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特開2024-134702ストリーム調整装置、それを備える通信システムおよびコンピュータに実行させるためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134702
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ストリーム調整装置、それを備える通信システムおよびコンピュータに実行させるためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/15 20180101AFI20240927BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240927BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240927BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20240927BHJP
【FI】
H04W76/15
H04W72/0457 110
H04W4/06 171
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045034
(22)【出願日】2023-03-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度 支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「テラヘルツ波による超大容量無線LAN伝送技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森 敬一朗
(72)【発明者】
【氏名】矢船 憲成
(72)【発明者】
【氏名】栗原 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一人
(72)【発明者】
【氏名】坂野 寿和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD19
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067JJ14
(57)【要約】
【課題】無線リソースの有効活用または超過データの破棄防止が可能なストリーム調整装置を提供する。
【解決手段】割当手段12は、受信手段11によって受信されたデータをn個のアクセスポイントに割り当てる。そして、割当手段12は、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例してi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置であって、
送信元からデータを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたデータを前記n個のアクセスポイントに割り当てる割当手段とを備え、
前記割当手段は、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例して前記i番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することを前記n個のアクセスポイントの全てについて実行して前記n個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行する、ストリーム調整装置。
【請求項2】
前記割当手段は、前記割当処理において最初に前記n個のアクセスポイントに前記n個のデータを割り当てるとき、前記n個のアクセスポイントにそれぞれ割り当てる前記n個のデータの前記n個のデータ量が均等になるように前記n個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる、請求項1に記載のストリーム調整装置。
【請求項3】
前記n個のアクセスポイントがt(tは、1以上の整数)回目にデータを前記送信先の無線装置へ送信する前の前記n個のアクセスポイントのn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の送信時データ残量を前記n個のアクセスポイントから取得する取得手段を更に備え、
前記割当手段は、前記割当処理において、前記取得手段によって取得された前記n個の送信時データ残量、(t-1)回目にデータを前記送信先の無線装置へ送信する前の前記n個のバッファにおけるデータ残量であるn個の前回データ残量、および前記(t-1)回目に前記n個のアクセスポイントに割り当てたn個の前回割当データ量に基づいて、前記前回データ残量と前記前回割当データ量との和から前記送信時データ残量を減算して前記アクセスポイントがt回目に前記無線装置へ送信する想定データ量を算出し、その算出した想定データ量に比例するように1個の前記アクセスポイントに割り当てる割当データ量を算出することを前記n個のアクセスポイントの全てについて実行して前記n個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる、請求項1に記載のストリーム調整装置。
【請求項4】
前記割当手段は、前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントを除外して前記割当処理を実行する、請求項3に記載のストリーム調整装置。
【請求項5】
前記割当手段は、前記割当処理において、前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントに対して、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出し、その算出した割当データ量を前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントに割り当てる、請求項3に記載のストリーム調整装置。
【請求項6】
前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量は、前記アクセスポイントのバッファの最大容量からt回目のデータ伝送前における前記バッファのデータ残量を減算した減算結果からなる、請求項5に記載のストリーム調整装置。
【請求項7】
前記割当手段は、前記割当処理において、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出したとき、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出しなかったアクセスポイントに対する前記割当データ量を、再度、算出する算出処理を実行する、請求項5に記載のストリーム調整装置。
【請求項8】
前記割当手段は、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出したアクセスポイントの集合が空集合になるまで、前記算出処理を実行する、請求項7に記載のストリーム調整装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のストリーム調整装置と、
前記n個のアクセスポイントと、
前記無線装置とを備える通信システム。
【請求項10】
連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置においてコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
受信手段が、送信元からデータを受信する第1のステップと、
割当手段が、前記第1のステップにおいて前記受信手段によって受信されたデータを前記n個のアクセスポイントに割り当てる第2のステップとをコンピュータに実行させ、
前記割当手段は、前記第2のステップにおいて、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例して前記i番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することを前記n個のアクセスポイントの全てについて実行して前記n個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行する、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
前記割当手段は、前記第2のステップの前記割当処理において最初に前記n個のアクセスポイントに前記n個のデータを割り当てるとき、前記n個のアクセスポイントにそれぞれ割り当てる前記n個のデータの前記n個のデータ量が均等になるように前記n個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる、請求項10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
