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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134668
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/24 20060101AFI20240927BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20240927BHJP
   E06B 3/46 20060101ALN20240927BHJP
   E06B 7/26 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
E06B7/24
E06B7/16 Z
E06B3/46
E06B7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044983
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直也
(72)【発明者】
【氏名】北尾 貢
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E036AA01
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036DA04
2E036DA08
2E036DA24
2E036EB03
2E036EB08
2E036EB10
2E036EC03
2E036FA10
2E036FB01
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB05
2E036HB06
(57)【要約】
【課題】召合せ框の見付け幅を狭く抑えつつも水密性・気密性に優れた建具を提供する。
【解決手段】引違い障子の外召合せ框と内召合せ框の間に設けられ、前記外召合せ框に設けられ前記内召合せ框の見付け面に当接される外止水材と、前記内召合せ框に設けられ前記外召合せ框の見付け面に当接される内止水材との間に形成される召合せ空間に、前記外召合せ框に設けられ前記外止水材が嵌入される外止水材嵌入部から突出する外煙返し片と、前記内召合せ框に設けられ前記内止水材が嵌入される内止水材嵌入部から突出する内煙返し片と、が設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引違い障子の外召合せ框と内召合せ框の間に設けられ、
前記外召合せ框に設けられ前記内召合せ框の見付け面に当接される外止水材と、
前記内召合せ框に設けられ前記外召合せ框の見付け面に当接される内止水材との間に形成される召合せ空間に、
前記外召合せ框に設けられ前記外止水材が嵌入される外止水材嵌入部から突出する外煙返し片と、前記内召合せ框に設けられ前記内止水材が嵌入される内止水材嵌入部から突出する内煙返し片と、が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記召合せ空間と、屋外空間とを連通する連通経路を備えていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1に記載の建具であって、
前記引違い障子は、面材と、前記外召合せ框と接合される外下框とを有し、
前記外下框は、前記面材の端部を収容する下面材収容部を有し、
前記外召合せ框は、前記面材の端部を収容し、前記下面材収容部と繋がる側面材収容部と、前記側面材収容部の前記面材とは反対側に長手方向に沿う召合せ框中空部と、を有し、
前記外下框は、屋外と前記下面材収容部とを連通する第1連通孔を有し、
前記外召合せ框は、前記側面材収容部と前記召合せ框中空部とを連通する第2連通孔と、前記召合せ框中空部と前記召合せ空間とを連通する第3連通孔と、を有することを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記引違い障子の下に位置する下枠は、前記召合せ空間と連通し当該召合せ空間と上下に対向する位置に第4連通孔を有していることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記引違い障子は、前記内召合せ框と接合される内下框とを有し、
