(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134669
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】固体電池、及び繊維
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240927BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240927BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M4/13
H01M10/0562
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044984
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】樋口 将成
(72)【発明者】
【氏名】小川 篤
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029HJ00
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5H029HJ12
5H050AA02
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
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5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB05
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA04
5H050HA00
5H050HA05
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】固体電解質層と電極層との界面の接合力、及びイオン伝導性を向上できる、固体電池を提供すること。
【解決手段】正極活物質を含む正極層と、負極層と、固体電解質を含み正極層と負極層との間に配置される固体電解質層と、を有する固体電池であって、正極層と固体電解質層との界面、及び負極層と固体電解質層との界面のうち少なくとも何れかに、固体電解質で被覆された繊維を有する、固体電池。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を含む正極層と、負極層と、固体電解質を含み前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層と、を有する固体電池であって、
前記正極層と前記固体電解質層との界面、及び前記負極層と前記固体電解質層との界面のうち少なくとも何れかに、固体電解質で被覆された繊維を有する、固体電池。
【請求項2】
前記繊維を被覆する固体電解質は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質と同種の材料である、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記繊維を被覆する固体電解質は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質よりも高いヤング率を有する、請求項1に記載の固体電池。
【請求項4】
前記繊維は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質よりも高いヤング率を有する、請求項1又は2に記載の固体電池。
【請求項5】
前記繊維を被覆する固体電解質の平均粒径は1nm~500nmである、請求項1又は2に記載の固体電池。
【請求項6】
前記繊維は、前記界面に隣接する複数の層に侵入している、請求項1又は2に記載の固体電池。
【請求項7】
正極活物質を含む正極層と、負極層と、固体電解質を含み前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層と、を有する固体電池において、前記正極層と前記固体電解質層、又は前記負極層と前記固体電解質層を接合するために用いられる、固体電解質で被覆された繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池、及び繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
このような二次電池としては、正極層と負極層との間に固体電解質層が配置された、リチウムイオン二次電池等の固体電池が知られている。
【0004】
固体電池としては、ゲル状又は固体状の電解質を有する電池において、電解質が耐酸化性及び耐熱性を備える無機粒子を有することで、正極部材に対向する表面層の耐酸化性及び耐熱性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、固体電池の固体電解質層と正極層又は負極層(電極層)との界面の接合力は、ほぼファンデルワールス力に依存することから、接合強度が比較的低い。このため、大面積化による電池の高エネルギー密度化が困難である、又は電池の耐久性が低いという問題がある。或いは、高拘束力を有する保持機構が必要になる結果、部材のコストが増加し、電池の体積エネルギー効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、固体電解質層と電極層との界面の接合力、及びイオン伝導性を向上できる、固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明は、正極活物質を含む正極層と、負極層と、固体電解質を含み前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層と、を有する固体電池であって、前記正極層と前記固体電解質層との界面、及び前記負極層と前記固体電解質層との界面のうち少なくとも何れかに、固体電解質で被覆された繊維を有する、固体電池に関する。
