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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134710
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】インクジェットシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240927BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20240927BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F3/12 373
B41J2/01
B41J2/01 401
G06F3/12 335
G06F3/12 385
G06Q30/0207
G06Q50/10
G06F3/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045050
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智良
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 暁良
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
【テーマコード(参考)】
2C056
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC26
2C056EC42
5L030BB07
5L049BB07
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】記録動作に関する記録動作情報の収集を容易にすること。
【解決手段】インクジェットシステムは、インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、前記記録装置と接続し、前記記録装置に前記記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、前記サーバーは、前記記録動作を前記記録装置に実行させるユーザーを認証し、前記記録動作に関する記録動作情報を、前記記録装置、前記処理装置、又は、前記ユーザーが使用する端末装置から取得し、前記記録動作情報の一部の情報又は全部の情報を含む契機情報に基づいて、1又は複数の特典を示す特典情報を決定し、前記ユーザーに対して前記特典情報が示す1又は複数の特典を付与する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、
前記記録装置と接続し、前記記録装置に前記記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、
前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、
前記サーバーは、
前記記録動作を前記記録装置に実行させるユーザーを認証し、
前記記録動作に関する記録動作情報を、前記記録装置、前記処理装置、又は、前記ユーザーが使用する端末装置から取得し、
前記記録動作情報の一部の情報又は全部の情報を含む契機情報に基づいて、1又は複数の特典を示す特典情報を決定し、
前記ユーザーに対して前記特典情報が示す1又は複数の特典を付与する、
ことを特徴とするインクジェットシステム。
【請求項2】
前記記録動作情報は、前記記録動作時の前記ヘッドユニットの使用環境における条件に関する条件情報を含み、
前記サーバーは、
前記条件情報に基づいて、前記記録動作を制御するための制御情報を前記記録装置又は前記処理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項3】
前記ヘッドユニットは、駆動素子を有し、
前記制御情報は、前記駆動素子に印加する駆動信号に関する情報である、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、画像データに画像処理を実行することにより、前記記録動作に用いる記録データを生成し、
前記制御情報は、前記画像処理に関する情報である、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項5】
前記記録動作情報は、
前記制御情報に基づき前記記録動作を実行したときの前記ヘッドユニットの吐出特性に関する特性情報と、
前記制御情報に基づき前記記録動作を実行したときの前記ユーザーの評価に関する評価情報と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項6】
前記契機情報は、前記条件情報と、前記特性情報と、前記評価情報と、の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェットシステム。
【請求項7】
前記契機情報は、前記条件情報と前記特性情報とを少なくとも含み、
前記サーバーは、前記条件情報よりも前記特性情報に重み付けをして前記特典情報を決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットシステム。
【請求項8】
前記契機情報は、前記条件情報と前記評価情報とを少なくとも含み、
前記サーバーは、前記条件情報よりも前記評価情報に重み付けをして前記特典情報を決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットシステム。
【請求項9】
前記契機情報は、前記特性情報と前記評価情報とを少なくとも含み、
前記サーバーは、前記評価情報よりも前記特性情報に重み付けをして前記特典情報を決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットシステム。
【請求項10】
前記契機情報は、前記ユーザーによる前記ヘッドユニットの購入履歴に関する購入履歴情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項11】
前記契機情報は、前記ユーザーによる別のユーザーの紹介履歴に関する紹介履歴情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項12】
前記特典情報を決定する処理は、
前記契機情報に基づいて、前記ユーザーが前記インクジェットシステムに貢献した度合いを示す点数を算出し、
前記点数が大きくなることに応じて大きな特典となるように、前記特典情報を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項13】
前記記録装置、前記処理装置、及び、前記端末装置のうちいずれかの第1装置は、画像を表示する表示装置を有し、
前記第1装置は、
前記特典情報を前記サーバーから受信し、
前記特典情報が示す1又は複数の特典を前記ユーザーが認識可能な画像を前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項14】
前記記録装置、前記処理装置、及び、前記端末装置のうちいずれかの第1装置は、前記ユーザーの操作を示す操作情報を受け付ける入力装置を有し、
前記特典情報を決定する処理は、
前記契機情報に基づいて、前記ユーザーに付与する特典の候補である複数の特典を示す特典候補情報を生成し、
前記特典候補情報を前記第1装置に送信し、
前記特典候補情報が示す複数の特典のうち、前記入力装置によって前記ユーザーが選択した1又は複数の特典を示す選択情報を前記第1装置から受信し、
前記選択情報を前記特典情報として決定する、 ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項15】
前記特典情報が示す1又は複数の特典は、前記ヘッドユニットとは異なるヘッドユニットを購入するときに関する第1特典を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項16】
前記特典情報が示す1又は複数の特典は、前記ヘッドユニットとは異なるヘッドユニットの保証に関する第2特典を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項17】
前記記録動作情報は、前記記録動作時の前記ヘッドユニットの使用環境における条件に関する条件情報を含み、
前記サーバーは、前記条件情報に基づいて、前記記録動作を制御するための1以上の制御情報を前記記録装置又は前記処理装置に送信し、
前記特典情報が示す1又は複数の特典は、前記条件情報に基づいて前記サーバーから送信される前記1以上の制御情報の数に関する第3特典を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項18】
前記特典情報が示す1又は複数の特典は、前記ヘッドユニットの寿命を判定するための方法に関する第4特典を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項19】
前記特典情報が示す1又は複数の特典は、前記インクジェットシステムとは異なるシステムが提供するサービスに関する第5特典を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項20】
前記記録動作情報は、前記条件情報を少なくとも含み、
前記サーバーは、前記記録動作時の前記ヘッドユニットの使用環境における条件に関する条件情報の履歴を有する条件情報履歴情報を記憶する記憶装置にアクセス可能であり、
前記特典情報を決定する処理は、
前記記録動作情報に含まれる前記条件情報と同一の情報が前記条件情報履歴情報に含まれない場合の特典の大きさが、前記記録動作情報に含まれる前記条件情報と同一の情報が前記条件情報履歴情報に含まれる場合の特典の大きさよりも大きくなるように、前記特典情報を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクを吐出するヘッドユニットが装着され、印刷用紙等の記録媒体に対して記録動作を実行するインクジェットプリンター等の記録装置が提供されている。例えば、特許文献1には、インクを吐出するために、ヘッドユニットに設けられた駆動素子に、駆動信号が有する波形を印加する記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-84388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術に対して、記録装置、及び、データ処理を実行する処理装置のいずれかとサーバーとを接続し、記録動作の結果を向上させるため、サーバーが、記録動作に関する記録動作情報を収集することが考えられる。しかしながら、上述した従来技術では、記録装置及び処理装置の一方又は両方を使用するユーザーには、記録動作情報をサーバーに送信する必要性がないため、サーバーは、記録動作情報の収集が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るインクジェットシステムは、インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、前記記録装置と接続し、前記記録装置に前記記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、前記サーバーは、前記記録動作を前記記録装置に実行させるユーザーを認証し、前記記録動作に関する記録動作情報を、前記記録装置、前記処理装置、又は、前記ユーザーが使用する端末装置から取得し、前記記録動作情報の一部の情報又は全部の情報を含む契機情報に基づいて、1又は複数の特典を示す特典情報を決定し、前記ユーザーに対して前記特典情報が示す1又は複数の特典を付与する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図。
図2】サーバー300の構成の一例を示す図。
図3】携帯端末700の構成を示す図。
図4】処理装置200の構成を示す図。
図5】インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図。
図6】インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図。
図7】ヘッドチップ111の構成例を示す断面図。
図8】インクジェットシステム10の機能を示す図。
図9】インクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートを示す図。
図10】インクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートを示す図。
図11】インクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートを示す図。
図12】アカウント認証画面AWの一例を示す図。
図13】条件情報入力画面UW1の一例を示す図。
図14】確認ダイアログUW2の一例を示す図。
図15】制御情報CIの生成例を説明するための図。
図16】記録動作実行画面CWの一例を示す図。
図17】特性情報取得画面TWの一例を示す図。
図18】評価情報取得画面HWの一例を示す図。
図19】記録動作情報データベースPDBの内容の一例を示す図。
図20】特典情報PRIの決定例を説明するための図。
図21】第1変形例に係る制御情報CIの一例を説明するための図。
図22】第1変形例に係る記録動作実行画面CWAの一例を示す図。
図23】第2変形例に係るインクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートを示す図。
図24】特典選択画面SWの一例を示す図。
図25】第5変形例における記録動作情報PDIと契機情報TRIとを説明するための図。
図26】第6変形例に係る決定部307を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.第1実施形態
1-1.インクジェットシステム10の概要
図1は、第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図である。インクジェットシステム10は、インクジェット方式により、後述する記録媒体PPに対して記録を行うシステムである。図1に示す例では、インクジェットシステム10は、インクジェットプリンター100_1~100_3と処理装置200_1~200_3とサーバー300と携帯端末700とを有する。
【0009】
ここで、インクジェットプリンター100_1~100_3は、インクジェットプリンター100_1~100_3のメーカーが提供する装置である。以下の記載では、インクジェットプリンター100_1~100_3のそれぞれを区別せずに、インクジェットプリンター100と総称することがある。インクジェットプリンター100は、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出装置である。インクジェットプリンター100のメーカーは、インクジェットプリンター100を製造する業者である。インクジェットプリンター100のメーカーを、「プリンターメーカー」と記載することがある。インクジェットプリンター100_1~100_3のそれぞれは、同一のプリンターメーカーによって提供されてもよいし、異なるプリンターメーカーによって提供されてもよい。但し、インクジェットプリンター100_1~100_3に組み込まれるヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUのメーカーが提供する。ヘッドユニットHUのメーカーは、ヘッドユニットHUを製造する業者である。以下、ヘッドユニットHUのメーカーを、「ヘッドメーカー」と記載することがある。プリンターメーカーは、ヘッドメーカーからヘッドユニットHUの提供を受け、提供されたヘッドユニットHUをインクジェットプリンター100に組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造する。インクジェットプリンター100は、「記録装置」の一例である。
【0010】
図1には、インクジェットプリンター100_1を使用するユーザーU_1と、インクジェットプリンター100_2を使用するユーザーU_2と、インクジェットプリンター100_3を使用するユーザーU_3と、を示してある。以下の記載では、ユーザーU_1~U_3のそれぞれを区別せずにユーザーUと総称することがある。ユーザーUは、例えば、プリンターメーカーに属する作業者がインクジェットプリンター100を使用する場合、この作業者がユーザーUである。また、例えば、プリンターメーカーからインクジェットプリンター100の提供を受けた第三者がインクジェットプリンター100を使用する場合、この第三者がユーザーUである。以下の記載では、プリンターメーカーからインクジェットプリンター100の提供を受けた第三者を、「エンドユーザー」と記載することがある。1から3までのそれぞれの整数iについて、ユーザーU_iは、インクジェットプリンター100_iに加えて、処理装置200_iを使用する。
【0011】
インクジェットプリンター100_1は、処理装置200_1に通信可能に接続される。インクジェットプリンター100_2は、処理装置200_2に通信可能に接続される。インクジェットプリンター100_3は、処理装置200_3に通信可能に接続される。このように、インクジェットプリンター100_1~100_3は、処理装置200_1~200_3にそれぞれ対応しており、処理装置200_1~200_3に通信可能に接続される。以下の記載では、処理装置200_1~200_3のそれぞれを区別せずに、処理装置200と総称することがある。
【0012】
また、以下では、1から3までのそれぞれの整数iについて、記録システム20_iを記載することがある。記録システム20_iは、インクジェットプリンター100_iと処理装置200_iとを少なくとも含む。以下の記載では、記録システム20_1~20_3のそれぞれを区別せずに、記録システム20と総称することがある。インクジェットシステム10は、記録システム20_1~20_3と、サーバー300とを有するとも言える。図1の例では、記録システム20_1は、インクジェットプリンター100_1と、処理装置200_1とを有する。記録システム20_2は、インクジェットプリンター100_2と、処理装置200_2とを有する。記録システム20_3は、インクジェットプリンター100_3と、処理装置200_3と、携帯端末700とを有する。
