用紙Mを1枚ずつ給紙するローラである。給紙センサ12は、図示しない用紙カセット内から給紙した用紙Mを検出するためのセンサである。
【0016】
搬送ローラ14及び搬送ローラ15は、給紙されてきた用紙Mを搬送ベルト19まで搬送するローラである。書込みセンサ16は、給紙されてきた用紙Mの書き出し開始タイミングを決定するためのセンサである。
【0017】
搬送ベルト19は、無端状に形成され、給紙された用紙Mを搬送するためのベルトである。搬送ベルト駆動ローラ18は、図示しないモータとギヤで接続され、搬送ベルト19を動かすためのローラである。搬送ベルト従動ローラ17は、搬送ベルト19の回転に合わせて回転し、搬送ベルト19の張りを一定に保つよう配設されたローラである。
【0018】
定着器20は、定着ローラ21および定着バックアップローラ22が内蔵されている。定着ローラ21は、内部のヒータ(ハロゲンランプなどの発熱体)によって加熱(例えば、約170℃の温度で加熱)され、用紙表面に転写されたトナー像を定着させるものである。定着バックアップローラ22は、図示せぬ押圧手段により定着ローラ21に押圧されているローラである。
【0019】
排出センサ24は、用紙Mの排出状態(搬送エラーや巻きつき等)を検出するためのセンサである。
【0020】
排出ローラ25及び排出ローラ26は、画像形成された用紙を外部に排出するためのローラである。
【0021】
その他、プリンタ1は、図示していないが、各ローラ類を回すためのモータ、最小媒体間隔以下の距離に敷設された搬送路上のローラ、搬送路のローラへの動力伝達のON/OFFのためのクラッチ等も構成要素として有する。
【0022】
(A-1-2)電源回路の概略
図2は、実施形態に係る画像形成装置の制御部(プリンタ制御CPU、電源制御CPU)を含む電源回路を概略的に示すブロック図である。
【0023】
図2に示すようにプリンタ1の電源回路Eは、第1の制御部としてのプリンタ制御CPU201と、トライアック制御回路202と、商用交流電源203と、ヒータ204と、ACリレー205と、トランジスタ207と、サーミスタ208と、抵抗209と、オペアンプ210と、サーミスタ214と、抵抗215と、オペアンプ216と、第2の制御部としての電源制御CPU220と、電源221と、電源222と、オペアンプ230と、オペアンプ231と、FET235と、電源236と、電源スイッチ237と、抵抗238と、電源240と、AND回路241と、FET242と、電源243とを有する。
【0024】
<ヒータ周辺>
トライアック制御回路202は、商用交流電源203のN側とヒータ204に接続されており、また、プリンタ制御CPU201の出力ポートOUT1を介してプリンタ制御CPU201とも接続されていて、プリンタ制御CPU201からの出力信号(制御信号)によってヒータ204へ電力を供給する。
【0025】
商用交流電源203は、交流電源(例えば、100V、50Hz)であって、L側はACリレー205の接点側に接続されている。
【0026】
ヒータ204は、定着器20の定着ローラ21内部に配置されたヒータ(ハロゲンランプ等)である。
【0027】
ACリレー205は、コイル部と接点部とを有するメカニカルリレーであり、ACリレー205の接点部の一端はヒータ204に接続され、他端は交流電源のL側に接続される。ACリレー205のコイル部の一端はトランジスタ207を介して電源243(24V)に接続され、他端はグラウンドである0Vに接続されている。
【0028】
プリンタ制御CPU201は、出力ポートOUT2から接続されたAND回路241を介してトランジスタ207を制御し、電源243(24V)をON/OFFすることでACリレー205のコイルの通電/非通電を切り替えACリレー205を開閉する。なお、電源243(24V)のON/OFFは、電源制御CPU220の出力ポートOUT4から接続されたAND回路241を介してトランジスタ207を制御することでも行われる。
【0029】
<プリンタ制御CPU周辺>
プリンタ制御CPU201は、制御部201aと、第1のADコンバータであるADC(ADコンバータ)201bと、UART201cとを有する。
【0030】