【0009】
(1)の発明によれば、固体電解質層と電極層との界面の接合力、及びイオン伝導性を向上できる、固体電池を提供できる。
【0010】
(2) 前記繊維を被覆する固体電解質は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質と同種の材料である、(1)に記載の固体電池。
【0011】
(2)の発明によれば、固体電解質で被覆された繊維と固体電解質層の固体電解質とのなじみが良くなり分散性が向上する。従って、各層の界面における各層の接合強度、及びイオン伝導性をより向上させることができる。
【0012】
(3) 前記繊維を被覆する固体電解質は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質よりも高いヤング率を有する、(1)に記載の固体電池。
【0013】
(3)の発明によれば、固体電池を形成する際に、固体電解質で被覆された繊維が各層の界面を介して他の層に侵入する際のアンカー効果が向上する。従って、各層の界面における各層の接合強度、及びイオン伝導性をより向上させることができる。
【0014】
(4) 前記繊維は、前記固体電解質層に含まれる固体電解質よりも高いヤング率を有する、(1)~(3)いずれかに記載の固体電池。
【0015】
(4)の発明によれば、固体電池を形成する際に、固体電解質で被覆された繊維が各層の界面を介して他の層に侵入する際のアンカー効果が向上する。従って、各層の界面における各層の接合強度、及びイオン伝導性をより向上させることができる。
【0016】
(5) 前記繊維を被覆する固体電解質の平均粒径は1nm~500nmである、(1)~(4)いずれかに記載の固体電池。
【0017】
(5)の発明によれば、固体電解質層の固体電解質よりも好適に繊維を被覆することができる。
【0018】
(6) 前記繊維は、前記界面に隣接する複数の層に侵入している、請求項1又は2に記載の固体電池。
【0019】
(6)の発明によれば、固体電解質で被覆された繊維が各層の界面を介して隣接する他の層に侵入していることにより、アンカー効果が発現する。従って、各層の界面における各層の接合強度、及びイオン伝導性をより向上させることができる。
【0020】
(7) また、本発明は、正極活物質を含む正極層と、負極層と、固体電解質を含み前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層と、を有する固体電池において、前記正極層と前記固体電解質層、又は前記負極層と前記固体電解質層を接合するために用いられる、固体電解質で被覆された繊維に関する。
【0021】
(7)の発明によれば、固体電解質層と電極層との界面の接合力、及びイオン伝導性を向上できる、固体電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る固体電池の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る繊維の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<固体電池>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る固体電池1の構成を模式的に示す断面図である。固体電池1は、
図1に示すように、負極層10と、正極層20と、負極層10と正極層20との間に配置される固体電解質層30と、を有する。
図1では、各層が1つずつ積層された構成を示しているが、積層数は特に限定されない。
【0024】
上記固体電池1としては、例えば、固体状の電解質を有する全固体リチウムイオン電池等が挙げられる。固体電池1としては、特に、負極にリチウム金属を用いる全固体リチウム金属や、シリコンを用いるシリコン負極全固体リチウムイオン電池であることが好ましい。これらの電池は充放電による膨張収縮が比較的大きいことから、固体電解質層と電極層との接合力を向上できる本発明の構成がより効果的であるためである。
【0025】
(負極層)
負極層10は、負極活物質11を必須として含み、固体電解質13、導電助剤14等を任意に含む負極活物質層と、負極集電体12と、を有する。負極活物質層には、上記以外にバインダ等の固体電池の電極材料として公知の材料が含まれていてもよい。
【0026】
負極活物質11としては、特に限定されないが、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等のリチウム遷移金属酸化物、TiO2、Nb2O3及びWO3等の遷移金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、グラファイト、ソフトカーボン及びハードカーボン等の炭素材料、シリコン単体、シリコン合金、シリコン化合物等のシリコン系材料、並びにリチウム金属、リチウム合金及び金属インジウム等が挙げられる。