取得手段が、前記n個のアクセスポイントがt(tは、1以上の整数)回目にデータを前記送信先の無線装置へ送信する前の前記n個のアクセスポイントのn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の送信時データ残量を前記n個のアクセスポイントから取得する第3のステップを更にコンピュータに実行させ、
前記割当手段は、前記第2のステップの前記割当処理において、前記取得手段によって取得された前記n個の送信時データ残量、(t-1)回目にデータを前記送信先の無線装置へ送信する前の前記n個のバッファにおけるデータ残量であるn個の前回データ残量、および前記(t-1)回目に前記n個のアクセスポイントに割り当てたn個の前回割当データ量に基づいて、前記前回データ残量と前記前回割当データ量との和から前記送信時データ残量を減算して前記アクセスポイントがt回目に前記無線装置へ送信する想定データ量を算出し、その算出した想定データ量に比例するように1個の前記アクセスポイントに割り当てる割当データ量を算出することを前記n個のアクセスポイントの全てについて実行して前記n個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれ前記n個のアクセスポイントに割り当てる、請求項10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記割当手段は、前記第2のステップにおいて、前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントを除外して前記割当処理を実行する、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記割当手段は、前記第2のステップの前記割当処理において、前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントに対して、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出し、その算出した割当データ量を前記割当データ量が前記バッファの最大容量よりも大きい前記アクセスポイントに割り当てる、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量は、前記アクセスポイントのバッファの最大容量からt回目のデータ伝送前における前記バッファのデータ残量を減算した減算結果からなる、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記割当手段は、前記第2のステップの前記割当処理において、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出したとき、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出しなかったアクセスポイントに対する前記割当データ量を、再度、算出する算出処理を実行する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記割当手段は、前記第2のステップにおいて、前記バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を前記割当データ量として算出したアクセスポイントの集合が空集合になるまで、前記算出処理を実行する、請求項16に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストリーム調整装置、それを備える通信システムおよびコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Society5.0の実現に向け、教育・医療を始め、AR・VR等のコミュニケーションツールやモビリティの高度化に向けて、高精細映像やセンシング情報等の大容量かつ同時多接続伝送技術が求められている(非特許文献1~3)。
【0003】
例えば、120fpsのフルスペック8K映像を低遅延化のために非圧縮で伝送しようとすると、100Gbpsを超える通信速度が要求される。
【0004】
例えば、無線LAN(Local Area Network)に焦点をあてると、複数ユーザへのサービスの同時提供や広い活用を見据えた場合、現在までに規格策定完了・出版されているIEEE802.11無線LAN規格の最大通信速度(IEEE802.11ayで176Gbps)では不十分である。
【0005】
一方、2017年に規格策定完了・出版されたIEEE802.15.3dは、広い周波数チャネル幅を利用可能であるテラヘルツ帯を活用し、最大伝送速度100Gbpsの1対1通信を可能としているが、IEEE802.11無線LANに代表されるような、免許不要かつ多数の端末による同時接続はサポートされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】内閣府, " Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」説明資料"
【非特許文献2】内閣府, " 第6期科学技術・イノベーション基本計画", 2021年3月
【非特許文献3】KDDI株式会社, "Beyond5G/6G ホワイトペーパー Ver.2.0.1 ", 2021年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数のアクセスポイントを連携させてデータ伝送を行うには、各アクセスポイントに対して、バックホール回線などを介して予め送信するデータを配分させる必要がある。
【0008】
一方で、アクセスポイントは、バックホール回線を介して配分されてバッファに一時的に保持されたデータを伝送するが、その伝送速度は、アクセスポイントの種類や使用環境により異なる。
【0009】
従って、現在の技術で実現可能なバックホール回線の伝送速度で高速伝送を行うためには各アクセスポイントのバッファが空にならないように、かつ、最大容量に達しないようにデータ配分を行う方法が必要となる。
【0010】
バッファが空になるアクセスポイントがあると、無線リソースの無駄になってしまう。また、バッファが最大容量以上になると超過した分のデータが破棄されてしまい送信データの欠損が起きてしまう。
【0011】
そこで、この発明の実施の形態によれば、無線リソースの有効活用または超過データの破棄防止が可能なストリーム調整装置を提供する。
【0012】
また、この発明の実施の形態によれば、無線リソースの有効活用または超過データの破棄防止が可能なストリーム調整装置を備える通信システムを提供する。
【0013】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線リソースの有効活用または超過データの破棄防止をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、ストリーム調整装置は、連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置であって、受信手段と、割当手段とを備える。受信手段は、送信元からデータを受信する。割当手段は、受信手段によって受信されたデータをn個のアクセスポイントに割り当てる。そして、割当手段は、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例してi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行する。
【0015】
(構成2)
構成1において、割当手段は、割当処理において最初にn個のアクセスポイントにn個のデータを割り当てるとき、n個のアクセスポイントにそれぞれ割り当てるn個のデータのn個のデータ量が均等になるようにn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる。
【0016】
(構成3)
構成1において、ストリーム調整手段は、取得手段を更に備える。取得手段は、n個のアクセスポイントがt(tは、1以上の整数)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のアクセスポイントのn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の送信時データ残量をn個のアクセスポイントから取得する。割当手段は、割当処理において、取得手段によって取得されたn個の送信時データ残量、(t-1)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の前回データ残量、および(t-1)回目にn個のアクセスポイントに割り当てたn個の前回割当データ量に基づいて、前回データ残量と前回割当データ量との和から送信時データ残量を減算してアクセスポイントがt回目に無線装置へ送信する想定データ量を算出し、その算出した想定データ量に比例するように1個のアクセスポイントに割り当てる割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる。
【0017】
(構成4)
構成3において、割当手段は、割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントを除外して割当処理を実行する。
【0018】
(構成5)
