(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134713
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】射出成形システムおよび射出成形システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20240927BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240927BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/76
B29C45/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045056
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】堀江 星潤
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM11
4F202CM90
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
4F206JT40
(57)【要約】
【課題】検査装置がロボットの振動の影響を受ける場合に、検査装置の振動を抑制する射出成形システムの技術の提供。
【解決手段】射出成形によってワークを成形する射出成形部と、ワークを搬送するロボットと、ロボットにより搬送されたワークを検査する検査部と、射出成形部と、ロボットと、検査部と、を制御する制御部と、を備え、制御部は、ロボットの制御モードとして、検査部によるワークの検査が行われていない場合に実行される第1制御モードと、検査部によるワークの検査が行われている場合に実行され、第1制御モードよりも検査部を振動させないようにロボットの動作を制限する第2制御モードと、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形システムであって、
射出成形によってワークを成形する射出成形部と、
前記ワークを搬送するロボットと、
前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、
前記射出成形部と、前記ロボットと、前記検査部と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ロボットの制御モードとして、
前記検査部による前記ワークの検査が行われていない場合に実行される第1制御モードと、
前記検査部による前記ワークの検査が行われている場合に実行され、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードと、を有する、射出成形システム。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形システムであって、
前記第2制御モードは、
前記ロボットを駆動させるための原動作信号に対し前記検査部の固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、前記ロボットを動作させる制御モードである、射出成形システム。
【請求項3】
請求項1に記載の射出成形システムであって、
前記第2制御モードは、前記ロボットが加速および減速することを禁止する制御モードである、射出成形システム。
【請求項4】
請求項1に記載の射出成形システムであって、
前記第2制御モードは、前記ロボットの動作を停止させる制御モードである、射出成形システム。
【請求項5】
請求項1に記載の射出成形システムであって、
前記第2制御モードは、
前記ロボットを駆動させるための原動作信号に対し前記検査部を含む固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、前記ロボットを動作させる振動低減制御と、
前記ロボットが加速および減速することを禁止する制御と、
前記ロボットの動作を停止させる制御である停止制御と、
のうち一つを実行する制御モードであり、
前記制御部は、あらかじめ取得された、前記ワーク自身の振動しやすさを示すワーク振動情報と、あらかじめ取得された前記検査部の振動のしやすさを示す検査部振動情報に基づいて、前記振動低減制御と、前記加速および減速することを禁止する制御と、前記停止制御と、のいずれか一つを実行する、射出成形システム。
【請求項6】
請求項1に記載の射出成形システムであって、
前記ロボットと、前記検査部とが、同一の搭載部に搭載されている、射出成形システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の射出成形システムであって、
前記制御部は、あらかじめ定められたタイミングで、前記第1制御モードと、前記第2制御モードを実行し、
前記検査の開始と終了は、前記第2制御モードの実行中に行われる、射出成形システム。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の射出成形システムであって、
前記制御部は、
前記検査の開始を予告する信号を受信したことを契機として、前記ロボットの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードへ制御モードを切り替え、
前記検査の終了を表す信号を受信したことを契機として、前記ロボットの制御モードを前記第2制御モードから前記第1制御モードへ制御モードを切り替える、射出成形システム。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の射出成形システムであって、
前記制御部は、あらかじめ定められた検査開始条件を満たした後に、前記検査部に検査を開始させ、
前記あらかじめ定められた検査開始条件は、
(a1)前記第2制御モードの開始後、あらかじめ定められた時間の経過後であること、
(a2)前記第2制御モードの開始後、前記検査部に備えられた振動測定部によって取得された前記検査部の振動の大きさが、あらかじめ定められた大きさ以下であること、
のいずれかである、射出成形システム。
【請求項10】
射出成形システムの制御方法であって、
射出成形部によってワークを成形し、
ロボットによって、前記ワークを搬送し、
前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、前記射出成形部と、前記ロボットと、を制御する制御部が、
前記検査部によって前記ワークの検査が行われていない場合に、前記ロボットの制御モードとして第1制御モードを実行し、
前記検査部によって前記ワークの検査が行われている場合に、前記ロボットの制御モードとして、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードを実行する、射出成形システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形システムおよび射出成形システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の射出成形機においては、射出成形機によって成形された製品を射出成形機から取り出す製品取り出しロボットと、周辺機器と、を搭載した搭載部を備える架台が、射出成形機本体に固着されている。周辺機器として、製品検査装置が開示されている。特許文献1においては、射出成形機の配置場所が変更される場合に、製品取り出しロボットと、周辺機器と、射出成形機とが、一体化したまま搬送される。そのため、射出成形機の移動に伴って、製品取り出しロボットと、周辺機器とを分離する必要がなくなり、作業量が少なくなる。
【0003】
従来、射出成形機によって成形された製品の品質を検査する方法として、製品の重量を測定し、測定値を基準値と比較する方法が知られている。近年、射出成形機で成形される製品に対するユーザーからの品質要求が高まっており、例えば、1gにも満たない軽量な製品の重量の、基準値との差を要求されることが考えられる。このような射出成形機においては、製品取り出しロボットが搭載された搭載部に、製品検査装置が搭載されていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品検査装置において検査される際に、製品取り出しロボットが動いてる場合、製品取り出しロボットの動きによって、製品検査装置が振動する可能性がある。製品検査装置が振動すると、製品検査装置による安定した製品の測定が行うことができない。そのため、製品検査装置が製品取り出しロボットの振動の影響を受ける場合に、製品の検査において製品検査装置の振動を抑制する技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の形態によれば、射出成形システムが提供される。この射出成形システムは、射出成形によってワークを成形する射出成形部と、前記ワークを搬送するロボットと、前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、前記射出成形部と、前記ロボットと、前記検査部と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ロボットの制御モードとして、前記検査部による前記ワークの検査が行われていない場合に実行される第1制御モードと、前記検査部による前記ワークの検査が行われている場合に実行され、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードと、を有する。
【0007】
