(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134685
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/40 20230101AFI20240927BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240927BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240927BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B43/40
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/088 D
H10B41/27
H10B41/50
H10B41/40
H01L27/04 E
H01L27/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045012
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細村 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】小池 豪
(72)【発明者】
【氏名】清水 優
(72)【発明者】
【氏名】中村 正己
(72)【発明者】
【氏名】濱中 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀雄
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F038BE07
5F038BE09
5F038CA03
5F038CA05
5F038CA10
5F038CA16
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5F083EP02
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5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BF05
(57)【要約】
【課題】高速に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、基板と、第1配線層と、基板と第1配線層の間に設けられた第2配線層と、基板と第2配線層の間に設けられたメモリセルアレイ層とを備える。メモリセルアレイ層は、基板の表面と交差する第1方向に延伸するコンタクトを備える。第1配線層は、接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む第2導電層を有する。接続部は、コンタクトの第1方向の一端に接続される。第2配線層は、前記第2導電層の接続部及びパッド電極部を含む領域に設けられた第1開口及び前記第2導電層の周縁部を取り囲む環状の第1スリットを有する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
第1配線層と、
前記基板と、前記第1配線層と、の間に設けられた第2配線層と、
前記基板と、前記第2配線層と、の間に設けられたメモリセルアレイ層と
を備え、
前記メモリセルアレイ層は、
前記基板の表面と交差する第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層と対向する半導体層と、
前記複数の第1導電層と、前記半導体層と、の間に設けられた電荷蓄積層と、
前記第1方向に延伸するコンタクトと、を備え、
前記第1配線層は、
接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む第2導電層を有し、
前記接続部は、前記コンタクトの前記第1方向の一端に接続され、
前記第2配線層は、
前記第2導電層の前記接続部及び前記パッド電極部を含む領域に設けられた第1開口、及び前記第2導電層の周縁部を取り囲む環状の第1スリットを有する
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2導電層のパッド電極部は、アドレス、コマンド、データ、又は制御信号の入力、出力、又は入出力に使用する信号端子用の外部パッド電極として機能する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2配線層は、ソース線を含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記基板と、前記メモリセルアレイ層と、の間に設けられた第3配線層を有し、
前記コンタクトの前記第1方向の他端は、前記第3配線層内の配線に接続され、
前記第3配線層はビット線を含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2配線層は、前記第1スリットの周囲に第2スリットを更に有する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状の第3導電層を有する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状の第3導電層を有し、前記第1スリットと前記第2スリットとの間に環状の第4導電層を有する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状に配置された複数の第3導電層を有する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状の第3導電層を有し、前記第1スリットと前記第2スリットとの間に環状に配置された複数の第4導電層を有する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記基板と、前記メモリセルアレイ層と、の間に設けられた第3配線層を有し、
前記コンタクトの前記第1方向の他端は、前記第3配線層内の配線に接続され、
前記第3導電層は、前記第3配線層とは接続されていない
請求項6~9のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第3導電層は、フローティング状態である
請求項6~9のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第2配線層の前記第1スリットは、エアギャップを含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第2配線層の上部には、第1絶縁層が設けられ、
前記第2配線層の前記第1スリットの前記基板と平行な方向の幅は、前記第1絶縁層の膜厚の0.1~0.5倍である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1配線層は、
接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む、電源端子用の外部パッド電極として機能する第5導電層を有し、
前記第2配線層は、
前記第5導電層の前記接続部及びパッド電極部を含む領域に設けられた第2開口を有する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第2配線層は、前記第5導電層の周縁部を取り囲む環状のスリットが設けられていない
請求項14記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第2導電層のパッド電極部の前記第1方向の位置は、前記接続部及び前記周縁部の間である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
基板と、
第1配線層と、
前記基板と、前記第1配線層と、の間に設けられた第2配線層と、
前記基板の表面と交差する第1方向に延伸するコンタクトと、
を備え、
前記第1配線層は、
接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む第1導電層を有し、
前記接続部は、前記コンタクトの前記第1方向の一端に接続され、
前記第2配線層は、
前記第1導電層の前記接続部及び前記パッド電極部を含む領域に設けられた第1開口、及び前記第1導 電層の周縁部を取り囲む環状の第1スリットを有する
半導体装置。
【請求項18】
前記基板と、前記第2配線層と、の間に設けられた第3配線層(M0)を有し、
前記コンタクトの前記第1方向の他端は、前記第3配線層内の配線に接続され、
前記第1配線層と前記第2配線層の前記第1方向の距離は、前記第2配線層と前記第3配線層との前記第1方向の距離に比べて短い
請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
前記基板と、第2配線層と、の間に設けられた第3配線層を有し、
前記コンタクトの前記第1方向の他端は、前記第3配線層内の配線に接続され、
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状の第2導電層を有し、
前記第2導電層は、前記第3配線層とは接続されていない
請求項17項記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第2配線層は、前記第1開口と前記第1スリットとの間に環状の第2導電層を有し、
前記第2導電層は、フローティング状態である
請求項17記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板の表面と交差する第1方向に並ぶ複数の導電層と、第1方向に延伸し複数の導電層と対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられた電荷蓄積層と、を備える半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開2022/0069093