制御部201aは、図示しないFLASHROMから所定のプログラムを読み出して、電源を含む各部を制御し、上位装置から図示しないLAN(Local Area Network)インタフェースを介し印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタ1の全体を制御する制御部である。
【0031】
ADC201bは、ADコンバータ端子ADC1に入力されるサーミスタ信号213及びADコンバータ端子ADC2に入力されるサーミスタ信号219をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、制御部201aへ送出する。
【0032】
ADコンバータ201bは、リファレンス電圧端子VREF1にリファレンス電源222(3.3V1)が入力されている。ADコンバータ201bは、電圧3.3Vのフルスケール、10bitの分解能を保持する。以下、リファレンス電圧端子VREF1を介して入力される電源222の電圧を「リファレンス電圧VREF1」とも呼ぶものとする。
【0033】
リファレンス電源222(3.3V1)は、消費電力を低減するために必要に応じてON/OFFする電源である。制御部201aは、出力ポートOUT3から接続されたFET242(FET1)を信号SIG1によってON/OFFすることで、リファレンス電源222(3.3V1)をON/OFFする。
【0034】
電源240(3.3V)は、プリンタ制御CPU201全体を駆動するための電源であり、電源端子VDD1に接続されている。電源240(3.3V)は、プリンタ1の動作状態に応じてON/OFFする電源である。電源制御CPU220(制御部221a)は、出力ポートOUT5から接続されたFET235(FET2)を信号SIG2によってON/OFFすることで、電源240(3.3V)をON/OFFする。
【0035】
UART201cは、電源制御CPU220側とコマンドや温度データ等のやり取りを行う通信部である。
【0036】
<電源制御CPU周辺>
電源制御CPU220は、プリンタ1の主電源の制御を行う低速のCPUであって、制御部221aと、第2のADコンバータであるADC221bと、UART221cとを有する。
【0037】
制御部221aは、抵抗238で電源236(3.3V2)でプルアップされた電源スイッチ237を監視してプリンタ制御CPU201を含め制御基板への電源を供給制御する。また、制御部221aは、プリンタ制御CPU201(制御部201a)と共に、ADC221bから供給される温度データを基に、定着ローラ21(ヒータ204)の監視を行う。
【0038】
ADC221bは、ADコンバータ端子ADC3に入力されるサーミスタ信号232及びADコンバータ端子ADC4に入力されるサーミスタ信号233をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、制御部221aへ送出する。
【0039】
ADC221bは、リファレンス電圧端子VREF2に電源221(3.3V3)が入力されている。ADC221bは、電圧3.3Vのフルスケール、10bitの分解能を保持する。以下、リファレンス電圧端子VREF2を介して入力される電源221の電圧を「リファレンス電圧VREF2」とも呼ぶものとする。
【0040】
電源221(3.3V3)は、リファレンス電圧端子VREF2に接続されると共に、電源端子VDD2にも接続されている。即ち、電源制御CPU220(電源端子VDD2)に供給する電源と、ADC221b(リファレンス電圧端子VREF2)に供給する電源は共通する。
【0041】
UART221cは、プリンタ制御CPU201側とコマンドや温度データ等のやり取りを行う通信部である。
【0042】
<サーミスタ周辺>
サーミスタ208は、定着ローラ21(ヒータ204)の温度を検出するセンサであり、サーミスタ208の一端には、上述の電源222(3.3V1)が接続され、サーミスタ208のもう一方の端子には抵抗209の一端が接続されている。また抵抗209の他端はグランド(0V)に接続されている。
【0043】