構成3において、割当手段は、割当処理において、割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントに対して、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出し、その算出した割当データ量を割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントに割り当てる。
【0019】
(構成6)
構成5において、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量は、アクセスポイントのバッファの最大容量からt回目のデータ伝送前におけるバッファのデータ残量を減算した減算結果からなる。
【0020】
(構成7)
構成5において、割当手段は、割当処理において、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出したとき、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出しなかったアクセスポイントに対する割当データ量を、再度、算出する算出処理を実行する。
【0021】
(構成8)
構成7において、割当手段は、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出したアクセスポイントの集合が空集合になるまで、算出処理を実行する。
【0022】
(構成9)
また、この発明の実施の形態によれば、通信システムは、構成1から構成8のいずれかに記載のストリーム調整装置と、n個のアクセスポイントと、無線装置とを備える通信システムである。
【0023】
(構成10)
更に、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置においてコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
受信手段が、送信元からデータを受信する第1のステップと、
割当手段が、第1のステップにおいて受信手段によって受信されたデータをn個のアクセスポイントに割り当てる第2のステップとをコンピュータに実行させ、
割当手段は、第2のステップにおいて、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例してi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行する、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
(構成11)
構成10において、割当手段は、第2のステップの割当処理において最初にn個のアクセスポイントにn個のデータを割り当てるとき、n個のアクセスポイントにそれぞれ割り当てるn個のデータのn個のデータ量が均等になるようにn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる。
【0025】
(構成12)
構成10において、取得手段が、n個のアクセスポイントがt(tは、1以上の整数)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のアクセスポイントのn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の送信時データ残量をn個のアクセスポイントから取得する第3のステップを更にコンピュータに実行させ、
割当手段は、第2のステップの割当処理において、取得手段によって取得されたn個の送信時データ残量、(t-1)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のバッファにおけるデータ残量であるn個の前回データ残量、および(t-1)回目にn個のアクセスポイントに割り当てたn個の前回割当データ量に基づいて、前回データ残量と前回割当データ量との和から送信時データ残量を減算してアクセスポイントがt回目に無線装置へ送信する想定データ量を算出し、その算出した想定データ量に比例するように1個のアクセスポイントに割り当てる割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる。
【0026】
(構成13)
構成11において、割当手段は、第2のステップにおいて、割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントを除外して割当処理を実行する。
【0027】
(構成14)
構成12において、割当手段は、第2のステップの割当処理において、割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントに対して、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出し、その算出した割当データ量を割当データ量がバッファの最大容量よりも大きいアクセスポイントに割り当てる。
【0028】
(構成15)
構成14において、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量は、アクセスポイントのバッファの最大容量からt回目のデータ伝送前におけるバッファのデータ残量を減算した減算結果からなる。
【0029】
(構成16)
構成14において、割当手段は、第2のステップの割当処理において、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出したとき、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出しなかったアクセスポイントに対する割当データ量を、再度、算出する算出処理を実行する。
【0030】
(構成17)
構成16において、割当手段は、第2のステップにおいて、バッファの最大容量を超えない最大のデータ量を割当データ量として算出したアクセスポイントの集合が空集合になるまで、算出処理を実行する。
【発明の効果】
【0031】
無線リソースを有効に活用でき、または超過データの破棄を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明の実施の形態1による通信システムの概略図である。
図2図1に示すストリーム調整装置1の実施の形態1における概略図である。
図3図1に示す通信システム10の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】実施の形態2による通信システムの概略図である。
図5図4に示すストリーム調整装置1Aの概略図である。
図6図4に示す通信システム10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
図7図6のステップS9Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図8図6のステップS15Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0034】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による通信システム10は、ストリーム調整装置1と、n(nは、2以上の整数)個のアクセスポイント2-1~2-nと、無線装置3とを備える。
【0035】
ストリーム調整装置1は、例えば、トラヒック発生部からのデータをアクセスポイント2-1~2-nへ中継する中継器に設けられる。ストリーム調整装置1は、バックホール回線によってn個のアクセスポイント2-1~2-nに接続されている。
【0036】
ストリーム調整装置1は、中継器がトラヒック発生部から受信したデータを中継器から受ける。そして、ストリーム調整装置1は、バックホール回線を介して、アクセスポイント2-1~2-nの各々のバッファにおけるデータ残量をストリーム調整装置1へ送信するリクエストをアクセスポイント2-1~2-nへ送信し、アクセスポイント2-1~2-nからn個のデータ残量D_RA_1~D_RA_nを受信する。
【0037】
そうすると、ストリーム調整装置1は、後述する方法によって、n個のデータ残量D_RA_1~D_RA_nを用いて、中継器から受けたデータのデータ量をアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量である割当データ量D_ALLを決定することをn個のアクセスポイント2-1~2-nの全てについて実行する。
【0038】
そして、ストリーム調整装置1は、バックホール回線を介して、割当データ量D_ALL_1~D_ALL_nをそれぞれ有するデータD1~Dnをそれぞれアクセスポイント2-1~2-nに割り当てる。
【0039】
アクセスポイント2-1~2-nの各々は、ストリーム調整装置1からのデータ残量D_RAのリクエストに応じて、バッファからデータ残量を検出し、その検出したデータ残量をバックホール回線を介してストリーム調整装置1へ送信する。
【0040】
無線装置3は、n個のアクセスポイント2-1~2-nからデータを受信する。
【0041】
以下の説明における記号の説明を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