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速に動作する半導体記憶装置及び半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、第1配線層と、前記基板と、前記第1配線層と、の間に設けられた第2配線層と、前記基板と、前記第2配線層と、の間に設けられたメモリセルアレイ層と、を備える。前記メモリセルアレイ層は、前記基板の表面と交差する第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層と対向する半導体層と、前記複数の第1導電層と、前記半導体層と、の間に設けられた電荷蓄積層と、前記第1方向に延伸するコンタクトと、を備える。前記第1配線層は、接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む第2導電層を有する。前記接続部は、前記コンタクトの前記第1方向の一端に接続される。前記第2配線層は、前記第2導電層の前記接続部及びパッド電極部を含む領域に設けられた第1開口及び前記第2導電層の周縁部を取り囲む環状の第1スリットを有する。
【0006】
また、一の実施形態に係る半導体装置は、基板と、第1配線層と、前記基板と、前記第1配線層と、の間に設けられた第2配線層と、前記基板の表面と交差する第1方向に延伸するコンタクトと、を備える。前記第1配線層は、接続部、パッド電極部、及び周縁部を含む第1導電層を有する。前記接続部は、前記コンタクトの前記第1方向の一端に接続される。前記第2配線層は、前記第1導電層の前記接続部及び前記パッド電極部を含む領域に設けられた第1開口、及び前記第1導電層の周縁部を取り囲む環状の第1スリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】同半導体記憶装置の構成例を示す模式的な側面図である。
【
図3】同半導体記憶装置の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図4】同半導体記憶装置の構成例を示す模式的なブロック図である。
【
図5】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図6】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図7】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図8】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図9】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な底面図である。
【
図10】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図11】
図9のA1-A1´線及び
図10のB1-B1´線に対応する模式的な断面図である。
【
図12】
図9のA2-A2´線及び
図10のB2-B2´線に対応する模式的な断面図である。
【
図13】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図14】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図15】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図16】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図及び平面図である。
【
図17】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図18】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図19】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図20】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図21】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図22】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図23】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図24】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図25】同半導体記憶装置の製造方法を説明するための同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図26】第2実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図27】第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図28】第4実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図29】第1実施形態の変形例1に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図30】第2実施形態の変形例に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図31】第1実施形態の変形例2に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図32】第5実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。
【0009】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイ(メモリチップ)を意味する事もあるし、メモリカード、SSD等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0013】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0015】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0016】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」、「長さ」又は「厚み」等と言った場合には、SEM(Scanning electron microscopy)やTEM(Transmission electron microscopy)等によって観察された断面等における幅、長さ又は厚み等を意味することがある。
【0017】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0018】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読出し、書込み、消去等を実行する。メモリシステム10は、例えば、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントローラダイCDと、を備える。コントローラダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を実行する。
【0019】
図2は、本実施形態に係るメモリシステム10の構成例を示す模式的な側面図である。
図3は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、
図2及び
図3では一部の構成を省略する。
【0020】
図2に示す様に、本実施形態に係るメモリシステム10は、実装基板MSBと、実装基板MSBに積層された複数のメモリダイMDと、メモリダイMDに積層されたコントローラダイCDと、を備える。実装基板MSBの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられ、その他の一部の領域は接着剤等を介してメモリダイMDの下面に接着されている。メモリダイMDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられ、その他の領域は接着剤等を介して他のメモリダイMD又はコントローラダイCDの下面に接着されている。コントローラダイCDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられている。
【0021】
図3に示す様に、実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDは、それぞれ、X方向に並ぶ複数のパッド電極Pを備えている。実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDに設けられた複数のパッド電極Pは、それぞれ、ボンディングワイヤBを介してお互いに接続されている。
【0022】
尚、
図2及び
図3に示した構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、
図2及び
図3に示す例では、複数のメモリダイMD上にコントローラダイCDが積層され、これらの構成がボンディングワイヤBによって接続されている。この様な構成では、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDが一つのパッケージ内に含まれる。しかしながら、コントローラダイCDは、メモリダイMDとは別のパッケージに含まれていても良い。また、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDは、ボンディングワイヤBではなく、貫通電極等を介してお互いに接続されていても良い。
【0023】
[メモリダイMDの回路構成]