本開示の第2の形態によれば、射出成形システムの制御方法が提供される。この射出成形システムの制御方法は、射出成形部によってワークを成形し、ロボットによって、前記ワークを搬送し、前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、前記射出成形部と、前記ロボットと、を制御する制御部が、前記検査部によって前記ワークの検査が行われていない場合に、前記ロボットの制御モードとして第1制御モードを実行し、前記検査部によって前記ワークの検査が行われている場合に、前記ロボットの制御モードとして、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】制御部の構成要素と、ロボットが備えるサーボモーターおよび位置センサーの関係を示すブロック図。
【
図4】ロボットのあるサーボモーターに対して指示される特定動作の一例を示すグラフ。
【
図5】特定動作の速度の波形に対して高速フーリエ変換を行った結果。
【
図6】検査部による検査の方法の一例を示す工程図。
【
図7】第2実施形態における検査部による検査の方法の一例を示す工程図。
【
図8】第3実施形態における検査部による検査の方法の一例を示す工程図。
【
図9】第6実施形態の射出成形システムの概略構成を示す正面図。
【
図10】第6実施形態の射出成形システムの概略構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、本実施形態の射出成形システム1の斜視図である。
図1には、相互に直交するX、Y、Zの方向が示されている。本実施形態では、X方向は、射出成形システム1の構成が並ぶ方向であり、-X方向から+X方向に向かって、後述する第2ユニット22と、射出成形部10と、第1ユニット21の順に並んでいる。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直方向の上向きの方向である。X方向は、垂直方向である。Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。
【0010】
射出成形システム1は、複数のワークWKを射出成形によって成形し、成形した複数のワークWKのそれぞれについて品質を検査して、検査結果を記録する。本実施形態の射出成形システム1は、射出成形によるワークWKの成形と、ワークWKの検査と、検査結果の記録を、自動で行うことができる。
図1に示すように、射出成形システム1は射出成形部10と、オプションユニット20と、を備える。
【0011】
射出成形部10は、射出成形によってワークWKを成形する。射出成形部10は、第1筐体110と、射出成形機120と、取り出し装置130と、運搬装置140と、記憶部150と、制御部160と、を備えている。射出成形部10は射出成形ユニットということもできる。
【0012】
第1筐体110には、射出成形機120と、取り出し装置130と、運搬装置140と、制御部160と、が配置される。第1筐体110は、オプションユニット20と、脱着可能に接続されている。第1筐体110は、第1基台部111と、第1上部枠112と、第1カバー113と、を備える。なお、第1上部枠112および第1カバー113については図示していない。
【0013】
第1基台部111は、第1基台111aと、第2基台111bと、第1基台枠111cと、から構成される。第1基台111aには、射出成形機120と、取り出し装置130と、運搬装置140が配置される。第1基台111aは、第2基台111bの鉛直方向の上側に配置されている。第1基台111aは、板状の部材である。第2基台111bは、記憶部150と、制御部160と、が配置される。第2基台111bは、板状の部材である。第1基台枠111cは、第1基台111aと第2基台111bとを固定する。第1基台枠111cは、第1基台111aと、第2基台111bと接続する立方体状の枠である。第1上部枠112は、射出成形機120と、取り出し装置130と、運搬装置140と、を囲む。第1上部枠112は、第1基台111aの上に配置されている。第1カバー113は、第1基台部111および第1上部枠112に取り付けられ、少なくとも、第1基台部111および第1上部枠112の-Y側、+Y側の端部に設けられている。
【0014】
射出成形機120は、溶融した材料を射出することでワークWKを成形する装置である。射出成形機120は、第1基台111a上において、取り出し装置130と、運搬装置140に対して、+Y側に配置されている。本実施形態において、射出成形機120は、材料を流す射出ユニットと、金型を開閉する型締機構121と、が水平方向に並べられた構造を有している。取り出し装置130は、射出成形機120によって成形されたワークWKを、射出成形機120から取り出す装置である。取り出し装置130は、射出成形機120から取り出したワークWKを運搬装置140まで移動させ、運搬装置140に配置する。取り出し装置は、第1基台111a上において、射出成形機120に対して-Y側かつ、運搬装置140に対して-X側に配置されている。
【0015】
運搬装置140は、取り出し装置130が運搬したワークWKを、運搬装置140の-X方向の端部から+X方向側の端部に向かって移動させる。運搬装置140は、ワークWKを運搬する過程でワークWKに残存するゲート部やライナーを切断する。記憶部150は、ワークWKの検査結果を記録する。
【0016】
制御部160の説明の前に、オプションユニット20について説明する。オプションユニットは、ワークWKの材料の格納および乾燥や、ワークWKの検査を行う。オプションユニット20は、第1ユニット21と第2ユニット22と、を備える。
【0017】
第1ユニット21は、ワークの検査を行う。第1ユニット21は、射出成形部10に対して、+X側に配置されている。本実施形態において、第1ユニット21は、射出成形部10に対して脱着可能に構成されている。第1ユニット21は、第2筐体211と、ロボット212と、検査部213と、スタッキング機構214と、を備える。
【0018】
第2筐体211は、ロボット212と、検査部213と、スタッキング機構214と、を配置している。具体的には、第2筐体211は、後述する第2基台部211aの第1基台211aaの上にロボット212と、検査部213を配置する。また、第2筐体211は、スタッキング機構214を、第2基台部211aの内部から上部に突き出すように収容している。第2筐体211は、第2基台部211aと、第2上部枠211bと、第2カバー211cと、を備える。なお、第2上部枠211bおよび第2カバー211cについては図示していない。
【0019】
第2基台部211aは、第1基台211aaと第2基台211abと、第2基台枠211acと、から構成される。第1基台211aaは、ロボット212と、検査部213が配置される。第1基台211aaは、第2基台211abの鉛直方向の上側に配置されている。第1基台211aaは、板状の部材である。第2基台211abは、板状の部材である。第2基台枠211acは、第1基台211aaと第2基台211abとを固定する。第2基台枠211acは、第1基台211aaと第2基台211abと接続する立方体状の枠である。第2上部枠211bは、ロボット212と、検査部213と、を囲む。第2上部枠211bは第1基台211aaの上に配置されている。第2カバー211cは、第2基台部211aおよび第2上部枠211bに取り付けられている。第2カバー211cは、少なくとも第2基台部211aおよび第2上部枠211bの-Y側、+Y側、+X側の端部に設けられている。
【0020】
ロボット212は、ワークWKを搬送する装置である。本実施形態において、ロボット212は、複数のアクチュエーターによって駆動される、水平多関節ロボットとして構成されている。なお、ロボット212は、水平多関節ロボットでなくてもよく、例えば、直交ロボットであってもよいし、複数の軸を有する垂直多関節ロボットであってもよい。水平多関節ロボットを採用する場合、第1ユニット21への設置が容易である。ロボット212は、運搬装置140によって運搬装置140の+X方向の端部まで運搬されたワークWKを把持し、そのワークWKを検査部213に移動させる。更に、ロボット212は、検査部213によって検査が完了したワークWKを、スタッキング機構214に配置されているパレットPLまで移動させ、パレットPLに載置する。また、ロボット212は、検査部213によって不良品と判定されたワークWKを、ロボット212によって、第2筐体211に設けられた図示しない不良品排出領域に排出する。ロボット212は、第2筐体211において、検査部213の-X側かつ、スタッキング機構214の+Y側に配置されている。
【0021】
ロボット212は、保持部212aと、可動部212bと、図示しないサーボモーター212cと、図示しないサーボアンプ212dと、を備える。保持部212aは、ワークWKの保持および解放が可能である。保持部212aは、可動部212bと接続している。可動部212bは、ロボット212の配置位置に対して相対的に移動することが可能である。可動部212bの移動によって、ワークWKの搬送が可能となる。サーボモーター212cは、ロボット212の各関節を駆動する。サーボモーター212cには、それぞれ図示しない位置センサー212eが取付られている。位置センサー212eは、サーボモーター212cの回転位置および回転速度を検出し、制御部160に送信する。サーボアンプ212dは、サーボモーター212cを制御する。
【0022】
検査部213は、ロボットにより搬送されたワークWKを検査する。本実施形態において、検査部213は、ワークWKの形状と、あらかじめ入力された基準のワークWKの形状との差異に基づいて、ワークWKの品質を検査して、ワークWKの良否を判定する。なお、検査部は、ワークWKの重量と、あらかじめ入力された基準のワークWKの重量との差異に基づいて、ワークWKの品質を検査してもよい。さらに、検査部213は、検査結果を示す信号を、制御部160に送信する。
【0023】