【0013】
なお、図1に示す例では、インクジェットシステム10が有するインクジェットプリンター100及び処理装置200のそれぞれの数が3個であるが、当該数は、これに限定されず、1個、2個又は4個以上でもよい。すなわち、インクジェットプリンター100及び処理装置200の組は、3組に限定されず、1組、2組又は4組以上でもよい。
【0014】
インクジェットプリンター100は、処理装置200から、記録処理を実行させる記録ジョブJBを受け付ける。記録ジョブJBは、当該記録ジョブJBを一意に識別する不図示の識別情報と、記録媒体PPに形成される画像を示す記録データDPとを含む。更に、記録ジョブJBは、記録媒体PPに形成される画像の印刷部数を示す情報を含んでもよい。記録ジョブJBは、ユーザーUの操作によって記録指示PIが処理装置200に通知された場合に、処理装置200によって生成される。記録指示PIは、記録データDPの元となる画像データを識別する情報を含む。画像データは、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式のデータである。PDFは、Portable Document Formatの略称である。XPSは、XML Paper Specificationの略称である。画像データを識別する情報は、例えば、処理装置200内に記憶された画像データのファイルパスである。インクジェットプリンター100は、記録データDPに基づく画像を、記録媒体PPに形成する。
【0015】
なお、図1の例では、ユーザーU_1がインクジェットプリンター100_1を操作した結果、インクジェットプリンター100_1が記録指示PIを処理装置200_1に通知しているが、これに限らない。例えば、ユーザーU_1が処理装置200_1を操作した場合、処理装置200_1が記録指示PIを生成し、処理装置200_1が、生成した記録指示PIに基づいて記録ジョブJBを生成してもよい。
【0016】
記録媒体PPは、インクジェットプリンター100が印刷可能な媒体であれば特に限定されず、例えば、各種紙、各種布又は各種フィルム等である。
【0017】
インクジェットプリンター100は、1個のヘッドユニットHUを有する。以下の記載において、ヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUに設けられたノズルNzからインクを吐出する。以下では、インクジェットプリンター100を構成する要素のうちヘッドユニットHUを除く要素を「プリンター本体」という場合がある。
【0018】
なお、図1に示す例では、インクジェットプリンター100は1個のヘッドユニットHUを有するが、ヘッドユニットHUの個数は1個に限定されず、2個以上でもよい。
【0019】
処理装置200は、デスクトップ型又はノート型等のコンピューターである。処理装置200は、記録データDPを生成する画像処理と、インクジェットプリンター100による印刷を制御する処理と、を実行する。画像処理において、処理装置200は、例えば、上述したように、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式の画像データに対して、色変換処理及びRIP処理等の各種処理を実行することにより、記録データDPを生成する。RIPは、Raster image processorの略称である。ファイル形式の画像データは、例えば、ユーザーUが記録動作の対象に指示したデータである。色変換処理は、ファイル形式の画像データで表現されるRGB値を、ルックアップテーブルを参照して、インクジェットプリンター100が使用するインクの色であるCMYK値又はCMY値等に変換する処理である。以下の記載では、CMY値に変換する例を用いて説明を行う。ルックアップテーブルには、RGB値とCMY値との対応関係が規定されている。RIP処理は、ディザパターンを示す情報及び誤差拡散マトリクスを示す情報を用いて、インクジェットプリンター100で印刷可能なデータである記録データDPを生成する処理である。
【0020】
携帯端末700は、スマートフォン、タブレット端末等といった、ユーザーUに使用される携帯型の端末である。図1の例では、携帯端末700は、ユーザーU_3によって操作される。なお、携帯端末700が、「端末装置」の一例である。但し、端末装置は、携帯端末700のような携帯型の端末に限られず、例えば、ノート型のコンピューターでもよい。
【0021】
処理装置200は、LAN、WAN、及び、インターネット等のネットワークNWを介してサーバー300に通信可能に接続される。LANは、Local Area Networkの略称である。WANは、Wide Area Networkの略称である。
【0022】
サーバー300は、後述するクラウドサーバーCSとして機能するコンピューターである。サーバー300は、例えば、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、及び、エンドユーザーとは異なる事業者によって管理される。以下、サーバー300を管理する事業者を、「サーバー事業者」と記載することがある。ヘッドメーカーは、サーバー300の一部を利用する。
【0023】
1-2.サーバー300の構成
図2は、サーバー300の構成の一例を示す図である。サーバー300は、制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とを有する。制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とは、情報を通信するためのバス390により相互に接続される。
【0024】
制御回路310は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。CPUは、Central Processing Unitの略称である。なお、制御回路310は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0025】
記憶回路320は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路320は、制御回路310が読取可能であり、制御回路310が実行する仮想化プログラムVM及び制御プログラムPM1を含む複数のプログラム、及び、制御回路310が使用する各種の情報などを記憶する。仮想化プログラムVMは、サーバー300の制御回路310及び記憶回路320といったリソースを複数に分割し、分割したリソースのそれぞれを仮想サーバーとして動作させる。ヘッドメーカーは、サーバー300の一部として、複数の仮想サーバーのうち1つの仮想サーバーをクラウドサーバーCSとして利用する。制御プログラムPM1は、ヘッドメーカーによって開発される。
【0026】
但し、記憶回路320が仮想化プログラムVMを有さなくてもよく、処理装置200は、クラウドサーバーCSの替わりにサーバー300にアクセスしてもよい。
【0027】
通信装置380は、ネットワークNWを介して記録システム20内の各装置等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置380は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0028】
1-3.携帯端末700の構成
図3は、携帯端末700の構成を示す図である。携帯端末700は、制御回路710と、記憶回路720と、通信装置730と、入力装置760と、表示装置270と、撮像装置780と、を有する。制御回路710と、記憶回路720と、通信装置730と、入力装置760と、表示装置770と、撮像装置780とは、情報を通信するためのバス790により相互に接続される。
【0029】
制御回路710は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路710は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0030】
記憶回路720は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路720は、制御回路710が読取可能であり、制御回路710が実行するプログラム、及び、制御回路710が使用する各種の情報などを記憶する。記憶回路720は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。
【0031】
通信装置730は、ネットワークNWを介してサーバー300等の他の装置と無線通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。
【0032】
入力装置760は、ユーザーUの操作に応じた操作情報を出力するデバイスである。入力装置760は、例えば、キーボードである。
【0033】
表示装置770は、何らかの情報を示す画像をユーザーUに表示する。表示装置770は、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及び、LCDである。ELは、Electro-Luminescenceの略称である。LEDは、Light Emitting Diodeの略称である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略称である。また、入力装置760及び表示装置770が一体である構成でもよい。入力装置760及び表示装置770が一体である構成は、例えば、タッチパネルである。
【0034】
撮像装置780は、例えば、撮像光学系及び撮像素子を有する。撮像光学系は、少なくとも1つの撮像レンズを含む光学系であり、プリズム等の各種の光学素子を含んでもよいし、ズームレンズ又はフォーカスレンズ等を含んでもよい。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーである。CCDは、Charge Coupled Deviceの略である。CMOSは、Complementary MOSである。
【0035】
1-4.処理装置200の構成
図4は、処理装置200の構成を示す図である。処理装置200は、制御回路210と、記憶回路220と、通信装置230と、入力装置260と、表示装置270とを有する。制御回路210と、記憶回路220と、通信装置230と、入力装置260と、表示装置270とは、情報を通信するためのバス290により相互に接続される。
【0036】
制御回路210は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路210は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0037】
記憶回路220は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路220は、制御回路210が読取可能であり、制御回路210が実行するインクジェットプログラムPM2を含む複数のプログラム、及び、制御回路210が使用する各種の情報などを記憶する。記憶回路220は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。インクジェットプログラムPM2は、例えば、処理装置200がインクジェットプリンター100に接続した場合に、サーバー300上で動作するクラウドサーバーCSからダウンロードされ、処理装置200にインストールされる。
【0038】
通信装置230は、ネットワークNWを介して処理装置200と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置230は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0039】
通信装置240は、インクジェットプリンター100と通信可能な回路である。例えば、通信装置240は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。USBは、Universal Serial Busの略称である。USB及びBluetoothは、登録商標である。一般的に、処理装置200とサーバー300との通信速度は、処理装置200とインクジェットプリンター100との通信速度よりも遅い。
【0040】
入力装置260は、ユーザーUの操作に応じた操作情報を出力するデバイスである。入力装置260は、例えば、マウス及びキーボードである。
【0041】
表示装置270は、何らかの情報を示す画像をユーザーUに表示する。表示装置270は、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及び、LCDである。ELは、Electro-Luminescenceの略称である。LEDは、Light Emitting Diodeの略称である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略称である。また、入力装置260及び表示装置270が一体である構成でもよい。入力装置260及び表示装置270が一体である構成は、例えば、タッチパネルである。
【0042】
1-5.インクジェットプリンター100の構成
図5は、インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図である。図6は、インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図である。以下の説明では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記し、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方に相当する。
【0043】
第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、マルチパス方式により記録媒体PPに画像を形成するシリアルプリンターである。マルチパス方式とは、複数回の走査によって記録媒体PPに画像を形成させることを言う。具体的には、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、図5に示すように、インクジェットプリンター100は、副走査方向であるY1方向に記録媒体PPを搬送し主走査方向であるX1方向及びX2方向にヘッドユニットHUを移動させつつ、ノズルNzからインクを吐出することで、記録媒体PPに画像を形成する記録動作を実行する。図5では、ヘッドユニットHUが有する複数のノズルNzのうちの一部のノズルNzが代表的に図示される。
【0044】
図5及び図6に示すように、インクジェットプリンター100は、ヘッドユニットHUと、液体容器120と、移動機構130と、搬送機構140と、通信装置150と、記憶回路160と、制御回路170と、を有する。
【0045】
ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111と駆動回路112と電源回路113と駆動信号生成回路114とを有するアセンブリーである。
【0046】
図5に示す例では、ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111及び駆動回路112を含む液体吐出ヘッド110aと、電源回路113及び駆動信号生成回路114を含む制御モジュール110bと、に区分される。なお、ヘッドユニットHUは、液体吐出ヘッド110aと制御モジュール110bに区分される態様に限定されず、例えば、制御モジュール110bの一部又は全部が液体吐出ヘッド110aに組み込まれてもよい。
【0047】
ヘッドチップ111は、インクを記録媒体PPに向けて吐出する。図5では、ヘッドチップ111の構成要素のうち、複数の駆動素子111fが代表的に図示される。なお、ヘッドチップ111の詳細の一例については、後に図7に基づいて説明する。
【0048】
図6に示す例では、ヘッドユニットHUが有するヘッドチップ111の数が1個であるが、当該数は、2個以上でもよい。記録媒体PPの幅方向の一部にわたり複数のノズルNzが分布するように、1個以上のヘッドチップ111が配置される。
【0049】
駆動回路112は、制御回路170による制御のもと、ヘッドチップ111の有する複数の駆動素子111fのそれぞれについて、駆動信号生成回路114から出力される駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。駆動回路112は、例えば、当該切り替えのためのトランスミッションゲート等のスイッチ群を含む。
【0050】
電源回路113は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、インクジェットプリンター100の各部に適宜に供給される。図6に示す例では、電源回路113は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドチップ111等に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路114等に供給される。
【0051】
駆動信号生成回路114は、ヘッドチップ111の有する各駆動素子111fを駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路114は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路114では、当該DA変換回路が制御回路170からの後述の波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路113からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することにより駆動信号Comを生成する。
【0052】
図5に例示される通り、インクジェットプリンター100には、インクを貯留する液体容器120が設置される。例えばインクジェットプリンター100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンクが、液体容器120として利用される。