図2は、図1に示すストリーム調整装置1の実施の形態1における概略図である。図2を参照して、ストリーム調整装置1は、受信手段11と、割当手段12とを備える。
【0044】
受信手段11は、中継器からデータを受信し、その受信したデータを割当手段12へ出力する。
【0045】
割当手段12は、受信手段11からデータを受ける。割当手段12は、アクセスポイント2-1~2-nが最初にデータを無線装置3へ送信するとき、データを均等にアクセスポイント2-1~2-nに割り当てる。
【0046】
ここで、アクセスポイント2-1~2-nが最初にデータを無線装置3へ送信するときをt=0とする。
【0047】
割当手段12は、アクセスポイント2-1~2-nがt(>0)回目にデータを無線装置3へ送信するとき、アクセスポイント2-1~2-nがt-1(≧0)回目にデータを無線装置3へ送信したときのデータ残量D_RA_1~D_RA_nをストリーム調整装置1へ送信することを依頼するリクエストを、バックホール回線BHCを介してアクセスポイント2-1~2-nへ送信する。
【0048】
その後、割当手段12は、バックホール回線BHCを介して、アクセスポイント2-1~2-nにおけるデータ残量D_RA_1~D_RA_nをアクセスポイント2-1~2-nから受信する。そして、割当手段12は、データ残量D_RA_1~D_RA_nを保持する。
【0049】
割当手段12がAP2-1~AP2-nに割り当てるデータ量を算出する方法について説明する。
【0050】
割当手段12は、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量di,tを次式によって算出する。
【0051】
【数1】
【0052】
式(1A)において、Mは、データの割当対象であるアクセスポイント群であり、M={i∈Z|1≦i≦n}である。そして、Zは、整数全体の集合である。
【0053】
式(1A)は、t回目のデータ伝送において連携するアクセスポイントが無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)であるとき、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tが零(=0)であることを表わす。
【0054】
式(1B)は、t回目のデータ伝送において連携するアクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)でないとき、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tが(vi,t/V)Dであることを表わす。
【0055】
そして、Dは、t回目のデータ伝送でストリーム調整装置1が各アクセスポイントに割り当てるデータの総量である。
【0056】
従って、式(1B)は、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tが、t回目のデータ伝送でストリーム調整装置1が各アクセスポイント2-1~2-nに割り当てるデータの総量Dを[t回目のデータ伝送において連携するアクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送するデータの総量V]に対する[t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iが無線装置3へ伝送する想定データ量vi,t]の比で割り当てることを表わす。
【0057】
そして、式(1B)におけるvi,tは、次式によって算出される。
【0058】
【数2】
【0059】
式(2A)は、t=0であるとき、アクセスポイント2-iのバッファのデータ残量によって算出したt回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iが無線装置3へ伝送する想定データ量vi,tがt回目のデータ伝送前のi番目のアクセスポイント2-iのバッファの最大容量amax i,tであることを表わす。
【0060】
割当手段12は、t=0であるとき、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iが無線装置3へ伝送する想定データvi,tを式(2A)によって算出する。
【0061】
そして、割当手段12は、算出した想定データvi,tを次式に代入してt回目のデータ伝送において連携するアクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送するデータの総量Vを算出する。
【0062】
【数3】
【0063】
式(3)は、[t回目のデータ伝送において連携するアクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送するデータの総量V]は、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iが無線装置3へ伝送する想定データvi,tを全てのアクセスポイント2-1~2-nについて加算した加算結果に等しいことを表わす。
【0064】
そうすると、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)であるか否かを判定する。
【0065】
そして、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)であると判定したとき、式(1A)によって、t回目のデータ伝送において、i番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tが零(=0)であると算出する。
【0066】
一方、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)でないと判定したとき、想定データ量vi,tと無線装置3へ伝送するデータの総量Vとを式(1B)に代入してi番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tを算出する。
【0067】
また、割当手段12は、t=0でないとき、t回目のデータ伝送においてi番目のアクセスポイント2-iが無線装置3へ伝送する想定データvi,tを式(2B)によって算出する。
【0068】
そして、割当手段12は、算出した想定データvi,tを式(3)に代入してt回目のデータ伝送において連携するアクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送するデータの総量Vを算出する。
【0069】
そうすると、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)であるか否かを判定する。
【0070】
そして、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)であると判定したとき、式(1A)によって、t回目のデータ伝送において、i番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tが零(=0)であると算出する。
【0071】
一方、割当手段12は、無線装置3へ伝送するデータの総量Vが零(=0)でないと判定したとき、想定データ量vi,tと無線装置3へ伝送するデータの総量Vとを式(1B)に代入してi番目のアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tを算出する。
【0072】
割当手段12は、上述した動作をn個のアクセスポイント2-1~2-nの全てについて実行し、t回目のデータ伝送にいて、n個のアクセスポイント2-1~2-nに割り当てるn個のデータ量d1,t~dn,tを決定する。
【0073】
そうすると、割当手段12は、バックホール回線BHCを介して、n個のデータ量d1,t~dn,tをそれぞれ有するn個のデータD1~Dnをそれぞれアクセスポイント2-1~2-nへ送信することによってn個のデータD1~Dnをそれぞれアクセスポイント2-1~2-nに割り当てる。
【0074】
更に、割当手段12は、j番目のアクセスポイント(AP2-j)において、バッファのデータ残量aj,tとデータ配分量dj,tとの合計値がバッファの最大容量amax j,tよりも大きくなる場合、j番目のアクセスポイント2-jに割り当てるデータ量を次式のように零(=0)に設定し、j番目のアクセスポイント2-jをデータ配分の対象外とする。
【0075】
【数4】
【0076】
そして、割当手段12は、j番目のアクセスポイント2-j以外の(n-1)個のアクセスポイント2-1~2-(j-1),2-(j+1)~2-n)に対して、上述した方法によって、(n-1)個のアクセスポイント2-1~2-(j-1),2-(j+1)~2-n)に割り当てるデータ量を算出する。
【0077】
t回目のデータ伝送において、アクセスポイント2-jにデータが割り当てられなかったので、(t+1)回目にj番目のアクセスポイント2-jに割り当てられるデータ量を算出する場合の式は、次式になる。
【0078】
【数5】
【0079】
式(5)において、dj,tは、t回目のデータ伝送においてj番目のアクセスポイント2-jに割り当てるデータ量であり、零(=0)である。