検査部213は、同一の搭載部である第2筐体211に、ロボット212と搭載されている。具体的には、検査部213は、第2筐体211において、ロボット212の+X側に配置されている。検査部213とロボット212とが、別の搭載部に搭載されている態様と比較して、射出成形システム1の大きさを小さくすることができる。また、検査部213は、ロボット212の可動範囲内に配置されている。検査部213がロボット212の可動範囲外に配置されている態様と比較して、射出成形システム1の大きさを小さくすることができる。ロボット212が検査部213にワークWKを搬送することで、射出成形部10によって成形されたワークWKが、例えば作業者の手によって検査部213に運搬される必要なく、検査部213に配置される。本実施形態において、検査部213は、ロボット212と、ロボット212の動作によって生じた振動が伝達する関係にある。検査部213は、カメラ213aと検査台213bと、振動測定部213cとを備えている。なお、
図1において振動測定部213cは図示していない。
【0024】
カメラ213aは、第1基台211aaの上にある支柱213dに取り付けられており、ワークWKの鉛直方向上側からワークWKを撮像する。支柱213dは、X軸方向に移動する機構を備える。カメラ213aによって撮像された画像に基づいて、ワークWKの外観の検査が行われる。検査台213bは、ワークWKが配置される台である。検査台213bは、第2基台部211aの第1基台211aa上に複数設けられ、X軸方向に並ぶように配置される。各検査台213bは、Y軸方向に移動する機構を備えており、カメラ213aの鉛直方向下側の第1位置と、ロボット212およびスタッキング機構214に近づく第2位置と、の間を移動する。検査台213bが第1位置にあるとき、検査台213bに配置されたワークWKがカメラ213aにより撮像される。検査台213bが第2位置にあるとき、ロボット212により、未検査のワークWKが配置され、または、検査済みのワークWKがスタッキング機構214へ搬送される。これにより、ロボット212の搬送に要する時間が短くなる。また、ロボット212とカメラ213aとの干渉を防止できる。
【0025】
振動測定部213cは、検査部213に配置されたワークWKの振動を測定する。振動測定部213cは、検査台213bに設けられている。振動測定部213cが検査台213bに設けられることで、ワークWKの振動をより精度よく測定することができる。振動測定部213cは、ワークWKの振動の大きさを表す物理量を検出する。振動の大きさを表す物理量として、ワークWKの速度や、ワークWKの変位や、ワークWKの加速度が含まれる。本実施形態において、振動測定部213cは、ワークWKの加速度を検出する。振動測定部213cは、検出したワークWKの加速度の情報を示す振動を、制御部160に送信する。なお、振動測定部213cは、ワークWKの速度またはワークWKの変位を検出してもよい。
【0026】
スタッキング機構214は、ロボット212によって検査部213から運ばれた検査済みのワークWKを収容するパレットPLを積み重ねる機構である。スタッキング機構214は、第2筐体211において、ロボット212と検査部213に対して、-Y側に配置されている。スタッキング機構214は、第1配置部214aと、第2配置部214bと、を備える。第1配置部214aと、第2配置部214bのそれぞれに、異なるパレットPLが配置されている。
【0027】
第1配置部214aは、検査部213によって検査された複数のワークWKが配置されるパレットPLを搭載する。第1配置部214aに搭載されたパレットPLに、ロボット212によってワークWKが搬送される。パレットPLにあらかじめ定められた数のワークWKが配置されると、第1配置部214aはパレットPLを第2基台部211aの内部に向かって下降させる。第1配置部214aは、第2筐体211において、ロボット212の可動範囲内に設置されている。第2配置部214bは、下降した第1配置部214aのパレットPLの上に、第2配置部214bの上に配置されたパレットPLをスライドさせて移動させる。第2配置部214bは、鉛直方向に複数のパレットPLを積み重ねており、鉛直方向の最上部のパレットPLを、第1配置部214aに移動させる。その後、第2配置部214bは、残りのパレットPLを上昇させる。第2配置部214bは、第2筐体211において、ロボット212の可動範囲内に設置されている。
【0028】
第2ユニット22は、予め貯留されている材料を除湿および乾燥し、射出成形機120に供給する。第2ユニット22は、第3筐体221と、供給装置222と、を備える。第3筐体221は、第3基台部221aと、第3上部枠221bと、第3カバー221cと、を備える。なお、第3上部枠221bと、第3カバー221cについては図示していない。第3基台部221aは、鉛直方向の上下に配置される2枚の板状の基台221aa、221abと、第3基台枠221acから構成される。第3基台枠221acは、2枚の基台221aa、221abを固定する。第3基台枠221acは、2枚の基台221aaと、221abと接続する立方体状の枠である。第3上部枠221bは、第3基台部221aの基台221aaの上に、供給装置222を囲むように設けられる。第3カバー221cは、第3基台部221aおよび第3上部枠221bに取り付けられ、少なくとも第3基台部221aおよび第3上部枠221bの-Y側、+Y側、-X側の端部に設けられる。供給装置222は、射出成形機120で用いられる樹脂材料を射出成形機120に供給する。
【0029】
図2は、制御部160を示すブロック図である。
図3は、制御部160の構成要素と、ロボット212が備えるサーボモーター212cおよび位置センサー212eの関係を示すブロック図である。制御部160は、射出成形部10と、第1ユニット21と、第2ユニット22と、を制御する装置である。つまり、制御部160は、射出成形部10と、ロボット212と、検査部213と、を制御する。本実施形態において、制御部160は、ロボット212の制御モードとして、第1制御モードM1と、第2制御モードM2と、を備え、ロボット212を第1制御モードM1と、第2制御モードM2のいずれかの制御モードで動作させる。第1制御モードM1と、第2制御モードM2の詳細ついては後に説明する。
【0030】
制御部160は、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)によって構成されている。PLCによって構成された制御部160は、ラダー言語によってプログラミングされることにより、上述した各装置の連係動作を制御する。制御部160は、入力部161と、演算部162と、出力部163と、を備えている。
【0031】
入力部161は、射出成形機120やロボット212や検査部213の動作の状態を示す情報が入力される。出力部163は、演算部162から伝えられた指令を射出成形機120やロボット212や検査部213に送信する。演算部162は、入力部161に入力された情報に基づいて、射出成形機120やロボット212や検査部213の動作を決定する。本実施形態において、演算部162は、振動低減処理部162Aを備える。
【0032】
振動低減処理部162Aは、ロボット212を駆動させるための原動作信号に対し、検査部213の固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を生成し、動作信号を用いて、ロボット212を動作させる。ここでいう検査部213の固有振動数とは、検査部213を含む射出成形システム1が駆動する際に、検査部213が共振する固有振動数のことをいう。振動低減処理部162Aは、制御信号生成部162aと、位置制御部162bと、速度制御部162cと、フィルター設定部162dと、フィルター処理部162eと、トルク制御部162fと、を備える。
【0033】
制御信号生成部162aは、保持部212aが位置すべき目標位置を表す位置制御信号を生成し、位置制御部162bに出力する。本実施形態において、制御信号生成部162aは、トラッキング制御を実施すべき指示をユーザーから受け、トラッキング制御を実施すべき制御信号を、位置制御部162bに出力する。
【0034】
位置制御部162bは、制御信号生成部162aから位置制御信号を受信する。位置制御部162bは、位置フィードバックとして、ロボット212の位置センサー212eから、各サーボモーター212cの回転位置を受信する。さらに、位置制御部162bは、受信した情報に基づいて、ロボット212の各サーボモーター212cの速度制御信号を生成し、出力する。
【0035】
速度制御部162cは、位置制御部162bから速度制御信号を受信する。また、速度制御部162cは、速度フィードバックとして、ロボット212の位置センサー212eから、各サーボモーター212cの回転速度を受信する。速度制御部162cは、その速度制御信号と、各サーボモーター212cの回転速度と、に基づいて、原動作信号を生成し、出力する。
【0036】
フィルター設定部162dは、原動作信号から除去すべき1以上の周波数を指示する制御信号を出力する。フィルター設定部162dは、原動作信号から除去すべき周波数は存在しない旨の制御信号を出力することもできる。
【0037】
フィルター処理部162eは、速度制御部162cから原動作信号を受信する。また、フィルター処理部162eは、フィルター設定部162dから除去すべき1以上の周波数の制御信号を受信する。フィルター処理部162eは、速度制御部162cが出力した原動作信号に対して、制御信号に応じた1以上の周波数成分を除去する処理を行って、新たな動作信号を生成し、出力する。フィルター処理部162eは、帯域除去フィルターを使用して、このような処理を行う。
【0038】
フィルター処理部162eにおいて除去される周波数は、検査部213を含む射出成形システム1が駆動される際に検査部213が共振する周波数である。このような処理を行うことにより、ロボット212がその振動数で動作してしまう事態を防止できる。
【0039】