【0053】
移動機構130及び搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPとヘッドユニットHUとの相対的な位置を移動させる。相対的な位置を移動とは、記録媒体PPの位置を固定したままヘッドユニットHUを移動させてもよいし、ヘッドユニットHUの位置を固定したまま記録媒体PPを移動させてもよい。本実施形態では、主走査方向であるX軸に沿う方向に対しては、記録媒体PPのX軸における位置を固定したままヘッドユニットHUをX軸に沿う方向に移動させ、副走査方向であるY1方向に対しては、ヘッドユニットHUのY軸に沿う方向の位置を固定したまま記録媒体PPをY1方向に移動させる。
【0054】
移動機構130は、制御回路170の制御のもと、ヘッドユニットHUをX軸に沿って往復させる。図5に示すように、移動機構130は、ヘッドユニットHUを収容する略箱型のキャリッジ131と、ヘッドユニットHUが固定された無端ベルト132とを具備する。なお、液体容器120をヘッドユニットHUとともにキャリッジ131に搭載した構成も採用され得る。
【0055】
搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPをY1方向に搬送する。具体的には、搬送機構140は、回転軸がX軸に平行な不図示の搬送ローラーと、搬送ローラーを制御回路170による制御のもとで回転させる不図示のモーターとを具備する。
【0056】
通信装置150は、処理装置200と通信可能な回路である。例えば、通信装置150は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。また、通信装置150は、制御回路170と一体でもよい。
【0057】
記憶回路160は、制御回路170が実行する各種プログラムと、制御回路170が処理する記録ジョブJB等の各種データと、を記憶する。記憶回路160は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路160は、制御回路170の一部として構成されてもよい。
【0058】
制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。制御回路170は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路170は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0059】
制御回路170は、記憶回路160に記憶されるプログラムを実行することにより、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する。ここで、制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk1、制御信号Sk2、印刷信号SI及び波形指定信号dCom等の信号を生成する。
【0060】
制御信号Sk1は、移動機構130の駆動を制御するための信号である。制御信号Sk2は、搬送機構140の駆動を制御するための信号である。印刷信号SIは、駆動回路112の駆動を制御するための信号である。具体的には、印刷信号SIは、駆動回路112が駆動信号生成回路114からの駆動信号Comを駆動素子111fに対して供給するか否かを所定の単位期間ごとに指定する。この指定により、ヘッドチップ111から吐出されるインク量等が指定される。波形指定信号dComは、駆動信号生成回路114で生成される駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。
【0061】
記録動作が実行される場合、制御回路170は、まず、処理装置200から供給される記録ジョブJBを、記憶回路160に記憶させる。次に、制御回路170は、記憶回路160に記憶されている記録ジョブJBに含まれる記録データDP等の各種データに基づいて、印刷信号SI、波形指定信号dCom、制御信号Sk1、及び、制御信号Sk2等の各種制御信号を生成する。そして、制御回路170は、各種制御信号と、記憶回路160に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドユニットHUに対する記録媒体PPの相対位置を変化させるように搬送機構140及び移動機構130を制御しつつ、駆動素子111fが駆動されるようにヘッドユニットHUを制御する。これにより、制御回路170は、駆動素子111fからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、記録データDPに基づく画像を記録媒体PPに形成する記録動作の実行を制御する。
【0062】
図7は、ヘッドチップ111の構成例を示す断面図である。以下の説明は、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸を適宜に用いる。以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向及びY2方向である。Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向及びZ2方向である。
【0063】
図5及び図7に示すように、ヘッドチップ111は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNzを有する。図5に示すように、当該複数のノズルNzは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1及び第2列L2のそれぞれは、Y軸に沿う方向に直線状に配列される複数のノズルNzの集合である。
【0064】
ヘッドチップ111は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、第1列L1の複数のノズルNzと第2列L2の複数のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。図7では、第1列L1の複数のノズルNzと第2列L2の複数のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0065】
図7に示すように、ヘッドチップ111は、流路基板111aと圧力室基板111bとノズル板111cと吸振体111dと振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとを有する。
【0066】
流路基板111a及び圧力室基板111bは、この順でZ1方向に積層されており、複数のノズルNzにインクを供給するための流路を形成する。流路基板111a及び圧力室基板111bからなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル板111cと吸振体111dとが設置される。ヘッドチップ111の各要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により、互いに接合される。以下、ヘッドチップ111の各要素を順に説明する。
【0067】
ノズル板111cは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれの複数のノズルNzが設けられた板状部材である。複数のノズルNzのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔である。ここで、ノズル板111cのZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズル板111cは、例えば、ドライエッチング又はウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル板111cの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。また、ノズルNzの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形又は楕円形等の非円形状であってもよい。
【0068】
流路基板111aには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R1と複数の供給流路Raと複数の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Ra及び連通流路Naのそれぞれは、ノズルNzごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0069】
圧力室基板111bは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、キャビティと称される複数の圧力室CVが設けられた板状部材である。複数の圧力室CVは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室CVは、ノズルNzごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。流路基板111a及び圧力室基板111bそれぞれは、前述のノズル板111cと同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、流路基板111a及び圧力室基板111bのそれぞれの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。
【0070】
圧力室CVは、流路基板111aと振動板111eとの間に位置する空間である。第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、複数の圧力室CVがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室CVは、連通流路Na及び供給流路Raのそれぞれに連通する。従って、圧力室CVは、連通流路Naを介してノズルNzに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0071】
圧力室基板111bのZ1方向を向く面には、振動板111eが配置される。振動板111eは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板111eは、例えば、第1層と第2層とを有し、これらがこの順でZ1方向に積層される。第1層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成される弾性膜である。当該弾性膜は、例えば、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。第2層は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成される絶縁膜である。当該絶縁膜は、例えば、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、当該層を熱酸化することにより形成される。なお、振動板111eは、前述の第1層及び第2層の積層による構成に限定されず、例えば、単層で構成されてもよいし、3層以上で構成されてもよい。
【0072】
振動板111eのZ1方向を向く面には、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、互いにノズルNzに対応する複数の駆動素子111fが配置される。各駆動素子111fは、駆動信号Comの供給により変形する受動素子である。各駆動素子111fは、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。複数の駆動素子111fは、複数の圧力室CVに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。駆動素子111fは、平面視で圧力室CVに重なる。
【0073】
各駆動素子111fは、圧電素子であり、図示しないが、第1電極と圧電体層と第2電極とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。第1電極及び第2電極のうちの一方の電極は、駆動素子111fごとに互いに離間して配置される個別電極であり、当該一方の電極には、駆動信号Comが供給される。第1電極及び第2電極のうちの他方の電極は、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極であり、当該他方の電極には、オフセット電位VBSが供給される。これらの電極の金属材料としては、例えば、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)等の金属材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独で又は2種以上を合金又は積層等の態様で組み合わせて用いることができる。圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料で構成されており、例えば、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状をなす。ただし、圧電体層は、複数の駆動素子111fにわたり一体でもよい。この場合、圧電体層には、互いに隣り合う各圧力室CVの間隙に平面視で対応する領域に、当該圧電体層を貫通する貫通孔がX軸に沿う方向に延びて設けられる。以上の駆動素子111fの変形に連動して振動板111eが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動することで、インクがノズルNzから吐出される。
【0074】
保護板111gは、振動板111eのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の駆動素子111fを保護するとともに振動板111eの機械的な強度を補強する。ここで、保護板111gと振動板111eとの間には、複数の駆動素子111fが収容される。保護板111gは、例えば、樹脂材料で構成される。
【0075】
ケース111hは、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するための部材である。ケース111hは、例えば、樹脂材料で構成される。ケース111hには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R2が設けられる。空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース111hには、各リザーバーRにインクを供給するための導入口IHが設けられる。各リザーバーR内のインクは、各供給流路Raを介して圧力室CVに供給される。
【0076】
吸振体111dは、コンプライアンス基板とも称され、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内のインクの圧力変動を吸収する。なお、吸振体111dは、金属製の可撓性を有する薄板であってもよい。吸振体111dのZ1方向を向く面は、流路基板111aに接着剤等により接合される。
【0077】
配線基板111iは、振動板111eのZ1方向を向く面に実装されており、ヘッドチップ111と駆動回路112及び制御モジュール110b等とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板111iは、例えば、COF、FPC又はFFC等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板111iには、前述の駆動回路112が実装される。COFは、Chip On Filmの略称である。FPCは、Flexible Printed Circuitの略称である。FFCは、Flexible Flat Cableの略称である。
【0078】
1-6.適切な制御情報CIの提供について
ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドユニットHUを提供し、プリンターメーカーは、プリンター本体にヘッドユニットHUを組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造するというビジネスモデルが存在する。このビジネスモデルにおいて、プリンターメーカーは、ヘッドユニットHU以外を設計及び製造することが一般的である。また、このビジネスモデルでは、プリンターメーカー及びエンドユーザーに応じて記録動作時のヘッドユニットHUの使用環境における条件が異なる。以下、記録動作時のヘッドユニットHUの使用環境における条件を、「使用条件」と記載することがある。また、説明の簡略化のため、プリンターメーカー及びエンドユーザーを区別せずに、「ヘッドユーザー」と記載することがある。
【0079】
使用条件は、例えば、ヘッドユニットHUが吐出するインクの種類、ヘッドユニットHUが画像を形成する記録媒体PPの種類、ヘッドユニットHUの型番、及び、ヘッドユニットHUの環境温度等である。ヘッドメーカーは、ヘッドユーザーの使用条件を知らないため、ヘッドメーカーがインクジェットプリンターを製造するビジネスモデルのように、インクジェットプリンターに、使用条件に応じた適切な制御情報CIを記憶させておくことができない。制御情報CIは、インクジェットプリンター100の記録動作を制御するための情報である。制御情報CIは、例えば、駆動素子111fに供給される駆動信号Comに関する情報、及び、記録データDPを生成するデータ処理である画像処理に関する情報の一方又は両方である。本実施形態では、制御情報CIは、駆動信号Comに関する情報であるとして説明する。適切な制御情報CIを用いないと、吐出特性が低下することがある。吐出特性は、インクの吐出量、インクの吐出安定性のうち1つ又は複数である。ヘッドユーザーは、自らの使用条件に応じて制御情報CIを探索する必要があり、ヘッドユーザーの負荷を著しく増加させる。
【0080】