図4は、第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
図5は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図6は、後述する入出力制御回路I/O及び論理回路CTRの一部の構成を示す模式的な回路図である。説明の都合上、
図4~
図6では一部の構成を省略する。
【0024】
尚、
図4には、複数の制御端子等を図示している。これら複数の制御端子は、ハイアクティブ信号(正論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ローアクティブ信号(負論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ハイアクティブ信号及びローアクティブ信号の双方に対応する制御端子として表される場合と、がある。
図4において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、オーバーライン(上線)を含んでいる。本明細書において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、スラッシュ(“/”)を含んでいる。尚、
図4の記載は例示であり、具体的な態様は適宜調整可能である。例えば、一部又は全部のハイアクティブ信号をローアクティブ信号としたり、一部又は全部のローアクティブ信号をハイアクティブ信号としたりすることも可能である。
【0025】
図4に示す様に、メモリダイMDは、ユーザデータを記憶するメモリセルアレイMCA0,MCA1と、メモリセルアレイMCA0,MCA1に接続された周辺回路PCと、を備える。尚、以下の説明においては、メモリセルアレイMCA0,MCA1を、メモリセルアレイMCAと呼ぶ場合がある。
【0026】
[メモリセルアレイMCAの回路構成]
メモリセルアレイMCAは、
図5に示す様に、複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0027】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC(メモリセルトランジスタ)、及び、ソース側選択トランジスタSTSを備える。以下、ドレイン側選択トランジスタSTD、及び、ソース側選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタ(STD、STS)と呼ぶ事がある。
【0028】
メモリセルMCは、半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁膜は、電荷蓄積膜を含む。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、通常、1ビット又は複数ビットのユーザデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0029】
選択トランジスタ(STD、STS)は、半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極には、それぞれ、ドレイン側選択ゲート線SGD、及び、ソース側選択ゲート線SGSが接続される。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSは、メモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。以下、ドレイン側選択ゲート線SGD、及び、ソース側選択ゲート線SGSを、単に選択ゲート線(SGD、SGS)と呼ぶ事がある。
【0030】
[周辺回路PCの回路構成]
周辺回路PCは、例えば
図4に示す様に、メモリセルアレイMCA0,MCA1にそれぞれ接続されたロウデコーダRD0,RD1と、センスアンプSA0,SA1と、を備える。また、周辺回路PCは、電圧生成回路VGと、シーケンサSQCと、を備える。また、周辺回路PCは、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、を備える。尚、以下の説明においては、ロウデコーダRD0,RD1を、ロウデコーダRDと呼び、センスアンプSA0,SA1を、センスアンプSAと呼ぶ場合がある。
【0031】
[ロウデコーダRDの構成]
ロウデコーダRDは、例えば、デコード回路及びスイッチ回路を備える。デコード回路は、アドレスレジスタADRに保持されたロウアドレスRAをデコードする。スイッチ回路は、デコード回路の出力信号に応じて、ロウアドレスRAに対応するワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)を、対応する電圧供給線と導通させる。
【0032】
[センスアンプSAの構成]
センスアンプSA0,SA1(
図4)は、それぞれセンスアンプモジュールSAM0,SAM1と、キャッシュメモリCM0,CM1(データレジスタ)と、を備える。キャッシュメモリCM0,CM1は、それぞれラッチ回路XDL0,XDL1を備える。
【0033】
尚、以下の説明においては、センスアンプモジュールSAM0,SAM1を、センスアンプモジュールSAMと呼び、キャッシュメモリCM0,CM1を、キャッシュメモリCMと呼び、ラッチ回路XDL0,XDL1を、ラッチ回路XDLと呼ぶ場合がある。
【0034】
複数のラッチ回路XDLは、それぞれセンスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に接続される。ラッチ回路XDLには、例えば、メモリセルMCに書き込まれるユーザデータ又はメモリセルMCから読み出されたユーザデータが格納される。
【0035】
キャッシュメモリCMには、例えば、カラムデコーダが接続される。カラムデコーダは、アドレスレジスタADR(
図4)に格納されたカラムアドレスCAをデコードし、カラムアドレスCAに対応するラッチ回路XDLを選択する。
【0036】
尚、これら複数のラッチ回路XDLに含まれるユーザデータDatは、書込動作の際に、センスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に順次転送される。また、センスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に含まれるユーザデータDatは、読出動作の際に、ラッチ回路XDLに順次転送される。また、ラッチ回路XDLに含まれるユーザデータDatは、データアウト動作の際に、入出力制御回路I/Oに順次転送される。
【0037】
[電圧生成回路VGの構成]
電圧生成回路VG(
図4)は、例えば、レギュレータ等の降圧回路及びチャージポンプ回路等の昇圧回路を含む。これら降圧回路及び昇圧回路は、それぞれ、電源電圧V
CC及び接地電圧V
SS(
図4)が供給される電圧供給線に接続されている。これらの電圧供給線は、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pに接続されている。電圧生成回路VGは、例えば、シーケンサSQCからの制御信号に従って、メモリセルアレイMCAに対する読出動作、書込動作及び消去動作に際してビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、及び、選択ゲート線(SGD、SGS)に印加される複数通りの動作電圧を生成し、複数の電圧供給線に同時に出力する。電圧供給線から出力される動作電圧は、シーケンサSQCからの制御信号に従って適宜調整される。
【0038】
[シーケンサSQCの構成]
シーケンサSQC(
図4)は、コマンドレジスタCMRに格納されたコマンドデータCmdに従い、ロウデコーダRD0,RD1、センスアンプモジュールSAM0,SAM1、及び、電圧生成回路VGに内部制御号を出力する。また、シーケンサSQCは、メモリダイMDの状態を示すステータスデータSttを、適宜ステータスレジスタSTRに出力する。
【0039】
また、シーケンサSQCは、レディ/ビジー信号を生成し、端子RY//BYに出力する。端子RY//BYが“L”状態の期間(ビジー期間)では、メモリダイMDへのアクセスが基本的には禁止される。また、端子RY//BYが“H”状態の期間(レディ期間)においては、メモリダイMDへのアクセスが許可される。尚、端子RY//BYは、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pによって実現される。
【0040】
[アドレスレジスタADRの構成]
アドレスレジスタADRは、
図4に示す様に、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oから入力されたアドレスデータAddを格納する。アドレスレジスタADRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、複数備える。レジスタ列は、例えば、読出動作、書込動作又は消去動作等の内部動作が実行される際、実行中の内部動作に対応するアドレスデータAddを保持する。
【0041】
尚、アドレスデータAddは、例えば、カラムアドレスCA(
図4)及びロウアドレスRA(
図4)を含む。ロウアドレスRAは、例えば、メモリブロックBLK(
図5)を特定するブロックアドレスと、ストリングユニットSU及びワード線WLを特定するページアドレスと、メモリセルアレイMCA(プレーン)を特定するプレーンアドレスと、メモリダイMDを特定するチップアドレスと、を含む。
【0042】
[コマンドレジスタCMRの構成]
コマンドレジスタCMRは、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oから入力されたコマンドデータCmdを格納する。コマンドレジスタCMRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、少なくとも1セット備える。コマンドレジスタCMRにコマンドデータCmdが格納されると、シーケンサSQCに制御信号が送信される。
【0043】
[ステータスレジスタSTRの構成]