トルク制御部162fは、フィルター処理部162eから動作信号を受信する。また、サーボアンプ212dから、各サーボモーター212cに供給する電流の電流量を表すフィードバック信号を受信する。トルク制御部162fは、動作信号と、各サーボモーター212cの電流フィードバック信号と、に基づいて、各サーボモーター212cに供給する電流量を決定し、サーボアンプ212dを介して、各サーボモーター212cを駆動する。
【0040】
A2.新たな動作信号の生成:
図4は、ロボット212のあるサーボモーター212cに対して指示される特定動作Mt1の一例を示すグラフである。特定動作Mt1とは、例えば(i)ワークWKを保持したロボット212が、検査部213に向かう動作や、(ii)検査部213にワークWKを配置したロボット212が、検査部213から離れる動作や、(iii)ロボット212が、ワークWKを保持するために、運搬装置140に向かう動作等である。特定動作Mt1は、ユーザーによってあらかじめ制御部160に入力されている。
図4のグラフにおいて、横軸は時間tを表し、縦軸はある関節のサーボモーター212cの動作速度Vを表す。特定動作Mt1においては、サーボモーター212cの動作速度Vは、0から直線的に増加し、その後、直線的に減少して0に戻る。特定動作Mt1の開始から終了までの時間tはTである。
【0041】
図5は、特定動作Mt1の速度の波形に対して高速フーリエ変換を行った結果を示す。
図5において、横軸は周波数を表し、縦軸は各周波数のパワーの実効値を表す。特定動作Mt1は、周波数fp1において最も高いパワーを有し、そこから離れるほど、そのパワーが低くなることが分かる。
【0042】
図4および
図5から分かるように、特定動作Mt1の速度変化の波形によって、各周波数成分が有するパワーが異なる。フィルター処理部162eは、各周波数成分のうち、検査部213を含む射出成形システム1が駆動される際に検査部213が共振する周波数の成分を低減し、特定動作Mt1の周波数の波形に対して逆高速フーリエ変換を行う。フィルター処理部162eは、その結果得られた速度の波形に基づいて、新たな動作信号を生成し、出力する。
【0043】
A3.制御部160によるロボット212の制御モード:
制御部160は、検査部213によるワークWKの検査が行われていない場合に、第1制御モードM1を実行する。そして、制御部160は、検査部213にワークWKを検査させる場合に、第2制御モードM2を実行する。第2制御モードM2は、第1制御モードM1よりも検査部213を振動させないように、ロボット212の動作を制限させる制御モードである。ここで、振動させない対象となる検査部213とは、カメラ213aおよび検査台213bの少なくとも一方を意味する。第1制御モードM1は、速度制御部162cから受信した原動作信号に基づいて、本来の制御信号に忠実にロボット212を駆動させる制御モードである。本実施形態において、第2制御モードM2は、ロボット212を駆動させるための原動作信号に対し検査部213の固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、ロボット212を動作させる制御である振動低減制御と、ロボット212が加速および減速することを禁止する加減速禁止制御と、ロボット212の動作を制御させる停止制御と、のうち一つを実行する制御モードである。本実施形態においては、第2制御モードM2として、振動低減制御が実行される。
【0044】
制御部160は、ユーザーによってあらかじめ取得されたワークWK自身の振動しやすさを示すワーク振動情報と、あらかじめ取得された検査部213の振動のしやすさを示す検査部振動情報に基づいて、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のいずれか一つを実行する。ワーク振動情報は、ワークWKの形状や、ワークWKの重量や、ワークWKの素材等に基づいて、ユーザーよってあらかじめ制御部160に入力される。ワーク振動情報と、検査部振動情報に基づいて、制御モードが選択されるため、検査部213によって高精度な検査が実施されることが可能となる。
【0045】
A4.制御部160による射出成形システム1の制御:
本実施形態において、制御部160は、あらかじめ定められた第2制御モード開始条件を満たした場合に、ロボット212に第2制御モードM2を行わせる。あらかじめ定められた第2制御モード開始条件とは、(i)検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、あらかじめ定められた大きさである第1振動値以下であること、または(ii)ロボット212が、ワークWKを検査部213に配置したときから、あらかじめ定められた時間である第1時間の経過後であること、または(iii)ロボット212が運搬装置140に配置されたワークWKを保持したときから、あらかじめ定められた時間である第2時間の経過後であること、のいずれかである。本実施形態においては、(i)振動測定部213cによって取得された数値が、第1振動値よりも小さくなった場合に、制御部160は、第2制御モードM2を実行してロボット212を動作させる。
【0046】
本実施形態において、制御部160は、あらかじめ定められた検査開始条件が満たされた後に、検査部213に検査を開始させる。あらかじめ定められた検査開始条件は、(a1)第2制御モードM2の開始後、あらかじめ定められた時間である第3時間の経過後であること、または(a2)第2制御モードM2の開始後、検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、あらかじめ定められた大きさである第2振動値以下であること、のいずれかである。なお、第2制御モードM2の開始後、あらかじめ定められた時間である第3時間の経過までの間には、第2制御モードM2が終了しない。本実施形態においては、制御部160は、(a2)第2制御モードM2の開始後、検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、あらかじめ定められた大きさである第2振動値以下である場合に、検査部213に検査を開始させる。
【0047】
本実施形態において、制御部160は、あらかじめ定められたワークWKの検査終了条件に基づいて、第2制御モードM2を終了する。ワークWKの検査終了条件は、(b1)ワークWKの検査の開始のときから、あらかじめ定められた時間である第4時間の経過後であること、または(b2)制御部160が、検査部213から、ワークWKの検査の終了を示す信号を受信したときのいずれかである。本実施形態において、制御部160は、(b1)ワークWKの検査の開始のときから、第4時間の経過後に、第2制御モードM2を終了する。
【0048】
A5.ロボット212の動作と、検査部213による検査:
図6は、検査部213による検査の方法の一例を示す工程図である。検査部213による検査は、制御部160の制御によって実行される。ステップS10において、射出成形部10によって、ワークWKが形成される。ステップS20において、制御部160によって、ロボット212が第1制御モードM1で制御される。ステップS30において、ロボット212によってワークWKが運搬装置140から検査部213に搬送される。
【0049】
ステップS40において、制御部160が射出成形システム1の動作の一部を停止する。本実施形態においては、制御部160が射出成形部10の動作を停止する。ステップS50において、制御部160によって、検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、第1振動値以下となったか否かが判定される。振動測定部213cによって取得された数値が、第1振動値以下である場合、処理はステップS60に移行する。振動測定部213cによって取得された数値が、第1振動値よりも大きい場合、処理は再度ステップS50に移行する。なお、再度のステップS50の処理が行われる場合、前のステップS50の処理から10秒後に、再度のステップS50の処理が行われる。
【0050】
ステップS60において、制御部160によって、第2制御モードM2でロボット212が動作される。本実施形態においては、あらかじめ制御部160に入力されている、検査部213にワークWKを配置したロボット212が、検査部213から離れる動作の速度の波形に対して高速フーリエ変換を行い、検査部213が共振する周波数の成分を低減して得られた速度の波形に基づいて、新たな動作信号を生成する。そして、その動作信号に基づいて、制御部160がロボット212を動作させる。
【0051】
ステップS70において、検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、第2振動値以下となったか否かが、制御部160によって判定される。第2振動値は、ワークWKの形状や重量や、ワークWKが配置された状態の検査部213の振動のしやすさに基づいてユーザーによって決定され、検査部213が安定した状態でワークWKの検査を行うことができる振動の大きさを表す数値である。第2振動値は、第1振動値よりも小さい。振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、第2振動値以下となった場合、処理はステップS80に移行する。振動測定部213cによって取得された検査部の振動の大きさが、第2振動値よりも大きい場合、処理は再度、ステップS70に移行する。なお、処理が再度、ステップS70に移行した場合、前回のステップS70の処理から10秒後に、再度のステップS70の処理が行われる。
【0052】
ステップS80において、検査部213によりワークWKの検査が行われ、検査結果を示す信号が、検査部213から、記憶部150に送信される。これにより記憶部150に、検査結果が記憶される。なお、検査結果を示す信号は、制御部160の図示しないメモリーに送信され、メモリーが検査結果を記憶してもよい。