【0027】
負極集電体12は、特に限定されず、固体電池の負極集電体として公知の物質を用いることができる。負極集電体12としては、銅(Cu)箔、ステンレス(SUS)箔、
等の金属箔が挙げられる。
【0028】
固体電解質13としては、リチウムイオンを伝導することが可能な材料であれば、特に限定されないが、例えば、硫化物系固体電解質材料、酸化物系固体電解質材料、窒化物系固体電解質材料、ハロゲン化物系固体電解質材料等が挙げられる。
【0029】
導電助剤14としては、固体電池の電極材料として公知の材料であり、電子伝導性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック等の炭素材料、及び金属材料等が挙げられる。
【0030】
(正極層)
正極層20は、正極活物質21を必須として含み、固体電解質23、導電助剤24等を任意に含む正極活物質層と、正極集電体22と、を有する。正極活物質層には、上記以外にバインダ等の固体電池の電極材料として公知の材料が含まれていてもよい。
【0031】
正極活物質21としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO2、Li(Ni5/10Co2/10Mn3/10)O2、Li(Ni6/10Co2/10Mn2/10)O2、Li(Ni8/10Co1/10Mn1/10)O2、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li(Ni1/6Co4/6Mn1/6)O2、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2、LiCoO4、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4、硫化リチウム、硫黄等が挙げられる。
【0032】
正極集電体22としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)箔、ステンレス(SUS)箔等が挙げられる。
【0033】
固体電解質23、導電助剤24としては、それぞれ上記固体電解質13、導電助剤14と同様の構成を採用できる。
【0034】
(固体電解質層)
固体電解質層30は、固体電解質31を必須として含む。固体電解質層30には、上記以外にバインダ等が含まれていてもよい。
【0035】
固体電解質31としては、上記固体電解質13、23と同様の構成を採用できる。
【0036】
固体電解質31は、後述する繊維41よりも低いヤング率(剛性)を有していることが好ましい。また、固体電解質31は、後述する固体電解質42よりも低いヤング率(剛性)を有していることが好ましい。
【0037】
固体電解質31としては、例えば、Li3PS4(ヤング率:18~25GPa)、Li10GeP2S12(ヤング率:21GPa以下)、Li3PO4(ヤング率:50GPa以下)、Li2.9PO3.3N0.46(ヤング率:50GPa以下)、等が挙げられる。繊維41、及び/又は固体電解質42よりも低いヤング率を有する固体電解質31は、選定した繊維41、固体電解質42のヤング率に応じて、適宜選択できる。
【0038】
<被覆繊維>
固体電池1における、負極層10と固体電解質層30との界面I1、及び正極層20と固体電解質層30との界面I2のうち少なくとも何れかには、固体電解質で被覆された繊維としての被覆繊維4が存在する。被覆繊維4が上記界面I1や界面I2に存在することにより、ファンデルワールス力だけでなく、アンカー効果が発現し、負極層10及び/又は正極層20と、固体電解質層30とが機械的に接合される。従って、負極層10及び/又は正極層20と、固体電解質層30との接合力を向上させることができる。このため、電極層及び固体電解質層に含まれるバインダの含有量を低減でき、イオン伝導性を向上させることができる。
【0039】
被覆繊維4の構成の概略を
図2に示す。被覆繊維4は、繊維41が固体電解質42によって被覆されてなる。
【0040】
繊維41は、固体電解質層30に含まれる固体電解質31よりも高いヤング率(剛性)を有していることが好ましい。これにより、固体電池1を形成する際に、被覆繊維4が界面I1又は界面I2を介して他の層に侵入する際のアンカー効果が向上する。従って、負極層10及び/又は正極層20と、固体電解質層30との接合力をより向上させることができる。
【0041】
上記のような繊維41としては、例えば、非電子伝導性セラミックスファイバが挙げられる。具体的には、アルミナ(ヤング率:360~470GPa)、ジルコニア(ヤング率:200GPa)、窒化ケイ素(ヤング率:300GPa)、炭化ケイ素(α型、ヤング率:440GPa)、窒化アルミ(ヤング率:320GPa)、Li7La3Zr2O12(LLZ、ヤング率:130~150GPa)、Li3PO4(ヤング率:50GPa以下)、リン酸リチウムに窒素を添加したLi3PO4NX(LIPON、ヤング率:50GPa以下)等が挙げられる。固体電解質31以上のヤング率を有する繊維41は、選定した固体電解質31のヤング率に応じて、適宜選択できる。
【0042】
繊維41の径は、例えば、固体電解質42の径の1/5以下であることが好ましい。これにより、繊維41と固体電解質42との結合性が向上し、正極層または負極層へのアンカー形成時に、繊維41表面からの固体電解質42の欠落を低減することができる。
【0043】