ステータスレジスタSTRは、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oへ出力するステータスデータSttを格納する。ステータスレジスタSTRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、複数備える。レジスタ列は、例えば、読出動作、書込動作又は消去動作等の内部動作が実行される際、実行中の内部動作に関するステータスデータSttを保持する。また、レジスタ列は、例えば、メモリセルアレイMCA0,MCA1のレディ/ビジー情報を保持する。
【0044】
[入出力制御回路I/Oの構成]
入出力制御回路I/O(
図4)は、例えば
図6に示す様に、データ信号入出力端子DQ0~DQ7、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQS、及びデータバスインバージョン信号入出力端子DBIの各々に接続された入力回路201及び出力回路202を備える。入力回路201は、例えば、コンパレータ等のレシーバである。出力回路202は、例えば、OCD(Off Chip Driver)回路等のドライバである。また、入出力制御回路I/Oは、ZQ(出力インピーダンス)較正用端子ZQを備える。
【0045】
また、入出力制御回路I/O(
図4)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7の各々に対応して設けられた複数のラッチ回路203を備える。これら複数のラッチ回路203は、対応するデータ信号入出力端子DQ0~DQ7に接続された入力回路201の出力端子に接続されている。また、これら複数のラッチ回路203は、上述した様な、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSの入力信号の切り替えのタイミングで、入力回路201の出力端子の電圧値に応じて、“H”又は“L”をラッチする。
【0046】
また、入出力制御回路I/O(
図4)は、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSの各々に対応して設けられた信号転送回路204を備える。信号転送回路204は、例えば、直列に接続された偶数個のCMOSインバータを備える。信号転送回路204の入力端子は、入力回路201の出力端子に接続されている。信号転送回路204の出力端子は、ラッチ回路203に接続されている。
【0047】
また、入出力制御回路I/O(
図4)は、内部パス遅延検出回路205を備える。内部パス遅延検出回路205は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7に対応する信号の伝搬経路と、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSに対応する信号の伝搬経路と、の間の信号の遅延量の差を検出する。
【0048】
[論理回路CTRの構成]
論理回路CTR(
図4)は、複数の外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REと、これら複数の外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REに接続された論理回路と、を備える。論理回路CTRは、外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REを介してコントローラダイCDから外部制御信号を受信し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0049】
論理回路CTRは、例えば
図6に示す様に、外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REの各々に接続された入力回路201と、外部制御端子CLE,ALEの各々に接続された出力回路202と、を備える。尚、外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REの各々は、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pによって実現される。
【0050】
外部制御端子/CEを介して入力された信号(例えば、チップイネーブル信号)は、メモリダイMDの選択に際して用いられる。例えば、外部制御端子/CEに“L”が入力されたメモリダイMDは、ユーザデータDat、コマンドデータCmd及びアドレスデータAdd(以下、単に「データ」と呼ぶ場合がある。)の入出力が可能な状態となる。また、例えば、外部制御端子/CEに“H”が入力されたメモリダイMDは、データの入出力が不可能な状態となる。
【0051】
外部制御端子CLEを介して入力された信号(例えば、コマンドラッチイネーブル信号)は、コマンドレジスタCMRの使用等に際して用いられる。
【0052】
外部制御端子ALEを介して入力された信号(例えば、アドレスラッチイネーブル信号)は、アドレスレジスタADRの使用等に際して用いられる。
【0053】
外部制御端子/WEを介して入力された信号(例えば、ライトイネーブル信号)は、コントローラダイCDからメモリダイMDへのデータの入力等に際して用いられる。
【0054】
外部制御端子/RE,REを介して入力された信号(例えば、リードイネーブル信号及びその相補信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介したデータの出力に際して用いられる。データ信号入出力端子DQ0~DQ7から出力されるデータは、外部制御端子/REの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)及び外部制御端子REの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミング、並びに、外部制御端子/REの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)及び外部制御端子REの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミングで切り替わる。
【0055】
[メモリダイMDの構造]
図7は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的な分解斜視図である。
図7に示す通り、メモリダイMDは、メモリセルアレイ側のチップC
Mと、周辺回路側のチップC
Pと、を備える。
【0056】
チップCMの上面には、複数の外部パッド電極PXが設けられている。また、チップCMの下面には、複数の第1貼合電極PI1が設けられている。また、チップCPの上面には、複数の第2貼合電極PI2が設けられている。以下、チップCMについては、複数の第1貼合電極PI1が設けられる面を表面と呼び、複数の外部パッド電極PXが設けられる面を裏面と呼ぶ。また、チップCPについては、複数の第2貼合電極PI2が設けられる面を表面と呼び、表面の反対側の面を裏面と呼ぶ。図示の例において、チップCPの表面はチップCPの裏面よりも上方に設けられ、チップCMの裏面はチップCMの表面よりも上方に設けられる。
【0057】
チップC
M及びチップC
Pは、チップC
Mの表面とチップC
Pの表面とが対向するよう配置される。複数の第1貼合電極P
I1は、複数の第2貼合電極P
I2にそれぞれ対応して設けられ、複数の第2貼合電極P
I2に貼合可能な位置に配置される。第1貼合電極P
I1と第2貼合電極P
I2とは、チップC
MとチップC
Pとを貼合し、かつ電気的に導通させるための、貼合電極として機能する。外部パッド電極P
Xは、
図2及び
図3を参照して説明したパッド電極Pとして機能する。
【0058】
尚、
図7の例において、チップC
Mの角部a1、a2、a3、a4は、それぞれ、チップC
Pの角部b1、b2、b3、b4と対応する。
【0059】
図8は、チップC
Mの構成例を示す模式的な平面図である。
図9は、チップC
Mの構成例を示す模式的な底面図である。
図9右下の点線で囲まれた部分は、複数の第1貼合電極P
I1が設けられたチップC
Mの表面よりも内部の構造を示す。
図10は、チップC
Pの構成例を示す模式的な平面図である。
図10の左下の点線で囲まれた部分は、複数の第2貼合電極P
I2が設けられたチップC
Pの表面よりも内部の構造を示す。
図11は、
図9のA1-A1´線及び
図10のB1-B1´線に対応する模式的な断面図である。
図12は、
図9のA2-A2´線及び
図10のB2-B2´線に対応する模式的な断面図である。
図11及び
図12は、
図9、
図10に示す構造を各線に沿って切断し、矢印の方向に見た場合の断面を示す。
【0060】
[チップC
Mの構造]
チップC
Mは、例えば
図8に示す様に、X及びY方向に並ぶ4つのメモリプレーンMPを備える。メモリプレーンMPは、
図9に示すように、メモリセルアレイMCAが設けられるメモリセルアレイ領域R
MCAと、メモリセルアレイ領域R
MCAのX方向の一端側及び他端側に設けられたフックアップ領域R
HUと、を備える。また、チップC
Mは、4つのメモリプレーンMPのY方向の一端側に隣接して設けられた周辺領域R
Pと、他端側に隣接して設けられたCC配線領域R
CCと、4つのメモリプレーンMPのX方向の両側に隣接してそれぞれ設けられたCC配線領域R
CCと、を備える。メモリプレーンMP、周辺領域R
P、及びCC配線領域R
CCは、チップC
Mの外周に沿って形成されたエッジシールESによって囲まれている。
【0061】
チップC
Mは、例えば
図11及び
図12に示す様に、基体層L
SBと、基体層L
SBの下方に設けられたメモリセルアレイ層L
MCAと、メモリセルアレイ層L
MCAの下方に設けられた複数の配線層M0,M1,M2と、を備える。
【0062】
[チップC
Mの基体層L
SBの構造]
例えば
図12に示す様に、基体層L
SBは、チップC
Mの裏面に設けられた絶縁層183と、絶縁層183の下方に設けられた配線層L