前記内下框は、長手方向の端が、前記内召合せ框の側端に当接されて接合され、互いの見付け面が同一の平面をなし、
前記内召合せ框の下端部は、前記引違い障子の下に位置する下枠の上方に立ち上がる壁部と対向する位置では、前記内下框の前記長手方向の端と間隔が空けられていることを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項5に記載の建具であって、
前記下枠は、前記引違い障子を案内するレールと、前記壁部を覆う風止部材と、を有し、
前記内召合せ框は、前記レールと見込み方向に対向するレール対向部及び前記風止部材と対向する風止部材対向部を有する摺動部材を有し、
前記レール対向部は、前記レールに当接する第1止水片を有し、
前記風止部材対向部は、前記風止部材に当接する第2止水片を有することを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記内召合せ框は下端部に、内障子の外周に位置する見込み面から突出し、外障子と対向する室外側見付面を有する水返し部材を有することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引違い障子を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から引違い障子を備えた建具において、内召合せ框と外召合せ框との間に、縦方向に沿う2つの止水材を、障子のスライド方向に間隔を空けて取り付けて召合せ空間を形成するとともに、召合せ空間とは別に、内召合せ框の煙返し片と外召合せ框の煙返し片を係合させることにより、外気や雨水の浸入を防止する構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―221785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具の気密性・水密性をより高めるためには、例えば、召合せ空間を形成する2つの止水材の間隔をより広く設けることが望ましい。しかしながら、2つの止水材の間隔を広く設け、さらに召合せ空間とは別に、内召合せ框の煙返し片と外召合せ框の煙返し片を係合させると、召合せ框の見付け幅(障子のスライド方向の幅)が広くなり、建具の中央側にて視界が大きく遮られてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、召合せ框の見付け幅を狭く抑えつつも水密性・気密性に優れた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、引違い障子の外召合せ框と内召合せ框の間に設けられ、前記外召合せ框に設けられ前記内召合せ框の見付け面に当接される外止水材と、前記内召合せ框に設けられ前記外召合せ框の見付け面に当接される内止水材との間に形成される召合せ空間に、前記外召合せ框に設けられ前記外止水材が嵌入される外止水材嵌入部から突出する外煙返し片と、前記内召合せ框に設けられ前記内止水材が嵌入される内止水材嵌入部から突出する内煙返し片と、が設けられていることを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、召合せ框の見付け幅を狭く抑えつつも水密性・気密性に優れた建具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る建具の姿図である。
図2】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る建具の横断面図である。
図4図4(a)は、下框の断面図であり、図4(b)は、外下框を上方から見た図である。
図5】建具の召合せ部を屋内側上方から見た斜視図である。
図6】外召合せ框に設けられている側方連通孔を説明する図である。
図7】下枠上の外召合せ框及び上召合せ框を上方から見た断面図である。
図8】下枠と風止部材を説明する図である。
図9図9(a)は、内召合せ框を屋外側下方から見た図であり、図9(b)は、摺動部材に設けられた第1及び第2止水片を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具の一例として、図1図3に示すように、建物の大開口部に設置され、大型の障子を備える建具1を例に挙げて説明する。建具1は、図1に示すように、建物に固定される窓枠2と、窓枠2にスライド可能に支持される2組の引違い障子3と、を有している。