【0080】
また、式(5)において、aj,tは、t回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量であり、aj,t+1は、(t+1)回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量である。
【0081】
j,t=0であるので、j番目のアクセスポイント2-jは、t回目において、データを無線装置3へ送信していない。その結果、(t+1)回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量aj,t+1は、t回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量aj,tに等しくなる(aj,t+1=aj,t)。
【0082】
そうすると、dj,t=0であるので、式(5)の分子は、零(=0)になり、(t+1)回目のデータ伝送において、j番目のアクセスポイント2-jに割り当てるデータ量dj,t+1は、零(=0)になる。
【0083】
しかし、一般的に、アクセスポイントは、バッファにデータが格納されていれば、データが新たに割り当てれなくても、バッファに格納されたデータを送信する。
【0084】
従って、j番目のアクセスポイント2-jは、t回目のデータ伝送時にデータが割り当てられなくても、バッファに格納されたデータを無線装置3へ送信するので、(t+1)回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量aj,t+1は、t回目のデータ伝送前のj番目のアクセスポイント2-jのバッファのデータ残量aj,tよりも少なくなる(aj,t+1<aj,t)。
【0085】
従って、割当手段12は、式(5)に従って、(t+1)回目のデータ伝送時にj番目のアクセスポイント2-jが無線装置3へ伝送する想定データ量を算出することができる。
【0086】
図3は、図1に示す通信システム10の動作を説明するためのフローチャートである。図3を参照して、通信システム10の動作が開始されると、ストリーム調整装置1の割当手段12は、バックホール回線BHCを介して、各アクセスポイント2-1~2-nの最大容量amax を取得する(ステップS1)。
【0087】
そして、ストリーム調整装置1の割当手段12は、t=0を設定し(ステップS2)、データ割当対象のアクセスアポイント群M={i∈Z|1≦i≦n}を設定する(ステップS3)。
【0088】
引き続いて、ストリーム調整装置1の割当手段12は、i=1を設定する(ステップS4)。
【0089】
その後、ストリーム調整装置1の割当手段12は、バックホール回線BHCを介して、各アクセスポイント2-1~2-nのバッファのデータ残量ai,tを取得する(ステップS5)。
【0090】
そうすると、ストリーム調整装置1の割当手段12は、t=0であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0091】
ステップS6において、t=0でないと判定されたとき、ストリーム調整装置1の割当手段12は、式(2B)によって各アクセスポイントが伝送可能なデータ量vi,tを算出する(ステップS7)。
【0092】
一方、ステップS6において、t=0であると判定されたとき、ストリーム調整装置1の割当手段12は、vi,0=amax を設定する(ステップS8)。
【0093】
そして、ステップS7またはステップS8の後、ストリーム調整装置1の割当手段12は、式(1)および式(3)によって、アクセスポイント2-iに割り当てるデータ量di,tを算出する(ステップS9)。
【0094】
そうすると、ストリーム調整装置1の割当手段12は、i=nであるか否かを判定する(ステップS10)。
【0095】
ステップS10において、i=nでないと判定されたとき、ストリーム調整装置1の割当手段12は、i=i+1を設定する(ステップS11)。その後、通信システム10の動作は、ステップS5へ移行し、ステップS10において、i=nであると判定されるまで、ステップS5~ステップS11が繰り返し実行される。
【0096】
そして、ステップS10において、i=nであると判定されると、ストリーム調整装置1の割当手段12は、データ割当後に最大容量を超えるアクセスポイントを検出する(ステップS12)。この場合、ストリーム調整装置1の割当手段12は、集合N={j∈M|aj,t+dj,t>amax }を作成する。
【0097】
ステップS12の後、ストリーム調整装置1の割当手段12は、集合Nが空集合φであるか否かを判定する(ステップS13)。
【0098】
ステップS13において、集合Nが空集合φでないと判定されたとき、ストリーム調整装置1の割当手段12は、データ割当後に最大容量を超えるアクセスポイントをデータ割当の対象外とする(ステップS14)。
【0099】
そして、ストリーム調整装置1の割当手段12は、最大容量を超えるアクセスポイント以外のアクセスポイントについて、上述したステップS9を実行する(ステップS15)。その後、通信システム10の動作は、ステップS12へ移行する。
【0100】
一方、ステップS13において、集合Nが空集合φであると判定されたとき、ストリーム調整装置1の割当手段12は、バックホール回線BHCを介してデータ量di,tをアクセスポイント2-iへ送信することを全てのアクセスポイントについて実行する(ステップS16)。
【0101】
そして、各アクセスポイントは、データを無線装置へ送信する(ステップS17)。その後、ストリーム調整装置1は、一定期間T、待機し(ステップS18)、t=t+1を設定する(ステップS19)。
【0102】
ステップS19の後、通信システム10の動作は、ステップS3へ移行する。
【0103】
以後、外部から停止指示を受けるまで、図3に示すフローチャートは、繰り返し実行される。
【0104】
図3に示すフローチャートにおいては、ステップS8がi=1~nの全てについて実行されることによって、n個のアクセスポイント2-1~2-nの全てについて、最大容量amaxが取得される。
【0105】
また、図3に示すフローチャートにおいては、ステップS10において、i=nであると判定されるまで、ステップS5→ステップS6の“NO”→ステップS7→ステップS9が実行されることによって、アクセスポイント2-1~2-nが無線装置3へ伝送する想定データ量v1,t~vn,tが算出される。
【0106】
更に、図3に示すフローチャートにおいては、ステップS13において、集合Nが空集合であると判定されるまで、ステップS14→ステップS15→ステップS12→ステップS13が繰り返し実行されることによって、最大容量を超える全てのアクセスポイントがデータ割当から除外され、最大容量を超えるアクセスポイント以外のアクセスポイントについて、再度、データが割り当てられる(ステップS15参照)。
【0107】
従って、集合Nが空集合であると判定されるまで、ステップS14→ステップS15→ステップS12→ステップS13を繰り返し実行することは、最大容量を超えるアクセスポイント以外のアクセスポイントに割り当てるデータ量を算出することになる。
【0108】
なお、実施の形態1においては、アクセスポイント2-1~2-nのバッファのデータ残量を取得するとき、アクセスポイント2-1~2-nがストリーム調整装置1の割当手段12へアクセスポイント2-1~2-nのバッファのデータ残量を送信するようにしてもよい。
【0109】
[実施例]
以下、実施の形態1の実施例について説明する。まず、実施例1について説明する。
(I)実施例1
3個のアクセスポイントで無線装置3へデータを伝送する場合を例として、3個のアクセスポイントに割り当てられるデータ量について説明する。
【0110】
アクセスポイント2-i(i=1,2,3)と、バッファのt-1回目のデータ残量ai,t-1と、バッファのt回目のデータ残量ai,tと、バッファの最大容量amax との関係を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
そして、t回目に送信するデータ量は、12000[kbyte]である。
【0113】
アクセスポイント2-1~2-3がt回目に無線装置3へ伝送できる想定データ量v1,tを式(2B)によって算出すると、次式のようになる。
【0114】
【数6】
【0115】
その結果、無線装置3へ伝送できるデータの総量Vは、V=v1,t+v2,t+v3,t=16000[kbyte]となる。
【0116】
そうすると、アクセスポイント2-1~2-3へ割り当てるデータ量di,tは、次式のようになる。
【0117】
【数7】
【0118】
そして、データ量d1,t~d3,tの和は、12000[kbyte]となり、t回目に送信するデータ量(=12000[kbyte])に一致する。
(II)実施例2
次に、実施例2について説明する。アクセスポイント2-i(i=1,2,3)と、バッファのt-1回目のデータ残量ai,t-1と、バッファのt回目のデータ残量ai,tと、バッファの最大容量amax との関係を表3に示す。
【0119】
【表3】
【0120】
そして、t回目に送信するデータ量は、28000[kbyte]である。
【0121】