MAと、配線層L
MAの下方に設けられた絶縁層182と、絶縁層182の下方に設けられた配線層L
BSLと、を備える。
【0063】
絶縁層183は、例えば、ポリイミド等のパッシベーション膜、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層である。
【0064】
配線層LMAは、例えばアルミニウム(Al)等の導電性材料を含む配線層である。配線層LMAは、メモリセルアレイ領域RMCAに設けられた導電層MA10(CELSRC)と、周辺領域RPに設けられた導電層MA20及び導電層MA30と、を含む。
【0065】
絶縁層182は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層である。
【0066】
配線層LBSLは、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物が注入された多結晶シリコン(Si)等の半導体層を含む配線層である。配線層LBSLは、メモリセルアレイ領域RMCAに設けられた導電層BSL10と、周辺領域RPに設けられた導電層BSL20と、開口BAの周りを取り囲む環状の導電層BSL30と、を含む。導電層BSL10及び導電層BSL20の間には、スリット180が設けられ、このスリット180には、絶縁層182が設けられる。導電層BSL10と導電層BSL20とは、互いに電気的に絶縁されている。導電層BSL20及び導電層BSL30の間には、スリット181が設けられ、このスリット181には、絶縁層182が設けられる。導電層BSL20と導電層BSL30とは、互いに電気的に絶縁されている。広い範囲を占めるメモリプレーンMPの周辺の導電層BSL20は、接地電圧VSSに固定されるか、又は接地電圧VSSに近いフローティング状態になっている。
【0067】
また、図示はしないが、基体層LSBのメモリセルアレイ領域RMCAにおいては、導電層MA30と、導電層BSL20と、の間に複数のコンタクトが設けられていても良い。コンタクトはZ方向に延伸し、上端においてMA30と、下端においてBSL20と接続されている。コンタクトは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0068】
[チップC
Mのメモリセルアレイ層L
MCAのメモリセルアレイ領域R
MCAにおける構造]
例えば
図12に示す様に、メモリセルアレイ領域R
MCAには、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。メモリブロックBLKは、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、酸化シリコン(SiO
2)等のブロック間絶縁層STが設けられる。Y方向において隣り合う2つのストリングユニットSUの間には、酸化シリコン(SiO
2)等のストリングユニット間絶縁層SHEが設けられる。
【0069】
図13は、メモリセルアレイ領域R
MCAを拡大して示す模式的な断面図である。
図14は、
図13のFで示した部分の模式的な拡大図である。尚、
図14は、YZ断面を示しているが、半導体柱120の中心軸に沿ったYZ断面以外の断面(例えば、XZ断面)を観察した場合にも、
図14と同様の構造が観察される。
【0070】
メモリブロックBLKは、例えば
図13に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体柱120と、複数の導電層110及び複数の半導体柱120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0071】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、
図14に示す様に、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜116と、タングステン(W)等の金属膜115と、を含む積層膜を含んでいても良い。尚、バリア導電膜116の外周を覆う位置には、アルミナ(AlO)等の絶縁性の金属酸化膜134が設けられていても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層101が設けられている。
【0072】
導電層110の上方には、
図13に示す様に、上述した導電層BSL10が設けられている。導電層BSL10は、半導体柱120の上端に接続される。導電層110及び導電層BSL10の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層101が設けられている。導電層BSL10は、ソース線SL(
図5)として機能する。ソース線SLは、例えば、メモリセルアレイ領域R
MCA(
図11及び
図12)に含まれる全てのメモリブロックBLKについて共通に設けられている。
【0073】
複数の導電層110のうち、最上層に位置する一又は複数の導電層110は、ソース側選択ゲート線SGS(
図5)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTSのゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0074】
また、これよりも下方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図5)及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図5)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、それぞれ、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0075】
また、これよりも下方に位置する一又は複数の導電層110は、ドレイン側選択ゲート線SGD及びこれに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(
図5)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、その他の導電層110よりもY方向の幅が小さい。また、Y方向において隣り合う2つの導電層110の間には、ストリングユニット間絶縁層SHEが設けられている。これら複数の導電層110は、それぞれ、ストリングユニットSU毎に電気的に独立している。
【0076】
半導体柱120は、例えば
図11及び
図12に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体柱120は、1つのメモリストリングMS(
図5)に含まれる複数のメモリセルMC及び選択トランジスタ(STD、STS)のチャネル領域として機能する。半導体柱120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体柱120の中心部分には、酸化シリコン等の絶縁層125(
図13)が設けられている。
【0077】
半導体柱120は、
図13に示す様に、半導体領域120
Lと、半導体領域120
Lの下方に設けられた半導体領域120
Uと、を備える。また、半導体柱120は、半導体領域120
Lの下端及び半導体領域120
Uの上端に接続された半導体領域120
Jと、半導体領域120
Lの上端に接続された不純物領域122と、半導体領域120
Uの下端に接続された不純物領域121と、を備える。
【0078】
半導体領域120L,半導体領域120Uは、Z方向に延伸する略円筒状の領域である。半導体領域120L,半導体領域120Uの外周面は、それぞれメモリセルアレイ層LMCAに含まれる複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。
【0079】
不純物領域121は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む。
図13の例では、半導体領域120
Uの下端部と不純物領域121の上端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域121は、コンタクトCh及びコンタクトVy(
図11及び
図12)を介してビット線BLに接続される。
【0080】
不純物領域122は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む。
図13の例では、半導体領域120
Lの上端部と不純物領域122の下端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域122は、導電層BSL10に接続されている。
【0081】
尚、上述の通り、導電層BSL10は、複数のコンタクトV10を介して、導電層MA10に接続されている。導電層MA10は、例えばアルミニウム(Al)等の導電性材料を含み低抵抗であり、ソース線SLとして機能する導電層BSL10の補助配線として機能する。尚、導電層BSL10は、Z方向から見て、複数の半導体柱120と重なる領域にわたって設けられていても良い。
【0082】
ゲート絶縁膜130は、半導体柱120の外周面を覆う円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば
図14に示す様に、半導体柱120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si
3N
4)等であり、電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体柱120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0083】
尚、
図14には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0084】
[チップC
Mのメモリセルアレイ層L
MCAのフックアップ領域R
HUにおける構造]