【0053】
ステップS90において、制御部160は、ワークWKの検査の開始のときから、第4時間の経過後に、ワークWKの検査を終了する。本実施形態においては、第4時間は1秒である。ステップS100において、制御部160は、第4時間が経過したときから、さらに1秒後に、第2制御モードM2を終了する。なお、制御部160は、第4時間が経過したときから1秒後以外に、第2制御モードM2を終了してもよい。
【0054】
ステップS110において、処理を終了するか否かの判定が、制御部160によって行われる。本実施形態において、検査部213により、あらかじめ定められた数のワークWKの検査が行われた場合、制御部160によって処理を終了すると判定され、処理は終了する。あらかじめ定められた数のワークWKの検査が行われていない場合、処理は再度ステップS10に移行する。処理が再度ステップS10に移行する場合、制御部160は第1制御モードM1を実行して、ロボット212を運搬装置140に移動させる。なお、検査が行われたワークWKの数の情報は、検査部213から制御部160に送信される、検査結果を示す信号に含まれている。
【0055】
本実施形態の射出成形システム1によれば、検査部213によってワークWKの検査が行われている場合に、第2制御モードM2によってロボット212が動作されることで、検査部213によってワークWKの検査が行われている場合に、第1制御モードM1によってロボット212が動作される態様と比較して、ロボット212の動作により生じる振動により検査部213が振動することを抑制することができる。これにより、ワークWKを検査する際に、安定してワークWKの検査を行うことができる。
【0056】
また、ロボット212を駆動させるための原動作信号に対し、検査部213を含む固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号で、ロボット212を動作させる制御を行うことで、制御部160によってロボット212が停止される態様と比較して、生産性を維持することができる。その上で、高精度な検査を検査部213が実施することができる。
【0057】
さらに、ロボット212と、検査部213とが、同一の搭載部である第2筐体211に搭載されているため、ロボット212と、検査部213とが、射出成形システム1の、同一の搭載部に搭載されていない構成と比較して、ロボット212の振動が検査部213に伝達しやすい。また、検査部213は、ロボット212の可動範囲内に配置されているため、検査部213がロボット212の可動範囲外に配置されている態様と比較して、ロボット212の振動が検査部213に伝達しやすい。そのため、ロボット212の振動に応じて、検査部213に振動が生じる可能性が高い。本実施形態において、ロボット212と、検査部213とが、同一の搭載部に搭載されていても、制御部160が第2制御モードM2を実行しない態様と比較して、検査部213の振動を抑制することができる。
【0058】
また、射出成形システム1においては、射出成形部10によるワークWKの成形や、ロボット212が検査部213にワークWKを配置する動作や、ロボット212がワークWKを保持する動作によって、検査部213に振動が生じている可能性がある。本実施形態においては、振動測定部213cによって取得された数値が、第1振動値以下となった場合に、制御部160が第2制御モードM2を実行している。そのため、振動測定部213cによって取得された数値が、第1振動値よりも大きい場合に制御部160が第2制御モードM2を実行する場合と比較して、検査部213の振動が小さくなった状態で、制御部160が第2制御モードM2を実行することができる。これにより、第2制御モードM2の実行後の、検査部213による高精度なワークWKの検査が可能となる。
【0059】
さらに、本実施形態においては、検査部213に備えられた振動測定部213cによって取得された検査部213の振動の大きさが、第2振動値以下となったか否かが、制御部160によって判定された後に、検査部213によるワークWKの検査が行われる。そのため、第2振動値よりも大きい状態で検査が行われる態様と比較して、高精度な検査が可能となる。
【0060】
B.第2実施形態:
第2実施形態は、
図6のステップS50における処理および、制御部160が第2制御モードM2として加減速禁止制御を実行する点と、検査開始条件が、第1実施形態と異なる。その他の構成については第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、第2実施形態における検査部213による検査の方法の一例を示す工程図である。第2実施形態においては、
図7のステップS50Bにおいて、ロボット212が、ワークWKを検査部213に配置したときから、あらかじめ定められた時間である第1時間の経過後に、制御部160が、第2制御モードM2を実行する。第2実施形態において、第1時間は5秒である。また、第2実施形態において、制御部160は、ロボット212に、加減速禁止制御を実行させる。第2実施形態においては、制御部160は、ロボット212が加速および減速することを禁止し、ロボット212に等速直線運動を行わせる。その後、処理はステップS80Bに移行する。
【0062】
ステップS80Bにおいて、第2制御モードM2の開始後、あらかじめ定められた時間である第3時間の経過後であって、第2制御モードM2でロボット212が動作されている間に、検査部213がワークWKを検査する。検査結果は、記憶部150に記憶される。本実施形態においては、第3時間は1秒である。その後、処理はステップS90に移行する。
【0063】
第2実施形態において、第1実施形態と同様の効果が生じる。すなわち、第2制御モードM2によってロボット212が動作されることで、第1制御モードM1によってロボット212が動作される態様と比較して、ロボット212の動作により生じる振動により検査部213が振動することを抑制することができる。これにより、ワークWKを検査する際に、安定してワークWKの検査を行うことができる。
【0064】
また、制御部160によって、ロボット212が、加速および減速することが禁止されるため、ロボット212の動作において、振動が生じることを抑制することができる。これにより、ロボット212の振動が検査部213に伝達することが抑制されるため、検査部213による検査の精度が向上する。
【0065】
さらに、制御部160によって射出成形部10の動作が停止され、ロボット212が、ワークWKを検査部213に配置したときから、あらかじめ定められた時間である第1時間の経過後に制御部160が、第2制御モードM2を実行する。これにより、第1時間の経過前に制御部160が第2制御モードM2を実行する態様と比較して、検査部213の振動が小さくなっている可能性が高い状態で、第2制御モードM2が実行される。
【0066】
第2実施形態においては、第2制御モードM2の開始後、第3時間の経過後に、検査部213がワークWKを検査する。そのため、検査の開始のタイミングをユーザーが管理することができる。
【0067】
C.第3実施形態:
第3実施形態は、
図6のステップS30ないしS50の処理と、検査終了条件が、第1実施形態と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0068】
第3実施形態においては、検査部213は、ワークWKの検査を終了した際に、ワークWKの検査の終了を示す信号を制御部160に送信する。
【0069】
図8は、第3実施形態における検査部213による検査の方法の一例を示す工程図である。第3実施形態においては、ステップS30Cにおいて、射出成形システム1の一部の動作が停止される。ステップ40Cにおいて、ロボット212によってワークWKが保持される。ステップS50Cにおいて、ロボット212が運搬装置140に配置されたワークWKを保持したときから、あらかじめ定められた時間である第2時間の経過後に、制御部160が第2制御モードM2を実行する。制御部160が第2制御モードM2を実行するのは、ロボット212がワークWKを検査部213に配置する前である。本実施形態において、第2時間は1秒である。ステップS60において、制御部160が、ロボット212の動作を制御させる停止制御を実行させる。その後、処理はステップS70ないしステップS80を経て、ステップS90Cに移行する。
【0070】
ステップS90Cにおいて、制御部160が、検査部213から、ワークWKの検査の終了を示す信号を受信する。そして、処理はステップS100に移行する。
【0071】
第3実施形態において、第1実施形態と同様の効果が生じる。すなわち、第2制御モードM2によってロボット212が動作されることで、第1制御モードM1によってロボット212が動作される態様と比較して、ロボット212の動作により生じる振動により検査部213が振動することを抑制することができる。これにより、ワークWKを検査する際に、安定してワークWKの検査を行うことができる。
【0072】
第3実施形態においては、制御部160によって射出成形部10の動作が停止され、ロボット212が運搬装置140に配置されたワークWKを保持したときから、あらかじめ定められた時間である第2時間の経過後に、制御部160が第2制御モードM2を実行する。これにより、第2時間の経過前に制御部160が第2制御モードM2を実行する態様と比較して、検査部213の振動が小さくなっている可能性が高い状態で、第2制御モードM2が実行される。
【0073】
さらに、検査部213から、ワークWKの検査の終了を示す信号を受信した後に、ロボット212の制御モードが、第2制御モードM2から第1制御モードM1に切り替わるため、確実に第2制御モードM2が実行されている間に、検査部213による検査が終了する。
【0074】
D.第4実施形態:
第4実施形態は、第2制御モードM2と、検査部213によるワークWKの検査が制御部160によって実行されるタイミングが、上記実施形態と異なる。その他の構成については、上記実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0075】
第4実施形態においては、制御部160によって、あらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードM1と、第2制御モードM2が実行される。具体的には、第2制御モードM2を実行することによる、ワークWKの成形の効率の低下が、最も小さくなるような、第1制御モードM1および第2制御モードM2のタイミングが、ユーザーによってあらかじめ制御部160に入力される。そして、そのあらかじめ定められたタイミングで、制御部160によって、射出成形システム1が制御される。
【0076】
第4実施形態においては、まず、射出成形部10によってワークWKが成形されたことを示す信号が、射出成形部10から制御部160に送信された後、運搬装置140においてワークWKが配置されたときに、制御部160がロボット212を第1制御モードM1で動作させて、運搬装置140に配置されたワークWKを保持する。そして、制御部160によって第1制御モードM1が実行された状態で、ロボット212が検査部213にワークWKを配置する。
【0077】
ロボット212がワークWKを検査部213に配置したことを示す信号をロボット212から受信した制御部160が、ロボット212を、第2制御モードM2で動作させる。なお、第2制御モードM2は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御のうちいずれが実行されてもよい。制御部160による第2制御モードM2の実行中に、検査部213によるワークWKの検査が開始される。そして、制御部160による第2制御モードM2の実行中に、検査部213によってワークWKの検査が終了する。検査の開始と終了は、制御部160による第2制御モードM2の実行中、制御部160によってあらかじめ定めれたタイミングで行われる。第4実施形態においては、第2制御モードM2の開始から終了までの時間は1秒である。なお、第2制御モードM2の開始から終了までの時間は1秒未満であってもよく、1秒以上であってもよい。
【0078】
第4実施形態においてはあらかじめ定められたタイミングで第2制御モードM2が実行される。そのため、射出成形システム1における作業の遅延の可能性を低減することができる。
【0079】
E.第5実施形態:
第5実施形態は、制御部160によって第2制御モードM2が実行されるタイミングが、上記実施形態と異なる。その他の構成については、上記実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0080】
第5実施形態においては、制御部160は、検査の開始を予告する信号を受信したことを契機として、ロボット212の制御モードを第1制御モードM1から第2制御モードM2へ制御モードを切り替える。具体的には、制御部160は、射出成形システム1を構成する装置から、検査の開始を予告する信号を受信し、それを契機として、ロボット212の制御モードを第1制御モードM1から第2制御モードM2へ制御モードを切り替える。射出成形システム1を構成する装置は、検査部213であってもよく、ロボット212であってもよく、射出成形部10であってもよい。
【0081】
射出成形システム1を構成する装置による検査の開始を予告する信号の送信は、その装置が実行するある特定の動作と、その装置が実行する他の動作を比較した際に、第2制御モードM2が実行された場合に、及ぼす影響が小さい動作の際に、行われる。例えば検査部213の場合、ワークWKの検査の開始をする直前に、検査の開始を予告する信号を送信する。具体的には、ロボット212によりワークWKが配置されたことを、カメラ213aが検出した場合に、検査の開始を予告する信号を送信する。ロボット212の場合、検査部213にワークWKを配置した直後に、検査の開始を予告する信号を制御部160に送信する。射出成形部10の場合、複数のワークWKを射出成形によって成形する合間に、検査の開始を予告する信号を制御部160に送信する。なお、ここに挙げた検査の開始を予告する信号の送信のタイミングは一例である。
【0082】
制御部160によってロボット212の制御モードが第2制御モードM2に切り替えられた後、検査部213によってワークWKの検査が実行される。そして、検査の終了を表す信号を、制御部160が受信したことを契機として、ロボット212の制御モードを、第2制御モードM2から第1制御モードM1へ切り替える。検査の終了を表す信号は、検査部213から送信される。
【0083】
第5実施形態において、制御部160が、ワークWKの検査の開始を予告する信号を契機として第2制御モードM2を実行する。そのため、射出成形システム1の生産性の低下を低減することが可能である。
【0084】
F.第6実施形態:
図9は、第6実施形態の射出成形システム1Fの概略構成を示す正面図である。
図10は、第6実施形態の射出成形システム1Fの概略構成を示す平面図である。第6実施形態は、上記実施形態と、射出成形機やロボットや検査部の構成が異なる。制御部によるロボットの制御は上記実施形態と同様であるので、詳細を省略する。
【0085】
図9及び
図10には、互いに直交するX、Y、Zの方向が示されている。X軸及びY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。+Z方向は、鉛直方向の上方向であり、-Z方向は、鉛直方向の下方向である。
【0086】
図9および
図10に示すように、射出成形システム1Fは、メインユニット40と、第2オプションユニット50とを備える。メインユニット40および第2オプションユニット50は、上記実施形態と同様に、それぞれ、基台部、上部枠、およびそれらの周囲をカバーによって覆われている。
図2に示すように、メインユニット40は、第2射出成形機410と、射出機制御部420と、を備えている。
【0087】
第2射出成形機410は、インサート成形を行う射出成形機として構成されている。射出機制御部420は、プロセッサーと、記憶部421と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成されている。プロセッサーが記憶部421にプログラムを読み込んで実行することにより、第2射出成形機410を制御する。また、プロセッサーは、第2オプションユニット50に備えられた、後述するロボットユニット510と、検査ユニット520と、付帯機器ユニット530と、を制御することによって、射出成形システム1Fを統括制御する機能を発揮する。第6実施形態において、第2射出成形機は、材料を流す射出ユニットと、金型を開閉する図示しない型締機構と、が鉛直方向に並べられた構造を有している。
【0088】
第2オプションユニット50は、ロボットユニット510と、検査ユニット520と、付帯機器ユニット530を備える。ロボットユニット510は、第2ロボット511を備える。第2ロボット511は、第2射出成形機410によって成形されたワークを検査部521に運搬する。第2ロボット511は、水平多関節ロボットによって構成されている。なお、第2ロボット511は、水平多関節ロボットでなくてもよく、例えば、直交ロボットであってもよいし、垂直多関節ロボットであってもよい。第2ロボット511は、アーム511aと、ロボット制御部511bと、を備えている。
【0089】
アーム511aは、エンドエフェクターを備えている。アーム511aには、エンドエフェクターとして、ワークを吸着するための吸着パッドが取り付けられている。第2射出成形機410によって成形されたワークが、吸着パッドに吸着されることにより、ワークが検査部521に運搬される。第2ロボット511は、ロボットユニット510の筐体に固定された板状の基台を有する基台部上に設置されている。
【0090】
ロボット制御部511bは、射出機制御部420と同様に、コンピューターによって構成されている。ロボット制御部511bは、記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、アーム511aやエンドエフェクターの動作を制御し、ロボット212に種々の機能を発揮させる。第6実施形態において、第2ロボットの動作は、ロボット制御部511bを介して、射出機制御部420のプロセッサーによって制御される。
【0091】
検査ユニット520は、検査部521と、第3配置部522と、を備える。
図8において、検査部521は、ロボットユニット510の筐体に固定された板状の基台を有する基台部上に配置されている。なお、検査ユニット520は、ロボットユニット510から独立していてもよい。例えば、検査ユニット520は、メインユニット40に接続していてもよい。
【0092】
検査部521は、第2ロボット511によって運搬されたワークを検査する。詳細には、上記実施形態と同様に、検査部521が備えるカメラによって撮像された画像に基づいて、検査部521によって、ワークの形状と、基準となるワークの形状との差異が判別される。検査部521は、検査の結果を示す信号を射出機制御部420に送信する。これにより、射出機制御部420によって、検査の結果が記憶部に記憶される。
【0093】
付帯機器ユニット530は、型温度調節機531と、材料送出装置532と、を備える。型温度調節機531は、図示しない配管を介して、第2射出成形機410に設置されている成形型の冷却管に熱媒を循環させ、成形型の温度を調節する。材料送出装置532は、第2射出成形機410で用いられる材料を除湿および乾燥しつつ貯留する乾燥機と、乾燥機に貯留された材料を材料供給部に送出するローダーとによって構成され、図示しないチューブ等を介して材料供給部に材料を送出する。
【0094】