【0010】
以下の説明においては、設置された状態の建具1を屋内側から見たときに上下となる方向を上下方向、障子3のスライド方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。また、建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が設置されている状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0011】
窓枠2は、上枠20、下枠21と左右の縦枠22が矩形状に枠組みされている。下枠21は、平坦な底部21aを有しており、底部21aから上方に突出させて、引違い障子3を案内する屋外側レール21b及び屋内側レール21cが、下枠21の長手方向、すなわち引違い障子3のスライド方向に沿って設けられている。屋外側レール21bと屋内側レール21cとは、見込み方向に間隔を空けて設けられており、その間に、スライド方向に沿って上方に立ち上がる中央壁部21dが底部21aから上方に突出させて設けられている。
【0012】
また、底部21aには、屋外側の端から上方に立ち上がる下枠屋外壁部21eと、屋内側の端から上方に立ち上がる下枠屋内壁部21fと、が設けられている。引違い障子3において屋外側に位置する外障子4は、屋外側レール21bに案内され、下端部が中央壁部21dと下枠屋外壁部21eとの間に収容されてスライドし、引違い障子3において屋内側に位置する内障子5は、屋内側レール21cに案内され、下端部が中央壁部21dと下枠屋内壁部21fとの間に収容されてスライドするように構成されている。
【0013】
2組の引違い障子3は、左右に並べて配置され、それぞれ屋外側に配置される外障子4と、屋内側に配置される内障子5と、を有し、各々の内障子5が窓枠2の中央側にて互いに突き合わされるように構成されている。2組の引違い障子3は、左右の向きが互いに相違するが構成は同じである。このため、ここでは左側の引違い障子3を例に挙げて説明する。
【0014】
引違い障子3の外障子4と内障子5は、各々、面材としてのガラス3aを有し、ガラス3aの外周を囲むように矩形状に框組みされた上框40、50、下框41、51、戸先框42、52及び召合せ框43、53を有している。上框40、50、下框41、51、戸先框42、52及び召合せ框43、53は、矩形状に框組みされた状態で、内周側となる部位にガラス3aの周端部が収容されている。
【0015】
上框40、50、下框41、51、戸先框42、52及び召合せ框43、53は、いずれも長手方向を押し出し方向とする押し出し形材であり、外障子4と内障子5との、上框40、50どうし、下框41、51どうし、戸先框42、52どうし及び召合せ框43、53どうしは、同一の押し出し形材で構成されている。
【0016】
外障子4の下框(以下、外下框ともいう)41及び内障子5の下框(以下、内下框ともいう)51は、図4(a)に示すように、長手方向に貫通し断面がほぼ矩形状をなす下框中空部41a、51aを有しており、下框中空部41a、51aを形成し、見込み方向に間隔を空けて対向する一対の下框壁部41b、51bは、下框中空部41a、51aよりも上下にそれぞれ延出されており、一対の下框壁部41b、51bの上方に延出された上方延出部41c、51cの上端部41d、51d及び一対の下框壁部41b、51bの下方に延出された下方延出部41e、51eの下端部41f、51fは、それぞれ見込み方向の間隔が、一対の下框壁部41b、51bの間隔よりも僅かに広く形成されている。なお、図4は、外障子4の外下框41を示し、内障子5の内下框51において対応する部位には同符号を付して示している。
【0017】
下框41、51においては、下框中空部41a、51aの上に位置して一対の下框壁部41b、51b間にわたる下框上連結部41g、51gと、上方延出部41c、51cにより形成される溝状をなす部位が、ガラス3aの下端部を収容する下ガラス収容部41h、51hをなしている。ガラス3aは、下框上連結部41g、51g上にセッティングブロック6(図2)を介して載置され、ガラス3aの両面と上方延出部41c、51cとの間がシール材3b(図2)により封止されている。
【0018】