図11に示す様に、フックアップ領域R
HUには、複数のコンタクトCCが設けられている。これら複数のコンタクトCCはZ方向に延伸し、上端においてそれぞれ導電層110と接続されている。これら複数のコンタクトCCは、配線層M0,M1中の配線m0,m1及び配線層M2中の第1貼合電極P
I1を介して、チップC
P中の構成に接続されている。コンタクトCCは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0085】
[チップC
Mのメモリセルアレイ層L
MCAの周辺領域R
Pにおける構造]
例えば
図12に示す様に、周辺領域R
Pには、コンタクトCC30が設けられている。コンタクトCC30の一部は、上端において導電層MA20の下面に接続され、下端において後述する配線m0等に接続されている。
【0086】
[チップC
Mの配線層M0,M1,M2の構造]
例えば
図11及び
図12に示す様に、配線層M0,M1,M2に含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層L
MCA中の構成及びチップC
P中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0087】
配線層M0は、複数の配線m0を含む。これら複数の配線m0は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。尚、複数の配線m0のうちの一部は、ビット線BL(
図5)として機能する。ビット線BLは、例えば
図11及び
図12に示す様に、X方向に並びY方向に延伸する。また、これら複数のビット線BLは、それぞれ、各ストリングユニットSUに含まれる一の半導体柱120に接続されている。
【0088】
配線層M1は、例えば
図11及び
図12に示す様に、複数の配線m1を含む。これら複数の配線m1は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0089】
配線層M2は、複数の第1貼合電極PI1を含む。これら複数の第1貼合電極PI1は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0090】
[チップC
Pの構造]
チップC
Pは、例えば
図10に示す様に、メモリプレーンMPに対応してX及びY方向に並ぶ4つの周辺回路領域R
PCを備える。周辺回路領域R
PCは、メモリセルアレイ領域R
MCAに対向する領域のうちの一部に設けられたセンスアンプモジュール領域R
SAMと、フックアップ領域R
HUに対向する領域に設けられたロウデコーダ領域R
RDと、を備える。また、チップC
Pは、周辺領域R
Pに対向する領域に設けられた回路領域R
Cを備える。
【0091】
また、チップC
Pは、例えば
図11及び
図12に示す様に、半導体基板200と、半導体基板200の上方に設けられたトランジスタ層L
TRと、トランジスタ層L
TRの上方に設けられた複数の配線層M0´,M1´,M2´,M3´,M4´と、を備える。
【0092】
[チップC
Pの半導体基板200の構造]
半導体基板200は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。例えば
図11及び
図12に示す様に、半導体基板200の表面には、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域200Nと、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域200Pと、N型ウェル領域200N及びP型ウェル領域200Pが設けられていない半導体基板領域200Sと、絶縁領域200Iと、が設けられている。N型ウェル領域200N、P型ウェル領域200P及び半導体基板領域200Sは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTr、及び、複数のキャパシタ等の一部として機能する。
【0093】
[チップC
Pのトランジスタ層L
TRの構造]
例えば
図11及び
図12に示す様に、半導体基板200の上面には、絶縁層200Gを介して、配線層GCが設けられている。配線層GCは、半導体基板200の表面と対向する複数の電極gcを含む。また、半導体基板200の各領域及び配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、コンタクトCSに接続されている。
【0094】
半導体基板200のN型ウェル領域200N、P型ウェル領域200P及び半導体基板領域200Sは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrのチャネル領域、及び、複数のキャパシタの一方の電極等として機能する。
【0095】
配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrのゲート電極、及び、複数のキャパシタの他方の電極等として機能する。
【0096】
コンタクトCSは、Z方向に延伸し、下端において半導体基板200又は電極gcの上面に接続されている。コンタクトCSと半導体基板200との接続部分には、図示しないN型の不純物又はP型の不純物を含む高濃度不純物領域が設けられている。コンタクトCSは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0097】
[チップC
Pの配線層M0´,M1´,M2´,M3´,M4´の構造]
配線層M0´はトランジスタ層L
TRの上方に設けられる。配線層M0´は、例えば、タングステン(W)等の導電性材料を含む配線層である。配線層M1´は配線層M0´の上方に設けられる。配線層M1´は、例えば、銅(Cu)等の導電性材料を含む配線層である。配線層M2´は、
図11及び
図12においては省略して示しているが、配線層M1´の上方に設けられる。配線層M2´は、例えば、銅(Cu)等の導電性材料を含む配線層である。配線層M3´は、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の導電性材料を含む配線層である。配線層M4´は、例えば、銅(Cu)等の導電性材料を含む配線層であり、複数の第2貼合電極P
I2を備える。
【0098】
[チップC
Mの外部パッド電極P
Xの周辺の詳細な構成]
次に、外部パッド電極P
Xの周辺の詳細な構成について説明する。
図8には、配線層L
BSLに形成されたスリット180,181の、Z方向上面から見たパターンが示されている。4つのメモリプレーンMPのうち、Y方向に隣接する一対のメモリプレーンMPの位置に形成された導電層BSL10は、環状のスリット180によって、その周囲の導電層BSL20から分離されている。また、複数の外部パッド電極P
Xのうち、Paの範囲で示す少なくとも一部の外部パッド電極P
Xは、データ信号入出力端子DQ0~DQ7、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQS、データバスインバージョン信号入出力端子DBI、ZQ較正用端子ZQ、及び外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,RE(以下、これらの端子を総称して「信号端子」と呼ぶことがある。)として用いられる。これらの信号端子用の外部パッド電極P
Xについては、外部パッド電極P
Xを含む導電層MA20の周縁部に沿って環状のスリット181が形成されている。導電層MA20の周縁部と対向する導電層BSL30は、環状のスリット181によって、その周囲の導電層BSL20から分離されている。一方、複数の外部パッド電極P
Xのうち、Pbの範囲で示す少なくとも一部の外部パッド電極P
Xは、電源端子として用いられる。電源端子は、電源電圧V
CCQ,V
CCQL,V
CC,V
PP及び接地電圧V
SSが供給される端子である。電源端子の導電層MA20は、信号端子の導電層MA20の構成と基本的には同様であるが、導電層BLS20にスリット181を形成しない点で信号端子とは異なる。
【0099】
図15は、信号端子の外部パッド電極P
Xの更に詳細を示す図である。
図15(a)は、同図(b)のD1―D1´線で切断し矢印方向(Z方向)から見た断面図である。
図15(b)は、同図(a)のC1-C1´線に沿って切断し矢印方向(X方向)から見た断面図である。
【0100】
導電層MA20は、Z方向から見て周囲の導電層MA10、MA30から分離された孤立パターンとして形成されている。導電層MA20は、コンタクトCC30の上端と接続される接続部191と、外部パッド電極PXを形成するパッド電極部193と、これらの周囲に設けられた周縁部192と、を有する。
【0101】
導電層BSL30は、開口BAを有する。開口BAは、導電層MA20の接続部191及びパッド電極部193を収容可能な大きさで形成されている。開口BA内には絶縁層182が設けられている。開口BA内の絶縁層182は、開口VA1を有する。導電層MA20の接続部191は、コンタクトCC30を介して、チップCP中の構成に電気的に接続されている。以下、導電層MA20のコンタクトCC30との接続部191と、開口VA1と、を含めて開口構造VAと呼ぶ場合がある。
【0102】
導電層MA20のパッド電極部193は、接続部191に隣接し、開口BA内の絶縁層182の上に形成されている。パッド電極部193の上面は、絶縁層183に設けられた開口TVを介して、メモリダイMDの外部に露出している。このパッド電極部193の露出した部分は、外部パッド電極PXとして機能する。
【0103】
導電層MA20の周縁部192は、絶縁層182を介して、導電層BSL30とZ方向に対向する。導電層BSL30は、導電層MA20の周囲に沿って形成された環状のスリット181及び開口BAによって、環状に形成されている。導電層BSL30は、外側の導電層BSL20から分離され、フローティング状態になっている。
【0104】
図15(b)に示す様に、導電層MA20のパッド電極部193のZ方向の位置は、接続部191と周縁部192の間になる。