繊維41の長さは、例えば、負極活物質層、固体電解質層30、及び正極活物質層の厚みの合計以下であることが好ましい。これにより、繊維41による集電体の破損を防止することができる。
【0044】
繊維41のアスペクト比は、例えば、5以上であることが好ましい。これにより、正極層または負極層への侵入量を大きくすることができ、より大きなアンカー効果が得られる。
【0045】
固体電解質42は、繊維41の表面を被覆する。繊維41の表面が固体電解質42で被覆されることにより、被覆繊維4のイオン伝導性が向上する。従って、上記界面I1や界面I2における各層のイオン伝導性をより向上させることができる。固体電解質42としては、上記固体電解質13、23、31と同様の構成を採用できる。
【0046】
固体電解質42は、固体電解質31と同種の固体電解質であることが好ましい。これにより、被覆繊維4と固体電解質31とのなじみが良くなり被覆繊維4の分散性が向上する。従って、界面I1及び/又は界面I2における、負極層10及び/又は正極層20と、固体電解質層30との接合強度、及びイオン伝導性をより向上させることができる。
【0047】
一方で、固体電解質42は、固体電解質31以上のヤング率(剛性)を有していることも好ましい。これにより、固体電池1を形成する際に、被覆繊維4が界面I1又は界面I2を介して他の層に侵入する際のアンカー効果が向上する。従って、負極層10及び/又は正極層20と、固体電解質層30との接合力をより向上させることができる。
【0048】
固体電解質31以上のヤング率(剛性)を有する固体電解質42としては、例えば、Li7La3Zr2O12(LLZ、ヤング率:130~150GPa)、Li3PO4(ヤング率:50GPa以下)、Li2.9PO3.3N0.46(ヤング率:50GPa以下)、等が挙げられる。上記固体電解質42は、選定した固体電解質31のヤング率に応じて、適宜選択できる。
【0049】
固体電解質42は、例えば、平均粒径(D50)が1nm~500nmであることが好ましい。これにより、好適に繊維41を被覆することができる。
【0050】
[固体電池の製造方法]
固体電池1の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用できる。正極層及び負極層を形成する方法としては、例えば、電極活物質等の電極活物質層を構成する材料を溶媒に溶解又は分散させて電極合材スラリーを調製し、集電体の表面に塗工、乾燥する方法が挙げられる。固体電解質層を形成する方法としては、固体電解質を溶媒に溶解又は分散させて調製された固体電解質スラリーを任意の対象に塗工、乾燥する方法が挙げられる。上記塗工する手段としては特に限定されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等が挙げられる。なお、固体電池1の界面I1、又はI2に被覆繊維4を存在させるためには、上記電極合材スラリー又は固体電解質スラリーの何れかに被覆繊維4を混合させる方法が挙げられる。
【0051】
上記形成された各層を積層させて任意にプレスすることにより、固体電池1(積層体)を製造できる。プレスする方法としては、一軸圧縮接合であってもよいが、ロールプレスによる方法であることが好ましい。ロールプレスにより、被覆繊維4が積層体の送り方向に配向するように移動するため、被覆繊維が界面I1、又はI2に配置されやすくなるためである。
【0052】
[被覆繊維の製造方法]
被覆繊維4の製造方法は、例えば、溶液法が挙げられる。溶液法は、固体電解質42が硫黄系固体電解質である、Li3PS4やLi10GeP2S12等に対して適用できる。溶液法において、まず、固体電解質42(例えば、Li3PS4)を溶媒(例えば、N-メチルホルムアミド)に混合・溶解することで固体電解質42の溶解液を調製する。これに対し、繊維41(例えば、アルミナ)を混合し、真空乾燥することにより、固体電解質42で被覆された繊維41(被覆繊維4)を製造できる。なお、固体電解質42の平均粒径は、上記溶解液の調製時における固体電解質42の濃度、又は真空乾燥時の温度により調整できる。
【0053】
被覆繊維4の製造方法は、上記以外に、スパッタリング堆積法、レーザーアブレージョン法が挙げられる。スパッタリング堆積法、レーザーアブレージョン法は、固体電解質42が酸化物固体電解質である、Li7La3Zr2O12、Li3PO4、Li2.9PO3.3N0.46等に対して適用できる。スパッタリング堆積法、レーザーアブレージョン法において、まず、固体電解質42(例えば、Li7La3Zr2O12)を所定の圧力で加圧、成形して圧粉体(バルク体)を得る。次いで、スパッタリング堆積法においてはターゲットを上記圧粉体(バルク体)として真空中で希ガス(アルゴン等)を衝突させて固体電解質42で被覆された繊維41(被覆繊維4)を製造できる。レーザーアブレージョン法においては上記希ガスに代えてパルスレーザーを照射する。
【0054】
被覆繊維4の製造方法は、上記に限定されるものではなく、リチウムアルコキシド、ランタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドからなる複合アルコキシド溶液を用いた、アルコキシド溶液法を用いることもできる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 固体電池
10 負極層
20 正極層
21 正極活物質
30 固体電解質層
31 固体電解質
4 被覆繊維(固体電解質で被覆された繊維)
41 繊維
42 固体電解質
I1、I2 界面