第6実施形態においても、上記実施形態と同様に、制御部160によってロボット212の動作の制御が行われる。これによりロボット212の動作により生じる振動により、検査部213が振動することを抑制することができる。これにより、ワークWKを検査する際に、安定してワークWKの検査を行うことができる。
【0095】
G.他の実施形態:
G1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、検査部213は、振動測定部213cを備えている。なお、例えば、制御部が、あらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードと、第2制御モードを実行する態様であるときに、検査部は、振動測定部を備えていなくてもよい。また、振動測定部213cは、検査台213bに設けられている。なお、振動測定部213cは、カメラ213aに設けられてもよい。また、振動測定部213cは、第2筐体211、ロボット212、またはスタッキング機構214に設けられてもよい。
【0096】
(2)上記第1実施形態ないし第3実施形態において、制御部160が、第2制御モードM2の実行前に、射出成形部10の一部の動作を停止する。なお、制御部が、第2制御モードの実行前に、射出成形部の一部の動作を遅くしてもよい。また、例えば制御部が、第2制御モードの実行前に、スタッキング機構の動作を停止してもよい。また、例えば
図6のステップS20の前に、射出成形部の動作が停止されてもよい。射出成形部の動作の停止は、射出成形システムが配置されている環境における検査部の振動のしやすさや、ワークの形状等に応じて、ユーザーによって変更されることが可能である。また、あらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードと、第2制御モードと、検査部によるワークの検査と、を実行する態様や、検査の開始を予告する信号を受信したことを契機として、ロボットの制御モードを第1制御モードから第2制御モードへ切り替える多様において、制御部が射出成形部の動作を停止しなくてもよい。
【0097】
(3)上記第1実施形態において、制御部160は、あらかじめ定められた第2制御モード開始条件を満たした場合に、ロボット212に第2制御モードM2を行わせ、あらかじめ定められた検査開始条件が満たされた後に、検査部213に検査を開始させ、あらかじめ定められたワークWKの検査終了条件に基づいて、第2制御モードM2を終了する。なお、例えば制御部があらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードと、第2制御モードを実行する態様において、制御部は、あらかじめ定められた第2制御モード開始条件を満たした場合に、ロボットに第2制御モードを行わせなくてもよく、あらかじめ定められた検査開始条件が満たされた後に、検査部に検査を開始させなくてもよく、あらかじめ定められたワークの検査終了条件に基づいて、第2制御モードを終了しなくてもよい。
【0098】
また、制御部は、あらかじめ定められた第2制御モード開始条件を満たした場合に第2制御モードを実行し、第2制御モードの実行と同時に検査部に検査を行わせ、あらかじめ定められたワークの検査終了条件に基づいて、第2制御モードを終了してもよい。また、例えば制御部は、ロボットが検査部にワークを配置したときから、ロボットに第2制御モードを行わせ、あらかじめ定められた検査開始条件が満たされた後に、検査部に検査を開始させ、あらかじめ定められたワークの検査終了条件に基づいて、第2制御モードを終了してもよい。
【0099】
(4)上記第1実施形態および第2実施形態において、ロボット212によってワークWKが運搬装置140から検査部213に搬送され、第2制御モード開始条件が満たされた後に、制御部160が第2制御モードM2を実行している。また、上記第3実施形態において、ロボット212が運搬装置140に配置されたワークWKを保持した後、第2制御モード開始条件が満たされた後に、制御部160が第2制御モードM2を実行している。なお、例えば、ロボットが、ワークを保持するために、運搬装置に向かうときに、第2制御モード開始条件が満たされた場合、制御部によって第2制御モードが実行されてもよい。
【0100】
(5)第2制御モードが実行されているときに、ロボットがワークを保持している場合、検査部にすでに配置されている別のワークの検査が行われてもよい。例えば検査部に、複数のワークが配置可能な態様において、ロボットが運搬装置に配置されたワークを保持したときに、制御部によって停止制御が行われ、ロボットが停止する。そして、検査部に配置される別のワークの検査が行われてもよい。
【0101】
(6)上記第1実施形態ないし第5実施形態に記載のように、検査部によるワークの検査が行われている場合以外においても、制御部が第2制御モードを実行することが可能である。なお、第2制御モードの実行と同時に検査部による検査が行われ、第2制御モードの終了とともに検査部の検査が終了してもよい。第2制御モードは、制御部によって、検査部によるワークの検査が行われている場合に少なくとも実行されていればよい。
【0102】
(7)上記実施形態において、制御信号生成部162aは、トラッキング制御を実施すべき指示をユーザーから受け、トラッキング制御を実施すべき制御信号を、位置制御部162bに出力する。なお、例えばロボットが力覚センサーを備える態様において、制御信号生成部は、力覚制御を実施すべき指示をユーザーから受けて、力覚制御を実施すべき制御信号を、位置制御部に出力してもよい。この場合、制御信号生成部は、保持部が発生させるべき力およびその力の方向、ならびにトルクおよびそのトルクの向きを表す力制御信号を生成し、力制御部に出力する。
【0103】
(8)上記第2実施形態や第3実施形態において、第1時間は5秒であり、第2時間は1秒であり、第3時間は1秒であり、第4時間は1秒である。なお、第1時間ないし第4時間は、上記実施形態の時間に限定されず、例えば第1時間は1秒であってもよく、10秒であってもよく、第2時間は0.1秒であってもよい。
【0104】
(9)上記実施形態において、射出成形システム1の第1筐体110、第2筐体211、および第3筐体221は、それぞれ図示しないカバーを備えている。カバーは、それぞれ、基台部に取り付けられる下部カバーと、上部枠に取り付けられる上部カバーと、に分けられてもよい。また、射出成形システムの第1筐体、第2筐体、および第3筐体が、カバーを備えない構成としてもよい。また、上記実施形態において、射出成形システム1の第1筐体110、第2筐体211、および第3筐体221は、それぞれ、基台を介して基台枠と上部枠とを有する構成である。上部枠は、基台を介さずに、直接、基台枠と接続し、基台枠と上部枠が一体になっていてもよい。また、上部枠は、各頂点を部材で接続した立方体状の枠であってもよい。また、基台枠は、立方体状の枠でなく、単に、上下の基台を柱で繋ぐ構造であってもよい。
【0105】
G2.他の実施形態2:
上記実施形態において、制御部160は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のうち一つを実行する。なお、例えば制御部が加減速禁止制御と、停止制御と、を実行しない態様において、第2制御モードが、ロボットを駆動させるための原動作信号に対し検査部を含む固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、ロボットを動作させる制御モードであってもよい。
【0106】
G3.他の実施形態3:
上記実施形態において、制御部160は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のうち一つを実行する。なお、例えば制御部が振動低減制御と、停止制御と、を実行しない態様において、第2制御モードは、ロボットが加速および減速することを禁止する制御モードであってもよい。
【0107】
G4.他の実施形態4:
上記実施形態において、制御部160は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のうち一つを実行する。なお、例えば制御部が振動低減制御と、加減速禁止制御と、を実行しない態様において、第2ロボット制御モードは、ロボットの動作を停止させる制御モードであってもよい。この態様において、ロボットによる振動の発生を抑制することができる。そのため、検査部が高精度な検査を実施することができる。
【0108】
G5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、制御部160は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のうち一つを実行する。なお、例えば、制御部は、振動低減制御と、加減速禁止制御と、停止制御と、のうち振動低減制御と、停止制御の二つを実行してもよい。
【0109】
(2)上記実施形態において、制御部160は、あらかじめ取得された、ワーク自身の振動しやすさを示すワーク振動情報と、あらかじめ取得された検査部213の振動のしやすさを示す検査部振動情報に基づいて、振動低減制御と、加速および減速することを禁止する制御と、停止制御と、のいずれか一つを実行する。なお、例えば制御部は、あらかじめ取得された検査部の振動のしやすさを示す検査部振動情報のみに基づいて、振動低減制御と、加速および減速することを禁止する制御と、停止制御と、のいずれか一つを実行してもよい。また、例えば制御部は、ユーザーによって、あらかじめ振動低減制御と、加速および減速することを禁止する制御と、停止制御のいずれを選択するかを指示されていてもよい。
【0110】
G6.他の実施形態6:
上記実施形態において、ロボット212と、検査部213とが、同一の搭載部に搭載されている。なお、例えば検査部が、ロボットの可動範囲に配置される態様において、ロボットと検査部とが異なる搭載部に搭載されていてもよい。
【0111】
G7.他の実施形態7:
上記第4実施形態において、第2制御モードM2を実行することによる、ワークWKの成形の効率の低下が、最も小さくなるような、第1制御モードM1および第2制御モードM2のタイミングが、ユーザーによってあらかじめ制御部160に入力される。なお、あらかじめ定められたタイミングは、例えばワークの成形から検査までが、ユーザーの希望の時間内に終了するように、ユーザーによって決定されたタイミングであってもよい。
【0112】
第1実施形態ないし第5実施形態における、制御部による第2制御モードの実行のタイミングと、検査部によるワークの検査の開始と終了のタイミングとが、全て同じタイミングとなる態様もありうる。
【0113】
G8.他の実施形態8:
上記第5実施形態において、射出成形システム1を構成する装置による検査の開始を予告する信号の送信は、その装置が実行するある特定の動作と、その装置が実行する他の動作を比較した際に、第2制御モードM2が実行された場合に、及ぼす影響が小さい動作の際に、行われるが、検査の開始を予告する信号の送信は、それ以外のタイミングで行われてもよい。
【0114】
G9.他の実施形態9:
制御部160は、あらかじめ定められた検査開始条件を満たした後に、検査部213に検査を開始させる。なお、例えばあらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードと、第2制御モードとが実行される態様において、制御部は、あらかじめ定められた検査開始条件を満たす前に、検査部に検査を開始させてもよい。
【0115】
あらかじめ定められたタイミングで、第1制御モードと、第2制御モードとが実行される態様において、制御部は、あらかじめ定められた検査終了条件を満たす前に、検査を終了してもよい。
【0116】
H.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0117】
(1)本開示の一形態によれば、射出成形システムが提供される。この射出成形システムは、射出成形によってワークを成形する射出成形部と、前記ワークを搬送するロボットと、前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、前記射出成形部と、前記ロボットと、前記検査部と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ロボットの制御モードとして、前記検査部による前記ワークの検査が行われていない場合に実行される第1制御モードと、前記検査部による前記ワークの検査が行われている場合に実行され、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードと、を有する。
この形態の射出成形システムによれば、第2制御モードによってロボットが動作されることで、第1制御モードによってロボットが動作される態様と比較して、ロボットの動作により生じる振動により検査部が振動することを抑制することができる。これにより、ワークを検査する際に、安定してワークの検査を行うことができる。
【0118】
(2)上記形態の射出成形システムにおいて、前記第2制御モードは、前記ロボットを駆動させるための原動作信号に対し前記検査部の固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、前記ロボットを動作させる制御モードであってもよい。
この形態の射出成形システムによれば、生産性を維持しつつ、高精度な検査を検査部が実施することができる。
【0119】
(3)上記形態の射出成形システムにおいて、前記第2制御モードは、前記ロボットが加速および減速することを禁止する制御モードであってもよい。
この形態の射出成形システムによれば、ロボットの加速および減速が禁止されることで、ロボットの動作により振動が生じることを抑制することができる。そのため、検査の精度が向上する。
【0120】
(4)上記形態の射出成形システムにおいて、前記第2制御モードは、前記ロボットの動作を停止させる制御モードであってもよい。
この形態の射出成形システムによれば、ロボットによる振動の発生を抑制することができる。そのため、高精度な検査を実施することができる。
【0121】
(5)上記形態の射出成形システムにおいて、前記第2制御モードは、前記ロボットを駆動させるための原動作信号に対し前記検査部を含む固有振動数に対応する周波数の成分が低減されている動作信号を用いて、前記ロボットを動作させる振動低減制御と、前記ロボットが加速および減速することを禁止する制御と、前記ロボットの動作を停止させる制御である停止制御と、のうち一つを実行する制御モードであり、前記制御部は、あらかじめ取得された、前記ワーク自身の振動しやすさを示すワーク振動情報と、あらかじめ取得された前記検査部の振動のしやすさを示す検査部振動情報に基づいて、前記振動低減制御と、前記加速および減速することを禁止する制御と、前記停止制御と、のいずれか一つを実行してもよい。
この形態の射出成形システムによれば、ワーク振動情報と、検査部振動情報に基づいて、制御モードを選択することができる。
【0122】
(6)上記形態の射出成形システムにおいて、前記ロボットと、前記検査部とが、同一の搭載部に搭載されていてもよい。
この形態の射出成形システムによれば、ロボットと、検査部とが、同一の搭載部に搭載されていても、制御部が第2制御モードを実行しない態様と比較して、検査部の振動を抑制することができる。
【0123】
(7)上記形態の射出成形システムにおいて、前記制御部は、あらかじめ定められたタイミングで、前記第1制御モードと、前記第2制御モードを実行し、前記検査の開始と終了は、前記第2制御モードの実行中に行われてもよい。
この形態の射出成形システムによれば、あらかじめ定められたタイミングで第2制御モードが実行されるので、射出成形システムにおける作業の遅延の可能性を低減することができる。
【0124】
(8)上記形態の射出成形システムにおいて、前記制御部は、前記検査の開始を予告する信号を受信したことを契機として、前記ロボットの制御モードを前記第1制御モードから前記第2制御モードへ制御モードを切り替え、前記検査の終了を表す信号を受信したことを契機として、前記ロボットの制御モードを前記第2制御モードから前記第1制御モードへ制御モードを切り替えてもよい。
この形態の射出成形システムによれば、制御部が、ワークの検査の開始を予告する信号を契機として第2制御モードを実行するため、射出成形システムの生産性の低下の可能性を低減することができる。
【0125】
(9)上記形態の射出成形システムにおいて、前記制御部は、あらかじめ定められた検査開始条件を満たした後に、前記検査部に検査を開始させ、前記あらかじめ定められた検査開始条件は、(a1)前記第2制御モードの開始後、あらかじめ定められた時間の経過後であること、(a2)前記第2制御モードM2の開始後、前記検査部に備えられた振動測定部によって取得された前記検査部の振動の大きさが、あらかじめ定められた大きさ以下であること、のいずれかであってもよい。
この形態の射出成形システムによれば、(a1)においては、検査の開始のタイミングをユーザーが管理することができる。(a2)においては、振動があらかじめ定められた大きさよりも大きい状態で検査が行われる態様と比較して、高精度な検査が可能となる。
【0126】
(10)本開示の他の形態によれば、射出成形システムの制御方法が提供される。この射出成形システムの制御方法は、射出成形部によってワークを成形し、ロボットによって、前記ワークを搬送し、前記ロボットにより搬送された前記ワークを検査する検査部と、前記射出成形部と、前記ロボットと、を制御する制御部が、前記検査部によって前記ワークの検査が行われていない場合に、前記ロボットの制御モードとして第1制御モードを実行し、前記検査部によって前記ワークの検査が行われている場合に、前記ロボットの制御モードとして、前記第1制御モードよりも前記検査部を振動させないように前記ロボットの動作を制限する第2制御モードを実行する。
【符号の説明】
【0127】
1、1F…射出成形システム、10…射出成形部、20…オプションユニット、21…第1ユニット、22…第2ユニット、40…メインユニット、50…第2オプションユニット、110…第1筐体、111…第1基台部、111a…第1基台部の第1基台、111b…第1基台部の第2基台、111c…第1基台枠、112…第1上部枠、113…第1カバー、120…射出成形機、121…型締機構、130…装置、140…運搬装置、150…記憶部、160…制御部、161…入力部、162…演算部、162A…振動低減処理部、162a…制御信号生成部、162b…位置制御部、162c…速度制御部、162d…フィルター設定部、162e…フィルター処理部、162f…トルク制御部、163…出力部、211…第2筐体、211a…第2基台部、211aa…第2基台部の第1基台、211ab…第2基台部の第2基台、211ac…第2基台枠、211b…第2上部枠、211c…第2カバー、212…ロボット、212a…保持部、212b…可動部、212c…サーボモーター、212d…サーボアンプ、212e…位置センサー、213…検査部、213a…カメラ、213b…検査台、213c…振動測定部、213d…支柱、214…スタッキング機構、214a…第1配置部、214b…第2配置部、221…第3筐体、221a…第3基台部、221aa、221ab…第3基台部の基台、221ac…第3基台枠、221b…第3上部枠、221c…第3カバー、222…供給装置、410…第2射出成形機、420…射出機制御部、421…記憶部、510…ロボットユニット、511…第2ロボット、511a…アーム、511b…ロボット制御部、520…検査ユニット、521…検査部、522…第3配置部、530…付帯機器ユニット、531…型温度調節機、532…材料送出装置、M1…第1制御モード、M2…第2制御モード、Mt1…特定動作、PL…パレット、V…動作速度、WK…ワーク、fp1…周波数