そこで、記録システム20とクラウドサーバーCSとを接続可能とし、ヘッドメーカーが、クラウドサーバーCS内に、複数の使用条件に応じた制御情報CIを記憶するデータベースを有するシステムを構築することが考えられる。このシステムにおいて、記録システム20が、使用条件に関する条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信し、クラウドサーバーCSは、条件情報UIに応じた制御情報CIを記録システム20に送信する。このシステムによれば、ヘッドメーカーとヘッドユーザーが異なる場合であっても、ヘッドユーザーの負荷を低減しつつ、適切な制御情報CIを提供できるので、吐出特性を維持できる。
【0081】
しかしながら、上述のシステムを提供するにあたり、以下の問題が生じることがわかった。ヘッドユーザーの使用条件は、ヘッドメーカーが想定する使用条件よりも極めて多岐にわたっていた。例えば、インクの種類、及び、記録媒体PPの種類は、ヘッドメーカーが想定する範囲を超えてヘッドユーザーごとに異なるものを用いていた。従って、ヘッドメーカーが予め想定して準備していた使用条件のみでは、ヘッドユーザーの使用条件と全く異なる可能性があり、結果として、クラウドサーバーCSが、適切な制御情報CIを提供できない虞があった。また、ヘッドユーザーの使用条件がヘッドメーカーの想定する使用条件よりも極めて多岐にわたるため、ヘッドメーカー単体では、ヘッドユーザーの使用条件を網羅するようなシステムを提供することが困難であった。
【0082】
そこで、ヘッドユーザーに対して、ヘッドユーザーの使用条件と、この使用条件に応じて提供された制御情報CIを用いて得られた吐出特性と、ヘッドユーザーの評価とをフィードバックさせて上述のデータベースに反映することにより、システムを最適化する態様が考えられる。しかしながら、この態様では、ヘッドユーザーは、自らの使用条件、吐出特性、及び、ヘッドユーザーの評価をヘッドメーカーに提供することに対して心理的に何らメリットもないように感じられるため、使用条件、吐出特性、及び、ヘッドユーザーの評価を提供しないことが考えられる。結果として、ヘッドメーカーは、上述のシステムの最適化ができず、ヘッドユーザーに対して適切な制御情報CIを提供できない虞があった。
【0083】
そこで、本実施形態では、ヘッドユーザーであるユーザーUに対して、使用条件、吐出特性、及び、ユーザーUの評価を提供したことに対する特典を付与する。ユーザーUに特典を付与ことにより、使用条件、吐出特性、及び、ヘッドユニットHUの評価をヘッドメーカーに提供することに対してメリットが発生するため、ユーザーUに、使用条件、吐出特性、及び、ユーザーUの評価を提供する動機を与えることができる。ヘッドメーカーは、提供された情報に基づいてインクジェットシステム10を最適化することができ、ヘッドユーザー及びヘッドメーカーの双方にとってメリットを得られる。
【0084】
1-7.インクジェットシステム10の機能及び動作
図8から図20を用いて、インクジェットシステム10の機能及び動作を説明する。
【0085】
図8は、インクジェットシステム10の機能を示す図である。制御回路210は、インクジェットプログラムPM2を読み出して、読み出したインクジェットプログラムPM2を実行することにより、認証情報取得部211と、条件情報取得部213と、制御部215と、特性情報取得部217と、評価情報取得部219として機能する。サーバー300は、仮想化プログラムVMを読み出し、読み出した仮想化プログラムVMを実行することにより、クラウドサーバーCSとして機能する。クラウドサーバーCSによって、制御プログラムPM1が読み出され、制御プログラムPM1を実行することにより、クラウドサーバーCSは、認証部301と、生成部303と、格納部305と、決定部307と、特典付与部309として機能する。また、クラウドサーバーCSは、制御プログラムPM1を実行することにより、記録動作情報データベースPDBと、特典ポイント管理テーブルTDBとを更新する。記録動作情報データベースPDBは、記録動作情報PDIの履歴を蓄積するデータベースである。記録動作情報データベースPDBの内容の一例は、図19で後述する。
【0086】
記録動作情報PDIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとを有する。特性情報TIは、制御情報CIに基づき記録動作を実行したときのヘッドユニットHUの吐出特性に関する情報である。評価情報HIは、制御情報CIに基づき記録動作を実行したときのユーザーUの評価に関する情報である。特性情報TI及び評価情報HIについては後述する。但し、記録動作情報PDIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとの全てを有さなくてもよく、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとのうち1つの情報又は2つの情報のみを有してもよい。
【0087】
また、以下の記載では、ユーザーUに特典を付与する契機となる情報を、契機情報TRIと記載する。上述したように、本実施形態では、ヘッドユニットHUの使用条件と、ヘッドユニットHUの吐出特性と、ユーザーUの評価とを提供する動機をユーザーUに与えることを目的としているため、契機情報TRIは、記録動作情報PDIに一致する。但し、契機情報TRIは、記録動作情報PDIの一部の情報、例えば、特性情報TIのみでもよい。更に、契機情報TRIは、記録動作情報PDIの一部又は全部の情報以外の他の情報を有してもよい。第1実施形態では、契機情報TRIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとを有するとして説明する。
【0088】
特典ポイント管理テーブルTDBは、ユーザーUのアカウントごとに、ユーザーUが契機情報TRIを提供する行為により、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献した度合いを示す点数を記憶するテーブルである。以下、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献した度合いを示す点数を、「特典ポイント」と記載することがある。
【0089】
なお、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有し、認証情報取得部211と、条件情報取得部213と、制御部215と、特性情報取得部217と、評価情報取得部219として機能してもよい。更に、第1実施形態では、処理装置200がクラウドサーバーCSと接続したが、インクジェットプリンター100がクラウドサーバーCSと接続する態様でもよい。
【0090】
また、サーバー300がクラウドサーバーCSとして機能しない場合、サーバー300が制御プログラムPM1を実行することにより、サーバー300が、認証部301と、生成部303と、格納部305と、決定部307と、特典付与部309として機能すればよい。
【0091】
各機能部について、図9図10、及び、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0092】
図9図10、及び、図11は、インクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートである。処理装置200は、ステップSC2において、表示装置270に、アカウント認証画面AWを表示させる。次に、処理装置200は、ステップSC4において、認証情報取得部211として機能し、処理装置200は、インクジェットシステム10にログインするため、ユーザーUの認証情報NIを取得する。そして、処理装置200は、ステップSC6において、取得した認証情報NIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0093】
認証情報NIは、ユーザーUの認証に用いる情報である。ユーザーUの認証とは、処理装置200を操作するユーザーUが、ユーザーU本人であり、他の人の成りすましでないことを確認することである。認証情報NIは、例えば、アカウントIDとパスワードとを有する。IDは、identifierの略称である。ステップSC2からステップSC6までの一連の処理を、図12を用いて説明する。
【0094】
図12は、アカウント認証画面AWの一例を示す図である。ステップSC2の処理によって、アカウント認証画面AWが表示装置270に表示される。アカウント認証画面AWは、アカウントIDが入力される入力フィールドIA1と、パスワードが入力される入力フィールドIA2と、送信ボタンBA1とを有する。処理装置200は、ステップSC4において、入力装置260に対する操作を示す操作情報に基づいて、入力フィールドIA1に入力された文字列をアカウントIDとして取得し、入力フィールドIA2に入力された文字列をパスワードとして取得する。送信ボタンBA1が押下された場合、処理装置200は、ステップSC6において、アカウントIDとパスワードとを認証情報NIとしてクラウドサーバーCSに送信する。
【0095】
説明を図9に戻す。クラウドサーバーCSは、認証情報NIを受信した場合、ステップSS2において、認証情報NIを用いてユーザーUの認証を実行する。例えば、クラウドサーバーCSは、受信した認証情報NIに含まれるアカウントIDと、クラウドサーバーCSに記憶するアカウントIDとが一致し、且つ、受信した認証情報NIに含まれるパスワードと、クラウドサーバーCSに記憶するパスワードとが一致した場合に、認証成功として判断する。
【0096】
なお、上述の説明では、処理装置200が認証情報取得部211として機能したが、これに限らない。例えば、携帯端末700が、認証情報取得部211として機能してもよい。また、認証情報NIは、アカウントIDとパスワードとしたが、認証情報NIは、これらに限らない。例えば、認証情報NIは、アカウントIDと生体情報とでもよいし、更に、ワンタイムパスワードを含んでもよい。生体情報は、例えば、指紋を示す画像情報、虹彩を示す画像情報、又は、顔を示す画像情報である。例えば、認証情報取得部211は、撮像装置780がユーザーUの指紋、ユーザーUの光彩、又は、ユーザーUの顔を撮像することにより得られた撮像画像を、生体情報として取得してもよい。
【0097】
更に、認証情報NIは、ネットワークNWを経由して送信されるため、アカウントIDとパスワードそのものではなく、アカウントIDとパスワードとがそれぞれ暗号化された暗号文、又は、アカウントIDとパスワードとをそれぞれハッシュ関数に入力して得られたハッシュ値であることが好ましい。ハッシュ関数は、例えば、SHA-256、又は、SHA-512である。SHAは、Secure Hash Algorithmである。認証情報NIが、アカウントIDと生体情報とである場合も同様に、アカウントIDと生体情報とがそれぞれ暗号化された暗号文、又は、アカウントIDと生体情報とをそれぞれハッシュ関数に入力して得られたハッシュ値であることが好ましい。
【0098】
クラウドサーバーCSは、ユーザーUの認証に失敗した場合、ユーザーUの認証に失敗したことを示す情報を処理装置200に送信し、図9図10、及び、図11に示す一連の処理を終了する。クラウドサーバーCSは、ユーザーUの認証に成功した場合、ステップSS4の処理において、特典ポイント管理テーブルTDBを参照して、ユーザーUのアカウントに関連付けられた特典ポイントの合計を取得する。以下の記載では、説明の簡略化のため、特典ポイント管理テーブルTDBに記憶されている、ユーザーUのアカウントに関連付けられた特典ポイントの合計を、「現在の特典ポイントの合計」と記載することがある。
【0099】
ユーザーUの認証に成功した後、ユーザーUがインクジェットプリンター100に記録動作を実行させる場合、処理装置200は、ステップSC12において、条件情報入力画面UW1を表示装置270に表示させる。次に、処理装置200は、ステップSC14において、ユーザーUの操作に基づいて、条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信するか否かを判定する。ステップSC6の判定結果が肯定である場合、処理装置200は、条件情報取得部213として機能し、ステップSC16において、条件情報UIを取得し、ステップSC18において、条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0100】
条件情報UIは、ヘッドユニットHUの種類に関する情報と、インクの種類に関する情報と、記録媒体PPの種類に関する情報と、ヘッドユニットHUの使用環境における温度に関する情報とのうち1つの情報又は複数の情報を有する。ヘッドユニットHUの種類に関する情報は、例えば、ヘッドユニットHUの型番を示す文字列、又は、ヘッドユニットHUの識別番号である。インクの種類に関する情報は、例えば、インクの特性を示す情報、若しくは、インクの種類を示す名称又は型番である。インクの特性を示す情報は、例えば、粘度である。記録媒体PPの種類に関する情報は、記録媒体PPの特性を示す情報、又は、記録媒体PPの種類を示す名称である。記録媒体PPの特性は、例えば、滲みやすさである。ヘッドユニットHUの使用環境における温度とは、いわゆる環境温度である。環境温度は、ヘッドユニットHUが装着されたインクジェットプリンター100が設置されている空間の温度とも言えるし、インクジェットプリンター100の周囲の温度とも言える。環境温度に関する情報は、例えば、環境温度の摂氏温度を示す情報である。なお、条件情報UIは、上述した各情報に替わって、又は、追加して、上述した各情報以外の情報を有してもよい。例えば、条件情報UIは、ヘッドユニットHUの使用環境における湿度に関する情報、インクの静的表面張力又は動的表面張力に関する情報、及び、記録媒体PPの普通紙、コート紙、塩化ビニルシートなどの分類に関する情報のうち1つ又は複数の情報などを含んでもよい。
【0101】
例えば、条件情報取得部213は、条件情報UIに含まれる各情報を、ユーザーUに入力装置260を用いて入力させることにより、条件情報UIを取得する。
【0102】
ステップSC12からステップSC18までの一連の処理を、図13を用いて説明する。
【0103】
図13は、条件情報入力画面UW1の一例を示す図である。ステップSC12の処理によって条件情報入力画面UW1が表示装置270に表示される。図13に示す条件情報UIは、インクの種類を示す名称と、記録媒体PPの種類を示す名称と、環境温度の摂氏温度を示す値と、ヘッドユニットHUの使用環境における湿度を示す値とである。条件情報入力画面UW1は、条件情報UIの4つの情報が入力される入力フィールドIU1~IU4と、制御情報CIの自動生成を開始させるボタンBU1と、スキップボタンBU2とを有する。表示装置270、制御回路210の指示のもと、入力装置260に対する操作を示す操作情報に基づいて、入力フィールドIU1~IU4に文字列又は値を表示する。入力フィールドIU1には、インクの種類を示す名称が入力される。入力フィールドIU2には、記録媒体PPの種類を示す名称が入力される。入力フィールドIU3には、環境温度の摂氏温度を示す値が入力される。入力フィールドIU4には、ヘッドユニットHUの使用環境における湿度を示す値が入力される。
【0104】
処理装置200は、スキップボタンBU2が押下された場合には、条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信しない、すなわち、ステップSC14の判定結果が否定であると判定する。
【0105】
ボタンBU1が押下された場合、処理装置200は、条件情報入力画面UW1に重畳させるように、図14に示す確認ダイアログUW2を表示する。
【0106】
図14は、確認ダイアログUW2の一例を示す図である。確認ダイアログUW2は、クラウドサーバーCSに条件情報UIを送信するか否かを示す文字列STR1と、送信ボタンBU3と、キャンセルボタンBU4とを有する。送信ボタンBU3が押下された場合、処理装置200は、ステップSC14において、条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信すると判定する、すなわち、ステップSC14の判定結果が肯定であると判定する。そして、処理装置200は、ステップSC16において入力フィールドIU1~IU4に入力された文字列又は値を、条件情報UIの各情報として取得する。具体的には、処理装置200は、入力フィールドIU1に入力された文字列をインクの種類を示す名称として取得する。また、処理装置200は、入力フィールドIU2に入力された文字列を記録媒体PPの種類を示す名称として取得する。処理装置200は、入力フィールドIU3に入力された値を環境温度の摂氏温度を示す値として取得する。処理装置200は、入力フィールドIU4に入力された値をヘッドユニットHUの使用環境における湿度を示す値として取得する。そして、処理装置200は、ステップSC18において、取得した条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信する。キャンセルボタンBU4が押下された場合、処理装置200は、確認ダイアログUW2を閉じ、条件情報入力画面UW1の入力を受け付け可能とする。
【0107】
なお、上述の説明では、ユーザーUの入力により条件情報UIを取得したが、これに限らない。例えば、条件情報取得部213は、インクジェットプリンター100から条件情報UIに含まれる各情報を取得可能である場合、インクジェットプリンター100から取得してもよい。例えば、インクジェットプリンター100が温度センサーを有している場合、条件情報取得部213は、インクジェットプリンター100から、この温度センサーが計測した温度を示す値を取得する。更に、携帯端末700が、条件情報取得部213として機能してもよい。例えば、ヘッドユニットHUの筐体の側面等に、ヘッドユニットHUの識別番号を示すバーコード又は二次元コードが印字されていてもよい。携帯端末700は、ユーザーUの操作によって、撮像装置780によってバーコード又は二次元コードを撮像する。携帯端末700内の制御回路710は、撮像装置780によって撮像された画像を示す画像情報を取得する。画像情報を取得した場合、制御回路710は、画像情報を解析して、ヘッドユニットHUの識別番号を取得する。
【0108】
説明を図9に戻す。クラウドサーバーCSは、ステップSS10において、条件情報UIを受信したか否かを判定する。ステップSS10の判定結果が肯定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS12において、生成部303として機能し、条件情報UIに基づいて、記録動作を制御するための制御情報CIを生成する。制御情報CIの生成例について、図15を用いて説明する。