また、サーミスタ208は、定着ローラ21(ヒータ204)の温度を検出するように配置されており(図2上では左右で分散されて配置されているように見えるが、実際には近傍に配置されている)、抵抗209で電圧3.3Vの分圧信号を生成して、ボルテージフォロワを構成したオペアンプ210及びオペアンプ230に接続される。
【0044】
オペアンプ210の出力はサーミスタ信号213を生成して、プリンタ制御CPU201のADコンバータ端子ADC1にこのサーミスタ信号213が入力される。同様に、オペアンプ230の出力はサーミスタ信号232を生成して、電源制御CPU220のADコンバータ端子ADC3にこのサーミスタ信号232が入力される。
【0045】
サーミスタ214は、定着バックアップローラ22の温度を検出するセンサであり、サーミスタ214の一端には、上述の電源222(3.3V1)が接続され、サーミスタ214のもう一方の端子には抵抗215の一端が接続されている。また抵抗215の他端はグランド(0V)に接続されている。
【0046】
サーミスタ214は、定着バックアップローラ22の温度を検出するように配置されており、抵抗215で電圧3.3Vの分圧信号を生成して、ボルテージフォロワを構成したオペアンプ216及びオペアンプ231に接続される。
【0047】
オペアンプ216の出力は、サーミスタ信号219を生成して、プリンタ制御CPU201のADコンバータ端子ADC2にこのサーミスタ信号219が入力される。同様に、オペアンプ231の出力は、サーミスタ信号233を生成して、電源制御CPU220のADコンバータ端子ADC4にこのサーミスタ信号233が入力される。
【0048】
(A-1-3)電源回路の電源系統の概要
図3は、実施形態に係る制御部(プリンタ制御CPU、電源制御CPU)を含む電源回路の電源系統の概要を示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、プリンタ1の電源回路Eは、電源310と、LDO(Low Dropout)300と、上述のFET235と、DCDC301と、上述のFET242と、セレクタ302とを有する。
【0050】
電源310(5V1)は、図示しない低圧電源で生成され供給される電圧5Vの電源である。
【0051】
LDO300は、電源310(5V1)から電圧3.3Vの電源236(3.3V2)を生成するためのリニアレギュレータLDO(Low Dropout)である。
【0052】
FET235(FET2)は、電源310(5V1)から別の電圧5Vの電源310(5V2)を生成するためのFET(図2のFET235と同一のFET)である。
【0053】
DCDC301は、電源310(5V2)からプリンタ制御CPU201の電圧3.3Vの電源240(3.3V)を生成するためのDC-DCコンバータである。
【0054】
FET242(FET1)は、電源240(3.3V)からプリンタ制御CPU201のADコンバータの電圧3.3Vのリファレンス電源222(3.3V1)を生成するためのFET(図2のFET242と同一のFET)である。
【0055】
セレクタ302は、プリンタ制御CPU201の制御に応じて電源236(3.3V2)と電源222(3.3V1)とを切り替えて電源制御CPU220の電源221(3.3V3)を生成するための電源選択回路である。プリンタ制御CPU201は、出力ポートOUT3から接続されたFET242(FET1)を信号SIG1によって電源236(3.3V2)と電源222(3.3V1)とを切り替え、電源221(3.3V3)に接続する電源を選択する。
【0056】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する実施形態に係るプリンタ1の動作を説明する。
【0057】
(A-2-1)プリンタ1の印刷動作
まず、プリンタ1の基本動作(印刷動作)について述べる。プリンタ1はLANインタフェース(有線・無線は問わず)を介して、上位装置(ホスト)と接続されているものとする。
【0058】
プリンタ1は、上位装置から印刷データの転送と印刷の指示を受けると定着用のヒータ204を暖め始め、定着ローラ21が給紙開始可能温度150℃に到達したら図示しない用紙カセット内のシートレシーブ部より給紙ローラ11を回転させて用紙Mを1枚搬送ローラ14と15まで送り出す。
【0059】