【0105】
[第1実施形態の効果]
接続部191は、接続抵抗の観点から、多結晶シリコン等の半導体材料で形成された導電層BSL30を介すことなく、コンタクトCC30に直接接続される。また、導電層MA20のパッド電極部193と接続部191とを繋ぐ部分は、段差が存在するため膜厚が薄くなり易い。膜厚が薄くなりすぎると、エレクトロマイグレーションにより、断線等が生じる可能性がある。従って、接続部191とパッド電極部193の間の段差は、極力少ない方が望ましい。このため、パッド電極部193の下側の導電層BSL30には開口BAが設けられる。これにより、パッド電極部193は周縁部192よりも下側に配置される。
【0106】
導電層MA20を孤立パターンにするための導電層MA10の分離位置としては、
図15(b)に示すA,B,Cの位置が考えられる。しかし、パッド電極部193と周縁部192との間にZ方向の段差が存在するため、Aの位置で分離すると、周縁部192とAの位置とのZ方向の位置が異なるため、周縁部192と同一層における配線パターンの形成工程の他に、Aの位置での分離工程が余分に必要になる。Bの位置で分離すると、段差の部分に金属が残り、不具合が生じる可能性がある。従って、Cの位置で分離することが望ましい。
【0107】
この場合、周縁部192は、導電層BSL30の上に絶縁層182を介して形成される。周縁部192は、導電層BSL30とZ方向に対向しているので、導電層BSL30との間で結合容量Caを有する。この結合容量Caが大きいと、信号端子用の外部パッド電極PXにおいて、信号伝送の遅延が発生する。そこで、本実施形態では、スリット181を形成して、導電層BSL30を、その外側の導電層BSL20と分離している。これにより、導電層BSL30は、フローティング状態になり、導電層MA20と導電層BSL20との結合容量Ca,Cbを低減させることができる。
【0108】
スリット181の幅w1は、その上部に形成される絶縁層182の膜厚w2の0.1~0.5倍としても良い。この範囲であれば、上部の絶縁層182に、スリット181の部分で段差が生じることがなく、絶縁層182の上部の配線層LMAの形成が容易になる。
【0109】
また、スリット181内には、
図15(b)に示すように、エアギャップ184が形成されていても良い。エアギャップ184が形成されることにより、更に結合容量Cbを低減することができる。
【0110】
図16は、電源端子の外部パッド電極P
Xの更に詳細を示す図である。
図16(a)は、同図(b)のD2―D2´線で切断し矢印方向(Z方向)から見た断面図である。
図16(b)は、同図(a)のC2-C2´線に沿って切断し矢印方向(X方向)から見た断面図である。
【0111】
電源端子は、電源電圧VCCQ,VCCQL,VCC,VPP及び接地電圧VSSが供給される端子である。電源端子の導電層MA20は、信号端子の導電層MA20の構成と基本的には同様であるが、導電層BLS20にスリット181を形成しない点で信号端子とは異なる。換言すると、信号端子の外部パッド電極PXの周囲を、スリット181を介して取り囲んでいる導電層BSL20が、電源端子の外部パッド電極PXの周囲に設けられた周縁部192とZ方向に対向する位置まで延在されている。尚、導電層MA20は、ここでは孤立パターンとして例示されているが、特に孤立パターンとする必要は無く、配線パターンを介して他の箇所と接続されていても良い。
【0112】
電源端子の場合、一般的には電圧が変化しないので、導電層MA20と導電層BSL20との結合容量は、むしろ大きい方が望ましい。このため、スリット181は不要である。しかし、電源端子の外部パッド電極PXの高さは、信号端子の外部パッド電極PXの高さと等しくする必要があるので、導電層MA20は、信号端子と同様の段差構造を有する。
【0113】
[製造方法]
次に、
図17~
図25を参照して、第1実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明する。
図17~
図25は、同製造方法について説明するための模式的な断面図であり、
図12に対応する断面を示している。
【0114】
尚、チップCM及びチップCPを貼合するまでの工程については、公知の製造方法を使用することができるので、その工程については割愛し、以下、貼合後の製造方法について説明する。
【0115】
図17に示す通り、予め所定の工程でチップC
Mが形成されたウェハと、別工程でチップC
Pが形成されたウェハとを、第1貼合電極P
11と第2貼合電極P
12とが接続されるように位置合わせして貼合する。この貼合工程では、例えば、一方のウェハを他方のウェハに向かって押し付けることによって両者を密着させ、熱処理等を行う。これにより、第1貼合電極P
I1及び第2貼合電極P
I2を介して、チップC
Mが形成されたウェハが、チップC
Pが形成されたウェハに貼合される。
【0116】
次に、例えば
図18に示す様に、チップC
Mに含まれる基板100と絶縁層104とを除去する。
【0117】
次に、例えば
図19に示す様に、導電層BSL10の上にレジストを形成し、フォトエッチングの手法によりマスク107を形成する。マスク107を用いて、
図20に示すように、導電層BSL10に開口BAとスリット180,181を形成する。これにより、導電層BSL10から分離された導電層BSL20及びBSL30を形成する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等の方法によって行う。
【0118】
次に、例えば
図21に示すように、導電層BSL10,BSL20,BSL30の上、及び、開口BA及びスリット180,181の内部に、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層182を形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行う。
【0119】
次に、絶縁層182の上にレジストを形成し、フォトエッチングの手法により図示しないマスクを形成する。このマスクを用いて、例えば
図22に示すように、コンタクトCC30の上の絶縁層182を除去し、開口VA1を形成する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。これにより、コンタクトCC30の上端が上部に露出する。
【0120】
次に、例えば
図23に示すように、開口VA1及び絶縁層182の上面にAl等の導電層MA10を形成する。この工程は、例えばCVD等の方法によって行う。
【0121】
次に、例えば
図24に示すように、導電層MA10の上にレジストを形成し、フォトエッチングの手法により図示しないマスクを形成する。このマスクを用いて、例えば
図24に示すように、導電層MA10の不要な部分を除去し、導電層MA20を含む所定の配線パターンを形成する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0122】
次に、例えば
図25に示すように、導電層MA10及び導電層MA20等の上に、絶縁層183を形成する。この工程は、例えば、CVD及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)等の方法によって行う。
【0123】
次に、絶縁層183に、フォトエッチングによるマスク形成、RIE等によって、導電層MA20のパッド電極部193の上面の絶縁層183を除去し、パッド電極部193の上面を露出させることにより、
図12に示したような、外部パッド電極P
Xが形成される。
【0124】
[第2実施形態]
次に、
図26を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図26は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の信号端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図15に対応する部分を示す。
図26(a)は、同図(b)のD3―D3´線で切断し矢印方向(Z方向)から見た断面図である。
図26(b)は、同図(a)のC3-C3´線に沿って切断し矢印方向(X方向)から見た断面図である。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0125】
第2実施形態は、第1実施形態と基本的には同様の構成である。但し、本実施形態では、導電層BSL30の周囲に2本のスリット181a,181bが形成され、環状の導電層BSL30の外側に環状の導電層BSL40が形成される点で第1の実施形態とは相違している。環状の導電層BSL30、BLS40は、いずれも周囲から分離されてフローティング状態となっている。
【0126】
第2実施形態によれば、2本のスリット181a,181bが形成されているので、第1実施形態よりも導電層MA20と導電層BSL20との結合容量が低減され、信号遅延を更に低減することができる。
【0127】
尚、スリットの数は、3本以上としても良い。また、
図26(b)に示すように、各スリット181a,181bには、それぞれエアギャップ184a,184bが形成されていても良い。エアギャップ184a,184bが形成されていると、更に導電層MA20と導電層BSL20との結合容量を低減することができる。また、各スリット181a,181bの幅は、その上部に形成される絶縁層182の膜厚の0.1~0.5倍としても良い。この範囲であれば、上部の絶縁層182に段差が生じることがなく、配線層L
MAの形成が容易になる。
【0128】
[第3実施形態]
次に、
図27を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図27は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の信号端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図15に対応する部分を示す。