【0109】
図15は、制御情報CIの生成例を説明するための図である。図15では、駆動信号Comが有する波形PXの一例を示してある。波形PXは、中間電位V0を維持する期間と、中間電位V0から最低電位VLXまで電位を降下させる期間と、最低電位VLXを維持する期間と、最低電位VLXから最高電位VHXまで電位を上昇させる期間と、最高電位VHXを維持する期間と、最高電位VHXから中間電位V0まで電位を降下させる期間とを有する。最低電位VLXと最高電位VHXとの電位差ΔVhを大きくする程、吐出量を多くできる。
【0110】
制御情報CIが駆動信号Comに関する情報である場合、制御情報CIは、駆動信号Comが有する波形PXに関するパラメーターである。波形PXに関するパラメーターは、例えば、波形PXの形状を示す情報でもよいし、最低電位VLX及び最高電位VHXのうち一方又は両方を示す情報でもよい。以下の説明では、制御情報CIは、波形PXの形状を示す情報であるとして説明する。
【0111】
ヘッドユニットHUには、ある程度の製造誤差が生じ得る。ある所定の駆動信号ComをヘッドユニットHUに印加した場合でも、製造誤差によって圧力室CVの形状が、ヘッドメーカーが想定した形状からずれた結果、ヘッドユニットHUから吐出されたインクの吐出量が、ヘッドメーカーが規定した所定の吐出量とは異なることが生じ得る。例えば、条件情報UIに含まれる情報が、ヘッドユニットHUの識別番号であると想定する。クラウドサーバーCSは、ヘッドユニットHUの識別番号ごとに、ヘッドユニットHUの吐出量を示すテーブルを記憶する。生成部303は、条件情報UIに含まれるヘッドユニットHUの識別番号から、前述のテーブルを参照して、製造誤差を相殺するような電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして生成する。
【0112】
同様に、インクの種類、及び、環境温度等によって吐出量が変動することが起こり得る。生成部303は、条件情報UIに基づいて、吐出量の変動を相殺するような電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして生成する。また、記録媒体PPの種類によって、インクが記録媒体PPの着弾した後のインクの状態が変動することが起こり得る。生成部303は、条件情報UIに基づいて、インクの状態の変動を相殺するような電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして生成する。
【0113】
説明を図9に戻す。ステップSS12の処理終了後、クラウドサーバーCSは、ステップSS14において、制御情報CIを処理装置200に送信する。処理装置200は、ステップSC20において制御情報CIを受信する。
【0114】
なお、生成部303は、条件情報UIに基づいて、複数の制御情報CIを生成してもよい。例えば、生成部303は、条件情報UIに沿った通常のインクの量を吐出する制御情報CIと、通常よりも多いインクの量を吐出する制御情報CIと、通常よりも少ないインクの量を吐出する制御情報CIとを生成し、これら3つの制御情報CIを処理装置200に送信してもよい。
【0115】
また、クラウドサーバーCSは、ステップSS16において、格納部305として機能して、条件情報UIを記録動作情報データベースPDBに格納する。続けて、クラウドサーバーCSは、ステップSS18において、決定部307として機能して、契機情報TRIの一部である条件情報UIの提供に応じた特典ポイントを、現在の特典ポイントの合計に追加する。条件情報UIの提供に応じた特典ポイントは、例えば、特性情報TIの提供に応じた特典ポイントより低く、且つ、評価情報HIの提供に応じた特典ポイントより低い。例えば、条件情報UIの提供に応じた特典ポイントは、+2点である。クラウドサーバーCSは、追加した特典ポイントの合計で特典ポイント管理テーブルTDBを更新する。なお、クラウドサーバーCSは、ステップSS16及びステップSS18の処理を、ステップSS12及びステップSS14の処理よりも先に実行してもよいし、同時に実行してもよい。
【0116】
図10において、ステップSC20の処理終了後、処理装置200は、ステップSC32において、表示装置270に記録動作実行画面CWを表示させる。また、条件情報入力画面UW1のスキップボタンBU2が押下された場合、即ち、ステップSC14の判定結果が否定である場合も、ステップSC32の処理を実行する。記録動作実行画面CWについて図16を用いて説明する。
【0117】
図16は、記録動作実行画面CWの一例を示す図である。記録動作実行画面CWは、第1態様の制御情報CIである、駆動信号Comが有する波形PXの各成分の数値を入力する入力フィールドIC1と、記録動作を実行するボタンBC2とを有する。
【0118】
入力フィールドIC1は、例えば、波形PXの各成分の数値が入力可能である。又は、記録動作実行画面CWは、入力フィールドIC1の替わりに、波形PXの形状を示す画像を表示するボタンを有してもよい。このボタンが押下された場合、表示装置270は、波形PXの形状を示す画像を表示する。そして、処理装置200は、入力装置260の操作を示す操作情報に基づいて、例えば、波形PXの形状を変形させる。
【0119】
ボタンBC1が押下されると、表示装置270は、制御回路210の指示のもと、ステップSC20の処理により受信した制御情報CIである、駆動信号Comが有する波形PXの各成分の数値を表示する。なお、ステップSC14の判定結果が否定である場合に、処理装置200は、ステップSC12の処理を再び実行してもよい。
【0120】
ボタンBC2が押下された場合について、説明を図10に戻して説明する。ボタンBC2が押下された場合、制御回路210は、制御部215として機能して、ステップSC34において、制御情報CIを用いてインクジェットプリンター100の記録動作を制御する。具体的には、制御回路210は、インクジェットプリンター100に制御情報CIを送信する。インクジェットプリンター100は、制御情報CIが示す波形PXを駆動素子111fに印加して、記録動作を実行する。
【0121】
なお、インクジェットプリンター100が処理装置200を介さずにクラウドサーバーCSと接続可能な場合、クラウドサーバーCSは、インクジェットプリンター100に制御情報CIを送信してもよい。
【0122】
また、クラウドサーバーCSから複数の制御情報CIを受信した場合には、処理装置200は、ユーザーUの操作によって、複数の制御情報CIから1つの制御情報CIを選択可能としてもよい。制御回路210は、インクジェットプリンター100に、ユーザーUが選択した制御情報CIを送信する。
【0123】
ステップSC34の処理終了後、処理装置200は、ステップSC42において、表示装置270に特性情報取得画面TWを表示させる。次に、処理装置200は、ステップSC44において、ユーザーUの操作に基づいて、特性情報TIをクラウドサーバーCSに送信するか否かを判定する。特性情報TIは、例えば、ヘッドユニットHUが有するノズルNzからのインクの吐出量を示す情報、ノズルNzから吐出されたインクの吐出速度を示す情報、及び、ノズルNzからのインクの吐出安定性を示す情報のうち1つの情報又は複数の情報である。吐出安定性は、ノズルNzから吐出されるインクが、ヘッドメーカーが想定する着弾位置に着弾する性質を意味する。具体的には、ノズルNzから吐出されるインクの実際の着弾位置が、ヘッドメーカーが想定する着弾位置に近い程、吐出安定性が高いことを意味する。ステップSC44の判定結果が肯定である場合、処理装置200は、特性情報取得部217として機能し、ステップSC46において、特性情報TIを取得し、ステップSC48において、特性情報TIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0124】
ステップSC42からステップSC48までの一連の処理を、図17を用いて説明する。
【0125】
図17は、特性情報取得画面TWの一例を示す図である。ステップSC42の処理によって特性情報取得画面TWが表示装置270に表示される。特性情報取得画面TWは、吐出量を示す値が表示される領域IT1と、吐出速度を示す値が表示される領域IT2と、吐出安定性を示す値が表示される領域IT3と、特性情報TIを送信する送信ボタンBT1と、スキップボタンBT2とを有する。
【0126】
領域IT1と領域IT2とに入力される情報について説明する。吐出量を示す値及び吐出速度を示す値の一方又は両方を取得するため、例えば、インクジェットプリンター100は、ノズルNzよりもZ2方向の位置に、ノズルNzから吐出された空中のインクを撮像するために設けられた撮像装置を有する。制御回路210は、撮像装置が所定期間撮像して得られた動画像を示す動画像情報をインクジェットプリンター100から受け付ける。そして、制御回路210は、動画像情報を解析することにより、吐出量を示す値及び吐出速度を示す値を取得する。表示装置270は、制御回路210の指示により、吐出量を示す値を領域IT1に表示し、吐出速度を示す値を領域IT2に表示する。又は、表示装置270は、制御回路210の指示により、インクジェットプリンター100から取得した動画像情報が示す動画像を、領域IT1又は領域IT2に表示してもよい。
【0127】
領域IT3に入力される情報について説明する。吐出安定性を示す値は、例えば、ヘッドメーカーが想定する着弾位置から、ノズルNzから吐出されるインクの実際の着弾位置までの距離である。吐出安定性を示す情報を受け付けるため、例えば、インクジェットプリンター100は、複数のノズルNzのそれぞれから吐出されたインクが着弾した後の記録媒体PPを撮像可能な撮像装置を有する。制御回路210は、撮像装置が撮像して得られた画像を示す画像情報をインクジェットプリンター100から受け付ける。そして、制御回路210は、画像情報を解析することにより、吐出安定性を示す値を取得する。表示装置270は、制御回路210の指示により、吐出安定性を示す値を領域IT3に表示する。又は、表示装置270は、制御回路210の指示により、インクジェットプリンター100から取得した画像情報が示す画像を、領域IT3に表示してもよい。
【0128】
処理装置200は、スキップボタンBT2が押下された場合、特性情報TIをクラウドサーバーCSに送信しない、すなわち、ステップSC44の判定結果が否定であると判定する。なお、スキップボタンBT2が押下された場合、処理装置200は、特性情報TIを提供することを促す文字列を含む確認ダイアログを表示装置270に表示させてもよい。特性情報TIを提供することを促す文字列は、例えば、「特典ポイントが増加しませんがよろしいですか?」である。
【0129】
処理装置200は、送信ボタンBT1が押下された場合、特性情報TIをクラウドサーバーCSに送信する、すなわち、ステップSC44の判定結果が肯定であると判定する。そして、処理装置200は、ステップSC46において、領域IT1~IT3に表示された情報を特性情報TIとして取得し、ステップSC48において、特性情報TIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0130】
説明を図10に戻す。ステップSS18の処理終了後、又は、ステップSS10の判定結果が否定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS40において、特性情報TIを受信したか否かを判定する。ステップSS40の判定結果が肯定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS42において、格納部305として機能して、特性情報TIを記録動作情報データベースPDBに格納する。続けて、クラウドサーバーCSは、決定部307として機能して、ステップSS44において、契機情報TRIの一部である特性情報TIの提供に応じた特典ポイントを、現在の特典ポイントの合計に追加する。特性情報TIの提供に応じた特典ポイントは、例えば、条件情報UIの提供に応じた特典ポイントより高く、且つ、評価情報HIの提供に応じた特典ポイントより高い。例えば、特性情報TIの提供に応じた特典ポイントは、+5点である。クラウドサーバーCSは、追加した特典ポイントの合計で特典ポイント管理テーブルTDBを更新する。
【0131】
ステップSC48の処理終了後、処理装置200は、ステップSC52において、表示装置270に評価情報取得画面HWを表示させる。また、特性情報取得画面TWのスキップボタンBT2が押下された場合、即ち、ステップSC44の判定結果が否定である場合も、ステップSC52の処理を実行する。次に、処理装置200は、ステップSC54において、ユーザーUの操作に基づいて、評価情報HIをクラウドサーバーCSに送信するか否かを判定する。ステップSC54の判定結果が肯定である場合、処理装置200は、評価情報取得部219として機能し、ステップSC56において、評価情報HIを取得し、ステップSC58において、評価情報HIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0132】
ステップSC52からステップSC58までの一連の処理を、図18を用いて説明する。
【0133】
図18は、評価情報取得画面HWの一例を示す図である。ステップSC52の処理によって評価情報取得画面HWが表示装置270に表示される。評価情報取得画面HWは、複数の評価項目を示す文字列ST1と、複数の評価項目のそれぞれに対する評価結果を個別に入力する入力領域HR1と、評価情報HIを送信する送信ボタンBH1と、スキップボタンBH2とを有する。
【0134】
図18に示す評価情報HIは、複数の評価項目の例として、5つの評価項目を示してある。但し、評価項目は1つでもよい。図18に示す5つの評価項目は、総合評価と、印刷品質と、波形提供期間と、文字のがたつきと、色の滲みとである。総合評価とは、吐出動作に関する総合評価である。印刷品質は、記録媒体PPに形成される画像の質である。波形提供期間は、ユーザーUが制御情報CIの提供を受けることを処理装置200に指示してから吐出動作が終了するまでの期間である。文字のがたつきは、記録媒体PPに形成される画像に文字が含まれる場合に、この文字の輪郭のがたつきである。色の滲みは、記録媒体PPに形成される画像の色のにじみである。
【0135】
但し、評価項目は、上述した項目に限らない。例えば、評価項目は、上述した複数の項目に替わって、又は、追加して、粒状感の程度、バンディングの程度、明度、彩度、赤みの程度、青みの程度、緑みの程度のうち1つ又は複数である。バンディングは、隣り合うパスに対応する部分画像同士が形成された場合に生じるスジである。
【0136】
入力領域HR1は、ユーザーUによる入力装置260の操作によって、複数の評価項目のそれぞれに対する評価結果を入力する領域である。図18の例では、複数の評価項目のそれぞれに対して、5段階で評価可能である。図18の例では、評価の階数は5であるが、2以上であればよく、5に限らない。
【0137】
入力領域HR1内には、複数の評価項目のそれぞれに対して、5つの星印のアイコンが示されており、黒塗りされたアイコンの数が多い程高評価であることを示す。図18の例では、総合評価が5段階の評価のうち、最高評価の次の評価であることを示し、印刷品質が5段階の評価のうち最高評価であることを示し、波形提供期間及び文字のがたつきが5段階の評価のうち3番目の評価であることを示す。例えば、ユーザーUが入力装置260の一例であるマウスによってアイコンIK1を押下した場合、アイコンIK1が黒塗りされ、色の滲みの評価が5段階の評価のうち最低評価であることを示す。一方、例えば、ユーザーUがマウスによってアイコンIK5を押下した場合、アイコンIK1からアイコンIK5までの5つのアイコンが黒塗りされ、色の滲みの評価が5段階の評価のうち最高評価であることを示す。
【0138】
処理装置200は、スキップボタンBH2が押下された場合、評価情報HIをクラウドサーバーCSに送信しない、すなわち、ステップSC54の判定結果が否定であると判定する。なお、スキップボタンBH2が押下された場合、スキップボタンBT2が押下された場合と同様に、処理装置200は、評価情報HIを提供することを促す文字列を含む確認ダイアログを表示装置270に表示させてもよい。
【0139】
処理装置200は、送信ボタンBH1が押下された場合、評価情報HIをクラウドサーバーCSに送信する、すなわち、ステップSC54の判定結果が肯定であると判定する。そして、処理装置200は、ステップSC56において、入力領域HR1に表示された情報を評価情報HIとして取得し、ステップSC58において、評価情報HIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0140】
説明を図10に戻す。ステップSC58の処理終了後、処理装置200は、ステップSC60において、記録動作を再度実行するか否かを判定する。また、ステップSC54の判定結果が否定であると判定した場合も、処理装置200は、ステップSC60の処理を実行する。ステップSC60の判定結果が肯定である場合、処理装置200は、処理をステップSC12に戻す。ステップSC60の判定結果が否定である場合、処理装置200は、クラウドサーバーCSからの通知を待ち受ける。
【0141】
ステップSS44の処理終了後、又は、ステップSS40の判定結果が否定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS50において、評価情報HIを受信したか否かを判定する。ステップSS50の判定結果が肯定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS52において、評価情報HIを受信し、格納部305として機能して、評価情報HIを記録動作情報データベースPDBに格納する。記録動作情報データベースPDBの内容の一例を、図19を用いて説明する。
【0142】
図19は、記録動作情報データベースPDBの内容の一例を示す図である。図19に示す記録動作情報データベースPDBは、説明を簡略化するため、条件情報UIは、インクの型番を示す文字列と、記録媒体PPの名称とを有し、特性情報TIは、インクの吐出量を示す値とインクの吐出速度を示す値とを有し、評価情報HIは、印刷品質の評価を示す値と、波形提供期間の評価を示す値とを有する。