アクセスポイント2-1~2-3がt回目に無線装置3へ伝送できる想定データ量v1,tを式(2B)によって算出すると、次式のようになる。
【0122】
【数8】
【0123】
その結果、無線装置3へ伝送できるデータの総量Vは、V=v1,t+v2,t+v3,t=13000[kbyte]となる。
【0124】
そうすると、アクセスポイント2-1~2-3へ割り当てるデータ量di,tは、次式のようになる。
【0125】
【数9】
【0126】
そして、データ量d1,t~d3,tの和は、28000[kbyte]となり、t回目に送信するデータ量(=28000[kbyte])に一致する。
【0127】
ここで、アクセスポイント2-2に着目すると、d2,t+a2,t=2154+8000=10154[kbyte]となり、d2,t+a2,t=10154[kbyte]がアクセスポイント2-2の内部バッタの最大容量(=10000[kbyte])よりも大きくなる。
【0128】
そこで、アクセスポイント2-2を除外(d2,t=0およびv2,t=0)して、データ配分量を再計算すると、V=v1,t+v2,t+v3,t=12000[kbyte]となる。
【0129】
そして、アクセスポイント2-2以外のアクセスポイント2-1,2-3に配分するデータ量を計算すると、次式のようになる。
【0130】
【数10】
【0131】
そして、データ量d1,t,d3,tの和は、28000[kbyte]となり、t回目に送信するデータ量(=28000[kbyte])に一致する。
【0132】
実施の形態1においては、ストリーム調整装置1の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0133】
この場合、ストリーム調整装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。
【0134】
そして、ROMは、図3に示すフローチャートの各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
【0135】
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行してアクセスポイント2-1~2-nに割り当てるデータ量を算出し、その算出したデータ量を有するデータをアクセスポイント2-1~2-nへ送信する。RAMは、算出したデータ量等を一時的に記憶する。
【0136】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行してアクセスポイント2-1~2-nに割り当てるデータ量を算出し、その算出したデータ量を有するデータをアクセスポイント2-1~2-nへ送信する。
【0137】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0138】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2による通信システムの概略図である。図4を参照して、実施の形態2による通信システム10Aは、図1に示す通信システム10のストリーム調整装置1をストリーム調整装置1Aに変えたものであり、その他は、通信システム10と同じである。
【0139】
ストリーム調整装置1Aは、後述する方法によって、アクセスポイント2-1~2-nから受信したn個のデータ残量D_RA_1~D_RA_nを用いて、中継器から受けたデータのデータ量をアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量である割当データ量D_ALLを決定することをn個のアクセスポイント2-1~2-nの全てについて実行する。
【0140】
そして、ストリーム調整装置1Aは、バックホール回線を介して、割当データ量D_ALL_1~D_ALL_nをそれぞれ有するデータD1~Dnをそれぞれアクセスポイント2-1~2-nに割り当てる。
【0141】
ストリーム調整装置1Aは、その他、上述したストリーム調整装置1と同じ動作を行う。
【0142】
図5は、図4に示すストリーム調整装置1Aの概略図である。図5を参照して、ストリーム調整装置1Aは、図2に示すストリーム調整装置1の割当手段12を割当手段12Aに変えたものであり、その他は、ストリーム調整装置1と同じである。
【0143】
割当手段12Aは、バックホール回線BHCによって基地局2-1~2-nに接続される。
【0144】
そして、割当手段1Aは、各アクセスポイント2-1~2-nのバッファの最大容量を超えない最大のデータ量となるデータ量を各アクセスポイント2-1~2-nに割り当てる。
【0145】
より具体的には、割当手段12Aは、次式によって、データ割当対象のアクセスポイント群M={i∈Z|1≦i≦n}のi番目のアクセスポイント2-iにおける、バッファのデータ残量ai,tとデータ割当量di,tの合計値がアクセスポイント2-1~2-nのバッファの最大容量amax を超えない最大のデータ割当量di,tを求める。
【0146】
【数11】
【0147】
式(11)において、(vi,t/V)Dは、t回目のデータ伝送において、アクセスポイント2-iに割り当てられるデータ量である。
【0148】
また、amax -ai,tは、アクセスポイント2-iのバッファの最大容量amax から[t回目のデータ伝送前のアクセスポイント2-iのバッファのデータ残量ai,t]を減算した結果であるので、t回目のデータ伝送において、t回目のデータ伝送においてアクセスポイント2-iに割り当て可能な最大容量である。
【0149】
そして、式(11)は、[(vi,t/V)D]が[amax -ai,t]よりも大きいとき、[amax -ai,t]を選択し、[(vi,t/V)D]が[amax -ai,t]以下であるとき、[(vi,t/V)D]を選択することを表わす。
【0150】
従って、式(11)は、di,t≦[amax -ai,t]となることを表わす。
【0151】
割当手段12Aは、式(11)を用いて、データ割当量di,tが最大容量[amax -ai,t]となる全てのアクセスポイントを検出し、その検出したアクセスポイントの集合N’={i∈M|aj,t+dj,t=amax }を作成する。
【0152】
そして、割当手段12は、データ割当後に、データ割当量が最大容量[amax -ai,t]となるアクセスポイントを次式によってデータ割当量の算出の対象外とする。
【0153】
【数12】
【0154】
アクセスポイント群M’は、アクセスポイント群Mから最大容量[amax -ai,t]を割り当てたアクセスポイント(=集合N’に含まれるアクセスポイント)を除いたアクセスポイントからなるアクセスポイント群である。
【0155】
その後、割当手段12Aは、t回目のデータ伝送において、アクセスポイント群M’に含まれる全てのアクセスポイント2-iに割り当てるデータ総量D’を次式によって算出する。つまり、割当手段12Aは、次式によって、伝送データの総量を更新する。
【0156】
【数13】
【0157】
式(13)において、右辺の第2項は、データ割当量が最大容量[amax -aj,t]となるアクセスポイントに割り当てたデータの総量である。
【0158】
その結果、式(13)は、t回目のデータ伝送において、最大容量[amax -aj,t]を割り当てたアクセスポイント以外のアクセスポイント(即ち、最大容量[amax -aj,t]が割り当てられていないアクセスポイント)に割り当てるデータ総量Dを更新することを表わす。
【0159】
割当手段12Aは、式(13)によって、データ総量Dを更新した後、最大容量[amax -aj,t]を割り当てたアクセスポイント以外のアクセスポイント(即ち、最大容量[amax -aj,t]が割り当てられていないアクセスポイント)について、式(1)、式(3)および式(11)を用いてアクセスポイント群M’のアクセスポイントに割り当てるデータ量を算出する。
【0160】
図6は、図4に示す通信システム10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0161】
図6に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートのステップS9,S12,S13,S14,S15をそれぞれステップS9A,S12A,S13A,S14A,S15Aに変えたものであり、その他は、図3に示すフローチャートと同じである。
【0162】
図6を参照して、通信システム10Aの動作が開始されると、上述したステップS1~ステップS8が順次実行される。
【0163】
そして、ステップS7またはステップS8の後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、式(1)、式(3)および式(11)によって、アクセスポイント2-iに割り当てるデータ量を算出する(ステップS9A)。
【0164】
その後、ステップS10において、i=nであると判定されるまで、ステップS5~S8,S9A,S10,S11が繰り返し実行された後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、データ割当後に、データ割当量が最大容量[amax -aj,t]となるアクセスポイントを検出する(ステップS12A)。