画像形成部2K、2Y、2M、2Cは、給紙開始とほぼ同時にローラ類の回転を開始しており、この回転開始に伴って搬送ベルト19も搬送ベルト駆動ローラ18が回転を開始する。
【0060】
突き当て後、搬送ローラ14と15はクラッチで動力がつながり回転し、更に搬送されて行き、書込みセンサ16をONにする。書き込みセンサONのあと一定時間後にLEDヘッド3Kが露光を開始して静電潜像を感光体ドラム4K上に形成する。この形成された静電潜像に従って現像ローラ6Kにてトナー像が感光体ドラム4K上に形成される。このトナー像を、転写ローラ10Kに約+3000Vの電圧を掛けて用紙側に引き寄せて用紙Mへの転写を行う。他の色も順次、同様に露光及び転写を行う。
【0061】
用紙Mへの転写が終わると、ヒータ204によって約170℃に加熱された定着ローラ21と定着バックアップローラ22との間で加熱及び加圧されて用紙にトナーが定着する。定着後、用紙Mはヒータの排出センサ24をONした後、排出ローラ25、26にてスタッカ(図示せず)に排出されて行く。
【0062】
(A-2-2)電源の前提
この実施形態では、サーミスタ208及びサーミスタ214の電源、並びにプリンタ制御CPU201のADC201bのリファレンス電圧VREF1を電源222(3.3V1)としている。
【0063】
また、電源制御CPU220のADC221bのリファレンス電源VREF2を電源221(3.3V3)としている。電源221(3.3V3)は、電源236(3.3V2)と電源222(3.3V1)から選択される電源である。
【0064】
電源制御CPU220には、電源スイッチ237を監視するための電源と、サーミスタ208、サーミスタ214によるヒータ204の温度を監視するための電源が必要である。
【0065】
電源スイッチ237を監視するための電源は、プリンタ1に商用交流電源203が接続されている間、常にONしている電源である。電源スイッチ237の押下状態を判別できればよいので、細かい精度は不要である。このため、電源スイッチ237を監視する場合には、電源制御CPU220の電源221(3.3V3)には電源236(3.3V2)が接続される。
【0066】
サーミスタ208、サーミスタ214の状態を示すサーミスタ信号232、233を監視することによりヒータ204の温度を監視するための電源は、ヒータ204の温度監視を行う必要がある期間にONする電源であり、サーミスタ208、サーミスタ214の電源と同程度の精度の電源が必要である。また、消費電力を低減するために、温度を監視する必要がない期間はOFFする電源である。このため、ヒータ204の温度を監視する場合は、電源制御CPU220の電源221(3.3V3)には電源222(3.3V1)が接続される。
【0067】
ヒータ204の温度監視は、プリンタ制御CPU201と電源制御CPU220の両方のCPUで行っており、一方のCPUが動作不良となった場合に、もう一方のCPUが危険を検知することで、ACリレー205をOFFできるようにしている。このため、プリンタ制御CPU201と電源制御CPU220のそれぞれで検出するヒータ204の温度は同じとなることが望ましい。つまり、プリンタ制御CPU201のADC201bのリファレンス電源VREF1と電源制御CPU220のADC221bのリファレンス電源VREF2は、電圧精度に誤差の無い電源であることが望ましい。
【0068】
電源制御CPU220のADC221bのリファレンス電源VREF2とプリンタ制御CPU201のADC201bのリファレンス電源VREF1の電圧精度の誤差が大きい場合、電源236(3.3V2)と電源222(3.3V1)の誤差により、プリンタ制御CPU201と電源制御CPU220のそれぞれで検出するヒータ204の温度が大きく異なることとなる。
【0069】
以上を前提として、以下、プリンタ1の状態に応じて電源を切り替える動作を説明する。
【0070】
(A-2-3)電源シーケンス
図4は、実施形態に係るプリンタの特徴動作(電源シーケンス)を示すシーケンス図である。図4は、プリンタ1のプリンタ制御CPU201および電源制御CPU220の回路に関わる部分の電源シーケンスの概要を示している。まず、図4におけるプリンタ1の各状態から説明を行う。
【0071】