【0143】
クラウドサーバーCSは、1回の記録動作を実行する場合に得られる条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとを関連付けたレコードRCとして、記録動作情報データベースPDBに記憶する。1つのレコードRCが、記録動作情報PDIである。更に、上述したように、本実施形態では、記録動作情報PDIは、契機情報TRIに一致する。
【0144】
図19に示す記録動作情報データベースPDBは、レコードRC-1~RC-7を有する。レコードRC-1、RC-2、RC-7は、処理装置200が、ある1回の記録動作において、条件情報UI、特性情報TI、及び、評価情報HIの全てをクラウドサーバーCSに送信した場合の内容を示してある。図19に示す記録動作情報データベースPDB内の「-」は、何のデータも格納されていない状態を示す。従って、レコードRC-3は、処理装置200が、ある1回の記録動作において、条件情報UIと評価情報HIとをクラウドサーバーCSに送信し、特性情報TIを送信しなかった場合の内容を示してある。レコードRC-4は、処理装置200が、ある1回の記録動作において、特性情報TIと評価情報HIとをクラウドサーバーCSに送信し、条件情報UIを送信しなかった場合の内容を示してある。レコードRC-5は、処理装置200が、ある1回の記録動作において、条件情報UIと特性情報TIとをクラウドサーバーCSに送信し、評価情報HIを送信しなかった場合の内容を示してある。レコードRC-6は、処理装置200が、ある1回の記録動作において、条件情報UIをクラウドサーバーCSに送信し、特性情報TIと評価情報HIとを送信しなかった場合の内容を示してある。
【0145】
説明を図10に戻す。ステップSS52の処理終了後、クラウドサーバーCSは、ステップSS54において、決定部307として機能して、契機情報TRIの一部である評価情報HIの提供に応じた特典ポイントを、現在の特典ポイントの合計に追加する。評価情報HIの提供に応じた特典ポイントは、例えば、条件情報UIの提供に応じた特典ポイントより高く、且つ、特性情報TIの提供に応じた特典ポイントより低い。例えば、評価情報HIの提供に応じた特典ポイントは、+3点である。クラウドサーバーCSは、追加した特典ポイントの合計で特典ポイント管理テーブルTDBを更新する。
【0146】
図11において、ステップSS54の処理終了後、又は、ステップSS50の判定結果が否定である場合、クラウドサーバーCSは、ステップSS56において、決定部307として機能して、現在の特典ポイントの合計に基づいて、1又は複数の特典を示す特典情報PRIを決定する。ステップSS18、ステップSS44、及び、ステップSS56の処理を包含すると、決定部307は、契機情報TRIに基づいて、特典情報PRIを決定すると言える。更に、決定部307は、特性情報TIの提供に応じた特典ポイントを最も高く、評価情報HIの提供に応じた特典ポイントを次に高く、条件情報UIの提供に応じた特典ポイントを最も低く設定する。言い換えれば、決定部307は、特性情報TIの提供行為を、最も大きい重みを有する重み付けとして設定し、評価情報HIの提供行為を、次に大きい重みを有する重み付けとして設定し、条件情報UIの提供行為を最も小さい重みを有する重み付けとして設定する。説明の簡略化のため、第1実施形態では、特典情報PRIが示す特典は1つであるとして説明する。特典情報PRIの決定例を、図20を用いて説明する。
【0147】
図20は、特典情報PRIの決定例を説明するための図である。特典情報PRIが示す特典は、例えば、5つの種類がある。図20に示す表tb1は、5つの種類の特典の具体例を示してある。
【0148】
1つ目の種類の特典は、購入特典である。購入特典は、ヘッドユニットHUを購入するときに関する特典である。購入特典は、例えば、インクジェットプリンター100内のヘッドユニットHUとは異なるヘッドユニットHUをユーザーUが購入するときに、購入するヘッドユニットHUを割引で購入できる特典、又は、購入するヘッドユニットHUに加えて追加でヘッドメーカーの商品が無料で提供される特典である。ヘッドメーカーの商品は、例えば、他のヘッドユニットHU、及び、他のヘッドユニットHUで使用可能である、インクが収容されたインクパック等である。図20では、購入特典の一例として、ヘッドユニットHUを割引で購入できる特典を示してある。
【0149】
2つ目の種類の特典は、保証特典である。保証特典は、ヘッドユニットHUを保証に関する特典である。保証特典は、例えば、インクジェットプリンター100内のヘッドユニットHUとは異なるヘッドユニットHUをユーザーUが購入するときに、購入するヘッドユニットHUの保証期間を延長できる特典、又は、購入するヘッドユニットHUに関する電話によるサポートを受けられる特典である。図20では、保証特典として、購入するヘッドユニットHUの保証期間を延長できる特典を示してある。
【0150】
3つ目の種類の特典は、制御情報提供数特典である。制御情報提供数特典は、条件情報UIに基づいてクラウドサーバーCSから送信される制御情報CIの数に関する特典である。制御情報提供数特典は、例えば、1以上の制御情報CIの提供を受けることができる特典である。
【0151】
4つ目の種類の特典は、寿命判定特典である。寿命判定特典は、ヘッドユニットHUの寿命を判定するための方法に関する特典である。寿命判定特典は、例えば、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典、及び、吐出回数によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典である。残留振動とは、駆動信号Comを供給することにより圧電素子である駆動素子111fを変位させた後に圧力室CVに残留する振動である。残留振動に起因する駆動素子111fの起電力に応じた電位を取得することにより、残留振動を示す情報を取得できる。一般的に、駆動素子111fが劣化することに応じて、残留振動の振幅は小さくなる。従って、残留振動には、駆動素子111fの劣化が反映される。一方、吐出回数が多い程、駆動素子111fが劣化する傾向にはあるが、駆動素子111fが実際に劣化しているかは不明である。従って、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法は、吐出回数によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法と比較して、ヘッドユニットHUの寿命を精度良く判定できる。図20では、寿命判定特典の一例として、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典を示してある。
【0152】
5つ目の種類の特典は、外部サービス特典である。外部サービス特典は、インクジェットシステム10とは異なるシステムが提供するサービスに関する特典である。以下の記載では、インクジェットシステム10とは異なるシステムが提供するサービスを、「外部サービス」と記載することがある。外部サービス特典は、例えば、美容室を予約可能な外部サービスを利用できる特典、及び、指圧又はマッサージ等を予約可能する外部サービスを利用できる特典である。
【0153】
なお、購入特典は、「第1特典」の一例である。保証特典は、「第2特典」の一例である。制御情報提供数特典は、「第3特典」の一例である。寿命判定特典は、「第4特典」の一例である。外部サービス特典は、「第5特典」の一例である。
【0154】
図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて大きな特典となるように、特典情報PRIを決定する。例えば、特典情報PRIが示す特典の種類がヘッドユニットHUを割引で購入できる特典であることを想定する。この想定のもと、図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて割引率が大きくなるように、特典情報PRIを決定する。例えば、決定部307は、特典ポイントが10点以上49点以下である場合、ヘッドユニットHUを5%引きで購入できる特典を示す情報を、特典情報PRIとして決定する。また、決定部307は、特典ポイントが50点以上99点以下である場合、ヘッドユニットHUを10%引きで購入できる特典を示す情報を、特典情報PRIとして決定する。特典情報PRIが示す特典の種類がヘッドユニットHUを割引で購入できる特典である場合、割引率が大きくなることが、「特典が大きくなる」ことの一例である。
【0155】
また、特典情報PRIが示す特典の種類が、購入するヘッドユニットHUの保証期間を延長できる特典であることを想定する。この想定のもと、図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて、保証期間がより延長するように、特典情報PRIを決定する。特典情報PRIが示す特典の種類が、購入するヘッドユニットHUの保証期間を延長できる特典である場合、保証期間をより延長することが、「特典が大きくなる」ことの一例である。
【0156】
また、特典情報PRIが示す特典の種類が、制御情報提供数特典であると想定する。この想定のもと、図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて、制御情報CIの提供する数が大きくなるように、特典情報PRIを決定する。特典情報PRIが示す特典の種類が、制御情報提供数特典である場合、制御情報CIの提供する数が大きくなることが、「特典が大きくなる」ことの一例である。
【0157】
また、特典情報PRIが示す特典の種類が、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典であると想定する。この想定のもと、図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが100点以上である場合に、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典を、特典情報PRIとして決定する。
【0158】
また、特典情報PRIが示す特典の種類が、外部サービス特典であると想定する。この想定のもと、図20から理解されるように、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて、外部サービスを利用できる数が大きくなるように、特典情報PRIを決定する。特典情報PRIが示す特典の種類が外部サービス特典である場合、外部サービスを利用できる数が大きくなることが、「特典が大きくなる」ことの一例である。
【0159】
また、上述したように、特典情報PRIは、複数の特典を示してもよい。例えば、特典情報PRIが、2つの特典を示すことを前提として説明する。この前提のもと、一方の特典の種類がヘッドユニットHUを割引で購入できる特典であり、且つ、他方の特典の種類が、購入するヘッドユニットHUの保証期間を延長できる特典である場合、割引率が大きくなり、且つ、保証期間をより延長することが、「特典が大きくなる」ことの一例である。
【0160】
決定部307は、特典情報PRIを決定した後に、現在の特典ポイントの合計から、決定した特典情報PRIに対応する消費量を減ずるように特典ポイント管理テーブルTDBを更新する。例えば、クラウドサーバーCSは、表tb1に相当する情報と、表tb1に記載した各特典に対応する消費量とを有する消費量情報を記憶する。例えば、ヘッドユニットHUを30%引きで購入できる特典に対応する消費量が200点であり、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典に対応する消費量が100点である。決定部307は、消費量情報を参照して、決定した特典情報PRIに対応する消費量を特定する。
【0161】
ステップSS56の処理終了後、クラウドサーバーCSは、特典付与部309として機能し、ステップSS58において、ユーザーUに特典情報PRIが示す特典を付与する。例えば、特典情報PRIが示す特典の種類がヘッドユニットHUを割引で購入できる特典である場合、クラウドサーバーCSは、ヘッドユニットHUを割引で購入できることを示すバーコード又は二次元コードを含むクーポンの画像を示すクーポン情報を生成し、生成したクーポン情報を携帯端末700に送信する。また、特典情報PRIが示す特典の種類が外部サービス特典である場合には、クラウドサーバーCSは、ネットワークNWを経由して、ユーザーUが外部サービスを利用できるようにする要求を、外部サービスを提供するシステムに送信する。
【0162】
ステップSS58の処理終了後、クラウドサーバーCSは、ステップSS60において、特典情報PRIを、処理装置200に送信する。図11では図示を省略しているが、クラウドサーバーCSは、特典情報PRIを、処理装置200に替わって携帯端末700に送信する場合もある。処理装置200又は携帯端末700は、ステップSC62において、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を、自身の表示装置に表示させる。なお、処理装置200及び携帯端末700は、「第1装置」の一例である。但し、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有する場合には、インクジェットプリンター100も「第1装置」の一例である。
【0163】
特典情報PRIの送信先は、特典情報PRIが示す特典の種類によって替わり得る。例えば、特典情報PRIが示す特典の種類がヘッドユニットHUを割引で購入できる特典であり、クラウドサーバーCSがクーポン情報を携帯端末700に送信した場合、クラウドサーバーCSは、特典情報PRIを携帯端末700に送信する。携帯端末700は、特典情報PRIが示す、ヘッドユニットHUを割引で購入できる特典を示す文字列、又は、クラウドサーバーCSから受信したクーポン情報が示す画像を表示装置770に表示させる。ヘッドユニットHUを割引で購入できる特典を示す文字列は、例えば、「ご利用頂きありがとうございます。お客様の獲得した特典ポイントによって次回ヘッドユニットを購入する場合に割引で購入できます」である。
【0164】
また、特典情報PRIが示す特典の種類が制御情報提供数特典である場合、クラウドサーバーCSは、制御情報CIの提供数が増加したことを示す情報を、処理装置200に送信する。処理装置200は、受信した情報に基づいて、例えば、「制御情報CIの提供数が増加しました」という文字列を表示装置770に表示させる。
【0165】
ステップSC62の処理終了後、インクジェットシステム10は、図9図10、及び、図11に示す一連の処理を終了する。
【0166】
1-8.第1実施形態のまとめ
以上、第1実施形態に係るインクジェットシステム10は、インクを吐出するヘッドユニットHUが装着され、記録媒体PPに対して記録動作を実行するインクジェットプリンター100と、インクジェットプリンター100と接続し、インクジェットプリンター100に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置200と、インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれかと接続可能なクラウドサーバーCSと、を有するインクジェットシステムである。クラウドサーバーCSは、記録動作をインクジェットプリンター100に実行させるユーザーUを認証し、記録動作に関する記録動作情報PDIを、インクジェットプリンター100、処理装置200、又は、ユーザーUが使用する携帯端末700から取得し、記録動作情報PDIの全部の情報を含む契機情報TRIに基づいて、1又は複数の特典を示す特典情報PRIを決定し、ユーザーUに対して特典情報PRIが示す1又は複数の特典を付与する。
第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、契機情報TRIに基づいてユーザーUに特典を付与することにより、ユーザーUに契機情報TRI、本実施形態であれば記録動作情報PDIを提供する動機を与えることができるので、クラウドサーバーCSは、記録動作情報PDIの収集が容易になる。記録動作情報PDIの収集が容易となることにより、ヘッドメーカーは、記録動作情報PDIに基づいて制御プログラムPM1をアップデートすることにより、より適切な制御情報CIをユーザーUに提供できる。
【0167】
また、記録動作情報PDIは、記録動作時のヘッドユニットHUの使用環境における条件に関する条件情報UIを含み、クラウドサーバーCSは、条件情報UIに基づいて、記録動作を制御するための制御情報CIをインクジェットプリンター100又は処理装置200に送信する。
第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、処理装置200が条件情報UIに応じて制御情報CIを生成するため、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた制御情報CIを生成できる。
【0168】
また、ヘッドユニットHUは、圧電素子である駆動素子111fを有し、制御情報CIは、駆動素子111fに印加する駆動信号Comに関する情報である。
第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、クラウドサーバーCSが、駆動信号Comに関する情報を記録システム20に送信することにより、記録システム20は、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた記録動作を実行できる。
【0169】
記録動作情報PDIは、制御情報CIに基づき記録動作を実行したときのヘッドユニットHUの吐出特性に関する特性情報TIと、制御情報CIに基づき記録動作を実行したときのユーザーUの評価に関する評価情報HIと、を含む。
第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、ヘッドメーカーは、特性情報TI及び評価情報HIを参照することにより、次回以降に適切な制御情報CIを提供できる。例えば、特性情報TIに含まれる吐出量を示す情報が、ヘッドメーカーの想定より少ない量を示す場合には、ヘッドメーカーは、吐出量が多くなるような制御情報CIを生成するように、制御プログラムPM1を改修する。同様に、評価情報HIに含まれる波形提供期間の評価が最低評価であれば、ヘッドメーカーは、例えば、制御プログラムPM1の動作を高速化させる。