【0165】
この場合、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、集合N’={j∈M|aj,t+dj,t=amax }を作成する。
【0166】
ステップS12Aの後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、集合N’が空集合であるか否かを判定する(ステップS13A)。
【0167】
ステップS13Aにおいて、集合N’が空集合でないと判定されたとき、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、式(12)によって、データ割当量が最大容量[amax -aj,t]となるアクセスポイントを式(12)によってデータ割当量dj,tの算出の対象外とし(この処理によって、ステップS15Aに記載のアクセスポイント群M’が設定される)、式(13)によって伝送データの総量を更新する(ステップS14A)。
【0168】
そして、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、更新後の伝送データの総量に基づいて、式(1)、式(3)および式(11)によってアクセスポイント群M’のアクセスポイントに割り当てるデータ量を算出し、集合N’={j∈M’|aj,t+dj,t=amax }する(ステップS15A)。
【0169】
その後、通信システム10Aの動作は、ステップ13Aへ移行し、ステップS13Aにおいて、集合N’が空集合であると判定されるまで、ステップS13A,S14A,S15Aが繰り返し実行される。
【0170】
そして、ステップS13Aにおいて、集合N’が空集合であると判定されると、上述したステップS16~ステップS19が順次実行され、ステップS19の後、通信システム10Aの動作は、ステップS3へ移行する。
【0171】
以後、外部から停止指示を受けるまで、図6に示すフローチャートは、繰り返し実行される。
【0172】
図7は、図6のステップS9Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図7を参照して、図6のステップS7またはステップ8の後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、式(3)によってt回目に無線装置3へ伝送するデータの総量Vを算出する(ステップS91)。
【0173】
そして、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、データの総量Vを用いて、式(1)によってt回目のデータ伝送においてアクセスポイント2-iに割り当てるデータ量(vi,t/V)Dを算出する(ステップS92)。
【0174】
そうすると、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]よりも大きいか否かを判定する(ステップS93)。
【0175】
ステップS93において、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]よりも大きいと判定されたとき、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、最大容量[amax -aj,t]を選択し、t回目のデータ伝送においてアクセスポイント2-iに割り当てられるデータ量di,tを最大のデータ割当量dmax i,t(=最大容量[amax -aj,t])とする(ステップS94)。
【0176】
一方、ステップS93において、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]よりも大きくないと判定されたとき(即ち、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]以下であると判定されたとき)、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、(vi,t/V)Dを選択し、データ量di,tをdi,t=(vi,t/V)Dとする(ステップS95)。
【0177】
そして、ステップS94またはステップS95の後、通信システム10Aの動作は、図6のステップS10へ移行する。
【0178】
図7に示すフローチャートにおいては、ステップS93~ステップS95は、式(11)によってデータ量di,tを算出することに相当する。
【0179】
図7に示すフローチャートによれば、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]よりも大きいとき、データ量di,tは、最大容量[amax -aj,t]に設定され(ステップS94参照)、データ量(vi,t/V)Dが最大容量[amax -aj,t]以下であるとき、データ量di,tは、di,t=(vi,t/V)Dに設定される(ステップS95参照)。
【0180】
従って、t回目のデータ伝送においてアクセスポイント2-iに割り当てられるデータ量di,tは、最大容量[amax -aj,t]以下となるので、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、図7に示すフローチャートによって、アクセスポイント2-iのバッファの最大容量amax を超えない最大のデータ量dmax i,tとして最大容量[amax -aj,t]をアクセスポイント2-iに割り当てる。
【0181】
そして、ステップS91~ステップS95は、i=1~nの全てについて実行されるので(図6のステップS10の“YES”参照)、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、アクセスポイント2-1~2-nの各々について、アクセスポイント2-iのバッファの最大容量amax を超えない最大のデータ量dmax i,tとして最大容量[amax -aj,t]をアクセスポイント2-iに割り当てることに相当する。
【0182】
図8は、図6のステップS15Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0183】
図8を参照して、図6のステップS14Aの後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、j=1を設定する(ステップS151)。ここで、jは、集合M’に含まれるアクセスポイントを示す引数である。
【0184】
ステップS151の後、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、式(13)によって、t回目に各アクセスポイント2-jに割り当てるデータの総量D(=更新されたD)を算出する(ステップS152)。
【0185】
そして、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、式(3)によってt回目に無線装置3へ伝送するデータの総量Vを算出する(ステップS153)。
【0186】
引き続いて、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、データの総量D,Vを式(1)に代入して、t回目のデータ伝送においてアクセスポイント2-jに割り当てるデータ量dj,tを算出する(ステップS154)。
【0187】
そうすると、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、j=n’であるか否かを判定する(ステップS155)。ここで、n’は、集合M’に含まれるアクセスポイントの総数である。
【0188】
ステップS155において、j=n’でないと判定されたとき、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、j=j+1を設定する(ステップS156)。その後、通信システム10Aの動作は、ステップS154へ移行し、ステップS155において、j=n’であると判定されるまで、ステップS154~ステップS156が繰り返し実行される。
【0189】
そして、ステップS155において、j=n’であると判定されると、通信システム10Aの動作は、図6のステップS13Aへ移行する。
【0190】
図6に示すフローチャート(図7および図8に示すフローチャートを含む)によれば、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、ステップS9A(=図7に示すフローチャート)をi=1~nの全てについて実行することによって、n個のアクセスポイント2-1~2-nにそれぞれ割り当てるn個のデータ量d1,t~dn,tを算出する。
【0191】
そして、n個のデータ量d1,t~dn,tは、それぞれ、最大容量[amax -a1,t]~[amax -an,t]以下となるので、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、ステップS9Aをi=1~nの全てについて実行することによって、アクセスポイント2-iのバッファの最大容量amax を超えない最大のデータ量(即ち、最大容量[amax -ai,t]以下のデータ量)をアクセスポイント2-iに割り当てることをn個のアクセスポイント2-1~2-nの全てについて実行する。