「ACオフ」は、プリンタ1に商用交流電源203が接続されていない状態である。「OFFモード」は、プリンタ1に商用交流電源203が接続されたが、電源スイッチ237が押下されず、プリンタ制御CPU201の電源がOFFで、電源制御CPU220の電源のみONしている状態である。
【0072】
「ON移行」は、電源スイッチ237が押下されONモードへの移行中の状態である。「ONモード」は、プリンタ制御CPU201の電源がONとなり、プリンタ1が動作できる状態である。
【0073】
「Sleepモード」は、プリンタ1の省電力モードの状態である。「OFF移行」は、電源スイッチ237が押下されOFFモードへの移行中の状態である。
【0074】
次に、図4の電源シーケンスの各ステップについて説明を行う。
【0075】
<ステップS1-1(ACコード挿入)~ステップS1-3>
プリンタ1の状態がACオフ状態で、プリンタ1に商用交流電源203が接続されると、図示しない低圧電源で生成された電源310(5V1)がONする(ステップS1-1)。同時に電源236(3.3V2)がONする(ステップS1-2)。
【0076】
この際、信号SIG1は、LOWレベルであり、電源221(3.3V3)にはセレクタ302によって電源236(3.3V2)が接続され、電源221(3.3V3)がONする(ステップS1-3)。
【0077】
ここまでのステップS1-1~ステップS1-3の処理により、プリンタ1の状態はOFFモードとなる。
【0078】
<ステップS2-1(電源SW押下)~ステップS2-3>
プリンタ1の状態がOFFモード状態で、電源スイッチ237が押下されると、電源制御CPU220は、出力ポートOUT5から接続されたFET235(FET2)を制御する信号SIG2をHighレベルにアサートする(ステップS2-1)。
【0079】
信号SIG2がHighレベルにアサートされると電源310(5V2)がONし(ステップS2-2)、これと同時に電源240(3.3V)がONする(ステップS2-3)。
【0080】
ここまでのステップS2-1~ステップS2-3の処理により、プリンタ1の状態はON移行となる。そして、プリンタの状態がON移行状態で、ONモードへの移行処理が行われ、移行処理が完了するとプリンタ状態はONモードとなる。
【0081】
<ステップS3-1(ONモードでON)~ステップS3-3>
プリンタ1の状態がONモードになると、プリンタ制御CPU201は、出力ポートOUT3から接続されたFET242(FET1)を制御する信号SIG1をHighレベルにアサートする(ステップS3-1)。
【0082】
信号SIG1がHighレベルにアサートされると電源222(3.3V1)がONする(ステップS3-2)。この際、信号SIG1はHighレベルであり、電源221(3.3V3)にはセレクタ302によって電源222(3.3V1)が接続される(ステップS3-3)。
【0083】
プリンタの状態がONモード中の一定時間に印刷やプリンタ1の操作が行われない場合には、プリンタ状態はSleepモードとなる。
【0084】
<ステップS4-1(Sleep移行タイミングでOFF)~ステップS4-3>
プリンタ1の状態がSleepモードになると、プリンタ制御CPU201は出力ポートOUT3から接続されたFET242(FET1)を制御する信号SIG1をLowレベルにディアサートする(ステップS4-1)。
【0085】
信号SIG1がLowレベルにディアサートされると電源222(3.3V1)がOFFする(ステップS4-2)。
【0086】
この際、信号SIG1は、Lowレベルであり、電源221(3.3V3)にはセレクタ302によって電源236(3.3V2)が接続される(ステップS4-3)。
【0087】
<ステップS5(電源SW押下)>
プリンタの状態がSleepモード中に電源スイッチ237が押下されると、プリンタ状態はOFF移行となり、OFFモードへの移行処理が行われる。本実施形態ではSleepモード中に電源スイッチ237が押下されることを例としているが、プリンタ状態がONモード中に電源スイッチ237が押下される場合も同様である。
【0088】
プリンタ1の状態がOFF移行状態でOFFモードへの移行処理が行われ、移行処理が完了するとプリンタ1の状態はOFFモードとなる。