【0170】
また、契機情報TRIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIと、の少なくとも1つを含む。
第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、契機情報TRIに含まれる情報に基づいて特典情報PRIを決定するため、契機情報TRIに含まれる条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIと、の少なくとも1つに対して、ユーザーUが提供する動機を与えることができる。
【0171】
また、契機情報TRIは、条件情報UIと特性情報TIとを少なくとも含み、クラウドサーバーCSは、条件情報UIよりも特性情報TIに重み付けをして特典情報PRIを決定する。
特性情報TIは、上述したように、ヘッドメーカーが参照することにより、次回以降に適切な制御情報CIを提供できるため、条件情報UIと比較して、ヘッドメーカーがより収集したい情報であると言える。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、条件情報UIよりも特性情報TIに重み付けをして特典情報PRIを決定することにより、ユーザーUは、条件情報UIと比較して特性情報TIを提供する可能性が高まるため、次回以降に適切な制御情報CIを提供しやすくできる。
【0172】
また、契機情報TRIは、条件情報UIと評価情報HIとを少なくとも含み、クラウドサーバーCSは、条件情報UIよりも評価情報HIに重み付けをして特典情報PRIを決定する。
評価情報HIは、上述したように、ヘッドメーカーが参照することにより、次回以降に適切な制御情報CIを提供できるため、条件情報UIと比較して、ヘッドメーカーがより収集したい情報であると言える。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、条件情報UIよりも評価情報HIに重み付けをして特典情報PRIを決定することにより、ユーザーUは、条件情報UIと比較して評価情報HIを提供する可能性が高まるため、次回以降に適切な制御情報CIを提供しやすくできる。
【0173】
また、契機情報TRIは、特性情報TIと評価情報HIとを少なくとも含み、クラウドサーバーCSは、評価情報HIよりも特性情報TIに重み付けをして特典情報PRIを決定する。
特性情報TIと評価情報HIとを比較すると、条件情報UIが決定すればユーザーUによらず一意の結果であるのに対して、評価情報HIは、人の五感を用いる官能評価によって決定されるため、条件情報UIが決定してもユーザーUによって結果が異なる。特に、画像の質に対しては、ユーザーUに応じて好ましいと思う状態が異なる。従って、ヘッドメーカーは、評価情報HIよりも特性情報TIを重視して制御プログラムPM1を改修した方が、より多くのユーザーUに対して適切な制御情報CIを提供できる可能性が高い。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、評価情報HIよりも特性情報TIに重み付けをして特典情報PRIを決定することにより、ユーザーUは、評価情報HIと比較して特性情報TIを提供する可能性が高まるため、次回以降に適切な制御情報CIを提供しやすくできる。
【0174】
特典情報PRIを決定する処理は、契機情報TRIに基づいて、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献した度合いを示す点数、すなわち、特典ポイントを算出し、特典ポイントが大きくなることに応じて大きな特典となるように、特典情報PRIを決定する。
特典ポイントが大きくなることに応じて大きな特典がユーザーUに付与されるので、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献する動機の大きさを大きくできる。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献する動機の大きさを大きくできて、ユーザーUが契機情報TRIを提供する可能性を高くできる。
【0175】
また、処理装置200は、画像を表示する表示装置270を有し、処理装置200は、特典情報PRIをクラウドサーバーCSから受信し、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示装置270に表示させる。同様に、携帯端末700は、画像を表示する表示装置770を有し、携帯端末700は、特典情報PRIをクラウドサーバーCSから受信し、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示装置770に表示させる。
特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示しない態様では、ユーザーUは、特典が実際に付与されたか判断できない。例えば、ユーザーUは、ユーザーUが把握していない何らかの条件を満たさなかったことにより、特典が付与されなかったと考える可能性がある。従って、ヘッドユニットHUを購入した場合に割引で購入されたことを確認する等、実際に特典が付与されたことをユーザーUが確認できるまでは、契機情報TRIを提供する行為をユーザーUが控える虞がある。一方、処理装置200及び携帯端末700が、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示することにより、ユーザーUは、特典が実際に付与されたことを確認できる。特典が付与されたことをユーザーUが確認できた場合、ユーザーUは、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示しない態様と比較して、契機情報TRIを提供する行為を続行する可能性が高いと言える。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を表示しない態様と比較して、ユーザーUが契機情報TRIを提供する行為を続行する可能性を高くできる。
【0176】
また、特典情報PRIが示す特典は、購入特典でもよい。
特典情報PRIが示す特典に購入特典が含まれることによって、ユーザーUは、特典情報PRIが示す特典に購入特典が含まれない態様と比較して、インクジェットシステム10を利用する費用を低減できる。従って、ユーザーUがインクジェットシステム10を利用し続ける可能性が高まり、ユーザーUが契機情報TRIを提供し続ける期間を長くできる。
【0177】
特典情報PRIが示す特典は、保証特典でもよい。
特典情報PRIが示す特典に保証特典が含まれることによって、特典情報PRIが示す特典に保証特典が含まれない態様と比較して、ユーザーUがインクジェットシステム10をより長い期間利用する傾向にできる。ユーザーUがインクジェットシステム10を長い期間利用することにより、ユーザーUが契機情報TRIを提供し続ける期間を長くできる。
【0178】
記録動作情報PDIは、条件情報UIを含み、クラウドサーバーCSは、条件情報UIに基づいて、記録動作を制御するための1以上の制御情報CIをインクジェットプリンター100又は処理装置200に送信し、特典情報PRIが示す特典は、制御情報提供数特典でもよい。
特典情報PRIが示す特典に制御情報提供数特典が含まれることによって、特典情報PRIが示す特典に制御情報提供数特典が含まれない態様と比較して、ユーザーUにとって好ましい画像を得られる可能性を高くできる。具体的には、上述したように、画像の質は、ユーザーUに応じて好ましいと思う状態が異なる。従って、制御情報CIがより多く提供されることにより、ユーザーUが好ましいと感じる画像を形成できる可能性が高くなる。ユーザーUにとって好ましい画像を得られる可能性を高くできることにより、一般的には、ユーザーUがインクジェットシステム10を利用し続ける期間を長くできる。
【0179】
また、特典情報PRIが示す特典は、寿命判定特典でもよい。
特典情報PRIが示す特典に寿命判定特典が含まれることによって、ヘッドユニットHUの寿命を判定できる。従って、ユーザーUは、ヘッドユニットHUの寿命に合わせて次のヘッドユニットHUを事前に用意しておくことができる。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10によれば、ヘッドユニットHUが故障してから次のヘッドユニットHUを用意する態様と比較して、ヘッドユニットHUが故障して記録動作が実行できなくなる期間を短くできる。
【0180】
また、特典情報PRIが示す特典は、外部サービス特典でもよい。
特典情報PRIが示す特典に外部サービス特典が含まれることにより、特典情報PRIが示す特典に外部サービス特典が含まれない態様と比較して、特典ポイントを消費する態様が増加するため、ユーザーUの利便性を向上できる。
なお、本実施形態では、決定部307は、特典ポイントが大きくなることに応じて、外部サービスを利用できる数が大きくなるように、特典情報PRIを決定することを記載したが、これに限らない。外部サービス特典は、例えば、現金の替わりに使用できるポイントを提供するサービスに、本実施形態の特典ポイントを交換できる特典でもよい。
【0181】
2.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0182】
2-1.第1変形例
上述したように、制御情報CIは、画像処理に関する情報でもよい。制御情報CIが画像処理に関する情報は、例えば、画像処理に含まれる色変換処理において使用されるルックアップテーブルの一部又は全部、画像処理に含まれるRIP処理において使用されるディザパターンの一部又は全部を示す情報、又は、画像処理に含まれるRIP処理において使用される誤差拡散マトリクスの一部又は全部を示す情報である。以下、画像処理に関する情報が、ルックアップテーブルであるとして、第1変形例を説明する。
【0183】
図21は、第1変形例に係る制御情報CIの一例を説明するための図である。図21では、インクジェットプログラムPM2の初期値であるルックアップテーブルLT1と、第1変形例に係る制御情報CIであるルックアップテーブルLT2とを示す。ルックアップテーブルLT1とルックアップテーブルLT2との差異は、(R,G,B)=(0,0,128)の変換後のCMY値が、(C,M,Y)=(128,128,0)から、(C,M,Y)=(172,64,0)に変更されている。
【0184】
ルックアップテーブルを変更することにより、第1変形例に係るインクジェットシステム10は、第1実施形態と同様に、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた吐出動作を実行できる。例えば、ヘッドユニットHUの使用条件によって吐出量が少なくなる場合、CMY値のうち1つの値又は複数の値を大きくすればよい。例えば、条件情報UIに含まれる情報が、インクの粘度を示す情報であり、一般的な粘度よりも高粘度を示す前提とする。この前提のもと、生成部303は、ルックアップテーブルを、CMY値のうち1つの値又は複数の値を大きくするように生成する。条件情報UIに含まれる情報が、ヘッドユニットHUの種類に関する情報、記録媒体PPの種類に関する情報、及び、温度に関する情報のいずれか1つ又は複数であっても、インクの種類に関する情報と同様に適用できる。
【0185】
第1変形例に係るインクジェットシステム10の一連の動作は、ステップSC32によって表示される記録動作実行画面CWが相違し、且つ、ステップSC34の処理が相違する点で、第1実施形態とは異なる。第1変形例に係る記録動作実行画面CWAを、図22を用いて説明する。
【0186】
図22は、第1変形例に係る記録動作実行画面CWAの一例を示す図である。記録動作実行画面CWAは、入力フィールドIC1の替わりに、ルックアップテーブルを編集する編集ボタンBC3を有する点で、記録動作実行画面CWと相違する。
【0187】
編集ボタンBC3が押下された場合、表示装置270は、制御回路210の制御のもと、ルックアップテーブルの各値を示す画像を表示する。ユーザーUは、表示されたルックアップテーブルの各値を編集することが可能である。
【0188】
ステップSC34の処理において、制御回路210は、第1変形例に係る制御情報CIであるルックアップテーブルLT2を受信し、記憶回路220に記憶されたルックアップテーブルLT1を、ルックアップテーブルLT2で上書きする。又は、制御回路210は、編集ボタンBC3が押下され、ユーザーUによって編集されたルックアップテーブルで、記憶回路220に記憶されたルックアップテーブルLT1を上書きする。
【0189】
以上、第1変形例において、処理装置200は、画像データに画像処理を実行することにより、記録動作に用いる記録データDPを生成し、第1変形例における制御情報CIは、画像処理に関する情報である。
第1変形例に係るインクジェットシステム10によれば、クラウドサーバーCSが、画像処理に関する情報を記録システム20に送信することにより、記録システム20は、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた吐出動作を実行できる。第1実施形態と比較すると、第1変形例では、駆動信号Comの細かい調整が不要である。従って、第1変形例に係るインクジェットシステム10は、駆動素子111fが発熱素子でもよい。発熱素子は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、加熱により圧力室CVの内部に気泡を発生させて、圧力室CVの内部の圧力を変動させる。
【0190】
2-2.第2変形例
上述した各態様では、特典情報PRIが示す特典が、5つの種類の特典のいずれかであったが、ユーザーUが複数の種類の特典から選択可能であってもよい。
【0191】
図23は、第2変形例に係るインクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートである。但し、第2変形例に係るインクジェットシステム10の一連の動作は、第1実施形態に係るインクジェットシステム10の一連の動作と比較して、図11の部分のみ相違する。従って、この相違部分のみ説明し、図9及び図10に相当する部分の動作の図示を省略する。
【0192】
ステップSS54の処理終了後、又は、ステップSS50の判定結果が否定である場合、クラウドサーバーCSは、決定部307として機能して、ステップSS72において、契機情報TRIに基づいて特典候補情報PKIを生成する。特典候補情報PKIは、ユーザーUに付与する特典の候補である複数の特典を示す。複数の特典候補は、例えば、第1実施形態で説明した5つの種類の特典のうち2以上の種類の特典を示す。
【0193】
決定部307は、より具体的には、現在の特典ポイントの合計に基づいて、特典候補情報PKIを生成する。ここで、特典候補情報PKIが示す特典の数は、現在の特典ポイントの合計に応じて変動してもよい。具体的には、決定部307は、現在の特典ポイントの合計が10点以上49点以下である場合、ヘッドユニットHUを5%引きで購入できる特典と、ヘッドユニットの保証期間を1か月延長できる特典と、3つの制御情報CIの提供を受けることができる特典と、外部サービスを1つ選択できる特典という4つの特典を示す特典候補情報PKIを生成する。また、決定部307は、現在の特典ポイントの合計が50点以上99点以下である場合、ヘッドユニットHUを10%引きで購入できる特典と、ヘッドユニットの保証期間を3か月延長できる特典と、5つの制御情報CIの提供を受けることができる特典と、外部サービスを2つ選択できる特典という4つの特典を示す特典候補情報PKIを生成する。また、決定部307は、現在の特典ポイントの合計が100点以上199点以下である場合、ヘッドユニットHUを20%引きで購入できる特典と、ヘッドユニットの保証期間を6か月延長できる特典と、7つの制御情報CIの提供を受けることができる特典と、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典と、外部サービスを3つ選択できる特典という5つの特典を示す特典候補情報PKIを生成する。また、決定部307は、現在の特典ポイントの合計が200点以上である場合、ヘッドユニットHUを30%引きで購入できる特典と、ヘッドユニットの保証期間を1年延長できる特典と、10個の制御情報CIの提供を受けることができる特典と、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典と、外部サービスを4つ選択できる特典という5つの特典を示す特典候補情報PKIを生成する。以上から理解されるように、上述の例では、現在の特典ポイントの合計が100点未満である場合、特典候補情報PKIは4つの特典を示し、現在の特典ポイントの合計が100点以上である場合、特典候補情報PKIは5つの特典を示す。
【0194】
ステップSS72の処理終了後、クラウドサーバーCSは、ステップSS74において、特典候補情報PKIと、次の最大特典数に到達するまでの特典ポイントを示す次特典ポイントNMIとを処理装置200又は携帯端末700に送信する。次特典ポイントNMIは、次の最大特典数となる特典ポイントの合計から、現在の特典ポイントの合計を減じた値である。なお、クラウドサーバーCSは、ステップSS74において、次特典ポイントNMIを送信しなくてもよい。クラウドサーバーCSは、ステップSS74の処理終了後、処理装置200又は携帯端末700からの応答を待ち受ける。
【0195】
処理装置200又は携帯端末700は、特典候補情報PKIを受信した場合、ステップSC72において、自身の表示装置に特典選択画面SWを表示させる。特典選択画面SWについて図24を用いて説明する。
【0196】
図24は、特典選択画面SWの一例を示す図である。図24では、説明の簡略化のため、処理装置200が特典選択画面SWを表示する例を用いて説明する。図24に示す特典選択画面SWは、特典候補情報PKIが、特典A、特典B、特典C、特典D、及び、特典Eという5つの特典を示す例を示してある。特典選択画面SWは、ユーザーUに特典を選択することを促す文字列STR2と、ユーザーUが選択可能な特典の数が示す選択上限数が表示される選択上限数領域IS1と、次特典ポイントNMIが示す特典ポイントが表示される次特典ポイント領域IS2と、特典A~特典Eのそれぞれの詳細を確認できる確認ボタンBS1~BS5と、特典A~特典Eのそれぞれを選択するチェックボックスTS1~TS5と、特典の選択を終了する選択終了ボタンBS6とを有する。