外下框41には、図4(a)、図4(b)に示すように、下框中空部41aの下に位置して一対の下框壁部41b間にわたる外下框下連結部41iに、屋外空間S1と下框中空部41a内とを連通する下框下連通孔41jが設けられている。下框下連通孔41jは、外下框41の長手方向における両端部近傍であって、外下框下連結部41iの屋外側及び屋内側の端部に設けられている。
【0019】
また、外下框上連結部41gには、下框中空部41a内と下ガラス収容部41h内とを連通する複数の下框上連通孔41kが設けられている。下框上連通孔41kは、外下框上連結部41gの見込み方向におけるほぼ中央であって、長手方向に適宜間隔を空けて設けられている。すなわち、下框下連通孔41jと下框上連通孔41kとは、上下方向において対向しない位置に配置されている。ここで、下框下連通孔41j及び下框上連通孔41kが、屋外空間と下面材収容部とを連通する第1連通孔に相当する。なお、下框下連通孔41jと下框上連通孔41kの配置は、両者が対向せずに、屋外空間と下面材収容部とを連通可能であれば、その配置はこれに限るものではない。
【0020】
外障子4の召合せ框(以下、外召合せ框という)43及び内障子5の召合せ框(以下、内召合せ框という)53は、図5に示すように、長手方向に貫通し断面がほぼ矩形状をなす召合せ框中空部43a、53aを有しており、召合せ框中空部43a、53aを形成し、見込み方向に間隔を空けて対向する一対の召合せ框壁部43b、53bは、召合せ框中空部43a、53aよりも内周側、すなわちガラス3a側にそれぞれ延出されている。召合せ框中空部43a、53aの内周側に位置して一対の召合せ框壁部43b、53b間にわたる召合せ框内連結部43c、53cと、一対の召合せ框壁部43b、53bの延出された内周延出部43d、53dにより形成される溝状をなす部位が、ガラス3aの側端部を収容する側ガラス収容部43e、53eをなしている。ガラス3aは、両面と上方延出部41cとの間がシール材3bにより封止されている。
【0021】
外召合せ框43及び内召合せ框53は、召合せ框中空部43a、53aの外周側の見込み面43f、53fが、外召合せ框43及び内召合せ框53の外周面をなしている。内召合せ框53の外周面の下端には、外周側、すなわち内障子5の戸先框52とは反対方向に突出させて水返し部材7が設けられている。水返し部材7は、内召合せ框53の屋外側に設けられたブロック状の部材であり、下端がなす平面7aが内召合せ框53の下端の位置とほぼ一致しており、屋外側見付け面7bが、内召合せ框53の屋外側の召合せ框壁部53bの見付け面よりも屋内側にて屋外側に向いた見付け面をなすように配置されている。
【0022】
外召合せ框43及び内召合せ框53は、引違い障子3を閉じた時に互いに対向する見付け面における外周側の端に、対向する外召合せ框43または内召合せ框53側に突出させて設けられる止水材8が嵌入される止水材嵌入部43g、53gが設けられている。
【0023】
止水材嵌入部43g、53gは、外召合せ框43及び内召合せ框53の全長にわたって設けられており、止水材8は、止水材嵌入部43g、53gに嵌入されて外召合せ框43及び内召合せ框53の全長にわたって設けられている。
【0024】
止水材嵌入部43g、53gの内周側の部位からは、外障子4及び内障子5が各々備える戸先框42、52側に突出しヒレ状をなす煙返し片43h、53hが設けられている。
【0025】
外障子4及び内障子5により、窓枠2により形成される開口を閉じて、外召合せ框43と内召合せ框53とが見込み方向に対向する状態では、外障子4の止水材嵌入部(外止水材嵌入部)43gに嵌入された止水材(外止水材)8が内召合せ框53の屋外側の見付け面をなす内周延出部53dに当接して見込み方向に押圧され、内障子5の止水材嵌入部(内止水材嵌入部)53gに嵌入された止水材(内止水材)8が外召合せ框43の屋内側の見付け面をなす内周延出部43dに当接して見込み方向に押圧されている。このため、外召合せ框43と内召合せ框53との間には、2つの止水材8により仕切られて上下方向に貫通する召合せ空間S2が、全長にわたり形成されている。
【0026】
外召合せ框43に設けられた外止水材8と内召合せ框53に設けられた内止水材8とにより仕切られた召合せ空間S2内には、外障子4側の煙返し片(外煙返し片)43hと内障子5側の煙返し片(内煙返し片)53hとが見込み方向に間隔を空けて対面する煙返しが設けられている。
【0027】