【0192】
また、図6に示すフローチャート(図7および図8に示すフローチャートを含む)によれば、ストリーム調整装置1Aの割当手段12Aは、図6のステップS13Aにおいて、集合N’が空集合であると判定するまで、ステップS14AとステップS15A(=図8に示すフローチャート)とを繰り返し実行するので、ステップS13Aにおいて、集合N’が空集合であると判定された時点においては、t回目のデータ伝送においてn個のアクセスポイント2-1~2-nに割り当てられるn個のデータ量d1,t~dn,tの全てが最大容量[amax -aj,t]または(vj,t/V)Dに設定されている場合と、t回目のデータ伝送においてn個のアクセスポイント2-1~2-nに割り当てられるn個のデータ量d1,t~dn,tのうちの一部が最大容量[amax -aj,t]または(vi,t/V)Dに設定され、かつ、n個のデータ量d1,t~dn,tの残りが式(1)および式(3)によって算出されたデータ量に設定されている場合とがある。
【0193】
[実施例3]
3個のアクセスポイントで無線装置3へデータを伝送する場合を例として、3個のアクセスポイントに割り当てられるデータ量について説明する。
【0194】
アクセスポイント2-i(i=1,2,3)と、バッファのt-1回目のデータ残量ai,t-1と、バッファのt回目のデータ残量ai,tと、バッファの最大容量amax との関係は、上記の表3と同じである。
【0195】
そして、t回目に送信するデータ量は、28000[kbyte]である。
【0196】
アクセスポイント2-1~2-3がt回目に無線装置3へ伝送できる想定データ量v1,tを式(2B)によって算出すると、次式のようになる。
【0197】
【数14】
【0198】
その結果、無線装置3へ伝送できるデータの総量Vは、V=v1,t+v2,t+v3,t=13000[kbyte]となる。
【0199】
そうすると、アクセスポイント2-1~2-3へ割り当てるデータ量di,tは、次式のようになる。
【0200】
【数15】
【0201】
アクセスポイント2-2は、データ配分後に最大容量(=amax -a2,t=2000[kbye])となるので、アクセスポイント2-2を除いた残りのアクセスポイント2-1,2-3で残りのデータ量を配分するように再計算する。即ち、伝送データの総量をD=D-d=26000[kbyte]に更新する。
【0202】
そして、アクセスポイント2-2を除外(d2,t=0,v2,t=0)してデータ配分量を再計算すると、V=v+v+v=12000[kbyte]となる。
【0203】
従って、各アクセスポイント1,3に割り当てるデータ量を次式によって算出する。
【0204】
【数16】
【0205】
そして、データ量d1,t,d3,tの和は、26000[kbyte]となり、更新した伝送データの総量(D=D-d=26000[kbyte])に一致する。
【0206】
実施の形態2においては、ストリーム調整装置1Aの動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0207】
この場合、ストリーム調整装置1Aは、CPU、ROMおよびRAMを備える。
【0208】
そして、ROMは、図6に示すフローチャート(図7および図8に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Bを記憶する。
【0209】
CPUは、ROMからプログラムProg_Bを読み出し、その読み出したプログラムProg_Bを実行してアクセスポイント2-1~2-nに割り当てるデータ量を算出し、その算出したデータ量を有するデータをアクセスポイント2-1~2-nへ送信する。RAMは、算出したデータ量等を一時的に記憶する。
【0210】
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行してアクセスポイント2-1~2-nに割り当てるデータ量を算出し、その算出したデータ量を有するデータをアクセスポイント2-1~2-nへ送信する。
【0211】
従って、プログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0212】
上述した実施の形態1,2によれば、この発明の実施の形態によるストリーム調整装置は、
連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置であって、
送信元からデータを受信する受信手段と、
受信手段によって受信されたデータをn個のアクセスポイントに割り当てる割当手段とを備え、
割当手段は、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例してi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行するものであればよい。
【0213】
ストリーム調整装置が、このような構成を備えていれば、割当手段が、アクセスポイントの前回の送信データ量に比例してアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出し、その算出した割当データ量を有するデータをアクセスポイントに割り当てることをn個のアクセスポイントの全てについて実行するので、n個のアクセスポイントは、ストリーム調整装置から割り当てられたn個のデータをそれぞれ連携して無線装置3へ送信できる。その結果、無線リソースを有効に活用できるからである。
【0214】
また、上述した実施の形態1,2によれば、この発明の実施の形態によるコンピュータに実行させるためのプログラムは、
連携して送信先の無線装置へデータを送信するn(nは、2以上の整数)個のアクセスポイントとバックホール回線を介して接続されたストリーム調整装置においてコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
受信手段が、送信元からデータを受信する第1のステップと、
割当手段が、第1のステップにおいて受信手段によって受信されたデータをn個のアクセスポイントに割り当てる第2のステップとをコンピュータに実行させ、
割当手段は、第2のステップにおいて、i(iは、1~nである)番目のアクセスポイントの前回の送信データ量に比例してi番目のアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出することをn個のアクセスポイントの全てについて実行してn個のアクセスポイントに割り当てるn個の割当データ量を算出し、その算出したn個の割当データ量をそれぞれ有するn個のデータをそれぞれn個のアクセスポイントに割り当てる割当処理を実行するものであればよい。
【0215】
プログラムが第1のステップおよび第2のステップをコンピュータに実行させれば、割当手段が、アクセスポイントの前回の送信データ量に比例してアクセスポイントに割り当てるデータ量である割当データ量を算出し、その算出した割当データ量を有するデータをアクセスポイントに割り当てることをn個のアクセスポイントの全てについて実行するので、n個のアクセスポイントは、ストリーム調整装置から割り当てられたn個のデータをそれぞれ連携して無線装置3へ送信できる。その結果、無線リソースを有効に活用できるからである。
【0216】
この発明の実施の形態においては、アクセスポイント2-1~2-nにおけるデータ残量D_RA_1~D_RA_nをアクセスポイント2-1~2-nから受信する割当手段12は、「取得手段」を構成する。
【0217】
また、この発明の実施の形態においては、di,tは、「割当データ量」を構成する。
【0218】
更に、この発明の実施の形態においては、n個のai,t(i=1~n)は、t(tは、1以上の整数)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のアクセスポイントのn個のバッファにおけるデータ残量である「送信時データ残量」を構成する。
【0219】
更に、この発明の実施の形態においては、n個のai,t-1(i=1~n)は、(t-1)回目にデータを送信先の無線装置へ送信する前のn個のバッファにおけるデータ残量である「n個の前回データ残量」を構成する。
【0220】
更に、この発明の実施の形態においては、n個のdi,t-1(i=1~n)は、(t-1)回目にn個のアクセスポイントに割り当てた「n個の前回割当データ量」を構成する。
【0221】
更に、この発明の実施の形態においては、“amax -a”は、「アクセスポイント2-iのバッファの最大容量を超えない最大のデータ量」を構成する。
【0222】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0223】
この発明は、ストリーム調整装置、それを備える通信システムおよびコンピュータに実行させるためのプログラムに適用される。
【符号の説明】
【0224】
1,1A ストリーム調整装置、2-1~2-n アクセスポイント、3 無線装置、10,10A 通信システム、11 受信手段、12,12A 割当手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8