【0089】
<ステップS6-1(OFFモードでOFF)~ステップS6-3>
プリンタの状態がOFFモードになると、電源制御CPU220(制御部221a)は、出力ポートOUT5から接続されたFET235(FET2)を制御する信号SIG2をLowレベルにディアサートする(ステップS6-1)。
【0090】
信号SIG2がLowレベルにディアサートされると電源310(5V2)がOFFし(ステップS6-2)、同時に電源240(3.3V)がOFFする(ステップS6-3)。
【0091】
<ステップS7-1(ACコード抜去)~ステップS7-3>
プリンタ1の状態がOFFモード中にプリンタ1から商用交流電源203が抜かれると、図示しない低圧電源で生成された電源310(5V1)がOFFし(ステップS7-1)、同時に電源236(3.3V2)がOFFする(ステップS7-2)。これにより、電源221(3.3V3)もOFFする(ステップS7-3)
<変形例>
上記では、印刷終了すると温度検知を停止する実施例を説明したが、第1の電源がオフされた省電力モード時などで、精度を必要としない温度検知を行うときには、前記センサには第1の電源とは異なる他の電源(例えば第2の電源)からの電源を供給し、省電力モードで第3の電源経由で第2の電源が供給されて動作している第2のADコンバータと第2の制御部の組み合わせで温度検知を行っても良い。
【0092】
(A-3)実施形態の効果
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0093】
プリンタ1は、ヒータ204の温度を監視する時には、電源制御CPU220の電源をプリンタ制御CPU201及び各サーミスタの電源と同一の電源とし、電源スイッチ237を監視する時には、常時ONする電源としたため、ヒータ204の温度を監視する際、プリンタ制御CPU201に内蔵されるADC201bのAD変換結果と電源制御CPU220に内蔵されるADC221bのAD変換結果の誤差を小さくすることが可能となり、それぞれのCPUで検出するヒータの温度の誤差を小さくすることができる。
【0094】
また、プリンタ制御CPU201及び各サーミスタの電源がOFFとなっても、電源制御CPU220は、電源スイッチ237を監視することができる。
【0095】
(B)他の実施形態
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0096】
(B-1)上記実施形態では、画像形成装置としてプリンタ(カラープリンタ)を例に説明したが、プリンタの他、電子写真方式による複写機、又はMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置についても適用できる。
【0097】
(B-2)上記実施形態では、電源制御CPUの電源をONモードでプリンタ制御CPUと同じ電源に、Sleepモードで常時ONの電源に切り替えるようにしたが、印刷開始でプリンタ制御CPUと同じ電源に、印刷終了時に常時ONの電源に切り替えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0098】
1…プリンタ、20…定着器、21…定着ローラ、22…定着バックアップローラ、201…プリンタ制御CPU、201a…制御部、201b…ADコンバータ、204…ヒータ、208…サーミスタ、213…サーミスタ信号、219…サーミスタ信号、220…電源制御CPU、221a…制御部、221…電源、222…電源、232…サーミスタ信号、233…サーミスタ信号、235…FET、236…電源、237…電源スイッチ、240…電源、242…FET、243…電源、302…セレクタ、310…電源、ADC1…ADコンバータ端子、ADC2…ADコンバータ端子、ADC3…ADコンバータ端子、ADC4…ADコンバータ端子、E…電源回路、LDO…リニアレギュレータ、OUT1…出力ポート、OUT2…出力ポート、OUT3…出力ポート、OUT4…出力ポート、OUT5…出力ポート、SIG1…信号、SIG2…信号、VDD1…電源端子、VDD2…電源端子、VREF1…リファレンス電圧端子、VREF2…リファレンス電圧端子。

図1
図2
図3
図4