【0197】
図24では、現在の特典ポイントが150点である例を示してある。従って、例えば、特典Aは、ヘッドユニットHUを20%引きで購入できる特典である。特典Bは、ヘッドユニットの保証期間を6か月延長できる特典である。特典Cは、7つの制御情報CIの提供を受けることができる特典である。特典Dは、残留振動によりヘッドユニットHUの寿命を判定する方法を実行できる特典である。特典Eは、外部サービスを3つ選択できる特典である。また、図24に示す次特典ポイント領域IS2に表示される特典ポイントが200点-150点=50点である例を示す。また、選択上限数領域IS1は、ヘッドメーカーによって設定された所定数が設定される。図24の例では、選択上限数は、3である。
【0198】
確認ボタンBS1~BS5のうちいずれかのボタンが押下された場合、表示装置270は、制御回路210の指示のもと、押下されたボタンに対応する特典を示す文字列を表示する。例えば、確認ボタンBS1が押下された場合には、ヘッドユニットHUが割引で購入できることを示す文字列が表示される。
【0199】
チェックボックスTS1~TS5のうちいずれかのチェックボックスが押下された場合、表示装置270は、制御回路210の指示のもと、押下されたチェックボックスが選択された画像を表示する。図24の例では、チェックボックスTS1と、チェックボックスTS3とが選択されている。
【0200】
選択終了ボタンBS6が押下された場合、制御回路210は、チェックボックスTS1~TS5のうちユーザーUによって選択されたチェックボックスの数が、選択上限数領域IS1に表示される選択上限数以下であるかを判定する。選択されたチェックボックスの数が選択上限数より多い場合、制御回路210は、選択されたチェックボックスの数を選択上限数領域IS1に表示された選択上限数以下にしてから再度選択終了ボタンBS6を押下するようユーザーUに通知する警告ダイアログを表示する。
【0201】
説明を図24に戻す。選択されたチェックボックスの数が選択上限数以下である場合、制御回路210は、ステップSC74において、選択されたチェックボックスに対応する特典を示す選択情報PSIを生成する。選択情報PSIは、入力装置260によってユーザーUが選択した1又は複数の特典を示すともいえる。ステップSC74の処理終了後、処理装置200は、ステップSC76において、選択情報PSIをクラウドサーバーCSに送信する。
【0202】
クラウドサーバーCSは、選択情報PSIを受信した場合、ステップSS76において、選択情報PSIを特典情報PRIとして決定する。ステップSS76の処理終了後、クラウドサーバーCSは、ステップSS58の処理を実行する。
【0203】
以上、第2変形例に係るインクジェットシステム10において、処理装置200は、ユーザーUの操作を示す操作情報を受け付ける入力装置260を有し、特典情報PRIを決定する処理は、契機情報TRIに基づいて、ユーザーUに付与する特典の候補である複数の特典を示す特典候補情報PKIを生成し、特典候補情報PKIを処理装置200に送信し、特典候補情報PKIが示す複数の特典のうち、入力装置260によってユーザーUが選択した1又は複数の特典を示す選択情報PSIを処理装置200から受信し、選択情報PSIを特典情報PRIとして決定する。また、携帯端末700は、ユーザーUの操作を示す操作情報を受け付ける入力装置760を有し、特典情報PRIを決定する処理は、契機情報TRIに基づいて特典候補情報PKIを生成し、特典候補情報PKIを処理装置200に送信し、選択情報PSIを携帯端末700から受信し、選択情報PSIを特典情報PRIとして決定する。
第2変形例に係るインクジェットシステム10は、特典候補情報PKIが示す複数の特典の中から、ユーザーUが特典を選択できるため、ユーザーUの利便性を向上できる。
【0204】
なお、図23に示すように、第2変形例でも、処理装置200及び携帯端末700は、ステップSC62において、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を、自身の表示装置に表示させるが、これに限らない。処理装置200及び携帯端末700は、特典情報PRIが示す特典をユーザーUが認識可能な画像を自身の表示装置に表示させなくてもよい。
【0205】
2-3.第3変形例
上述の各態様において、契機情報TRIは、ユーザーUによるヘッドユニットHUの購入履歴に関する購入履歴情報を含んでもよい。購入履歴情報は、例えば、ユーザーUが購入したヘッドユニットHUの数と、ユーザーUが購入したヘッドユニットHUの種類と、ヘッドユニットHUをユーザーUが購入した日時を示す情報とのうち1つの情報又は複数の情報を有する。例えば、決定部307は、購入履歴情報に応じた特典ポイントを、現在の特典ポイントの合計に追加する。例えば、購入履歴情報が、ユーザーUが購入したヘッドユニットHUの数である場合、決定部307は、ユーザーUが購入したヘッドユニットHUの数が多くなることに応じて、購入履歴情報に応じた特典ポイントを大きくする。
【0206】
契機情報TRIが購入履歴情報を含むことにより、例えば、ユーザーUがヘッドユニットHUを購入した数が多くなる程、ユーザーUに付与される特典が大きくなるため、ユーザーUがインクジェットシステム10を利用し続ける可能性を高めることができる。
【0207】
2-4.第4変形例
上述の各態様において、契機情報TRIは、ユーザーUによる別のユーザーの紹介履歴に関する紹介履歴情報を含んでもよい。紹介履歴情報は、例えば、ユーザーUが別のユーザーをインクジェットシステム10に紹介した人数と、ユーザーUが別のユーザーをインクジェットシステム10に紹介した日時を示す情報とのうち1つの情報又は複数の情報を有する。例えば、決定部307は、紹介履歴情報に応じた特典ポイントを、現在の特典ポイントの合計に追加する。例えば、紹介履歴情報が、ユーザーUが別のユーザーをインクジェットシステム10に紹介した人数である場合、決定部307は、ユーザーUが別のユーザーをインクジェットシステム10に紹介した人数が多くなることに応じて、紹介履歴情報に応じた特典ポイントを大きくする。
【0208】
ユーザーUが別のユーザーをインクジェットシステム10に紹介した人数が多くなる程、ユーザーUがインクジェットシステム10に貢献した度合いが大きいと言える。従って、第4変形例に係るインクジェットシステム10によれば、契機情報TRIが紹介履歴情報を含むことにより、貢献した度合いが大きいユーザーUに、大きな特典を与えることができる。
【0209】
2-5.第5変形例
上述の各態様において、記録動作情報PDIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとを有するが、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとの少なくとも1つが含まれていればよい。図25を用いて第5変形例を示す。
【0210】
図25は、第5変形例における記録動作情報PDIと契機情報TRIとを説明するための図である。第5変形例における記録動作情報PDIは、条件情報UIと特性情報TIとを有する。そして、第5変形例における契機情報TRIは、特性情報TIである。このように、記録動作情報PDIは、条件情報UIと、特性情報TIと、評価情報HIとの少なくとも1つが含まれていればよく、契機情報TRIは、記録動作情報PDIの一部のみの情報を有してもよい。
【0211】
2-6.第6変形例
上述の各態様において、記録システム20から取得した条件情報UIがヘッドメーカーの把握する条件情報UIでない場合に、ユーザーUに付与する特典が大きくなるように特典情報PRIを決定してもよい。
【0212】
図26は、第6変形例に係る決定部307を説明するための図である。クラウドサーバーCSは、記録動作情報データベースPDBにアクセス可能である。上述したように、記録動作情報データベースPDBは、条件情報UIの履歴を有する。記録動作情報データベースPDBは、記憶回路320に記憶されている。なお、記録動作情報データベースPDBは、「条件情報履歴情報」の一例である。記憶回路320が、「条件情報履歴情報を記憶する記憶装置」の一例である。
【0213】
但し、記録動作情報データベースPDBは、サーバー300内の記憶回路320以外の記憶装置、例えば、データベースサーバー等に記憶されてもよい。この場合、クラウドサーバーCSは、ネットワークNWを経由して、記録動作情報データベースPDBが記憶された記憶装置にアクセス可能である。
【0214】
決定部307は、ステップSS10の判定結果が肯定であった後、ステップSS16の処理前に、記録システム20から受信した条件情報UIと同一の情報が、記録動作情報データベースPDBに含まれるか否かを判定する。そして、決定部307は、受信した条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まれるか否かと、契機情報TRIとに基づいて、特典情報PRIを決定する。受信した条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まない場合の特典の大きさは、受信した条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まれる場合の特典の大きさよりも大きい。
【0215】
例えば、クラウドサーバーCSが、ある記録動作において、図26に示すレコードRC-8の条件情報UIを受信したとする。図26から理解されるように、レコードRC-8の条件情報UIと同一の情報が、記録動作情報データベースPDB内のレコードRC-1の条件情報UIとして含まれる。また、クラウドサーバーCSが、前述の記録動作とは異なる記録動作において、図26に示すレコードRC-9の条件情報UIを受信したとする。図26から理解されるように、レコードRC-9の条件情報UIと同一の情報は、記録動作情報データベースPDBに存在しない。従って、決定部307は、レコードRC-9の契機情報TRIに基づいて決定した特典情報PRIが示す特典の大きさを、レコードRC-8の契機情報TRIに基づいて決定した特典情報PRIが示す特典の大きさより大きく設定する。例えば、ステップSS18、ステップSS44、及び、ステップSS54において、決定部307は、レコードRC-9の契機情報TRIの提供に応じた特典ポイントを、レコードRC-8の契機情報TRIの提供に応じた特典ポイントよりも1より大きい定数倍大きくする。定数は、例えば、2、3等の正の整数である。
【0216】
以上、第6変形例に係るインクジェットシステム10において、記録動作情報PDIは、条件情報UIを少なくとも含み、クラウドサーバーCSは、条件情報UIの履歴を有する記録動作情報データベースPDBを有する記憶回路320にアクセス可能であり、特典情報PRIを決定する処理である決定部307は、記録動作情報PDIに含まれる条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まれない場合の特典の大きさが、記録動作情報PDIに含まれる条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まれる場合の特典の大きさよりも大きくなるように、特典情報PRIを決定する。
第6変形例に係るインクジェットシステム10によれば、記録システム20から取得した条件情報UIがヘッドメーカーの把握する条件情報UIでない場合に、ユーザーUに付与する特典が大きくなるため、ユーザーUが記録動作情報PDIを提供する動機の大きさを大きくできる。従って、第6変形例に係るインクジェットシステム10によれば、第1実施形態に係るインクジェットシステム10と比較して、ヘッドメーカーが想定しない使用条件に関する記録動作情報PDIをより網羅することができる。
【0217】
上述の効果をより顕著にするため、クラウドサーバーCSは、記録システム20から取得した条件情報UIがヘッドメーカーの把握する条件情報UIでない場合に、記録システム20から取得した条件情報UIがヘッドメーカーの把握する条件情報UIである場合と比較して、ユーザーUに付与する特典が大きくなることをユーザーUに通知してもよい。具体的には、クラウドサーバーCSが、ステップSS10の判定結果が肯定であった後、ステップSS16の処理前に、記録システム20から受信した条件情報UIと同一の情報が、記録動作情報データベースPDBに含まれないと判定したと想定する。この想定において、クラウドサーバーCSは、記録動作情報PDIの提供による特典ポイントが通常の特典ポイントよりも大きくなることを示す情報を、処理装置200に送信する。通常の特典ポイントとは、記録システム20から受信した条件情報UIと同一の情報が記録動作情報データベースPDBに含まれる場合の記録動作情報PDIの提供による特典ポイントである。表示装置270は、制御回路210の指示のもと、特性情報取得画面TW及び評価情報取得画面HWの一方又は両方に、記録動作情報PDIの提供による特典ポイントが通常の特典ポイントよりも大きくなることを示す文字列を表示する。この文字列は、例えば、特性情報取得画面TWに表示される場合には、「今回の記録動作では、特性情報を送信して頂けると、通常の特典ポイントよりも多い特典ポイントが獲得できます。」である。
【0218】
2-7.第7変形例
上述の各態様において、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有し、認証情報取得部211と、条件情報取得部213と、制御部215と、特性情報取得部217と、評価情報取得部219として機能する場合、制御回路170が認証情報取得部211と、条件情報取得部213と、制御部215と、特性情報取得部217と、評価情報取得部219として機能するが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが、CPU等の制御回路を有する場合、この制御回路が、認証情報取得部211と、条件情報取得部213と、制御部215と、特性情報取得部217と、評価情報取得部219として機能してもよい。
【0219】
2-8.第8変形例
上述の各態様において、インクジェットプリンター100がネットワークNWと接続可能である場合、通信装置150がネットワークNWと接続するが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが通信装置を有する場合、この通信装置が、ネットワークNWと通信してもよい。
【0220】
2-9.第9変形例
上述の各態様では、ヘッドユニットHUを、X軸に沿う方向に往復動させるシリアル方式のインクジェットプリンター100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター100は、複数のノズルNzが、記録媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0221】
2-10.その他の変形例
上述のインクジェットプリンター100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の記録装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する記録装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する記録装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0222】
10…インクジェットシステム、20…記録システム、100…インクジェットプリンター、110a…液体吐出ヘッド、110b…制御モジュール、111…ヘッドチップ、111a…流路基板、111b…圧力室基板、111c…ノズル板、111d…吸振体、111e…振動板、111f…駆動素子、111g…保護板、111h…ケース、111i…配線基板、112…駆動回路、113…電源回路、114…駆動信号生成回路、120…液体容器、130…移動機構、131…キャリッジ、132…無端ベルト、140…搬送機構、150…通信装置、160…記憶回路、AW…アカウント認証画面、BA1…送信ボタン、BC1,BC2…ボタン、BC3…編集ボタン、BH1…送信ボタン、BH2…スキップボタン、BS1,BS2,BS3,BS4,BS5…確認ボタン、BS6…選択終了ボタン、BT1…送信ボタン、BT2…スキップボタン、BU1…ボタン、BU2…スキップボタン、BU3…送信ボタン、BU4…キャンセルボタン、CI…制御情報、CS…クラウドサーバー、CV…圧力室、CW,CWA…記録動作実行画面、Com…駆動信号、DP…記録データ、FN…ノズル面、HI…評価情報、HR1…入力領域、HU…ヘッドユニット、HW…評価情報取得画面、IA1,IA2…入力フィールド、IH…導入口、IK1,IK5…アイコン、IS1…最大特典数領域、IS2…次特典ポイント領域、IT1,IT2,IT3…領域、IU1,IU2,IU3,IU4…入力フィールド、JB…記録ジョブ、L1…第1列、L2…第2列、LT1,LT2…ルックアップテーブル、NI…認証情報、NMI…次特典ポイント、NW…ネットワーク、Na…連通流路、Nz…ノズル、PDB…記録動作情報データベース、PDI…記録動作情報、PI…記録指示、PKI…特典候補情報、PM1…制御プログラム、PM2…インクジェットプログラム、PP…記録媒体、PRI…特典情報、PSI…選択情報、PX…波形、R…リザーバー、R1,R2…空間、Ra…供給流路、SI…印刷信号、ST1…文字列、SW…特典選択画面、Sk1,Sk2…制御信号、TDB…特典ポイント管理テーブル、TI…特性情報、TRI…契機情報、TS1,TS2,TS3,TS4,TS5…チェックボックス、TW…特性情報取得画面、U…ユーザー、UI…条件情報、UW1…条件情報入力画面、UW2…確認ダイアログ、U_1,U_2,U_3,U_i…ユーザー、V0…中間電位、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、VHX…最高電位、VLX…最低電位、VM…仮想化プログラム、dCom…波形指定信号、i…整数、ΔVh…電位差。
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