図27(a)は、同図(b)のD4―D4´線で切断し矢印方向(Z方向)から見た断面図である。
図27(b)は、同図(a)のC4-C4´線に沿って切断し矢印方向(X方向)から見た断面図である。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0129】
第3実施形態は、第1実施形態と基本的には同様の構成である。但し、本実施形態では、開口BAの周囲に配置される導電層BSL31が第1実施形態とは異なる。第3実施形態では、スリット181と開口BAとを繋ぐスリット185を有する。導電層BSL31は、開口BAの周囲に環状に配置された、それぞれが分離された矩形の島状パターンとして形成されている。それぞれの導電層BSL31は、いずれも周囲から分離されてフローティング状態となっている。
【0130】
第3実施形態によれば、導電層BSL31が環状に配置された島状パターンとなっているので、導電層MA20と導電層BSL20との結合容量が更に低減され、信号遅延を更に低減することができる。
【0131】
尚、スリット185の数は、ここに例示された数に限定されず、更に増加減少しても良い。また、
図27(b)に示すように、各スリット181,185には、それぞれエアギャップ184が形成されていても良い。エアギャップ184が形成されていると、更に導電層MA20と導電層BSL20との結合容量を低減することができる。また、各スリット181,185の幅は、その上部に形成される絶縁層182の膜厚の0.1~0.5倍としても良い。この範囲であれば、上部の絶縁層182に段差が生じることがなく、配線層L
MAの形成が容易になる。
【0132】
[第4実施形態]
次に、
図28を参照して、第4実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図28は、第4実施形態に係る半導体記憶装置の信号端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図15に対応する部分を示す。
図28(a)は、同図(b)のD5―D5´線で切断し矢印方向(Z方向)から見た断面図である。
図28(b)は、同図(a)のC5-C5´線に沿って切断し矢印方向(X方向)から見た断面図である。尚、以下の説明において、第1乃至第3実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0133】
第4実施形態は、第1実施形態と基本的には同様の構成である。但し、本実施形態では、導電層BSL30の周囲に2本のスリット181a,181bが形成され、スリット181aとスリット181bとを繋ぐスリット186を有する点が第1実施形態とは異なる。第4実施形態では、スリット181a,181b間の導電層BSL41は、スリット181a,181bの間に環状に配置された、それぞれが分離された矩形の島状パターンとして形成されている。環状の導電層BSL30及びそれぞれの導電層BSL41は、いずれも周囲から分離されてフローティング状態となっている。
【0134】
第4実施形態によれば、2本のスリット181a,181bが形成され、且つ、2本のスリット181a,181b間の導電層BSL41が環状に配置された島状パターンとなっているので、導電層MA20と導電層BSL10との結合容量が更に低減され、信号遅延を更に低減することができる。
【0135】
尚、スリット181a,181bの数は、3本以上としても良い。また、スリット186の数は、ここに例示された数に限定されず、更に増加減少しても良い。また、
図28(b)に示すように、各スリット181a,181b、186には、それぞれエアギャップ184a,184bが形成されていても良い。エアギャップ184a,184bが形成されていると、更に導電層MA20と導電層BSL20との結合容量を低減することができる。また、各スリット181a,181b,186の幅は、その上部に形成される絶縁層182の膜厚の0.1~0.5倍としても良い。この範囲であれば、上部の絶縁層182に段差が生じることがなく、配線層L
MAの形成が容易になる。
【0136】
[第1実施形態の変形例1]
次に、
図29を参照して、第1実施形態の変形例1に係る半導体記憶装置について説明する。
図29は、第1実施形態の変形例1に係る半導体記憶装置の信号端子及び電源端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図8の一部を拡大した模式図である。
図29は、メモリダイMDを、Z方向の配線層L
SBLの位置でXY平面に沿って切断し、Z方向から見た断面を示している。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0137】
第1実施形態の変形例1は、第1実施形態と基本的には同様の構成である。但し、本変形例では、電源端子に接続される外部パッド電極P1(VCC)を含む導電層MA21と、信号端子に接続される外部パッド電極P2(I/O)を含む導電層MA22の形状が、それぞれ長方形ではない。
【0138】
電源端子用の導電層MA21は、2つの開口構造VA11,VA12を有する。導電層MA21は、開口構造VA11,VA12を形成するため、隣接する信号端子用の導電層MA22の方に突出する凸部194を有する。外部パッド電極P1(VCC)は、開口BA1に対応して形成され、開口TV1によって外部に露出している。
【0139】
信号端子用の導電層MA22は、1つの開口構造VA13を有する。導電層MA22は、隣接する電源端子用の導電層MA21の凸部194に対応する切欠部195を有する。外部パッド電極P2(I/O)は、開口BA2に対応して形成され、開口TV2によって外部に露出している。スリット181は、導電層MA22の外形に沿って環状に形成されている。
【0140】
このように、外部パッド電極PXを構成する導電層MA21,MA22の形状は任意であり、スリット181もこれに合わせて任意形状の環状に形状することができる。
【0141】
[第2実施形態の変形例]
次に、
図30を参照して、第2実施形態の変形例に係る半導体記憶装置について説明する。
図30は、第2実施形態の変形例に係る半導体記憶装置の信号端子及び電源端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図8の一部を拡大した模式図である。
図30は、メモリダイMDを、Z方向の配線層L
SBLの位置でXY平面に沿って切断し、Z方向から見た断面を示している。尚、以下の説明において、第2実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0142】
本変形例では、信号端子用の外部パッド電極P2(I/O)の周りに形成される2本のスリット181a,181bに加えて、メモリプレーンMPの周りに2本のスリット180a,180bを形成している。これにより、メモリプレーンMPに対応した導電層BSL10とその周囲の導電層BSL20との間に環状の導電層BSL50が形成される。これにより、導電層BSL10と、周囲の導電層BSL20とが確実に分離される。
【0143】
[第1実施形態の変形例2]
次に、
図31を参照して、第1実施形態の変形例2に係る半導体記憶装置について説明する。
図31は、第1実施形態の変形例2に係る半導体記憶装置の信号端子及び電源端子の外部パッド電極P
Xの詳細を示す図であり、
図8の一部を拡大した模式図である。
図31は、メモリダイMDを、Z方向の配線層L
SBLの位置でXY平面に沿って切断し、Z方向から見た断面を示している。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0144】
本変形例では、信号端子用の外部パッド電極P2(I/O)の周りに形成されるスリット181のうち、X方向に隣接する外部パッド電極P2(I/O)間のスリット181cを1つに共用している。また、X方向に隣接するメモリプレーンMP間のスリット180cも、1つに共用している。これにより、信号端子用の外部パッド電極P2(I/O)及びメモリプレーンMPのX方向の配列ピッチを第1実施形態よりも小さくすることができる。
【0145】
[第5実施形態]
次に、
図32を参照して、第5実施形態に係る半導体装置について説明する。
図32は、第5実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図であり、
図12に対応する部分を示す。尚、以下の説明において、第1乃至第4実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0146】
第5実施形態は、外部パッド電極PXの周辺は、第1実施形態と基本的には同様の構成である。第1乃至第4実施形態は、半導体記憶装置に適用した例を示した。第5実施形態は、上述した構造の半導体記憶装置に限らず、他の構造を有する半導体装置に適用した例を示している。
【0147】
図32に示すように、半導体基板200の上に設けられた回路と、配線層L
MAの一部である外部パッド電極P
Xとは、積層方向(Z方向)に延びるコンタクトCC30によって接続されている。半導体基板200と配線層L
MAとの間には、配線層L
BSLが設けられている。配線層L
BSLと半導体基板200の間には、配線m0を含む配線層が設けられている。配線層L
MAと配線層L
BSLとの距離d1は、配線層L
BSLと配線m0を含む配線層との距離d2よりも短い。
【0148】
第5実施形態においても、配線層LBSLを構成する導電層BSL20と導電層BSL30との間にスリット181が設けられている。また、スリット181と開口BAとの間に環状の導電層BSL30を有する。導電層BSL30は、配線m0を含む配線層と接続されておらず、フローティング状態である。このような構成により、外部パッド電極PXを信号端子として用いた場合、高速な動作が可能になる。
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
MA10…導電層、MA20…導電層、MA30…導電層、BSL10…導電層、BSL20…導電層、BSL30…導電層。