外召合せ框43の召合せ框中空部43aと側ガラス収容部43eとの間に位置する召合せ框内連結部43cには、図6に示すように、召合せ框中空部43aと側ガラス収容部43eとを連通する第2連通孔としての側方連通孔43iが設けられており、召合せ框中空部43aの屋内側に位置する召合せ框壁部43bには、図4(b)に示すように、召合せ框中空部43aと外止水材嵌入部43g内とを連通する屋内連通孔43jが設けられており、外止水材嵌入部43gの召合せ空間S2側の部位に外止水材嵌入部43g内と召合せ空間S2とを連通する召合せ空間連通孔43kが設けられている。屋内連通孔43j及び召合せ空間連通孔43kは、上下方向に適宜間隔を空けて複数設けられている。
【0028】
このため、外召合せ框43には、外下框41の下框下連通孔41j、下框上連通孔41k、側方連通孔43i、屋内連通孔43j及び召合せ空間連通孔43kにより、屋外空間S1と外召合せ框43の屋内側の空間とを連通する連通経路が形成されている。この連通経路は、外障子4及び内障子5により開口を閉じて、外召合せ框43と内召合せ框53とが見込み方向に対向する状態では、屋外空間S1と召合せ空間S2とを連通する。ここで、屋内連通孔43j及び召合せ空間連通孔43kが召合せ框中空部43aと召合せ空間S2とを連通する第3連通孔に相当する。
【0029】
外障子4及び内障子5により開口を閉じて、外召合せ框43と内召合せ框53との間に形成される召合せ空間S2の下方には、図7に示すように、下枠21の底部21aに、召合せ空間S2と上下方向に対向する位置に、第4連通孔としての下枠連通孔21gが設けられている。下枠連通孔21gは、下枠21の底部21aの上側であって、屋外側レール21bと中央壁部21dとの間及び屋内側レール21cと中央壁部21dとの間の空間と屋外空間S1とを、底部21aの下に位置する下枠中空部21hを介して連通するように構成されている。このため、召合せ空間S2は、下枠21の下枠連通孔21gによっても屋外空間S1と連通している。なお、下枠連通孔21gには、下枠連通孔21gの周縁部を覆い、通気及び通水可能な、樹脂製のキャップ9が設けられている。
【0030】
下枠21には、外障子4及び内障子5により開口を閉じた状態で、図8(a)に示すように、内障子5の内召合せ框53と対向する位置に、軟質の合成樹脂材で形成された風止部材10が設けられている。風止部材10は、下枠21において、下枠連通孔21gに対し、対向する内召合せ框53の戸尻側に隣接して設けられている。風止部材10は、下枠21の屋内側レール21cと中央壁部21dとの間及び屋内側レール21cと下枠屋内壁部21fとの間に設けられ、中央壁部21dの屋内側面及び上部を覆うように設けられている。
【0031】
風止部材10は、見込み方向に沿う複数のヒレ状をなす風止片10aが、左右方向に適宜間隔を空けて設けられている。複数の風止片10aは、図8(b)に示すように、屋内側レール21cと中央壁部21dとの間、屋内側レール21cと下枠屋内壁部21fとの間及び中央壁部21dの上部では、上方に突出しており、中央壁部21dの屋内側面を覆う部位では、屋内側に突出するように設けられている。
【0032】
外召合せ框43及び内召合せ框53の下端には、図9に示すように、外障子4及び内障子5が屋外側レール21bまたは屋内側レール21cに沿って移動する際に、屋外側レール21bまたは屋内側レール21cと摺動する摺動部材11が設けられている。なお、図9においては、内召合せ框53に設けられている摺動部材11を示している。摺動部材11は、屋外側レール21bまたは屋内側レール21cが挿入され、屋外側レール21bまたは屋内側レール21cの屋外側と屋内側とにそれぞれ、見込み方向に間隔を空けて対向するレール対向部11aを有する凹部11bが設けられている。
【0033】
内召合せ框53の下端に設けられる摺動部材11には、軟質の合成樹脂材により形成され、下枠21の屋内側レール21c及び下枠21に設けられた風止部材10と係合する第1及び第2止水片12が設けられている。第1止水片12は、凹部11bを構成する屋内側のレール対向部11aに設けられ、第2止水片12は、下枠21の中央壁部21dと対向する風止部材対向部としての屋外側対向部11cに設けられ、それぞれ鉛直方向に沿うとともに屋外側に突出させて設けられている。
【0034】
第1止水片12は、風止部材10において中央壁部21dの屋内側面を覆う部位の風止片10aの屋内側に接触し、第2止水片12は、屋内側レール21cの屋内側に接触して、内召合せ框53の下が屋内外に連通しないように塞いでおり、風圧等により内障子5が屋内側に押圧されて移動したとしても、内召合せ框53の下が屋内外に連通しないように屈曲させて設けられている。
【0035】
内召合せ框53の屋外側の見付け面をなす内周延出部53dと、内下框51の屋外側の見付け面をなす上方延出部51cの上端部51d及び下方延出部51eの下端部51fとは、図9(a)に示すように、同一平面をなしており、上方延出部51cの上端部51dの長手方向における端が、内周延出部53dの内周側の側端53jに突き合わされて接合されている。なお、内召合せ框53の下端部には、切り欠き部53kが設けられており、内周延出部53dの下端部と下方延出部51eの下端部51fの長手方向における端とが当接していない部位を有している。
【0036】
切り欠き部53kは、内障子5が下枠21上に建て込まれた際に、下枠21において上方に立ち上がる壁部としての中央壁部21dと見込み方向に対向する部位であり、内障子5の内下框51と中央壁部21dとの間に進入した水が、内下框51から内召合せ框53側に伝って屋内に進入しないように構成されている。
【0037】
本実施形態の建具1によれば、外召合せ框43に設けられて内召合せ框53の屋外側の召合せ框壁部43bに当接される外止水材8と、内召合せ框53に設けられて外召合せ框43の外召合せ框43の屋内側の召合せ框壁部53bに当接される内止水材8との間に形成される召合せ空間S2に、外煙返し片43hと内煙返し片53hとが設けられているので、召合せ空間S2と、外煙返し片43hと内煙返し片53hとが係合する空間とを左右方向に並べて設ける必要がない。
【0038】
このため、外召合せ框43及び内召合せ框53の見付け幅(左右方向の幅)を狭くすることが可能となる。このとき、外止水材8と内止水材8との間に、外煙返し片43hと内煙返し片53hとを設けたので、外止水材8と内止水材8とが近接することなく、両者の間に所定の間隔を確保することができる。このため、召合せ空間S2による高い気密性・水密性を確保するとともに、外煙返し片43h及び内煙返し片53hにより外気の屋内への進入を防止することが可能となる。
【0039】
また、外煙返し片43hは、外止水材8が嵌入される外止水材嵌入部43gから突出しており、内煙返し片53hは、内止水材8が嵌入される内止水材嵌入部53gから突出しているので、外止水材嵌入部43gから外煙返し片43hまでの幅及び内止水材嵌入部53gから内煙返し片53hまでの幅をいずれも、より狭くすることが可能である。このため、召合せ空間S2内に煙返しを構成しつつも召合せ空間S2を無駄に広げることなく、召合せ空間S2の両端に位置する外止水材8と内止水材8との左右方向の間隔を確実に確保することができるので、外召合せ框43及び内召合せ框53の見付け幅を狭く抑えつつも気密性・水密性に優れた建具1を提供することが可能となる。
【0040】
また、召合せ空間S2と、屋外空間S1とを連通する連通経路を備えているので、召合せ空間S2が屋外空間S1とが等圧となる。このため、圧力差による雨水等の召合せ空間S2への浸入を防止することが可能となる。
【0041】
また、屋外空間S1から外障子4の下框下連通孔41j及び下框上連通孔41kを通って下ガラス収容部41hに外気が取り込まれ、下ガラス収容部41hに取り込まれた外気は、下ガラス収容部41hと繋がる側ガラス収容部43eに流通し、側方連通孔43iを通って召合せ框中空部43aに流入する。そして、召合せ框中空部43aに流入した外気は、屋内連通孔43jを通って召合せ空間S2に流入するので、召合せ空間S2に外気を確実に流入させて、屋外空間S1と召合せ空間S2とを等圧にすることが可能となる。
【0042】
また、下枠21において召合せ空間S2と上下に対向する位置に、召合せ空間S2と連通しする下枠連通孔21gが設けられているので、召合せ空間S2に浸入した雨水等を下枠連通孔21gから排出することが可能である。また、下枠連通孔21gからも召合せ空間S2に外気を取り込むことができるので、召合せ空間S2をより確実に屋外空間S1と等圧にすることが可能となる。
【0043】
また、内召合せ框53と内下框51とが接合されて同一平面をなす、内召合せ框53の下端部には、切り欠き部53kが設けられており、下枠21の上方に立ち上がる中央壁部21dと対向する位置では、内下框51における下方延出部51eの下端部51fの長手方向の端と間隔が空けられているので、内下框51の見付け面と下枠の上方に立ち上がる中央壁部21dとの間にて、毛管現象により内下框51の屋外側の見付け面をなす下方延出部51eの下端部51fを伝う水が召合せ框53の内周延出部53dの下端部側に伝わることを防止することが可能となる。このため、より高い気密性・水密性を備えることが可能となる。
【0044】
また、内召合せ框53が有する摺動部材11のレール対向部11aが有し、屋内側レール21cに当接する第1止水片12により、レール対向部11aと屋内側レール21cとの間が止水され、摺動部材11の屋外側対向部11cが有し、風止部材10に当接する第2止水片12により、屋外側対向部11cとの間が止水されるので、より高い止水性を備えることが可能である。
【0045】
また、内召合せ框53は下端部に、内障子5の外周に位置する見込み面から突出する水返し部材7を有しており、水返し部材7が有する屋外側見付け面7bは外障子4と対向しているので、例えば、台風などの強風を伴う雨などの場合に、外召合せ框43の下端と内召合せ框53の下端との間からしぶきが吹き上げたとしても、水返し部材7の屋外側見付け面7bにより、しぶきが屋内側に飛散することを防止することが可能となる。
【0046】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0047】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
態様1:引違い障子の外召合せ框と内召合せ框の間に設けられ、前記外召合せ框に設けられ前記内召合せ框の見付け面に当接される外止水材と、前記内召合せ框に設けられ前記外召合せ框の見付け面に当接される内止水材との間に形成される召合せ空間に、前記外召合せ框に設けられ前記外止水材が嵌入される外止水材嵌入部から突出する外煙返し片と、前記内召合せ框に設けられ前記内止水材が嵌入される内止水材嵌入部から突出する内煙返し片と、が設けられていることを特徴とする建具である。
【0048】
態様1の建具によれば、外召合せ框に設けられて内召合せ框の見付け面に当接される外止水材と、内召合せ框に設けられて外召合せ框の見付け面に当接される内止水材との間に形成される召合せ空間に、外煙返し片と内煙返し片とが設けられているので、召合せ空間と、外煙返し片と内煙返し片とが係合する空間とを別個に設ける必要がない。このため、召合せ框の見付け幅を狭くすることが可能となる。このとき、外止水材と内止水材との間に、外煙返し片と内煙返し片とを設けたので、外止水材と内止水材との間隔をより広く確保することができる。このため、召合せ空間による高い気密性・水密性を確保するとともに、煙返しにより高い気密性・水密性を高めることも可能である。
【0049】
また、外煙返し片は、外止水材が嵌入される外止水材嵌入部から突出しており、内煙返し片は、内止水材が嵌入される内止水材嵌入部から突出しているので、外止水材嵌入部から外煙返し片までの幅及び内止水材嵌入部から内煙返し片までの幅をいずれも、より狭くすることが可能である。このため、召合せ框の見付け幅を狭く抑えつつも気密性・水密性に優れた建具を提供することが可能となる。
【0050】
態様2:態様1に記載の建具であって、前記召合せ空間と、屋外空間とを連通する連通経路を備えていることを特徴とする。
【0051】
態様2の建具によれば、召合せ空間と、屋外空間とを連通する連通経路を備えているので、召合せ空間が屋外空間とが等圧となる。このため、圧力差による雨水等の召合せ空間への浸入を防止することが可能となる。
【0052】
態様3:態様1に記載の建具であって、前記引違い障子は、面材と、前記外召合せ框と接合される外下框とを有し、前記外下框は、前記面材の端部を収容する下面材収容部を有し、前記外召合せ框は、前記面材の端部を収容し、前記下面材収容部と繋がる側面材収容部と、前記側面材収容部の前記面材とは反対側に長手方向に沿う召合せ框中空部と、を有し、前記外下框は、屋外と前記下面材収容部とを連通する第1連通孔を有し、前記外召合せ框は、前記側面材収容部と前記召合せ框中空部とを連通する第2連通孔と、前記召合せ框中空部と前記召合せ空間とを連通する第3連通孔と、を有することを特徴とする。
【0053】
態様3の建具によれば、屋外空間から第1連通孔を通って下面材収容部に外気が取り込まれ、下面材収容部に取り込まれた外気は、下面材収容部と繋がる側面材収容部に流通し、第2連通孔を通って召合せ框中空部に流入する。そして、召合せ框中空部に流入した外気は、第3連通孔を通って召合せ空間に流入するので、召合せ空間に外気を確実に流入させて、屋外空間と召合せ空間とを等圧にすることが可能となる。
【0054】
態様4:態様3に記載の建具であって、前記引違い障子の下に位置する下枠は、前記召合せ空間と連通し当該召合せ空間と上下に対向する位置に第4連通孔を有していることを特徴とする。
【0055】
態様4の建具によれば、下枠において召合せ空間と上下に対向する位置に、召合せ空間と連通しする第4連通孔が設けられているので、召合せ空間に浸入した雨水等を第4連通孔から排出することが可能である。また、第4連通孔からも召合せ空間に外気を取り込むことができるので、召合せ空間をより確実に屋外空間と等圧にすることが可能となる。
【0056】
態様5:態様1乃至態様4のいずれかに記載の建具であって、前記引違い障子は、前記内召合せ框と接合される内下框とを有し、前記内下框は、長手方向の端が、前記内召合せ框の側端に当接されて接合され、互いの見付け面が同一の平面をなし、前記内召合せ框の下端部は、前記引違い障子の下に位置する下枠の上方に立ち上がる壁部と対向する位置では、前記内下框の前記長手方向の端と間隔が空けられていることを特徴とする。
【0057】
態様5の建具によれば、内召合せ框と内下框とが接合されて同一平面をなす、内召合せ框の下端部は、下枠の上方に立ち上がる壁部と対向する位置では、内下框の長手方向の端と間隔が空けられているので、内下框の見付け面と下枠の上方に立ち上がる壁部との間にて、毛管現象により内下框の見付け面を伝う水が召合せ框の見付け面に伝うことを防止することが可能となる。このため、より高い気密性・水密性を備えることが可能となる。
【0058】
態様6:態様5に記載の建具であって、前記下枠は、前記引違い障子を案内するレールと、前記壁部を覆う風止部材と、を有し、前記内召合せ框は、前記レールと見込み方向に対向するレール対向部及び前記風止部材と対向する風止部材対向部を有する摺動部材を有し、前記レール対向部は、前記レールに当接する第1止水片を有し、前記風止部材対向部は、前記風止部材に当接する第2止水片を有することを特徴とする。
【0059】
態様6の建具によれば、内召合せ框が有する摺動部材のレール対向部が有し、レールに当接する第1止水片により、レール対向部とレールとの間が止水され、摺動部材の風止部材対向部が有し、風止部材に当接する第2止水片により、風止部材対向部と風止部材対向部との間が止水されるので、より高い止水性を備えることが可能である。
【0060】
態様7:態様1乃至態様6のいずれかに記載の建具であって、
前記内召合せ框は下端部に、内障子の外周に位置する見込み面から突出し、外障子と対向する室外側見付面を有する水返し部材を有することを特徴とする。
【0061】
態様7の建具によれば、内召合せ框は下端部に、内障子の外周に位置する見込み面から突出する水返し部材を有しており、水返し部材が有する室外側見付面は外障子と対向しているので、例えば、台風などの強風を伴う雨などの場合に、外召合せ框の下端と内召合せ框の下端との間からしぶきが吹き上げたとしても、水返し部材の室外側見付面により、しぶきが屋内側に飛散することを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 建具、3 引違い障子、3a ガラス(面材)、4 外障子、5 内障子、
7 水返し部材、7b 室外側見付け面、8 止水材(外止水材、内止水材)、
10 風止部材、11 摺動部材、11a レール対向部、11c 屋外側対向部、
12 止水片(第1止水片、第2止水片)、21 下枠、21b 屋外側レール、
21c 屋内側レール、21d 中央壁部、21g 下枠連通孔、41 外下框、
41a 下框中空部、41h 下ガラス収容部、41j 下框下連通孔、
41k 下框上連通孔、43 外召合せ框、43a 召合せ框中空部、
43d 内周延出部、43e 側ガラス収容部、43f 内召合せ框の見込み面、
43g 外止水材嵌入部、43h 外煙返し片、43i 側方連通孔、
43j 屋内連通孔、43k 召合せ空間連通孔、51 内下框、53 内召合せ框、
53d 内周延出部、53g 内止水材嵌入部、53h 内煙返し片、
53j 内召合せ框の側端、53k 切り欠き部、
S1 屋外空間、S2 召合せ空間、
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9